転職体験談:ブラック会社のエンジニアから、介護メーカーの営業事務へ。
転職前
- 職業
- システム開発会社
- 職種
- ITエンジニア
- 従業員規模
- 10名
- 年収
- 450万円
転職後
- 職業
- 介護メーカー
- 職種
- 営業事務
- 従業員規模
- 約130名
- 年収
- 400万円
目次
パンダさんの転職ストーリー
1これまでの私
将来への不安と、エンジニアへの就職
転職前はシステム開発の会社に、エンジニアとして働いていました。
大学を卒業してから1年間フリーターをして、それから入社した会社でした。
フリーターをしていた当時は実家暮らしということもあって、(このままずっとフリーターでいれたらいいのに)なんてことを考えていました。
若かったので、将来の不安もありませんでした。…想像すらできなかった、というのが正しい表現なのかもしれませんが。
ですがその矢先、父が病に倒れてしまって。
母と兄が入院費やこれから先にかかる費用のことを話しているのを聞いて、ここで初めて焦りというか、(自分もちゃんとしないといけない)という意識を持ちました。
エンジニアの仕事は、ハローワークで見つけた会社です。
仕事内容は、すでにある程度作られているプログラムを顧客ごとにカスタマイズをする、とうものでした。
なにか新しい技術に触れたり、または日々成長のある仕事だったり、──ということはなく、ただただ顧客とのやりとりを聞きながらプログラムのカスタマイズ・修正をする、そんな感じでした。
そして、残業が非常に多い会社でした。
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2転職のきっかけ
私が「転職しよう」と思った理由。
当時のシステム開発会社は、社員が10人程度の小さい会社でした。
もともと「売上が厳しい」といわれていましたが、私が30歳になってからは一層その厳しさが増して、徐々に退職者も出てくるようになりました。
10人が8人になって、そして6人になって。
人が減れば、当然残った人の業務負荷が増えます。ですが、会社では新たに人を補充しようという考えはありませんでした。
仕事の忙しい時期も重なり、私は3ヵ月にわたって毎日終電まで残業をしていましたが、とうとう身体を壊し入院してしまいました。
入院時にようやくこれまでの仕事を振り返る時間ができて、そこで私は「もう今の会社は辞めた方がいいだろう」という結論に至りました。
この年の数年前に、病気だった父が他界しました。
今の生活を続けたら、私もきっと父と同じように寿命を縮めてしまうと思ったからです。
それから、父が危篤になったときもなかなか休みを取らせてもらえなかったことも私の中でしこりになっていました。
今の会社への恩義もそれほど感じられず、そして体も壊してしまった今、このまま留まるという選択肢はありませんでした。
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3転職活動中
エンジニアから、事務職へのキャリアチェンジ
退職をして、それから1ヵ月間は療養期間にあてました。
その後転職活動をはじめ、ハローワークとリクナビNEXTの転職サイトを利用しました。
それから転職が決まるまで、半年の月日がかかりました。
リクナビNEXTで毎日求人を確認して、週に2~3回ハローワークに行ってそこでも求人探しです。
私が求めた仕事は、「事務職」でした。
前職で顧客企業へのシステム提供をする際に、事務・経理の仕事を確認することが多かったからです。
実際の業務内容を見て、「これなら自分もできそう」と思ったのと、そのときの安定した仕事内容に羨ましさもありました(というのは、私の事務・経理の仕事に対する若干の偏見もあったと思いますが)。
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実際40社ほどに応募して、面接まで辿りつけたのは3社だけでした。
しかしその後面接を経て、その3社全てから内定を頂けたのです。 内定の決め手は、私のエンジニアとしての実務経験でした。
面接ではどんな事ができるか聞かれ、その企業でやりたいと思っていることが可能かについて相談されることが多かったです。
私はその3社から介護メーカーの会社を選びました。
理由は、その会社の社長から「まずは入社して会社の仕事を見て、効率化できる場所があればどんどん提案して欲しい」という申し出を受けて、それにやりがいを強く感じたからです。
