転職が「人間関係のリセット特効薬」は本当?人間関係が理由で転職したくなった時の対策3つ
[最終更新日]2024/07/21
転職の理由にはさまざまなものがあります。キャリアアップやスキルアップといった前向きな理由で退職する人もいれば、実は退職したい本当の理由は人間関係…、という人もいるのではないでしょうか。
上司や同僚との人間関係は、本音の部分では転職理由として上位にランクインするものです。ただ同時に、人間関係で悩むたびに転職していてはきりがない、ともよく言われます。
目次
1)人間関係がきっかけで転職して、その後どうなったか──みんなの体験談
まずは、実際に【人間関係】がきっかけで転職した経験を持つ皆さんの体験談を見ていきましょう。
世の中ではよく、「人間関係が原因で辞めるのは良くない」といったことが言われますが、果たして本当にそうでしょうか。
どうしても合わない人と否が応でも毎日接していなければならないとか、明らかな嫌がらせのようなことをされているといった状況が続くと、たいていの人はメンタルがやられてくるものです。
こうした状況に陥ったとき、考え方としては2種類があり得るでしょう。1つは、周囲の状況こそが異常であり、もっと別の、より正常に近い環境に身を置けば問題なくやっていける、という考え方です。
もう1つは、どんな職場にも合わない人がいるものであり、辛い状況を作り出す原因は自分の側にあるという考え方です。
実は、これらの2つの考え方は「こちらが絶対的に正解」と言い切れないところがあります。体験談のエピソードから、「どちらが正解とも言えない状況」を感じ取ってみてください。
人間関係が主な理由で転職して、改善できた(成功した)ケース
人間関係のストレスから未経験でITエンジニアに転職した、たっちーさん(男性 26歳 宮城県)のケース
正直、会社全体の忙しさでいうと前職より今の職場の方が断然に忙しくしていました。
それでも、新しい会社には、「お互いに協力しながら、乗り越えていこう」という雰囲気というか、風土があったんですよね。
上の人たちは、部下のためにも頑張ろうと思っていて。それを見て、下の人たちもそれに付いていこうとする。
まさに、私が以前までの職場で求めていたものが、この職場であったのです。
(きっと、俺はずっと、こういう職場を目指したかったんだろう)──そう感じたとき、嬉しかったですね。
自分のやろうとしていたことは、きっと間違っていたことではなくて、そして今、同じような想いを持った人たちがたくさんいるということが実感できたのですから。
介護士として「仕事への価値観」を共有できる職場を求めた、ぶんさん(男性 38歳 静岡県)のケース
転職先の職場は、これまでと同じ業界──つまり介護の現場職でした。
ありがたいことに、年下の職員、年上の職員共に暖かく迎えてくれました。
良かったことは、「介護の方針として、利用者さん主体で支援したい」という考えを持つ職員の方々が多数を占めていたことです。
利用者さんに優しい態度で接し、困っていることを傾聴してニーズに応えてあげようと努力している職員の方々の姿が日常的に見られました。
そんな風景を目の当たりにして、私は転職して良かったなあと思いました。
私の転職体験談:「利用者さん目線で介護をしたい」介護職での転職を通して気づいたいこと。
ぶん さん(男性 38歳 静岡県)
閉鎖的な職場環境から飛び出そうと決意した、Eriko さん(女性 29歳 海外)のケース
A(仮)は、デスクワークで10桁の計算をすべて電卓で行って、ワードで作った表にその数値を手打ちするような働き方をしていました。
そして前職の会社は、そんな常時低空パフォーマンスの人を、有期雇用でありながらも10年間も雇い続けていました。
更に私は、そんなA(仮)や会社の上層部にいつも腹を立てていました。
──なんて、非生産的で、視野狭窄な世界。A(仮)も会社も相当ですが、私も結局、浅はかな思考で停滞していたと、今になって思います。
世界はきっと、もっと広いはず。
