【30代必見】転職で年収アップを叶える5つのポイントと成功事例
[最終更新日]2024/08/26
30代の転職で、「年収を上げたい」「年収アップを視野に入れている」という方は多いでしょう。
社会人として一定の経験を経てきた30代となると、今後のキャリアやライフスタイルを見据えて転職を考えるのは決して珍しいことではありません。
ただし、「30代での転職は必ず年収アップする」というわけではありません。状況によっては「前より年収がダウンしてしまった…」、「年収はアップしたけれど、思っていたような働き方ではなかった…」というケースもあります。
後悔のない転職を成功させるためには、事前にチェックしておきたいポイントがいくつか存在します。
目次
1)30代社会人の平均年収は──?
転職サイトdodaが公開する「平均年収ランキング(平均年収/生涯賃金)【最新版】」によると、30代の平均年収は以下のようになっています。
区分 | 20代平均年収 | 30代平均年収 | 40代平均年収 |
---|---|---|---|
全体 | 341万円 | 437万円 | 502万円 |
男性 | 363万円 | 474万円 | 563万円 |
女性 | 317万円 | 378万円 | 402万円 |
引用元:doda「平均年収ランキング(平均年収/生涯賃金)【最新版】」(2021年)」
30代の平均年収は、437万円。
20代平均年収からは男女ともに100万円近くの上昇が見られており、30代は年収の高まりが見られやすい時期といえます。
一方、性別で見ると男性:474万円 女性:378万円で大きな差が出ているのが分かります。
男女差が大きく出ている背景には、役職者の男性割合が高いこと、および女性は出産・育児期間の際に働き方を変える女性が多いことも関連しているでしょう。
近年では女性活躍推進を掲げ、男女の賃金格差を是正する企業も増えてきています。
30代女性・男性ともに「今の職場で、正当な評価・報酬を得られていない」と感じているようでしたら、転職先の新しい企業でより高い年収で受け入れられる可能性があります。
20代から30代にかけての賃金増加率は、男性112%、女性106%
厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査の概況」によると、20代後半から30代前半にかけての賃金増加率は男性112%、女性106%です。
20代から長く働き続けている会社で30代になってもほとんど昇給のない場合は、他の企業でより高く評価されるかどうか確認しておくとよいでしょう。
あなた自身の市場価値はもっと高まっている可能性があるからです。
他企業の具体的な年収額の確認は、転職エージェント経由で確認してもらう、企業口コミサイトで年収に関する評価・口コミをチェックするなどの方法があります。
30代の平均年収は「業種」によっても大きく変わるので、注意を
30代の平均年収は業種・職種によっても大きく変わります。主な業種ごとの平均年収は以下の通りです。
業種 | 20代平均年収 | 30代平均年収 | 40代平均年収 |
---|---|---|---|
金融 | 373万円 | 530万円 | 599万円 |
メーカー | 369万円 | 473万円 | 548万円 |
総合商社 | 353万円 | 477万円 | 535万円 |
IT/通信 | 361万円 | 492万円 | 592万円 |
建設/プラント/不動産 | 366万円 | 456万円 | 495万円 |
メディカル | 338万円 | 430万円 | 514万円 |
専門商社 | 346万円 | 439万円 | 519万円 |
インターネット/広告/メディア | 347万円 | 442万円 | 525万円 |
サービス | 319万円 | 404万円 | 452万円 |
小売/外食 | 304万円 | 382万円 | 444万円 |
引用元:doda「平均年収ランキング(平均年収/生涯賃金)【最新版】」(2021年)」
「金融」や「IT/通信」など、専門性の高い業種や現代に高い需要が見込める領域では、特に平均年収が高くなっています。
ここでも注目しておきたいのは、20代から30半における年収の上昇率でしょう。
高いところでは20%以上の上昇を記録しています。
つまり、どの職種においても30代という年齢は年収上昇におけるターニングポイントになりやすいのです。
また、業界による年収差が出る大きな理由は、収益性によるものです。
30代の年収アップを目指す際は、「可能な限り収益性の高い業界・企業を目指す」観点も重要です。
2)30代が「年収アップ転職」を目指す際の注意点
さて、ここからは具体的に30代の転職者の方々が年収を上げていくための「年収アップ転職」を目指す際の、注意点について見ていきましょう。
特に意識したいのは、以下の3点です。
「30代の転職だから、必ず年収が上がる、年収アップする」というわけではない
前章では「30代以降は年収アップしやすい」とお伝えしましたが、実際に30代の転職で年収アップする人の割合はどれくらいなのでしょうか。
