50代の転職の成功率はどのくらい?参考にすべき成功例と対策4選
[最終更新日]2024/12/11
50代からの転職を検討する際に、「他の50代の人はどうやって転職しているんだろう」「50代の転職の成功率はどのくらい?」と気になる人は多いと思います。
実際に転職活動をする50代の人は年々増え続けており、総務省統計局の労働力調査によると、2021年における国内の45~54歳における年間転職者数は約52万人。10年前と比べて30%ほど増加しています。
一方で、50代の転職活動は厳しい・長期化しやすいという話を聞くこともあります。
50代の転職の門戸は広がりつつも、相応の難易度が伴っていることも事実としてあるでしょう。
目次
1)50代の転職成功率は、79%(※当社調べ)
当サイトに転職体験談などを投稿いただいた、50代の方々の転職成功率は79%でした(成功・やや成功の合計)。
※ 集計期間:2017年3月~2024年12月まで
※ 対象年齢層:50歳~59歳
※ 調査母数:105件
成功・失敗状況 | 割合 |
---|---|
成功 | 31% |
やや成功 | 48% |
やや失敗 | 14% |
失敗 | 7% |
50代で転職に踏み切った人の10人に8人近くが、ご自身の活動を「転職成功」と振り返っています。
「意外に多くの人が転職成功しているんだ」と思った人もいるでしょうし、「2割以上の人が失敗しているのは、やはりリスクがある」と感じた人もいるでしょう。
ですが、この数値だけでは、50代の転職活動の全容を推し量ることはできません。
転職失敗となるケース、成功となるケースにはそれぞれの傾向があるからです。
どのような傾向があるかについて、詳しく見ていきましょう。
50代の転職成功者に多く見られる傾向は、「他者からの支援・サポート」があること
50代で転職成功した人の多くは、その理由として「他者からの支援・サポートがあった」ことを挙げています。
転職に「成功した」と答えた50代の主な成功理由(複数回答)
※ 50代の転職で「成功・やや成功」と答えた人の失敗要因内訳 2024年12月 弊社調査による
上記グラフ「50代の転職の主な成功理由」では、知人・友人の伝手、転職エージェントのサポート、ハローワークの支援などが多いことが確認できます。
とくに「知人・友人の伝手」は他の年代と比べて高い割合にあり、これまで社内外で人脈を培った50代の人はこの傾向を意識しておくべきでしょう。
転職について相談できる人を多く持つことで、次の職場を見つける機会を増やせる可能性があります。
具体的にどのような経緯で転職成功となったのか、50代の方々の転職成功エピソードをいくつか見てみましょう。
具体的にどのような支援・サポートがあった?50代の方々の転職成功エピソード
2人目のエージェントから、自分に合った求人を紹介してもらえた(製造業 経理→製造業 経理)
-
リクルートエージェントに登録はしたものの、どこでもいいから入れてしまえば成果報奨が貰えるのか、いまいち親身にはなってくれない感がありました。
こちらの要望よりも、「あなたはもう年なんだから、自分の価値をよくわきまえて頂きたい」という声が聞こえてくるようでした。
また、あまり芳しい結果が得られない、苦しい日々が続きました。
そんな状況が数か月続いたある日、以前に登録していたビジネスSNS「Linkedin」から別の転職エージェントよりコンタクトを頂きました。
ちょっとやり取りをしたところ、「業界も同じところから最適な求人がありますよ」と言ってくれて。暗雲立ち込めた中で、一筋の光が差し込んだ感を受けました。
職業訓練で知り合った人の会社に入社(フリーランス→Web制作会社 Webデザイナー)
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ハローワークの相談員から「Webデザインの職業訓練」を紹介され、私はその訓練コースを受講することにしました。
幸いだったのは、定員30名のクラスに実際は15名しかおらず、その人たちが気質的に自分と近いものを持っていたことです。励ましあった結果、半年間無遅刻欠席を通し、無事卒業までやりきれました。
(専門の職業訓練校でしっかり学んだから、転職はもう大丈夫だろう)と、そんな根拠のない安心感を持っていたのですが、実際転職活動を始めてみたら、とても大変だということに気付きました。
なにしろ、応募できる会社自体がほとんどないのです。応募しても面接まで辿りつくことはめったにありませんでした。
そんな中、たまたま講義に来たWeb制作会社の社長と親しくなるという機会がありました。
自分の中で(この好機を逃してはいけない…!)と、柄にもなく「ぜひ御社に入れてください…!」と無理なお願いをしました。
すると、その社長は、私の願いを受け入れてくれたのです。
エージェントから「企業に通る」職歴書の指南を受けた(院内SE→社内SE)
