製造メーカーの下請け勤務。そして、部長との確執の8年間。|私の転職体験談
転職前
- 職業
- 製造メーカー下請け
- 職種
- 企画職
- 従業員規模
- 180名
- 年収
- 700万円
転職後
- 職業
- 製造メーカー下請け
- 職種
- 企画職
- 従業員規模
- 100名
- 年収
- 850万円
目次
まささんの転職ストーリー
1これまでの私
高校中退、板前、大検、そして製造業に入社して。
若いころから、紆余曲折の人生でした。
高校を中退して、板前になろうとして修業の道に入ったのもつかの間
- 私
-
(この道は、自分には全く向いていなかった…)
と感じて、中卒のままではどこも雇ってもらえないだろうと、大検(大学入学資格検定試験、今の高卒認定試験)に挑戦しました。
大検をなんとかパスした後、大学に入学して。
大学を卒業後は、大手製造メーカーの下請けに入社しました。──他の新卒の人たちから2年ほど出遅れての、24歳の頃でした。
入社後、最初は製造部門で働いていましたが、29歳の時に企画部門に転属されて、そこで働くようになりました。
機械の部品等を制作する際の、企画全般を担当する仕事です。
これまでいた部門が年功序列な空気が強かったのに対して、新しい部門は「実績主義」でした。
とは言っても、「同期を蹴散らして出世する」というよりかは、若い人たちがのびのびと働ける雰囲気でした。
若手も先輩を尊重しますし、先輩たちも若手を大事にしてくれました。
部門変更の1年後、私は30歳で結婚し、翌年、長男が、結婚から3年後に長女が生まれました。
──いつの間にか、私は35歳になっていました。
製造メーカーの企画部門とは
製造メーカーの企画部門は、新製品の開発や既存製品の改良を推進する部署で、市場調査や顧客ニーズに基づいて製品の戦略を立案します。
製造プロセスを管理し、営業部門や技術部門と密に連携し、商品コンセプトの策定から製品化までの一連の業務を担当します。
製造メーカーの企画部門の主な仕事内容
仕事内容 | 説明 |
---|---|
市場調査・分析 | 新しい製品を開発するために、競合他社や市場のトレンドを調査し、消費者のニーズや動向を分析します。これにより、製品のコンセプトやターゲット市場を明確にします。 |
製品コンセプトの策定 | 市場調査の結果を基に、製品のコンセプトを策定します。どのような機能やデザインが求められているかを明確にし、他の部署と連携しながら製品の方向性を決定します。 |
新製品の企画・開発 | 新製品の企画立案を行い、プロジェクトとして進行させます。技術部門や生産部門と協力し、企画段階から製品の実現に向けた計画を具体化し、開発を進めます。 |
既存製品の改良 | 既存の製品の問題点や改善点を見つけ出し、より市場に適した形に改良します。消費者や顧客のフィードバックを基に、デザインや機能、コスト面での最適化を行います。 |
プロジェクト管理 | 製品企画から開発、そして市場への投入までのプロセス全体を管理します。スケジュール管理、コスト管理、品質管理を行い、円滑なプロジェクト推進をサポートします。 |
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2転職のきっかけ
課長への昇進、そして、新しい部長との出会い。
更にそれから5年が過ぎました。
40歳になって、私は課長に昇進しました。
──同時に、全く別の部署から移って来た46歳の部長が、私の新たな上司となりました。
その部長は、大変合理的な考え方の持ち主で、かつ、すべてを掌握、管理しようとする人でした。
これまでは言ってしまえば「自由な雰囲気」に満ちていた職場でしたが、その部長が来てからは、ピリピリとした緊張感と、重苦しい雰囲気が漂うようになりました。
部長は、すべて自分が仕切らなければ気が済まない人でした。
そして、報告が少しでも遅れたり、漏れると、烈火のごとく怒りました。
企画部門の仕事は、ある程度、社員を自由に遊ばせたほうがいいアイデアも生まれるし、たとえ未熟なアイデアであっても、複数で揉んでいるうちに良いものに昇華されていくというものだと、私は思っています。
部下が出してくるアイデアについても「ゼロ」か「オール」という人でした。
反面、「手柄はすべて自分のものにし、部下の失敗については知らん顔」──というのが、その部長に対して私たちが抱いた印象でした。
その頃はもう、仕事の後の酒の席では、部署のメンバー皆、部長の悪口、批判ばかり。
退職者も続出しました。
あるとき、私は、信頼できそうな上司に部長のことを相談しました。
このままでは皆辛くて辞めていってしまう、何とかできないかと。
すると、その上司はしばらく黙って考え込んでいた後、私にこう言いました。
- 上司
-
「彼(部長のこと)は今後、社を担っていく人物だから」
そこで私は気付いたのです。
たしかに、部長は上とのパイプは大変強く、それは他の部長陣と比べてもその様相は著しく顕れていました。
つまり、私はこのままこの会社に居たら、定年まで部長の部下として働かなくてはいけないのです。
すでに、部長と同じフロアで仕事をすることに対して息苦しさすら感じていました。
