あると差がつく!ITエンジニアのポートフォリオの作り方
[最終更新日]2024/12/04
近年ではITエンジニアの転職活動において、ポートフォリオという言葉がよく聞かれるようになりました。
実績をアピールできる方ならともかく、IT業界未経験者の方は「私にはアピールできるものなどない」と尻込みしてしまうかもしれません。
しかし転職活動に必要なポートフォリオとは、あなた自身を知るための重要な情報を提供する手段の1つです。
「大作を作ろう」「ハイスキルな成果物にしよう」などと意気込みする必要はなく、あなた自身の現在のスキル、そして志向が確認できるものであれば、ポートフォリオとして充分機能するのです。
目次
1)そもそもポートフォリオってどんなもの?
ITエンジニアのポートフォリオとは、応募者自身のスキルや実績をアピールするものです。
ポートフォリオを用意することで、職務経歴書や自己紹介書に書かれている内容の裏付けとなります。
ポートフォリオに記載する内容には、以下の項目が挙げられます。
- 氏名
- 経歴(学歴や職歴など。但し職務経歴書と異なり、ある程度まとめてもよい)
- 得意とする仕事やプログラミング言語など
- 自ら作成した、あるいはプロジェクトに参画したシステム
- 連絡先
ソースコードとポートフォリオは異なる
ポートフォリオの提出を求められた場合、GitHubなどにアップしたソースコードを提示する方も少なくありません。しかしソースコードとポートフォリオは異なります。
もしソースコードを提出した場合、採用側はソースコードをコンパイルするなどの手間がかかります。応募する企業の担当者に手間をかけさせることになりますから、ポートフォリオにはなるべく動作するシステムを用意するようにしましょう。
ITエンジニア経験者と未経験者のポートフォリオの違い
もしITエンジニアの経験がある方なら、以下にあげる内容をポートフォリオに含めることができます。
- これまで在籍した会社名や、担当した業種
- 参画したプロジェクトやその内容、およびプロジェクト内における役割
- 作成したアプリやサービス
- プロジェクトで活用した言語
しかしITエンジニア未経験者は企業における開発プロジェクトに参画したことがないわけですから、上記の内容を書けません。
その場合はあなたが作成したプログラムをWeb上にアップし、リンクを貼っておくとよいでしょう。特にWebサービスであれば、リンクをたどることで簡単に動作を確認できますから便利です。
2)ITエンジニアにポートフォリオは必要?ポートフォリオを作るべき理由
未経験の方がITエンジニアを目指す場合、履歴書や職務経歴書だけでは応募者のレベルを十分に理解してもらえないことも多いです。そのため経験者と比較された場合、どうしても不利となりがちです。
このため、選考に勝ち抜くためにはポートフォリオを用意し、自らのスキルを示すことが必須です。
ここでは転職活動においてポートフォリオを作成するメリットを4つ取り上げ、それぞれについて解説していきます。
自らの技術力を示せる
ポートフォリオの最も大きな目的は、応募者自身の技術力を示すことです。これはIT業界未経験者であっても、ポートフォリオの提示により以下の情報を示せます。
- 得意な言語とそのスキル
- 独力でどの程度まで開発を進められるか
- 見やすさや操作性にどの程度気を配っているか
上記はITエンジニアとして、多くの開発プロジェクトで必要なスキルです。職務経歴書に言語名だけ書いてあっても、どのくらいの難度まで対応できるかどうかはわかりません。しかしポートフォリオの提示があれば、企業は応募者がどの程度のスキルを持っているかという情報を得られます。
従って入社後、プロジェクトで発揮できる技術力をアピールできるという観点で、ポートフォリオの提示は必要といえます。このため、ポートフォリオがある方のほうが書類選考に通過する可能性は高くなります。
ITエンジニアとしてのやる気を証明できる
ポートフォリオを作成することは、それ自体がITエンジニアとしてのやる気を証明するものとなります。なぜならポートフォリオを作成するためには、以下のスキルが必要となるためです。
- ポートフォリオそのものを作成するITスキル
- ポートフォリオに掲載する成果物を作成するために必要なITスキル
もちろん作成には、多少なりとも時間と努力が必要です。しかしそのことは、同時に「私はITエンジニアになるために、スキルアップという努力を重ねています」ということも示します。この意味でポートフォリオを作成することは、あなたのやる気を示すことにつながります。
