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【転職体験談】人嫌いだった私が製薬会社から飲食店チェーンの接客業に転職した話

転職前

BEFORE
職業
製薬会社
職種
研究員・事務職
従業員規模
1,000名
年収
700万円

転職後

AFTER
職業
飲食チェーン店
職種
ホールスタッフ
従業員規模
1,000名
年収
500万円

目次

かずさんの転職ストーリー

1これまでの私

「無理なく働き、誰とも話さず、籠って仕事をする」──そんな仕事の日々。

製薬会社の職場イメージ

大学を卒業して、私は製薬会社に入社しました。

大学は理学部で学び、大学院まで進みました。

製薬会社には、「ここに絶対入りたい!」という意思があったわけではなく、ただ単に、自分は理系でしたし、就職時もバブルの最後の時代で売り手市場だったということで、引く手あまたの状態のなか、その製薬会社の研究部門に入った──そんな経緯でした。

その会社は、福利厚生もきちんとしていて、勤務時間も常識的で、休日もしっかり取れました。

無理することなく働き、無理することなく給料を受け取る」──そんな日々でした。

私の性格ですか?
──子どものころから、人と争うことが嫌いで、おだやかな性格だったと思います。

でも、その根底には「人嫌い」というネガティブな性分もありました。

そんな私でしたので、製薬会社の研究部門に入れたことは、とても幸運な事でした。

一日中、誰とも口をきかずに、研究室にこもって作業をしているような日々が続くこともありました。
ですが、私にとってそれは全く苦ではなく、むしろ楽なことでした。

そんな日々を過ごし、私は36歳で結婚しました。

やりがい、生きがいは特にありませんでした。

2転職のきっかけ

事業縮小の煽りを受けて、研究部門から事務部門へ異動となり──。

研究部門から事務部門へ異動

「転職しよう」と思い立った理由、きっかけについてですか?
──まず、製薬会社に転機が訪れたんです。

規制緩和(※ 2009年の薬事法改正 コンビニ等での一般医薬品の販売が認められるようになった)によって、既存の製薬会社が大きな打撃をこうむることになったのです。

新しい製薬会社がどんどん伸長し、私の会社も縮小しなければならない状況に追い込まれていきました。

研究部門も同じで、人減らしが始まりました。
人減らしのリストが作成され、順次、声がかけられていったのですが、私もその対象となり、「営業か事務部門への異動」の二択を迫られました。

私は戸惑いました。ずっと研究部門で20年近くやってきた人間が、そうそう矛先を変えられるものではありません。

私は営業は嫌だとの思いから、消去法で事務のほうに回りました。

そんな折、大学時代のサークルの先輩に会い、飲む機会がありました。

その先輩も、大手の百貨店に入ったのですがリストラされて、飲食店の社員に転職したとのことでした。その人いわく、

大学の
先輩

「定年までに許されるなら、一度人生をリセットしてみるのもいいかもしれないね。新たな自分を見つけられるチャンスかもしれないよ」

と。──その言葉が、とても心に強く刻まれました。

3転職中

「これが、自分を変える最後のチャンスかもしれない」

これが、自分を変える最後のチャンスかもしれない

研究部門から事務部に異動になって、私は日々の「やりがいのなさ」に悩まされていました。

結局は、研究部門内で「必要な人材とそうでない人材」とでふるいにかけられて、私は「そうでない人間」として、事務部に回されたのです。

事務部では、新卒の若い社員と肩を並べて研修を受けました。
それはそれで、新鮮なことではありました。

ですが、周囲の人々が私に必要以上に気を遣ってきていることに気づいて、なんとなく居心地の悪さを感じるようになりました。
それどころか、気づけば、私自身も皆に気を遣っているのです。

なんとなく、ここに居ることの不自然さ。そして、業務は単純な事務作業です。これまでの経験など活かされることはほとんどありません。

(自分は、このルーティーンをこなしながら、人生を終えていくのか)

そんな考えが頭をよぎり、とても虚しい気分になりました。

そして私は、新たな転職先を、探してみようと決めたのです。

──いえ、それでもまだ本格的に腹を決めたわけではありませんでした。
「あわよくば」の意識のほうが強く、転職エージェントには申し込まず、消極的な転職活動でした。

そんな折、以前私を励ましてくれた先輩から、

大学の
先輩

「うちの会社に来ないかい?」

と誘われたのです。

その先輩の職場は飲食店です。

私は、まさか自分が飲食店で働くことなど、まったく想定していませんでした。

ですが、誘われて日が経つうちに、(それも悪くないかもしれない…)と思うようになり、1週間たったころには、(もしかしたら、これが自分を変える最後のチャンスかもしれない)と考えるようになりました。

そして、私は転職の決断をしました。

4転職後

製薬会社から、飲食店チェーンに転職して、その後──。

飲食店チェーンに転職

その飲食店チェーンは、新たに展開し始まったところで、発展の機運に満ち溢れていました。

社長の考え方も斬新でしたが、中心には、「人間を大事にする」という考えがありました。

それは、お客さんに対しても、社員に対しても同じです。

そして、社員については、年功序列も経験のあり無しも関係なく、実力主義でした。

製薬会社の研究部門でぬくぬくとやってきた私にとっては、大変な世界でありましたが、目が醒めるような思いでした。

転職によって、不運とか不快であったことはほとんどありません。

大変な環境への移動ではありましたが、自分を高めてくれる、自分を変えてくれる環境に変われたという実感を強く感じました。

また、後々になって、私の転職時には大学時代の先輩が、会社の関係者にいろいろと口添えをしてくれたことが分かりました。

私は感謝するとともに、自分も恩返しの為にも、だれかの為に頑張ろうと思いました。

5その後、どうなったか。

転職を振り返って、今思うこと。──そして、現在の私の状態。

転職を振り返って、今思うこと。

今回の転職を通して、学んだことは、

  • 人間は常に努力し、進化、向上し続けなければならないということ
  • 自分のため、家族のために生きることは当たり前として、その他の人々のためにも生きなければならないということ

──この2つです。

製薬会社時代は、言ってしまえば「ただ生きている」だけでした。

与えられた仕事を、自分の能力の範囲内でこなし、給料をもらっているという毎日でした。

しかし、転職してからは、常に努力、常に精進しなければなりませんでした。

もちろん、薬学部の大学院で学んだ知識など関係ありません。

更には、ただ「利益を上げれば良い」ということではなく、「どうすれば、お客様に喜んでいただけるか」、「どうすれば、ほかの従業員と団結して、より良いサービスを提供できるか」ということを常に考え、実行していかなければなりませんでした。

それは、それまで生きる屍のように生きてきた私にとって、素晴らしい刺激でした。

大げさかもしれませんが、「自分は、生まれ変わった」という実感を得られたのです。

──もちろん、仕事は覚えることが多く、緊張感もあってその分大変ではありましたけれど。


転職して、3年が経ちました。

今、私は店長として、多忙な日々を過ごしています。

かつては「人嫌い」だった私が、今では笑顔でお客様をお迎えしているのです。
たまに、自分でも不思議に感じますね。

思うに、私は「人嫌い」だったのではなく、単に「臆病」だったのでしょう。

「当たって砕けろ」、「ダメで元々」と開き直って、勇気をもって何事にも取り組んでいけば、どんな形であるにせよ、現実は開かれていく──そのことに、私はずっと気づかない振りをしてきたのです。

ですが、今は、その意味について、私は少しずつではありますが、分かり始めてきています。

そして、今の店を更に、たくさんのお客様に喜んでいただける店に進化させていきたい──そんな想いでいます。

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