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在職時から、転職エージェントへの登録を行って「良い求人はないか」とアンテナを張っていました。
担当エージェントの人から「自分自身のこれまでを振り返ること」を言われましたが、これには苦労しました。
たしかに、職務経歴書を書く際や転職面接を受ける際にはこれまでの経歴や培った知識・スキルを伝える必要があります。
ですが、担当エージェントさんが言うにはそれだけでは不十分で、「自分自身がどんな人で、どんな価値観や強み、そして課題意識があってここまで働いてきたか」まで振り返る必要があるというのです。そんなことを考えたことはありませんでしたし、正直なにも思いつきませんでしたので担当エージェントさんにそれを伝えると、「それでは、企業も採用しようと思ってくれませんよ」と厳しい指摘があって。
採用されないのは困りますし、改めて自分自身のこれまでのキャリア20数年間を振り返って、価値観や強みや得意なことを言語化していきました。
そのおかげがあってか、「ここ良さそうだな」と思った求人にいくつか応募した結果、結果2ヵ月ほどで転職先が決まりました。
上記3名の50代の人の体験談には、ふたつの共通点があります。
それは、はじめのやり方ではうまく行かなかったものの、それを『小さな失敗体験として、次のアクションに繋げたこと』、そして『積極的に相談相手を持とうとしたこと』です。
では一方の、「転職に失敗した」と答えた50代の人たちのエピソードはどのようなものだったのでしょうか。
50代の転職失敗で多く見られる傾向は、「入社後のミスマッチ」
50代の転職で「失敗した」と答えた人の失敗理由は、以下のとおりです。
転職に「失敗した」と答えた50代の主な失敗理由(複数回答)
※ 50代の転職で「失敗・やや失敗」と答えた人の失敗要因内訳 2024年12月 弊社調査による
もっとも多いのが、「対人・人間関係の問題」。次点の「期待していた業務と異なっていた」ともに、失敗理由の3割を占めます。
また、「前職を勢いで辞めてしまった」という理由もありますが、それ以外は主に「転職後に発覚した理由」です。
実際に転職失敗した人のエピソードも見てみましょう。
転職に「失敗した」と答えた50代のコメント
入社後の職場は同僚も上司もほとんど女性。すぐに「合わない」と感じた。(営業→カスタマーサポート)
-
転職したのは、キャンピングカーで使用するインバーターやバッテリーを取り扱うネットショップです。
私は、カスターマーサービスへ所属になり、お客様との直接の対応やメールでのやり取りおよび商品の説明に携わってることになりました。
女性が大半を占める職場で、上司も女性でした。女性の上司も結構気を使います。
一回り下の女性でしたが、正直やりにくところが多々ありました。結局、人の入れ替わりが激しい職場だったのと、上述した上司との性格の不一致もあり、私はこの会社も辞めることになってしまいました。
仕事についていけない。それでいて、プライドもある。(銀行 営業→銀行 営業)
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以前も銀行だったので同じような仕事をしていましたが、その時は基本的に優良企業が多い案件を取り扱っていたので、仕事内容もエネルギッシュになれるものが多かったのです。
しかし、嘱託社員として転職した先の職場ではネガティブな案件ばかり。
例えば、資金繰りのうまくいかなくなったお客様に保証協会への借り換えをお願いして回る日々だったりと、──正直、気に病む仕事ばかりでした。また、地銀から都銀への転職ということもあって、都銀は業務で扱う機器類も最新でデジタル化も進んでおり、50歳手前の私にはなかなか追いつけない負い目も感じてもいました。
私のほかにも嘱託社員の方は何人かいましたが、そういった「嘱託組」は、何と言いますか、おじいさんのかたまりのような雰囲気で、なんとなく同じだと思われたくなくて。
私は彼らともなかなか打ち解けられずに、仕事の鬱憤を溜め込んでいました。
上のエピソードを読まれて、「こうした状況になることは、あらかじめ予測できなかったのだろうか」と思った人もいるかもしれません。
ですが、50代に関わらず転職失敗になるときとは、そのほとんどがミスマッチ転職によるものです。
ミスマッチ転職とは、転職後に、転職者本人と企業のいずれか、あるいはお互いが「期待していたものと違った」と感じてしまうような、思うような活動や成果が発揮できない状況が続くことを指します。
では、50代のミスマッチ転職を防止するためには、どうすればよいのでしょうか。
次の章では、50代ならではの状況を踏まえつつ、ミスマッチをなくし転職成功に繋げるための対策をお伝えします。
2)50代の転職成功率を高めるための対策4つ
