ベンチャーCFOに転職するには?必要なスキル・スタンスとおすすめ転職エージェント
[最終更新日]2023/10/31

総務や経理、財務担当の30代、40代、50代の方で、ご自身の次のステップアップに悩まれている方は多いのではないでしょうか。
「部長・課長クラスまで昇進したけれど、上はもう詰まっているし…」
「結果を可視化しにくい今のポスト、これからどうやってキャリアを積んでいくか」
「違う職場でも自身のスキルが通用するか、試してみたい」
そのなかで、一つの選択肢としてお勧めしたいのが「ベンチャーCFO」を目指すこと。
つまり、企業の財務・ファイナンスを担う役員になる、ということです。
目次
1)そもそも、CFOってどんなポジションなの?
CFOは、”Chief Financial Officer”の略で、組織・企業のファイナンス(財務)戦略の立案・執行に責任を持つ、トップマネジメント担当者のことです。
日本ではCFOというポジションを置かずに、財務部長もしくは管理部長のポストで代用されることも少なくありませんが、海外ではCFOはかなり一般的な役職であり、かつCFOはCEO(最高経営責任者)に次いで重要なポストとされています。
CFOの役割

CFOの役割は、主に財務に関する業務執行を統括することです。
その範囲は、会計、予算、キャッシュフローや投資の管理、信用取引、保険、税などの業務管理から、その他資金調達やM&A、上場準備なども含まれます。
更には企業役員の一員として、経営上における意思決定(事業ポートフォリオをどのようにするかであったり、経営資源をどう考えていくかなど)に関して積極的に参画するのも、CFOの責務です。
- CFO担当
Wさん -
ベンチャーでのCFOは、業務範囲を自分で区切らずに、「なんでもやろう」という意識があったほうが良いですね。
CFOだからといって、ファイナンス(財務)だけしていても駄目です。だって、出来て当たり前なんかだから。それよりも、自分の仕事の領域を決めずに、自ら仕事を取りに行くことが大切です。
「事業の業績を上げていこう」、「社長の意思決定の品質を上げよう」と強く考えていけば、おのずと行動範囲は広がっていきますよ。
CFOは、専門スキルを持った、選ばれた人でないとなれない?

「CFOは、専門スキルを持った、選ばれた人でないとなれないの?」かというと、そんなことはありません。
たしかにイギリスやアメリカにおいては、多くのCFOは会計士の資格を持っており、専門職的なポストとして扱われる傾向にありますが、日本ではそのようなケースは少なめです。
国内で、証券会社出身であったり、公認会計士出身のCFOは、実は半数以下です。
どちらかというと、これまで企業の事業に携わってきたいわゆる事業担当がCFOになるケースの方が多いのです。 つまり、ベンチャーCFOは、特に専門的な資格を有せずともなれるのです。
ですが、さすがに無条件で「誰でもなれる」というものではありません。
続いては「CFOに必要なスキルとスタンス」について見ていきましょう。
2)CFOに必要なスキルとスタンス
CFOに必要なスキル・スタンスでどのようなものがあるかというと、大きくは以下の3つが挙げられます。
「財務スキル」──財務諸表を見れる、扱える、管理できること

「ファイナンスの最高責任者」であるCFOは当然ながら財務スキルが無いと成り立ちません。
まず必要となるのは、財務スキルです。
企業が管理する、賃借対照表(BS)、損益計算書(PL)、キャッシュフロー計算書(CF)を管理でき、かつそれらの数値情報から会社の状態やここから先の見通しを洞察するスキルは、CFOとしては必須となってくるでしょう。
例えば、6ヶ月後にキャッシュアウトして会社つぶれてしまうような状況でしたら、CFOが一番先に気付ける存在でないといけません。
また、気付くだけではなく、すぐに動くこと。特にはCEOやCOOを動かして、ドラスティックな判断をすることも求められます。
何かが起こる前に、先だって、リスクを防ぐ行動ができるかも、CFOに必要とされるのです。
なお、これらの「財務スキル」は見よう見まねでとりあえずやってみて覚えるよりも、一度参考書などの書籍で学ばれてから業務に携わる方がとてもスムーズです。
逆に考えると、経験しないでは得られにくいようなスキル(営業スキルやプレゼンスキル)と違い、書籍からの知識集約も一定の効果を期待できるのは、習得する側からするとありがたい点と言えそうです。
CFOを目指す人で、財務スキルであったり、財務諸表の扱いに不安が残る人は、早いタイミングでその不安を潰しておきましょう。
「コミュニケーション力」──CFOは調整力・折衝力・提案力などコミュ力全般が求められる

