結婚してすぐ退職はもったいない?結婚してからの退職・転職のタイミングの取り方
[最終更新日]2024/07/21
結婚はライフスタイルが大きく変化するイベントであり、結婚を機に今の働き方を見直す方は多いのではないでしょうか?
一昔前までは「寿退社」して専業主婦になる方が多数でしたが、エンジャパンの調査によると、約9割の女性が「結婚・出産後も働きたい」と考えており、仕事を続けるという選択肢も一般的になってきました。
しかし仕事を続けるとはいってもワークライフバランスを重視して働くために転職を考える方も多数います。
目次
1)結婚したら、まずは夫婦の「収支と資産」状況を確認しよう
結婚して大きく変わるものの1つが「お金の管理」です。今までは好きなものを買い、好きな金額を貯金できましたが、結婚するとそうはいきません。
例えば2人で暮らす家を購入する、子供が生まれるためにお互い貯金する、またはお金を出し合うことが挙げられます。
「2人で財布は分ける」と考えていたとしても、生活を共にする以上どうしても共用のものを買う必要があり、また買うものの質もお互いの給与水準に合わせる必要があるため、夫婦の収支・資産状況を把握する必要が発生します。
そこで結婚したら早い段階でお互いの年間収支と資産状況を把握することをおすすめします。ざっくりでも構わないので、まずは以下を計算してみましょう。
収支 | 収入-支出の額です。 まずは1ヵ月の手取り額と月々の総支出を引いて、ざっくりと「毎月残るお金」を算出します。 年間の収支を見る場合は、そのほかボーナスなどの収入ほか固定資産税など年間で発生する収入・支出を計上していきます。 |
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資産状況 | 現在の貯金(預金)額、そのほか株式などの投資商品の現在価格を確認します。 資産はそのほか家・土地などの不動産や、マイナス資産としてローン・借金もありますが、まずは分かりやすく「すぐに自由にできるお金」の範囲で算出すると良いです。 |
おおよその年間収支と現在の資産状況が分かれば、現在の生活を続けていった際に毎年どれだけ資産が増減するかがわかるはずです。
収支と資産が確認できたら、「ライフプラン」を描いていく
現在の収支と資産がどれほどなのかある程度確認出来たら、「ライフプラン」についても話し合ってみましょう。
ライフプランとは、人生の中で想定される大きなイベントを考え、お金が必要になるタイミングやその金額を把握して計画をたてることです。
具体的には、以下のプロセスでプラン立てを行います。
上記図の例では、今後の主な支出として海外旅行、マイカーとマイホームの購入、そして子どもの大学入学と老後資金を挙げており、これら全てを貯蓄でまかなうとしたら毎月24万円の積立が必要となることが分かります。
(※ すでに貯蓄がある場合や積立投資等の資産運用を行っている場合は、この限りではありません。)
ライフプランを立てることによって、「早めの貯蓄が必要になりそうだ」という気づきがあるかもしれません。
または、「転職時の給与条件として、これくらいは欲しい」という新たな希望条件が出ることもあるでしょう。
このように、ライフプランを立てることによって「自分はどんな働き方をするべきか」という方向性が見えてくるのです。
「ライフプランを立てるのが難しい…」という方は、以下日本FP協会の「ライフプラン診断」がおすすめです。
現在の収入や資産状況をもとに、これから先の人生でかかるお金、資産推移を予測できます。
「ライフプラン診断」の診断結果イメージ
画像引用元:日本FP協会「ライフプラン診断」診断結果画面
2)結論:多くの人は、結婚後も「現職で働き続ける」のがベター
現在そして将来の収支・資産状況をざっくり試算してみると、「共働きでないと厳しい」という結論になる人が多いと思います。
また「人生100年時代」と言われるように長生きできるようになりましたが、その分老後のお金をより蓄える必要もあります。
もちろん様々なライフスタイルの選択肢があり、一概に働き続けることが良いとは言い切れませんが、お金はあるに越したことはないということを考えると、共働きの方が生活は安心できると言えます。
また、夫婦で勤務場所や勤務時間がすれ違ってしまうなど、転職時に説明できるような事情がない限りは、「転職よりも、現職を続けることがベター」です。
結婚を機に転職する場合、転職先企業からすぐ産休に入ることを警戒され決まりにくいといったこともありますが、現職なら慣れた職場なので結婚休暇や時短勤務の相談もしやすいでしょう。
結婚してすぐ退職はもったいない?長い目でキャリアプランを考える
結婚してすぐに退職し、憧れの専業主婦に!と考えている方もいると思われます。
しかしまずはキャリアの観点から考えてみましょう。20代、30代は働き盛りと言われる年代です。
もっと上の年代と比較すると収入は低いですが、若い年代で培った経験やスキルが後の収入に繋がります。
また若い年代だからこそ成長しやすいこともあり、例えばライフイベントが一通り落ち着いた40代が1から新入社員と同じように成長するのは難しいでしょう。
経験やスキルが未熟なまま結婚してすぐに退職してしまうのは後のキャリアを考慮するともったいないと言えます。
また純粋に生涯収入のことも考えてみましょう。
