銀行員から異業種への転職を検討中の方へ。おすすめの転職先と転職成功のポイントを紹介
[最終更新日]2024/07/21
「銀行に勤務しているけれど、転職したい」
「銀行員からの転職先にはどんな業種がある?」
「安定」「高給」といったイメージが根強い銀行業界ですが、実際に勤務している人の中には「ノルマがきつい」「思い描いていたキャリアとは違った」などの理由で転職していく人も少なくありません。
目次
1) 銀行員からの転職は「成功」するケースが多いってホント?
転職活動を進めていくうえで「銀行員」としての経歴がどのように受け止められるのか不安な方もいるでしょう。
結論から言えば銀行出身という経歴は圧倒的に有利な場合が多いと言えます。
これは銀行員という業種に対する企業の期待値が高いためだと考えられます。
では、企業は具体的に銀行員のどういった能力に注目するのか、詳しく見ていきましょう。
「銀行員」というキャリアを優遇する企業は多い!!
一般的に、銀行員は、「極めて高い競争率の中から内定を勝ち取った優秀な人材」というイメージを持たれています。
入行後もきちんと研修を経てキャリアを築いてきたことから、いわば「社会人基礎力が高い人材」として評価されるケースが多いのです。
また、銀行では他業種ではなかなか経験できない仕事に携わることができます。
法人の与信審査からリテール営業まで幅広い業務があり、総合職として入行すればジョブローテーションで複数の部署を経験するのが一般的であることから、「数字に強い」「タフなビジネスの現場を経験している」といったプラスのイメージを持たれやすいのです。
また、財務や会計に関する知識に長けていれば、他業種で働く場合にも大いに役立てることができます。いわばビジネスを支える「根っこ」の部分に関する素養のある人材として、一目置かれることもめずらしくありません。
このように、銀行出身というキャリアを優遇する企業は多いのです。
2) 銀行員からの転職のおすすめ転職先・職種
銀行員としてのキャリアが転職市場では前向きに捉えられることは前述した通りですが、では銀行員の転職先として多いのはどのような職種なのでしょうか。
代表的な5つの職種についてご紹介します。
職種 | 転職のメリット |
---|---|
ネット銀行・証券会社・保険会社 | 同じ金融業界ならば、銀行での経験を生かすことができる |
外資系証券会社・投資ファンド | 実力主義の世界で高い報酬を得られる |
IT・情報通信(フィンテック関連等) | これまでのスキルを活用しつつ、最新技術に触れる機会を持てる |
企業の財務部門・ベンチャー企業のCFO | お金に関するスペシャリストとしてステップアップできる |
企業の経営企画・事業戦略 | 顧客の経営課題に取り組んだ経験と財務に関する知識を活かせる |
ネット銀行・証券会社・保険会社
銀行員の経歴が活かせる代表的な職種は、同じ金融業界に位置する証券会社や保険会社などが挙げられます。
銀行員としての営業経験が重宝され、顧客からの信頼を得ることにより前職よりも高い報酬を得ることも期待できます。
実際に、証券会社や保険会社などへ「顧客のために無理な営業活動をすることなく、顧客のためになる証券・保険商品を勧めたい」という理由から転職をしている人は少なくありません。
また、近年では「イオン銀行」や「セブン銀行」のように、ネット上で振り込みや決済が可能な仕組みが主流となりつつあることから、ネット銀行への転職をしている方もいます。
ネット銀行では窓口が存在しないため、顧客と顔を合わせる機会もほとんどありません。「サービス業」としての銀行の窓口業務に不満を感じていた方にとっては、こうした面も転職のメリットとなるでしょう。
今後も市場規模はさらに拡大していく余地がある職種ですので将来性は担保されている傍ら、「実力主義」の業態や総合職勤務の場合は海外転勤の可能性があることも考慮しておくべきでしょう。