この章では、50代の転職成功率を高めるための対策として、多くの50代転職者の人たちが取り組んだ活動を参照しつつ、より普遍的な内容に落とし込んで説明しています。
「この進め方・やり方は意識していなかった」というものがあれば、それがあなたの転職成功率を高めるきっかけになるかもしれません。
興味のあるところから、チェックしてみてください。
「今、自分ができる仕事」と「これから成長したいこと」を明確にする
50代からの転職の際、はじめに行っておきたいのが「今、自分ができる仕事」と「これから成長したいこと」を明確にすることです。
先に紹介した50代の転職失敗理由で、「期待していた業務と異なっていた」「能力以上の業務を求められた」ケースが多かったことを思い出してください。
転職先の企業をしっかり調査することも大切ですが、まずは「己自信を知る」ことをおざなりにしてしまうと、ミスマッチ転職が起きやすいのです。
とくにこれまで総合職として働いてきた人は、「今、自分がどんな仕事ができて、新しい職場でどんな役割を任せてもらえるか」をイメージすることは簡単ではないはずです。
また、採用企業は転職者に対して「こんなことを覚えてほしい・学んでほしい」という領域があるものです。
どんなにこれまで経験を積んできたとしても、「今の知識・スキルで十分通用する」と考えるのは危険です。「新たに学びたい・成長したい領域がある」と思えており、かつそれが企業の求める領域とマッチしているのがベストです。
これらを明確にする方法についてイメージが付かない人は、いちど「キャリアの棚卸し」をしておくことをおすすめします。
キャリアの棚卸しの進め方
キャリアの棚卸しは、これまで携わった仕事内容・役割、学べたこと・身に付いたことなどを振り返り、「自分が向いている仕事」をより明確にすることです。
単に業種や職種だけを特定するのではなく、拠りどころとする知識やスキル、働き方のスタイルも含めて、働く自分の望ましい像をクリアにしていくのです。
キャリアの棚卸しをするメリットは、以下の3点です。
- 自身の強み・適性を再確認できることにより、ミスマッチのない求人選びがしやすくなる
- 新しい働き方を見つけるきっかけになる(選択肢の候補を拡げられる)
- 職務経歴書作成や選考面接の際に、自己PRをしやすくなる
キャリアの棚卸しは、以下のように時系列ごとに携わった仕事内容・役割、学べたこと・身に付いたことなどをまとめていきます。
キャリアの棚卸しの記入例
期間 | 2003年4月~2010年9月 | 2010年10月~2015年3月 | 2015年4月~現在 |
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業界・職務 |
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仕事内容・役割 |
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学べたこと・ 身に付いたこと |
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とくに意識して 取り組めたこと |
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情熱を掲げられたこと |
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失敗したこと |
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失敗からの教訓・ 学んだこと |
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※横にスクロールして右側の情報を確認できます。
キャリアの棚卸しをやる際のポイントは、これまでの業務を一つずつ、丁寧に振り返ることです。
たとえば一つの成果があったときにその結果だけでなくプロセスを見る、マネジメント経験がある場合はその役割だけでなく自分のマネジメントの型を見る、などです。
また、「何をしたか」だけでなく「それによって何を学んだか」まで考えます。
そして、キャリアの棚卸しを終えたら改めて、「これから先の人生で、どんな働き方を私はしたいのか」を考えてみてください。「あなたが望んでいる働き方」のイメージが、より明確になるはずです。
「率直に意見・ダメ出しをしてくれる相談者」を大事にする
多くの人は転職エージェントやハローワークなどの「相談者」の協力を得て、転職活動を進めます。
50代の転職活動においては、「率直に意見・ダメ出ししてくれる人(エージェントや相談員)」をとくに大切にすることをおすすめします。
逆の立場を想像すればわかることですが、他人に対して意見を言ったりダメ出しをするのはとてもエネルギーが要ることです。