ITエンジニアの求人には、さまざまな方が応募しています。
なかには「やる気は誰にも負けません」と力強くアピールする反面、ITエンジニアになるための努力を何もしていない方もいます。
このような方とポートフォリオを作成した方を比べた場合、面接でやる気があると評価される方は後者となることがほとんどです。その意味でも、ポートフォリオの作成は有効です。
面接に慣れていなくても有利に面接を進めやすい
応募者の性格はさまざまです。なかには人と話すことが苦手であったり、人前ではなかなか思うことを話せない方もいるでしょう。
その場合でもポートフォリオを用意することで、有利に面接を進めやすくなります。
そもそもITエンジニアの面接は、うまく自分をアピールしたり、立て板に水を流すようにスムーズに話す方が高く評価されるわけでもありません。
企業は仕事ができる人を採用したいわけですから、その観点で選考が進められます。この点で面接担当者は事前にあなたのポートフォリオを見ているわけですから、もしポートフォリオの評価が高ければ、その点についていくつか質問をしてくることでしょう。
そのぶん、あなたにとって答えにくい質問が減ることが予想されます。
このように企業が求める技術力があれば、口下手であってもよいことはITエンジニアの特徴です。そのぶん、ポートフォリオはあなた自身の評価を高める働きをしてくれます。
入社後のミスマッチを低減できる
ポートフォリオであなた自身のスキルを示すことには、選考に有利という以外にも重要なメリットがあります。それは、入社後のミスマッチを低減できる点です。
あなたがポートフォリオを提示することで、応募先企業はどの言語を習得しているか、どの程度のスキルを持っているかを把握できます。
このため合否の決定や入社後の配属先について、客観的な情報を得たうえで決めることが可能です。これにより、もしあなたの活躍が見込めるならば自信をもって採用でき、求める人材でないならば不採用と判定することになります。
従ってあなたがポートフォリオを提出することは、入社後のミスマッチを低減し、早期に離職する可能性を下げる効果があります。
もっとも場合によってはポートフォリオを提出したことにより、不採用となるかもしれません。しかしそれは入社後のミスマッチを防ぐ意味では、むしろ望ましい結果ともいえるでしょう。
3)ポートフォリオの参考例
ポートフォリオはどのように作ればよいのでしょうか。このイメージを得る上で、他の方が作成したポートフォリオが参考となります。すでにさまざまな方がポートフォリオを作成し、自己のアピールに役立てています。
ここでは4つのポートフォリオを取り上げます。各ポートフォリオは、それぞれ見た目も記載している内容も異なります。そのため、あなたがアピールしたい内容に近いポートフォリオを参考にして作成するとよいでしょう。
Naoto Suzukiさん|{Naoto Suzuki’s portfolio}
今はやりのLP(ランディングページ)と同様に、1ページで基本的な情報を確認できるように仕上げていることが特徴です。ページを一通り見るだけで、以下の内容を確認できます。
- 自己紹介や経歴
- スキルレベルや保有する資格
- 作成したアプリやサイト
- 連絡先
それぞれのスキルについて、一言でまとめていることもポイント。見やすさも特徴で、忙しい採用担当者でもすばやく確認できる点は優れているといえるでしょう。
ポートフォリオには動画もなくシンプルに仕上げていますが、このようなページは動作が軽いことが特徴です。一つの方法といえるでしょう。
作成したアプリやサイトについて、ワンクリックでGitHubにアクセスし、ソースコードを確認できることもポイントです。
宗定 洋平さん|{Yohei Munesada’s Portfolio}
トップページはメニューと文字だけ。究極のシンプルさを追求しているように見えますが、文字の部分にカーソルを当てるとその部分が溶けてなくなってしまうように見えます。作成者のこだわりを感じるポイントといえるでしょう。
ポートフォリオは、以下の4つに分かれています。
- 自身について(自己紹介、経歴、スキル、受賞歴、登壇・寄稿、メディア紹介歴など)
- 作成したもの(アプリやWebアプリなど)
- ブログへのリンク
- 連絡先
在籍した企業や紹介された記事、アプリなどについて、もれなくリンクを張っていることが特徴です。
