ITエンジニアの転職に「派遣」の選択肢はアリ?正社員との比較とメリット・デメリット・注意点
[最終更新日]2024/08/16
ITエンジニアとしてのキャリアを考える際、派遣という選択肢を検討する人も多いでしょう。派遣エンジニアは、様々なプロジェクトに携わる機会が多く、短期間で多様な経験を積むことができます。
一方で、派遣エンジニアの働き方は正社員とは異なる点も多く、メリット・デメリットをしっかりと理解することが重要です。
目次
ITエンジニアのキャリアに「派遣」はありか?なしか?
ITエンジニアとしてのキャリアにおいて、派遣という選択肢はどうなのでしょうか。短期的なメリットと長期的な視点から考えてみましょう。
結論:短期的なキャリア形成なら、派遣エンジニアは「あり」。
派遣エンジニアの最大の魅力は、短期間で多くの現場経験を積めることです。
特に未経験者やキャリアの初期段階にいるエンジニアにとっては、様々なプロジェクトに参加することでスキルを急速に高めることができます。
また、派遣先が変わることで異なる業界や技術に触れる機会も多く、自身の適性や興味を見極めるための重要な経験となるでしょう。派遣は、自己成長を加速させるための有力な選択肢と言えます。
中長期的なキャリアパスを辿る際は正社員エンジニアがおすすめ
一方で、中長期的なキャリア形成や安定性を考えると、正社員の方が有利です。
特に昇進や昇給、福利厚生といった面での差が大きく、家族を持つ場合や将来の安定を考える際には正社員の方が安心です。
また、会社内での専門性の深耕やマネジメント経験を積むことで、将来的なキャリアの幅が広がります。派遣で得た経験を元に、正社員としての道を模索するのが賢明でしょう。
派遣エンジニアと正社員エンジニアの特徴比較
派遣エンジニア | 正社員エンジニア | |
---|---|---|
雇用形態 | 派遣会社との契約 | 勤務先企業との直接雇用 |
安定性 | 派遣先の変更や契約終了のリスクがある | 長期的な雇用が期待できる |
スキル習得 | 様々な現場で幅広いスキルを習得 | 一つの会社で専門的なスキルを深める |
キャリア形成 | 短期間で多様な経験を積む | 昇進やマネジメント経験を積む機会がある |
給与・昇給 | 昇給機会が少ない | 昇給・昇進の機会が多い |
福利厚生 | 派遣会社によるが、一般的には少ない | 充実した福利厚生が期待できる |
転居のリスク | 派遣先の変更に伴い転居が生じることがある | 転勤がある場合もあるが、基本的には少ない |
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派遣エンジニアのメリット・デメリットとおすすめの人
派遣エンジニアとして働くことには多くのメリットがありますが、同時にデメリットも存在します。
以下では、具体的なメリットとデメリット、そして派遣エンジニアがおすすめの人について解説します。
派遣エンジニアのメリット
実務経験を積む近道
派遣エンジニアは、多様なプロジェクトに参加する機会が多く、実務経験を積む近道と言えます。
特に未経験者にとっては、早期にスキルを習得し、実践的な経験を積むことができる点が大きなメリットです。
様々な現場でのスキルアップ
派遣エンジニアとして働くことで、様々な現場でのスキルアップが期待できます。
異なるプロジェクトや技術に触れることで、幅広い知識とスキルを身につけることができます。また、異なる企業文化やチームでの経験が、柔軟な対応力を養う助けとなるでしょう。
無期雇用派遣という選択肢がある
近年では、無期雇用派遣(常用型派遣)という形態も増えてきています。
無期雇用派遣とは、派遣会社と無期限の雇用契約を結び、派遣先が変わっても雇用が継続される形態です。これにより、派遣エンジニアとしての安定性が高まります。
一方、通常の派遣(登録型派遣)と比較すると、求人選びの自由度がやや低くなる(派遣先の決定において、本人の希望よりも派遣会社の意向が優先される)点に注意が必要です。
登録型派遣と無期雇用派遣の特徴比較
登録型派遣 | 無期雇用派遣 | |
---|---|---|
雇用形態 | 派遣会社に登録し、派遣先が決まったときに契約を結ぶ | 派遣会社と無期雇用契約を結び、常時雇用される |
雇用期間 | 一つの派遣先の契約期間にあわせて、派遣会社に雇用される | 派遣先の就労状況に関わらず、派遣会社に雇用される |
安定性 | 派遣先の契約が終了すると収入が途絶える可能性がある | 無期雇用のため、派遣先が決まらない期間も給与の全額または一部が支払われる |
仕事の選択 | 自分の希望や条件に合った派遣先を選べる | 派遣会社が派遣先を決めることが多い |
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派遣エンジニアのデメリット
長期的なキャリア形成の難しさ
派遣エンジニアは、短期間で多様な経験を積むことができる一方で、長期的なキャリア形成が難しいことがあります。