ベンチャーCFOが行う重要な業務の中に、「資金調達」というものがあります。自社が今後大きな成長をしていくために必要な資金を、投資家や投資会社の人たちから調達してくる業務です。
投資家・投資会社の人たちからすれば、自分たちにとって利益を感じなければ投資はしてくれません。──つまり、CFOは、彼ら投資家たちに、「きっとこれだけのメリットが得られますので、うちの会社に投資しませんか?」というコミュニケーションを取っていく必要があるのです。
企業にて資金を集める必要性が出てきた際に、CFOなど資金調達専門の人は大体数十名ほどの投資家・投資会社に会って相談します(もちろん、必要とする資金の額にもよります)。
そして、実際に、「分かった。君の会社に投資しよう」という風に言ってくれるのは、どんなに手練れのCFOだったとしても5%~10%の成功率でしょう。
会社の強みと投資家のメリットをうまく伝えられなければ、0%になることだって十分あり得ます。
投資家からの資金調達以外にも、金融機関への融資の依頼であったり、役員間の意思決定の調停、社員への説明責任など、CFOは重要な局面でコミュニケーションを任されることが多々あります。
どの職種でも大切とされるコミュニケーション力ですが、CFOでは特に必要とされることを意識しておきましょう。
「会社へのロイヤリティ」──会社と代表の素晴らしいところをいつでも本気で語れること

CFOは財務の最高責任者ということで、株主である投資家や銀行とのコミュニケーションの機会も多くなります。
株主の方々、金融機関の方々は決まって、CFOにこんな質問を良くしてきます。
- 投資家
-
「御社の調子は、最近いかがですか。代表の方、最近はどうされてますか」
この質問の回答パターンに入る前に、なぜ株主や金融機関はこんなことを聞いてくるのか、考えてみましょう。
理由は、自分たちがお金を預けている企業なので、「ちゃんとやっているかを確認したい」ということです。
ですので、この場合の回答パターンは「ちゃんとやってますよ!」と言えることが正解ではあるのですが、表面上の回答にならずに、「本気でそれが言えていること」を目指すこと──それが、CFOにはとても大切です。
つまり、CFOは常に会社へのロイヤリティがとても高いこと──そして、業務コミュニケーションでそれらがふんだんに顕れることも求められるのです。
その為には、CFOを目指す皆さんは、自身にとってロイヤリティを感じられる会社をしっかり選ぶこと、そして入社してからもブレない気持ちでいられることも大切です。
口先だけのセールストークは、時には必要かもしれませんが、大抵その中身の薄さは相手に感づかれてしまうものです。自らの信念と情熱と共に、会社の状態を話す──それだけのロイヤリティは、CFOにおいて必須と言えるでしょう。
3)CFOをやることの魅力、やりがい

ここからは、CFOをやることの魅力、やりがいについて触れていきましょう。
実際にベンチャー企業のCFOを担当されている2名の方に、「CFOのやりがい」について聞いてみました。
- 企業CFO担当
Tさん -
やりがいですか?──「組織と人を支えること」ですね。
率直に、人が喜ぶことが嬉しい。感謝されることが嬉しいです。
誰もが意識できずにいたこと、やろうとしていなかったことに取り組み、やってみて、「ああ、確かにこれは大切だった」と分かってもらえて。
そういうときは、やっぱりとても充実感があります。
- 企業CFO担当
Wさん -
視野を広く持てることです。
ベンチャー企業の役員クラスになると、「爪跡を残そう」とか「歴史に名を刻みたい」という人もいますが、CFOはそういう自分観点の視点だけじゃ絶対にやっていけない。──そういうのが刺激的なのも良く分かりますけどね。でも、もっと上の視点から、組織と、それに関わる社員、また組織に関わる人たちまで広い範囲で俯瞰してみて、そこで自身が役立つ働きかけが出来た時の気持ちよさは、また全然違います。そういう広い視点を持てる感覚は、CFOならでは、というところでしょう。
自身の働きかけが、「組織と社会にどれだけ貢献できているか」。──確かに、目の前の案件や成果に追われた働きかけでは、なかなか気付きにくい視点です。それらに直接働きかける仕事ができるというのが、まさにCFOの醍醐味なのでしょう。
また、資金調達はもとより、M&A、上場準備など、会社のターニングポイントにおいては必ずCFOの存在がとても重要となるのです。
そしてそれらターニングポイントでどれだけ望ましい成果を上げられるかによって、その企業がその先5年、10年と継続できるかどうかが決まります。
そうした重要なタスクにみっちり携われて、組織と共に経験を踏んでいけることも、CFOとしての職務の魅力、やりがいと言えるでしょう。
4)CFOへの転職におすすめの転職サイト・エージェント
リクルートダイレクトスカウト
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「実績豊富なヘッドハンターに出会いたい」ならココ!企業・ヘッドハンターからのスカウトが届く転職サイトです。
リクルートダイレクトスカウト(旧CAREER CARVER(キャリアカーバー))は、転職大手「リクルート」が運営するヘッドハンティング型の転職サービスです。
年収600万円以上のミドル・ハイクラス層を対象とした求人を紹介しており、企業やヘッドハンターからの直接スカウトも多いです。
リクルートダイレクトスカウトの活用メリットとおすすめポイント
リクルートダイレクトスカウトでは「転職者がヘッドハンターを選べる」ことが大きな特徴です。