興味を持ったものがあれば、ワンクリックで確認できることは採用担当者のメリットといえるでしょう。ブログへのリンクもあるため、発信するコンテンツを確認してもらえることもポイントです。
Shohei Mommaさん|{Portfolio}
プログラマー以外にもさまざまなスキルを持っている方に、参考となるポートフォリオの一例です。
作成者はシステム開発以外にも、Webページの制作やライターの仕事、コンタクトレンズの性能やセブ島留学の知識といった、幅広いスキルと豊富な実績をお持ちです。
エンジニアに必要なスキルを示すワードを、適切に含めていることは評価を上げるポイントです。
「仕事内容」の各項目で、セールスポイントをコンパクトにまとめていることも注目される点の1つ。エンジニアの実績や制作物一覧を確認したい方はボタンを押し、詳しい内容を確認できます。
どのような目的でページを訪れた方に対しても、必要な情報をストレスなく確認できるポートフォリオといえるでしょう。
本人の写真が掲載されていることもポイントの1つ。連絡先のフォームも作成しているため、ボタン1つで入力ページに遷移できる気配りも見逃せません。
新田 聡一郎さん|{Nitta.Studio}
これまで紹介したポートフォリオと異なり、このページは動きのあるページとなっており、BGMも流れます。
トップページを見ただけで、一定のスキルをお持ちであることがわかるでしょう。BGMは落ち着いた音楽を選んでいることも、ポイントの1つです。オフィスでも違和感なく聴けることでしょう。
ポートフォリオは自己紹介と経歴、保有するスキルが主体であり、情報量はそれほど多くありません。
しかしGitHubへのリンクはありますから、どのようなコードを書いているかを確認することは可能です。
またエピソードにつながるキーワードも豊富に入っているため、採用担当者が面接する際にアイスブレイクを考えるきっかけづくりとして有効です。
デザインのスキルを生かしたい方は、一つの参考となるポートフォリオといえるでしょう。
4)エンジニア実務未経験者向け|ポートフォリオの作り方
「ポートフォリオが必要なのはわかったけれど、どうやって作ればよい?」とお悩みの方も、多いのではないでしょうか。ご自身をアピールするポートフォリオを作るには、コツがあります。
ここからはエンジニア未経験の方向けに、良いポートフォリオはどう作ればよいか、作成方法を解説していきます。準備をしっかり行った上で、選ばれやすいポートフォリオを作りましょう。
ポートフォリオ作成の流れ
ポートフォリオ作成の流れは、以下の5つにまとめられます。
良いポートフォリオを作るためには、準備が大変重要です。それぞれのステップについて、詳しく解説していきましょう。
Step1 ポートフォリオで取り上げるアプリやプログラムを製作する
ポートフォリオは、あなたのスキルをアピールする重要なポイントでもあるもの。そのため、いきなりポートフォリオの枠組みから作り始めることはあまり良い方法といえません
まずあなたのスキルを証明できる、何らかのアプリやプログラムを製作することから始めることをおすすめします。
製作する際には、以下の点を心がけるとよいでしょう。
- 入社後に実務で使いたいと思う言語や、得意な言語を選んで製作する
- CRUD操作(作成、読み出し、更新、削除)を行えること
- 自分が使いたいと思う機能を選び製作する(テキストの例題をそのまま使うと、評価が大きく下がる)
- 単一目的のアプリなど、簡単なものでOK。機能を多く持つと、それだけ難しくなる
ある程度プログラミング言語を学んだ方なら、難しいものではありません。
簡単なアプリやプログラムでよいので、あまり肩肘張らずに取り組むとよいでしょう。それよりも、きちんと動作することが重要です。テストは入念に行ってください。
製作後は、忘れずに公開しておきましょう。WebアプリはiOSなどと異なり、運営側の審査なしでも公開可能なことがメリットです。無料でも使える公開サービスがありますから、積極的に活用しましょう。
Step2 ソースコードを公開する
アプリを作成することで、あなたが「そのアプリを作成できるだけのプログラミングスキルを持っている」ことは採用担当者に伝わります。
一方で同じアプリでも、さまざまな書き方ができるプログラミング言語も少なくありません。
一例として、PHPが挙げられます。採用担当者にご自身のスキルレベルを知ってもらうためには、どのようなコードを書いたかを見てもらう必要があります。
このため製作したアプリだけでなく、対応するソースコードを公開することも重要なポイントです。
