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「転職活動・失業中にお金が無くなったら?」知っておきたい失業保険・求職者支援制度・生活保護について

[最終更新日]2024/07/21

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「転職活動・失業中にお金が無くなったら?」知っておきたい失業保険・求職者支援制度・生活保護について

現在、転職活動中または失業中で、安定した生活を送れず、不安な日々を過ごしている方も多いと思います。

そのような状況下で、国として救済措置はどのようなものがあるのか、またよく耳にする「失業保険」や「生活保護」、「求職者支援制度」が、どのような制度なのか気になっている人もいることでしょう。

目次

1)失業期間が長引いたときに、知っておきたい国のセーフティ・ネット

知っておきたい国のセーフティ・ネット ■失業保険 ■求職者支援制度 ■生活保護

会社を自ら退職する場合、あらかじめ次の仕事先を決めて退職するのが一般的ですが、突然の雇止めや解雇の場合、すぐに新しい仕事に就くことは難しいでしょう。

特に目指す業界自体が不況であった場合は、再就職(同じ業種に就く)は難しくいことも多く、失業期間も長引く可能性があります。

そこで、失業期間が長引いてしまったときの国のセーフティ・ネットとして、以下3つの制度についてお伝えします。

  • 失業保険(失業給付)
  • 求職者支援制度
  • 生活保護

上記は、失業のため収入が途絶えてしまったときの対策として、国が支援する代表的な公的制度です。

1つずつ見ていきましょう。

失業保険(失業給付)とは

失業保険(失業給付)とは 勤めていた会社を退職後、再就職するまでの期間、安定した生活を送り1日でも早く再就職できるよう手当を出して支援する公的な保険制度

失業保険とは、勤めていた会社を退職した後、再就職するまでの期間、安定した生活を送り1日でも早く再就職できるよう、手当を出して支援する公的な保険制度です。

この保険制度を正式には「雇用保険」といい、手当を「基本手当(以下、失業手当)」といいます。
働いている人の多くは、強制的に雇用保険に加入しており(雇用保険に加入条件はあり)、失業手当は雇用保険の被保険者(雇用保険の加入者)が給付対象となります。

失業手当は、一定の条件をクリアしないと給付対象にならず、退職理由(自己都合か会社都合か)や勤めた期間、年齢などにより給付額や給付期間、給付時期が異なります

また失業手当は、自ら申請しなければ給付されないため、退職した際は最寄りのハローワークにて受給申請の手続きが必要となります。

失業手当について、受給資格(手当をもらえる条件)やメリットや注意点については、次項の「失業保険(失業給付)の受給資格とメリット・注意点」にて詳しく解説します。

求職者支援制度とは

求職者支援制度とは 失業保険を受給できない方が対象で、月10万円を支給し、同時に再就職の為の職業訓練を提供する制度

求職者支援制度とは、離職中で失業保険を受給できない方を対象に、月10万円の給付金を支給し、同時に再就職に役立つ職業訓練を無料で提供する制度です。

対象となる「失業保険を受給できない方」とは、「失業保険の受給資格がない方」(次項にて詳しくお伝えします)になります。
たとえば、前職の就業期間が1年未満など短期間である場合や、失業手当の受給期間が終了したがまだ再就職先が見つからない方などが対象です。

また在職中(パートなど)の方でも、一定以下の収入で正社員に再就職を目指す方も対象となるケースがあります。

求職者支援制度では、職業訓練開始前から終了後まで、ハローワークの求職活動の支援も受けられるため、職業訓練と再就職活動を並行して進められます。

生活保護とは

生活保護とは 何らかの事情で働くことが困難な方、収入が低く最低限の生活ができない方へ困窮の程度に応じて生活費を支援

生活保護とは、何らかの事情で働くことが困難な方、収入が非常に低く最低限の生活を送るのが難しい方などのために、困窮の程度に応じて国が生活費などを支援する制度です。

国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」は憲法の生存権として定められており、この権利は「生活保護法」のひとつとして、国が保障しています。

生活保護の目的は、生活保護法に基づき生活費を支援するだけでなく、自立の助長を図ることも含まれます。そのため受給中はケースワーカーの訪問調査や生活指導などが入る場合があります