自分が希望する業種・職種に関する知識が豊富か、優れた転職支援実績があるか、といった点を見極めるために、ヘッドハンターのプロフィールを閲覧できます。
優秀なヘッドハンターを見つけたら、転職者のほうからヘッドハンターを選んで求人紹介を依頼できるのです。
また、ヘッドハンターは複数名を同時に指名することも可能です。
リクルートダイレクトスカウトの特徴
特徴 |
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サポート対象地域 | 全国 |
特に多い職種 | 経営ボード|経営企画・事業企画|管理|人事|マーケティング|広告|マスコミ・メディア・出版|クリエイティブ|営業|サービス|コンサルタント|ITコンサルタント|専門職(公認会計士、司法書士など、その他)|IT技術職|Webサービス・制作など |
公開求人数 | 約56万件(2023年10月現在) |
ヘッドハンターには並行して2人目、3人目に相談することも可能です。スカウトを待つだけでなく、自分からも積極的に求人情報や相性のいいパートナーを見つけに行きましょう。
JACリクルートメント
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ミドルクラス・ハイクラスの転職 満足度で5年連続No.1!キャリア相談の手厚さに定評があり、キャリアアップ転職におすすめです。
JACリクルートメントは「年収600万円以上」のハイクラス向け転職エージェントです。一定以上の経験や実績のある人材を求める企業の紹介に優れており、ミドル層以上の転職活動におすすめです。
JACリクルートメントでは求人紹介だけでなく、キャリア面談やキャリアの棚卸し、キャリアプラン相談といった総合的なキャリアコンサルティングを行ってくれます。
在籍コンサルタントは人材業界の中でもベテラン勢が多く、これまでの豊富な転職支援実績をもとにキャリアコンサルティングを実施してくれます。
JACリクルートメントの活用メリットとおすすめポイント
JACリクルートメントを活用するメリットとして筆頭に挙げられるのが「ハイクラス向け求人の充実度」です。とくに年収600万円以上など好条件の求人を多数保有していることから、ハイクラス人材を求める企業と転職者のマッチングを得意としているのです。
高年収帯の求人や、重要なポジションを募集する求人を探している人にとって、登録を検討する有力な理由となるはずです。
JACリクルートメントは両面型サポートのため、コンサルタントが企業の採用担当者が直接コンタクトを取り、企業の情報や就業条件についてヒアリングを実施しています。

つまり、転職者に伝えられる企業情報はコンサルタント自身が収集した一次情報なのです。
このため、企業担当と人材担当の間で情報が分断されてしまう心配がなく、精度が高く確実な情報を得ることが可能となっています。
JACリクルートメントの特徴
特徴 |
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サービス対応地域 | 全国 |
公開求人数 | 約1.2万件(2023年10月現在) |
とくに多い職種 | サービス|商社|流通|消費財|マスコミ|建設・不動産|金融|IT・通信|WEB|EMC|コンサルティング・シンクタンク・事務所|メディカル・バイオ|医療・介護・福祉など |
サポートの充実がウリのJACリクルートメントですが、求人数は少なめです。登録の際は希望条件をやや広めに&他の転職サービスにも登録しておくのがおすすめです。
doda X
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ハイクラス向け転職エージェントでありながら、キャリアカウンセラーの充実サポートが評判の、いま勢いのある転職サイトです。
doda Xは、「キャリアに戦略を。」をキーワードにハイクラス人材に向けた支援を行うヘッドハンティング型の転職サービスです。
doda Xに登録すると、ヘッドハンターがあなたの経歴と希望に合わせて厳選スカウト求人を提案してくれます。
紹介される求人の多くは、年収800万円以上の企業経営戦略や事業戦略に直結する重要なポジションのものが殆ど。
今よりさらに活躍できるフィールドで働きたいという人にマッチしやすいサービスでしょう。
doda Xに在籍するヘッドハンターは2,500人。レジュメ(職歴書)の効果的な見せ方や面接対策などの転職サポートもしっかりサポートしてくれます。
doda Xの活用メリットとおすすめポイント
doda Xはヘッドハンターのサポートを受ける「ヘッドハンティングサービス」と、自分で求人を探して応募する「求人紹介サービス」の両方を利用できます。