大学・大学院卒の人が生涯稼げるお金は2億5,000万円と言われています(※正社員の場合)。
つまり、正社員の20代女性が仕事を辞めてその後ずっと専業主婦であった場合、将来の収入が2億ほど減少することになるのです。
3)「産前産後休業」「育児休業」についても理解を深めておく
子供を産む予定がある方は、産前産後休業や育児休業についても理解を深めておきましょう。
休業期間は無給である場合がほとんどです。健康保険から出産手当金が支給される場合もありますが、収入がかなり減少する方が多数ですので、前もってどれほどのお金が必要なのか試算しておきましょう。
以下に各休業の概要をまとめてご紹介します。
産前休業
- 出産予定日の6週間前(ただし双子など多胎妊娠の場合は14週館前)から取得可能。
- 労働者が申請した場合に取得できる。
産後休業
- 出産をした翌日から8週間取得可能。
- 会社は原則的に取得させる義務を負うが、医師の診断書を提出することで産後6週間を過ぎれば職場復帰することは認められている。
育児休業
- 休みに入る1ヵ月前までに期間を示したうえで、会社に申し出をする必要がある
- 原則的には子どもが1歳に達するまでだが、保育園の入園目処がたたなかった場合に限り、再延長できる。
転職してから1年間は育休の取得ができない?育休取得はタイミングを計画的に
産前産後休業、育児休業については雇用形態に関わらず取得できますが、育児休業の場合は以下の条件があるので、該当するか確認しておきましょう。
以下の条件を満たした場合取得可能。
- 原則として1歳に満たない子どもを養育していること
- 子どもが1歳6ヵ月になる日の前日までに、労働契約期間が満了することが明らかでないこと
- 参考文献
- 厚生労働省「育児・介護休業法について」
育児休業はパートや契約社員であっても取得できるものですが、「子どもが1歳6ヵ月になる日の前日までに、労働契約期間が満了することが明らかでないこと」と定められています。
したがって契約期間が1年未満である場合は取得できないこともあるので要注意です。
育児休業の取得を検討する際は、お金のことももちろんですが自分の雇用契約やタイミングも一緒に確認するようにしましょう。不明点等あれば会社の人事部に相談してみることをおすすめします。
4)結婚のタイミングで転職をする場合は
2人の時間を大切にする、子供ができてもいいように準備するなど、結婚のタイミングで転職を考える方は多いでしょう。
実際にエンジャパンの結婚・出産後の働き方に関する調査でも、「結婚・出産後は少しペースを落として働く」という意見が過半数を超えています。そこで結婚を機に転職する際の気を付けたいポイントをご紹介します。
正社員?派遣社員?パート?──自身の一番ベストな働き方を定める
結婚のタイミングで転職したものの、「状況はほとんど変わらなかった」というのが一番もったいない結果です。
正社員・派遣社員・パートと様々な働き方がありますが、働き方を決める際、まずは自分の転職の軸となる条件をしっかり考えましょう。
現職のどんなことには満足していて、どんな状況を変化させたいのかを考えると軸となる条件が浮かんできやすいです。各雇用形態の以下の特徴を踏まえて、条件に合ったものを選びましょう。
雇用形態・働き方 | メリット | デメリット |
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正社員 |
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派遣社員 |
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パート |
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フリーランス |
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女性の支援に長けた転職エージェントを活用する
家庭を持つ女性の転職は、「女性の転職支援に強い転職エージェント」を活用すべきでしょう。
転職活動の際には、多くの人が「転職エージェント」を利用しています。
その主な理由は、国内の少なくない企業がハローワークや転職サイトではなく転職エージェントのみに「非公開求人」を出しているからです。
ですが、私たちが転職エージェントを利用する際は「求人を紹介してくれる人」としてではなく、「転職活動全般を相談できる人」として活用したほうがより効果的でしょう。
上記図で表す通り、「求人紹介」は転職エージェントが提供するサービスの一部でしかありません。
それ以外のサービス、例えばキャリアプランのアドバイス(キャリア相談)、書類添削、面接対策などの選考通過のためのサポートも受けることによって、転職成功の確度を高めていけるはずです。
ただし、転職エージェントは国内多くのサービスがあり、またどの担当者が付くかによってもサポートの提供のされ方が変わります。
あなたに合った転職エージェント(または担当アドバイザー)を見つけるためにも、はじめに2~3つのサービスに登録して、利用のしやすさやコミュニケーションの取りやすさを比較しておくことをおすすめします。
