30代の転職で「成功する人」の傾向は?成功例と効果的な進め方を紹介
[最終更新日]2024/11/01
2020年以降、30代以降の転職者は増加傾向にあります※。
理由の一つに、コロナ禍の影響もあって、多くの企業が転職者に「即戦力」を求めるようになったことが挙げられます。経験を積んだ30代以降の転職者に、価値を感じる企業が多くなってきているということでしょう。
一方で、30代での転職は「その年代ならではの、失敗しやすいポイント」もあります。現在転職を検討している30代の人は、それらポイントついて、事前に知れると安心でしょう。
※コロナでどう変わった? 転職成功者の年齢調査(doda「なるほど!転職ガイド」より)
目次
1)30代の転職成功率は82%(※当社調べ)
はじめに、当サイト「みんなの転職体験談」に転職エピソードを投稿いただいた262名の30代の人の転職成功・失敗状況を見てみましょう。
30代の転職成功・失敗状況
成功・失敗状況 | 割合 |
---|---|
成功 | 42% |
やや成功 | 41% |
やや失敗 | 13% |
失敗 | 4% |
※「みんなの転職「体験談」。」に転職エピソードを提供いただいた30代の260名のデータをもとに作成(集計期間:2018年1月~2024年11月までのもの)
転職を「成功・やや成功」と答えた30代の人は、全体の83%。
転職をした30代の5人に4人が、「転職は成功だった」と答えていることが分かります。
ただし、「やや失敗・失敗」と答えた人の合計17%は、決して無視できる数値とは言えません。
また、「やや成功」の41%の層は、「全体的には成功といえるけれど、失敗したところや残念だったこともある」という人たちです。
これから転職活動をはじめる30代の人は、あとから振り返ったときに「満足いく転職だった」と思えるように、こうした成功・失敗の傾向をより詳しく確認しておいた方がよいでしょう。
2)30代の転職で成功する人の傾向は?成功例で多く見られたもの
ここからは、30代の転職で成功・失敗する人の傾向を詳しく見ていきたいと思います。
さきに、「30代の転職で失敗した人の例とよく見られる傾向」を確認しておきましょう。
失敗の傾向・ケースから知っておくことによって、成功例とその傾向のイメージが付きやすくなるからです。
30代転職での失敗例とよく見られる傾向
転職に「失敗した」と答えた30代の主な失敗理由(複数回答)
※ 30代の転職で「失敗・やや失敗」と答えた人の失敗要因内訳 2024年11月 弊社調査による
30代の転職で「失敗・やや失敗」と答えた人のその要因で最も多かったのがで「業務内容がハード・能力以上のものを求められた」(69%)です。
次いで多いのが、「対人・人間関係の問題」(59%)。失敗した人の半数以上が、これらの要因があったことが確認できます。
逆の見方をすれば、この二点の問題を事前に回避できるように働きかければ、転職失敗となるリスクを大きく下げられることになります。
転職失敗だったと答えた30代の人の、実際のコメントについても見ていきましょう。
転職に「失敗した」と答えた30代の人のコメント
全く異業種の転職。覚えていくだけでいっぱいいっぱい。(サービス業→サービス業)
-
入社して約1年経ちましたが、正直、新しい仕事ではまだ何も「成功」と言えるような活躍はできていません。
全くの異業種への挑戦だったこともあり、次から次へと新しい業務が出てきて、それらを覚えていくだけでいっぱいいっぱいな毎日を過ごしています。
そんな全く知識のない私ですが、やはり中途採用のため、周囲からは「ある程度できて当然」というプレッシャーをかけられます。そうして、大した経験も出来ていないまま、入社2ヵ月目に店長としての辞令が出たのです。
──もちろん、給与面でも待遇が良くなるのでありがたいお話でした。「良かったね」と家族で喜びあったりもしました。
ですが、いざ店長になってみると、自分の仕事の出来なさを更に感じさせる結果になりました。責任のある業務、スタッフの育成や管理、専門的な知識の活用──店長として活動するには、すべてが経験不足でした。
最近は、以前からの周囲のプレッシャーは更に強くなり、精神的にも疲弊してきています。また、ここ数日は上司も圧迫の気配も出始めました。
──正直に言いますと、現状はあまり「良い状態」ではありません。悔やまれることは、転職活動中や入社前においては業界の知識や経験を、もっと自分から積極的に取り入れるべきでした。
会社から求められている仕事と私のイメージとに、大きなギャップがあった。(金融営業→IR・広報)
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私は、東京証券取引所のマザーズ市場に上場して6ヵ月しか経過していないベンチャー企業の広報IR部に配属され、IR担当者として着任しました。
この会社では、創業者の社長が会社の株式の約30%を保有しており、事実上のオーナー経営者でした。
入社してすぐに気がついたことは、IR担当者──つまり私に求められている仕事は「株価を上げること」でした。
採用面接ではそのようなことはいっさい言われなかったのですが…。
