女性が非正規雇用から正社員を目指す際の注意すべきメリット・デメリット
[最終更新日]2024/08/26
「非正規雇用から正規雇用である正社員に転職したい」と思っている女性の方は、多くいらっしゃるのではないでしょうか。
パートやアルバイト、派遣社員は正社員と比べると、働く時間や休日などを自分の都合に合わせやすいというメリットがあります。
しかし安定した働き方とはいえないので、自然と「今のままの働き方でいいのか」「将来を考えると正社員として採用されたい」といった悩み・考えも生じてくるものでしょう。
目次
1)女性が非正規雇用から正社員になるメリット・デメリット
非正規雇用から正社員採用を目指す女性には、正規雇用のメリットしか見えていないことが多いです。
もちろん、正社員になるメリットはいろいろありますが、その反面デメリットもあることを理解しておくことも大切です。
ここでは非正規雇用から正社員になることのメリットとデメリットについて、それぞれ詳述します。
非正規雇用から正社員になるメリット
安定して収入を得られる
非正規雇用から正社員になる一番のメリットは、安定した収入が得られることでしょう。
厚労省「平成30年賃金構造基本統計調査」によると、女性の正社員(正職員)の方と、それ以外の方との【一ヵ月の賃金】格差は依然大きく、グラフで表すと以下のようになります。
上記グラフからは、女性の「正社員・正職員」と「正社員・正職員以外」の賃金格差は年齢50代の時期に最大となり、その差は2倍にもなることが確認できます。
近年は独身で生涯を通す女性が珍しくありませんので、結婚しなくても経済的に自立できることは、正社員になる最大のメリットと言えるかもしれません。
また現代は結婚しても、その先の子育てにお金がかかることから、共働きを続ける家庭が多くなっています。
その他、社会的な評価も非正規雇用より正社員の方が上なので、クレジットカードの審査が通りやすい、ローンが組みやすくなるなどのメリットもあるでしょう。
再就職・職場復帰がしやすい
結婚や妊娠・出産を機に、一度は会社を退職する女性もいることでしょう。
その場合も非正規雇用で働いているより、正社員として勤務している方が仕事を見つけやすいという現実があります。
正社員として勤務しているところが産休や育休の制度が整っている会社であれば、退職しなくても職場復帰を果たすことができます。
また退職してしまっても、正社員として働いたキャリアとスキルがあれば、転職活動がしやすいのです。
ただし、その際は退職してから転職活動を始めるまでの「ブランク」はより短い方が再就職しやすいことを意識しておくと良いでしょう。
希望に見合った働き方をしやすい
前述しましたが、正社員雇用されている場合は、会社の産休や育休の制度を活用しやすくなります。
そのため、必要な期間は休暇を取り、その後 元の会社に戻ることができます。
非正規雇用の場合も産休制度は問題なく活用できますが、育休制度に関してはいくつかクリアしなければならない条件が多く、それができずに退職を余儀なくされるケースも少なくありません。
参考:非正規雇用(パート・アルバイト)の人が育休を取得するための条件
- 現在働いている会社で既に1年以上働いていること
- 子供の1歳の誕生日以降も、引き続きの雇用が見込まれること
- 子供の2歳の誕生日の前々日までに、労働契約の期間が満了していること。かつ、契約が更新されないことが明らかでないこと
- 週の所定労働日数が3日以上であること
また、正社員の場合は育休復帰後の時短勤務も利用できます。
労働基準法で認められた権利を、正社員は非正規雇用と比べて行使のされやすさがあるというのは、大きなメリットと言えるでしょう。
非正規雇用から正社員になるデメリット
ワークライフバランスが取りづらい
正社員には収入や待遇といった面でメリットが多いですが、一方でデメリットもあります。
まず、正社員となるからには、企業から「フルタイム勤務」を求められるケースが圧倒的に多いでしょう。
育児中であれば時短勤務などは活用できるものの、与えられた職務は全うしなければならず、自分の都合だけで退勤時間を決められるわけではありません。
また、保育園にお子さんを預けて働くことになるケースが大半ですが、その送迎や自宅に帰ってからの家事、育児などがあり、仕事と両立するのは簡単とはいえないのが現実です。
そういった意味では、正社員採用の方がワークライフバランスは取りにくいといえます。
人間関係での不自由を感じやすい
正社員になると、同じ職場や部署で長く働くことになります。