生活保護の対象となるのは、収入がない方(低い方)ですが、資産状況や本人の能力、親族の状況などあらゆるものを活用したうえで、それでも最低限の生活を送るのが困難な方に限られます。

生活保護の利用を希望する際は、住まいの自治体が管轄する福祉事務所へ申請します。

2)失業保険(失業給付)の受給資格とメリット・注意点

失業保険をもらえる人の条件

失業保険をもらえる人 ・原則、離職前2年間に被保険者期間が12ヵ月以上ある ・現在、失業状態にある
  • 原則として、離職前2年間に被保険者期間が12ヵ月以上あること(倒産・解雇などの理由により離職した場合その他やむを得ない理由により離職した場合は、離職前1年間に被保険者期間が通算して6か月以上あること)
  • 現在、失業の状態にあること(就職しようとする意思、及びそのための能力(健康状態・環境など)があること)

失業保険は、短期間で就職・退職を繰り返して失業保険の不正受給を防ぐため、原則として「前職の就業期間(雇用保険加入期間=被保険者期間)が1年以上であること」が定められています。

これは、過去2年間のうち、通算で1年以上働いていた実績(被保険者期間)があればよいので、1年のうち就労先が変わってもトータルで1年以上に達すれば良いとされます(例えば、A社5ヵ月・B社8ヵ月で退職した場合も適用となる)。

上記の条件は、自己都合による退職の場合であり、倒産や解雇など会社都合で退職を余儀なくされた場合は条件が緩和され、「1年間で6ヵ月以上の被保険者期間」となります。
また自己都合の退職でも、仕事を続けるうえで不可欠な能力が低下した場合(疾病や体力の不足など)や、通勤困難な地への移転命令など、やむを得ない理由で退職する場合は会社都合と同様とされます。

失業保険の対象は、「早いうちに、また働く予定である」人

当然ですが失業保険は、再就職の意思がありその能力を備えた方が対象となります。
よって働く気がない方、病気や妊娠・育児や介護などですぐに働けない方は対象から外れます。

ただし後者の場合(病気、妊娠・育児や介護などで働けない)、受給期間を延長することが可能(最長3年間)で、延長手続きはハローワークにて申請します。

※失業保険の受給資格について詳細は、厚生労働省のHP「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要」をご覧ください。

失業保険(失業給付)のメリット

失業保険のメリット 1.元の給料の50~80%を受け取れる 2.条件を満たせば最低90日間受け取れる 3.経済面の不安が減り、再就職へ前向きに
  • メリット1:元の給料の50~80%の額を受け取れる
  • メリット2:条件を満たせば最低90日間受け取れる
  • メリット3:経済面の不安が減るため、再就職へ前向きに取り組める

元の給料の50~80%の額を受け取れる

失業保険の受給額は、前職の給料や離職時の年齢により算定されます。

概算の計算方法は以下の通りです。
失業保険の受給額(日額)=前職の給料の日額(過去6ヵ月より)×給付率(50~80%)

原則として、前職の給料が高いほど受給額も高くなり、同様に離職時の年齢が高いほど受給額も上がります。ただし受給日額の上限(下限)はあらかじめ決まっているため、一定額以上は受給できません。

以下は、失業保険の1日あたりの受給額の上限額および下限額です。

離職時の年齢 受給日額の上限額 受給日額の下限額
29歳以下 6,815円 2,000円
30歳~44歳 7,570円
45歳~59歳 8,335円
60歳~64歳 7,150円

※参考:ハローワークインターネットサービス – 基本手当について

前職の給料には及びませんが、1日あたりしっかり保障されています。

条件を満たせば最低90日間受け取れる

受給期間については、退職理由(会社都合か自己都合か)により異なります。

会社都合(やむを得ない事情での自己都合も含む)の場合の受給期間
就業期間/
離職時の年齢
1年未満 1年以上5年未満 5年以上10年未満 10年以上20年未満 20年以上
29歳以下 90日 90日 120日
30歳~34歳 120日 180日 210日 240日
35歳~44歳 150日 240日 270日
45歳~59歳 180日 240日 270日 330日
60歳~64歳 150日 180日 240日
自己都合の場合の受給期間
就業期間/
離職時の年齢
1年未満 1年以上5年未満 5年以上10年未満 10年以上20年未満 20年以上
全年齢 90日 120日 150日