これらはGitHubに代表される、無料で利用できるサービスがあります。登録すれば使い始められますから、積極的に活用しましょう。
この際はREADMEとして、アプリの概要や目的、使った技術やシステム構成図などをしっかり書くと評価が上がりやすくなります。
Step3 アプリの概要や選定理由、こだわったポイントをまとめる
アプリを製作しソースコードをアップしたら、ポートフォリオを書き始める前に以下のポイントをまとめておくとよいでしょう。
- アプリの概要(どのようなサービスなのか、など)
- なぜこのアプリを作ろうと思ったのか
- 使用した技術、およびその技術を選んだ理由
- 製作する際にこだわったポイント
- 製作において苦労した点
上記の内容は、ポートフォリオでしっかり明記する必要がある項目です。なぜなら採用担当者は多忙な上に、ひとたび募集をかければ多くの応募者が集まりがちだからです。
このため製作したアプリが興味深いものでも、じっくりチェックしてもらう時間はなかなか取れません。
短時間でご自身をしっかりアピールするためにも、上記の項目を漏れなく記す必要があります。書くべきかどうか迷った場合は、書いておきましょう。
とはいえ、履歴書や職務経歴書のように「御社の課題解決に役立ちたく…」などと肩肘張る必要はありません。
「自ら学んだ、あるいは得意な技術で、自分自身の課題を解決したいと思い製作した」といった内容で十分であり、むしろそのほうが積極的に取り組めるものです。
これにより「自らすすんで課題を解決する自走力がある」などと、プラスの判断をされる可能性もあります。
Step4 スキルシートを作成しポートフォリオに記載する
スキルシートを作成することも、ポートフォリオにおいて重要なポイントの一つです。以下に挙げる情報を含めましょう。
- 氏名や略歴。社会人経験がある方は職歴も記入する
- 実務で使える、あるいはこれまで学んだ技術
- 得意な分野
- 現在学んでいること。また今後強化したいこと
- 将来の目標や、今後取り組みたいこと
- 連絡先や、使用しているSNSなど
参考:スキルシートの例
画像引用元:Naoto Suzukiさん|Naoto Suzuki’s portfolio
ご自身をアピールできる情報はもれなく、かつ簡潔に示すことが重要です。
要領よく伝えるスキルも試されるポイントの一つ。ぜひシンプルな表現を工夫しましょう。箇条書きを使うことは、よい方法の一つです。
またポートフォリオで紹介するアプリの開発で使った技術は、もれなくスキルシートに記載しましょう。
せっかく独力でアプリを開発できるスキルを持っているのに、スキルシートから漏れていたため落選となってしまうと、後悔してもしきれません。細部までしっかり記入し、ご自身をアピールすることが重要です。
Step5 レイアウトをまとめ公開する
Step1から4までの情報がまとまったら、ポートフォリオとしてまとめ、公開しましょう。
ポートフォリオとして公開するサイトは、採用担当者が情報を確認できればどのようなものでもかまいません。
一例として、インフラエンジニアを目指す方の場合を考えてみましょう。自らWebサーバーを立ち上げ、その手順をドキュメントとしてまとめることは有効な選択肢の1つです。一方でWantedlyに代表される、仕事を探すサービスに掲載することも選択肢の一つです。
ポートフォリオは、見やすく必要な情報に迅速にアクセスできることが重要です。
特にWebエンジニアを志望する場合は、これらの点も選考に含まれると考えましょう。このためポートフォリオはただまとめればよいのではなく、ユーザーの視点に立ったレイアウトを意識する必要があります。
まとめ方として、ランディングページのようにすべてを1ページにまとめることは一つの方法です。
しかし情報量が多いと、採用担当者はうんざりしてしまうかもしれません。この場合は訴求したいポイントをトップページにまとめ、もっと詳しく知りたいと思ったらボタンを押して別のページに遷移するといった方法もあります。
内容や情報量に応じて、適宜選択するとよいでしょう。
5)ポートフォリオを作成する際のポイント
ここまで解説した通り、ITエンジニアを目指すなら未経験者でもポートフォリオが必要となります。一方で内定につなげるポートフォリオを作るためには、重要なポイントがあります。
せっかく手間ひまかけてポートフォリオを作っても、それによってあなたの評価を下げてしまうのでは意味がありません。それでは、どのようなポートフォリオが望まれるのでしょうか。ここではポートフォリオを作成するポイントを5つに分けて解説していきます。