外資系証券会社・投資ファンド
外資系の証券会社や投資ファンドでは、「実力主義」の業界のため、努力次第では前職よりはるかに高い給与が得られるでしょう。
反面、日々の業務は常に高いノルマに対するプレッシャーが付きまとうことになります。
「ノルマがきついので銀行員を辞めたい」という方にはおすすめできませんが、金融機関のトップで働き続けたいという挑戦心を持つ方にとっては意味のある転職となるでしょう。
また、外資系企業に勤めるためには「英語力」は必須となります。時に海外の顧客との英語での会話を要する場面も増えるため、日常会話を行える語学力は身につけておく必要があるでしょう。
外資系企業は転勤も多く、海外勤務も視野に入れたキャリアプランを念頭に置いている方には最適な職種です。
IT・情報通信(フィンテック関連等)
IT・情報通信は未経験からの挑戦が難しい印象がありますが、フィンテック企業などでは銀行員としての経歴が役に立つ土壌があります。
フィンテックとは「スマートフォンを使った送金」などに代表されるように、IT技術に金融関連の知識を導入した事業を指します。
つまりIT関連の知識には詳しくなくても、金融知識を活かしつつ未経験から学びやすい環境と言えるのです。
フィンテック企業は業界位置的にも成長途上にあり、日々試行錯誤を重ねながら働くことができ、仕事に対して「やりがい」や「スキルアップ」を求める方に向いている職種と言えるでしょう。
転職に必要な特定の資格などはありませんが、転職成功の確率を高めるためにも、「ITパスポート」等基本的なIT・Web知識を学んでおくのもおすすめです。
企業の経理・財務部門・ベンチャー企業のCFO
企業の経理・財務部門やベンチャー企業のCFOなども転職先として考えられます。
企業にとって「経理・財務部門」に詳しい人材は経営の柱となるため、金融に関する知識はもちろんのこと、銀行員で培った交渉力なども重宝されやすいと言えるでしょう。
ベンチャー企業・スタートアップ企業の規模などによっては年収が減少する可能性もありますが、自身の働きにより企業規模を拡大させていくやりがいを見出すこともできます。
また、ベンチャー企業で働く社員たちは仕事に対して高い意欲を持ち合わせていることが多く、そうした環境の中に身を置くことにより、社員同士の強い結びつきの中で自身のモチベーションを高めることにも繋がる刺激に満ちた働き方が可能となります。
企業の経営企画・事業戦略
これまで法人営業として顧客の経営課題に関与してきた人は、企業の経営企画・事業戦略に関わるポジションへの道も考えられるでしょう。
特に創業間もないスタートアップ企業やベンチャー企業においては、企業の三大資源である「ヒト・モノ・カネ」のうちの「カネ」に関する知識・ノウハウが培われていないケースが多く、銀行員として培った経験・知識が役立つ可能性が高いです。
経営企画・事業戦略への転職際にポイントとなるのが、その企業が手掛ける事業・サービスに対して「どれだけ深く、関心と探求心を持ち続けられるか」という点です。
銀行員として働きながらも、「以前からこの業界・サービスに強い関心があった」というものがある場合は、経営企画・事業戦略の切り口で転職を検討するもの有効でしょう。
3) 銀行員が転職する際に、意識したい4つのポイント
銀行出身というキャリアが転職に有利に働きやすいことは、ここまでで見てきた通りです。選択肢が幅広く、望むキャリアプランを実現できる可能性が高いのは喜ぶべきことでしょう。
しかし、だからこそ注意しておきたいことも出てきます。「よりどりみどり」だと思っていると、つい給与などの待遇が少しでも良い職場を選ぶことに意識が向いてしまったり、見栄えや聞こえの良い職種に惹かれてしまいがちです。
元銀行員というキャリアを活かすには、どういったことを意識して転職活動に取り組んだらいいのでしょうか。
「これから何をしたいのか」ビジョンを明確に!