そこには上司や同僚、部下、後輩などさまざまな人がいて、チームワークで協働しなければなりません。
職場の人間関係が良好であれば問題ありませんが、反りが合わない人が中にいて、人間関係に悩まされる人は数多くいます。
上司や先輩からのランチや飲み会の誘いを断れない、パワハラやセクハラを受けても助けてもらえないなど、社内の人間関係に不自由を感じることが、ストレスになる可能性を否定できないのです。
職場の人間関係に悩み続けた結果、うつ病を発症するなど体調を崩す人がいるのも現実です。
責任が重くなる
正社員は非正規雇用と違い、仕事の責任が重くなります。
例えば同じ職場に正社員と非正規雇用社員がいたとして、何かクレームやトラブルが発生した場合、その原因が自分にはなくても責任を求められるのは正社員です。
また、非正規雇用であれば仕事が残っていても決まった時間に変えることができますが、正社員はそういうわけにはいきません。
業務遂行や取引先との関係改善のために、残業や休日出勤を余儀なくされるのは、非正規雇用ではなく正社員です。
給与や待遇が良い分、そうした責任がついてまわることを理解しておく必要があります。
2)女性が非正規雇用から正社員を目指すのにリミットはある?
正社員採用されるメリット・デメリットを理解したうえで、それでも目指したいと考えた女性にもう一つ覚えておいてほしいことがあります。
それは、非正規雇用から正社員転職を目指すには、「リミットがある」という現実です。
ここでは非正規雇用から正社員転職を目指す際に、知っておくべきポイントについて説明します。
年齢を重ねるにつれ、正社員転職の難易度は上がる
企業が非正規雇用の職歴しかない女性を正社員採用するにあたり、チェックしているのは職歴とスキルだけではありません。
労働基準法では求人募集にあたり、年齢制限を記載してはいけないことになっていますが、企業側では採用するにあたってのガイドラインを設けているのが一般的です。
独立行政法人労働政策研究・研修機構が発表した「平成24年度若年者の就業状況・キャリア・職業能力開発の現状」によると、非正規雇用の女性が正社員に移行する割合は、女性の年齢によって大きく異なります。
20~24歳の女性の正社員移行率(非正規雇用の女性社員が、離職後に正社員に移行する割合)は18.1%となっていますが、25~29歳だと12.3%、30~34歳だと8.4%、35~39歳だと8.2%、40~44歳だと7.8%という結果が出ているのです。
企業にて募集する職種にスキルや体力が必要な場合、若い女性が優先的に採用されるということが、上記グラフに現れているのでしょう。
または、「若い年齢の転職者の方が社風になじみやすい」と考える、企業側の思惑もあるのかもしれません。
ポイントを押さえて転職活動をすることが大切
非正規雇用で働く女性が正社員として転職する場合には、いくつか活動のコツがあります。
正社員の求人にやみくもに応募するのではなく、パート・アルバイト・契約社員から正社員登用を目指したり、派遣会社に登録し紹介予定派遣を活用する方法があります。
紹介予定派遣とは
紹介予定派遣とは、派遣先に直接雇用されることを前提として、一定期間派遣社員として働いたあと、その派遣先の会社と直接雇用契約を結ぶ形式の働き肩です。
派遣契約終了時に派遣社員と派遣先企業の双方が合意すれば派遣社員としての勤務は終了し、派遣先の会社と直接雇用契約を結んで正社員や契約社員として働けます。
派遣社員期間中は派遣会社と雇用契約を結びますが、期間後正式に採用が決まると派遣先から直接雇用に切り替わります。
派遣期間は会社によって異なりますが通常は3ヵ月程度で、最長でも6ヵ月間と決められています。
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特筆すべきスキルがない非正規雇用の女性の場合は、「未経験者歓迎」という求人に重点的に応募するのがおすすめです。
一方、非正規雇用でも業界や職種でスキルを身につけている場合には、同じ業界や職種を目指すのも方法の一つです。
さらに確実に正社員採用されたいなら、転職エージェントを活用するのがセオリーです。
できることから、始めてみましょう。
3)必見!女性が「正社員」での転職を成功させる3つのポイント
非正規雇用の女性が未経験の業界や職種に正社員で転職することは、それほど簡単ではありません。
また30歳を過ぎた女性の場合は、スキルやキャリアが求められる分、未経験の業界や職種への正社員転職がより難しくなります。
