離職率が高い職場はココで見分けよう!辞める人が多い職場の3つの特徴
[最終更新日]2024/07/30
転職で新たな職場を探すにあたって、「離職率の高い会社は避けたい」という気持ちは誰もが共通して持つのではないでしょうか。
ですが、多くの会社は自社の離職率を公開していません。「この会社の離職率ってどれくらいなんだろう…」と気になったときに、確認できる方法があったら知っておきたいですよね。
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目次
1)そもそも、離職率とは?
離職率の計算方法と、国内企業の平均離職率
離職率とは、ある企業での、一定期間後に退職した人の割合を示したものです。
離職率の計算法は、一定期間内の離職者の人数を、元々の社員数で割ることにより算出できます。
離職率(%)=一定期間中に離職した人数÷その期間に入社した元々の社員数
例)1年間の離職率を調べる場合
1年間離職率(%)=入社して1年以内に離職した人数÷その期間に入社した元々の社員数
ここで言われる「離職者」とは、パート・アルバイト・正社員など雇用形態を問いません。
一般的に、企業が離職率を算出する際は4月1日を起算日として設定することが多く、たとえば2018年4月1日に入社した新入社員100名が2021年4月1日時点で90名になっていた場合、
一定期間中に離職した人数(10)÷その期間に入社した社員数(100)=10%
が、離職率となります。
離職率は、どれくらいから「高い」と言える?
※厚生労働省の「新規学卒者の事業所規模別・産業別離職状況」によると、大学卒業後の新入社員の3年以内離職率は以下のようになっています(平成29年~31年の数値)。
- 1年以内:約12%
- 2年以内:約23%
- 3年以内:約33%
ちなみに、中学・高校・短大卒業後の新入社員の離職率は更に高くなる傾向にあります。
参考:中学卒・高校卒・短大卒・大学卒それぞれの新入社員の離職率平均
1年以内離職率 | 2年以内離職率 | 3年以内離職率 | |
---|---|---|---|
中学卒の新入社員 | 約36% | 約50% | 約60% |
高校卒の新入社員 | 約16% | 約29% | 約40% |
短大卒の新入社員 | 約18% | 約31% | 約43% |
大学卒の新入社員 | 約12% | 約23% | 約33% |
※厚生労働省の「新規学卒者の事業所規模別・産業別離職状況」平成29年~31年の数値をもとに、弊社表作成。
新入社員の3年以内離職率は、大学卒で30%以上となっており、短大卒・高校卒・中学卒は更に高い数値となっています。ちなみに、これら離職率の傾向は昭和60年頃から大きな変化なく推移しています。
最終学歴以外にも、離職率は会社の従業員規模等によってもその平均値は大きく異なります。
例えば、大学卒の新入社員の、会社の従業員規模ごとの3年以内離職率は以下の通りです。
参考:大学卒新入社員の、会社の従業員規模ごとの離職率平均
会社の従業員規模 | 3年以内離職率の平均 |
---|---|
5人未満 | 約56% |
5~29人 | 約51% |
30~99人 | 約40% |
100~499人 | 約33% |
500~999人 | 約30% |
1,000人以上 | 約27% |
※厚生労働省の「新規学卒者の事業所規模別・産業別離職状況」平成29年度の数値データをもとに、弊社表作成。
これら離職率の数値はあくまで平均値であり、この値のみで会社の優劣を測るべきではありませんが、「この会社の離職率が高いかどうかを確認したい」という際に、ひとつの目安として活用するには有意義でしょう。
例えば従業員規模100名の会社で、大卒新入社員の3年以内離職率が50%を超えていた場合は、「平均よりも離職率が高い職場」と推測できます。
会社の離職率が高いと、どんな問題がある?