失業保険の受給額や期間については、その方の状況に応じて異なりますが、最低でも3ヵ月は経済面での不安が軽減され、再就職活動に専念できるでしょう

失業保険(失業給付)の注意点

失業保険の注意点 1.受給されている間は雇用保険の加入期間がリセットされる 2.経歴の空白期間が伸び、再就職への難易度が上がってしまう
  • その1:受給されている間は雇用保険の加入期間がリセットされる
  • その2:経歴の空白期間が長くなるほど転職活動の難易度は上がる

受給されている間は雇用保険の加入期間がリセットされる

一度でも失業保険を受給すると、雇用保険の加入期間がリセットされます。

例えば以下のように、退職を2回した場合で考えてみましょう。

①(1回目):32歳会社員が10年間勤めた会社を自己都合にて退職(受給期間は120日)
②(2回目):その後再就職した会社を自己都合で1年で退職

A)①で失業保険を1度でも受給したケース:②の退職の受給期間は90日になります。
B)①で失業保険を受給しなかったケース:②の退職の受給期間は120日になります。

Aのケースの場合、①の失業保険を実際に受給した期間に関係なく(30日でも120日でも)、1度でも失業保険を受給すればこれまでの就業期間(雇用保険の加入期間)10年がリセットされます。
ただし、3分の1以上の受給期間を残して再就職した場合には「再就職手当※」が支給されます。

※再就職手当は、早期の再就職を促進するための制度です。
詳しくは厚生労働省の「再就職手当のご案内」をご参考ください。

Bのケースの場合、①で失業保険を受給しなかったため、雇用保険の加入期間はそのまま引き継がれ「10年以上」に該当するので、受給期間は120日になります。

経歴の空白期間が長くなるほど転職活動の難易度は上がる

転職活動において、働いていない期間が長いと不利になる可能性があります。
経歴の空白期間が長いと、希望する会社の採用担当者に「この期間は何をしていたのか?」と指摘されることもあり、資格取得のための勉強など納得のできる返答ができれば良いですが、そうでない場合は良く思われないこともあります。

また、働かない期間が長いほど社会復帰が難しくなるケースもあります。
「失業手当が受給されているうちは再就職しなくていい」と再就職活動に真剣に取り組まず、自堕落な生活に陥ると、社会生活を送ることが困難になる恐れがあります。

3)求職者支援制度の受給資格とメリット・注意点

求職者支援制度で給付金を受けて訓練受講できる人の条件

求職者支援制度を受けられる人 ・雇用保険の適用がなかった離職者の方
 ・フリーランス/自営業を廃業した方 ・雇用保険の受給が終了した方 ・一定額以下の収入のパートタイムで働き、正社員への転職を目指している方
  • 雇用保険(失業給付)の適用がなかった離職者の方
  • フリーランス・自営業を廃業した方
  • 雇用保険の受給が終了した方など
  • ※一定額以下の収入のパートタイムで働きながら、正社員への転職を目指す方など

※一定額以下の収入とは、以下のケースです。

  • 本人の収入が月8万以下
  • シフト制で働く方は月12万円以下
  • 世帯収入が月25万円以下

他にも世帯全体の金融資産が300万円以下、現在住んでいるところ以外に土地や建物を所有していない、などいくつか条件が設けられています。

求職者支援制度は、基本として「失業保険(雇用保険)を受給していない方」が対象となります。

たとえば、自己都合で1年未満に退職したため失業給付の適用がない離職者や、個人事業主やフリーランスなど雇用保険に加入していない方が新たに求職する際、そのほか失業保険の受給期間を過ぎても就職先が決まらず、再就職活動を続ける方も、求職者支援制度を受けられます。

雇用保険被保険者(雇用保険の加入者)および失業保険の受給者でなければ、10万円の給付金は受給できませんが、訓練は無料で受講できるケースもあります。

詳細は以下の厚生労働省「求職者支援制度のご案内」のサイトをご参照ください。

求職者支援制度のメリット

求職者支援制度のメリット 1.失業保険対象外でも月10万円の給付 2.無料の職業訓練を受けられる(テキスト費別) 3.再就職先の斡旋もしてくれる
  • メリット1:失業保険の対象外の人でも月10万円の給付金がもらえる
  • メリット2:無料の職業訓練を受けられる(テキストは自己負担)
  • メリット3:再就職先の斡旋もしてくれる