これまで「みんなの転職「体験談」。」に転職エピソードを提供いただいた30代174名※の転職後の年収変化について調べてみたところ、以下のような結果となりました(※2017年3月~2021年2月までのもの)。
参考:30代の正社員転職における、年収変化の割合
割合 | |
---|---|
年収アップした | 55.2% |
変わらない | 6.9% |
年収ダウンした | 37.9% |
※「みんなの転職「体験談」。」に転職エピソードを提供いただいた30代の方174名のデータをもとに作成(集計期間:2017年3月~2021年2月までのもの)
30代の転職において、年収アップした人の割合は55.2%でした。
たしかに年収ダウンした割合よりも高いですが、「30代の転職は、高い確率で年収アップする」とまでは言い切れないことが数値から見て取れます。
また、前職と同じ職種に転職した人と異なる職種に転職した人それぞれの年収アップ・ダウンの割合は、以下表の通りとなりました。
参考:30代の正社員転職における、同職種・異職種別 年収変化の割合
全体 | 前職と同じ職種で転職 | 前職と異なる職種で転職 | |
---|---|---|---|
年収アップした | 55.2% | 61.5% | 48.2% |
変わらない | 6.9% | 7.7% | 6.0% |
年収ダウンした | 37.9% | 30.8% | 45.8% |
※「みんなの転職「体験談」。」に転職エピソードを提供いただいた30代の方174名のデータをもとに作成(集計期間:2017年3月~2021年2月までのもの)
前職と異なる職種で転職した場合、年収アップした人の割合と年収ダウンした人の割合はほぼ同じくらいです。このことから、「未経験での転職」は年収ダウンになるリスクが大きくなることがうかがえます。
ただし、前職と同じ職種で転職した場合でも10人に3人が年収ダウンとなっていますので、「同職種だから年収アップする、異職種だから年収ダウンする」という見方もすべきではないでしょう。また、前職と異なる職種で転職した方のうち半分近くが年収アップとなっています。
年収アップを果たした30代の方々の体験談を見ていると、同職種・異職種での転職に関わらず、以下の点が共通されていることが多いです。
- これまで培った知識・経験(または強み)を活かした仕事選びをしていること
- 転職前にその企業や業界の調査・研究を時間をかけて行っていること
もし、現在転職活動をされている方で、上記2点への意識があまりない場合は要注意です。
30代の転職においても年収ダウンになる可能性は少なからずあり、年収アップをしていく為にはしかるべき準備・対策を取る必要があると認識しておきましょう。
給与構成は必ずチェックを!「基本給・諸手当・残業代」
基本給・残業代ルール・その他諸手当といった給与構成を確認しておくことも、年収アップを目指す転職での重要ポイントです。
たとえ基本給が低くても、家賃補助などのサポートが手厚い企業であれば、結果的に生活にかかるお金の負担が軽くなることもあります。
基本給、手当、残業代、その他福利厚生はどうなのかについて、求人票でしっかりチェックし、不明点は面接の場などで企業に確認するようにしましょう。
参考:給与の確認ポイント
- 基本給はいくらか
- 残業代は含まれているか(みなし残業制の有無)
- 加入保険・年金は何か(雇用保険、健康保険、厚生年金、その他企業年金など)
- 諸手当はどのようなものがあるか
- おおよその残業時間はどのくらいか・休日出勤はあるか
- 退職金はあるか
給与構成を確認する際には、現在勤めている会社の内容と比較してみると、転職後の報酬をイメージしやすくなります。
年収は、転職時だけでなく「これから先」の推移もイメージする
年収は、転職時での増減だけでなく、その業界・業種では40〜50代になるにつれてどのように年収が上昇していくのかを把握して、長期的なプランを立てられるように意識しておきましょう。
転職時に年収アップが成功したからといって、その後も順調に年収が上がっていくとは限りません。年齢を重ねるほどに転職のハードルは上がっていきますので、10年20年後といった長期的な視野で企業を選ぶようにしましょう。
また、40代から50代においては家計の支出が大きくなる世帯が殆どです。
ライフプランとあわせて、これからの年収とキャリアプランを立てていくのがよいでしょう。
参考:ライフプランとは
ライフプランとは、人生の中で想定される大きなイベントを考え、お金が必要になるタイミングやその金額を把握して計画をたてることです。
具体的には、以下のプロセスでプラン立てを行います。
上記図の例では、今後の主な支出として海外旅行、マイカーとマイホームの購入、そして子どもの大学入学と老後資金を挙げており、これら全てを貯蓄でまかなうとしたら毎月24万円の積立が必要となることが分かります。
(※ すでに貯蓄がある場合や積立投資などの資産運用を行っている場合は、この限りではありません。)