「ここは自分のフィールドじゃない」と思ったら、勇気をもって飛び出していくほうが、きっと、その方が人生を充実にしていけるのではないでしょうか。
私の転職体験談:海外をフィールドに仕事がしたい!のつもりが…シンクタンクからNGOに転職
Eriko さん(女性 29歳 海外)
人間関係が主な理由で転職したけれど、改善できなかった(失敗した)ケース
会社や上司の仕事の進め方に共感できず転職した、ジョー・ヒガシ さん(男性 30歳 東京都)のケース
転職して数か月して、「…前の会社では、皆厳しかったけど、愛は感じられたな…」ということに初めて気づいて。
例えば、すごく怖い人に何かお願いするときも、「結局は助けてくれるんだろうな」っていう信頼感はあった。
でも今の会社では、その信頼感がないんです。
そんなこんなのプレッシャーやら不満やらで、(このままいても、何も良い方向には進まないんじゃないか)と思うようになり、転職してから僅か半年で、また退職することを決めました。
今思い返しても、「残っていたほうが良かった」とは感じません。
ただ、「失敗したな」とは思いますね。
同期が次々に辞めていくことに辛くなって転職した、カモシカ さん(男性 30歳 鹿児島県)のケース
これから転職しようとする人に僕がアドバイスできることがあるとしたら、それは「転職先はしっかりと調べて決めたほうが良い」ということですね。
「転職しなければならない、でもどこもあまり興味はない…。でも早く決めないと」──そんな風に焦ってもあまり調べもぜずに転職してしまったのが、今回一番よくなかったと思っています。
良かったことは、職場の人間関係。
仕事はやっぱりチームワークが良くないと上手くいかない…当たり前のことですけどね。そしてその、当たり前のチームワークを良くするためには、人間関係がなによりも大切。今回の転職ではそれを学べました。
残念に思えることは、なによりも業務が楽しくないこと。そして、給与が下がったこと。
さすがに業務は段々と慣れてきましたが、モチベーションは未だに低いままです。
私の転職体験談:「転職後の職場が全く馴染めない」──そこで僕が思ったこと、振り返ったことは。
カモシカ さん(男性 30歳 鹿児島県)
「この会社に居たら自分はダメになる」という想いで転職した、風来坊 さん(男性 48歳 愛知県)のケース
新しい職場で待ち受けていたのは、40過ぎた新人への「冷たい視線」と「冷たい対応」でした。
キャリア採用者は、なかなか受け入れて貰えない風土があり、最初に仕事の概要だけ伝えられ、「あとは出来て当たり前」と言わんばかりに何も教えても貰えず参りました。
一番参ったのは就職して1ヵ月が過ぎた頃、私の部所で飲み会の案内が回っていたのですが、私だけ回ってきませんでした。普通なら歓迎会も兼ねて誘うでしょ…。
このままではダメだと思い私は──。
2) 人間関係を理由で転職して成功している人の多くは、努力と苦労をしている
人間関係が主な理由で会社を辞めたいと思っているときは、「環境さえ変えれば、少なくとも今のこの状況よりは確実に良くなる」と考えがちです。ところが職場を変わってみると、新たな環境でまた別の試練が待ち受けている、といったことは少なくありません。
体験談の中にあるような、「転職後にひと苦労があったもののどうにかうまくやっている」という声は、人間関係で悩んで新しい環境を求めた人が必ずと言ってもいいほど通る道と言って差し支えないでしょう。
前職で人間関係を主な理由として辞めた以上、新しい職場にはどうにかして馴染みたいと考え、奮闘するのです。
うまくいかない人間関係に耐えたまま仕事を続けるのは辛いものですが、別の職場へ行けば一挙に問題が解消されるかと言えば、そうはいかないケースのほうが圧倒的に多いようです。
たとえそうであっても、新たな環境で受け入れてもらうための努力を惜しまず、相応の苦労を経験してでも別の環境に身を置きたい、と強く思えるかどうかが、ひとつの分かれ目になるのです。
「転職しよう」と思ったとき、その転職が「逃げ」か「チャレンジ」かを見極めよう