つまり、それをする相手とは、それだけあなたに対して真剣に向き合っているということです。
波風立てずに調子の良いことを言って済まそうとするエージェントや相談員もいます。一方で、「希望条件を下げないかぎり、転職は難しい」など厳しいことを言ってくるエージェントもいるでしょう。
その場のコミュニケーションに限っていえば、気持ちよくやりとりできるのは前者の人たちですが、本当に転職成功に向けて働きかけてくれているのは後者の人たちです。
もちろん、相手も人なのでときに間違った判断をすることもあるかもしれません。
ですが、どんな意見においてもそれを受けとめることで新たな考えや行動が産まれるものです。
相手から「希望条件を下げたほうがよい」と言われたら、なぜそのような判断したのか、逆にどんな要素があればよいか、などを聞いてみるとよいでしょう。
最終的に行動を決めるのはあなたですので、「その意見は参考になる」と思えるものを取り入れればよいのです。
50代の転職で、「よき相談者」を得るためには
転職・キャリアの相談先と言えば、キャリアコンサルタント、ヘッドハンター、転職エージェント、それからハローワークの相談員などが挙げられます。
現在すでに相談相手を得ていて「この人は最高の相談相手だ」と思えるのなら、引き続きその人との信頼関係を育みつつの活動がよいでしょう。
「相談相手ではあるが、最高とは言い難い」と思うようなら、別の相談者にもアプローチするべきです。
「転職エージェントおよびハローワークの相談員のサポートのおかげで、転職成功できた」人は多いです。
転職支援のプロの支援があると、一人で活動を進めるときより断然スムーズになります。担当者との相性の良さを感じられるときは、一層でしょう。
また、「良い相談者」かどうかの見極めは、一つの相談先では判断しにくいはずです。複数の相談者を利用して、そのうえで比較しながら見極めることをおすすめします。
50代の転職は、「50代ならではの職務経歴書・面接対応」を
50代の転職経験者で、「書類審査や面接で、なかなか選考に通らなかった」と話す人は多いです。
この際に「年齢的な理由で、選考に落とされた」と感じてしまう人が多いですが、それよりも「50代ならではの職務経歴書・面接」の品質になっていたかをしっかり振り返るべきでしょう。
どういうことか、例をもって説明しましょう。
-
「私はこれまで、営業の仕事を通じて、お客さまに喜ばれることにやりがいを感じてきました。 御社の製品もファンとしてよく使わせていただいています。御社の経営方針の1つである海外進出、中でもアジアへの進出に大きな成長の可能性があると思っています。
ぜひ御社の一員として、自分自身の可能性を広げるとともにキャリアアップを図りたいと考え求人に応募しました。よろしくお願いします」
上のメッセージは、ある応募者の自己PR(志望動機の説明)の一節です。
このPRを聞いて、「とくに問題なさそう」と思った人は要注意です。
よくよく読み返してみると全体的に抽象度が高く、かつ企業にとって採用メリットを感じにくいPRだからです。
たとえば、「自分自身の可能性を拡げる」「キャリアアップを図りたい」、これらは言ってしまえば転職者の都合です。これを言われても相手はどう評価することもできませんし、最悪「自分のことばかり考えている」と評されてしまうリスクもあります。
加えて、「アジアへの進出に大きな成長の可能性があると思っている」とありますが、そもそも事業は可能性があるから始めるものです。単にそれに追随した意見を言うことに、意味はあまりないでしょう。
今度は以下の自己PRを読んでみてください。
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「私はこれまで主に法人営業としてのキャリアを築いてきました。3年前からはマーケティング業務にも携わり、社で新たに導入したCRMツールでは企画段階から関わって「効率的な営業の仕組み化」の実現に向けて取り組みました。
個人の営業成績としては●年間目標達成を継続しています。御社の注力製品である□□の海外展開においては、これからも多くのトライ&エラーと仕組み化が求められるかと思います。その際に、私のこれまでの経験を役立てられるのではと思っております。
ぜひ御社の成長・発展を担う一員として、そして私自身もともに成長していけるよう、応募しました。よろしくお願いします。
最初のPRと比べて、大分違いがあるのが分かると思います。
ポイントは、「私がこれまで培ったスキルと経験は、あなたの会社でも役立てられ、こういった成果が出せると考えています」ということを伝えられるかどうかです。
逆に、「私はこれまでこんなスキルと経験を培いました。だから雇ってください」というPRは、いわば20~30代の、若者の自己PRです。
50代の転職では、その上をいくPRを目指しましょう。
50代ならではの自己PR(職務経歴書・面接対応)は、どうやって準備すればいい?