離職率が高い会社では、必然的に「人の入れ替わり」が多くなりますので、採用から育成、引き継ぎといった業務量が多くなりがちです。
いざ入社してみたら「慌ただしい雰囲気で働きづらい」「人事や労務の担当者が忙しくしていて、コミュニケーションが取りづらい」「前任者からの引継ぎに、十分な時間をかけてもらえない」といったデメリットを感じやすくなるでしょう。
人材の入れ替わりが常態化している会社の場合、「残業が多い」「業務量に比べ給与が見合っていない」といった悪環境に陥ってしまうケースも少なくありません。
何より、頻繁に社員が退職していると、そこで働く人たちのムードやモチベーションも下がりやすくなるものです。
一方で、「離職率が限りなく低い会社」が良い会社とは限らない
一般的に、会社の離職率が低いことは「良い」とされています。
ですが、「離職率が低ければ低いほど良い会社か」と言うと、そうとは限りません。
例えば、会社がぬるま湯状態で従業員はプレッシャーを全く感じずにいられたら、その会社の離職率は低くなりやすいでしょう。ですが、その結果社員の成長スピードは鈍化するかもしれませんし、市場の変化への対応ができない等の理由で経営が立ち行かなくなるリスクも高くなるでしょう。
また、会社内の人員が一定のペースで入れ替わり新陳代謝をすることによって、「常に新しい知識や価値観を吸収している」という見方もできます。
離職率は大切な要素ではありますが、それだけではなく複合的な観点で会社の評価を行っていくことが大切です。
2)「離職率が高い職場には必ず理由がある!」という目で観察してみよう
人材採用・人材育成事業を担うエン・ジャパン株式会社では、2019年3月に実施した『中途入社者の定着』実態調査 」アンケートにて、「あなたの会社の中途社員の定着率は、高いですか?低いですか?」というアンケートを実施しました。
その結果、およそ4割が「中途入社者の定着率が低い(離職率が高い)」と回答しています。
参照:エン・ジャパン株式会社 アンケート集計結果「『中途入社者の定着』実態調査 」(https://corp.en-japan.com/newsrelease/2019/16757.html)
では実際に、離職率が高い会社には、どのような事例があるのでしょうか。
転職してすぐに再び転職を行った方の実際の体験談をもとに見ていきましょう。
経理から事務職に転職したあいさん(女性 29歳 東京都)のケース
私は転職先のメーカー会社の、正社員として入社しました。
「これだけの大企業だし、社内体制や福利厚生もしっかりしてるのだろう」──そう期待していたのですが、入社1日目でその期待は儚く打ち砕かれました。
一日に何度も、上司の怒鳴り声が聞こえてきました。
更には、育成する担当の人の教え方が、みんな揃って下手なんです。
それでいて、こっちが間違えると本気で怒ってくる。最初は頑張ろうと思っていたのですが、無理に合わせていこうとしていくうちに、疲労がどんどんたまってしまい、身体が壊れる前に結婚して辞めようと、心に誓いました。
食品流通から製造業に転職したマサ さん(男性 37歳 大阪府)のケース
転職先の職場は、少し田舎町にあったためか、他の土地から来た人間はあまり歓迎されないような、そんな内向的な雰囲気があって。
既存の従業員さん達からすれば、私は「突然やって来たよそ者の上司」ということなのでしょう。
特に同期入社の女性社員は色々とあらぬ噂を会社中に流して、例えば「あの人(私のことです)、借金をして地元から逃げてきたらしいよ」──というような噂がまことしやかに語られていていたり。
一時期、そのことで精神的に参ってしまい、そのまま会社に行けなくなってしまった時期もありました。
「いじめで人を追いやる」ということを、身をもって体験されたのはこれが人生で初めてでした。正直、とても不快で気分が悪かったです。
それを知りながら放置している上層部にも、不信感を感じるようになりました。
製造メーカーにUターン転職したジョージ さん(男性 44歳 広島県)のケース
「新しい職場への期待や思惑は、すべてが真逆だった…」──それが、転職後しばらく経ってから私が抱いた感想でした。
「課長」というポジションは肩書きだけで、私は何の権限もない一介の平社員でした。
仕事も完全なデスクワークで、購入する品物の伝票処理で一日の大半をすごしました。
実際の品物に触れることも見ることもなく、現場の担当者とのやり取りもメールか電話のやり取りで、顔を会わせることもありませんでした。さらに現場が24時間365日稼働している職場だったので、夜間や休日に直接取引先に注文することも頻繁にあって、当然ながら私も処理に追われることになりました。
周りのフォローですか?…そんなのは一切ありませんでした。
3名の方の体験談を見ると、「上司の怒号が絶えず飛び交う職場」「同僚から陰口を言われる」「内定時の条件と違う環境で働かされる」など、転職後にそれぞれ異なる不遇を受けたことが分かります。
では、これらの実態を、入社前に知ることはできなかったのでしょうか?