私の席と、社長の席は近い場所にありました。
社長と他の役員や、古株の幹部社員たちとの会話が聞こえてくるのですが、株価のことばかり話しているのです。正直、胃が痛くなる想いでした。
だって、IR担当者の力で株価を動かせたら、それはスーパーマンです。株価を動かすのは個人投資家ではなくて、機関投資家です。
そして機関投資家は、その会社の業績が成長すると思えば株を買い続けますし、業績の成長がひと段落と判断すれば、機関投資家は株を売るのです。ですから、社長が株価を上げ続けたいと思うのなら、業績を成長させ続けるしかないのです。
──そう社長や役員に言ってやりたい気持ちを、何度も何度もぐっと堪えました。
女性の上司から、陰湿な嫌がらせを受けた。(客室乗務員→接客販売)
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新しい職場の仕事は、小売店での接客販売です。
前職と同じ接客業とはいえ、今度の仕事はお客様に満足していただくだけではなく、購入していただくところまで繋げなくてはなりませんでした。
更には個人ごとに売り上げノルマが設定されていて、毎月、毎日、数字数字と言われかなり精神的なストレスを受けました。
また、人間関係でも悩みました。
外から見ると仲良く見えていても、実はお客様の取り合いがあったり、自分の売り上げのため仲間を蹴落としたりなどといったことがあったのです。
また私は30代なかばで転職だったため、先輩の半分以上は年下でお互いにやりにくいと感じることもありました。他にも、直属の上司(店長)が女性だったのですが、女性スタッフにだけ雑務をさせて接客をさせない嫌がらせをするような人だったのです。
ノルマの厳しさと陰湿な女性上司に挟まれて、憂鬱な気持ちになる日が多くありました。
上に紹介した3名のエピソードは、30代の転職失敗理由に多く挙がった「業務内容がハード・能力以上のものを求められた」(69%)・「対人・人間関係の問題」(59%)に該当するものをピックアップしました。
エピソードを見る限り、どれも「入社してからでないと分からない」要因であり、こうした転職失敗ケースを回避するのは難しいと感じたかもしれません。
それでは、逆に「転職成功」となった30代の方々からはどのような傾向が見られるのでしょうか。
転職失敗ケースであった要因をうまく回避する、秘訣のようなものがあるのでしょうか。
詳しく見てみましょう。
30代転職で成功する人に良く見られる傾向
転職に「成功した」と答えた30代の主な成功理由(複数回答)
※ 30代の転職で「成功・やや成功」と答えた人の成功要因内訳 2024年11月 弊社調査による
失敗要因のグラフと比較すると、30代の転職成功要因のグラフは項目が多岐に分かれます。
つまり、転職成功の勝ち筋パターンは人によって様々なのです。
いちばん多かった「キャリアプランの再構築」とは、これからの働き方を以前から変えたことを指します。大きく職種を変えた人もいれば、職種や得意分野を変えずに業界を変えた人もいます。
そのほか、「転職エージェントの支援」「知人・友人の伝手」「ハローワークの支援」といった他者からの助けによって転職成功できたと感じる人が多いことも確認できます。
該当する30代の人の、実際のコメントについても見ていきましょう。
転職に「成功した」と答えた30代のコメント
飲食店エリアマネージャーから、未経験でIT業界にチャレンジ。(飲食業→インフラエンジニア)
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転職前は、飲食店でエリアマネージャーをしていました。
経営悪化で転職を余儀なくされたちょうどその頃、私は独学で始めたWebプログラミングに大変興味を持ち始めていて。改めてモノづくりの楽しさを知り、「もっとこういう経験を高めるために、IT業界にチャレンジしたい」という気持ちに変わっていったのです。
そして、35歳の誕生日を期に、転職活動に踏み切りました。「35歳で、いきなり未経験でのIT業界への転職は難しい」──きっと皆さん、そうお考えですよね。
私もそう思いました。それで、まずはIT系のオンラインスクールに通うことを考えたのです。
最初のうちは、(本当にオレでもプログラムが書けるようになるのかな?)という不安はありました。ですが、周囲の方のサポートが厚く、すぐにその不安は払しょくされていきました。
そして、最終的にはアンドロイドアプリ(スマートフォン上で動作するアプリケーション)を自作できる程まで成長できたのです!そこでのサポートによって、その1ヵ月後には「ここに一番入社したい」と思える会社に入社できたのです。
──本当に、嬉しかったですし、充足感を持てましたね。「チャレンジしてよかった!」って。
転職エージェントから、新しいキャリアを提案してもらえた。(塾講師→研修会社 企画)
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転職は、まず転職エージェントに登録して、キャリアアドバイザーとの面談に臨みました。
そこで「(前職と同じように)塾の講師職を希望したい」と伝えたのですが、アドバイザーからも今のライフスタイルだと続けることは難しいだろうと言われてしまいました。