ヘッドハンターからの提案をメインとする「じっくり、待ちのスタイル」で転職活動をしたい人はヘッドハンティングサービスを、積極的に求人を検索して企業にアプローチしたい人は求人紹介サービスを利用すると良いでしょう。
doda Xは幅広い職種の求人を扱っていますが、特に多いのがIT・通信、インターネット・広告・メディア、メーカー(機械・電気)です。
これらの業種でより責任あるポジションにチャレンジしたい人におすすめです。
doda Xの特徴
特徴 |
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サービス対応地域 | 全国 |
拠点 | 東京・埼玉・神奈川・愛知・静岡・大阪・京都・兵庫・広島 |
公開求人数 | 約3.9万件(2023年10月現在) |
とくに多い職種 | 事業企画・経営企画|営業|IT・Webエンジニア|経理・財務・人事・法務|マーケティング・販促・商品開発|技術職(機械・電気)|コンサルタント|金融系専門職|医療専門職|技術職(化学・食品系)|技術・専門職(建設・不動産系)|クリエイター・クリエイティブ職|サービス系(店舗管理・運営管理)|技術職(組み込みソフトウェア)|SCM・物流・購買系など |
dodaXでは登録後に職種別の経歴書のサンプルも入手できます。doda専属のキャリアカウンセラーのサポートを合わせて利用すれば、書類作成の準備は万全でしょう!
リクルートエージェント
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国内No1の求人数の豊富さ!転職支援ツールも豊富で、「正しい転職活動を知りたい」人にもおすすめのエージェントです。
リクルートエージェントは国内No1の求人数と転職支援実績を誇る転職エージェントです。
リクルートエージェントの強みは全業種・職種に対して豊富な求人数を持つこと、そして長年の実績で培われたノウハウ・転職支援ツールの充実さにあります。
リクルートエージェントの活用メリットとおすすめポイント
リクルートエージェントでは、志望企業の特徴・評判といった分析から選考のポイントまでをまとめた「エージェントレポート」を用意してくれます。
CFOへの転職を目指すあたり、入念な企業研究は欠かせません。その際に、レポート情報はあなたの活動に大いに役立つはずです。
また、担当アドバイザーもこれまでの実績をもとに有益なアドバイスを提供してくれるでしょう。
リクルートエージェントの特徴
特徴 |
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サービス対応地域 | 全国 |
公開求人数 | 約41万件(2023年10月現在) |
とくに多い職種 | 営業・販売・カスタマーサービス|企画・マーケティング・経営|管理・事務|物流・購買・貿易・店舗開発|コンサルタント|金融専門職|不動産専門職|クリエイティブ|SE・ITエンジニア|エンジニア(設計・生産技術・品質管理)|建築・土木|医療・医薬・化粧品など |
リクルートエージェントのサポートは効率的かつスピーディに進みます。日頃の転職活動にかけられる時間を確保しておくと、より有意義にサービスを受けられるでしょう。
まとめ)CFOを目指すために、今からやっておくことは

今回は「ベンチャー企業でCFOになる」という観点でお話させていただきましたが、大企業でのCFOと違い、ベンチャー企業では前述のとおり資金調達やM&A、上場準備など様々な機会を多く持ちやすくなるので、ご自身の経験・スキルアップにつながりやすくなる要素も沢山あるでしょう。
そして、そんなベンチャーCFOを目指すうえで、まずやっておきたいことは大きく3つあります。
- 企業、そして社会に向けて、より広い視野を意識づけること
- 自身のキャリアイメージを、より明確にしていくこと
- CFOを目指す意思があることを、なるべく多くの人に伝えていくこと
特に重要な点は、3点目でしょう。人は、想いを言葉にしていくことでその行動もまた強められるものです。
今活動している組織内でも構いませんし、もし「今いる職場とは違う、別のステージでチャレンジしたい」という人は、ヘッドハンター型の転職支援サービスや、ハイクラス向け転職サービスのエージェントに相談するという手もあります。
思い立ったら、まずは行動を──。それが一番重要です。行動をすれば、またきっと別の視点が見えてきて、それはあなたが今以上に広い視野を持てることに少なからず役立てられるはずです。
この記事をお読みなった方々が、今後のご自身のキャリアプランをご検討されるうえで、少しでもお役立てできることを、心より願っています。