「銀行から別業種への転職」は、もちろんこれまでの経験を礎として次のステップを考えるのは重要ですが、一方で「これから何をしたいのか」「自分は仕事を通して何を実現したいのか」といった未来志向の考え方も、同じぐらい大切な考え方と言えます。
せっかく幅広い選択肢があるのですから、現状できることだけでなく今後やってみたいことや携わってみたい仕事についても考えておきましょう。
これからのビジョンの探求には、以下の4つのステップに沿って考えるのが効果的です。
- STEP1 キャリアの棚卸し
- STEP2 転職後の環境で望む働き方(身につけたいスキルなど)を整理する
- STEP3 自分の強み・活かせるスキルを整理し、言語化する
- STEP4 企業が求めるもの・そのためにやるべきことを明確にする
ビジョンが明確になることによって自分の強みをどう活かしたらいいのかが見えやすくなり、選考における戦略が立てやすくなるメリットもあります。
もし「今の仕事がきついので辞めたい」という思いから転職を考え始めたのであれば、銀行でこれまで経験してきた業務をいったん棚卸しして整理し、自分の強み・弱みや適性について、いまいちど冷静に考えてみる機会を設けるようにしましょう。
企業分析はしっかりして、少なくない「関心」を持てる求人をターゲットに
どのような業界・職種へ転職するのかが明確になったら、たとえ同じ業界であっても各企業で社風や文化が全く異なることにも目を向けておく必要があります。
企業研究においては基本的な業務内容はもちろんのこと、将来的に長く勤めていくためには、経営方針や企業文化への共感度合いや、業務内容にどの程度関心を持つことができているか、といったことも非常に重要な要素です。
求人票から読み取れる内容以外にも、企業のHPや口コミサイトも参照しつつ、以下のような流れで調査を進めてみるのがおすすめです。
流れ | 確認する対象 | チェックポイント |
---|---|---|
① 企業の基本情報をチェック | 求人票、企業HP |
|
② 企業の特色をチェック | 企業HP、業界ニュース、口コミサイト、競合他社のHP |
|
③ 募集条件をチェック | 求人票 |
|
④ 調査からの所感・考察 | ── |
|
企業研究の方法について詳しく知りたい方は、以下の記事で解説していますので参考にしてみてください。
これまで取得した資格を、最大限有効活用して!
銀行に入行してから、実務で必要に迫られて、あるいは勉強のために取得した資格がある場合は、転職においても最大限に活用してアピールしていきましょう。
ただし、持っている資格を全て羅列して記載しておけばいいわけではありません。
ときどき「資格を多く取得していると努力家であることをアピールできるのではないか」と考える人がいますが、やみくもに資格試験を受検したのではなく、目的をもって資格を取得したことがアピールできないと意味が薄れてしまいます。資格の記載にあたっては、取捨選択することが大切なのです。
元銀行員が転職で活かせる代表的な資格は以下のようなものになります。
資格 | 役に立つ業界・職種 | 転職に有利な理由 |
---|---|---|
ファイナンシャルプランナー(FP) | 証券会社 保険会社 住宅メーカー など | 「FP技能検定」の2級か1級を取得していると、資産運用の相談を受ける機会の多い金融・保険業界において評価されやすい。 |
証券外務員 | 銀行・信託銀行 証券会社 | 銀行員であればほぼ全員が取得済み。 一種外務員資格を取得していると金融商品の扱いに加え、信用取引やデリバティブ取引も行える。 |
宅地建物取引士(宅建) | 不動産会社 住宅メーカー 建築会社 | 不動産会社は宅建資格の所持者がいなければ営業ができないため、資格取得は大きなアドバンテージとなる。 |
日商簿記 | 経理 会計事務所 税理士事務所 | 選考の際に評価されるのは2級以上。 企業の管理部門・事務職などへの転職をの望む場合はあわせて「行政書士」「税理士」の資格もあると良い。 |
また、外資系企業の選考の際に評価の対象となるTOEICのスコアに関しても、600点未満のスコアは記載すると逆効果になる可能性もありますので注意しておきましょう。
いかに「銀行員=転職有利」と言えど、孤軍奮闘は危険。転職エージェントを活用よう
近年、ネット銀行やフィンテックの台頭による金融業界への影響もあって、転職エージェントに登録するメガバンクの銀行員が増加傾向にあります。