ライフプランを立てることによって、「早めの貯蓄が必要になりそうだ」という気づきがあるかもしれません。
または、「転職時の給与条件として、これくらいは欲しい」という新たな希望条件が出ることもあるでしょう。
パートナーや家族のいる方は、転職の際にこれからのライフプランについてパートナー・ご家族の方と話し合うことをおすすめします。
ライフプランを交えての転職活動はパートナー・ご家族の方にとも共有する「共通目標」となり、活動を応援してもらいやすくなるでしょう。
3)30代が年収アップ転職を成功するための5つのポイント
続いては、30代の転職者の方々が年収を上げていく為の、具体的な対策・ポイントを見ていきましょう。
まずは、キャリアプランを立てる
30代で年収アップを目指す際は、仮に年収が上がったとしてもそれが一過性のものにならないよう、にキャリアプランを立てておくべきです。
キャリアプランとは、あなたが将来に望む仕事や働き方を実現するためのプランニング(行動計画)のことをいいます。
30代の転職で、「これが自分の望む働き方だ」という方針が明確になっていれば、応募すべき求人を決めやすく、書類や転職面接時における自己PRもしやすいでしょう。
つまり、キャリアプランを定めることで、年収アップが実現されやすくなるのです。
キャリアプランの具体的な進め方は、以下のように4つのステップを辿ります。
キャリアプランは、上記の「キャリアプランの例」にあるように時期ごとに「実現したいこと」と「そのためにやること」を表形式に落とし込むと、そのイメージを整理しやすくなります。
ポイントは、先にお伝えしたとおり40代・50代のキャリアも見据えて中長期的なプランにすることです。
今のうちにマスターしておくべき知識・スキルや取得しておくべき資格が出てくるかもしれません。
キャリアプランは今回のみでなく、数か月に1度のペースで見直しておくと、普段においてもキャリアの軸を持てるようになり、迷いのない判断をしやすくなります。
キャリアプラン立てに難しさを感じる人は、「キャリアの棚卸し」からはじめる
「キャリアプランが上手く立てられない」と言う人は、先にキャリアの棚卸しをすることをおすすめします。
キャリアの棚卸しとは、「これまでの自分のキャリアで何をやってきたのかを全て洗い出すこと」です。
キャリアの棚卸しは、キャリアを軸とした自己分析のひとつです。
進め方は、時系列ごとに携わった仕事内容・役割、学べたこと・身に付いたことなどをまとめていきます。
「キャリアの棚卸し」で整理する項目
- 業界・職務
- 仕事内容・役割
- 学べたこと・身に付いたこと
- とくに意識して取り組めたこと
- 情熱を掲げられたこと
- 失敗したこと
- 失敗からの教訓・学んだこと
※Excelで作成する際は、よろしければ「キャリアの棚卸し作成表」ファイルをダウンロードしてお使いください。
「キャリアの棚卸し」表の例
期間 | 2003年4月~2010年9月 | 2010年10月~2015年3月 | 2015年4月~現在 |
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業界・職務 |
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仕事内容・役割 |
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学べたこと・ 身に付いたこと |
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とくに意識して 取り組めたこと |
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情熱を掲げられたこと |
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失敗したこと |
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失敗からの教訓・ 学んだこと |
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※横にスクロールして右側の情報を確認できます。
キャリアの棚卸しの進め方については、以下記事で詳しく紹介しています。興味のある方は併せてご覧ください。
「成長中の優良企業」の見つけ方を知る
キャリアプランを立てたあとは、いよいよ求人探しです。
求人探しは後述する転職エージェントのサービスを利用して担当エージェントから求人を紹介してもらうのも手ですが、年収アップを目指す30代の方は「まず、自分でも求人を探す」ことを意識するとよいでしょう。
具体的には、リクナビNEXTやビズリーチなどの転職サイトを使って求人を探します。
求人数の豊富な転職サイト
タイプ | 全般・網羅型 | 全般・網羅型 | 全般・網羅型 | IT・Web業界に強み | 20代・若手に強み | ベンチャー企業に強み | ハイクラス転職に強み | 女性の転職に強み | 女性の転職に強み |
