転職で企業への「直接応募」はアリ? メリット・デメリットを解説
[最終更新日]2024/09/05
「応募したい企業がすでに決まっている」
「企業HPで人材募集の情報を見つけた」
転職を検討している人の中には、現在このような状況の人もいることでしょう。
転職サービスを活用して転職活動を進めるのは一般的なことになりつつありますが、転職を希望する企業に直接応募することもできます。
目次
1)転職活動は「直接応募」と「転職サイト・エージェント経由」の2通りがある
直接応募 | 企業の「採用ページ」から転職者自身で応募すること |
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転職サイト・転職エージェント経由の応募 | 転職サイト:サイト上で転職者自身で求人の検索を行い応募する 転職エージェント:キャリアアドバイザーを介して希望条件に見合った求人の紹介がある |
転職活動を進めるには、入社を希望する企業の採用選考を受ける必要があります。求人に応募すると書類選考が行われ、書類選考を通過した場合は面接へと進むのが一般的な流れです。
求人に応募する方法として、直接応募と転職サイト・転職エージェントを経由した応募の2通りがあります。
直接応募とは、企業HPに掲載されている採用情報から応募メッセージを送ったり、応募書類を企業へ直接送ったりすることを指します。
これに対して、転職サイトを通じて応募する場合はさまざまな企業の求人情報の中から応募したい企業を探し、サービス内で職務経歴書を作成して送信します。転職エージェントの場合はキャリアアドバイザーから企業を紹介してもらい、応募もキャリアアドバイザーを通じて行います。
直接応募とは
企業に直接応募する方法として、具体的に次のものが挙げられます。
- 人材募集ページで必要事項を入力して送信する
- 企業HP内のメッセージフォームに応募したい旨を記載して送信する
- 人事部や採用担当者宛に応募書類を郵送する
企業HPに採用専用ページが設置されていることもありますが、企業によっては「応募書類をご郵送ください」と記載していたり、「お問い合わせフォームよりメッセージをお送りください」と書かれていたりすることがあります。
応募方法は企業ごとに異なるため、必要な書類や記載事項、送付方法をよく確認し、企業が指定する方法で応募する必要があります。
応募後は企業とのやりとりを全て応募者自身が行い、面接の日時などを調整していくことになります。
2)直接応募の3つのメリット
すでに応募したい企業が決まっている場合や、企業HP内に人材募集に関する情報が掲載されていることを把握している場合、転職サービスを使わずに直接応募したほうが早いと感じるのは自然なことです。
では、転職サービスを経由せず企業に直接応募することでどのようなメリットを得られるのでしょうか。主なメリットとして、次の3点が挙げられます。
- 転職サイト・エージェントには掲載されていない企業にも応募できる
- 「志望意欲や熱意がある」と評価されやすい
- 転職を自分のペースで進めやすい
転職サイト・エージェントには掲載されていない企業にも応募できる
転職サイトや転職エージェントには数多くの求人が掲載されていますが、あらゆる企業がこうしたサービスを活用して人材募集を進めているとは限りません。
転職サイトの場合、求人を掲載するにあたって掲載料が必要になるケースが大半ですので、長期にわたって求人を掲載すると企業にとってコスト面で負担となります。
転職エージェントの場合は採用が決定した際に報酬が発生するため、採用に至らない限り企業にとってコストは発生しません。
しかし、そもそも人材募集に転職エージェントを活用するカルチャーを持たない企業も存在しており、転職エージェント経由で紹介されない企業もあるのが実情です。
企業に直接応募することによって、転職サービスを活用していない企業にも応募できるのはメリットといえるでしょう。
「志望意欲や熱意がある」と評価されやすい
企業に直接応募する人材は、転職サイトに掲載されている多数の求人の中からその会社を選んだのではなく、「この会社に入社したい」という明確な意思をもって応募したと捉えてもらえる効果があります。
企業HPから応募した場合、すでに自社HPを見ていることは明らかであるため、企業の理念や事業内容に興味を持って応募したことが伝わりやすいのです。
転職サービスに掲載されている多数の求人の1つに応募した人と比べると、入社意志があり志望意欲や熱意をもって応募していると評価してもらえることもあるでしょう。
応募先企業が転職サービスと自社HPのどちらにも求人を掲載している場合は、あえて直接応募することで志望度の高さをアピールする材料になることがあります。
転職を自分のペースで進めやすい
転職サイトに掲載されている情報は、多くの人の目に留まります。
志望度があまり高いわけではなく「とりあえず応募した」だけの人も含めて、企業は書類選考を行わなくてはなりません。