ポジションは営業事務でしたが、ここでなら自分のこれまでの知識・経験を活かせて、かつ成長もしていけるだろうと思いました。
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4転職後
「効率化」を進めていく仕事
新しい職場は従業員が100人ほどで、転職前の職場に比べると10倍以上の人数でした。
まず思ったことは、「色々な人がいるな」ということでした。
面接時に社長から言われた通り、入社してすぐにすべての部署を周り仕事の業況を確認しました。
その上でどのような改善点があるかをまとめていきました。
ヒアリングをしていくなかで、「もっとこうしたい」「今はこんな課題がある」と提案をもらうこともありました。
話を聞いていく中で、社長が面接時に「効率化」を意識していた理由がよくわかりました。
その職場はアットホームな感じではありましたが、厳しく言うと少しだらしなさというか、なあなあで済ませてしまっているところも少なからずあったからです。
「これまでこうしてきたから」と言ってデータ化せずに紙ベースで完結している業務が多く、二度とみられないような書類がどのデスクにも山積されていました。
必要な情報を確認する際も、「それはあの人に聞かないとわからない」と言われることも多かったです。
また、私の役割というか、存在自体に反感を持つ人もいました。
一番堪えたのは、「いいですよね、とくに仕事もなくただ色んな部署を見て回るだけの仕事なんだから」と言われたことです。
とくに入社して1~2ヵ月の間は社内に味方もいませんでしたので、そうした疎外感にストレスを感じることも多かったです。
業務改善案を出しても、一緒に頑張ろうという雰囲気はありませんでした。
面倒だから誰かに押し付けようというのがありありと出ている人もいました。
とにかく、実行に移されるまでに時間がかかり、そうした歯がゆさを常に感じました。
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5その後、どうなったか。
今回の転職は、成功だったか。それとも失敗だったか。
転職して半年が経過したあたりから、少しずつ私の業務改善の提案が社内で評価されるようになり、それに応じて仕事も進めやすくなりました。
今では残業もほとんどなく、毎日を過ごせています。
ただ、今回の転職が成功だったかというと、どうでしょうか。ある面は良かったですし、ある面では残念だった点があります。
良かった点は、残業が減って、そして休めるときは休める環境になれたこと。
今の職場では体調が悪いときは上司が「休んでいいよ」と言ってくれます。前職でそんなことを言われたことは一度もありませんでした。
残念だった点は、まず給料が減ってしまったことです。
もうすぐ45歳になりますが、年収はまだ400万円前半台です。
今は結婚して夫婦共働きですが、もう少し年収を上げていかないと、将来安定した生活を築くのは難しそうです。
給料が低いのは私だけではなく、会社の人たち皆同様です。
そのせいか、モチベーションが極端に低い人もいます。
仕事中にサボる人も少なくありません。「人生はお金ではない」とはよく言いますが、お金がないことで生きづらさや働きにくさがでることもあるでしょう。
転職の際に、もっと収益構造の良い会社を選ぶべきだったという後悔もあります。
◇ ◇ ◇
これから先チャレンジしていきたいことは、もっと介護の領域で価値発揮していくことです。
介護業界はこれからも必要とされる分野でしょう。
私自身ももっと必要とされる人材になれるように、これまでの経験を生かしつつ色々な仕事にチャレンジしていきたいと思います。
もうそろそろ老後の過ごし方も考えて行かなければならない年齢にもなりましたので、高齢者に関わる仕事や社会的な活動をしていくことができればと思っています。
転職面接の際、社長は「会社の業務効率化」をしてほしいと私に依頼しました。
効率化とは、会社だけでなく人の人生においても大切な要素でしょうから。
たとえば、高齢者がパソコンやスマホについていけるようなフォローをする立場──、そういうのが、私に向いているのかもしれません。
それでどれだけ収入を増やしていけるかは、まだまったく見当が付きません。
ですが、社会に役立つことを意識し続ければ、きっと道は開かれる、とまでは言いませんが、少なくとも道が閉ざされることはないだろう、そう思います。