定着率の低い職場を事前に(ある程度まで)察知するためのポイントについて、詳しく見ていきましょう。
「離職率が高い会社」は、求人募集をかける際の「タブー」になりやすい
まず大前提として、「離職率の高さ」は企業にとってマイナスポイントになります。
そのため、離職率が高い会社の求人ほど別の特徴を強調し、人の出入りが激しい事実が目立たないように工夫しており、そこから正しい情報を読み解くのは難しいと言って良いでしょう。
頻繁に人の入れ替わりがあるにも関わらず、その都度新たに人員を補充し会社経営が存続しているということは、「問題を抱えている職場であることを事前に見抜けず応募・入社する人が絶えない」ということの表れとも言えます。
慢性的に人が辞め続けている企業には、必ずそれなりの理由がある
人の出入りが激しい企業には、それ相応の理由があるものです。
離職率というと業界単位で語られがちですが、同じ業界内でも会社によって社員の定着率にはかなりの差がありますので、離職率が目立って高い企業には、何かそれなりの理由があると考えるのが妥当でしょう。
離職率が高い企業で社員が退職する理由の一例としては、以下が挙げられます
- 給与が業界平均より低い
- 昇給の見込みがほとんどない
- 残業手当など法定の賃金が支払われていない
- 長時間の残業が常態化している
- 人間関係が非常に悪い
- 極端なワンマン経営
- 会社が脱法行為をしている
そのような企業では、社員を大切にせず「代わりはいくらでもいる」というスタンスで経営しているところも多く、かつそれら企業の怖いところは、「今後も改善されないままでいる可能性が高い」ということです。
たとえ離職率が高い企業でも、最終的には自分次第、は本当?
離職率はあくまで一つのデータであり、最終的には「合う・合わないは自分次第」と考える人もいます。
もちろん、ある人にとっては耐えがたい職場でも、違う誰かにとってはいい職場かもしれませんし、その逆もあり得ます。
ただし慢性的に離職者が多い会社となれば、多くの人が「合わない」と感じる可能性が高いと予想できます。
そして、その可能性を入社前にどれだけ気付けるか──ということが、転職時においてとても大切になってくるのです。
ここからは、離職率が高い職場によく見られる特徴を挙げていきます。いずれも求人広告や選考段階で察知可能な特徴ですので、「この会社に入っても大丈夫か?」を判断する際のチェックポイントとして活用してみてください。
離職率の高い、問題のある職場を入社前に見抜くポイント
3)特徴1:会社に対する否定的な「評判・口コミ」コメントが多数を占めていないか?
「離職率の高さ」を確認するうえで、まず欠かせないのが「会社に対する評価・評判」の確認です。
その会社に知り合いがいる場合はその人に聞くのが確実でしょうが、それ以外にも以下の観点でその会社の評価・評判を確認されることをおすすめします。
「企業口コミサイト」を参照する
企業の口コミサイトを利用する最大のメリットは、求人票では拾いきれない企業の評判を事前に知ることができる点です。
ここでは対象の企業の現社員、または元社員によるメリット・デメリットを踏まえた「リアルな意見」を見ることができます。
一方、あくまで個人による評価ですので、全てを信じてしまうのも危険です。
「残業時間」や「休日出勤の有無」などは客観的な数値として参考にできるものもあると考えられますが、中には会社に対する「個人的な不満」を書き込んでいる場合も無いとは言い切れません。
匿名で記入ができる仕組みだからこそ、そこには「真実も嘘も両方あり得る」と考えておくべきでしょう。
口コミサイトを上手に活用するには、以下の3つのポイントを意識してみると良いでしょう。
- 複数のサイトで意見を比較する
- 母数の少ない口コミは信憑性が低い
- その投稿が「最新のものか」にも注意する
また、以下に代表的な口コミサイトを紹介します。
代表的な企業口コミサイト#1「エンゲージ 会社の評判」
転職サービスでも知られる「エン・ジャパン」が運営する企業口コミサイトです。
2024年7月時点で口コミ登録社数は22万社以上。国内でも最大級の口コミサイトです。
会員登録をするとすべての口コミを見ることができます。
代表的な企業口コミサイト#2 「転職会議」
「転職会議」は、企業口コミサイトの老舗として、非常に多くの企業情報が掲載されています。
無料で会員登録ができ、「職種」や「勤務地」など、条件を絞っての検索も可能です。
また、転職会議では口コミだけでなく求人を探すこともできるので一石二鳥のサービスです。
転職エージェントのキャリアアドバイザーに聞く
企業の離職率や定着率の確認について、転職エージェントから聞いてみるのも良いでしょう。
転職エージェントが企業の離職率を数値で把握していることはあまりありませんが、「離職率・定着率に課題のある会社かどうか」については一定の知見・見解を有している場合が多いです。
特に、以下転職エージェントは企業とのパイプも太く、かつ求職者に向けて手厚いサポート・アドバイスをしてくれると評判ですので、求人企業の内部情報についての質問もしやすくなるでしょう。メインの転職活動と併せてのご利用をおすすめします。
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表内の求人数は2024年10月時点のものです。
求人票も要チェック!求人に社員の写真が載っていない理由は…?
