44歳からの転職活動・再就職を成功するには?失敗しない進め方とケース別対策
[最終更新日]2024/11/19
「もうすぐ45歳。44歳のうちに、もっと良い条件の会社へと転職をしたい」
「44歳での転職を検討しているか、自分のスキル・実績に見合う企業があるか心配」
「今回の転職で、生活環境を改善したい」
44歳のタイミングで転職を検討している人で、上記のような想いや不安を抱えている人は多いでしょう。
この記事では、44歳の男女に向けて転職における不安や悩みを解消し、転職成功に繋げるための考え方・対策をまとめています。
ミドル世代の転職への準備・行動を取るうえで、記事の内容はきっと役立てられるでしょう。ぜひ、ご覧ください。
目次
44歳の転職におすすめの転職エージェント
サービス名 | doda X |
JACリクルートメント |
リクルートエージェント |
リクルートダイレクトスカウト |
doda |
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メリット |
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デメリット |
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公開求人数 | 約6.0万件 | 約2.1万件 | 約49万件 | 約40万件 | 約26万件 |
得意業界/職種 | ◎全業界 | ◎全業界 | ◎全業界 | ◎全業界 | ◎全業界 |
対象年代 | ◎全年代 | ◎全年代 | ◎全年代 | ◎全年代 | ◎全年代 |
対象地域 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 |
おすすめの人 |
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公式サイト |
表内の求人数は2024年11月時点のものです。
1)44歳の転職に多い悩み・不安とは
「みんなの転職体験談」を利用する人の年代でいちばん多いのは、40代です。
とくに、同世代の転職エピソードを確認する目的で利用する人はほぼ毎日訪れています。
では、44歳での転職体験においては具体的にどのような悩み・不安が多いのでしょうか。
これまで集まった転職エピソードと定期的に行っているWebアンケートの結果を見ると、とくに以下の3点にあることが確認できます。
44歳の転職の不安① 現在の年齢、およびスキル・実績で雇ってもらえる?
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転職での一番の不安は、年齢。私自身のこれまでの経験上、チャレンジできる仕事は少なく、さらに年齢で縛られるとなると求人がすごく限定されそう。どこまで妥協すべきか、悩みます。
(ひろさん 男性 44歳 サービス業 大阪府在住)
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転職活動において、年齢がハードルにならないか心配です。年齢を理由に就職希望先から断られることもあるか気になります。
(まるさん 女性 44歳 事務職 神奈川県)
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会社合併の影響で自分の役割が大きく変わることになって。「それだったら転職しよう」と思ったものの、すでに40代半ばで、私の希望条件に合う求人がはたして存在するのか不安でした。
(まーくん さん 男性 44歳 SE 大阪府在住)
44歳の人が転職について抱く不安で最も多いのが、上に挙げた「44歳の年齢で、かつ現在のスキル・実績で雇ってもらえるか」というものです。
現実として、44歳の転職者を積極的に採用しようとする企業は、20~30代と比べると明らかに減ります。
若い頃転職をして、一連の流れは理解している人も、44歳での転職は若い頃とは主に選考の難易度が高まることはあらかじめ知っておいた方がよいでしょう。
44歳転職の難易度は高いが、転職成功者も多い
ただし、だからといって「44歳の転職は、結果として失敗しやすい」訳ではありません。
みんなの転職体験談に転職エピソードを寄稿いただいた44歳の人の転職成功率は、おおよそ80%です。
スキル・実績面に不安を感じていた44歳の人でも、結果として「転職に成功した」と振り返られる人は多いです。
転職の難しさの多くは、「どれだけの時間と労力を必要とするか」で解決すべき問題です。
もちろん、そこには適切な自己分析、求人企業の選び方、書類や面接での自己PRなどのテクニックとしての要素も求められますが、それらのチャレンジなしに諦めるべきではないでしょう。
行動を起こさなかったとき、その不安はどうなるかを考える
ミドル世代の人が転職を躊躇ってしまう理由の一つに、「アンコンシャス・バイアス」があります。
アンコンシャス・バイアスとは「無意識の思い込み、偏見」のことで、その人がこれまでに経験したことや、見聞きしたことに照らし合わせて、「ふつう○○だからこうだろう」というように、未知のもの、経験していないものまで「決めつけてしまう」ものです。
「今の年齢とスキル・実績では、転職は決まらない」という考え方は、アンコンシャス・バイアスです。
転職が決まるかどうかは行動しなければわからないものですし、更にはスキル・実績を過去の限定的・不変的なものとして捉えてしまっているからです。
行動を起こすことによって、あなたのスキル・経験に価値を感じる企業が見つかるかもしれません。
また、改めて自分が伸ばすべきスキルや方向性が明確になり、今後の成長・キャリアアップへの働きかけに繋がることもあるでしょう。
44歳の人が「現在の年齢、およびスキル・実績で雇ってもらえるか」という不安を感じたときに、まず考えることはひとつです。
それは、「その不安とただ付き合ってなにも行動を起こさずにいたら、5年後・10年後にどうなっているか」を考えること。
もし、「もっと不安が大きくなりそう」と思うようなら、行動を起こすべきです。
44歳の転職の「今の年齢、およびスキル・実績で雇ってもらえる?」─まとめ
- 44歳向けの求人は20代~30代の若手人材と比べて少なくなるため、難易度は高まる
- ただし、44歳で転職成功するケースは多い。「難易度が高い=失敗に終わる」とは限らない
- 「行動を起こさなかったとき、その不安はどうなる」を考え、大きくなると感じられるようなら転職の選択肢も含めた行動を起こすべき
44歳の転職の不安② 自分に合った職場を見つけられる?
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「業務についていけるかであったり、新しい事を覚えるのに昔より時間がかかるかもしれない点が不安です」
(コウさん 44歳 事務 大阪府在住)
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「転職の際の不安は、周りとうまくやっていけるのか、経営が安定した会社なのか、長く働けそうか、職場の年齢構成で浮かないかどうかです」
(りすさん 44歳 図書館司書 埼玉県在住)
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「新たにまた一から人間関係を構築し、新しい仕事を覚えられるかが不安要素」
(ラブシャンさん 44歳 IT企画営業 大阪府在住)
転職先が「自分に合った職場になるか」について不安を持つ人は多いです。
ミドル世代においてはとくに、同僚・年下の社員とのコミュニケーション、上司の価値観を気にするケースが多いようです。
転職後に、こうした職場環境・人間関係に悩むミドル世代の転職者は多いです。
人材紹介会社エン・ジャパンでは、実際に転職を経たミドル世代の人たちに「Q: 転職先の企業に馴染むことが難しい要因として多いものを教えてください。」というアンケート結果を公開しています(2017年7月)。
参考:エン・ジャパン「ミドルの転職ニュース|Q:転職先の企業に馴染むことが難しい要因として多いものを教えてください」
「前職と仕事の進め方が違う」と答えた人は全体の71%、「社内の人間関係が分からない」は46%と、多くの人が新しい職場環境への適応に苦労していることが確認できます。
すでに転職を経験している人でしたら十分にご認識されていることでしょうが、企業が異なればその文化・価値観も少なからず変わるものです。
20代の若手社会人はそうした環境変化に対して比較的柔軟に対応しますが、40代以降はこれまで培った価値観形成もあって適応に苦労することが多いといいます。
44歳の転職においては、こうした転職後の職場環境・人間関係の問題を「事前に可能な限り予測できるようにする」こと、そして「入社後はまず職に馴染むための働きかけを優先する」ことが大切です。
転職前(活動中)の、「自分に合った職場を見つける」ための対策
- 自分が活躍できるポジション領域で、求人(転職先)を探す
- 応募前や面接前に、企業研究をしっかり行う
- 面接時などで、実際の職場雰囲気や働く人の様子を確認する
転職前の準備において最も大切なのが、「その職場で、自分は(将来的に)活躍できるか」です。
ミドル世代の中途入社者に対して、「この人は活躍できる人材かどうか」を見定めにくる既存社員は多いからです。
裏を返せば、活躍する人材に対して周囲の人は好意的になりやすいでしょう。つまり、「自分に合った職場」と「自分が活躍できる職場」は相関することが多いのです。
応募先企業の職場環境は、企業研究や面接のシーンである程度確認できます。
具体的な確認方法は次章「2)44歳での転職を成功するための対策4点」で詳しく説明しますが、ミスマッチ転職のリスクを軽減していくための情報収集は少しでも多くやっておくべきでしょう。
転職後の対策
- 入社して3ヵ月は環境への適応と人間関係構築を意識する
- 前職のやり方や社風は忘れ、リセットする
- 新しい職場で、相談しやすそうな相手を見つける
転職後のはじめの3ヵ月間は、環境への適応と人間関係構築に専念するのが賢明です。
たとえば、「この事業部では誰がキーマンなのか」であったり、「事業の全体像はどのようになっているのか」であったりを確認し、そのためになるべく多くの関係者と自分からコミュニケーションを取っていきます。
まずはその企業に馴染むことを優先し、そのあと少しずつ自分なりの働き方を出していったほうが成果も出やすいでしょう。
採用企業においてもミドル世代の中途入社者に、新しい環境を自ら知ろうとし、かつそれに合わせて変化していこうという適応力・柔軟性を求められることが多いです。
転職を始める際に、自身のそうした資質をいま一度確認し、必要に応じて強化していくことをおすすめします。
44歳の転職の「自分に合った職場は見つけられる?」─まとめ
- 転職して職場環境が変われば、多かれ少なかれギャップは生じる。「自分に合った職場か」よりも「自分がそれに合わせられるか」が大切
- 転職前(活動中)は、「自分が活躍できる領域」で転職先を探す
- 転職後の3ヵ月間は、「環境への適応と人間関係構築」に専念する
44歳の転職の不安③ 生活環境をより良くできる?
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「現在単身赴任中で、家族とまた一緒に生活したいと考えており転職は考えています。ですが、日々の忙しさにかまけて行動に移せていません」
(しょうPさん 44歳 サービス業 佐賀県在住)
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「かなり業務が忙しく、体調を崩すことも多くなってきており、『体を壊してでもやる仕事ってなんだろう?』と疑問が生じてきました。体調を優先した働き方ができないか?を模索中です」
(ごまごまさん 44歳 人事 千葉県在住)
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「コロナ禍ということもあり、感染リスクの低い職場に移りたい気持ちが強まっています。ですが、自分は強みがないため悩みどころです。」
(みいたさん 44歳 介護職 静岡県在住)
44歳で転職を検討している人で、「生活環境の改善」を求める人もよく見受けられます。
具体的には、以下の点を希望しているケースが多いです。
- 残業時間の軽減
- 働く場所を変える(Uターン・Iターン転職など)
- 働く環境を変える(在宅ワーク・テレワークなど)
人の生活環境はどのように変わると満足度が高まりやすいのかというと、とくに「生活の楽しさ・面白さ」、「家計・資産の安定」、そして「ワークライフバランスの改善」からの影響が大きいといいます(※1)。
また、2021年の内閣府による満足度・生活の質に関する調査では、仕事時間や通勤時間が減少した人、新たに運動を開始した人、新しく趣味や生きがいができた人に特に満足度が高まる傾向があるとまとめています(※2)。
※1・2 ともに2021年 内閣府「満足度・生活の質に関する調査報告書2021」の内容を参考
転職はこうした生活の変化に直結しやすいため、「今後の人生の満足度を高めるために、転職活動をする」という選択は充分に意義があるでしょう。
近年は働き方の多様化の促進、コロナ禍以降の「ニューノーマル(新しい常態)」意識の高まりなどの影響もあって、転職して生活環境を改善できるチャンスは増えています。
ただし、転職による生活環境の改善はメリットだけでなくデメリットやリスクもあります。事前にそれらメリット・デメリットを把握しておくことが大切です。
以下、「残業時間軽減」、「働く場所を変える(U/Iターン転職)」、「働く環境を変える(在宅ワーク・テレワークなど)」それぞれを目的とした転職のメリット・デメリットをまとめました。
気になる点をチェックしてみてください。
残業時間の軽減に向けての転職
メリット・ポジティブ要因 | デメリット・ネガティブ要因 |
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2019年4月より施行された「働き方改革」の流れもあり、国内企業の残業時間は大きく下降傾向にあります。
以下は、オープンワーク株式会社が1000万件以上の労働者からの職場情報をもとに調査した日本の残業時間の推移グラフです。
引用元:OpenWork 働きがい研究所「日本の残業時間 定点観測」※グラフは弊社作成
上記グラフからは、2014年から2021年の7年の間に、平均残業時間がおよそ半分にまで縮小されていることが確認できます。
業種や職種によって平均時間は変わりますが、同社ではどの領域においてもこうした縮小傾向が出ていることをデータで示しています。
現在の職場で残業時間の多さを不満に感じている人は、転職による職場変更でその不満を解消できる可能性は十分にあるでしょう。
一方、残業時間の縮小はとうぜん残業手当が少なくなることになるので、結果として給与が下がるケースも多いです。
また、多くの企業は残業時間に関わらずの業務パフォーマンスを要求します。つまり、残業の少ない企業の方が、時間内の成果を重要視するケースが多いのです。
転職の目的として残業時間の軽減を挙げる44歳の人は、その分即戦力としてのパフォーマンスも求められやすいことにも注意するとよいでしょう。
働く場所を変える(Uターン・Iターン転職など)
メリット・ポジティブ要因 | デメリット・ネガティブ要因 |
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地方においては次世代リーダーや後継者不足の課題から、ミドル・シニア層の採用に積極的な企業も多くなっています。
在宅ワーク・テレワークを採用する企業が増えたこともあり、以前と比べて地方へのUターン・Iターン転職のハードルは下がりつつあります。
ただし、都市部から地方へのUターン・Iターン転職は、都市部と地方の経済格差があることを認識しておくべきでしょう。多くの場合、都市部から地方へと転職した際は年収が下がります。
また、地元への貢献を求める地域も多いです。「この地域で転職したい」という想いのある人はともかく、「地方の方がゆっくり、長閑な生活ができそうだ」といった理由のみで転職した人は、地域の年中行事や清掃活動への参加などに少なからずのカルチャーギャップを感じるかもしれません。
長年慣れ親しんだ地元に戻る場合は別ですが、これまでまったく縁のなかった地域への転職・移住に関しては、本当にその地域に適応できるかの慎重な判断が必要です。
可能なようなら、まずは「副業」という形で少しずつその地域・企業に関わっていき、馴染んでいくためのプロセスを持つとよいでしょう。
働く環境を変える(在宅ワーク・テレワークなど)
メリット・ポジティブ要因 | デメリット・ネガティブ要因 |
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国のテレワーク推進に伴い、在宅ワーク・フルリモート可の求人も増えています。
ここ数年の転職された方の体験談においても、オフィス勤務から在宅ワークへとシフトすることになった方が多く見受けられます。
在宅ワークになった人たちの体験コメントからは、必ずと言ってよいほどメリットとデメリットの両方の感想が見られます。
すなわち、「仕事と家庭の両立がしやすくなった・通勤時間を解消できた」という意見と、「他社員とのコミュニケーション機会を取りにくい」という意見です。
とくに、未経験分野への転職を果たした人は、業務キャッチアップに苦労するケースが多いです。
在宅ワーク環境への転職の際はこうした事情と、環境と業務に慣れるための自助努力が一層求められることを知っておくべきでしょう。
44歳の転職の「生活環境を改善できる?」─まとめ
- 現在は転職によって生活環境を改善できるケースが増えている
- ただし、残業時間の軽減、働く場所・環境の変化など、それぞれメリットもあればデメリットもあることに注意
2)44歳での転職を成功するための対策4点