50代ならではの自己PRは、丁寧なキャリアの棚卸し、そして企業研究をすることによって作りやすくなります。
自身の強みと企業のニーズの合致するところを、「将来自分が活躍する未来像」として描いていくのです。
とくに企業研究は選考を有利に進めるだけでなく、入社後のミスマッチを防止するうえでも非常に重要です。
企業研究 見るべきポイント
企業研究をする際に、優先して見るべきポイントは以下の通りです。
チェック項目 | 確認ポイント | どこで確認するか |
---|---|---|
事業内容 | 自分自身の知識領域にあるか、また今後も興味・関心を持ち続けられる内容かを確認する | 企業HP |
主力商品・サービス | その商品・サービスの開発・運用を自身が携わることになる際に、どの範囲まで知っていて、どの範囲を知らないかを確認する | 企業HP、業界ニュース、四季報、業界地図、競合他社のHPなど |
強み・独自性 | 同業他社をいくつか確認し、「この会社ならではの特色・強み」がどこにあるかを見出す | |
企業理念 | 企業理念から、求められる人物像(主にスタンス面)をイメージし、自身との適合性を確認する | |
社風・雰囲気 | 歓迎される人物像や業務への取り組み姿勢をイメージする | インタビュー記事、口コミサイトなど |
求められる知識・スキル | 現在の自身の知識・スキルと照らし合わせて、過不足を確認する | 企業HP、求人票など |
こうしたリサーチを重ねた結果、「この企業で働いてみたい」「こういった文化の会社なら馴染めそうだ」といった手応えを得られれば、入社後のミスマッチを軽減する効果が期待できます。
そのうえで、職務経歴書の作成および面接対応のセオリーも確認しておくことをおすすめします。
職務経歴書も採用面接も、ある程度汎用的に活用できる「型(手本)」があるからです。
それら型(手本)については以下記事で詳しく紹介しています。とくに転職慣れしていない50代の人は、ぜひチェックしてみてください。
参考:職務経歴書の見本・テンプレート紹介記事
職務経歴書の書き方・見本 職務経歴書の目的・効果的な書き方と、タイプ別の見本・テンプレートを紹介しています。 |
参考:面接のフェーズ別「質問例&回答例」紹介記事
①序盤編(自己紹介・自己PR) 企業面接での自己PR・自己紹介をする際のポイント・注意点、およびよくある質問と回答例を紹介しています。 | |
②中盤編(志望理由・転職理由) 企業面接で必ず訊かれる「志望理由」・「転職理由」に関わる応答でのポイント・注意点、およびよくある質問と回答例を紹介します。 | |
③適性・職務要件確認編 企業面接で、面接官が転職者の適性、知識・スキルの確認時に訊かれる「適性・職務要件」の確認でのポイント・注意点、およびよくある質問と回答例を紹介します。 | |
④最終面接・役員面接・条件確認編 企業の最終面接、役員面接、条件確認時におけるポイント・注意点、およびよくある質問と回答例を紹介します。 | |
⑤「女性ならではの質問」編 企業面接において、女性転職者が受けやすい質問・確認について、ポイントと注意点、およびおすすめの受け答え方法を紹介しています。 |
入社後の対応・心構えを知っておく
50代をはじめミドル層の転職で、入社後の現場環境や人間関係に悩んだ人はたくさんいます。
ちなみに、当サイト「みんなの転職体験談」でのアンケートによると、「転職後の人間関係で苦労しましたか?」というアンケートでYESと答えた50代以降の人はなんと96%でした。
つまり、ほとんどの50代の人が転職後の新しい職場で、人間関係に苦労しているのです。
50代の転職においては、こうした転職後の実情をしっかり踏まえたうえで、転職先を決めた後も以下への取り組みを意識しておくべきでしょう。
- How to live:その組織のルール、規範に自分がどう馴染むか
- How to learn:その組織に馴染んだうえで、どう学ぶか
- How to work:その組織でどう働き、機能するか
- How to influences:その組織で、どう影響力を発揮するか
参照:「いつでも転職できる」を武器にする 市場価値に左右されない「自分軸」の作り方 (松本 利明著 p.172).