「女性の転職に強い」とうたっているエージェントであれば、女性が働きやすい環境が整えられている企業の求人を多く保有していることが期待でき、企業選びも自分で探すよりもスムーズになるでしょう。入社後に「条件と違う!」というミスマッチも起こりにくいといえます。
次の章は女性の転職に強いエージェントをご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
4)女性の「結婚後の転職」におすすめの転職エージェント
ここからは、女性の「結婚後の転職」におすすめの転職エージェントをご紹介します。
現在、国内に転職エージェントは2万以上もあります。当然ながら、それら転職エージェントにはそれぞれ特徴があり、「どの転職エージェントも一緒」ということはありません。
また、「女性の結婚後の転職」といっても希望する働き方は様々でしょう。大切なことは、あなたが「こんな働き方をしたい」という方向性に対して、利用する転職エージェントのほうで充分な実績体制とサービスを有しているかです。
そこで、あなたに合ったサービスを見つけやすくするためにおすすめの転職エージェントをパターン別にピックアップしました。
女性のタイプ別おすすめ転職エージェント
どれか一つのタイプではなく、複数のタイプが当てはまるという人もいるでしょう。
その場合は、それぞれのタイプでおすすめしているサービスを見て、自分にマッチしそうなサービスを2~3ピックアップしてみてください。
なるべく早く転職したい、積極的に求人提案を受けたい人はdoda・リクルートエージェント・ワークポート
「なるべく早く転職したい」、「積極的に求人提案を受けたい」という人はdoda、リクルートエージェント、そしてワークポートのサービス利用がおすすめです。
doda、リクルートエージェントは共に国内最大手の人材紹介会社として、豊富な求人と充実したサービス体制があり、「的確かつスピーディな対応」への評判が高く、職務経歴書などの書類添削や応募企業の情報収集、面接対策についても、これまでの実績に基づいた適切なサポートを行ってくれます。
ワークポートはIT・Web業界への転職支援に強い転職エージェントで、かつキャリアアドバイザーからの積極的な求人提案をしてもらえると評判です。ITエンジニアやWebディレクター・プロデューサーといった職種への転職を希望される方にマッチしやすいでしょう。
ただし、これら大手転職エージェントは若手のキャリアアドバイザーも多く、当然その品質は一定ではありません。
相性の良くないアドバイザーや経験の浅いアドバイザ―が担当になったときにうまくリスクヘッジできるように、複数の転職エージェントに登録しておきサポート品質を比較確認できるようにしておいた方が良いでしょう。
サービス名 | 特徴 |
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doda |
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リクルートエージェント |
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ワークポート |
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キャリアアドバイザーにじっくり相談してもらいたい人はマイナビエージェント・パソナキャリア・JACリクルートメント・type女性の転職エージェント
転職エージェントでキャリア相談をしたい方、また今回の転職活動に不安を感じている女性の方は、じっくり相談を聴いてもらえる転職エージェントがおすすめになるでしょう。
相談をどれだけ聞いてもらえるかは担当となるキャリアアドバイザーによっても変わってきますが、以下の転職エージェントは「話をよく聞いてもらえた」という評判が多いです。
マイナビエージェントは20代~30代前半の若手社会人向けの転職支援に強く、JACリクルートメントは年収600万円以上のリーダー・管理職層の転職支援に強いです。パソナキャリアは全年齢に満遍なく対応している転職エージェントです。
また、「女性が働きやすい職場探し」を意識されている方は、type女性の転職エージェントおよびパソナキャリアがおすすめです。
管理職の女性比率や産休・育休後の支援制度の整っている職場を見つけやすいでしょう。
サービス名 | 特徴 |
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マイナビエージェント |
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パソナキャリア |
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JACリクルートメント |
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type女性の転職エージェント |
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派遣社員としての働き方を検討している人は、アデコ、テンプスタッフ、スタッフサービス
派遣社員としての働き方を検討している女性の方は、アデコ、テンプスタッフ、スタッフサービスの人材紹介サービスがおすすめです。
