Webディレクター・Webプランナーへのキャリアパスはどう描く？未経験からの目指し方を紹介

求人サイトなどでWebディレクターやWebプランナーという職種をよく見かける方も多いのではないでしょうか。どちらもクリエイティブな現場を支える人気のお仕事です。

実は、これらの職種には厳密な区別がなく、企業によっては一人の担当者が両方の役割を兼ねることもあります。

Webコンテンツができるまでには、企画、デザイン、プログラミングなど多くの工程があります。
その中で、企画や戦略を立てる「上流工程」と、実際に形を作る「下流工程」という呼び方がありますが、WebディレクターやWebプランナーは、主にこの「上流工程」を担当します。

2025年現在、AI技術の進化により、この「上流工程」の進め方も新しくなっています。それぞれの職種がどのような役割を担っているのか、詳しく見ていきましょう。

Webディレクターの核は「プロジェクトの完遂」と「品質管理」

Webディレクターはよく「現場監督」に例えられます。Webサイトやアプリを作る現場で、お客様や制作チームをまとめ上げ、プロジェクトをゴールまで導くのが主な役割です。

中心となるのは「進行管理」のお仕事です。必要な作業を洗い出し、スケジュールに合わせて「誰が・いつまでに・何をやるか」というタスクを明確にします。これをお客様やチーム全員と共有し、スムーズに動けるよう調整していきます。

また、最近では生成AIを「アシスタント」として活用し、業務をスピードアップさせることも求められています。例えば、サイトの構成案であるワイヤーフレーム（※1）の叩き台を作ったり、複雑な仕様書の作成をAIに手伝ってもらうことで、より質の高いものづくりを短時間で行えるようになっています。

その他にも、公開後のサイトの数値を分析するアナリティクスデータ（※2）の解析や、お客様との交渉など、業務の幅はとても広いため、会社によってどのような役割を担うのかを事前に確認することが大切です。

Webプランナーの核は「課題解決の仕組みづくり」と「価値創造」

Webプランナーの主な業務は、「そもそも何を作るべきか」を企画することです。お客様が抱える「売上を伸ばしたい」「認知度を上げたい」といった悩みをヒアリングし、それを解決するためのアイデアを形にします。

「なぜこれを作るのか（Why）」と「何を作るのか（What）」を突き詰める役割のため、高いコミュニケーション能力や分析力が求められます。

具体的な業務としては、SNSキャンペーンの企画や、インフルエンサーを活用したコンテンツ作り、あるいは広告予算の管理など、マーケティングに近い領域を担当することもあります。

Webディレクターと異なり、全体の細かい進捗管理をすることは少ないですが、プロジェクトが成功するかどうかの「種」を蒔く、非常にやりがいのある仕事です。お客様の想いを形にすることや、流行を生み出すことに興味がある人におすすめの職種です。

2025年のトレンド：AIを「部下」として使いこなすディレクション

今、Web業界で最も注目されているのが「AIとの共生」です。2025年の現場では、単純な文章作成や情報整理、プログラミングの基礎コード作成などはAIに任せるケースが増えています。

そうなると人間の仕事がなくなるのでは？と不安に思うかもしれませんが、むしろ逆です。「AIが出した案の中から、どれがお客様にとって最適かを判断する」という、より高度な意思決定能力が必要とされています。

AIを便利なツール（部下）として使いこなし、人間はクライアントとの深い対話や、チームの熱量を高めるといった「人間にしかできないコミュニケーション」に集中する。そんな働き方が、これからのディレクター・プランナーのスタンダードになっています。

WebディレクターやWebプランナーは、Web制作における幅広い知識と経験が求められる職種です。その分、経験を積んだ後の選択肢が非常に豊富で、自分の強みに合わせた多様なキャリアパスを描くことができます。