転職サイトを見ていると、企業の紹介ページに社員の写真を載せている企業と、そうでない企業があるのが分かります。
画像付きの求人は文字だけの求人に比べて目立ちやすいため、求人サイトの多くが画像あり・なしで掲載料に差をつけています。
原則として、求人票に載せていいのは現職社員の写真のみです。
仮に映っている社員が退職してしまった場合、次に同様の求人を出す際には別の画像に変えるなり、新たに撮り直すなり、何かしらの差し替えが発生します。
よって、社員の写真が掲載されていない企業は、いつ社員の顔ぶれが変わっても同じ内容で求人を掲載できるよう、社員の写真を載せないようにしている可能性があるのです。
募集の背景や求める人物像がありきたりな表現の求人は「使い回し」の可能性あり
募集時期によって、その企業が求める人物像に変化が生じるのは当然のことです。
そのときに力を入れている事業や伸びている事業に注力し、人員を増強していこうとするケースが多いからです。
よって、求人の文面もそのときどきで変わっていき、募集背景や求める人物像がカスタマイズされるのが普通なのです。
しかし離職率が高く慢性的に求人を掲載している企業の場合、募集背景の本音は常に「欠員補充」や「人手不足」であることが多く、どの時期に出す求人にも文面の使い回しができるように、あたりさわりのない表現になりがちです。
求める人物像や応募要件についても、とらえ方次第では「誰でも応募可能」と受け取れるような内容になっているケースがあります。
こうした表現の求人は、使い回すことを前提に考えられている可能性がありますので、それだけ人の出入りが激しく頻繁に求人を出さなくてはならない職場なのでは?と判断するためのものさしにしてみてもいいでしょう。
4)特徴2:残業・長時間労働に対して肯定的、または無頓着な会社ではないか?
残業や長時間労働に対して肯定的な会社とは?
残業や長時間労働に対しては、社会全体としては是正する向きが高まっていますが、それでも残業や長時間労働を肯定的にとらえている企業はまだ少なからずあるのが現状です。
一昔前までは、「働く時間が長いほど、経済も暮らしも豊かになる」という考え方も多数を占めていました。
そんな古き良き時代を見てきた世代が管理職や経営層を担っている会社では、自分たちが若い頃に経験したことをそのまま今の時代に持ってこようとする職場も少なくありません。
つまり、残業や長時間労働に対していまだに肯定的な会社は、そもそも体質がかなり古い可能性があるのです。
残業に肯定的な会社かどうかは、面接でも分かることがあります。「残業がありますが、問題ありませんか?」「いまの職場では、どのぐらい残業をされていますか?」といった質問を積極的にされた場合は、残業するのが良いことだと考えている職場でないかどうか、慎重に見極めておきましょう。
残業や長時間労働に対して無頓着な会社とは?
また、そもそも残業や長時間労働に無頓着な会社というのもあります。
たとえば、タイムカードなど出退勤を管理する仕組みがない職場や、幅広くいろいろな職種に裁量労働制が適用されている職場などです。
こうした職場は、いわば「働こうと思えばいくらでも働ける」環境になってしまっています。
大抵これらの会社の場合、(労働時間ではなく)成果に見合った報酬を約束しているか、または「仕事のやりがい」を強調しているパターンが多く見られます。前者は営業職など、実力主義の職種ではあり得ることですので、必ずしもこれだけで離職率が高い職場と断言できないところがあります。
ただし、後者のように仕事のやりがいを強調しているパターンは注意が必要です。「チームで頑張った」「良い経験になった」といったことを強調しているようなら、いわゆる「やりがい搾取」体質である可能性があるからです。
完全実力主義の成果給でない限り、業務に必要で残業した分については残業手当を支払う義務は法律で定められています。残業時間や手当の支給に無頓着な会社には十分に注意しておきましょう。
残業手当がきちんと支払われているかどうかもチェック
残業手当がきちんと支払われているかどうかは、求人の文面からある程度推測できます。
たとえば、待遇・福利厚生の項目で「残業手当100%支給」と明記されているかどうか、給与モデルに「基本給+諸手当(住宅手当+家族手当+残業手当)」のように示されているかどうかをチェックします。
モデル年収が「基本給+成果給」のみだったり、待遇・福利厚生の項目が「社内レクレーションあり、月1回は飲み会でコミュニケーション、社員旅行あり」のような内容のみに留まっていて残業手当に関する言及が一切なかったりするようであれば、残業代が適切に支払われていない職場である可能性を疑いましょう。
このような、求人に掲載されていないことや、かといって企業へ直接問い合わせづらいことについては、前章でもご紹介したインターネットの口コミサイトが役に立つことがあります。
元従業員などが過去に勤務したことのある職場について口コミを投稿しているサイトでは、入社前後で感じたギャップや退職理由といった、ふだんあまり表に出てこない本音の部分が書かれていることがあるのです。
ただし、中には退職後に個人的な恨みを抱き否定的な内容を書き込む人もいますので、あくまで口コミサイトは参考程度に留めておくようにしましょう。
5)特徴3:企業としての理念や理想が無い、もしくは理念や理想が強すぎる会社ではないか?