──なんだ、結局ここでも働くのは無理だと言われてしまうのか、と悲しい気持ちになっていたところ、
「講師のお仕事をしていて、どんな点に満足感があったのでしょう。講師のお仕事ではなくとも、同じような満足を感じられる仕事があるかもしれないので、少し深堀っていきませんか」
と言ってくれて。それで、私も(そうだ、講師にこだわらなくても良いじゃないか)という気分になって、これまで自分がどんな知識・スキルを養ってきたか、どんなことにやりがいや充実感を持ってきたかについて、色々話しました。
話していく中で、私はあることに気付きました。
それはとってもシンプルな感情で、「私は、『働いている』という実感を持てていることに、安心する」ことでした。
そのことをアドバイザーに伝えたところ、「それでは、自分で考えたり創意工夫をしていける仕事で、かつママとしても働き続けられる職場を探していきましょうか」と、提案してくれ、私の転職活動の軸を定めてくれました。
それからアドバイザーの方は定期的に私が興味を持ちそうな求人を紹介してくれて、本格的な転職活動が始まりました。
ただ、大変だったのはまさにここからでした。
頑張って作成した職務経歴書を提出しても、書類審査の時点で落とされることも多かったですし、何よりも転職面接のスケジューリングが大変でした。
面接の際は、子どもの面倒を誰かに頼まなくてはなりません。誰も頼めない時には1日型の保育園に子どもを預けなくてはいけないこともあり、辛くて辞めてしまおうかと思うこともありました。
幸運だったことは、担当アドバイザーの方も育児と仕事を両立した経験のある方で、適切なアドバイスと、ときにいたわりの言葉をかけ続けてくれたことです。
また、最初は私の転職活動にやや反対気味だった両親も、ときに子どもを預かってくれたりするようになりました。
転職活動を始めて2ヵ月が経ったとき、とある研修会社から「働くママさんの意見が欲しい」という話をいただき、そこでようやく、ご縁をいただけました。
複数の転職エージェントに応募。そのうち一社は、とても真摯に対応してくれた。(精神保健福祉士→事務職)
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転職前、私は「精神保健福祉士」として正社員として働いていました。
休みは週1日と少なく、給料は手取りで16万円ほどでした。
やりがいも感じられず、ただ黙々と作業を15時までして、残務処理をして、17時半に終わって帰る──そんな感じでした。
今より、もっと収入を多くしなければならない。
そして、妻の前でも暗い顔をせずに済むように、もっとやりがいのある仕事をしたい。──そう考えて、私は転職をすることに決めました。
転職エージェントは、dodaとリクルートエージェント、そしてマイナビ介護職に登録しました。
そのうち、dodaからは「現在、紹介できる求人がありません」と断られてしまいました。
リクルートエージェントとマイナビ介護職はかなり昔に登録していたこともあってか、「こんな求人がありますがどうですか?」と提案してくれ、実際の応募時には履歴書、職務経歴書の書き方のアドバイスなどの相談に乗ってくれました。そこからも応募しては落ちて、を何度も繰り返すことになりましたが、9月になってようやく、学校法人の事務職の仕事の内定をもらえました。リクルートエージェントからの紹介でした。
転職に成功したと答えた30代のエピソードに共通して多く見られるのは、以下の三点です。
- 「転職で目指す領域」を明確にしていること
- 転職後ではなく、転職中に多くの苦労をしていること
- 転職エージェントやハローワークなど、周囲からの支援を得られていること
ふたつ目の「多くの苦労」とは、具体的には「新しい知識の獲得(また資格の取得)」や、「妥協せずに応募し続ける姿勢」などが挙げられます。
いずれにせよ、転職成功とは「スマートに転職活動を進められる」ことではなく、「満足いく転職に向けての行動の量・質を可能な限り高めていく」ことにあるといえるでしょう。
3)30代の転職の成功率を高めるための取り組み4点
ここからは、30代の転職の成功率を高めるための具体的な対策・取り組みについてお伝えします。
これから転職を始める30代の人、すでに転職活動中の30代の人も、以下の対策・取り組みで「この対策はあまり意識できていなかった」というところからチェックしていってください。
今回の転職はゴールではなくスタート。転職のその先のキャリアプランを立てる
当たり前の話ですが、転職とはキャリアのゴールではなく一つの転換期、いわば新しいスタートを切る機会です。
もし、現在転職することだけに目が向いていてその後のことをあまり考えられていないようなら、まずは転職後も踏まえたキャリアプランを立てておくべきでしょう。
30代転職の失敗理由で多かった要因が「業務内容がハード・想像していたのと違った」であり、一方の成功者に多く見られた取り組みが「キャリアプランの再構築」であったことを思い返してください。
転職成功の確率を最大限高めるために、キャリアプラン立ては非常に重要です。
30代のキャリアプラン立ては、どうやって進めればよい?