「転職しよう」と思ったとき、転職の理由は1つとは限らないかもしれません。いくつかある転職理由のうちの1つに、人間関係が入っているかどうか、まずは自分の中で確認してみましょう。
そして、人間関係が主な理由だった場合、その状況からただ「逃げたい」のか、あるいは新しい環境に「チャレンジ」したいのか、その見極めが重要になってきます。
逃げたい一心で転職してしまうと、新しい職場でも同じようなことで悩み、最悪の場合、ごく短期間で再び転職をくり返すことになってしまうかもしれません。
もし、転職したいという思いが「逃げ」から来るものだとしたら、いったん踏みとどまって現状を改善する努力をしてみる価値はあるかもしれません。
結果的に転職することになったとしても、新たな職場で同じ問題に直面したとき、状況を改善するための手がかりになる可能性が高いからです。
今回の転職が「逃げ・チャレンジ」どちらなのかを判断する有効な方法に、「キャリアプランのイメージ出し」があります。
「将来、自分はこうなりたい」という自身の未来のキャリアイメージを描くことによって、現時点のキャリアの分岐点をポジティブな方向に舵を切りやすくなるのです。
参考:キャリアプランとは
キャリアプランとは、あなたが将来に望む仕事や働き方を実現するためのプランニング(行動計画)のことをいいます。
具体的には、以下のようにプランを建てていきます。
キャリアプランを立てる際、まず「キャリアの棚卸し」を行います。
キャリアの棚卸しで出てきた経験(または知識・スキル)をもとに、あなたが新天地でチャレンジしたい働き方をイメージし、そしてそれを実現するためにどんな行動が必要かを考えていきます。
キャリアプランは、上記の「キャリアプランの例」にあるように時期ごとに「実現したいこと」と「そのためにやること」を表形式に落とし込むと、そのイメージを整理しやすくなります。
ポイントは、半年や1年ではなく、3年・5年といった中長期的な期間を見据えることです。
今のうちにマスターしておくべき知識・スキルや取得しておくべき資格が出てくるかもしれません。
数か月に1度のペースでキャリアプランを考えておくと、普段においてもキャリアの軸を持てるようになり、迷いのない判断をしやすくなります。
3) それでも「転職したい」という場合は、身近な人にも相談を。
人間関係が主な理由で「転職したい」と思っているとき、思考はどうしてもネガティブな方向へと進みがちになります。
一人で悩み続けていると、思考が負のスパイラルに陥り、「もう辞めるしかない!」と思い込んでしまいやすくなるのです。
このようなときは、まず自分の思考を冷静に客観視できる状況を作ることが重要です。具体的には、身近な人に相談する、自分の考えを振り返ってみる、第三者の意見を頼る、といった選択肢があります。
身近な人に相談する
身近な信頼できる人に相談するのは、とても現実的な対策です。職場に信頼できる同僚や先輩がいれば、個人的に相談に乗ってもらうようにしましょう。
職場の悩みを職場の人に相談しづらいようであれば、家族やパートナー、友人といった社外の人に相談するようにします。
人に悩みを話すことで、自分自身の頭の中が整理され、努力によって解決できそうなこととそうでないことを分けやすくなります。
単純に一人で悩んでいたときよりも、悩みを誰かに聞いてもらうことで気分が楽になる効果も期待できます。
悩みを相談すると、もしかしたら思いも寄らない有益なアドバイスやヒントをもらえるかもしれません。
「私も同じようなことで悩んだことがあったけれど…」といった体験は、良い方向へと解決できた体験であればなおさら、とても参考になるはずです。
自分の考えを振り返ってみる
職場には「合わない」人がどうしても1人や2人いるものです。あなたが「合わない」と感じている人は、もしかしたら他の人にとっても厄介な存在なのかもしれません。
ところがどういうわけか、世の中には「合わない人とでも何とかやっていける」人と、「合わない人とやっていくのはどうにもツラい」と感じる人がいます。この違いは、どういったところにあるのでしょうか。