50代の転職後のアクションは、人間関係構築とその企業に馴染むことを優先する
ミドルの転職では、入社後に「即戦力」を求められがちです。
ですが、入社から翌日ですぐにパフォーマンスを発揮できる転職者など、そういないでしょう。
たとえ同じ業種・職種環境への転職であったとしても、仕事の進め方やそこに関わる人間に違いがあるからです。
そのため、50代の人が転職して新しい職場に入ったら、まずはインプットと、そして人間関係構築への働きかけを優先度高めで行動することをおすすめします。
ちなみに、先にお伝えしたアンケートで「転職後の人間関係でうまく行った人たち」が採った対策で最も多かったのが、「相手を受け入れる」「いったんプライドを捨てる」というものでした。
つまり、転職後にうまく行く人に多く見られる傾向とは、すぐにパフォーマンスを発揮する人よりも、周りとうまくやれる人なのです。
転職前にこうした傾向も知っておくと、新しい職場に向けてより適切な準備ができるようになるのではないでしょうか。
3)50代の転職によくある質問
Q1 50代の転職におすすめの転職サイト・エージェントはありますか
50代の転職におけるおすすめ転職サイト・エージェントについては、利用する人のタイプ・状況・転職スタイル(急いでやるのか、じっくりやるのかなど)によっても変わります。
以下のタイプ一覧をみて、自分が合致すると思えるところからチェックしてみてください。
50代タイプ別のおすすめ転職サイト・エージェント
とにかく、急いで転職したい人
「とにかく、急いで転職したい」「積極的に求人情報を集めたい」50代の人は、求人数が豊富な大手転職エージェント、および企業やエージェントからのスカウトを見込める転職サイトに登録しておくとよいでしょう。
たとえばリクルートエージェントやdoda、ワークポートでは常時豊富に求人を取り揃えており、「サービスに登録したが、求人をほとんど紹介されない」となるリスクを軽減できます。
また、これまでの支援実績からスピーディかつ効率的なサポートを受けられるでしょう。
サービス名 | リクルートエージェント | doda | ワークポート |
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特徴 |
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公開求人数 | 約49万件 | 約26万件 | 約11万件 |
得意業界/職種 | ◎全業界 | ◎全業界 | ◎全業界 |
対象年代 | ◎全年代 | ◎全年代 | ◎全年代 |
対象地域 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 |
おすすめの人 |
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登録先サイト |
表内の求人数は2024年11月時点のものです。
そのほか、リクナビNEXTやビズリーチ、Greenといった転職サイトにも登録しておくと、企業やエージェントから直接スカウト・オファーが届くこともあります。
サービス名 | リクナビNEXT | Green | ビズリーチ | LIBZ |
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特徴 |
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公開求人数 | 約90万件 | 約4,000件 | 約14万件 | 非公開 |
得意業界/職種 | ◎全業界・職種 | ◎全業界・職種 | ◎全業界・職種 | 営業・企画・管理・販売系職種 |
対象地域 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 |
スカウトの多さ | ◎多い | ◎多い | ◎多い | ◎多い |
おすすめの人 |
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サービス登録先サイト |
表内の求人数は2024年11月時点のものです。
これらのサービスを利用する際は、サービス登録時に入力する職歴情報(Webレジュメ)を丁寧に記入することです。
職歴情報の充実度がそのままサポート品質やスカウトを受ける数に関わることも少なくないからです。
また、年収についてのこだわりがそれほど強くないのなら、ハローワークにも登録しておくことをおすすめします。
ハローワークでは地域企業の求人が豊富で、転職サイト・エージェントからは紹介されない優良企業のものを確認できることもあるからです。
高年収帯の求人は少なめですが、全くないとは言い切れません。たまに好条件の求人が出ていることもあります。
じっくり機をうかがいながら、中長期的に転職活動を進めたい人
じっくり機をうかがいながら、中長期的に転職活動を進めたい50代の人は、先に紹介した「キャリアを一緒に考えてくれるパートナー」を意識してサービスを選ぶのがよいと思います。
たとえば転職サイト「リクルートダイレクトスカウト」は、「この人にキャリア相談したい」というヘッドハンターに自分で選んで相談できます。
また「JACリクルートメント」や「パソナキャリア」、「LHH転職エージェント」といったミドル層への転職支援の実績な転職エージェントの登録も検討するとよいでしょう。
これらの転職エージェントは求職者のペースに合わせてサポートを行われることが多く、「担当から急かされた」などの利用者からのネガティブ評価はほとんど見られません。
サービス名 | マイナビエージェント | ヒューレックス | LHH転職エージェント | パソナキャリア | JACリクルートメント |
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特徴 |
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公開求人数 | 約6.9万件 | 約2.6万件 | 約1.5万件 | 約4.0万件 | 約2.1万件 |
得意業界/職種 | ◎全業界 | ◎全業界 | ◎全業界 | ◎全業界 | ◎全業界 |
対象年代 | ◎全年代 | ◎全年代 | ◎全年代 | ◎全年代 | ◎全年代 |
対象地域 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 |