企業としての理念や理想に全く触れない会社とは?
求人広告においても面接などの選考においても、企業としての理念や理想をほぼ全く伝えることなく、ひたすら「応募条件を満たす人材かどうか」をチェックするケースに出会うこともあります。
応募者の立場からすると、一方的に採用可否だけを伝えられても本当に入社していいものかどうか迷ってしまうこともあるはずです。
心から「自社に適した人材が欲しい」と願う企業であれば、応募者に対して、「私どもはこういう企業です」「このような事業を行っています」といった概要を伝え、企業として今後何を目指していくのかといった理念や理想を話すのは、非常に重要なことのはずです。
理念や理想を一切伝えない企業は、見方によっては「採用する人が長く続かないことを見越している」あるいは「とにかく欠員補充に必死で理念や理想どころではない」といった状態になっている可能性も否定できません。
反対に、企業としての理念や理想ばかり強調する会社とは?
反対に、企業としての理念や理想を語ることばかりに終始してしまう企業も要注意です。
特に、「変化の速い時代に対応できる組織を目指す」「風通しの良い雰囲気を大切にする」といった、抽象的で漠然とした理念を強調している企業には注意が必要です。
こうした企業の中には、日常的に精神論がまかり通っている社風の会社もあります。過去には業績好調だったものの、近年は業績が落ち込んでいる会社では、「笑顔で元気よく働こう」といった精神論が横行していることがあります。
また、こうした精神論がまかり通っている組織では、具体的な業務スキルや遂行能力そのものが評価されるというよりは、役員から気に入られているかどうか、といったいわゆる「社内政治」がものを言うケースも少なくありません。
自分が持っているスキルや、成果を評価してほしいと考えている人ほど、理念や理想に終始する傾向がある企業に対しては注意しておくようにしたほうがいいでしょう。
ワンマン経営者ではないか、従業員の声が経営に反映されているかに注目
個性が強烈な創業者や、経営変革に成功したカリスマ的存在の経営者がトップに立っている場合、ワンマン社長であっても会社がうまく回っていることもあります。
ここでは「ワンマンであることによって弊害が生じている」場合のことを想定して考えてみましょう。
ワンマン経営の組織では、たとえば面接が社長面接の1回のみで採用が決まってしまったり、従業員が何十名、何百名といるにも関わらず求人からは社長の言葉や考え方しか伝わってこなかったりすることがあります。
また、「社員の○○という声から始まった企画が成功しました」「社員の意見を参考に○○を改善しました」といったように、従業員の声が経営に反映された過去の実例が載っているかどうかによっても、ワンマン経営かどうかを見極める1つの目安になります。
社長自身の個人的な考えや趣味に社員が付き合わされているような状況、たとえば「社長が大のワイン好きなので、年に2回社内でワインパーティが開催されます」といったことが求人に記載されていれば、ワンマン体質であることを疑ってみてもいいでしょう。
まとめ)離職率の高い職場を見抜くには「小さな違和感」を大切に!
ここまでの内容を振り返ってみましょう。
問題のある職場を入社前に見抜くポイント
- 従業員側で会社に対する否定的な「評判・口コミ」コメントが多数を占めていないか?
- 頻繁に求人広告を出している・求人広告に社員の写真を載せない会社ではないか?
- 残業・長時間労働に対して肯定的、または無頓着な会社ではないか?
- 企業としての理念や理想に全く触れない、または理念や理想に終始していないか?
離職率が高い職場とは、ひと言でいえば「居心地の悪い会社」です。
離職率の高い職場には、それなりの理由が必ずあるものです。
もしも求人票や面接の場において何らかの「違和感」を感じたならば、「気のせいかもしれない」と軽く受け流してしまわず、その理由を突き詰めて考えておくのはとても大切です。
入社してから「こんなはずではなかった」と後悔するリスクを最小限に押さえておくためにも、小さな違和感をきちんと拾い上げ、入社前の判断軸にしておきましょう。