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サービス名 | doda | リクナビNEXT | エン転職 | Green | Re就活 | Wantedly | ビズリーチ | LIBZ | 女の転職type |
メリット |
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デメリット |
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求人数 | 約26万件 | 約90万件 | 約14万件 | 約4,000件 | 約1.0万件(※募集職種と勤務地の組み合わせで件数算出) | 約10万件 | 約14万件 | 非公開 | 約2,400件 |
得意業界/職種 | ◎全業界・職種 | ◎全業界・職種 | ◎全業界・職種 | IT・Web業界 | 営業・企画・事務・管理・販売・技術職(エンジニア)等 | ◎全業界・職種 | ◎全業界・職種 | 営業・企画・管理・販売系職種 | ◎全業界 |
対象地域 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 |
スカウトの多さ | ◎多い | ◎多い | 〇ふつう | ◎多い | 〇ふつう | ◎多い | ◎多い | ◎多い | 〇ふつう |
おすすめの人 |
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公式サイト |
表内の求人数は2024年11月時点のものです。
30代の転職において、「今回の転職後の職場で、キャリアの地盤を固めたい」と思っている人は多いでしょう。
応募企業を見誤らずに年収アップの転職を成功するためには、「成長中の優良企業への感知力」が必須です。
成長中の優良企業とは、今後も伸びるマーケットで効率的な事業展開ができており、かつ社員への待遇が手厚い企業です。
言い換えれば、「転職後も順当に年収アップを目指しやすい会社」ということです。
成長中の優良企業に見られる特徴
- ①今後も伸びるマーケットにいる
- ②効率的な事業展開ができている
- ③社員への待遇が手厚い
①の「今後も伸びるマーケットにいる」かどうかの確認は、業界ニュースをチェックするなどいくつか方法があります。
確認の仕方が分からない人は、業界動向サーチや市場規模マップで気になる業界からチェックしてみるとよいでしょう。
業界動向サーチ
URL:https://gyokai-search.com/
市場規模マップ
URL:https://stat.visualizing.info/msm
活性化している市場には、ベンチャー企業の参入が多い、専門の業界ニュースサイトがあるなどの特徴があります。
また、②および③の「効率的な事業展開ができているかどうか」、「社員への待遇が手厚いかどうか」については、企業HPおよび業界誌・サイト(上場企業の場合は「四季報」など)、および口コミサイトからの情報収集が有効です。
ただし、口コミサイトは主に退職者からのコメントなのでややネガティブ意見の割合が多くなっています。すべての情報を鵜吞みにせず、ポジティブ意見とバランスよく収集していくことに注意してください。
これら調査はひとつひとつの企業を調べるうえでどうしても時間がかかりがちですが、ネット上から取得できる情報も多いので、空き時間を活用して毎日少しずつでも進めていくとよいです。
業界研究・企業研究で得た知識は転職時の求人選びや書類選考、面談においても役立つことも多々ありますし、自分のキャリアプランをより明確に機会にもなるでしょう。
手間を惜しまず、しっかり調べておくことをおすすめします。
企業研究 見るべきポイント
企業研究をする際に、優先して見るべきポイントは以下の通りです。
チェック項目 | 確認ポイント | どこで確認するか |
---|---|---|
事業内容 | 自分自身の知識領域にあるか、また今後も興味・関心を持ち続けられる内容かを確認する | 企業HP |
主力商品・サービス | その商品・サービスの開発・運用を自身が携わることになる際に、どの範囲まで知っていて、どの範囲を知らないかを確認する | 企業HP、業界ニュース、四季報、業界地図、競合他社のHPなど |
強み・独自性 | 同業他社をいくつか確認し、「この会社ならではの特色・強み」がどこにあるかを見出す | |
企業理念 | 企業理念から、求められる人物像(主にスタンス面)をイメージし、自身との適合性を確認する | |
社風・雰囲気 | 歓迎される人物像や業務への取り組み姿勢をイメージする | インタビュー記事、口コミサイトなど |
求められる知識・スキル | 現在の自身の知識・スキルと照らし合わせて、過不足を確認する | 企業HP、求人票など |
こうしたリサーチを重ねた結果、「この企業で働いてみたい」「こういった文化の会社なら馴染めそうだ」といった手応えを得られれば、入社後のミスマッチを軽減する効果が期待できます。