ここからは、44歳での転職を成功するための、具体的な対策を紹介します。
先にお伝えしたように、ミドル以降の転職は20代~35歳までの転職と比べて難易度が高まります。
そのため、44歳の転職は「難易度を軽減していくための取り組み」がどれだけ行えるかが重要です。
すでに転職活動を行っており苦労している人や進捗が芳しくない人は、以下に紹介する取り組みのいずれかが不足している可能性が高いです。
「自分は大丈夫」と思っている人も、おさらいの意を込めていちどチェックしてみてください。
①転職の軸を定める
44歳からの転職を始める際に、まず行うべきは「転職の軸」を持っておくことです。
転職の軸とは転職するうえでの最優先事項であり、「今回の転職における、譲れない条件」ということです。
条件と言えば年収や勤務時間、職場環境や働く場所をイメージしがちですが、「自分はこれから残りの人生で、どんなキャリアを歩んでいきたいのか」という、あなただけの働くことへの根本的な動機についてまず考えることをおすすめします。
根本的な動機をおざなりにしたままで転職先を決めてしまうと、入社後にちょっとしたギャップがあった際にもミスマッチを感じやすくなり、再度の転職に繋がるリスクがあるからです。
また、転職の軸を持つと希望条件が明確になり、かつ応募の際の自己PRもスムーズになります。
転職の軸は、以下のプロセスで行うと整理をしやすいです。
- ①-1 キャリアの棚卸しをする
- ①-2 これからチャレンジしたい働き方を言語化し、キャリアプランに落とし込む
- ①-3 今回の転職の指針(転職方針)を定める
①-1 キャリアの棚卸しをする
44歳の転職において、「同業種×同職種」の転職先を探す人は多いでしょう。
ですが、多くのキャリアアドバイザーは「多くの社会人経験を積んだミドル世代においては、その経験を活かせる仕事が別業種、別職種にあることも少なくない」といいます。
「現在と将来の自分にとっての、ベストな仕事は何か」を模索する際に有効な手法が「キャリアの棚卸し」です。
キャリアの棚卸しとは、「これまでの自分のキャリアで何をやってきたのかを全て洗い出すこと」をいいます。
自身のキャリアの適性の再確認と、今後目指すべき方向性を定めるために行います。
以下のように時系列ごとに携わった仕事内容・役割、学べたこと・身に付いたことなどをまとめていきます。
※これからキャリアの棚卸しを作成する方は、よろしければ「キャリアの棚卸し作成表」ファイルをダウンロードしてお使いください。
キャリアの棚卸しの記入例
期間 | 2003年4月~2010年9月 | 2010年10月~2015年3月 | 2015年4月~現在 |
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業界・職務 |
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仕事内容・役割 |
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学べたこと・ 身に付いたこと |
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とくに意識して 取り組めたこと |
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情熱を掲げられたこと |
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失敗したこと |
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失敗からの教訓・ 学んだこと |
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※横にスクロールして右側の情報を確認できます。
キャリアの棚卸しは、必ず行わなくてはいけないものではありませんが、「今後のキャリアプランが明確でない」「求人を探していて、どれを見てもパッとしない(選べない)」人はやっておいた方がよいでしょう。
キャリアの棚卸しをすることによって、キャリアプランと転職の軸が定まり、それにより求人選びだけでなく転職活動へのモチベーションも高まりやすくなるからです。
キャリアの棚卸しは、「ポジティブな感情で振り返る」こと
「棚卸しできるほど大層な仕事はしていない」「あまり人に誇れるような経歴ではない」という気持ちのままキャリアの棚卸しを行っても、よいアウトプットは出てきません。
なにより、そんなマインドのままでは採用しようという企業もいないでしょう。
人生において、無駄な経験など一つもないはずです。
あまり成果を出せなかった時期でも「この期間があったから、自分はこんなことを学べたのかもしれない」と捉え、これまでの軌跡ひとつひとつに光を照らしていくように、振り返っていくことをおすすめします。
①-2 これからチャレンジしたい働き方を言語化し、キャリアプランに落とし込む
キャリアの棚卸しを行ってこれから先の働き方のイメージが付いてきたら、続いてはキャリアビジョンとキャリアプランを考えます。
「44歳の年になって、いまさらキャリアプランを考えるなんて」と思った人もいるかもしれません。
ですが、人生100年時代と言われて久しい現代において、44歳の年齢はまだまたキャリアの前半戦です。
多くの人はこれから先、30年近く働き続けることになるでしょう。
その「これから先の働き方」をについて、「こういう働き方をしたい」というイメージを持つことがキャリアビジョンです。そしてそのイメージを実現するためのプランニング(行動計画)が、キャリアプランです。
キャリアビジョンとキャリアプランは、以下のように時系列に落とし込むことによって考えを整理しやすくなります。
キャリアプランは、かっちり決めすぎず、ある程度抽象度を持つ
「計画された偶発性理論」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。
これは、「人のキャリアの8割は予期しない偶発的な事柄で決定されるため、その偶発性を計画的に設計し、よりよいキャリアを目指していくことが大切だ」という考え方です。
8割という数値がすべての人に当てはまることはないでしょうが、要は「キャリアとは、予期しないことが起きやすい」ことをあらかじめ意識して、実際にそのような事柄が起きたときにキャリアプランを柔軟に修正しておけるようにするということです。
そのため、キャリアビジョンはかっちり決めすぎるよりもある程度の抽象度を持たせた方がよいでしょう。
イメージとしては、キャリアビジョンには抽象度を持たせる代わりに「将来もなるべく変わらないビジョン」とすること。そして、キャリアプランは環境変化などにあわせて適宜調整・チューニングしていきます。
①-3 中間ゴールとしての、今回の転職の指針(転職方針)を定める
キャリアビジョンとキャリアプランが定まったら、いよいよ今回の転職方針(転職の軸)を定めます。
転職方針の具体例としては、以下のようなものがあります。
- これまでのエンジニア経験とコミュニケーション力の高さを活かし、セール─ジニア(営業SE)として働く
- 法人営業で培った経験とノウハウを仕組み化していくために、マーケティングプランナーを目指す
- 販売店の店長業務で培った店舗マネジメントと部下マネジメントを活かせる、BtoCの別業種を目指す
- これまでの実務経験を活かせるポジションで、かつ家事との両立ができるようにテレワーク可の職場を探す
- これまでライフワークとしてきた「環境保全」に関われる仕事に就く
1~3点目までは具体的な職務内容が記されていますが、4・5点目では「家事との両立」であったり「テレワーク可」、「ライフワーク」であったりと、職務外の内容が方針に加えられているのが分かると思います。
転職の軸を定める際は、このようにキャリアプラン・キャリアビジョンだけでなく「生活・暮らし(ライフ)」の観点も照らし合わせて定めていきます。
作成した転職方針は、できたらキャリアコンサルタントやキャリアアドバイザーなどプロの目に見てもらうことをおすすめします。
具体的な方法としては、転職エージェントサービスを利用して担当となるキャリアアドバイザーに相談する、そのほかココナラやタイムチケットといったサービスでキャリアコンサルタントを見つけて相談するなどがあります。
転職活動の際には、多くの人が「転職エージェント」を利用しています。
その主な理由は、国内の少なくない企業がハローワークや転職サイトではなく転職エージェントのみに「非公開求人」を出しているからです。
ですが、私たちが転職エージェントを利用する際は「求人を紹介してくれる人」としてではなく、「転職活動全般を相談できる人」として活用したほうがより効果的でしょう。
例えば今回お伝えした転職の軸についても、具体的な考え方についてサポートしてくれる転職エージェントは多いです。
ただし、転職エージェントは国内多くのサービスがあり、またどの担当者が付くかによってもサポートの提供のされ方が変わります。
あなたに合った転職エージェント(または担当アドバイザー)を見つけるためにも、はじめに2~3つのサービスに登録して、利用のしやすさやコミュニケーションの取りやすさを比較しておくとよいでしょう。
②企業のニーズを知る
転職の軸を定めたあとは、いちど転職サイトでその軸に合致する求人があるか、およびそこでの給与条件や人材要件を確認します。
確認するポイントは、以下の3点です
- 転職方針(転職の軸)にマッチする働き方の求人はあるか
- その求人の条件面はどうか(給与や働く場所などの雇用条件)
- その求人の「必須スキル・歓迎スキル」はどうか
上記を確認することにより、企業ニーズと今回掲げた転職の軸の妥当性が見えてきます。
たとえば、44歳のITエンジニアの人が「自分は、JavaとPHPのプログラム言語が得意だから、それらを求める企業を探そう」としたとします。
そして、とある転職サイトで以下の求人情報を見つけました。
項目 | 記載内容 |
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仕事内容 |
自社運営のサイト<WEBエンジニア・PL>※サーバーサイド プロダクトごとにチームを組んでおり、チームを引っ張るリーダーやPL/PMとしての役割を期待しています。 【作業の一例】 ◇アーキテクチャ設計 ◇技術選定 ◇コーディング ◇コードレビュー…他 |
求めている人物 |
【必須】Java・PHPなどでのWebアプリケーション開発経験※2年以上 【具体的には】 □LaravelやcakePHPなどのPHPフレームワーク導入 or 利用経験者 □データベース設計の実務経験者 □Gitを使用してチーム開発の経験者 ▼以下の方歓迎 □フロントエンド開発経験者 □GCP・AWSの利用経験者 |
上の情報からは、企業は求職者に対して以下のニーズがあることがうかがえます。
- Web系サービス開発の(主にサーバーサイド)実務経験
- クラウド系サービスの知識
- 要件定義能力、設計能力
- チームマネジメント、コミュニケーション力
こうして確認していくと、「Java・PHP開発」における求人で、どのような企業ニーズがあるのかが見えてきます。
そのうえで、自身の現状スキルとのギャップを明確にすることが大切なのです。
これら判断をしていくうえで、少なくとも20~30件の該当する求人を見ておいた方がよいです。
求人を参照する転職サイトでは、以下がおすすめです。
タイプ | 全般・網羅型 | 全般・網羅型 | IT・Web業界に強み | 女性の転職に強み | ベンチャー企業に強み | ハイクラス転職に強み | ハイクラス転職に強み | サービス名 | doda |
リクナビNEXT |
Green |
LIBZ |
Wantedly |
ビズリーチ |
リクルートダイレクトスカウト |
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メリット |
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デメリット |
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求人数 | 約26万件 | 約80万件 | 約1.5万件 | 非公開 | 約11万件 | 約14万件 | 約40万件 |
得意業界/職種 | ◎全業界・職種 | ◎全業界・職種 | IT・Web業界 | 営業・企画・管理・販売系職種 | ◎全業界 | ◎全業界 | ◎全業界 |
対象地域 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 |
おすすめの人 |
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公式サイト |
表内の求人数は2024年11月時点のものです。
企業の求める人材要件が思いのほか高かった場合は、転職方針を見直すのも一つです。
ですが、可能な限り方針を変えずに済むよう、打開策・解決策を検討してみることをおすすめします。
たとえばマネジメントスキルが不足していた場合は、現職でマネジメント業務に関われる働き方ができないか模索したり、特定業務の知識・スキルを求めれていた場合はその分野の勉強や資格取得を目指すということです。
その結果として転職時期が後ろ倒しになってしまったとしても、「目指すキャリアビジョンに向かって進んでいく」という意志を持ち続けていれば、きっと道は開かれるはずです。
③選考の一連のプロセスを知る
転職市場と自身の市場価値を確認して、「この領域で転職ができそう」と思えたら、いよいよ本格的に転職活動をはじめます。
転職活動は、以下のプロセスで進めます。
- ③-1 転職サービスの登録
- ③-2 求人(応募企業)の選定・応募
- ③-3 面接への準備、対応
- ③-4 条件確認、雇用契約の締結
③-1 転職サービスの登録
求人探しは、以下のいずれかまたは複数を利用します。
- 人材紹介(転職エージェントなど)
- 求人広告(転職サイト、求人誌など)
- ハローワーク
- 知人からの紹介
- 企業HPへの直接応募
「人材紹介」(転職エージェント)とは、主にエージェントを通して企業とのマッチングサービスをするサービスです。転職者全体のおおよそ10%の人が利用しているといいます(※1)。
転職サイト・求人誌などの「求人広告」の利用者はおおよそ30%といわれ(※2)、求人探しにおいてもっともメジャーな方法です。
ハローワークおよび知人からの紹介はともに25%ほど(※3)、そして企業HPへの直接応募は10%ほどです。
これらのうちどのルートで求人探しをするとよいかは、その人の状況・環境によります。
※1~3 各割合は以下の書籍(2018年 発刊)を参考にしています。最新の情報ではないこと、また地域などでも割合に違いが生じることにご注意ください。
『40歳からの「転職格差」まだ間に合う人、もう手遅れな人』(黒田真行/PHPビジネス新書刊)
人材紹介(転職エージェントなど)の利用
サポートが最も充実しているのは「人材紹介」(転職エージェント)で、求人紹介のほか書類添削や面接対策のアドバイス、そのほかスケジュール調整や条件交渉の代行も行ってくれます。
ただし、多くの転職エージェントが扱うミドル層向け求人は、やや高年収帯のものが多いです。また、転職エージェントによっては地方の求人が少ない場合があります。
求人広告(転職サイト、求人誌など)の利用
求人を自分でより多く検索したい人は転職サイトがおすすめです。
前章で紹介したリクナビNEXT、doda、Green、LIBZなどから試してみるとよいでしょう。
ちなみに、転職サイトに登録すると企業側からスカウト・オファーが届くこともあります。
そのため、サービス登録時にはあわせてレジュメ登録をしっかり行っておくとよいでしょう。
先に紹介した「キャリアの棚卸し」シートを丁寧に埋めておくと、PRポイントも明確になってレジュメもスムーズに記入できます。
知人からの紹介
知人からの紹介は、選考のハードルが低くなることが多い・入社後の人間関係構築をしやすいというメリットがあります。
ただし、「実際に入社したところ、期待していた働き方と異なっていた」という声も少なくありません。
紹介した人への信頼感もあって、その企業とのマッチングについて楽観的になってしまうことが多いのでしょう。
知人からの紹介で転職先を決める際は、あわせて自分でも求人を探して「本当に紹介された職場が、現時点で自分に一番良い選択か」をしっかり確認することが大切です。
ハローワークの利用
ハローワークは転職エージェントと比べると年収の低い求人の割合が高いです。
一方で、相談員からのアドバイスを受けられること、地元や自宅周辺の求人を探しやすいというメリットがあります。
ハローワークではそのほか、仕事に活かせる知識・技能が身につく「職業訓練(ハロートレーニング)」のサービスを提供しています。転職に先行して新たな知識・スキルを身に着けようとしている人は確認しておくとよいでしょう。
企業HPへの直接応募
企業HPの直接応募については、多くの企業の自社HPでは採用ページを設けており、そこからエントリーが可能です。
よく、「求人応募は、転職エージェントやハローワーク経由と直接応募のどちらがよいか」という質問がありますが、(どちらからも応募が可能な場合は)転職エージェントを優先するとよいと思います。
その理由は、転職エージェントでは企業ごとに選考の攻略法を知っていることがあるからです。
一方で、直接応募は企業にとって、紹介料をかけずに採用できるというメリットがあります。
また企業が「ちょうど人員が不足していた」と採用ニーズが高いタイミングであった場合も、優先度を高めて選考を受けられることがあるでしょう。
転職エージェントやハローワークからの紹介が芳しくないときは、直接応募も行って行動量を増やしていくのも、有効な手段です。
44歳の転職では、どの転職サービスを利用するのがよい?