転職成功に向けてのキャリアプラン立ては、以下のステップで進めるのがよいです。
- ①キャリアの棚卸しをする
- ②(①をもとに、)キャリアビジョン・キャリアプランを立てる
- ③(②をもとに、)今回の転職の方針立てをする
①のキャリアの棚卸しとは、これまで携わった仕事内容・役割、学べたこと・身に付いたことなどを振り返り、「自分が向いている仕事」をより明確にすることです。
以下のように時系列ごとに携わった仕事内容・役割、学べたこと・身に付いたことなどをまとめていきます。
※これからキャリアの棚卸しを作成する人は、よろしければ「キャリアの棚卸し作成表」ファイルをダウンロードしてお使いください。
キャリアの棚卸しの記入例
期間 | 2003年4月~2010年9月 | 2010年10月~2015年3月 | 2015年4月~現在 |
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業界・職務 |
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仕事内容・役割 |
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学べたこと・ 身に付いたこと |
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とくに意識して 取り組めたこと |
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情熱を掲げられたこと |
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失敗したこと |
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失敗からの教訓・ 学んだこと |
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※横にスクロールして右側の情報を確認できます。
キャリアの棚卸しを終えたら改めて、「これから先の人生で、どんな働き方を私はしたいのか」を考えてみてください。あなたが望んでいる働き方のイメージが、より明確になるはずです。
キャリアの棚卸しをしたあとは、②キャリアビジョンとキャリアプランを描いていきます。
キャリアビジョンは、あなたが未来に「こういう働き方をしたい」というイメージのことです。
そして、キャリアプランとは、そのイメージを実現するためのプランニング(行動計画)のことをいいます。
キャリアビジョンとキャリアプランは、以下のように時系列に落とし込むことによって考えを整理しやすくなります。
キャリアビジョンとキャリアプランの記入例
キャリアビジョンとキャリアプランは、近い未来についてはやや具体的に、遠い未来については抽象度を高めて作ることです。
「この業種・職種で働く」よりも、「こういう働き方・活躍がしたい」という書き方の方が、イメージを持ちやすく、かつ転職を考えた際の候補も広げやすくなります。
キャリアビジョンとキャリアプランの内容をもとに、今回の転職の方針を定める
キャリアビジョン・キャリアプランを作成したのちは、今回の転職がその一歩になるための③転職方針を掲げます。
転職方針を持っておくことによって、求人選びや優先度整理の際に迷いのない選択がしやすくなり、ミスマッチ転職のリスクを軽減できます。
キャリア・転職の相談ができる相手を最低2人以上持つ
30代の転職成功者で、「誰からのサポートも受けず、ひとりで転職活動をした」という人は少数派です。
さきに説明したキャリアプラン立てにおいても、転職エージェントやハローワークの相談員などからアドバイスを受けつつ固めていった人が多いです。
こうしたキャリア相談・転職支援の専門家からのサポートは、積極的に受けた方がよいでしょう。
転職活動を相談できる相手といえば以下が挙げられますが、これらのうち有料となるのはキャリアコンサルタントのみで、そのほかは大抵のケースにおいて無料で相談ができます。
- 転職エージェント
- ハローワークの相談員
- 同じ業界・職種にいる知人・友人
- ヘッドハンター
- キャリアコンサルタント
ひとりの人の意見はどうしてもその人の価値観や考え方のバイアスを受けがちです。あなたとの相性の問題もありますので、可能な限り複数の相談者を持つことをおすすめします。
たとえば「転職エージェント」メインで転職活動をする場合、転職成功している人は平均4.2社に登録しています(※リクルート社調べ)。
また、転職エージェントとハローワークを併用する人や、転職エージェントのサポートを請けながら知人・友人の伝手を探す人も多いです。
より具体的な活用例で言えば、転職サイト「リクルートダイレクトスカウト」では、サービス登録後に約4,500名のヘッドハンターの中から「この人にキャリア相談したい」というヘッドハンターを自分で選んで、かつ複数人に相談できます。
意識すべきは「どの相談者がいちばん良いかは、自分次第」ということです。
転職エージェントのサポートが役立った人もいれば、ハローワークの相談員がいちばん親身になってくれて励みになった人もいます。
あなたにとって一番の転職パートナーを見つけるためにも、「まずは複数の相談者にアプローチする」を意識してください。