単なる制作進行にとどまらず、より市場価値を高めていくための3つの代表的なルートをご紹介します。

マネジメント・事業成長を牽引する「プロダクトマネージャー（PdM）」

Webディレクターからのステップアップとして、現在もっとも注目されているのが「プロダクトマネージャー（PdM）」です。

従来の「Webプロデューサー」が予算や納期などのプロジェクト全体に責任を持つのに対し、PdMはそのサービス（プロダクト）がユーザーにどんな価値を提供し、どう事業として成長させるかに責任を持ちます。

Web制作の知識だけでなく、お客様のビジネスを深く理解し、データを見ながら継続的にサービスを改善していく力が求められます。Webディレクターとして培ったマネジメントスキルや、Webプランナーの企画力を存分に活かせる、市場価値の非常に高いポジションです。

「作る」だけでなく「育てる」ことに喜びを感じる人にとって、非常にやりがいのあるキャリアパスといえるでしょう。

企業のDXを支援する「デジタルコンサルタント・上流プランナー」

Webサイト制作の枠を超えて、企業のビジネスそのものをデジタルで変革する「DX（デジタルトランスフォーメーション）※4」の分野へ進む道もあります。

このパスでは、単に「サイトを作る」提案ではなく、「デジタルを使ってどう業務を効率化するか」「どう新しい売上を作るか」という経営に近い視点でのプランニングを行います。

Webプランナーとして培った課題解決能力や、データを読み解く分析力が大きな武器になります。Webマーケターとして経験を積んだ後に、企業のブランディングを支える「ブランドマネージャー」や、データの専門家である「データアナリスト」を目指すことも可能です。

「なぜこの施策が必要なのか」を論理的に説明し、お客様のビジネスを成功に導きたいというビジネス志向の方にぴったりのルートです。

特定の領域を極める「スペシャリスト（UX/SEO/SNS）」

「現場でものづくりに携わっていたい」という方は、特定の専門領域を極めるスペシャリストの道がおすすめです。

例えば、ユーザーの使いやすさを追求する「UI/UXデザイナー※5」への転身。ディレクター時代に学んだ「ユーザーが何を求めているか」という分析視点は、デザインの現場で非常に重宝されます。

他にも、検索結果で上位を狙う「SEOスペシャリスト」や、ファンとの交流を最大化させる「SNSディレクター」など、一つの分野に特化することで「この領域ならあの人」と呼ばれる唯一無二の存在を目指せます。

制作現場出身（デザイナーやコーダーなど）の方であれば、技術的な裏付けがあるディレクターとして、クリエイターからも信頼される強いリーダーになれるでしょう。

ここまで、Webディレクター・Webプランナーの仕事内容や、将来のキャリアパスについて解説してきました。

Web業界は未経験者の受け入れに積極的な一方で、2025年現在は「ただ進行管理ができる」だけではなく、プラスアルファの強みを持つ人材がより求められるようになっています。この章では、未経験から挑戦する際に、採用担当者に「ぜひ会ってみたい」と思わせるための4つの重要ポイントをまとめました。

ポイント1：制作の基礎知識に「最新ITリテラシー」を掛け合わせる

Webディレクター・Webプランナーを目指すなら、デザインやコーディングの基礎知識は欠かせません。しかし、今もっとも注目されているのは、それらに「AIツール」や「ノーコードツール」をどう掛け合わせるかという視点です。

例えば、生成AIを使って構成案の叩き台を作ったり、簡単なサイトならノーコードツール（STUDIOなど）で自ら形にする。こうした「最新技術を使って、いかに業務を効率化し、スピード感を持って進められるか」という意欲は、未経験者の大きな武器になります。

「自分で手を動かして何かを作ってみた」という経験は、チームメンバーへの的確な指示出しにも繋がり、現場での信頼獲得に直結します。

ポイント2：数値に基づき改善を提案できる「データリテラシー」

お客様への提案や社内での意思決定において、「なんとなく綺麗だから」「流行っているから」という理由だけでは不十分です。そこで重要になるのが、数値の裏付けを持つデータリテラシーです。