「どの転職サービスをメインで使えばよいかわからない」と迷ってしまった人は、以下の流れでサービスを選んでいくのがおすすめです。
- はじめに、転職エージェントと転職サイトにそれぞれ2~3サービス登録する
- 転職エージェントからの求人紹介があまりなかった場合、ハローワークを追加登録する
転職サイト・エージェントのサービス選びの際は、以下の一覧表および「おすすめの転職サイト・エージェント」をご参考ください。
サービス名 | doda X |
JACリクルートメント |
リクルートエージェント |
リクルートダイレクトスカウト |
doda |
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メリット |
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デメリット |
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公開求人数 | 約6.0万件 | 約2.1万件 | 約49万件 | 約40万件 | 約26万件 |
得意業界/職種 | ◎全業界 | ◎全業界 | ◎全業界 | ◎全業界 | ◎全業界 |
対象年代 | ◎全年代 | ◎全年代 | ◎全年代 | ◎全年代 | ◎全年代 |
対象地域 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 |
おすすめの人 |
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公式サイト |
表内の求人数は2024年11月時点のものです。
冒頭でお伝えした通り、44歳向けの求人は若手社会人と比べて少なくなります。
マッチする求人を多く見つけられるように、また自分に合うサービスを見定められるように、転職サイトと転職エージェントは2~3サービスずつ複数登録しておくことをおすすめします。
ここからさらに、知人からの紹介が受けられる人や明確に社したい企業のある人は「知人からの紹介」や「企業への直接応募」を加えるとよいと思います。
(2)求人(応募企業)の選定
求人(応募企業)の選定については、前章で挙げた「転職の軸」に合致する求人を探していきます。
転職エージェントやハローワークを利用する際は、転職の軸で定めた方針を担当エージェントや相談員に共有すると、よりマッチする求人を紹介してもらいやすくなるでしょう。
求人情報では、主に以下の点を確認します。
項目 | 説明 |
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①職種・仕事内容 | 職種・仕事内容について記されています。 【チェックするポイント】
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②雇用形態・雇用期間 | 「正社員」または「契約社員」、「派遣社員」「パート」などの雇用形態、および雇用期間について記されています。 【チェックするポイント】
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③必要なスキル | 企業から求められているスキル(知識・技能・資格も含む)について記されています。 【チェックするポイント】
|
④給与・諸手当 | 給与・諸手当の条件が記載されています。 【チェックするポイント】
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⑤就業時間・残業について | 就業時間、残業ルール、時間外労働の有無や目安について記載されています。 【チェックするポイント】
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⑥休日 | 休日ルールや有給休暇について記されています。 【チェックするポイント】
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⑦保険・退職金 | 雇用保険、労災保険、厚生年金保険などの社会保険加入状況、退職金の有無について記されています。 【チェックするポイント】
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⑧会社情報 | 会社情報(事業内容や特徴、代表者名、従業員数)について記載されています。 【チェックするポイント】
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これら情報については、一つの求人のみ確認しても判断はつきにくいです。同業種・同職種の求人と比較しながら確認することをおすすめします。
また、企業の詳しい情報は求人票だけでは読み取れません。
あわせてその企業HPや業界情報誌・業界サイトも確認して、とくに企業文化・事業方針も把握しておくことをおすすめします。
職場環境や人間関係、残業時間が気になる場合は、「口コミサイト」を確認
職場環境や人間関係、残業時間の有無などのさらに詳しい情報が気になる人も多いと思います。
これらを確認する際に有効な情報源は、「口コミサイト」です。
国内の代表的な口コミサイトでは、「エンゲージ 会社の評判」「転職会議」「Open Work」などがあります。
口コミサイトでは、その企業に直近まで働いていた人たちからの企業情報を確認できます。
とくに実際の福利厚生の活用度や勤務時間、残業の度合い、成長・働きがいに関する口コミが集まりやすく、これらをとくに参照したい人には有益なツールになるはずです。
ただし、口コミサイトに登録する人の多くはその会社をすでに退職した(または退職予定の)人たちです。
どちらかというと企業へのネガティブな発言が割合として多くなっていますので、「それら口コミがすべて正しいとは限らない」と注意して見てください。
職務経歴書の作成
応募する求人の目途がついたら、職務経歴書の作成を行います。
※ 転職サイトや転職エージェント利用の際は、サービス利用時に作成を求められることが多いです。
職務経歴書には、「基本のルール・書き方」があります。今回の転職で初めて職務経歴書を作成する人は、以下の記事でルール・書き方をチェックしてみてください。
そのうえで、44歳の転職活動においては、職務経歴書作成で以下の点に注意すべきでしょう。
- 「時系列ダラダラ書き」の職務経歴書にしないこと
- 企業の採用ニーズに合わせて、「最も強調すべきポイント」を明確にすること
- 自己PRは、「過去の自分」よりも「未来の自分」をアピールすること
「時系列ダラダラ書き」の職務経歴書にしないこと
社会人歴が長くなるほど、職務経歴に書ける内容は多くなるものです。
ある40代転職者で、「丁寧に職務経歴を書いていたら、10枚以上になってしまった」という人もいました。
ですが、職務経歴書はとうぜん「長ければよい」というものではありません。
採用担当はいちどに数十件の職務経歴書を確認することもあります。求めているのは「すぐにその人が自社のニーズにマッチするか、わかりやすい」職務経歴書です。
冗長でメリハリのない職務経歴書は確認するのもひと手間ですし、「この人は要点をまとめるのが苦手なのかもしれない」と要らぬ評価をされてしまうこともあるでしょう。
職務経歴書の長さは最大でも4枚、もっと言うと2枚までに納められるのがベストです。
つまり、PRすべきポイントを見定めて、簡潔かつ分かりやすく書かれた職務経歴書が好まれるのです。
企業の採用ニーズに合わせて、「最も強調すべきポイント」を明確にすること
前項と被りますが、職務経歴書は企業の採用ニーズに合わせて、「もっとも強調すべきポイント」を明確にすることが大切です。
ポイントは、「その企業が、どんな人材を求めているか」をしっかり調べてイメージすることです。
たとえば営業職を募集する企業への職務経歴書を作成する場合は、単に営業経験をアピールするのではなく、求めている営業人材は法人営業か個人営業か、新規開拓か深耕営業か、プレゼン力重視か関係構築力重視かなどをまず確認するのです。
そうして浮かび上がった採用ニーズを自身の経歴と照らし合わせて、重なり合うポイントを重点的に職務経歴書で紹介するようにします。
自己PRは、「過去の自分」よりも「未来の自分」をアピールすること
職務経歴書はその名の通り採用企業が求職者の職務経歴を確認するためのものですが、フォーマットには自己PR欄が設けられていることが多いです。
自己PRは面接の際にも行いますが、職務経歴書でもやっておくに越したことはありません。
また、その際は「過去の自分」よりも「未来の自分」をアピールすることが大切です。
ある転職エージェントの人は「職務経歴書は、ラブレターと思って書くといいです」とお話していました。
どういうことかというと、ラブレターに「僕はこれまでこんなことをしてきた人間です(=過去の自分)。だから僕と付き合ってください」と書く人はいないでしょう。
それよりも、「僕は君と一緒になったら、こんなことをしたいです。きっとお互い、楽しくて幸せな気持ちになれます(=未来の自分)」と書いた方がその人の心に刺さるはずです。
企業も同じで、あなたの過去以上にあなたのこれから(未来)を重視します。そのことを心がけて、自己PRの欄を埋めていくとよいでしょう。
余談になりますが、書類通過の確率は平均30%前後といいます。
とくにミドル世代の書類通過率は低くなりがちです。人気職種や有名企業である場合は応募数も増えますので、更にその傾向は強まるでしょう。
ですが、上で紹介したような対策を十分にとっていない求職者も多いといいます。
これらにしっかり取り組むことは、そうした求職者に一歩リードすることに繋がり、転職成功の確度を高めていけるはずです。
また、都度の通過結果に一喜一憂しすぎず、不通過であった場合も「今回は縁がなかったのだろう」と捉えて、次の応募に頭を切り替えた方がよいでしょう。
(3)面接への準備、対応
書類審査に通ったあとは、数回の採用面接があります。
採用面接で求職者が意識すべきは、採用担当に「この人と一緒に仕事をしてみたい」と思ってもらうことです。そのためには、まずは面接の基本(よくある質問例や解答例などの把握)を把握しておき、そのうえで「あなたらしさ」を伝えていくうえでの自己PRを行います。
面接の基本については、以下の記事が参考になりますので不安な方はチェックしておいてください。
参考:面接のフェーズ別「質問例&回答例」紹介記事
①序盤編(自己紹介・自己PR) 企業面接での自己PR・自己紹介をする際のポイント・注意点、およびよくある質問と回答例を紹介しています。 |
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②中盤編(志望理由・転職理由) 企業面接で必ず訊かれる「志望理由」・「転職理由」に関わる応答でのポイント・注意点、およびよくある質問と回答例を紹介します。 |
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③適性・職務要件確認編 企業面接で、面接官が転職者の適性、知識・スキルの確認時に訊かれる「適性・職務要件」の確認でのポイント・注意点、およびよくある質問と回答例を紹介します。 |
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④最終面接・役員面接・条件確認編 企業の最終面接、役員面接、条件確認時におけるポイント・注意点、およびよくある質問と回答例を紹介します。 |
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⑤「女性ならではの質問」編 企業面接において、女性転職者が受けやすい質問・確認について、ポイントと注意点、およびおすすめの受け答え方法を紹介しています。 |
テンプレではない、あなただけの応対ができるように
面接の基本を押さえたら、続いて「あなたらしさ」を伝えていくうえでの自己PRです。
これは、言い換えるとあなた自身がその企業に対して感じていることや入社への意気込みを(なるべく)本音ベースで伝えることです。
「そうはいっても、具体的に何について応えればよいかイメージが付かない」という人は、以下の質問においてどう対応するかをシミュレーションしてみてください。
- 「あなたを採用することで、どんなメリットがありますか?」
実際に面接で聞かれるケースの多い質問です。
この質問の意図は、2つあります。ひとつは、「なぜ数ある企業の中で、うちを選んだのか」という確認。もう一つは、「複数の応募者の中からあなたを選ぶ理由」の確認です。
つまり、「転職理由」と「入社後の活躍に向けてのPR」の2つについて回答しなくてはならない質問ということです。
難しいと感じる人もいるでしょうが、逆にこの部分をしっかり準備しておくことで、面接通過の確度は少なからず高められるはずです。
ちなみに、書類通過からの採用面接の通過率は平均するとおおよそ10~20%ほどといいます。
もちろん必ずしもこの確率の通りになるということではありませんが、計算上では1社の内定を得るのに約5~10社の面接が必要になるということです。
面接で落とされた際は、「相性・タイミングが良くなかったのだろう」と考えて、次の選考への気持ちを切り替えるマインドが大切です。
44歳の転職活動は、行動の質と量が重要です。過ぎた結果に囚われすぎず、未来の活動の糧にしていく気概で進めていきましょう。
(4)条件確認、雇用契約の締結
面接を通過して、晴れて企業から内定通知を受けた際は、雇用条件の確認を行い雇用契約の締結をします。
多くの場合、企業は内定通知と合わせて雇用契約書または労働条件通知書を求職者に送付します。
この際に主にチェックするポイントは、以下の6点です。
- 給与額
- 雇用形態・雇用期間
- 勤務地
- 残業時間・残業代の支払いについて
- 休日・休暇、産休・育休など
- 社会保険などの福利厚生
内定後に雇用契約書を見て、「面接中に聞いた条件と、若干違っていた」という話をたまに聞くことがあります。企業が面接中に誤って伝えることもあるでしょうし、求職者側の聞き間違いなどもあるでしょう。
入社したあとに認識違いを知って後悔するようなことは何としても避けたいところです。
ようやく掴んだ内定であったとしても、雇用契約の条件はしっかり確認するようにしましょう。
④中途半端な状態で諦めないこと
44歳での転職を成功するための対策で最後に挙げる4つ目は、「諦めないこと」です。
転職活動が長期化したり芳しい結果が出ない状況が続いたりして、途中で転職活動を諦めてしまう44歳の人は少なくありません。
ですが、仮に転職の難易度が44歳の年齢によるものだったとした場合、45歳以降から転職を再開した場合、その難易度はさらに高まります。40代後半からの人材を採用する企業はより少なくなるからです。
もちろん、「いろいろ考えた結果、今は転職せずに現職でステップアップする、またはスキルアップの時間にあてる」という判断になることもあるでしょう。
ただしそういった理由・判断なしに転職を途中で諦めてしまうことは、今の課題や悩みを未来に預けているに過ぎません。そしてその間も課題・悩みが一層深刻化することもあるのです。
転職活動が長引いたとしても、それが必ずしも悪いことではありません。
フィットする職場を見つけるためにそれだけの期間が必要な場合もありますし、活動期間での学びや成長もあるはずです。
精神的なストレスや心細さを感じた場合は、相談相手を見つけて話を聴いてもらうといいでしょう。
そして、毎日10分の求人チェックでもいいから、活動を継続することです。
思うような進捗が無かったとしても、活動さえ続けていれば「停滞している」ということはありません。
そして、停滞せずに前進し続けることで、いつか必ず道は開けるものです。
「今の苦労は、ずっと続くわけではない」「より良いキャリアと生活を得るために、今が頑張り時だ」という想いで、臨んでいきましょう。
3)44歳の転職のよくあるケース別対策
ここからは、44歳の転職活動について、ケース別に対策を紹介します。
あなたのケース・状況に近いものから、チェックしてみてください。
リストラの理由で、なるべく早く転職する必要のある44歳の人
リストラの理由で、なるべく早く転職する必要なる44歳の人は、以下を意識して取り組むとよいでしょう。
- ①相談相手を持つこと
- ②完全未経験の業種・職種を最初から狙わない
- ③「すべての不安は、必ず解消できる」と信じて行動する
①相談相手を持つこと
急ぎの転職の時ほど、相談する相手を持った方がよいです。
判断の誤りを指摘してくれる場合や、ひとりの視点では見えない選択肢もあるからです。
また、転職の相談相手を持つことによって「不安や悩みを共有でき、ひとりで活動するよりもメンタルやモチベーションを整えやすい」、「自信を持った判断、選択をしやすくなる」といったメリットもあります。
また、ミドル以降の転職では、「身近な知人や仕事上の付き合いのある人から次の職場を紹介してくれた」という人は多くなります。
「周囲の人へは、転職が決まったら報告する」という話を聞くことがありますが、転職活動中から報告した方がよいでしょう。そこで相談に乗ってくれるかもしれませんし、働き口を紹介してもらえることもあるでしょう。
身近に相談相手がいないという人は、転職エージェントサービスを利用して担当となるキャリアアドバイザーに相談する、ハローワークに登録する、ココナラやタイムチケットといったサービスでキャリアコンサルタントを見つけて利用するなどがあります。
焦りや気分の落ち込みがあると、人はどうしても視野が狭まりがちです。
最善の活動にしていくためにも、「客観的な視点とアドバイス」を提供してくれる人を得ることが大切です。
急ぎの転職の際の、おすすめの転職エージェントサービスは?