それを実現するためには、転職活動を成功させるポイントを理解し、実践する必要があります。
ここでは、非正規雇用の女性が正社員転職を成功させるための3つのポイントについてお話しします。
成長中の業界・業種を探す
女性の方が正社員採用を目指して求人を探す際には、「市場が拡大している業界」または「成長している企業」に的を絞ることが得策です。
その理由は、そういった業界・企業においては女性採用や女性の働きやすさ支援にも積極的であることが多いからです。
転職サービス「JACリクルートメント」の「2024年下半期 転職市場・中途採用動向」のレポートによると、特に以下業界において「企業の採用意欲が高まる」と予測しています。
2024年下期に転職市場の活況が見込まれる業界
※表内の「求人の増加率」は2024年1-5月期と前年同時期の比較による。
業界名 | 求人数の増加率 | 注目ポイント | 需要スキル |
---|---|---|---|
金融業界 | 約150% | デジタル証券、Fintech、デジタル推進 | ESG、オルタナティブ投資関連の知識や経験 |
Fintech業界 | 約190% | デジタル領域のサービス拡充 | デジタル企画、プロダクト開発、セキュリティ強化 |
自動車業界 | 約140% | DX推進、カーボンニュートラル | ソフトウェア開発、通信技術・クラウドエンジニア |
製造業界 | 約115% | 半導体市場の回復 | IT系エンジニア、機械・電気系エンジニア |
Webサービス業界 | 約150% | 生成AIの活用 | 広告×データの知見、SQL、BIツールの活用経験 |
外資IT業界 | 約115% | アカウントエグゼクティブ、プリセールス、コンサルタント、PM | SaaS導入経験、ネットワークやセキュリティ基盤の提案・導入経験 |
コンサルティング業界 | 約190% | DX、ERPとAIやデータの組み合わせ | 実行力、ERP、AI、データ関連の知識 |
建設・不動産業界 | 約120% | グリーンリノベーション、サステナビリティ、特定用途物流、脱炭素 | プロジェクトマネジメント、サステナビリティ推進 |
流通・外食・サービス業界 | 約120% | インバウンド需要の加速、地方への新規出店 | SCM、デジタルマーケティング、DX推進 |
管理部門 | 約130% | サステナビリティ関連、タレントマネジメント、FP&A、SAP導入 | ESG、サステナビリティ関連の経験、コンサルティング経験 |
参考:
JACリクルートメント【2024年下半期】転職市場・中途採用動向|15業界全業界が引き続き活況
資格を取得して、スキルを補う
未経験職種でも正社員採用されるためには、応募する仕事に関連するスキルを身につけることも必要です。
独学で学んだくらいでは何の証明にもならないので、正社員の求人に応募する前に、関連資格を取得しておくことをおすすめします。
資格があれば、面接時に企業側が応募者のスキルをはかる指標になるため、書類選考に通りやすくなるはずです。
その際、やみくもに資格を取得するのではなく、自分が転職を目指す職種に絞って勉強することがポイントです。
例えば事務職を目指すなら、WordやExcel、Accessが使えて当然という風潮がありますので、MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)を取得することをおすすめします。
経理業務に活用できる簿記検定も、持っているとプラスになる資格です。
以下の表に職種に対応する、持っていると有利なおすすめの資格をまとめておきましたので、ぜひ参考にしてみてください。
業界・職種別おすすめの資格
業界・職種 | あると有利な資格 |
---|---|
事務職 |
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IT業界 |
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介護職 |
|
企画・マーケティング職 |
|
コンサルタント |
|
経理職 |
|
女性向けの転職エージェントを活用する
非正規雇用に限らず、女性は年齢があがると正社員であっても、転職が難しくなるという現実があります。
そのため、転職活動を一人でがんばるのではなく、プロのサポートを受けることをおすすめします。
そこで活用してほしいのが、女性の転職に精通した転職エージェントです。