「自分に合った企業」の定義を持っておく
さきに紹介した30代の転職の失敗理由では、「業務内容がハード・能力以上のものを求められた」、「組織文化へのギャップ」「期待していた業務と異なっていた」がありました。
これらは、事前に企業研究をしっかり行うことで回避できる可能性があります。
企業研究をすることは、以下のメリットにも繋がります。
- 自分のキャリアプランに合うかの見極めができる(応募の判断がしやすくなる)
- 面接時の対応の際にその企業のことが分かっていると、落ち着いて対応しやすい
- 「この会社に入社して、本当に問題ないか」の決断もされやすくなる
企業研究 見るべきポイント
観点 | 確認ポイント |
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経営方針 |
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成長性 |
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業務内容 |
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育成・福利厚生 |
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社風 |
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上記に挙げた項目で、どれを優先して大事にするかは人それぞれでしょう。
「年収などの待遇条件がいちばん気になる」という30代の人も多いでしょうが、それだけで企業を選ぶのは危険です。
「転職で、この部分は確実に叶えたい」というものを2つ~3つほど定めておきましょう。
それがあなたの今回の判断の軸、そして「転職の軸」にもなります。
「30代ならでは」の自己PRができるようにする
転職活動の山場となる、書類選考と面接選考。
とくに転職慣れしていない30代の人は、これらの準備や選考結果に不安を感じると思います。
書類選考の対象となる職務経歴書、そして企業面接には「多くの場合、こういう形式が企業から好まれる」という基本の型(手本)があります。まずはその型について知っておくとよいでしょう。
職務経歴書の「基本の型(手本)」紹介記事
職務経歴書の書き方・見本 職務経歴書の目的・効果的な書き方と、タイプ別の見本・テンプレートを紹介しています。 |
採用面接のの「基本の型(手本)」フェーズ別 紹介記事
①序盤編(自己紹介・自己PR) 企業面接での自己PR・自己紹介をする際のポイント・注意点、およびよくある質問と回答例を紹介しています。 | |
②中盤編(志望理由・転職理由) 企業面接で必ず訊かれる「志望理由」・「転職理由」に関わる応答でのポイント・注意点、およびよくある質問と回答例を紹介します。 | |
③適性・職務要件確認編 企業面接で、面接官が転職者の適性、知識・スキルの確認時に訊かれる「適性・職務要件」の確認でのポイント・注意点、およびよくある質問と回答例を紹介します。 | |
④最終面接・役員面接・条件確認編 企業の最終面接、役員面接、条件確認時におけるポイント・注意点、およびよくある質問と回答例を紹介します。 | |
⑤「女性ならではの質問」編 企業面接において、女性転職者が受けやすい質問・確認について、ポイントと注意点、およびおすすめの受け答え方法を紹介しています。 |
そのうえで、30代の転職者の方々は職務経歴書および面接において「30代ならではの自己PR」ができるよう、準備しておくとよいでしょう。
「30代ならではの自己PR」とは、企業にコミッション(約束)をすること
「30代ならではの自己PR」とは、「企業へのコミッション(約束)をすること」です。
つまり、自身の志望理由や強み・適性を伝えるだけでなく、「私を採用してくれたら、こんな成果を出します」という入社後の活躍をPRするのです。
20代前半までの自己PRと30代以降の自己PR 比較
- 20代前半
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これまで人事部の一員として働き、主に採用・社内研修の業務に携わりました。
- 30代
-
これまで人事部の一員として働き、主に採用・社内研修の業務に携わりました。
とくに採用における応募者数の確保と選考フローの整備、採用後のオンボーディングでの経験を積んでいます。御社においては主事業で活躍する●●人材の継続的な採用および定着・成長支援の需要は高いと想像しています。そこでの取り組みおよび仕組み化について、私のこれまでの経験が役立てられると思っています。
また、私自身も学ばせていただきつつ御社の人材の成長に最大限寄与できればと考えております。
「30代ならではの自己PR」のポイントは、「未来の活躍」にフォーカスした自己PRにすることです。
もちろん、こうした自己PRは実際にそれができるとご自身で思えていることが大事であり、また採用企業の求めるところを把握するうえでの企業研究も欠かせません。
「こんな自己PRを考えるのは、大変そうだ」と思った人もいるかもしれません。