相談相手のなかでも転職エージェントは求人紹介や書類添削、面接対策までのサポートを受けられるため、利用しない手はありません。
とくに急ぎの転職の場合は、まずリクルートエージェントやdodaといった大手の転職エージェントから登録するとよいでしょう。
これらエージェントはサポートのペースも早めです。「なるべく多くの求人を、すぐに紹介してほしい」という人に有効です。
ただし、サポートの「ペースの早さ」と「丁寧さ」は両立しないことも多いです。
大手の転職エージェントであっても経験や知識が不足しているエージェントは一定存在しますし、44歳の転職者を真に理解して寄り添ったサポートをできる人も全員ではありません。
そのため、「自分に合った担当」を見つけるためにも、なるべく複数の転職エージェントに登録しておくことをおすすめします。
「ある転職エージェントでは『紹介できる求人はない』と断られたが、他の転職エージェントでは丁寧にサポートしてくれた」という話はよく聞きます。
登録する転職エージェントは、以下の観点ごとにピックアップし、最初のタイミングで4~5社ほど登録しておくとよいでしょう。
- (1)大手の転職エージェント
- (2)地域に拠点のある転職エージェント
- (3)特定の領域に強い、特化型の転職エージェント
具体的なサービスについては、「おすすめの転職サイト・エージェント」をご参考ください。
②完全未経験の業種・職種を最初から狙わない
ミドル・シニアの転職でも、「比較的転職が決まりやすい業種・職種」はいくつかあります。
ただし、これまでの経歴とまったく合致しない業種・職種は最初から狙うべきではないでしょう。
たとえば介護職や飲食サービスでは、ミドル・シニア向けの求人を見ることも多いですが、これらに全くの未経験で入社して「結果、合わなかった」と短期離職する人も少なくありません。
どんなに急いで転職する際も、前章でお伝えした「転職の軸(転職方針)」は必ず持ったうえで活動するべきです。
また、過去に培った知識・スキル・経験と照らし合わせながら求人選びをすることが大切です。「同業種×同職種」にこだわる必要はありませんが、「同業種×異職種」または「異業種×同職種」で探していくなど、これまでの経験が活かせる仕事になるよう意識するとよいでしょう。
求人を初任給だけで判断しない・条件を欲張らない
転職の条件交渉のフェーズで、「前職の給与と同水準でお願いできればと思います」という依頼が無条件で通用するのは、せいぜい30代前半までです。
ミドル世代の転職においては、転職後当面の給与額は「採用企業側の期待値次第である」と受けとめておくべきです。
また、同じような業務内容の求人と比較して年収などがかなり高く提示されている求人とは、何かしら理由があることが多いです。
たとえば残業や休日出勤で拘束時間が長い職場や、ノルマなど成果を強く求められる環境である可能性があるでしょう。
本当にどうしてもすぐに転職する必要がある場合は、転職当初の年収条件はある程度妥協した方がよいです。それよりも、「企業の安定性・成長性」や「職場環境・人間関係」を優先した方が賢明です。
安定して成長し続けている企業でしたら入社後の活躍次第で昇給・昇格も目指せるでしょうし、職場環境・人間関係がよければ結果として長く勤めやすくなるはずです。
今回の転職をゴールとするのではなく、転職してからの3年後・5年後もイメージしながら、応募先業を選定することが大切です。
③「自分のキャリアを必要としてくれる企業が必ずある」と信じて行動する
転職活動は、不安・悩みがつきものです。
代表的な不安・悩みとは、以下が挙げられるでしょう。
- 応募できる求人が少ない、または見つけられない
- 応募しても書類が通らない
- 面接しても落とされる
この際に注意すべきことは、「その不安が膨らむと、行動が鈍化されてしまう」ことです。
急ぎの転職において、行動が鈍化されてしまうことは致命的です。
「応募しても書類が通らない」から応募自体に消極的になってしまえば、とうぜん転職期間は長期化します。
不安は、行動で解消していくしかないのです。
行動を重ねると、人は自然と学習します。1回目の応募書類よりも、5回目の応募書類の方がその品質は高まっているはずです。
選考で落とされたとしても、自身の経験や知識の積み上げがあること、また「今のこの状況は、このままずっと変わらずにあるわけではない」「自分のキャリアを必要としてくれる企業が必ずある」と信じて、たゆまぬ行動を意識することが大切です。
体験談事例1)転職活動を通じて、自分の「変なプライド」に気づいたよしあきさん(男性 44歳 東京都)
2020年4月に緊急事態宣言が発令されると、それ以降は目に見えるように仕事がなくなっていき、会社の業績も悪化していきました。
それは、待遇にもはっきりと表れていきました。
残業はなくなり、ボーナスもカット。もともと残業代をあてにした生活設計だったため、次第に生活も苦しくなっていきました。
月々のお給料では生活を賄えなくなり、足りない分は貯金を切り崩す生活が始まって。
それでも、「もう少しすればコロナも落ち着くだろう」と考えている自分がいました。
しかしそんな希望を打ち砕くかのように、夏が終わって冬になっても、新型コロナウイルスは弱まる気配を見せません。
会社の業績も低迷し続け、とうとう希望退職者を募り始めました。私は色々と考え、悩みました。「このまま会社に残りたい」という気持ちがある一方で、残業ゼロ、ボーナスもカットのせいで、家庭の金銭状況は悪くなるばかりです。
このまま会社に居続けても、すぐにはコロナ前と同じ給与水準は戻らないだろうことは会社の業績が物語っていました。
そして今の収入が続けば、妻にも迷惑がかかりますし、子どもの高校・大学の進路にも影響を与えてしまいます。
何日も考えあぐねていましたが、私はとうとう、希望退職に応じることに決めました。
私には人より優れた能力や技術があるわけではないので、「転職活動は簡単にはいかないだろう」と覚悟はしていました。
しかし、現実はそれ以上に大変でした。転職活動は、ハローワークや転職サイトなどを使って仕事を探しました。
毎日のようにハローワークに通いましたが、自分の希望する仕事は全く見つかりません。
もちろん、コロナ禍の影響もあるのでしょう。ですが、仕事が見つからない一番の原因は、自分の「仕事探しの基準」にありました。
転職を始めたときは「以前と同レベルの収入が確保できるなら、こだわりはない」なんて思っていたのですが、実際に仕事を探し始めると、今まで経験してきた業種にこだわったり、好き嫌いで仕事を判断している自分に気づきました。
変なプライドもあったのでしょう。
気がつくと、全く仕事が見つからないという状況が、3ヵ月も続いていました。とうとう貯金も底をついてきました。
「選り好みしてちゃダメだ」と気持ちを入れ替え、ハローワークから新たに紹介された運送業の求人に応募したところ、(それは私の希望する仕事ではありませんでしたが)ようやく就職できました。
仕事を退職してからの3ヵ月間は、焦りと恐怖、絶望の日々でした。
家族の笑顔と「そんなに焦らないでいいよ!私も頑張るから」と言ってくれる妻の言葉にどれだけ救われたことか。やっぱり、家族が1番大切。
それを改めて気づかせてくれた3ヵ月でもありました。
正直、転職する前は運送業界については良いイメージは持っていませんでした。
キツい・汚い・安いという印象を持っていて、そんな気持ちが仕事への姿勢にも出ていたのでしょう。同僚の人達からの私への評価は、あまり良いものではありませんでした。「あの人、やる気ないよね」、「うん、仕事が遅いしね」──というようなことを言われ、白い目で見られたこともありました。
気がつくと、職場で孤立していました。
「給料さえもらえればいいや」と、最初は強がっていましたが、徐々に働きづらくなっていき、職場に居づらくなってしまいました。
でも、仕事は辞められません。もう、転職活動で味わった苦労をまたすぐに経験したくなかったし、次の仕事がすぐに見つかる保証もないことはわかっていましたので。
そんなモヤモヤした気持ちのまま、転職して2ヵ月が経過した頃、50代の社員さんの言葉が私を救ってくれたのです。
「○○さん、力抜きな!とりあえず、今ある環境で頑張ればいつか良いことあるよ」と私に語りかけてくれました。
その時、なんだかわかりませんが肩からスゥ~と力が抜けていくような感じで、気持ちが楽になったのです。
言葉は人を攻撃する道具にもなるけど、人に勇気と安らぎを与えてくれるものにもなるということ、そして、「人は一人では生きていけない」ということを、このとき改めて実感しました。
解説|仕事も転職も、ひとりでは成し遂げられない。
最後の「人は一人では生きていけない」という言葉がとても印象的な、よしあき さん(男性 44歳 東京都)の転職エピソードです。
会社の業績不振から給与減、ボーナスカットを受けての転職活動、ですが当初は「変なプライドが邪魔して」なかなか転職先が決まらなかったといいます。
そして苦労して入った職場でも対人関係がうまく行かず──、ここでもよしあきさんの不要なプライドが働いていたのかもしれません。
さて、このエピソードを読んだあなたはどう受け止めたでしょうか。
この記事を書いている私も実は40代(45歳)ですが、よしあきさんの言う「変なプライド」を自身の内側に感じることがあります。そして、少なくない場面でそれは私の最善の行動を邪魔してきます。
思うに、40代の仕事や転職において、こうした自分のプライドによって自分が不利益を被ることは少なくないのでしょう。もちろん、そのままで過ごすことは望ましくありません。その状態に気づく機会・きっかけを得るべきです。
よしあきさんの場合、そのきっかけは「周囲の相談相手」でした。
44歳にもなると、人は「大抵のことは自分でできる」と思いがちです。ですが、実際自分一人でできることなどたかが知れています。よしあきさんのケースで言っても、家族のフォローが無ければ転職活動はもっと苦労していたでしょう。
40代の転職において、「自分ひとりで転職成功できた」という人はほとんどいません。多くの人が周囲の人──家族や友人、または転職エージェントやハローワークの担当の協力を得て、転職を実現しています。
急ぎの転職の時ほど、「周囲からの協力」を活用して臨むことが大切であり、そこで得られた気づきや関係性は、転職後のその先の人生においても活きてくるものなのでしょう。
体験談事例2)転職後の職場で「あなたに任せる仕事はない」と言われた、たこHIGHボールさん(男性 43歳 神奈川県)
私の部署は、不況のあおりを受けて売り上げ低下の一途を辿っていました。
フロア全体も、何と言いますか、澱んでいましたね。
モチベーションもずっと低下気味でしたし、人間関係もややぎくしゃくしていて。そんな部署に、私は入社以降ずっと在籍していました。
(いつまでこんな状況で働き続けなければならないのだろうか…)、そんなことを毎日考えていました。「これから先の人生の希望が、まったく見えない」──そんな状態でした。
そんな折、2014年に早期退職勧奨制度による早期退職者の募集が掛かりました。
なんと退職金を上乗せしてくれるという特典付きです。
先の理由に加えて、パワハラ気味の上司とのそりも合わずに長年働いてきたこともあって、(もう潮時かな・・)と思い、私は退職希望を出しました。
同期が主任となって数年が立つのに自分は一担当者のままでしたし、このまま昇給もせずに、引き立て役のような形で働き続けるのもいい加減バカバカしいという気持ちもありました。
早期退職の特典として、人材派遣サービス会社の転職サービスを無料で一年間受講できるという制度がありました。 退職後は失業手当給付金をもらいつつ、転職サービス会社に隔週で通うという形でした。
サービス中は専任のコンサルタントの方が付いてくれて、履歴書や職務経歴書の書き方、面接の練習まで様々な形でフォローしてもらいました。
特に驚いたのは、履歴書に貼付ける写真に物凄く気を使わないといけないという点でした。
この写真屋で撮影すれば間違いないというところを紹介してもらえたりして、こんな細かい点にまでこだわらなけらばならないかと、目から鱗が落ちる思いでした。
最終的には転職サイトの応募から再就職先が決まったのですが、コンサルタントの方に指導していただいたことが活きたのだと思い、この点は凄く感謝しています。
転職サービスを無料で利用できたのも、今ではありがたかったと思っています。
私が転職した職場は、特許事務所です。
そこで、社内SEとして採用されました。
場所は東京のど真ん中といえばいいのでしょうか。
私の住居から1時間半くらい通勤に掛かる場所でした。元の職場は1時間以内の通勤でしたので、結構通勤には苦労しました。
職場で求められるのはオープン系の言語による開発力でした。
私はこれまで、「COBOL」という古い言語で開発を長年やってきたので、正直オープン系の言語には殆ど理解がなく、例えば上司から「こういった簡単な機能のアプリケーションソフトをサンプル(練習)として作ってみてください」といわれても、要望に沿った成果物をなかなか作り上げることが出来ず、非常に辛い思いをしました。
職場の社内SEのリーダーは女性の方で、最初は私に対して歓迎ムードでした。
ですが、なかなか仕事をスムーズに出来ないでいた私に段々とイライラが募りはじめ、他の簡単な作業にまで細かい文句を付けるようになってきました。そして日が経つにつれ、その指摘は段々厳しいものになっていきました。──ある時、会議の席で、「正直、あなたに任せる仕事はない」と、面と向かって言われました。
まだ契約社員の状態でしたので、これは難しいなと感じ事務所の所長に相談のうえ、私は退社することにしました。
解説|大きなミスマッチは、転職前に気づくことはできたか。
売り上げ低迷による職場雰囲気の悪化と上司との不仲もあって、希望退職制度に乗っての転職となったたこHIGHボールさん。