企業に「この人に会ってみたい」と思わせる職務経歴書を作成する
30代の年収アップ転職でとくに注力すべきは、職務経歴書でしょう。
その理由は、年収アップに関わる好条件求人ほどとうぜん応募者は集まりやすく、書類選考の通過率が低くなるからです。
その一方、書類選考で好印象を勝ち取った場合は面接でもそのアドバンテージが活きますし、職務経歴書をしっかり考えて作成することは面接での自己PRの事前演習としても役立ちます。
では、「職務経歴書をしっかり考えて作成する」とは、どのような行為になるのでしょうか。
いくつか例をもって説明します。
「印象に残る職務経歴書」作成のポイント
- Point1)最初の職務要約ですべてを語る
- Point2)緩急をつける
- Point3)企業毎に職務経歴書を書く
- Point4)定量的に書く
- Point5)「ボランティアをやっています」などの副次的なものは程ほどに。
- Point6)「レジュメはラブレター」の意識で書く。
Point1)最初の職務要約ですべてを語る
採用担当はたくさんのレジュメに目を通すため、最初の職務要約しか見ない人もいます。逆にいうと、この部分は全員が見るということです。
そのため、「最初の職務要約ですべてを語る」くらいの気概で作成したほうが良いでしょう。
自分の強みが最初の数行でパッと分かるように表すなど、とにかくこの部分の品質に意識を集中して作成することが大切です。
Point2)緩急をつける
ある程度実務経験を持った人が陥りがちなミスが、「やってきたことを全部書いてしまう」ことです。
全部盛り込むと、強み(アピールポイント)が薄まってしまいます。
アピールすべきところとしなくてもいいところを分けて、しなくても良いところはバッサリ切る──、といったメリハリが大切です。
例えば総務部門を経験した転職者の場合、総務の幅広い業務範囲を全部書くとどうしても冗長になってしまいます。
その際に、例えば応募する企業の求人要件が「総務の資産管理」だった場合、そのポジションと関連する経験をアピールするのです。
「自分はそのほかにも人事、採用などを経験していた」という場合においても、応募企業側で人事、採用のポジションを求めていないようなら、その記載は軽く触れる程度に留めるなどの取捨選択を意識しましょう。
Point3)企業毎に職務経歴書を書く
職務経歴書は、基本応募企業毎に準備します。
テンプレートのようにひとつの職務経歴書を使いまわしていた場合、応募企業側はすぐにそれを見抜きます。
効果的な職務経歴書にしていくためにも、企業が募集しているポジションに合わせて書くことを意識すると良いでしょう。
イメージとしては、「60%は共通部分として、残り40%を企業毎にかき分ける」、「これまでやってきたことが20種類あったら、求人ポジションに合わせて12~3個に絞って、7~8個は削る」といった形で進めると良いと思います。
ポイントは、求人企業に対して「企業が求めているポジションと、自分の経歴がいかにフィットしているか」を伝えることです。
Point4)定量的に書く
よく言われることですが、職務経歴書は「定量的」に書くことが大切です。
例えば、「お客様に大変喜ばれた」といった表現は、第三者はその程度がわかりません。また、「主観的、感覚的にしか物事を捉えられていない」と評価されてしまうリスクもあります。
アピールする事柄は、なるべく「数値」に落とし込むことが大切です。
「売上や会員数、またはPV数などが何パーセント増えた」であったり、「結果として作業時間がこれだけ短縮できた」などの定量的な説明を意識すると良いでしょう。
Point5)「ボランティアをやっています」などの副次的なものは程ほどに。
プライベートでの活動(ボランティア)などは、書いても書かなくても、書類通過や採用にそこまで影響は無いと見たほうが良いでしょう。
他の候補者と比較検討になった際に、その人と甲乙つけがたいくらいの同評価だったら効果はあるかもしれませんが、その他ではあまり効果を期待しない方が良いと思います。
たまに、経営層の価値観とマッチしたなどのラッキーパンチもありますが、やや運要素の強いPRと言えます。
また、そうした副次的なPRをたくさん書いてしまうと、「仕事でアピールできないから、そこでアピールするのかな?」と思われてしまうリスクもあるでしょう。
Point6)「レジュメはラブレター」の意識で書く。
レジュメ(職務経歴書)は、「企業へのラブレター」と思って書くと良いです。
例えば、気になっている異性に「私はたくさんのスキルと知識がある。だから付き合ってください」とラブレターを書く人はいないでしょう。
それよりも、「あなたはきっと、こういう人を求めていますよね。私はまさにそういう経験をしてきています。つきましては、私と付き合ってくれませんか」といった形でアプローチする方が成功確度を高められるはずです。
ポイントは、「相手を基点」にあなた自身のペルソナを作っていくこと、──つまり、「顧客視点」を持って職務経歴書を書いていくことです。
転職エージェントの「非公開求人」を活用する