求人掲載後、何百件という応募があることもめずらしくないため、書類選考の結果を通知するまでに期間を要する可能性があります。
一方、企業HPから直接応募する人は転職サイト経由での応募者よりも少なくなる傾向があります。
そのため、自社HPのみで人材募集を進めている企業であれば比較的レスポンスが速く、選考が短期間で進むこともあり得ます。
応募者にとって「待ち」の期間が短くなり、自分のペースで転職活動を進めやすいのは、直接応募のメリットの1つといえるでしょう。
3)直接応募のデメリット・注意点
直接応募にはメリットがある反面、転職サービスを活用しないことによるデメリットもいくつかあります。
直接応募するのであれば、デメリットの面もよく理解した上で決断することが大切です。
とくに次に挙げる3点は直接応募することによって生じる可能性の高いデメリットですので、しっかりと理解しておきましょう。
- 企業研究や書類・面接への対策が甘くなりがち
- 選考のフィードバックがないため、改善点を見つけにくい
- 年収や勤務地などの条件交渉を自分で行う必要がある
企業研究や書類・面接への対策が甘くなりがち
直接応募する場合、企業がどのような人材を求めているのか、必要とされるスキルや業界知識はどの程度のレベルなのか、得られる情報は非常に限られています。
応募書類の書き方やアピールポイント、面接で重点的に伝えるべき事項など、あらゆる対策を自力で講じなくてはなりません。
応募前に企業HPを入念に確認するはずですが、企業の内情や人材募集の背景、一緒に働くことになるメンバーなど、HPからは読み取れない情報のほうが多いと考えたほうがいいでしょう。
情報が不足すると、選考への対策はどうしても甘くなりがちです。
自分としては十分に響くと思っていたアピールポイントにあまり手応えを感じられなかったり、面接の場で予想外の質問をされて戸惑ったりすることにもなりかねません。
直接応募することで、選考通過の難易度はどうしても高まってしまうことは覚悟しておく必要があるでしょう。
選考のフィードバックがないため、改善点を見つけにくい
面接選考後、「手応えがあったのに次の選考に進めなかった」「理由がよく分からないが一次面接で不採用になった」といったことが起こり得ます。
不採用となった理由を詳しく説明されることはまずありませんので、採用に至らなかった原因は分からず仕舞いになってしまいます。
また、次の選考に進むことができた場合も、一次、二次と進むに従って面接担当者の役職は上がっていくのが一般的です。
前回の面接と同じ切り口やアピールポイントで次の面接も通過できるとは限らないため、選考中も客観的に振り返りを行い、改善点を見つけていくことは非常に重要です。
直接応募した場合、前回の面接を応募先企業がどう評価したのかフィードバックを得る機会はありません。
転職エージェントであれば、担当キャリアアドバイザーを通じて面接の振り返りや次回面接時の注意点を聞くことができるため、直接応募する場合と比べると対策を講じやすくなります。
年収や勤務地などの条件交渉を自分で行う必要がある
自力で転職活動を進める際、難易度が高いとされるプロセスの1つに年収や勤務地といった条件の交渉があります。
提示された年収が想定よりも低かった場合、いつどのタイミングで誰に対して交渉すればいいのか、自分で判断しなくてはなりません。
また、そもそも交渉することが可能であるのか、どのように切り出せば失礼にあたらないのかといったことを全て自分で考える必要があります。そのため、条件交渉は「できない」「しづらい」と感じる人が多いのが実情です。
転職エージェントを経由して応募する場合、条件交渉も含めて担当キャリアアドバイザーが代行してくれます。
転職希望者自身が言い出しづらいことでも代わりに交渉を進めてくれますので、納得して転職先を決めやすくなるはずです。直接応募する場合、このメリットを得られない点は十分理解しておく必要があるでしょう。
4)直接応募がおすすめな人
直接応募が向いている人の特徴
- 公的企業に転職したい人
- 大手・有名企業への転職を目指している人
- スタートアップ企業に転職したい人
- 地方で特定の地域に絞って転職活動をしたい人
常に一定数の転職希望者がいる企業の場合、自社HPのみで人材募集の告知をすることがあります。
代表的な例としてNPOやNGOといった公的企業が挙げられます。また、自社内で採用部門を抱えている大手・有名企業も、転職サービスを活用せず自社で採用活動を進めていることがあります。
採用にコストをかけられないスタートアップ企業も、SNSを活用したソーシャルリクルーティングや社員からの紹介を中心に採用活動を進めているケースが見られます。
SNS経由で応募の意思があることを伝えるのも直接応募の方法の1つといえますので、スタートアップへの転職を希望している人はSNSの活用も検討するべきでしょう。さらに、地方を地盤とする企業の場合、自社HPとハローワーク経由の応募のみ受け付けていることもあり得ます。