合わない人と一緒に働くのがツラい人は、「うまくやっていきたい」という思いの裏返しで苦しんでしまうことがあります。
合わない人や苦手な人は一定数いるものですが、かといって相手の性格や人間性を変えることはできません。「そういうもの」として、自分の中でスルーしてしまうことも必要なのです。
また、考え方や見方ひとつで気持ちが楽になることもあります。
自分にばかり厳しくしているように見える上司は、実は期待を込めて鍛えようとしているのかもしれません。あなたのことをひどく嫌う同僚は、本当はあなたのことが羨ましくて仕方がないのかもしれないのです。
他人の思惑や感情に振り回されてしまうことなく、自分は自分、他人は他人というスタンスを持ち、自分の中で一線引いてしまうのも一種の戦略なのです。
転職の意志が固まる前にも、現状の「キャリアプラン」の相談に転職エージェントを使うのは「あり」
人間関係で悩み、転職を検討し始めている人の中で「転職エージェントに相談してみよう」と考える人はどのぐらいいるでしょうか。
転職活動の際には、多くの人が「転職エージェント」を利用しています。
その主な理由は、国内の少なくない企業がハローワークや転職サイトではなく転職エージェントのみに「非公開求人」を出しているからです。
ですが、私たちが転職エージェントを利用する際は「求人を紹介してくれる人」としてではなく、「転職活動全般を相談できる人」として活用したほうがより効果的でしょう。
上記図で表す通り、「求人紹介」は転職エージェントが提供するサービスの一部でしかありません。
それ以外のサービス、例えばキャリアプランのアドバイス(キャリア相談)、書類添削、面接対策などの選考通過のためのサポートも受けることによって、転職成功の確度を高めていけるはずです。
ただし、転職エージェントは国内多くのサービスがあり、またどの担当者が付くかによってもサポートの提供のされ方が変わります。
あなたに合った転職エージェント(または担当アドバイザー)を見つけるためにも、はじめに2~3つのサービスに登録して、利用のしやすさやコミュニケーションの取りやすさを比較しておくことをおすすめします。
多くの場合、「こんなことをキャリアアドバイザーのような第三者に相談するなんて…」と二の足を踏んでしまうのはないでしょうか。
しかし、転職エージェントのキャリアアドバイザーは転職相談のプロフェッショナルです。転職の理由がきれい事ばかりでないことは、十分承知しています。
人間関係を理由に辞める人が実際には少なくないことも、熟知しているのです。
また、転職エージェントは転職しようと「決めた」ときに申し込むものでは?と思う人もいるかもしれません。
実際には、転職しようかどうか迷っている状態で転職エージェントに相談するのは大いに「あり」なのです。場合によっては、「今はまだ転職を急ぐときではなさそうですよ」といったアドバイスをもらえることもあるからです。
転職の意志が固まる前に、キャリアプランの相談に転職エージェントを活用するのは「あり」なのです。
親身かつ適切なサポート、アドバイスが評判の転職エージェント
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まとめ) 転職が「人間関係リセットの特効薬」にならないこともあると肝に銘じよう
転職を機に人間関係をリセットし、新たな環境でイキイキと仕事に取り組める。こう聞くと、職場の人間関係に悩んでいる人は飛びつきたくなるかもしれません。
ただし、ここまで見てきたように、転職は人間関係をリセットするための特効薬とは必ずしも言えないところがあります。一人で悩んだ挙げ句、「とにかく転職すれば何とかなる」と勢いで結論づけてしまうのは避けたいものです。
組織の中で働く以上、人間関係は必ずついて回る問題です。仮に人間関係をきっかけに転職すると決めた場合も、次の職場で自信をもって自分らしく働けるよう、やれることは全てやった上で転職に踏み切っていくようにしましょう。