30代の年収アップ転職は、転職エージェントの活用がおすすめです。
なぜなら、転職エージェントでは一般の求人サイト・求人誌では出回らない非公開求人を多く扱っているからです。
ここまで紹介した、30代転職者が年収アップ転職に向けて取り組むべきアクション「キャリアプラン立て・企業研究・職務経歴書の作成」について、転職エージェントはすべてサポートしてくれます。
あなたの志向にあった求人を紹介してくれるので、ミスマッチ転職のリスクを少なくできるでしょう。
また、転職エージェントが保有する求人は、他の求人媒体(転職サイトやハローワーク、求人誌など)と比べて高年収の割合が高いです。
ただし、転職エージェントは国内多くのサービスがあり、またどの担当者が付くかによってもサポートの提供のされ方が変わります。
あなたに合った転職エージェント(または担当アドバイザー)を見つけるためにも、はじめに2~3つのサービスに登録して、利用のしやすさやコミュニケーションの取りやすさを比較しておくことをおすすめします。
具体的な転職エージェントサービスは、次章で詳しく紹介します。
年収交渉のやり方を知っておく
年収アップの転職を実現するうえで避けて通れないのが、企業との年収交渉(条件交渉)です。
30代の転職で、「年収交渉をするのは、今回がはじめて」という人は多いと思います。
ですが、年収交渉は決して難しいものではありません。事前にやり方を知っておけば、誰もが問題なく行えます。
効果的・効率的な年収交渉のやり方
フェーズ | アクション |
---|---|
事前準備 | ①求人情報および企業調査から、その企業で働く際の現実的な年収額を想定しておく |
面接選考 | ②面接官から希望年収を訊かれた際は、①を踏まえたうえで希望額をはっきりと答える |
内定承諾前(内定通知書の連絡後) | ③内定通知書に記された年収よりもさらに高い年収を希望する場合、メールにて年収交渉をする(または、転職エージェントに年収交渉を代行してもらう) |
特に重要なのが、事前準備の①です。
①については、求人情報に記載された年収額だけでなく、企業HPや口コミサイト、そのほか転職エージェントからの情報も踏まえて、「この企業だったら〇〇万円までの年収交渉が可能だろう」というイメージを持っておくとよいでしょう。
また、その際は自身の市場価値を知っておくことで、具体的にどの程度まで年収アップの交渉ができそうか分かります。
市場価値の調べ方は以下の記事をチェックしてみてください。
②・③の実際の交渉については、以下に例文を紹介します。
ご自身の状況に合わせて調整して、いざというときに伝えられるよう準備しておくとよいでしょう。
参考:年収交渉の例
面接選考時に面接官に直接伝える場合
面接官 「年収のご希望はありますか」
あなた 「現在の年収は450万円ですが、今回の募集内容に関わる業務経験も積んでおり、恐縮ながら10%アップを希望します。入社後は相応の働きをさせていただきます。ご検討いただけますと幸いです」
内定通知書に記された年収よりもさらに高い年収を希望する場合(メール文)
件名|内定通知の御礼と給与に関するご相談(みん転 太郎)
〇〇株式会社〇〇部
採用担当 〇〇 〇〇様
お世話になっております。
先日〇日〇日に最終面接に参加させて頂きました、みん転 太郎と申します。
この度はご内定通知をいただきまして、大変感激しております。
御社の一員として、これまで以上の価値貢献をしていけるよう最大限取り組ませていただきます。
ご提示いただいた労働条件通知書につきまして1点ご相談したいことがあり、ご連絡を差し上げました。
書面では年収〇〇万円とご提示を頂きましたが、誠に恐縮ですが〇〇万円にご再考いただくことは可能でしょうか。
面接でもお伝えしたとおり、前職では今回の募集内容にも関わる〇〇の業務に携わっており、部内の業績を少なからず牽引してきた自負がございます。
御社においては更に大きな成果を出せるよう、取り組む所存でおりますので、恐れ入りますがご検討いただければ幸いです。
何卒、よろしくお願い申し上げます。
———————————–
みん転 太郎
電話:090-XXXX-XXXX
e-mail: min-ten@XXXX.com
———————————–
転職エージェントやヘッドハンターを利用している場合、年収交渉を代行してくれることが多いです。
エージェントもヘッドハンターもこれまで幾度となく企業との年収交渉をしてきていますので、安心して任せて問題ないでしょう。
余談ですが、転職の際に年収が高まれば、転職エージェント・ヘッドハンターともに企業からもらえるフィー(報酬)も上がります。
つまり、転職時の条件交渉を成功することは、転職エージェント・ヘッドハンターにとっても望ましいことなのです。
4)年収アップを目指す30代転職者におすすめの転職エージェント
doda X(デューダ エックス)
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年収800万円以上の企業からのスカウトが多く届く転職サイト。ヘッドハンターからのサポートも受けられます!