ですが、それは他の応募者もそう思っているわけで、それをやることによって他の候補者よりも先行で数歩リードできるのです。
実際に受け答えできるかどうか確認したい人、または不安な人は、いちど以下の質問の応対についてシミュレーションしてみてください。
- 「あなたを採用することで、うちの会社はどんなメリットがありますか」
実際に、採用面接の際にされることのある質問文です。
対する回答文を、きちんと企業ニーズに合わせた自己PRにしていくこと、かつ応募企業ごとに準備しておけるのがベストです。
4)30代の転職によくある質問
Q1 30代の転職の、おすすめ転職サイト・エージェントを教えてください
30代の転職におけるおすすめ転職サイト・エージェントについては、利用する人のタイプ・状況・転職スタイル(急いでやるのか、じっくりやるのかなど)によっても変わります。
以下のタイプ一覧をみて、自分が合致すると思えるところからチェックしてみてください。
30代タイプ別のおすすめ転職サイト・エージェント
とにかく、急いで転職したい人
「とにかく、急いで転職したい」「積極的に求人情報を集めたい」30代の人は、求人数が豊富な大手転職エージェント、および企業やエージェントからのスカウトを見込める転職サイトに登録しておくとよいでしょう。
たとえばリクルートエージェントやdoda、ワークポートでは常時豊富に求人を取り揃えており、「サービスに登録したが、求人をほとんど紹介されない」となるリスクを軽減できます。
また、これまでの支援実績からスピーディかつ効率的なサポートを受けられるでしょう。
サービス名 | リクルートエージェント | doda | ワークポート |
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特徴 |
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公開求人数 | 約49万件 | 約26万件 | 約11万件 |
得意業界/職種 | ◎全業界 | ◎全業界 | ◎全業界 |
対象年代 | ◎全年代 | ◎全年代 | ◎全年代 |
対象地域 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 |
おすすめの人 |
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登録先サイト |
表内の求人数は2024年11月時点のものです。
そのほか、リクナビNEXTやビズリーチ、Greenといった転職サイトにも登録しておくと、企業やエージェントから直接スカウト・オファーが届くこともあります。
サービス名 | リクナビNEXT | Green | ビズリーチ | LIBZ |
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特徴 |
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公開求人数 | 約90万件 | 約4,000件 | 約14万件 | 非公開 |
得意業界/職種 | ◎全業界・職種 | ◎全業界・職種 | ◎全業界・職種 | 営業・企画・管理・販売系職種 |
対象地域 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 |
スカウトの多さ | ◎多い | ◎多い | ◎多い | ◎多い |
おすすめの人 |
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サービス登録先サイト |
表内の求人数は2024年11月時点のものです。
これらのサービスを利用する際は、サービス登録時に入力する職歴情報(Webレジュメ)を丁寧に記入することです。
職歴情報の充実度がそのままサポート品質やスカウトを受ける数に関わることも少なくないからです。
また、年収についてのこだわりがそれほど強くないのなら、ハローワークにも登録しておくことをおすすめします。
ハローワークでは地域企業の求人が豊富で、転職サイト・エージェントからは紹介されない優良企業のものを確認できることもあるからです。
高年収帯の求人は少なめですが、全くないとは言い切れません。たまに好条件の求人が出ていることもあります。
じっくり機をうかがいながら、中長期的に転職活動を進めたい人
じっくり機をうかがいながら、中長期的に転職活動を進めたい30代の人は、先に紹介した「キャリアを一緒に考えてくれるパートナー」を意識してサービスを選ぶのがよいと思います。
たとえば転職サイト「リクルートダイレクトスカウト」は、「この人にキャリア相談したい」というヘッドハンターに自分で選んで相談できます。
また、以下の転職エージェントは「話をよく聞いてもらえた」という評判が多いです。
サービス名 | マイナビエージェント | ヒューレックス | LHH転職エージェント | パソナキャリア | JACリクルートメント |
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特徴 |
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公開求人数 | 約6.9万件 | 約2.6万件 | 約1.5万件 | 約4.0万件 | 約2.1万件 |