特に管理職や専門職へのキャリアパスが限定されるため、将来的なキャリアの選択肢が狭まる可能性があります。
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正社員と比べて昇給機会が少ない
派遣エンジニアは、正社員と比べて昇給の機会が少ないことが一般的です。
派遣先の企業によっては、昇給や昇進の機会が限られている場合が多く、収入の安定性が低くなることがあります。
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転居を伴う派遣先の変更がある
派遣エンジニアは、派遣先の変更に伴い転居を余儀なくされることがあります。これにより、生活環境の変化や家族への影響が生じる可能性があり、安定した生活を維持するのが難しくなることがあります。
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派遣エンジニアがおすすめの人
実務経験を積みたい未経験者
派遣エンジニアは、実務経験を積みたい未経験者に適した選択肢です。様々なプロジェクトに参加することで、短期間でスキルを習得し、自信を持って次のステップに進むことができます。
特定のスキルを短期間で習得したい人
特定のスキルを短期間で習得したい人にとっても、派遣エンジニアの働き方がマッチすることが多いです。
多様なプロジェクトに携わることで、実践的なスキルを迅速に身につけることができます。
様々な現場を経験したい人
一つの企業に縛られず、多様なプロジェクトに関わりたい方にとって、派遣エンジニアの働き方はマッチしやすいでしょう。
異なる業界や技術に触れることで、幅広い知識と経験を積むことができ、将来的なキャリアの選択肢が広がります。
ITエンジニアの「派遣」「フリーランス」はどっちがおすすめ?
ITエンジニアとして働く際、派遣とフリーランスのどちらを選ぶべきか悩むことがあるでしょう。
それぞれの特徴を理解し、自分のキャリアプランやライフスタイルに合った選択をすることが重要です。
「派遣」「フリーランス」特徴比較
派遣エンジニア | フリーランスエンジニア | |
---|---|---|
雇用形態 | 派遣 | フリーランス |
安定性 | 派遣会社のサポートがあり比較的安定 | プロジェクト次第で不安定 |
スキル習得 | 多様な現場でスキルを習得 ※「未経験可」の求人が多い | 専門性を高めるプロジェクトが選べる ※「経験者優遇」の案件が多い |
キャリア形成 | 短期間で多様な経験を積む | 自由なキャリア設計が可能 |
給与・収入 | 固定給が多いが昇給機会は少ない | 高収入の可能性があるが不安定 |
福利厚生 | 派遣会社によるが「社会保険完備」の会社が多い | 自己負担(社会保険や年金など) |
転居のリスク | 派遣先の変更に伴い転居が生じることがある | 基本的に転居の必要はない |
自由度 | 派遣先の規則に従う必要がある | スケジュールや仕事の選択に自由がある |
派遣エンジニアとフリーランスエンジニアのどちらを選ぶかは、安定性を重視するか、自由度と収入の可能性を重視するかによります。
派遣エンジニアは、派遣会社のサポートがあり、安定性と多様な現場でのスキル習得が期待できます。福利厚生も比較的充実していますが、昇給機会が少ない点・転居のリスクがある点がデメリットと言えます。
一方、フリーランスエンジニアは、専門性を高めるプロジェクトを選べる自由度が高く、転居の必要もないため、自分のペースで働けるメリットがあります。ただし、プロジェクト次第で収入の安定性に欠けます。
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未経験または安定志向の人は派遣エンジニアがおすすめ
未経験者や安定志向の人には、派遣エンジニアがおすすめです。派遣エンジニアとして働くことで、派遣会社のサポートを受けながら、多様な現場で実務経験を積むことができます。
特にキャリアの初期段階では、固定給や福利厚生がある派遣の方が安心して働けるでしょう。また、派遣会社が提供する研修やサポートを活用することで、スキルアップも期待できます。
年収を挙げたい人 独立志向のある人はフリーランスエンジニアがおすすめ
年収を挙げたい人や独立志向のある人には、フリーランスエンジニアがおすすめです。
フリーランスとして働くことで、自分のスキルに見合った高収入のプロジェクトを選ぶことができます。
また、自分のペースで仕事を進められるため、ライフスタイルに合わせた働き方が可能です。さらに、専門性を高めるプロジェクトに集中することで、市場価値を高めることができます。
フリーランスエンジニアにおすすめのフリーランスエージェント
サービス名 | レバテックフリーランス | ミッドワークス | エンジニアファクトリー | テックストック | PE-BANK | ギークスジョブ | ハイプロテック | ITプロパートナーズ | フォスターフリーランス | クラウドテック |