doda X(デューダエックス)は、「キャリアに戦略を。」をキーワードにハイクラス人材に向けた支援をするヘッドハンティング型の転職サービスです。
doda Xに登録すると、ヘッドハンターがあなたの経歴と希望に合わせて厳選スカウト求人を提案してくれます。
紹介される求人の多くは、年収800万円以上の企業経営戦略や事業戦略に直結する重要なポジションのものが殆ど。
今よりさらに活躍できるフィールドで働きたい人にマッチしやすいサービスでしょう。
doda Xに在籍するヘッドハンターは約6,300名(2024年8月時点)。レジュメ(職歴書)の効果的な見せ方や面接対策などの転職サポートもしっかりサポートしてくれます。
dodaXの特徴
特徴 |
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サービス対応地域 | 全国 |
拠点 | 東京・埼玉・神奈川・愛知・静岡・大阪・京都・兵庫・広島 |
公開求人数 | 約5.9万件(2024年8月現在) |
とくに多い職種 | 事業企画・経営企画|営業|IT・Webエンジニア|経理・財務・人事・法務|マーケティング・販促・商品開発|技術職(機械・電気)|コンサルタント|金融系専門職|医療専門職|技術職(化学・食品系)|技術・専門職(建設・不動産系)|クリエイター・クリエイティブ職|サービス系(店舗管理・運営管理)|技術職(組み込みソフトウェア)|SCM・物流・購買系など |
dodaXでは登録後に職種別の経歴書のサンプルも入手できます。doda専属のキャリアカウンセラーのサポートを合わせて利用すれば、書類作成の準備は万全でしょう!
JACリクルートメント
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ミドルクラス・ハイクラスの転職 満足度で6年連続No.1!(オリコン満足度調査2019-24年)利用者からは「相談の手厚さ」と「適切なマッチング」への評価が高いです。
JACリクルートメントは「これまでのキャリアを活かしつつ、さらなるキャリアアップがしたい」という30~40代のミドル層のサポートに強い転職エージェントです。
プロのキャリアコンサルタントのサポートにより、転職者自身の市場価値や、気になる業界の市場動向についても詳しい情報を得られます。
在籍コンサルタントは人材業界の中でもベテラン勢が多く、これまでの豊富な転職支援実績をもとにキャリアコンサルティングを実施してもらえます。
リクルートエージェントやdodaといった大手総合型エージェントと比べると求人数は少なめですが、その分一つ一つの求人の質は高いです。
じっくり中長期で利用したい転職エージェントです。
JACリクルートメントの特徴
特徴 |
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サービス対応地域 | 全国 |
拠点 | 東京・埼玉・神奈川・愛知・静岡・大阪・京都・兵庫・広島 |
公開求人数 | 約1.3万件(2024年8月現在) |
とくに多い職種 | サービス|商社|流通|消費財|マスコミ|建設・不動産|金融|IT・通信|WEB|EMC|コンサルティング・シンクタンク・事務所|メディカル・バイオ|医療・介護・福祉などなど |
サポートの充実がウリのJACリクルートメントですが、求人数は少なめです。登録の際は希望条件をやや広めに&他の転職サービスにも登録しておくのがおすすめです。
リクルートエージェント
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国内No.1の求人数の豊富さ!担当者からの的確かつスピーディな支援も受けられるので、「なるべく早く転職したい」人に特におすすめのエージェントです。
リクルートエージェントは求人数・サポート実績ともに国内でNo.1の転職エージェントです。
中でもキャリアアドバイザーによるサポート満足度は非常に高く、年収アップ転職においても多くの実績を残しています。
独自のサービスとして「面接力向上セミナー」や企業の社風や選考状況が分かる「エージェントレポート」など、転職者をバックアップする仕組みが充実しています。
非公開求人の数も2024年8月時点でおおよそ30万件。年収・キャリアアップの可能性を高めたい方は、実績の豊富なリクルートエージェントの活用をおすすめします。
リクルートエージェントの特徴
特徴 |
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サービス対応地域 | 全国 |
拠点 | 北海道、宮城、福島、東京、埼玉、千葉、栃木、群馬、神奈川、新潟、静岡、石川、岐阜、滋賀、愛知、京都、大阪、兵庫、岡山、広島、加賀、愛媛、福岡、長崎、熊本、鹿児島、沖縄 |
公開求人数 | 約45万件(2024年8月現在) |
とくに多い職種 | 営業・販売・カスタマーサービス|企画・マーケティング・経営|管理・事務|物流・購買・貿易・店舗開発|コンサルタント|金融専門職|不動産専門職|クリエイティブ|SE・ITエンジニア|エンジニア(設計・生産技術・品質管理)|建築・土木|医療・医薬・化粧品など |
リクルートエージェントのサポートは効率的かつスピーディに進みます。日頃の活動にかけられる時間を確保しておくと、より有意義にサービスを受けられるでしょう。
ビズリーチ
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転職後の平均年収840万円!企業からのスカウトが非常に多い転職サイトです。