得意業界/職種 | ◎全業界 | ◎全業界 | ◎全業界 | ◎全業界 | ◎全業界 |
対象年代 | ◎全年代 | ◎全年代 | ◎全年代 | ◎全年代 | ◎全年代 |
対象地域 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 |
おすすめの人 |
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サービス登録先サイト |
表内の求人数は2024年11月時点のものです。
ただし、担当につくエージェントのタイプや相性の問題もありますので、一社のみに絞っての利用はおすすめできません。
担当エージェントの「合う・合わない」もありますので、複数の転職エージェントに登録して、自分に合う担当を見出してそこに利用を絞っていくやり方がおすすめです。
これも一概には言えませんが、大手転職エージェントよりも中小規模のエージェントの方が丁寧なサポートを提供することが多いです。また、地域密着型のエージェントでは「丁寧さ」をウリにしたサービスが多く見られます。
以下、参考に都道府県別のサポート品質に定評のあるエージェントもまとめましたので、お住まいの地域で活動するエージェントも併せてチェックしてみてください。
都道府県 | 転職エージェント|都道府県内の拠点 |
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北海道 | |
青森県 | |
岩手県 | |
宮城県 | |
秋田県 | |
山形県 | |
福島県 | |
茨城県 | |
栃木県 | |
群馬県 | |
埼玉県 | |
千葉県 | |
東京都 | |
神奈川県 | |
新潟県 | |
富山県 | |
石川県 | |
福井県 | |
山梨県 | |
長野県 | |
岐阜県 | |
静岡県 | |
愛知県 | |
三重県 | |
滋賀県 | |
京都府 | |
大阪府 | |
兵庫県 | |
奈良県 | |
和歌山県 | |
鳥取県 | |
島根県 | |
岡山県 | |
広島県 | |
山口県 | |
徳島県 | |
香川県 | |
愛媛県 | |
高知県 | |
福岡県 | |
佐賀県 | |
長崎県 | |
熊本県 | |
大分県 | |
宮崎県 | |
鹿児島県 | |
沖縄県 |
エージェントのサポート品質を重視する人は、あわせて「担当者との適切な付き合い方」を知っておくべきでしょう。相手をあなたのキャリアを支援するビジネスパートナーとして接し、信頼関係を育んでいくことが活動品質とも直結しやすいからです。
年収600万円以上・ハイクラス向けの条件で転職したい人
今回の転職で年収600万円以上を目指す人や「キャリアアップや年収アップを果たしたい」という30代の人は、ハイクラス向けの転職サービスを利用するとよいでしょう。
好待遇の求人はピンポイントのタイミングで募集されることが多く、その殆どが「非公開求人(転職サイトなど一般の求人媒体には紹介されない求人)」か、それぞれの転職エージェントのみが持つ「独占求人」です。
よって、ハイクラス向けの転職エージェントは中長期的に利用するイメージで、かつ複数登録しておくのがおすすめです。
以下に紹介するのは、特にミドル世代向けの転職支援実績の豊富な、ハイクラス向けの転職エージェント(一部ヘッドハンターサービス)です。
サービスの特徴を見て、自分に合いそうと感じたものから登録を検討してみてください。
サービス名 | doda X | WARCエージェント | JACリクルートメント | ビズリーチ | リクルートダイレクトスカウト | パソナキャリアハイクラス |
---|---|---|---|---|---|---|
特徴 |
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公開求人数 | 約6.0万件 | 非公開 | 約2.1万件 | 約14万件 | 約40万件 | 約1.4万件 |
得意業界/職種 | ◎全業界 | 経理・財務、人事・労務、法務、総務、情報システム部門など | ◎全業界 | ◎全業界 | ◎全業界 | ◎全業界 |
対象年代 | ◎全年代 | ◎全年代 | ◎全年代 | ◎全年代 | ◎全年代 | ◎全年代 |
おすすめの人 |
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サービス登録サイト |
表内の求人数は2024年11月時点のものです。
Q2 転職活動は在職中から行うべきか、退職してからの方がよいでしょうか
転職活動は、まず「在職中から始める」ことを意識した方がよいでしょう。
在職中から活動を始めれば、無職中の収入が途絶えるリスクを軽減できるからです。
活動にかかる期間をあらかじめ知ることはできません。半年~数年かかってようやく次の転職先が決まったという人もいますので、安易に「1~2ヵ月で決まるだろう」と判断しないことをおすすめします。
一方で、「平日は仕事で忙しく、転職活動にかける時間を持てない」という人もいると思います。
その場合はまず、「1日5~10分の求人チェック」からはじめ、あわせて土日のサポートも行っている転職エージェントにも登録しておくとよいでしょう。そのほか、一部地域のハローワークでは土日対応しているところもあります。