次の転職先自体は比較的スムーズに決まりましたが、その後思うようにパフォーマンスを発揮できず、「今回の転職は、失敗だった」という結果になってしまいました。
ミドル世代の転職で、こうしたミスマッチのケースは少なくありません。
また、多くの企業はミドル世代の中途入社者に対して即戦力を期待しています。転職後にじっくりと教育期間が設けられるケースはあまりないでしょう。
44歳での転職は、現在の知識・スキルが企業の求める水準に達しているかをシビアにチェックする姿勢が求められます。求人票に書かれている人材要件(必須スキル・歓迎スキル)は「最低条件」と捉えておいた方がよいでしょう。
このケースから私たちがなにより学ぶべきは、事前の企業研究の重要性です。
企業の業務内容と求められる人物像をしっかり把握していれば、今回のようなケースは未然に防げたでしょう。
転職エージェントやハローワークが、こうしたスキルギャップを指摘してくれるとは限りません。
企業の求めるスキル・経験に達しているかどうかは、求職者自身が確認する必要があります。
女性の転職に難しさを感じている、44歳の人
女性の転職に難しさを感じている44歳の人は、以下を意識して取り組むとよいでしょう。
- ①「女性を採用してくれる職場」ではなく、「女性の働きやすい職場」を選ぶ
- ②女性向け、女性の転職に強い人材紹介サービスを利用する
- ③転職における「自分ならではの武器」を見出す
①「女性を採用してくれる職場」ではなく、「女性の働きやすい職場」を選ぶ
44歳女性で、「今の年齢で、かつ女性で、採用してくれる企業はどれだけいるのだろうか」ということに不安を感じている人も多いと思います。
全体で見ると、女性よりも男性の採用を優先しようとする企業は多くなります。
あるリサーチでは、求職者の人物描写で「名前」の部分だけを 一般的な「男性名」と「女性名」に入れ替えて 評価した際に、女性名のほうが採用担当者側に「採用したい」と感じられる率が 11.3%も低くなったそうです※。
※「働くみんなの必修講義 転職学 人生が豊かになる科学的なキャリア行動とは」(著:中原 淳; 小林 祐児; パーソル総合研究所)より
ただし、こうした傾向をそのまま鵜呑みにするべきではないでしょう。
の数値は採用担当のステレオタイプな考え方や偏見が働いているケース、そのほか労働環境が(多くの女性にとって)あまり望ましくない企業が含まれている可能性があるからです。
たとえば業務パフォーマンスに「勤務時間の長さ」を重要視する企業・人は、体力的に勝る傾向にある男性労働者を優先しがちです。
そもそも、こうしたタイプの企業を転職先に選ぶべきではありません。内定を取れたとしても入社後に苦労やストレスを抱える可能性が高いからです。
一方で、近年では女性活躍の推進を掲げる企業も増えてきています。
そうした企業では、性別による選考の有利・不利がなく、入社後も活躍しやすい環境が用意されている可能性が高いでしょう。
44歳の女性が求人を探す際は、「性差についてステレオタイプな考え方や偏見のある企業」を避けて、「女性の活躍推進に積極的な企業」を優先すべきです。
女性の活躍推進に積極的な企業の見極め方は?
女性の活躍推進に積極的な企業を見極める際は、以下の点を見ておくとよいでしょう。
企業HPから確認できるケースも多く、転職エージェント経由で確認してもらうこともできます。
- 女性労働者の割合
- 管理職に占める女性労働者の割合
- 男女別の育児休業所得率
- 一月あたりの労働者の平均残業時間
女性労働者の割合については、総務省統計局「労働力調査」2017年の調査によると正規社員の女性比率は平均32.5%といいます。業種によっても変わりますが、平均数値から著しく低くなる企業は注意しておくとよいでしょう。
管理職に占める女性労働者の割合は平均7.2%(帝国データバンク「女性登用に対する企業の意識調査」2018年)、男女別の育児休業所得率は、女性平均83%、男性平均5%ほどです(厚生労働省「雇用均基本調査」2017年)。
一月あたりの労働者の平均残業時間は、14.3時間(厚生労働省「毎月勤労統計調査」2017年)。
平均より良ければ必ず女性の活躍推進に積極的な企業と言うことはできませんが、これら数値は一つの目安になるでしょう。
気になった企業について、「実際のところはどうだろう」という観点でチェックしてみるとよいと思います。
②女性向け、女性の転職に強い人材紹介サービスを利用する
転職サイト・転職エージェントのなかには、女性向けに特化したものや女性の転職支援に強いものがあります。
代表的なサービスとしては、以下が挙げられます。
サービス名 | Ready就活 |
マイナビエージェント |
type女性の転職エージェント |
LIBZ |
クラス転職エージェント |
パソナキャリア |
doda |
JACリクルートメント |
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メリット |
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デメリット |
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公開求人数 | 約4.0万件 | 約6.9万件 | 約1.2万件 | 非公開 | 非公開 | 約4.0万件 | 約26万件 | 約2.1万件 |
得意業界/職種 | デスクワークメイン | ◎全業界 | ◎全業界 | 営業・企画・管理・販売系職種 | デスクワークメイン | ◎全業界 | ◎全業界 | ◎全業界 |
対象地域 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 | 関東エリア | ◎全都道府県 | 関西エリア | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 |
おすすめの人 |
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公式サイト |
表内の求人数は2024年11月時点のものです。
これらサービスを利用するメリットは、前項にあった「女性の働きやすい職場」で挙げたような企業を見つけやすい点にあります。
加えて、転職エージェントサービスの場合は担当者が女性の転職支援実績が豊富であることも多く、有益なサポート・アドバイスを受けやすいでしょう。
一方で、転職エージェントは担当エージェントのスキルや相性次第でサポート品質が大きく変わります。
担当の当たりはずれが転職結果に直結してしまうことの無いように、複数の転職エージェントに登録して「パートナーとして活用すべき担当エージェントの見極め」をするとよいでしょう。
担当エージェントの見極めの際は、以下の観点で見るのがおすすめです。
- 雑談を含めて、こちらの話をよく聞いてくれるか
- 自分の希望する業界や企業への知識が豊富で、いろいろ教えてくれるか
- 求人紹介の際に、きちんとおすすめする理由を教えてくれるか
あまりきちんと考えて求人紹介していないと感じられた場合や、「こちらの希望する分野について、あまり詳しくなさそうだ」と感じられるようでしたら、他の転職エージェントにシフトしていくか、またはキャリアアドバイザーの担当変更を検討するとよいでしょう。
③転職における「自分ならではの武器」を見出す
女性の転職においても、2章で紹介した「転職方針」(キャリアの棚卸しとキャリビジョン・キャリアプラン立て)はとても大切です。
あわせて、転職における「自分ならではの武器」(強み)が何かについても考えておくとよいでしょう。
たとえば若い女性スタッフの育成担当または「ロールモデル」として、女性のリーダー職・マネジャー職を採用しようと考えている企業は多いです。
ここでいう強みとは、特定分野における知識・スキルだけではなく、「ポータブルスキル」が該当する場合も多いです。
ポータブルスキルの例
上記に挙げたスキル以外にも、代表的なところでは「コミュニケーションスキル」、「現状把握・情報収集力」、「課題設定力」、「計画力・調整力」、「遂行力」などがあります。
ポータブルスキルは「業界や職種に限定された専門スキル」というよりは、より裾野が広く本質的な能力です。
これまでの社会人経験を振り返って「自分はこのスキルに強い」というものが見つかったら、そのスキルを発揮できる働き方をイメージし、そこから求人を探すのも一つの手です。
現在とまったく同じ内容の仕事が、必ずしも次の職場として最適とは限りません。
選択の幅を広げるうえでも、いま一度「自分ならではの武器」を再確認して、それを活かせる職場を検討してみてください。
体験談事例3)「仕事に慣れてきた」と思っていた矢先に業績悪化で退職となった、ぐれさん。(女性 44歳 北海道)
職場は事務部署と貿易部署の共同の空間でした。
私の入社当時に比べると、女性社員が年々増えている状況でした。
これまでは女性も少なかったので、男ばかりの職場で気遣いや引け目を感じることもなく、伸び伸びと仕事ができていたのです。
しかし、入社から3年が経った頃でしょうか、貿易部に新しく女性社員を採用することになりました。
その女性社員は英語がとても堪能で、すぐに会社の即戦力となりました。それは会社として喜ばしい事なのですが、ふとした時に自分の仕事と比べて劣等感を抱くようになったのです。
私が淡々と事務作業をこなしている横で、「通関」「インボイス」といったワードが飛び交う貿易部の仕事が、とても華やかに感じられました。
しかも私よりも経験の浅い部下たちが、私よりもずっと難しそうな仕事をこなしている。
なんだか自分が彼らより格下なんじゃないかと思うようにもなってきて、このままでは仕事を続けられないと思いました。
入社して6年目に、ついに私は転職を決意しました。
転職するにしても、同じ事務職ではまた同じような劣等感を抱いてしまうかもしれない。
どんどんスキルを磨けて、かつそれを大きな仕事に活かせる、そんな仕事をしたいと思いました。
私が目指したのは「プログラマー」の仕事です。まずはプログラミングを習得するために、終業後も通えるスクールに足を運びました。
独学で学ぶには、少し時間がかかってしまうと思いましたので。ただ技術だけを教えてくれるのではなく、就職のバックアップもしてくれるスクールに決め、通うようになりました。
また、30近い私が未経験で転職するには資格も必要と考え、「基本情報処理技術者試験」の合格を目指しました。
そして8ヵ月後、見事合格できました。そして当初の期待通り、スクール側も求人を紹介してくださり、晴れて転職という運びになりました。
新しい職場は社員が15人ほどの小さな会社です。
そのため「シスター制度」というものを推奨していて、新人一人に専任の指導者がついてくれる環境でした。
私にとっては幸運なことでした。しかし、仕事自体は思っていた以上にハードでした。
休日出勤、毎日の深夜残業、そんなのは当たり前です。そのうえ技術職はプライドの高い人も多く、中には、わざと仕事を教えてくれなかったりといったイジメのような行いを受けたこともあります。
それでも、仕事自体はやりがいがありました。
毎日が勉強で、新しいことをたくさん学べるのは楽しかったです。収入も、残業代などは支給されるので、プライベートは減りましたが生活には困りません。
ところが、2年目に突入したあたりから突如として仕事が激減。
3年が経たないうちに社員全員が解雇されることになりました。
解説|小規模の企業は、業績による影響をとくに受けやすい
将来のキャリアアップを見据えて、事務職からプログラマーへのキャリアチェンジ転職を果たしたぐれさん(女性 44歳 北海道)。
転職後も慣れない仕事とハードな拘束時間に耐え前向きにキャリアアップに邁進していたのに、企業の業績悪化で3年後に解雇という結果となってしまいました。
企業のこうした事業縮小・倒産ケースは、珍しいことではありません。
転職時の企業研究では、企業の安定性や将来性についてもしっかり確認しておくべきでしょう。
ただし、そうした企業研究を行っていたからといって、数年後の会社の経営状態を正確に予測することは不可能です。
ちなみに、東京商工リサーチによると、企業の平均寿命は約23年だといいます(※2021年時点)。
また、傾向として従業員数の多い大手企業よりも従業員数名~数十名の小規模企業の方が、事業縮小や倒産のケースは高まるといいます。企業の将来性を完全に予測することはできないにしても、こうした事実は認識しておくべきなのでしょう。
さて、その後のぐれさんは、当時の会社の出向先であった会社から正社員といて招かれています。
「せっかくプログラマーとして学んだのに、違う職種になってしまった」ということを悔やんでいますが、一方で「プログラマーとしての知識が役立つときもある」と話している通り、これまでの経験と頑張りがあったからこその展開だった──という見方もできるかもしれません。
体験談事例4)解雇通知を渡されてからの転職活動──きょうこ さん(女性 44歳 愛知県)
働いていくうちに「あれ? 最初に聞いてた話と違うなぁ」と思うことが増えてきたんです。
一番はやっぱり、私の仕事を管理してくれる方がいなかったことですね。
期日ギリギリの状態で仕事を振られたり、同時にいくつもの仕事をこなさなければいけない時もありました。あと、「社員になれる」と聞いていたのに、その話もいつの間にかうやむやになっていて。時給は1,000円。これが1年半も続きました。
改善してくれるように会社に訴えたのですが、そうしたら解雇通知を渡されたんです。
急に冷たくなった会社の態度にショックを受けた私は、体調を崩すようになってしまいました。
病院でされた診断は『パニック障害』。私は会社側に損害賠償を訴えました。
会社からは、「そのような理由でお支払いはできません。契約を継続させていただくことは可能ですが」と言われました。