ポイント1)見やすく作る
せっかく作成したポートフォリオも、見てもらえなければ意味がありません。そもそも採用担当者は、他の仕事もこなしながら多くの応募者のポートフォリオも見なければなりません。このため、1人当たりにかけられる時間は短いものです。
従ってポートフォリオを作成する際には以下のように、見やすさとわかりやすさを重視することが重要です。
- 必要な情報にすばやくアクセスし、内容を確認できる
- レイアウトが整然としており、崩れている箇所がない
- デザインの統一性がある(特定のページだけけばけばしいなどがない)
この点でポートフォリオに記載する作品はすべてを載せず、アピールしたいものに絞ることも有効です。 またポートフォリオが見にくいと、応募先企業は「この人がプロジェクトに入ると、見にくいコードを書くようになるのだろうか」などと考えてしまうかもしれません。この点でも、ポートフォリオを見やすく作成することは重要です。
ポイント2)なるべくシンプルに作る
未経験者が入社する場合、はじめから高い技術力を求められているわけではありません。従ってポートフォリオは基本的なスキルを身につけていることを示す上で、なるべくシンプルに作ることがおすすめです。
「ポイント1)」でも解説した通り、採用担当者は多忙です。このためアニメーションを多数取り入れるなどの凝った演出は不要です。それよりも、すばやく確認できる点にポイントを置いて作成するとよいでしょう。
同じ観点で、トップページに動画などを配置する場合はSKIPボタンを用意し、閲覧者の時間を奪わない配慮も求められます。
また動作が軽いことは、Webページにおける重要なポイントの1つです。サクサクと動くポートフォリオを作成すると閲覧者への配慮があるとみなされ、評価が上がることが期待できます。
ポイント3)ポートフォリオ作成に時間を使いすぎない
未経験でITエンジニアを目指す方がポートフォリオを作成する目的は、あなた自身が採用を勝ち取るためです。ポートフォリオの作成にはこのことを踏まえ、作成に時間を使いすぎないことが重要です。
多くの企業では未経験の方に対してもプログラミングスキルを求めていますが、それは仕事をする上で基本的なスキルにとどまることが多いです。
そもそもどのプロジェクトも、未経験の方が入社早々、他のメンバーをしのぐ仕事ぶりをすることは求めていません。この点で、ポートフォリオは基本的なスキルが身についていることを示せれば、それで十分といえます。
ポートフォリオの作成はプログラミングを実践する場ともなるため、作っていて楽しいと感じる方もいるでしょう。
だからといって転職活動そっちのけでポートフォリオにばかり時間をかけてしまうと、いつまでたっても転職できません。従って時間のバランスを考えた上で、ポートフォリオを作成することが重要です。
ポイント4)職務経歴書や自己紹介書との区別をつける
ポートフォリオは、応募先企業の方に見てもらうものでもあります。その意味で、応募書類の1つとみなすことも可能です。
反面、職務経歴書や自己紹介書とは異なる特徴がありますから、これらとの区別をつけることは重要です。
そもそもポートフォリオは、応募者自身をわかりやすく紹介するものです。これは各企業に提出する書類と異なり、以下の特徴があります。
- インターネットに掲載するため、全世界に公開される
- 見やすさ、わかりやすさは重要なポイントの1つ
- 見せたい項目だけ記載すればよい(職務経歴書などと異なり、書きたくない項目は書かなくてよい)
たとえばあなた自身のことをポートフォリオに記載するなら、仕事に関係のある内容にとどめておくとよいでしょう。
プライバシーを守る観点でも、あなた自身の個人情報をこと細かく記載しないことをおすすめします。過去に所属していた企業についても、実名を出すかどうかは慎重な検討が必要です。
また志望動機などは応募先企業によって異なる内容ですからポートフォリオには書かず、企業に提出する書類のほうで充実させましょう。
ポイント5)転職エージェントやスクールを活用して品質を上げる
ポートフォリオには決まった書き方はありませんが、一方でよいポートフォリオというものは存在します。
よいポートフォリオとは見やすく、あなた自身をきちんとアピールできるものです。しかし自分だけでは、果たしてよいポートフォリオが作れているか判断できない場合も少なくありません。