このように、あえて転職サービスを活用しない方針の企業も存在しますので、上記のようなタイプの企業に転職を検討している人は直接応募も視野に入れて転職活動を進めましょう。
5)直接応募のデメリットは転職サイト・エージェントの活用でカバーできる
企業HPから応募が可能なケースであっても、転職サイトや転職エージェントで求人を扱っていないかチェックしておくことをおすすめします。
直接応募によるデメリットは決して小さいものではなく、情報不足によって不採用になったり、不本意な条件で採用が決まったりする結果につながるリスクを孕んでいます。
情報収集・面接対策・条件交渉といった直接応募の弱点となりがちな部分は、転職サービスを活用することでカバーできるのです。
企業HPから直接応募する前に、複数の転職サービスで求人が掲載されていないか検索してみましょう。
もし掲載されていれば、求人情報からより詳しい応募条件や募集背景を知ることができる可能性があります。
転職エージェントであれば、公開されている求人に該当する企業がなかったとしても、非公開求人として保有していることも考えられます。
担当キャリアアドバイザーに転職を希望する企業名を伝え、紹介可能な場合は優先的に声をかけてもらえるよう依頼しておくのです。
転職エージェントであれば面接対策や条件交渉も行ってもらえますので、直接応募する場合と比べて失敗するリスクを抑えることができるでしょう。
転職サイトや転職エージェントでどうしても求人が見つからない場合を除いて、転職サービスを活用して直接応募の弱点をカバーしたほうが得策です。
6)求人内容が豊富・サポート品質の高いおすすめ転職サービス
直接応募の弱点を補うために転職サービスを活用する場合、そもそも応募したい企業の求人を扱っているかどうかが重要なポイントとなります。
転職サービスを選ぶ際は、できるだけ求人数が豊富で転職サポートが手厚いサービスに登録するようにしましょう。
次に挙げるのは、求人数・サポート品質の評判が高い転職サイト・転職エージェントです。扱っている求人はサービスごとに異なりますので、複数のサービスに登録しておき、並行して活用していきましょう。
求人の豊富なおすすめ転職サイト
転職サイトは利用者自身が求人を検索し、自分で応募する仕組みのサービスです。
応募したい企業の求人を検索するほか、希望条件を登録した上で条件に合う求人を探すといった利用方法があります。
また、企業からスカウトが届く場合がありますので、自分の経歴やスキルに興味を持った企業への応募を検討することも可能です。
多くの求人情報に触れておくことによって、各社の給与条件や求める人材像を比較検討しやすくなるでしょう。
タイプ | 全般・網羅型 | 全般・網羅型 | 全般・網羅型 | IT・Web業界に強み | 20代・若手に強み | ベンチャー企業に強み | ハイクラス転職に強み | 女性の転職に強み | 女性の転職に強み |
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サービス名 | doda | リクナビNEXT | エン転職 | Green | Re就活 | Wantedly | ビズリーチ | LIBZ | 女の転職type |
メリット |
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デメリット |
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求人数 | 約26万件 | 約90万件 | 約14万件 | 約4,000件 | 約1.0万件(※募集職種と勤務地の組み合わせで件数算出) | 約10万件 | 約14万件 | 非公開 | 約2,400件 |
得意業界/職種 | ◎全業界・職種 | ◎全業界・職種 | ◎全業界・職種 | IT・Web業界 | 営業・企画・事務・管理・販売・技術職(エンジニア)等 | ◎全業界・職種 | ◎全業界・職種 | 営業・企画・管理・販売系職種 | ◎全業界 |
対象地域 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 |
スカウトの多さ | ◎多い | ◎多い | 〇ふつう | ◎多い | 〇ふつう | ◎多い | ◎多い | ◎多い | 〇ふつう |
おすすめの人 |
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公式サイト |
表内の求人数は2024年11月時点のものです。
転職支援実績の豊富なおすすめ転職エージェント
直接応募の弱点をより確実にカバーするには、転職エージェントを活用することをおすすめします。転職エージェントには大きく分けて「総合型」と「特化型」があり、それぞれ強みとする特徴が異なります。
総合型エージェントは幅広い業界・職種の求人を扱っており、豊富な求人数を保有しているのが特徴です。
担当アドバイザーは特定の業種・職種にとらわれない視点でサポートしてくれますので、これまで気づいていなかった自分の強みやアピールポイントを知るきっかけを得られることもあるはずです。