そういわれた私は、渋々その会社で仕事を続けることにしたのですが、半年後に「解雇通知」が再び届きました。
もっといい会社で働きたい。
その一心で転職活動を始めました。主にリクルートエージェントさんにはお世話になりました。
ハローワークにも行ったんですが、年齢的に難しい求人ばかりでした。
前の経験から、正社員を目指すつもりでいました。
不当な解雇は、やっぱり私がアルバイトだったからだと思うんです。私自身、経験も浅かったのでそのことを見抜けなかったのもよくなかったですね。
エージェントは女性の方で、親身に相談に乗ってくれました。
面接に関するアドバイスもたくさんしてくれて、とても感謝しています。
新しく入ったのは外資系の機械メーカー。待遇は正社員です。
外資系の会社に就職したことは初めてだったので、驚くことばかりでしたね。
職場はドライな雰囲気というか、実力主義の年俸制ということもあり、みんなで競っている印象を受けました。
特別に研修みたいなものもなくて、「できて当たり前」「自分から学びに行く」という自立性が重んじられていました。
最初は戸惑いましたね。一番驚いたのは、入社1ヵ月目にしていきなりアルバイトの管理を任されたことです。
実力を認めてもらえたことは嬉しいのですが、いきなりの管理業務は荷が重かったですね。
それでも、上司は「あなたならできるよ」と、背中を押してくれました。
解説|「正社員になること」を転職の軸にしたケース
健康食品の会社でアルバイトとして働いていたきょうこ さん(女性 44歳 愛知県)は、解雇通告を受けてしまいます。
入社当初は会社から「いずれ正社員に」と言われていたのにも関わらず、かつ昇格・昇給無しのままでした。
その後きょうこさんは転職活動を開始して、見事外資系の機械メーカーに入社しています。
アルバイトから正社員への転職を成功した決め手は、なんだったのでしょうか。
ひとつは、きょうこさん自身が「正社員になること」を転職の軸として明確な軸を掲げたことが挙げられるでしょう。
そしてもう一つは、体験談中にあるリクルートエージェントのサポートが挙げられます。ここでは、女性担当がつききょうこさんのこれまでの仕事の苦労やキャリアの悩みについて、真摯に聞いてくれたといいます。
転職中における「頼りになるパートナー」を得られたこと、そして転職の意思をブレずに持ち続けたことが大きかったのでしょう。
入社後の環境は、「十分な研修期間がない」「社員の入れ替わりが激しい」など、いくつかの課題・問題点も抱えているようです。ですが、そこできょうこさんの意識はネガティブになることなく、非常に前向きな行動が見られています。
これまでと異なる業種・職種へのキャリアチェンジ転職を考えている、44歳の人
これまでと異なる業種・職種へのキャリアチェンジ転職を考えている44歳の人は、以下を意識して取り組むとよいでしょう。
- ①「軸とするスキル・経験」を複数持っておく
- ②一定の年収ダウンは覚悟しておく
- ③チャレンジ(応募)の数を増やすための、「行動量の最大化」を意識する
①「武器とするスキル・経験」を複数持っておく
44歳でのキャリアチェンジ転職では、「武器とするスキル・経験」を持っておくことが大切です。
つまり、業種・職種を変えども活かせるスキル・経験を持っておくということです。
たとえば、不動産会社営業から、金融やMRなどの別業種の営業へ転職する場合は法人営業に関わるスキル・経験が活かせるでしょう。
そのほか、人材会社からIT業界へ転職する際はEdtechサービスなど人材・教育系の知識を活かせる企業を探すことで、確度を高められます。
とくにマネジメントスキルを持つ人材を重宝する企業は多いです。
人を束ねること、部署をまとめていくことの本質は、業界や職種が変わったとしても共通している部分が多いからです。
ただし、マネジメントスキルがあるだけで異業種・異職種の転職が容易になるとは限りません。
多くの企業が44歳の求職者に求めるのは「柔軟な適応力」、そして「即戦力性」です。
キャリアチェンジ転職で、「武器とするスキル・経験」がひとつだけだとそれらを実現することは難しいでしょう。
このため、キャリアチェンジ転職での企業選びは、以下のプロセスで行うとよいです。
- (1)キャリアの棚卸しで、「武器となるスキル・経験」を複数ピックアップする
- (2)「武器となるスキル・経験」が最低2個以上活かせる求人を優先して探す
この際に役立つ考え方に、「キャリアの掛け算」があります。
キャリアの掛け算とは、その人が有する知識やスキルの「掛け合わせ」から、その人自身の現在の強みを見出していく手法です。
上記図のように、どのような強みの掛け合わせがあるかを知ることによって、望ましい働き方や進むべき分野がイメージされやすくなるのです。
キャリアの棚卸しと合わせて、試しておくとよいでしょう。
②一定の年収ダウンは覚悟しておく
ミドル世代のキャリアチェンジ転職では、年収ダウンとなるケースは少なくありません。
これは、未経験分野を目指すうえである程度覚悟しておいた方がよいでしょう。
未経験分野での、あなたの今後の活躍度合いは未知数です。
まずはいち早く新しい環境に慣れること、そしてその後に昇給・昇格でベースアップを目指していく方が現実的です。
また、望むベースアップが実現できるよう、求人選びの際はその企業のベース年収および事業の成長性もチェックしておくことをおすすめします。
③チャレンジ(応募)の数を増やすための、「行動量の最大化」を意識する
44歳のキャリアチェンジ転職では、同業種×同職種への転職と比べて選考通過率が低くなることがほとんどです。
そのため、チャレンジ(応募)数は応じて高くなることを覚悟しておくべきでしょう。
40代の転職における平均応募数は10~12社ほどですが、これはあくまで平均であり、企業からのスカウトなどで転職が決まる人も含まれています。
「100社以上応募して、ようやく転職成功できた」という40代転職者も少なくありません。
運よくすぐに転職先が決まることもあるが、数十社~100社以上応募してようやく決まることもある──44歳のキャリアチェンジ転職はその認識をもって臨んだ方がよいと思います。
もちろん、だからといって「下手な鉄砲も数撃てば当たる」で取り組むべきではありません。
ひとつひとつの応募自体が、あなたがより深く社会を知る機会、成長する機会に繋がっているという意識でいるのがよいと思います。
体験談事例5)事務職からプログラマーへのキャリアチェンジをした、あすか さん(女性 44歳 北海道)
転職前は、仕事でスキルアップしたいとか、成長したいとか、前向きな発想は一切なく、与えられた仕事を滞りなく行うことしか考えていませんでした。
ある時、入社して6年目、親しかった後輩が、突然カナダに語学の勉強に行くと言いだし、退職することになりました。
ビックリしました。学生時代に留学するならわかりますが、一度働いてから、その仕事を辞めてまで、語学の勉強に行きたいだなんて…。
しかも、彼女の雇用形態は正社員です。
中小企業とは言え、正社員で働いていて、そのポジションを捨ててまで海外で勉強する。 自分には想像すらできないことでした。そのことがキッカケで、自分の将来について真剣に考えるようになりました。
自分の今の安定を捨ててまで、何かに打ち込めるようなことがある彼女が、とても羨ましく感じられたのです。
それに引き換え私は、入社後6年経過しても、ほとんど同じ仕事をしているだけ。
私も何か、心から震えるものに出会いたい。そう思ったのです。
転職したいと思ったものの、自分には何のスキルもありませんでした。
通常の場合は、今持っている経験やスキルを活かして、さらに上を目指すものだと思います。
上というのは、待遇だったり、やり甲斐だったりと様々だと思いますが、私の場合は、 「心から打ち込める何か・生きがい・やり甲斐」を見つけることからスタートしました。そして、出会ったのがプログラマーの仕事です。
<中略>
とは言え、プログラミング経験はもちろんのこと、システム関連の知識もない状態です。
そのため、夜間スクールでの勉強からスタートすることにしました。当時の仕事を続けながらのスクール通いは、想像以上に辛いものでした。
くじけそうな時、いつもささやかな励ましになっていたのは、カナダ留学に行った彼女のことです。きっと彼女だって、たくさんの辛い思いをしながらも、自分の夢を追い求めたのだろうと思うと、私も諦めてはいけない!という気になったのです。
その結果、無事に情報処理技術者試験に合格。
それから本格的に転職活動を始めました。しかし、資格はあっても未経験には変わりありませんから、自力で就職先を探すことはかなり難しかったです。
スクール側からのバックアップもあり、商社の子会社で、親会社のシステム管理や、ソフトウエア開発を行っている会社に就職できました。
憧れのプログラマーとして仕事を始めましたが、結果は、理想と現実は違いに打ちのめされました。
プログラマーと言えども、一から十まで自分でするわけではない。
大きなシステムに関わる場合、ある一部のパッケージの担当にしか携われず、自分が「一体何を造らされているのか」それさえ理解できないようなこともありました。そのうえ、ようやく初めて作ったプログラムも、テスト段階でエラー続出。
何が原因なのか全く分からず、ただただ納期に間に合うように完成させる事だけに追われるという多忙な毎日。
徹夜や休日出勤もあたりまえ、友人と会う時間すら持てない状況でした。それでも、体力的には辛かったものの、精神的には意外と満たされていて、やりがいも感じられました。
特に納品を終えたあとは、達成感と開放感でいっぱいになり、辛かったけど、やり遂げたことが心地よかったです。
解説|その後、半年で再度事務職に戻ることに。
上記のエピソードでは触れられていませんが、あすか さんはプログラマーとして転職した半年後にやはり再度転職し、事務職へと再就職しています。
その理由のいちばんは、仕事の忙しさによって自身の生活を保てなくなったからだといいます。
「転職中・転職後にたくさんの努力をしたにも関わらず、そんな結末になるなんて…」と思った人もいるかもしれません。今回の転職は、何が問題だったのでしょうか。
まず挙げられるのが、未経験職種を目指す際の「準備」にあります。
あすかさんのこれまでの経歴からして、プログラマーへのジョブチェンジはゼロ・スタートでした。
資格取得などの頑張りもありましたが、実務で役立てられる段階まで準備できたかで言うと「それだけでは、まだ足りなかった」ということでしょう。
また、転職先の仕事内容を見る限り、未経験プログラマーが就くにはやや難易度の高い職場(おそらくSIerまたはSESの企業)に入社しているようです。
同じプログラマーでも、たとえばWebコーダーまたはテスターというポジションからでしたら、また結果は違っていたかもしれません。
つまり、プログラマーとしてどのような働き方があるのか、また各企業ではどのような業務内容でどのような人材を求めているのか、といった情報収集が不足していた可能性があるということです。
転職の失敗体験は、成功体験よりも多くの気づき・学びを得られることが多いです。
あすかさんの体験談から、自分の転職活動に活かせることがないかを確認してみるのもよいと思います。
体験談事例6)年収アップ、役職付きのUターン転職。その結果は…。ジョージ さん(男性 44歳 広島県)
部下がひとり辞めて、そしてまたひとり辞めていってと、気付けば年中一人で業務をこなしました。
それでも、会社は欠員を補充しようとするそぶりは一切見せてくれませんでした。私は、段々とそんな会社の対応に苛立ちを感じることになりました。
更には、会社が業績赤字ということで給与カットを始めてきたのです。
ある日、私は会社の役員から「資金繰りが思わしくないので、取引先に気づかれないようにして欲しい」といったことを頼まれました。私は、違和感を持ちつつもその通りに対処しました。
──ですが、悪いうわさは広がるものです。取引先からは購入代金の支払いを督促されるようになりました。
そのことを上司に報告すると、財務担当役員から呼び出されて、「このままでは倒産もありえる」という言葉も出てきて。そのときに、(ああ、もう自分も転職活動しよう…しないと駄目だ)と、私は転職を決めたのです。
まずはリクルートエージェントに登録しました。
登録後、早速電話があって面談したいと言う話になりました。
ですが、活動はあまり活性しませんでした。3ヵ月の間、いくつか提案もいただいたのですが、結局「ここが良い!」と思える案件は出てきませんでした。続いて、地元の人材紹介会社にも登録しました。
ですがそこでは、年収の低い300万円前後の案件ばかりで、現在の収入とは程遠いものでした。それから2ヵ月経って、地元の人材紹介会社から「購買担当の求人があるので面接を受けてみませんか」といった連絡を受けました。
条件は「年収500万円で役職は課長、契約社員だけど数年後は正社員」という話でした。──年収面、役職で言っても悪くない話です。…いえ、どちらかと言えばこれまでの条件と比べたら格段に良いものでした。
早速面接に向かったところ、面接会場は近くの喫茶店で。職場の様子も良く分からないままではあったのですが、「即戦力が期待できそうですので」と先方が言ってくれて、そしてそのまま内定をもらいました。
新しい職場への期待や思惑は、すべてが真逆だった…
それが、転職後しばらく経ってから私が抱いた感想でした。「課長」というポジションは肩書きだけで、私は何の権限もない一介の平社員でした。
仕事も完全なデスクワークで、購入する品物の伝票処理で一日の大半をすごしました。実際の品物に触れることも見ることもなく、現場の担当者とのやり取りもメールか電話のやり取りで、顔を会わせることもありませんでした。