失業保険の対象外の人でも月10万円の給付金がもらえる

前述のとおり、求職者支援制度は失業保険を受給していない方が対象となるため、何らかの理由で失業保険の受給対象外の方でも、毎月10万円(その他必要に応じて通所手当や寄宿手当も付く)が支給されます。

無料の職業訓練を受けられる(テキストは自己負担)

職業訓練を実施するのは、厚生労働大臣より認定を受けた民間訓練機関です。
テキスト代のみ自己負担ですが、それ以外は基本的に無料になります。

職業訓練は「基礎コース(社会人として必要な基礎的能力・技能を習得)」と「実践コース(希望職種における実践的な技能の習得)」の大きく2つに分けられます。
主なコースは以下の通りです。

  • 基礎(ビジネスパソコン、オフィスワークなど)
  • IT(WEBアプリ開発、Android/JAVAプログラマ育成など)
  • 営業、販売、事務(OA経理事務、営業販売など)
  • 医療事務(医療・介護事務、錠剤事務など)
  • 介護福祉(介護職員実務者、保育スタッフ養成など)
  • デザイン(介護職員実務者研修科、保育スタッフ養成)

訓練期間は2ヵ月~6ヵ月で、再就職や資格取得にも役立つ講座ばかりです。
同じような講座を資格スクールなどで受講するとかなり高額です。
お金をかけずに(むしろ給付金をもらいながら)知識やスキルを得られるメリットは大きいでしょう。

求職者支援訓練にはどのような講座があるのか、詳細はハローワーク インターネットサービスの「職業訓練検索」から確認ができます。

再就職先の斡旋もしてくれる

訓練期間中や訓練終了後、ハローワークの担当者は訓練で身に着けた技能や知識などを考慮して就職支援を行ってくれるため、再就職先も決まりやすい傾向にあります。

求職者支援制度の注意点

求職者支援制度の注意点 1.毎月ハローワークに通う必要がある 2.希望のコースを受けられるとは限らない 3.遅刻や欠席で支援金が0円になることも
  • その1:毎月ハローワークへ通う必要がある
  • その2:希望するコースを必ずしも受けられるとは限らない
  • その3:訓練実施日の遅刻で支援金が0円になることもある

毎月ハローワークへ通う必要がある

求職者支援制度を受けている期間は、原則として月に1回はハローワークが指定する日に来所し、職業相談をする必要があります。

万が一何の連絡もせず来所しなかった場合は、給付金が支給されず、それを繰り返すと訓練が受講できなくなるほか、これまで受給した給付金の返還を要求されることがあります。

希望するコースを必ずしも受けられるとは限らない

求職者支援制度は要件を満たしていても、訓練校にて行われる選考(面接や学科試験など)に合格しなければ受講することはできません。特に人気の講座については必ずしも受講できるとは限らないため注意しましょう。

また再就職のために訓練が必要ないとハローワークが判断した場合も、受講することはできません。

訓練実施日の遅刻で支援金が0円になることもある

求職者支援制度は、再就職を目的として真剣に職業訓練に取組むための制度であるため、1度でも訓練を欠席・遅刻・早退すると、給付金が支給されず、過去の受給分も遡って返還要求されることもあります

もちろん「やむを得ない理由」がある場合は例外とされますが、この場合必要な証明書類を提出しなければいけません。

やむを得ない理由の一例は以下の通りです。
※()内は必要な証明書の一例です。

  • 本人の病気または負傷のため(医師からの証明書や医療機関の領収書など)
  • ハローワークが認めた就職セミナーなどの受講のため(セミナー参加証など)
  • 電車遅延、交通事故、天災など(遅延証明書、事故証明書など)

上記以外においても、個人の事情でやむを得ない理由が発生する際は、いちどハローワークに問い合わせてみましょう。

4)生活保護の受給資格とメリット・注意点

生活保護をもらえる人の条件

生活保護がもらえる人 ・病気や障害などで働くことができない ・高齢で働くことができない ・収入が低く最低生活費に届かない ・年金や各種手当でも最低生活費に届かない