おすすめの人 |
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サービス登録先サイト |
表内の求人数は2024年11月時点のものです。
ただし、担当につくエージェントのタイプや相性の問題もありますので、一社のみに絞っての利用はおすすめできません。
担当エージェントの「合う・合わない」もありますので、複数の転職エージェントに登録して、自分に合う担当を見出してそこに利用を絞っていくやり方がおすすめです。
これも一概には言えませんが、大手転職エージェントよりも中小規模のエージェントの方が丁寧なサポートを提供することが多いです。また、地域密着型のエージェントでは「丁寧さ」をウリにしたサービスが多く見られます。
以下、参考に都道府県別のサポート品質に定評のあるエージェントもまとめましたので、お住まいの地域で活動するエージェントも併せてチェックしてみてください。
都道府県 | 転職エージェント|都道府県内の拠点 |
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北海道 | |
青森県 | |
岩手県 | |
宮城県 | |
秋田県 | |
山形県 | |
福島県 | |
茨城県 | |
栃木県 | |
群馬県 | |
埼玉県 | |
千葉県 | |
東京都 | |
神奈川県 | |
新潟県 | |
富山県 | |
石川県 | |
福井県 | |
山梨県 | |
長野県 | |
岐阜県 | |
静岡県 | |
愛知県 | |
三重県 | |
滋賀県 | |
京都府 | |
大阪府 | |
兵庫県 | |
奈良県 | |
和歌山県 | |
鳥取県 | |
島根県 | |
岡山県 | |
広島県 | |
山口県 | |
徳島県 | |
香川県 | |
愛媛県 | |
高知県 | |
福岡県 | |
佐賀県 | |
長崎県 | |
熊本県 | |
大分県 | |
宮崎県 | |
鹿児島県 | |
沖縄県 |
エージェントのサポート品質を重視する人は、あわせて「担当者との適切な付き合い方」を知っておくべきでしょう。相手をあなたのキャリアを支援するビジネスパートナーとして接し、信頼関係を育んでいくことが活動品質とも直結しやすいからです。
年収600万円以上・ハイクラス向けの条件で転職したい人
今回の転職で年収600万円以上を目指す人や「キャリアアップや年収アップを果たしたい」50代の人は、ハイクラス向けの転職サービスを利用するとよいでしょう。
好待遇の求人はピンポイントのタイミングで募集されることが多く、その殆どが「非公開求人(転職サイトなど一般の求人媒体には紹介されない求人)」か、それぞれの転職エージェントのみが持つ「独占求人」です。
よって、ハイクラス向けの転職エージェントは中長期的に利用するイメージで、かつ複数登録しておくのがおすすめです。
以下に紹介するのは、特にミドル世代向けの転職支援実績の豊富な、ハイクラス向けの転職エージェント(一部ヘッドハンターサービス)です。
サービスの特徴を見て、自分に合いそうと感じたものから登録を検討してみてください。
サービス名 | doda X | WARCエージェント | JACリクルートメント | ビズリーチ | リクルートダイレクトスカウト | パソナキャリアハイクラス |
---|---|---|---|---|---|---|
特徴 |
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公開求人数 | 約6.0万件 | 非公開 | 約2.1万件 | 約14万件 | 約40万件 | 約1.4万件 |
得意業界/職種 | ◎全業界 | 経理・財務、人事・労務、法務、総務、情報システム部門など | ◎全業界 | ◎全業界 | ◎全業界 | ◎全業界 |
対象年代 | ◎全年代 | ◎全年代 | ◎全年代 | ◎全年代 | ◎全年代 | ◎全年代 |
おすすめの人 |
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サービス登録サイト |
表内の求人数は2024年11月時点のものです。
Q2 50代向けの求人は、20代~40代と比べて少なくなりますか
業種・職種にもよりますが、全体的に50代向けの求人は20代~40代向けと比べてかなり少なくなる傾向にあります。
とある転職エージェントの話では、「35歳以上になると、求人数は半減。その後、5歳上がるごとにまた半減する」といいます。その計算で行くと、若手社会人(35歳以下)向けの求人が100あった場合、50歳以上向けの求人は6.2程まで少なくなるということです。
一方、近年ではミドル・シニア層の求職者の採用に意向を示す企業も増えてきております。上記の数値をそのまま鵜呑みにすべきではないでしょう。
また求人数の少なさ自体は、転職活動の行動量を増やすことによって解消が見込める問題です。
「50歳向けの求人は、若手社会人と比べて少ない」ことは受けとめたうえで、効率的かつ前向きな行動を目指すことが大切です。
Q3 転職活動は在職中から行うべきか、退職してからの方がよいでしょうか
転職活動は、まず「在職中から始める」ことを意識した方がよいでしょう。
在職中から活動を始めれば、無職中の収入が途絶えるリスクを軽減できるからです。
活動にかかる期間をあらかじめ知ることはできません。半年~数年かかってようやく次の転職先が決まった人もいますので、安易に「1~2ヵ月で決まるだろう」と判断しないことをおすすめします。
一方で、「平日は仕事で忙しく、転職活動にかける時間を持てない」という人もいると思います。
その場合はまず、「1日5~10分の求人チェック」からはじめ、あわせて土日のサポートも行っている転職エージェントにも登録しておくとよいでしょう。そのほか、一部地域のハローワークでは土日対応しているところもあります。
転職活動に集中したいため、退職してからアクションを起こしたい人も、なるべく在職中にできることを見つけて活動自体は始めておきましょう。
「転職しよう」と決めた時点で、優先すべきは今いる職場よりも新しい職場のはずです。
現職を最後までしっかり勤め上げる姿勢も大切ですが、「これから先の仕事・人生」がおざなりになることのないよう、ご注意ください。
Q4 50代の転職活動は平均してどのくらいの期間がかかりますか?