さらに現場が24時間365日稼働している職場だったので、夜間や休日に直接取引先に注文することも頻繁にあって、当然ながら私も処理に追われることになりました。
そんな緊急対応での購買は、えてしてかなり高い価格を提示されるものです。そして、その値引き交渉をするのが私の役目でした。
上司から何度も「もっと値下げしろ」とダメだしを食らいながら、また取引先に嫌な顔をされることもしょっちゅうでした。周りのフォローですか?…そんなのは一切ありませんでした。
かといって前職で一人でまかされていたような決定権もなく、「なんで今回こんなに購買額が高くなったの?」といった原因追及ばかりされる、そんな毎日でした。「あのさ、この程度の仕事で根をあげてもらっては困るんだよね。来月から業務担当を倍に増やすからさ」。──ある日に上司そう言われて、とうとう心が折れました。
職場の人に相談したところ、前任者も私と同じように上司に仕事を増やされてうつ病になって辞めたと聞き、さらに職場の人も何人かは心療内科に通っていると聞かされました。
さすがにそこで気付きました。
──この職場は、早く辞めたほうが良いということに。
解説|転職エージェントから紹介される求人が、必ずしも良い会社とは限らない
年収アップで役職付きのUターン転職となったジョージ さん(男性 44歳 広島県)。ですが、結果として「その転職は失敗だった」と本人は言います。
エピソードである転職後の仕事内容と職場の様子からして、会社の体制面で大きな課題があるように見られます。
入社前に気づくことはできなかったのでしょうか。
ジョージさんいわく、一番の反省点は「転職の際に職場を見学できなかった」ことでした。
移住を伴う転職において、こうした企業研究のやりにくさや難易度の高まりは、注意しておくべきでしょう。
また、ジョージさんが「地元の転職エージェント」を利用していることにも注目しておくとよいと思います。
つまり、エージェント経由であったとしてもこうしたミスマッチ転職(企業側に問題のあるケース)が起きる可能性があるのです。
転職エージェントから紹介される求人が必ずしも良い会社とは限りません。
担当エージェントが詳しくない場合やノルマ目的で紹介する可能性もあるからです。
そのため、企業選びはまず自分自身でもしっかり行うこと、そして転職エージェントは複数登録して信頼できる担当を見出しておくことが大切です。
年収アップ・キャリアアップを考えている、44歳の人
これまでと異なる業種・職種へのキャリアチェンジ転職を考えている44歳の人は、以下を意識して取り組むとよいでしょう。
- ①自身の市場価値を客観的に分析する
- ②転職エージェントまたはヘッドハンターサービスから「頼りになる担当」を見つける
- ③焦りの転職はNG。自分にマッチする求人をじっくり見極める
①自身の市場価値を客観的に分析する
転職における市場価値とは、簡単に言うと「その会社からどれだけ必要とされる人材か」ということです。
言い換えると企業の採用ニーズ、すなわち市場の需給バランスに合っている人ほど市場価値が高いということになります。
年収アップ・キャリアアップの転職を実現するとしたら、上記図にある通り企業の求める人物像にどれだけマッチできるかが重要です。
ビズリーチやリクルートダイレクトスカウトなどの転職サイトを利用して、希望する領域(職種・業種・年収層)における実際の求人情報を確認してみてください。
ちなみに、多くの転職サイトは人材要件で「必須スキル」と「歓迎スキル」を紹介していますが、44歳求職者の場合はそのどちらのスキルもマスターしているのがベストです。
人材要件の例
いくつかの求人情報を見ていきながら、自分の現状スキルで適う人材要件の求人の年収レンジがどれくらいかを確認します。そこで導き出される年収が、あなたのおおよその市場価値です。
希望年収と市場価値に開きがある(市場価値より希望年収の方が高い)場合は、希望年収を見直すか、不足している知識・スキルを新たに獲得するかをする必要があります。
②転職エージェントまたはヘッドハンターサービスから「頼りになる担当」を見つける
年収アップ・キャリアアップの転職の際は、転職サービスは転職エージェントまたはヘッドハンティングサービスがおすすめです。
これらサービスは一般の求人広告やハローワークには出回らない非公開求人を取り扱っており、好条件の求人が多いからです。
転職エージェント・ヘッドハンターのサービス選びの際は、「おすすめの転職サイト・エージェント」をご参考ください。
また、これらサービスは最初に複数(3~4サービス)登録して、担当者のサポート品質と相性を見定めることがポイントです。
担当エージェントの品質・相性を見極める際は、以下の点を見ておくとよいでしょう。
- 希望する分野への転職支援実績が豊富か
- 興味・関心を持てる求人を多く保有してそうか
- 担当エージェントとはコミュニケーションを取りやすいか
・雑談を含めて、こちらの話をよく聞いてくれる
・自分の希望する業界や企業への知識が豊富で、いろいろ教えてくれる
・ 求人紹介の際に、きちんとおすすめする理由を教えてくれる
担当エージェントの「当たりはずれ」は、実際にあります。
転職者の希望する分野への知識が不足しているエージェントや、なかには売り上げ優先で求人紹介をするエージェントも(決して多くはありませんが)存在します。
「今の担当エージェントの支援では、満足いく転職が実現しなそう」と不安に感じた際は、そのままの状況でいることはおすすめできません。
早いタイミングで他のサービスへのシフトを検討するとよいでしょう。
③焦りの転職はNG。自分にマッチする求人をじっくり見極める
ミドル世代以降の高年収・ハイクラス向け求人は、その多くが「空き枠採用」です。
常に募集しているという企業は少なく、時期によって掲載求人は大きく変化しがちです。
そのため、44歳の転職で年収アップ・キャリアアップの転職を目指す際は、「自分に合った求人」を見つけるためにもある程度中長期的な活動を意識した方がよいでしょう。
急ぎの転職は焦りや妥協に繋がりやすく、結果としてミスマッチ転職になりやすくなります。
「どうしても早く転職する必要がある」という人もいると思いますが、それ以外の人は転職期間を「半年~1年」ほどに設定して、自身の市場価値を確認しつつニーズのある企業を継続的にチェックしていくのがおすすめです。
「ミドル世代の転職で、失敗する人・成功する人の傾向」について(現役キャリアアドバイザー 武蔵野さん)
- 武蔵野
さん -
ミドル代で転職して失敗してしまう人に多いケースが、「転職したい」と思ってから転職活動をするパターンです。逆に成功する人に多いのが、先に転職エージェントに登録し、1~2年くらいかけて情報収集するような人たちですね。「良いのがあったら動く」というスタイルです。
前者はいわば、何かしら「今の仕事を辞めたい」というような、マイナスの要素があったときに動くタイプで、マイナスをゼロにしようという意識が強い。だから、妥協してしまったり、「とりあえず内定もらえたら御の字」という転職スタイルになりやすく、失敗やミスマッチ転職を起こしがちでしょう。
後者は「良いところが見つかったら転職しよう」という、プラスの要素で動くタイプですので、自分に合ってるものしか応募しないこともあり、成功&年収アップしやすい傾向にあります。
体験談事例7)業績不振により、大手書店の経理からITベンチャーの経理へ転職──ときより さん(男性 45歳 東京都)
私が勤務する書店は、業界の中でも10本の指に入る大手書店でしたが、会社全体の売上高は横ばいの状態が続いている状況でした。
給料もなかなか上がらず、私の年収は、同年代の友人・知人たちと比べてかなり低いままでした。
そして2020年、新型コロナウイルスの感染拡大によって売上は約30%減少し、状況は更に苦しいものになりました。
(この状況が続くとなると、もはや定年まで生活を安定させることは難しいかもしれない…)。
悩んだ結果、私は他の業種へ転職することを決意したのです。
これが、私にとって初めての転職でした。
リクナビNEXTなど複数の転職サイトを見ましたが、45歳でも雇ってくれそうな求人案件はほとんど見つかりませんでした。
そこで、リクルートエージェントやパソナキャリアなどの転職エージェントに登録し、転職先を探すことに。
転職エージェントの面談の際「45歳の年齢で転職できるのか不安です」と正直に伝えると、コンサルタントの方は、「あなたの場合、販売スタッフの経験だけでなく経理の仕事も10年間やられていますよね。転職先は見つけやすいと思いますよ」と言ってくれ、とても頼もしく感じました。
ただし、「今の世の中の状況(コロナ禍)では求人を出している会社は少ない」とも言われました。とはいえ、私には他の選択肢はないので頑張るだけです。
不安要素もありましたが、しばらくして電子契約サービスなどのITサービスを手掛けている会社を紹介してもらえました。
コンサルタントからは面接試験の前に、模擬面接もやっていただいて。 「転職理由については正直に話して構わない」「相手が質問してくるときは、相手の目をみてください」など親身にアドバイスをしてくれました。
結果的に、そのITサービスの会社から内定をいただき、無事に転職活動を終えました。
新しい会社に、私は「経理マネージャー」として入社しました。
創業してから10年程度の若い会社で、具体的な事業内容は電子契約システムや、ワークフローシステム、勤怠管理システムなどの開発と販売です。まさに「在宅ワーク時代」に適したサービスを提供している会社でした。
入社して最初の1週間で感じたことは、「前職と社風がまったく違うな…」ということでした。
書店のときは、勤務時間中もフレンドリーな雰囲気だったのですが、転職先の会社ではなんとなくドライな印象が強かったです。そして、少しストレスを感じていることもあります。
特に入社当初は、常に上司の管理本部長から仕事ぶりや同僚や部下とのコミュニケーション能力を監視されている印象を受け、とても窮屈な思いをしました。例えば、私が部下に業務の説明などをしているとき、上司の管理本部長がじっと耳をそばだてて聞いているのです。「この男はちゃんとIT企業の経理部の陣頭指揮をとれるのか」という不安の目でこちらを見ているのがわかり、大変緊張しました。
また、廊下ですれ違う社員全員が「この人が中途入社した経理マネージャーか」といった好奇の目を向けてくることもあり、不快な気持ちになることもありました。
とはいえ、好意的に解釈すれば、それは自分への期待の表れだとも言えるでしょう。全く期待されていなければ、私に対してもっと無関心だったでしょうから。
期待に応えていけるようにと、毎日目の前の仕事にじっくり取り組んでいくことを意識しました。
解説|自分の強みを可視化し、適合できる働き方を見出すこと
ときより さん(男性 45歳 東京都)は、はじめから年収アップやキャリアアップを目指していたわけではありません。転職のきっかけは、前職の業績不振による将来の見通しの不安からでした。
結果としてときよりさんが年収アップの転職を実現できた背景には、何があったのでしょうか。
直接的な理由は、「転職エージェントがマッチする求人を紹介してくれたから」と説明できるでしょうが、同様に44歳の転職でキャリアアップ・年収アップを目指す人は、この体験談から更に一歩踏み込んだ状況分析をしておくべきでしょう。
すなわち、ときよりさんは転職活動時に担当エージェントのアドバイスから自分の強み(=経理スキルがあること)を可視化し、適合できる働き方(=経理マネジャー)を見出しています。
そして、その方向性を転職の軸として活動を行ったことが、転職成功を実現した大きな働きかけになったといえます。
転職後の職場では上司や同僚からなかなか好意的な対応を得られずに苦労している様子も見受けられますが、そうした状況でも前向きに努力し続けられたのは、ゆるぎない軸があったからでしょう。
体験談事例8)「いずれは経営者として活躍したい」という想いからの転職──アール さん(男性 44歳 東京都)
私は前職で3年間、新規事業開発の仕事に携わり、その間に6本の新規事業を立ち上げました。
そして、そのうち2本のビジネスを黒字化させることに成功しました。
当時の企業をビジネスの段階でみると、「スタートアップ段階」に該当します。
私は、このスタートアップ段階を十分に経験させてもらえました。ですが、私は当時、こう考えていました。
(いずれは経営者として活躍したい。そのためには、この「スタートアップ段階」の成功で慢心せずに、いち早く自分自身が次のステージをに進んで、経験を高めないと。)
次のステージとは、ビジネスの段階でいうミドルステージです。
さまざまな業種において、スタートアップ段階を乗り越えてミドルステージの段階に差し掛かったビジネスを、この目で多く見たかったですし、仕事を通じて勉強したい──そんな思いが、強くありました。
そして私は、そんなミドルステージの企業を沢山見ていけるであろう、「投資会社」への転職を決意したのです。
妻に2度目の転職希望を伝えると、「たった3年で、また転職するの?…部長ポジションで、年収も前の会社より増えているのに。一体、何が不満なの?」と言われてしまいました(予想はしていましたが)。
私のイメージするキャリアプランについて、根気強く妻に説明と、そして説得しました。──3ヵ月くらいかかりました。
そして、「家族を路頭に迷わせることは絶対にしない」という条件つきで、やっと納得してもらえました。時間はかかりましたが、最終的に妻から理解を得られたのは嬉しかったですね。
それから転職エージェントのエリートネットワークという会社に登録し、かねてから希望していた「投資会社」への転職を強く要望しました。
この転職エージェントは規模は小さいですが、扱っている求人案件の質がとても良質でしたので、このエージェントならば投資会社の求人案件を紹介してくれると思ったのです。
転職エージェントの良かったところ、ですか?