生活保護は、生活が困窮する方に対し生活費を支給して最低限の生活を保障し、自立を助長する制度です。

よって、生活保護をもらえるのは「生活が困窮し最低限の生活を送るのが困難な方」に限られます。
具体的には、世帯収入と厚生労働大臣が定める最低生活費(基準)を比較して、収入が最低生活費に満たない場合に保護費として支給されます。

どのような方が該当するのか、以下はその一例となります。

  • 病気や障害などで働けない
  • 高齢で働けない(公的年金の適用がない、年金だけでは賄えない)
  • 収入が低くそれだけでは最低生活費に届かない
  • 生活保護以外の公的制度(年金や各種手当)を利用しても最低生活費に届かない

上記のような方でも以下の場合は支給対象から外れます。

  • 親族より経済的な援助が得られる
  • 現在住んでる自宅以外に土地や建物を所有している
  • 貴金属やブランド品、高級車を所持している
  • 預貯金など蓄えがある

生活保護は、利用できるあらゆる資産や能力を生活のために活用し、それでも生活ができないほど困窮した方に向けた制度です。

働けない方だけでなく、働いて収入がある方や年金など生活保護以外の公的制度を利用している方でも、最低生活費に満たない場合はその差額を受給できます。

ただし、自宅以外に預貯金を含む資産を保有している方、親族より経済的援助が可能な方はこの限りではありません。

生活保護のメリット

生活保護のメリット 1.生活に必要な最低限のお金を受け取れる 2.受給中は住民税や国民年金保険料が免除
  • メリット1:生活に必要な最低限のお金を受け取れる
  • メリット2:受給中は住民税や国民年金保険料などが免除される

生活に必要な最低限のお金を受け取れる

生活保護では、以下のような生活に必要な各種費用(扶助)を受取れます。

各種費用
(扶助)
扶助の内容 どのように支給されるか
生活扶助 食事や光熱費など日常生活に必要な費用 基準額を算出し、本人の口座へ直接振込み
母子加算や障碍者加算など特定の世帯に加算がある
住宅扶助 アパートの家賃など住宅にかかる費用 全国の水準に合わせて決められた範囲内で実費で支給
(本人の口座へ振込み)
医療扶助 診察や薬剤の処方など医療にかかる費用 直接医療機関に支払われる(本人の負担は無し)
介護扶助 介護サービスにかかる費用 直接介護事業者に支払われる(本人の負担は無し)
教育扶助 教科書や学用品、給食などの費用 定められた基準額を本人の口座へ直接振込み
出産扶助 分娩処置や入院のための費用 定められた範囲内で実費を本人口座へ振込み
生業扶助 就労に必要な技能の修得費
就職に必要なものを揃えるための費用
定められた範囲内で実費を本人口座へ振込み
葬祭扶助 葬儀費用など 定められた範囲内で実費を振込み

生活保護は、収入がある場合は最低生活費から収入額を差し引いた差額が、収入がない場合は最低生活費がそのまま保護費として支給されます。

最低生活費とは

最低生活費は、住んでいる地域や世帯の状況によって異なり算出ができないため、受給を考えている方は住んでいる地域を管轄する福祉事務所に相談しましょう。

福祉事務所については以下、厚生労働省のHP「福祉事務所」をご覧ください。

受給中は住民税や国民年金保険料などが免除される

生活保護は、困窮者のための保護制度であるため、国民年金保険料や国民健康保険料、NHK受信料などの支払いが免除されます。

また通常なら所得(給与所得など)や保有資産(土地や建物、自動車など)に対して税金が課せられますが、生活保護受給者は所得税や住民税などの税金が非課税となるケースがあります。

以下は生活保護受給者が免除される主な項目です。

免除される項目 通常かかる金額の概算(月額)※
所得税・住民税 収入により異なるため概算は不可
固定資産税(持ち家の場合) 固定資産税評価額(課税標準額)×1.4%(標準税率)
平均概算は戸建:10,000円前後、マンション:7,500円前後
国民年金保険料 令和3年度の保険料は16,610円(国民年金第1号被保険者)
国民健康保険料 年収により異なるが、概算平均は12,000円~36,000円くらい
NHK受信料 1,225円~2,220円(前払いするとさらに安くなる)