転職エージェントに登録することで、自分の市場価値を知ることができるほか、一緒にその後のキャリアプランについて考えてもらうことができます。
また登録者のスキルや志向性、職場に求める条件などを考慮して、応募企業を探してくれるので、入社後のミスマッチが少ないことも魅力です。
求人情報や企業のホームページだけではわからない、職場の雰囲気や働き心地についても、転職エージェントはたくさんの情報を持っています。
さらに複数の転職エージェントに登録すれば、さまざまな求人に出会うチャンスも広がります。
次の章にて、実際に女性が正社員採用を目指して転職活動を進める際に、おすすめの転職エージェントを3点ご紹介します。ぜひご覧ください。
4)女性におすすめの転職エージェント
非正規雇用の女性が正社員採用を目指すなら、女性の転職に強いエージェントを選ぶのがおすすめです。
ここでは、女性の転職に強いとされるエージェントを3つ紹介します。
特徴を理解して、自分に合ったところを活用してみてください。
type女性の転職エージェント
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女性への転職支援で25年の実績!年間10,000名以上の女性転職者希望者へのキャリアカウンセリングを行っています。
type女性の転職エージェントは、その名の通り女性の転職支援に特化したサービスです。
「ワークライフバランスを重視した働き方がしたい」「産休・育休後も仕事復帰ができる環境で働きたい」など、女性ならではのライフプランも含めた相談が可能です。
在籍するキャリアアドバイザーは皆女性ですので、時短勤務だけでなく女性が働きやすい職場を探している方、ご自身の最適な働き方を模索している方も、気兼ねなく質問できるでしょう。
また、type女性の転職エージェントでは、「転職しようか迷っている人のための転職相談会」「ワークライフバランスを整えたい人のための転職相談会」など、で無料のオンライン相談会を定期的に行っています。
まずは気になるセミナーに参加して、その後サービスを本格的に利用するのも良いでしょう。
type女性の転職エージェントの特徴
特徴 |
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サービス対応地域 | 東京、神奈川、千葉、埼玉 |
公開求人数 | 約1.0万件(2024年7月現在) |
とくに多い職種 | システムエンジニア(IT・通信・ソフトウェア)|営業|Webエンジニア・クリエイター(Web・インターネット・ゲーム)|管理・企画・マーケティング・経営|専門職(コンサルタント・士業・金融・不動産)など |
転職しようかの悩みのほか、結婚・出産等のライフイベントに関わる相談も受け付けています。まずはいちど相談をして、転職するかの判断をされるのもよいでしょう。
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マイナビエージェントの担当領域一覧
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マイナビエージェントの特徴
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サービス対応地域 | 全国 |
公開求人数 | 約6.1万件(2024年7月現在) |
とくに多い職種 | 営業職|マーケティング|広報|人事|経理|クリエイティブ(Web・編集・制作など)|ITコンサルタント|システムエンジニア|金融アナリスト|調査・分析|看護師|薬剤師|保育士|不動産専門職|建築・設計アシスタント|デザイナーなど |
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とくに多い職種 | 事業企画・経営企画|営業|IT・Webエンジニア|経理・財務・人事・法務|マーケティング・販促・商品開発|技術職(機械・電気)|コンサルタント|金融系専門職|医療専門職|技術職(化学・食品系)|技術・専門職(建設・不動産系)|クリエイター・クリエイティブ職|サービス系(店舗管理・運営管理)|技術職(組み込みソフトウェア)|SCM・物流・購買系など |
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これらのポイントを押さえ、目標を定めて準備を進めることで、非正規雇用から正社員への転職を成功させましょう。