特化型エージェントは特定の業界・職種を専門とするサービスです。
すでに転職を希望する業界・職種が明確になっている人は、特化型エージェントのほうが効率よく転職先を紹介してもらえる場合があります。担当アドバイザーは業界や職種に関する専門知識に長けているため、応募する企業に合わせた効果の高い面接対策を実施してもらえる可能性が高いでしょう。
全職種・業種で求人が豊富な「総合型」転職エージェント
サービス名 | マイナビエージェント | doda | リクルートエージェント | ワークポート | type転職エージェント |
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公開求人数 | 約6.9万件 | 約26万件 | 約49万件 | 約11万件 | 約1.2万件 |
得意業界/職種 | ◎全業界 | ◎全業界 | ◎全業界 | ◎全業界 | 営業、IT、システムエンジニア、プログラマ、コンサルタント |
対象年代 | ◎全年代 | ◎全年代 | ◎全年代 | ◎全年代 | 20代後半~30代前半(エンジニアのみ39歳までOK) |
対象地域 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 | 東京・神奈川・埼玉・千葉 |
おすすめの人 |
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詳細を見る |
表内の求人数は2024年11月時点のものです。
特定業界への専門知識に長けた、「特化型」転職エージェント
タイプ | ITエンジニア | ITエンジニア | IT・Web業界 | リーダー・マネージャー | リーダー・マネージャー | リーダー・マネージャー | リーダー・マネージャー | 会計・経理・税務・財務 | マスコミ・メディア | アパレル・ファッション | 管理部門 | 外資・グローバル | 外資・グローバル | 製造系エンジニア | 介護・福祉 | 介護・福祉 |
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サービス名 | マイナビIT AGENT | レバテックキャリア | ワークポート | doda X | JACリクルートメント | リクルートダイレクトスカウト | ビズリーチ | ジャスネットキャリア | マスメディアン | クリーデンス | MS Agent | エンワールド | ロバート・ウォルターズ | メイテックネクスト | レバウェル介護 | かいご畑 |
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公開求人数 | 約2.1万件 | 約2.5万件 | 約11万件 | 約6.0万件 | 約2.1万件 | 約40万件 | 約14万件 | 約4,000件 | 約4,900件 | 約1,400件 | 約1.0万件 | 約900件 | 約1,900件 | 約1.6万件 | 約23万件 | 約9,000件 |
得意業界/職種 | IT・Web | IT・Web | ◎全業種・職種 | ◎全業種・職種 | ◎全業種・職種 | ◎全業種・職種 | ◎全業種・職種 | 会計・経理・税務・財務 | マスコミ・メディア | アパレル・ファッション | 管理部門・士業 | 外資系 | 外資系 | 製造系エンジニア | 介護・福祉 | 介護・福祉 |
対象地域 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 | 関東・関西・中部(東海) | 東京・大阪 | 関東・関西・東海 | ◎全都道府県 | 東京・愛知・大阪+海外 | 東京・愛知・大阪+海外 | 東京・名古屋・大阪・福岡 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 | |
おすすめの人 |
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表内の求人数は2024年11月時点のものです。
まとめ)直接応募は「メリットはあるものの限定的」と捉えよう
企業に直接応募することによってメリットを得られるケースや、むしろ直接応募したほうが効果的なケースも全くないわけではありません。
しかし、直接応募によって十分なメリットを得られるのは限られたケースにおいてのみであり、実際にはデメリットを感じることも多々あると考えたほうが無難です。
「企業HPからでも応募できる」「応募したい企業がすでに決まっている」といった理由で直接応募を検討している人は、転職サービスを上手に活用することで直接応募のデメリットをカバーすることも視野に入れておきましょう。
自分でリサーチした範囲では知り得なかった情報に触れることができ、後悔のない転職活動を実現しやすくなるはずです。