- 私
-
(これから先もずっとこれが続くのなら、もう退職しかない…)
そして私は、転職することを決めたのです。
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3転職中
それからまた、3年の月日が経過して。
結論から先に言うと、私は当時の会社のパートナー企業にあたる会社に、「移籍」という形で転職を果たしました。
転職を決めてから、入社当初からの先輩に相談しました。その先輩は親身になって私の話を聞いてくれて、
- 先輩
-
「…わかった。少し待ってろ」
と言って、数日後にパートナー企業の方々との顔合わせをセッティングしてくれたのです。
「もし、この会社の人たちとフィーリングが合うようなら、転職先の一つの候補に」という、先輩の配慮ある計らいでした。
新しい会社の人たちは、私のこれまでの苦労を共感してくれ、私も話を聴いて「ここで働きたい」と感じられました。──非常に、有難かったです。
神や仏などを信じる気持ちはありませんでしたが、それでも、「自分のことを見てくれている人、救ってくれる人はいるのだ」と感じました。
ですが、その会社に籍を移したのは、それから3年先のことでした。
お互い深い付き合いのある会社同士でしたので、移籍を急ぎすぎてしまうと関係性に禍根を残しかねない、というのが先輩と、新しい会社の方々の見解でした。
機が熟すまで、新しい会社の方々が少しずつ手配を進め、「不義理が無いように」と進めていただきました。
そして3年経ってようやく、私は新しい会社に籍を移しました。
部長からして、私の移籍話をはじめて聞いたときは「青天の霹靂」であったようです。
ただ、私にきつくあたったり怒ったりということはしてきませんでした。
──当然、門出を祝ってくれるということもありませんでしたが。
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4転職後
新しい職場に移った自分と、前職の部長の、その後。
その後、私は新しい会社に移って、仕事を始めました。
前職同様に、企画職です。
以前のような大きなストレスは今はなく、伸び伸びと、かつ精力的に仕事ができています。
入社してしばらくの間は試用期間でしたが、期間後には課長に任命されました。
そして2年後には、部長代理も任されるようになりました。
前職を退職した際には、転籍を手伝っていただいた方の一人から、
- 同僚の方
-
「君が、報われないなか、こつこつ頑張っていたことは分かっていたよ」
と言っていただけたのが、ありがたかったです。
皆さん、こんな私のことも見ていてくれていたんだな、と。
──前職の部長はどうなったかというと、私という部下を失った後、他の部下たちとも折り合いがつかなくなったとのことで苦しい状況となり、やがて企画部門の部長を外され、総務部付になったそうです。
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5その後、どうなったか。
転職前の当時のことを振り返って、今思うことは。
気付けば、もう50歳手前の歳になりました。
今でも、前の職場の辛かった日々をよく思い出します。
当時、部長と毎日顔を合わせる自体がもう苦痛で仕方がありませんでした。
毎日暗い気分で、転籍の話が出るまでは、自分の将来に夢も希望も、全く感じられませんでした。
一方で、今振り返ってみると、あの苦しい、暗い時代が自分を創ったのかもしれない──そんな想いになることもあります。
それは、「耐える力」とでも言うのでしょうか。
職場に本当に嫌な人が居るという人は、「同じ部屋で同じ空気を吸っているだけで吐き気がしてきしてしまう」感覚というのは理解いただけるのでは、と思います(とても相手に失礼な表現だと思いますが、実際にそう感じられるものです)。
そう言った環境の中で、逞しさや、耐える力を培い、その強さが自分自身と、周囲の仲間を助けていくことにも繋げられたと思っています。
当時培ったそれらのものは、今でも生きています。
今の職場でだって、人間関係で悩んだり、さまざまなことで壁にぶつかることもあります。
それでも、以前の辛かった体験を通して、そこで耐え抜けたことに自信を持てている自分がいて、そして様々な人から助けられた経験を思い出して、同じように苦しんでいる人を助けよう、励まそうと思う気持ちになれるのです。
正直に申し上げると、当時の私は、部長のことが憎くて仕方がありませんでした。
でも、その憎しみが今あるかというと、全くありません。
あの時代があって今があるのだとすれば、部長にも感謝したいくらいです(本当ですよ)。
そして、現在同じ苦しみを感じている方が私の周りにいたら、ぜひ伝えていきたいですね。
苦しんでいる自分を観てくれている人は、必ずいるということ。そんな人たちを大切にしていくことで、きっと道は開けること。
そして、開けた先で振り返った時、憎しみや怒りといった感情はもう薄れて、感謝の気持ちが残っているということを。
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