生活保護受給者は、最低生活費の受給だけでなく、上記のように税金や保険料などの支払いも免除されます。

※この金額は個々の状況に応じて大きく変わるため、あくまで概算した平均値として参考程度に留めてください。

生活保護の注意点

生活保護の注意点 1.ローンが組めない、クレジットカードを作れない 2.扶養照会により親族に生活保護の受給が知られる
  • その1:ローンが組めない、クレジットカードが作れない
  • その2:親族に扶養照会がされるので、生活保護の受給が知られることになる

ローンが組めない、クレジットカードが作れない

生活保護受給者は、支給される保護費でローンや借金の返済をしてはいけません。支給される保護費は最低限の生活を保障するもので、返済に充てるものではないからです。

そのためローンを組んだり、クレジットカードを作ることはできません。
お金を借りてまで何かを購入するという行為は、生活保護の目的である「健康で文化的な最低限度の生活」では必要ない行為とみなされるからです。

よって住宅ローンを返済中の場合も原則売却をしてから、申請するよう指導される可能性があります。

親族に扶養照会がされるので、生活保護の受給が知られることになる

生活保護を申請すると、親族などに経済的援助が可能かどうか問い合わせる「扶養照会」が行われます。
経済的に余裕があり扶養(援助)が可能である場合は、生活保護より優先されるため生活保護の受給は見送られます。

この扶養照会で両親や兄弟姉妹などに、生活保護を申請しなければいけないほど困窮している状況が知られてしまい、これを気にする方が多いのが現状です。

ただし長年音信不通であったり、DVや虐待を受けている場合などは扶養照会を控えるよう運用が見直されています。

5)転職活動は、ハローワークだけでなく転職エージェントも活用しよう

転職エージェントイメージ

離職にかかわる各種手続きや申請はハローワークで行いますが、求職活動はハローワークだけでなく、民間の転職エージェントも活用することをおすすめします。

なぜならハローワークと転職エージェントは、それぞれ異なる性質を持つ求職支援サービスだからです。

ハローワークは国が運営する機関であるため、求人を募集する企業も応募する個人も無料です。
一方、転職エージェントは民間の企業が運営するため、利益追及が目的となり利用に際してお金がかかります。

ただし有料となるのは求人を募集する企業側であり、転職者(応募する個人)に対しては無料です。

よって採用にある程度お金をかけられる、資金力のある企業が転職エージェントに依頼する傾向が高く、転職エージェントで扱う求人は、ハローワークと比べ企業規模や給与面など条件や待遇が良い求人が多いでしょう。

転職活動の際には、多くの人が「転職エージェント」を利用しています。

その主な理由は、国内の少なくない企業がハローワークや転職サイトではなく転職エージェントのみに「非公開求人」を出しているからです。

「非公開求人」とは?=企業が社名を明かさず人材を募集すること。▽企業が非公開求人をする理由●企業側で急な採用が必要となり、求人を公開して募集する時間がない。●企業の人事採用側の事務コストの節約。●機密性の高いプロジェクトや事業戦略に関わる人材採用。

ですが、私たちが転職エージェントを利用する際は「求人を紹介してくれる人」としてではなく、「転職活動全般を相談できる人」として活用したほうがより効果的でしょう。

転職エージェントサービスの仕組み。転職エージェントのキャリアアドバイザーは、求人紹介やキャリアプランへのアドバイス、書類添削・面接対策などのサポートを行ってくれます。

上記図で表す通り、「求人紹介」は転職エージェントが提供するサービスの一部でしかありません。

それ以外のサービス、例えばキャリアプランのアドバイス(キャリア相談)、書類添削、面接対策などの選考通過のためのサポートも受けることによって、転職成功の確度を高めていけるはずです。

ただし、転職エージェントは国内多くのサービスがあり、またどの担当者が付くかによってもサポートの提供のされ方が変わります。

あなたに合った転職エージェント(または担当アドバイザー)を見つけるためにも、はじめに2~3つのサービスに登録して、利用のしやすさやコミュニケーションの取りやすさを比較しておくことをおすすめします。