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特徴 |
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公開案件数 | 約2,000件 | 約1.1万件 | 約7,200件 | 約400件 | 約5,400件 | 約6,400件 | 約4,100件 | 約5,300件 | 約2,100件 | 約600件 |
対象地域 | 東京・神奈川・千葉・埼玉・大阪・京都・兵庫・福岡・愛知 | 東京・神奈川・埼玉・千葉・大阪・京都・兵庫・滋賀 | 東京・神奈川・千葉・埼玉・大阪・京都・兵庫 | 東京・大阪・愛知・北海道・福岡 | 全国(※一部地域を除く) | 東京・神奈川・名古屋・大阪・京都・福岡 | 全国 | 東京近郊・大阪 | 東京・神奈川・埼玉・千葉 | 全国 |
おすすめの人 |
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公式サイト |
表内の求人数は2024年11月時点のものです。
「どちらか決められない…」という人は正社員エンジニアがおすすめ
派遣かフリーランスかで悩んでいる人には、正社員エンジニアがおすすめです。
正社員として働くことで、安定した収入や福利厚生が得られるだけでなく、会社内でのキャリアアップやマネジメント経験を積むことができます。
特に長期的なキャリア形成を考える際には、正社員の方が安心感があります。企業内での成長機会を活かしながら、自身のスキルを磨いていくことができるでしょう。
正社員エンジニアにおすすめの転職エージェント
対象エンジニア層 | 実務経験3年以上 | 実務経験3年以上 | 実務経験3年以上 | 実務経験3年以上 | 実務経験3年以上 | 実務経験3年以上 | 実務経験3年以上 | 実務未経験~2年 | 実務未経験~2年 | 実務未経験~2年 | 実務未経験~2年 |
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サービス名 | レバテックキャリア | マイナビIT AGENT | リクルートエージェント | ギークリー | 社内SE転職ナビ | マイビジョン | テクノブレーン | ユニゾンキャリア | ワークポート | doda | type転職エージェント |
メリット |
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デメリット |
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ITエンジニア の公開求人数 | 約2.5万件 | 約2.1万件 | 約11万件 | 約2.2万件 | 約4,000件 | 非公開 | 非公開 | 約1.0万件 | 約2.5万件 | 約5.7万件 | 約5,800件 |
特に多い エンジニア職種 | プログラマー・SE全般、PL・PM | アプリケーションエンジニア、インフラエンジニア、社内SE、SE・PG、PM・PL | プログラマー・Webエンジニア、社内SE、製品開発・ASP、組込み・制御エンジニア、ITコンサル | プログラマー、SE、PL・PM、その他トレンド性の高い分野(エンタメ、ディープテック、SaaSなど) | アプリケーション(Web・モバイル)、IT企画・情報システム、サーバー(設計/構築・保守/運用) | ITコンサルタント など | 機械、電気、半導体関連エンジニア、制御、組み込みエンジニア、フロント/サーバーサイドエンジニア、業務系SE | Webエンジニア、インフラエンジニア、社内SE、クラウドエンジニア | SE・PG、PL・PM、インフラエンジニア、社内SE | Webエンジニア、インフラエンジニア、SE、PM、機械学習・AIエンジニア | SE・PG、PL・PM、インフラエンジニア、社内SE |
対象地域 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 | 関東・関西 | 関東(東京・神奈川・千葉・埼玉)・関西(大阪府) | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 | 東京・神奈川・埼玉・千葉 |
おすすめの人 |
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まとめ|あなたのキャリアプランに合った働き方を選ぼう
ITエンジニアとしてのキャリア選択には、派遣、フリーランス、正社員それぞれにメリットとデメリットがあります。
短期的に実務経験を積む場合は派遣エンジニア、中長期的なキャリアパスを考えるなら正社員エンジニア、そして独立志向や高収入を目指すならフリーランスエンジニアがおすすめです。自分のキャリアプランやライフスタイルに合わせて、最適な選択をすることが重要です。
将来の目標を明確にし、それに向けてどのような経験を積むべきかを考えながら、しっかりと企業研究を行いましょう。