実際、紹介やコネクションによる転職など一部の限られたケースを除き、自分で転職活動を進めるのであれば、転職エージェントを活用したほうが転職成功率は高まるはずです。
転職エージェントでは求人の紹介に加え、キャリアアドバイザーによるカウンセリングや応募時の書類添削・面接対策なども「転職のプロ」の観点から適切なフォローをしてもらうことができます。
また、キャリアアドバイザーを介してのみ紹介が可能な「非公開求人」もあり、転職サイトで検索するだけでは出会えなかったような有名企業や重要ポジションでの案件に触れる機会も増えます。
転職エージェントの登録・利用は一部のエージェントを除き「無料」なので、利用して損はないでしょう。
4)銀行員が転職する際に、活用したいおすすめの転職エージェント
実力主義の外資系企業で働きたい人は、JACリクルートメントがおすすめ
実力主義の外資系企業で活躍して、成果に見合った報酬を受け取りたいと考えている人には、JACリクルートメントがおすすめです。
JACリクルートメントはイギリス発祥の人材紹介会社で、アジア各国に拠点を持つグローバルな転職エージェントです。
海外勤務や外資系企業への紹介実績が豊富にあり、ハイキャリア志向のビジネスパーソンから高い支持を受けています。
特に、マネジメント経験がある人材や特定スキルに関するスペシャリストについては、グローバル企業への紹介も積極的に行われています。
銀行員からさらにステップアップして次のキャリアを目指していくには、まさにぴったりの転職エージェントと言えます。
ヘッドハンターのスカウトで転職したい人は、リクルートダイレクトスカウトがおすすめ
リクルートダイレクトスカウトはリクルートが運営する会員制スカウトサービスです。
一般的な転職エージェントとは異なり、登録者自身がヘッドハンターを指名するシステムを採用しています。登録者のターゲット層は年収800万円以上のハイクラス人材と言われています。
特に経営幹部クラスのヘッドハンティングには定評があり、銀行員からステップアップする上でぜひ登録を検討しておきたい転職エージェントの1つと言えます。
リクルートダイレクトスカウトでは登録者がまずヘッドハンターを指名することから始めることになりますが、ヘッドハンターの経歴や実績を読んで検討することができますので、自分の希望する業種や職種への転職成功事例が豊富なヘッドハンターを選ぶことができます。
英語がネイティブレベルの人は、ロバート・ウォルターズがおすすめ
ビジネス英語を使いこなすことできるレベルの英語力を持つ人には、ロバート・ウォルターズがおすすめです。
ロバート・ウォルターズを実際に利用したことがある人の感想として、徹底されたハイクラス志向であるとの意見が多数見られます。
紹介される案件は軒並み高年収で、もともと年収が比較的高い人であっても「今までと比べるとはるかに年収が高くなる」というイメージのようです。
ロバート・ウォルターズのターゲット層であるハイキャリア人材に該当する人が登録すれば、質・量ともに最高レベルの案件を紹介してもらうことも可能です。
エグゼクティブ志向の人は、ビズリーチがおすすめ
ビズリーチはハイクラス人材に特化した転職エージェントとして知られています。
転職サイトのように自分で求人を探さなくても、スカウトメッセージが届くのを待っていればいいため、現職が忙しく時間が取れない人におすすめです。
有料のプレミアムサービスに登録すると登録者が自分で求人に応募することもできるようになります。
ビズリーチが扱っている求人の中でも多いのは、経営幹部や事業統括といったいわゆるエグゼクティブクラスのポジションです。
銀行員からさらにステップアップを検討する上で、経営層として組織を引っぱっていく立場を考えるのであれば、ビズリーチはぜひ登録しておきたい転職エージェントの1つです。
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まとめ)銀行員からの転職は「銀行出身」のポテンシャルを最大限に活かそう!
銀行で働いてきたという事実は、総合的に見て転職市場で高く評価される傾向があります。
銀行から転職してどのような業種・職種へ移るにしても、銀行出身であることのポテンシャルを十分にアピールし、ステップアップを実現していきたいものです。
銀行内部にいると、どうしても銀行員としての客観的な価値に気づきにくい面もあります。
転職エージェントのコンサルタントなど第三者のサポートを得ることによって、自身のポテンシャルを十分に活かした転職活動を進めていくとよいでしょう。