「Googleアナリティクス（GA4）」などのツールを使って、「このページの離脱率が高いので、このボタンを大きくしましょう」といった、論理的な改善提案ができる力は、実務経験を問わず非常に高く評価されます。

SEO（検索エンジン最適化）やWebマーケティングの基礎知識も、このデータ活用の土台となります。まずは自分のブログやSNSなどで数値を分析してみることから始めてみましょう。

ポイント3：異なる立場を繋ぐ「圧倒的な言語化力」

Webディレクター・Webプランナーの最大の役割は、お客様とクリエイターの「橋渡し役」です。そのためには、曖昧な要望を具体的な言葉に落とし込む「言語化力」が不可欠です。

特に対面だけでなく、チャットツール（SlackやChatwork）を通じたテキストコミュニケーションが増えている今、短く的確に情報を伝える能力は必須スキルといえます。

日頃から、自分が良いと思ったWebサイト（例えばMUUUUU.ORGなどのギャラリーサイト）を見て、「なぜこのデザインが優れているのか」を自分の言葉で書き出してみる練習がおすすめです。この「思考を言葉にする癖」が、入社後のスムーズなディレクションを支えます。

参考：「MUUUUU.ORG」

ポイント4：思考のプロセスを可視化した「ロジックポートフォリオ」

未経験者がもっとも悩むのが「アピールできる実績がない」という点です。そこで有効なのが、「もし自分がこのサイトの担当だったら」を想定した改善提案書（ロジックポートフォリオ）を作成することです。

「既存のサイトの課題を見つけ」「市場をリサーチし」「解決策をワイヤーフレームにする」という一連のプロセスを資料にまとめることで、採用側はあなたの思考力と実行力を判断できます。

完成度の高いWebサイトをゼロから作ることは難しくても、こうした提案書であれば今すぐ準備できます。IT・Web業界に詳しい転職エージェントに添削してもらいながら、あなたの「ポテンシャル」を形にしてみましょう。

転職を成功させるためにも、Webプランナー・Webディレクターの転職支援実績が豊富な転職エージェントを活用することがおすすめです。

ここでは、Webディレクター・Webプランナーに転職する際の求人紹介やサポートが強いエージェントを5社ご紹介します。

各社それぞれごとに、強みや求人傾向も異なります。
より効率的に転職活動を進めたい人は、1社に絞らず2～3社複数登録することで、より多くの求人を参照でき、各社のいいとこ取りをしつつ転職活動を進めることが可能です。

ぜひ参考にしてください。

doda（デューダ）

dodaは求人数・実績において国内トップクラスを誇ります。

実績で培ったノウハウがあり、「積極的に求人紹介をする」タイプのアドバイザーが多いため、「スピーディ」かつ「自分にマッチする求人が見つかりやすい」特徴があります。

dodaのサービスの主な特徴は、「転職サイト・転職エージェント両方の機能を利用できる」、「企業からのスカウトが多く届く」ことです。

アドバイザーにキャリア相談をしながら求人を紹介してもらえるほか、自分でも登録後のマイページから気になった求人をチェックして応募が可能です。

企業からのスカウトについては、実際にdodaを利用した人たちからは「スカウトメールがたくさん届く」「（スカウトメールによって）色んな企業を知れる」といった評判・口コミが多く見られます。

業種や職種、地域に関わらず豊富な求人を擁していますので、「まずは求人をチェックしてみよう」という際にもおすすめのサービスです。

dodaの特徴

リクルートエージェント

リクルートエージェントは国内No.1の求人数と転職支援実績を誇る転職エージェントです。

リクルートエージェントの強みは全業種・職種に対して豊富な求人数を持つこと、そして長年の実績で培われたノウハウ・転職支援ツールの充実さにあります。

とくに活用したい支援ツールは、企業の特徴から選考のポイントまでをまとめた「エージェントレポート」です。
未経験からWebディレクターへの転職の際は、入念な企業研究が欠かせません。その際に、レポート情報はあなたの活動に大いに役立つはずです。