転職活動にかかる期間はおおよそ3ヵ月と言われており、年代による差異はそこまで大きくありません。
ただし、希望条件やその人の経験・実績、そのほかタイミングなどからの影響も少なくありません。
半年以上かかる人もいれば、「2年ほどかかって、ようやく転職先が決まった」という人もいます。
転職はとうぜん「早ければよい」というものではありませんが、もし「急いで転職を決めたい」と思うのなら、まずは「行動量(求人応募の数・ペース)」を上げていくことです。
書類審査の通過率は10~30%、採用面接の通過率は10~20%ほどといわれています(人気の職種・業種においては、通過率は更に低くなります)。
参考:マイナビ転職「平均応募社数や選考通過・内定の確率はどれくらい?」の内容を元に、弊社にて図作成
応募から内定まで進むのは、おおよその確率として4.5%。
もちろん必ずしも上の確率の通りになるということではありませんが、計算上では1社の内定を得るのに約22社の応募が必要になります。
上記で挙げた応募数に対して「どれくらいの期間・ペースで対応できるか」を考えると、より具体的な活動期間のイメージが持てると思います。
ただし、第一に考えるべきは「今後のキャリアプラン、ライフプランを見据えた、最適な職場選びを実現できること」です。
上記の期間についてはあくまで目安として持っておき、なるべくゆとりを持ったスケジュールで転職活動に臨むことをおすすめします。
Q5 転職エージェントからサポートを断られることはありますか
転職エージェントにサポートを申し込んだものの、サポートを断られてしまった場合には、以下のような原因が考えられます。
年齢と職歴が見合っていなかった
ほとんどの転職エージェントサービスでは、利用する人の年齢層の制限は設けていません。
ですが、転職エージェントの保有求人状況によって、または希望条件に対しての職歴が不足していると見られた場合、「見合った求人がありません」と断られてしまうことがあります。
短期間での転職を繰り返している
転職エージェントサービスでは「短期間での転職を繰り返している」人へのサポートを敬遠しがちです。「再度短期の転職をされると、紹介企業からの信頼を失ってしまう」というリスクがあるからです。
エージェント側の都合(繁忙期など)により、優先度を下げられてしまった
繁忙期などで「転職者が多くて、さばききれない」ときに、すぐに転職する予定ではない転職者や、内定獲得まで若干の時間を要することが見込まれる転職者に対して、担当側で優先度を下げてくる可能性もあります。
これらの理由でサポートを断られてしまった場合は、以下の対策を取ることをおすすめします。
- 転職サイトを使って「自分から求人応募する」スタイルの転職活動に切り替える
- 他の転職エージェントサービスに登録する
まとめ)50代の転職成功率を高めるには、適切なゴール設定とあなたに合う攻略法を見出すこと
ここまでの内容を、まとめてみましょう。
50代の転職成功率における重要なポイント
- 50代の転職成功率は74%(当社調べ)
- 50代の転職成功者に多く見られる傾向は、「他者からの支援・サポート」があること
- 50代の転職失敗で多く見られる傾向は、「入社後のミスマッチ」
50代の転職成功率を高めるための対策4つ
50代の転職が、若い世代に比べて簡単ではないことは事実です。
しかし、50代には50代なりの経験・スキルがあり、そのほか豊富な人脈がある人もいるでしょう。
そして、それらをうまく活用して20~40代よりも深みのある職務経歴書や面接対応をするのが、50代の転職活動です。
あなたのこれまでの頑張りは、今回の転職できっと実を結ぶはずです。そのためにも、この記事で紹介した内容はきっと役立つはずです。
まずは今日から一歩、新しい行動を始めてみてください。