転職エージェントについての説明を詳しく見る

キャリアアドバイザーは、募集企業の人事担当者や現場担当者とのつながりがあることも多く、社内のリアルな様子や働く声などを聞ける場合もあり、企業選びや面接対策にも役立つでしょう。

また転職エージェントの求人票はハローワークと比べると、仕事内容や求める人材、企業の業績など情報量が多いため、企業イメージがつきやすく迷いや不安なく応募できる方が多いようです。

募集企業の求人票はどんな些細な情報でも、応募を検討する大切な判断材料となるため、情報量が豊富であるほど転職者にとって有利になるでしょう。

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メリット
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デメリット
  • 活動ペースを急かされることも
  • メール・電話が多い
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  • 職種によっては求人が少ない
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  • 地方の求人は少なめ
  • 求人数は少なめ
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  • 求人数は少なめ
  • 全ての求人を見るには有料会員になる必要あり
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  • 求人紹介は研修受講が条件
  • 紹介求人は中小企業がメイン
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  • 未経験者向けの求人は少ない
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  • 販売職の求人が8割以上
  • 地方の求人は少なめ
  • 国公立の医院求人は少ない
  • 地方の求人は少なめ
  • 正社員の求人は少なめ
公開求人数 49万 26万 11万 6.9万 4.0万 1.5万 1.0万 2.1万 40万 6.0万 14万 5,700 非公開 非公開 2.1万 2.5万 非公開 5,000 1.0万 4,900 4,900 1,400 1.5万 1.4万 16万 23万 9,000
得意業界/職種 全業界 全業界 全業界(とくにIT・Web系、メーカー系) 全業界 全業界 営業・技術職・管理・メーカー系 IT・Web系、管理、営業 全業界 全業界 経営、企画・管理、技術職、専門職 全業界 経営、企画・管理、技術職、専門職 営業、技術職、企画・管理、サービス系職種 営業、販売・サービス業、メーカー系 ITエンジニア職全般 ITエンジニア職全般 営業職全般 Web系・ゲーム系・技術系 管理部門・士業 会計・経理・税務・財務 マスコミ・メディア系 アパレル・ファッション アパレル・ファッション 製造系・ものづくりエンジニア 看護師 介護士・ケアマネジャー等 介護士・ケアマネジャー等
対象年代 全年代 全年代 全年代 全年代 全年代 全年代 20代~30代 全年代 全年代 30~50代 全年代 20代 20代、30歳~35歳 20代 全年代 全年代 全年代 全年代 全年代 全年代 全年代 全年代 全年代 全年代 全年代 全年代 全年代
対象地域 全都道府県 全都道府県 全都道府県 全都道府県 全都道府県 関東・関西・東海 東京・神奈川・千葉・埼玉 全都道府県 全都道府県 全都道府県 全都道府県 東京・神奈川・札幌・大阪・愛知 東京・神奈川・大阪・愛知・広島・福岡・熊本 東京・神奈川・埼玉・千葉・大阪・京都・兵庫 全都道府県 全都道府県 全都道府県 関東・関西・東海・九州 関東・関西・東海 関東・関西 関東・関西・東海 関東・関西・東海 全都道府県 全都道府県 全都道府県 全都道府県 全都道府県
公式サイト

表内の求人数は2024年11月時点のものです。

まとめ)困っているなら遠慮せずに活用をしましょう。

困った時は、活用を。

失業して収入がなくなることは誰にでも起こりえることです。

失業して生活が困難な方、再就職が難しい方、まずは公的制度が活用できないか確認してみてください。

今回ご紹介した「失業保険」「求職者支援制度」「生活保護」は多くの人が対象となる制度です。
「失業保険」と「求職者支援制度」は雇用保険被保険者や雇用保険受給資格者と対象が絞られますが、「生活保護」は日本国民であれば誰もが申請できる制度です。

苦しい生活を強いられている場合、公的な支援制度を受けることは日本国民誰もが認められた権利です。
ただしその制度の概要や注意点をよく理解し、社会生活を送ることを前提とした一時的なセーフティ・ネットとして利用を考えてください。

今困っている方は遠慮せず活用できる支援制度をどんどん利用し、この苦難を乗り越えましょう。

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