また、担当アドバイザーもこれまでの実績をもとにWebディレクターへの転職に関する有益なアドバイスを提供してくれるでしょう。

リクルートエージェント登録後に無料で活用できる、職務経歴書を自動で作成できる「職務経歴書エディタ」や無料の「面接力向上セミナー」のサービスもおすすめです。

リクルートエージェントの特徴

マイナビAGENT

マイナビAGENTは専門知識を持つキャリアアドバイザーが一人ひとりの転職者に対して丁寧に向きあい、きめ細かなサポートをしてくれることで知られる転職エージェントです。

とくに20代〜30代前半の転職サポートを得意としており、志望動機のブラッシュアップや面接指導を的確に行ってくれます。

また、マイナビAGENTは業界ごとに専任のキャリアアドバイザーが在籍しており、専門知識を持つプロからアドバイスしてもらえるのが特徴です。
業界・職種に特有の転職事情を熟知したキャリアアドバイザーに相談したい人に適しています。

マイナビAGENTの特徴

ワークポート

ワークポートは、全国の都道府県に拠点を展開し、20年以上の実績を誇る大手転職エージェントです。
ほぼ全ての業種・職種の求人に対応しており、とくにIT・Web、製造（メーカー）、建設・土木・設計の求人が多い傾向にあります。

同サービスの活用メリットとして挙げられるのが、「転職決定率の高さ」です。
サービスを利用した人たちの評判・口コミからは「求人紹介から企業との交渉まで積極的に動いてくれた」「企業とのミスマッチを最小限に抑えようと働きかけてくれた」といった感想が目立ちます。

リクナビNEXT『GOOD AGENT RANKING ～2023年度上半期～』（2023年4月～2023年9月）にて、『転職決定人数部門　第1位』を受賞した経緯もあります。

「転職活動をエージェントから力強くプッシュしてほしい」というニーズのある人におすすめのエージェントです。

ワークポートの特徴

マイナビジョブ20’s

マイナビジョブ20’sは若手社会人に特化した転職サービスです。
今回が初めての転職という人や、社会人としての経験が浅い第二新卒・既卒の人におすすめのサービスです。

社会人経験の浅い人や未経験者向けの求人が充実しており、今回が初めての転職という人も、「経験が浅い」「社会人経験が短い」ことを理由に転職支援を断られることはありません。

実際、マイナビジョブ20’sで紹介される求人の約70%は、「未経験OK」の求人です。

参考：マイナビジョブ20’s公式サイト

未経験でも意欲を重視して採用する企業を紹介してもらえますので、社会経験を問わず転職先を見つけやすいのが特徴です。

マイナビジョブ20’sの特徴

20代でのWebディレクター・Webプランナーへの転職は、IT業界の成長とともに求人も多く、非常にチャンスの多い選択です。
しかし、AIの普及やDX化が進む2025年現在は、単に「進行管理ができる」だけではなく、最新ツールを使いこなす姿勢やデータに基づいた提案力がより重視されるようになっています。

多くのライバルの中で一歩リードし、満足のいく転職を実現するためには、「今、現場で求められている役割」を理解し、しっかりと準備することが重要です。

ここで改めて、Webディレクター・Webプランナーを目指すうえで意識したい4つのポイントをおさらいしましょう。

これらのポイントを意識して準備を進めることで、未経験からでも「即戦力としてのポテンシャル」をしっかりとアピールでき、転職成功の確度はぐっと高まります。

Web業界は、あなたの「もっと良くしたい」という想いや新しい技術への好奇心がそのまま価値になる世界です。この記事が、あなたの新しいキャリアへの第一歩を後押しするヒントになれば幸いです。