これらサービスの特徴として挙げられるのは、「全国区で、求人が豊富なこと」そして「福利厚生が充実していること」が挙げられます。
また、一定期間働いた後正社員採用を目指せる紹介予定派遣の案件もあります。
人材派遣サービスの注意点は、「担当者との付き合いが長くなる」点です。 派遣したあとも定期的にコミュニケーションを取り職場や仕事内容、キャリアアップの相談ができますので、「この会社(または担当者)は自分に合っている」と思えるサービスを見つけることが大切です。
まずは複数のサービスに登録して、何度かコミュニケーションを取ったうえで「この派遣会社で働きたい」と思えるサービスに絞っていくと良いでしょう。
人材紹介サービス | 特徴 |
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Adeco(アデコ) |
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テンプスタッフ |
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スタッフサービス |
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専門スキルを活かしたい人は、「特化型」の転職エージェント
ITエンジニアや管理業務、マスコミや介護など、これまで培った専門スキルを活かしての転職を検討している人は、「特化型」の転職エージェントがおすすめです。
特化型の転職エージェント利用いちばんのメリットは、担当となるキャリアアドバイザーがその分野の業界情報やトレンドに詳しいということです。
これまで培った知識・経験を活用しつつ今後もキャリアを積み上げる為にどのような知識やスキルの開発が必要かであったり、応募する企業でどのような知識・スキルが求められるかについて、具体的なアドバイスを貰いやすいでしょう。
各分野別のおすすめ特化型転職エージェント
タイプ | ITエンジニア | ITエンジニア | IT・Web業界 | リーダー・マネージャー | リーダー・マネージャー | リーダー・マネージャー | リーダー・マネージャー | 会計・経理・税務・財務 | マスコミ・メディア | アパレル・ファッション | 管理部門 | 外資・グローバル | 外資・グローバル | 製造系エンジニア | 介護・福祉 | 介護・福祉 |
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サービス名 | マイナビIT AGENT | レバテックキャリア | ワークポート | doda X | JACリクルートメント | リクルートダイレクトスカウト | ビズリーチ | ジャスネットキャリア | マスメディアン | クリーデンス | MS Agent | エンワールド | ロバート・ウォルターズ | メイテックネクスト | レバウェル介護 | かいご畑 |
メリット |
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デメリット |
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公開求人数 | 約2.1万件 | 約2.5万件 | 約11万件 | 約6.0万件 | 約2.1万件 | 約40万件 | 約14万件 | 約4,000件 | 約4,900件 | 約1,400件 | 約1.0万件 | 約900件 | 約1,900件 | 約1.6万件 | 約23万件 | 約9,000件 |
得意業界/職種 | IT・Web | IT・Web | ◎全業種・職種 | ◎全業種・職種 | ◎全業種・職種 | ◎全業種・職種 | ◎全業種・職種 | 会計・経理・税務・財務 | マスコミ・メディア | アパレル・ファッション | 管理部門・士業 | 外資系 | 外資系 | 製造系エンジニア | 介護・福祉 | 介護・福祉 |
対象地域 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 | 関東・関西・中部(東海) | 東京・大阪 | 関東・関西・東海 | ◎全都道府県 | 東京・愛知・大阪+海外 | 東京・愛知・大阪+海外 | 東京・名古屋・大阪・福岡 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 | |
おすすめの人 |
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まとめ)転職の前にお金も含めライフプランについて再確認しよう
結婚によりライフスタイルが変化すると、「とりあえず転職して仕事を変えたい!」と思ってしまいますが、仕事はこれからの収入に関わる事項です。
また結婚していると自分だけの問題ではなく、夫婦間の、または家族全体の問題となってきます。仕事を安易に変えてしまう前に、今の収支・資産の状況や将来にかかるお金も含めたライフプランを夫婦で考えてみましょう。
ライフプランを考えると必要な収入がわかり、仕事もそれに合わせて決めることができます。
また夫婦の認識を合わせておくという意味でも役に立ちます。お互いに1つの方向に向かって進める素敵な結婚生活を歩めるよう、よく考えてみてくださいね。