転職活動に集中したいため、退職してからアクションを起こしたいという人も、なるべく在職中にできることを見つけて活動自体は始めておきましょう。
「転職しよう」と決めた時点で、優先すべきは今いる職場よりも新しい職場のはずです。
現職を最後までしっかり勤め上げる姿勢も大切ですが、「これから先の仕事・人生」がおざなりになることのないよう、ご注意ください。
Q3 30代の転職活動は、平均してどのくらいの期間がかかりますか
転職活動にかかる期間はおおよそ3ヵ月と言われており、年代による差異はそこまで大きくありません。
ただし、転職はとうぜん「早ければよい」というものではありません。時間をじっくりかけて転職成功を果たす人も少なくありませんので、「自分に合った進め方」を意識するべきでしょう。
もし「急いで転職を決めたい」と思うのなら、まずは「行動量(求人応募の数・ペース)」を上げていくことです。
書類審査の通過率は10~30%、採用面接の通過率は10~20%ほどといわれています(人気の職種・業種においては、通過率は更に低くなります)。
参考:マイナビ転職「平均応募社数や選考通過・内定の確率はどれくらい?」の内容を元に、弊社にて図作成
応募から内定まで進むのは、おおよその確率として4.5%。
もちろん必ずしも上の確率の通りになるということではありませんが、計算上では1社の内定を得るのに約22社の応募が必要になります。
上記で挙げた応募数に対して「どれくらいの期間・ペースで対応できるか」を考えると、より具体的な活動期間のイメージが持てると思います。
Q4 30代向けの求人は、20代と比べて少なくなりますか
業種・職種にもよりますが、30代前半では20代の求人数とそれほど差はありません。
ただし、30代後半になると「全体求人数はおおよそ半減する」といいます。
若年層を対象とした求人がカテゴリ外になるためです。
一方で、年齢よりもスキル・経験を重視する企業も少なくありません。
また、求人数の少なさは、転職活動の行動量を増やすことによって解消が見込めます。
30代だからといって変に年齢を気にすることなく、経験とポテンシャル、そしてやる気で勝負していこうという気持ちで臨んだ方が、道は開かれやすいでしょう。
Q5 転職エージェントからサポートを断られることはありますか
転職エージェントにサポートを申し込んだものの、サポートを断られてしまった場合には、以下のような原因が考えられます。
希望条件と職歴が見合っていなかった
転職エージェントの保有求人状況によって、または希望条件に見合う職歴でないと判断された場合、「見合った求人がありません」と断られてしまうことがあります。
短期間での転職を繰り返している
転職エージェントサービスでは「短期間での転職を繰り返している」人へのサポートを敬遠しがちです。「再度短期の転職をされると、紹介企業からの信頼を失ってしまう」というリスクがあるからです。
エージェント側の都合(繁忙期など)により、優先度を下げられてしまった
繁忙期などで「転職者が多くて、さばききれない」ときに、すぐに転職する予定ではない転職者や、内定獲得まで若干の時間を要することが見込まれる転職者に対して、担当側で優先度を下げてくる可能性もあります。
これらの理由でサポートを断られてしまった場合は、以下の対策を取ることをおすすめします。
- 転職サイトを使って「自分から求人応募する」スタイルの転職活動に切り替える
- 他の転職エージェントサービスに登録する
対策の詳細は、以下記事に詳しく紹介しています。興味のある人はあわせてご覧ください。
まとめ)30代転職の成功率は高い。「キャリアプランの俯瞰」も大切に
ここまでの内容を、まとめてみましょう。
- 30代の転職成功率は84%。転職をした30代の5人に4人が、「転職は成功だった」と答えている
- 30代の転職の主な失敗要因はミスマッチ。なかでも「業務内容がハード・能力以上のものを求められた」「対人・人間関係の問題」によるものが多い
- 成功要因で最も多いのは「キャリアプランの再構築」。そのほか転職エージェントやハローワークといった他者からの助けによって転職成功できた人も多い
- 今回の転職はゴールではなくスタート。転職のその先のキャリアプランを立てる
- キャリア・転職の相談ができる相手を最低2人以上持つ
- 「自分に合った企業」の定義を持っておく
- 30代ならではの自己PRができるようにする
企業からの印象が良く、転職に適した年代といわれる30代——。転職によってキャリアアップを目指せるチャンスも豊富にあることから、好条件の求人に惹かれる人も少なくないでしょう。
しかし、30代以降のキャリアを考えたとき、「これまで」よりも「これから」のキャリアのほうがはるかに長く、紆余曲折に遭遇することが予想されます。
転職を決断するとき、直近の仕事と転職直後に取り組みたいことにフォーカスしがちですが、より長い目でキャリアを捉え直し、俯瞰する視点を持つことが大切です。
キャリアを俯瞰しておくことは、転職後に新たな環境へと適応し、着実に能力を発揮していく上でも欠かせないプロセスです。
近視眼的にならず、キャリアを大きな枠組みで捉える視点を持つことを心がけましょう。
そうすることで、のちのち「決断してよかった」と思える転職にできるはずです。