そうですね、一言で言えば、「腹を割った話ができたこと」でしょうか。コンサルタントの方は「将来経営者になりたいと思っているのであれば、それは面接の場ではっきり言った方が良いですよ」と言ってくれました。
その方が転職の目的意識が明確化するし、投資会社側も私を採用するメリットとデメリットについて比較検討しやすいだろうとのことでした。そして、採用する場合でも、いずれ経営者として転職していく可能性を含んだうえでの採用となるため、あらかじめ投資会社への応募理由を明確に伝えた方がいいとのアドバイスでした。
そのおかげもあって、採用面接では自分の考えを率直に伝えられました。
そして、私はしばらくして、狙い通りに投資会社に転職できたのです。
私は投資部のマネージャーというポジションで入社しました。
携わる仕事は、業績が成長段階に入って、数年後に株式上場を果たせそうな会社をリサーチする業務をしたり、投資の実行をしたり、投資先企業へビジネスや資金繰りなどのアドバイスをする…といった内容です。
投資先の会社がすべて順風満帆に経営が軌道に乗っているわけではありません。
投資先の会社の社長が楽観的すぎる設備投資をしたけれども受注金額が伸びずに資金繰りが悪化するケースや、投資先のベンチャー企業では新入社員が定着しないブラック企業であったりなど、さまざまなケースに直面しました。
ビジネスそのものは成長段階にあっても、その段階で発生する企業課題というものが多くあるのだと気が付いて、いろいろ驚く事態に直面させられました。
しかし、投資先の社長と何度も面談して、ときには投資先の社長から嫌われることもありましたが、粘り強く何度もアドバイスをして、苦境を切り抜けたこともありました。
それらの経験は、非常に勉強になりましたが、同時に、とても苦しい経験でした。
解説|「何のためのキャリアアップか」を明確にしておくこと
ソーシャルゲーム開発の事業部長から投資会社の投資コンサルタントに転職を果たしたアール さん(男性 44歳 東京都)。
年収1,300万円をキープしての、キャリアチェンジ転職に成功しています。
また、「いずれ経営者に」というキャリアビジョンに一歩近づいたという意味では、キャリアアップ転職でもあったといえるでしょう。
アール さんの転職で特徴的なのは、今回の転職を「ゴールに向けてのファースト・ステップ」としている点です。また、転職先の投資会社にもその意思をオープンにしています。
「入社してもいずれ転職することが見込まれる人に対して、企業は採用意欲を持たないのでは?」と思った人もいるかもしれませんが、これは企業によりけりでしょう。
ミドル世代の人材は人件費が相応に高くなりますので、「定年まで雇い続けるよりも、限られた期間で成果を出してもらった方がリスクが低い」と考える企業もいますし、とくに外資系企業でその傾向は強いです。
また、入社後のアールさんの業務キャッチアップの早さも印象的です。「経営者になるための、知識・経験を積む」という意思があるからこそでしょう。
キャリアアップ・年収アップの転職を成功する人は、アールさんのように「最終的なゴール」が明確であるケースが多いです。
現在同様の転職を目指そうとしている44歳転職者の方は、「そのキャリアアップ・年収アップは、何のためか」という点をしっかり明確にしたうえで臨むのが有効でしょう。
まとめ)「転職したい」と思うなら、45歳になる前にいちど行動を起こしてみよう
とある転職エージェントの話では、「35歳以上になると、求人数は半減。その後、5歳上がるごとにまた半減する」といいます。その計算で行くと、若手社会人(35歳以下)向けの求人が100あった場合、45歳以上向けの求人は12.5程まで少なくなるということです。
このことは、仮に44歳での転職をいったん保留して一年後の45歳に転職活動を始めた場合、応募できる求人は少なからず減ることを意味します。
──もちろん、これらはあくまで全体を平均化した話ですのですべてのケースにあてはまる訳ではありません。ですが、行動を先延ばしにすることが機会損失につながる可能性は十分にあります。
44歳での転職を考えているのなら、いちど行動を起こした方がよいでしょう。
転職活動を進める中で、改めて自身のキャリアを考えるきっかけにもなるはずです。
そして、いよいよ「転職した方がよい」と思ったら、この記事でも紹介した以下の対策に沿って活動を進めてみてください。
44歳の転職での、よくある質問・疑問(FAQ)
ここからは、44歳の転職者からの質問・疑問でよくあるものを項目ごとにまとめて紹介します。
すでに本文で触れられているところもありますが、「ここが気になっている」というところがあったらおさらいも兼ねてチェックしてみてください。
Q144歳の転職活動は、目安としてどの程度の期間がかかりますか
転職活動にかかる期間は人それぞれですが、仮に「急ぎで転職する」という場合としてはおおよそ90日(3ヵ月)をイメージするとよいでしょう。
もちろん、活動中の行動量が伴わなければそれだけ転職期間は長引きます。
44歳の転職活動の各フェーズの活動量目安についても、以下まとめておきましょう。
フェーズ | やること ※数値は目安 | 期間目安 |
---|---|---|
情報収集 |
|
3日~7日間 |
応募・書類作成 |
|
1~2ヵ月 |
企業面接 |
|
1~2ヵ月 |
※ 応募・書類作成と企業面接の時期は重複期間があります。
ここで注目してほしいのは、上記表の「やること」にある各アクションの数値です。
転職サイト・転職エージェントへの登録は「4~5社」、求人チェックは「100社以上」、企業応募は「30社以上」とあります。ちなみに、この数値で内定を取れた場合は、うまく行った方でしょう。
ミドル世代の転職者では、更に多くの量をこなしてようやく内定を獲得できた人も多いです。
つまり、44歳で転職をする際はこれだけの行動量が必要になるということです。
44歳の転職で転職活動の期間が気になっている人は、期間と合わせて各フェーズの行動量についても意識するようにしてください。
Q244歳の転職で、転職サービスは何を使うとよいですか
2章の「③選考の一連のプロセスを知る」でお伝えした通り、転職サービス(求人を探せる媒体)は大きく以下の3つがあります。
- 人材紹介(転職エージェントなど)
- 求人広告(転職サイト、求人誌など)
- ハローワーク
これらサービスにおけるメリット・デメリットは以下のとおりです。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
人材紹介(転職エージェントなど) |
|
|
求人広告(転職サイト、求人誌など) |
|
|
ハローワーク |
|
|
なお、いずれのサービスも基本は無料で利用できます。
これらのうち利用者数が最も多いのは「求人広告(転職サイト、求人誌など)」ですが、この一本で活動することはおすすめしません。
理由は、求人広告からの転職活動は、サポート・アドバイスしてくれる存在がいないからです。
人材紹介(転職エージェントなど)またはハローワークで、自身の転職活動について相談できる相手を持っておいた方が、転職成功は実現しやすいでしょう。
迷う場合は、以下の判断軸で検討するのがおすすめです。
- はじめに、転職エージェントと転職サイトにそれぞれ2~3サービス登録する
- 転職エージェントからの求人紹介があまりなかった場合、ハローワークを追加登録する
また、人材紹介会社(転職エージェント)を選ぶ際は、以下のポイントで選ぶとよいでしょう。
- 取引企業の多さ(≒求人数・実績)
- 転職する地域に、拠点があるか
- 希望する業種・職種に、対応しているか
これらについては各社の公式サイトで確認できますが、当サイトでは都道府県別におすすめ転職エージェントをまとめた記事があり、そこからピックアップした方がよりスムーズだと思います。希望する地域を選んで、確認してみてください。
地域区分 | 都道府県別おすすめ転職エージェント紹介記事 |
---|---|
北海道・東北地方 | 北海道、青森、秋田、宮城、岩手、山形、福島 |
関東地方 | 東京、神奈川、千葉、埼玉、茨城、栃木、群馬 |
中部地方 | 新潟、長野、富山、山梨、静岡、岐阜、愛知、石川、福井 |
関西地方 | 大阪、兵庫、京都、滋賀、三重、奈良、和歌山 |
中国地方 | 鳥取、岡山、広島、島根、山口 |
四国地方 | 香川、徳島、愛媛、高知 |
九州地方 | 福岡、佐賀、大分、長崎、熊本、宮崎、鹿児島、沖縄 |
Q3転職サービスは、複数を掛け持ちで利用したほうがよいですか
44歳の転職に限らず、転職サービスは複数利用した方がよいです。
そのいちばんの理由は、サービス毎に紹介できる求人に違いがあるからです。
ある転職サイト・エージェントでは希望する条件の求人をほとんど見つけられなかったが、別の転職サイト・エージェントでは数多く見つけられたというケースは多いです。
リクルート社の調査によると、転職成功した人の平均転職エージェント利用社数は4.2社ほどであったといいます。
参照:リクナビNEXT「転職エージェント(人材紹介会社)を使った転職活動ガイド」の内容をもとに、弊社にてグラフ作成
また、とくに転職エージェントにおいては担当者との相性も重要です。
登録したあとは、何回かのコミュニケーションを経て「この転職エージェントが私に合っている」と思えたところに利用を寄せていくと良いでしょう。
Q4転職エージェントにサポートを希望したところ、断られてしまいました。何が原因ですか
大前提として、転職エージェントは「企業からの採用ニーズの低い求職者」「転職の意思が低い求職者」は優先度を下げる傾向があります。
これは、転職エージェントは企業から紹介報酬を得ることで活動利益を得ているため、支援対象の求職者が結果的に転職できなかったり、活動期間が冗長化してしまうと機会損失になってしまうからです。
ですので、転職エージェントに登録する際はまず「転職意思があること」をしっかり伝えることが大切です。伝え方は、大きく以下の2点です。
- 登録時のレジュメ(職歴、転職理由、希望条件など)をしっかり記載する
- 希望する転職時期は、やや前倒しの日程で設定(「未定・決まってない」の選択はおすすめしません)
ただし、「企業からの採用ニーズが高いか低いか」については、求職者側からはイメージが付きにくいと思います。そこで、代表的なケースを以下に挙げましたので、チェックしてみてください。
年齢に対して期待される経歴・実績がなかった
ほとんどの転職エージェントサービスでは、利用する人の年齢層の制限は設けていません(「第二新卒向け」などの年代特化型のエージェントは除きます)。
ですが、転職エージェントの保有求人状況によって、また年齢に対して期待される経歴・実績がないと判断された場合、「見合った求人がありません」と断られてしまうことがあります。
断られる判断軸は、転職エージェントによって異なります。
例えばリクルートエージェントやdodaなどの総合型転職エージェントにでは「30代で就労経験なし」、「40代でデスクワーク経験なし(PC操作不可)」といった方に対して、転職者の希望に合った求人を紹介できないと断るケースもあります。
また、ITエンジニア向けの転職エージェントでは、40代でマネジメント経験ありの転職者であっても「エンジニアの知識・スキルが全くない」という場合はサポートを断ることがあるでしょう。
大切な点は、ご自身の経歴・実績を求める企業求人を多く抱える転職エージェントを利用することです。
それぞれの転職エージェントの特徴については、以下の記事をチェックしてみてください。
希望する地域の求人がなかった
とくに地方での転職において、「そのエリアの求人を持っていなかった」という理由で転職エージェントからサポートを断られるケースがあります(※前述の「年齢に対して期待される経歴・実績がなかった」との組み合わせによって断られるケースもあります)。
この場合は、その地域に強い転職エージェントを選び直すのがおすすめです。
ご自身の地域に対応したエージェントを確認されたい場合は、以下、都道府県別のおすすめ転職エージェント記事をご覧ください。
地域区分 | 都道府県別おすすめ転職エージェント紹介記事 |
---|---|
北海道・東北地方 | 北海道、青森、秋田、宮城、岩手、山形、福島 |
関東地方 | 東京、神奈川、千葉、埼玉、茨城、栃木、群馬 |
中部地方 | 新潟、長野、富山、山梨、静岡、岐阜、愛知、石川、福井 |
関西地方 | 大阪、兵庫、京都、滋賀、三重、奈良、和歌山 |
中国地方 | 鳥取、岡山、広島、島根、山口 |
四国地方 | 香川、徳島、愛媛、高知 |
九州地方 | 福岡、佐賀、大分、長崎、熊本、宮崎、鹿児島、沖縄 |
短期間での転職を繰り返している
転職エージェントサービスでは「短期間での転職を繰り返している」人へのサポートを敬遠しがちです。「再度短期の転職をされると、紹介企業からの信頼を失ってしまう」というリスクがあるからです。
エージェント側の都合(繁忙期など)により、優先度を下げられてしまった
繁忙期などで「転職者が多くて、さばききれない」ときに、すぐに転職する予定ではない転職者や、内定獲得まで若干の時間を要することが見込まれる転職者に対して、担当側で優先度を下げてくる可能性もあります。
これらの理由でサポートを断られてしまった場合は、以下の対策を取ることをおすすめします。
- 転職サイトを使って「自分から求人応募する」スタイルの転職活動に切り替える
- 他の転職エージェントサービスに登録する
Q540代の転職活動で、有利になる資格はありますか
結論から言うと、40代の転職活動で有利になる資格はあります。
40代以降の転職活動について資格取得を検討する際は、以下の2つの観点を意識するとよいでしょう。
- 転職後の職場で、本当に役立つ資格かどうか
- 自身のキャリアビジョンの実現に、その資格は役立つかどうか
具体的な資格名を挙げるとしたら、以下の資格などがあるでしょう。
【実務・マネジメント】系 |
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【人事・労務】系 |
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【財務・経営】系 |
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【語学・英語】系 |
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【金融・保険・不動産】系 |
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取得した資格が、自身のキャリアビジョンに役立つことと面接選考で役立つことは別問題です。
企業によっては「40代になってからも積極的に学ぶ姿勢がある」と前向きに捉えてくれることもあるでしょうが、業務内容とかかわりが無かったりキャリアとの一貫性が見られなかったりする場合は、選考で有利に働くことはあまり期待できないでしょう。
また、資格を一回の転職かぎりのために取得するのはあまり良い打ち手ではありません。
「その資格を持つことが、今後のキャリア形成にどれだけ役立てられるか」の観点で判断することをおすすめします。