ビズリーチは主にハイキャリア人材を対象とした転職サービスです。
一般的にハイキャリア転職サービスは求人数が少なくなりがちですが、ビズリーチは近年求人数が増えており、首都圏はもちろんのこと地方での転職においても非常に豊富な求人を確認できます。
紹介される会社は大企業だけでなく、中小の優良企業の求人も扱っています。
また、独自に「BizReach創業者ファンド」を創設するなど、スタートアップ企業の支援も積極的に行っていることから、スタートアップ企業やベンチャー企業への転職支援にも強いのが特徴です。
ビズリーチの特徴
特徴 |
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サービス対応地域 | 全国 |
公開求人数 | 約13万件(2024年8月現在) |
とくに多い職種 | 経営(経営者・CxO・事業推進など)|管理(経理・財務・税務・IRなど)|マーケティング|営業|コンサルタント|専門職(公認会計士・税理士・弁護士など)|IT技術職(SE・その他ITエンジニア)|ゲーム|電気・電子|半導体|機械|化学|金融|研究・臨床開発・治験|建築・土木など |
ビズリーチで企業からのスカウトを多く得るためには、レジュメ(職歴書)の品質を上げること!どのような自己PRが企業からの目にとまりやすいかをじっくり考えて、取り組んでみましょう。
より専門分野に関わるサポート・アドバイスを受けたい人は「特化型」の転職エージェントも利用しよう
目指す業界・職種などの分野が明確にある人や、上記に紹介した転職エージェントを既に利用していて、「あまり適切なサポートを受けられなかった」という方は「特化型」の転職エージェントがおすすめです。
特化型の転職エージェントは、特定の分野に精通したエージェントがサポートと求人紹介をしてくれます。
これからのキャリア形成・働き方について、「この分野に詳しい人に相談したい」という人にもおすすめでしょう。
各分野のおすすめ特化型転職エージェント
タイプ | ITエンジニア | ITエンジニア | IT・Web業界 | リーダー・マネージャー | リーダー・マネージャー | リーダー・マネージャー | リーダー・マネージャー | 会計・経理・税務・財務 | マスコミ・メディア | アパレル・ファッション | 管理部門 | 外資・グローバル | 外資・グローバル | 製造系エンジニア | 介護・福祉 | 介護・福祉 |
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サービス名 | マイナビIT AGENT | レバテックキャリア | ワークポート | doda X | JACリクルートメント | リクルートダイレクトスカウト | ビズリーチ | ジャスネットキャリア | マスメディアン | クリーデンス | MS Agent | エンワールド | ロバート・ウォルターズ | メイテックネクスト | レバウェル介護 | かいご畑 |
メリット |
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デメリット |
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公開求人数 | 約2.1万件 | 約2.5万件 | 約11万件 | 約6.0万件 | 約2.1万件 | 約40万件 | 約14万件 | 約4,000件 | 約4,900件 | 約1,400件 | 約1.0万件 | 約900件 | 約1,900件 | 約1.6万件 | 約23万件 | 約9,000件 |
得意業界/職種 | IT・Web | IT・Web | ◎全業種・職種 | ◎全業種・職種 | ◎全業種・職種 | ◎全業種・職種 | ◎全業種・職種 | 会計・経理・税務・財務 | マスコミ・メディア | アパレル・ファッション | 管理部門・士業 | 外資系 | 外資系 | 製造系エンジニア | 介護・福祉 | 介護・福祉 |
対象地域 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 | 関東・関西・中部(東海) | 東京・大阪 | 関東・関西・東海 | ◎全都道府県 | 東京・愛知・大阪+海外 | 東京・愛知・大阪+海外 | 東京・名古屋・大阪・福岡 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 | |
おすすめの人 |
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公式サイト |
表内の求人数は2024年11月時点のものです。
まとめ)30代の年収アップ転職成功に必要なものは、適切な準備と心構え!
30代の転職は、ポイントをしっかり押さえられれば、年収アップも十分に可能です。
30代転職者が「年収アップ転職」を成功するための3つのポイント
- 応募する企業が、年収の対価として「求めているもの」を理解・把握する
- 自身の経験・実績・スキルから、どこをアピールしていくかを明確にする
- 実績豊富な転職エージェントを利用し、かつ「年収アップ」希望をきちんと伝える
「現状に満足せずさらなるキャリアアップを目指したい」「自分のスキルに見合った報酬が欲しい」という人は、この記事で紹介したポイントを意識しつつ、転職活動に臨んでみてください。
30代の転職に必要なのは、適切な準備と心構えです。皆さんが30代の転職を後悔のないように進めていけることを、心より願っています。