この場合、相談先としては転職エージェントやスクールが適しています。それはどちらも多くの転職希望者のポートフォリオを見ているため、専門家の立場からアドバイスを受けられることがメリットとなるためです。
転職エージェントは、ITエンジニアに転職したい方の希望をかなえることが仕事です。
多くの方の転職支援をしていますから、あなたが作成したポートフォリオの良さと課題を教えてくれます。ポートフォリオの出来ばえをチェックしてもらうには最適でしょう。
転職サービスは「自分に合いそう」と思えたものを2箇所以上に登録しておくと、各社の強みや自身との相性を比較でき、よりフィットするサービスを見出しやすくなります。 特に、以下に紹介するサービスは利用された人たちの評判も高いです。ITエンジニアの転職を更に効率的に進めていくうえで役立てるられるでしょう。併せて検討してください。
レバテックキャリア
レバテックキャリアの担当エージェントは全員エンジニア経験者。ポートフォリオの見せ方に対してのアドバイスも的確に行ってくれます。
レバテックキャリアは「エンジニア実務経験者」のサポートに特化した転職エージェントサービスです。
保有求人数もIT・Web業界特化型サービスの中ではトップクラスで、かつエンジニアの専門知識を持つキャリアアドバイザーからサポートを受けられます。
ポートフォリオの効果的な見せ方などのアドバイスも受けられるでしょう。
「年収アップなど待遇面での改善をしたい」、「エンジニアとしてのキャリアプランを掘り下げたい」、「書類や面接で評価してもらえるようアドバイスを欲しい」方は、レバテックキャリアがおすすめです。
レバテックキャリアの活用メリットとおすすめポイント
求人数は大手転職サービスであるdodaやマイナビには及ばないものの、レバテックキャリアは「AI」、「機械学習」、「クラウドエンジニア」、「ビッグデータ」、「FinTech」などのトレンド技術を扱う求人を多く抱えており、エンジニアとしてキャリア開拓を目指す人にフィットしやすいのです。
そのほか、レバテックキャリアでは他の転職サービスにはない良質な「非公開求人」も豊富に扱っており、サイト上では閲覧できない案件もキャリアアドバイザーを介して紹介してもらえます。
非公開求人の中には、大手企業のプロジェクトや高年収求人も含まれているので、「エンジニアの経験を活かし、さらなるキャリアアップをしたい」という人にとっては大きなメリットになるでしょう。
レバテックキャリアの特徴
特徴 |
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サービス対応地域 | 全国 |
ITエンジニアの公開求人数 | 約2.5万件(2024年12月現在) |
とくに多いエンジニア職種 | プログラマー・SE全般、PL・PM、ITコンサルタント |
マイナビIT AGENT
マイナビ社が運営する、ITエンジニア転職に特化した転職エージェント。好条件求人の紹介、書類作成・面接準備へのサポートの手厚さに強みがあります。
マイナビIT AGENTは人材紹介会社の大手マイナビが運営する「IT/Webエンジニア専用」の転職支援をするエージェントです。
サポート対応地域は全国。オンラインでの面談も受け付けています。
マイナビIT AGENTの大きな特徴は、エンジニア向け求人数の豊富さ、そしてシステム会社から事業会社まで幅広い業界の求人に対応している点が挙げられます。
また、マイナビの転職サービスは「サポートの丁寧さ」にも定評があり、職歴書の作成や面接対策に不安を感じている人におすすめです。
ポートフォリオと合わせて、職務経歴書のチェックもしっかり対応してくれるはずです。
マイナビIT AGENTの活用メリットとおすすめポイント
マイナビIT AGENTの所属アドバイザーは、全員がIT・Web業界に精通したプロフェッショナルです。
幅広い職種に対応している総合型転職エージェントとは異なり、エンジニアの転職事情を十分に理解しているため、転職者一人ひとりに適した開発環境や企業へのアプローチ方法についてアドバイスしてもらえます。
また、マイナビIT AGENTは優良企業のレア案件(=非公開求人)を独自に保有しています。
就業条件が恵まれているエンジニア求人には、大量の応募者が殺到する傾向があります。そのため選考の競争率も高くなりやすく、強力なライバルが数多く現れる可能性もあるでしょう。
マイナビIT AGENTの非公開求人は、専任アドバイザーを通じてのみ紹介されます。エンジニアのスキルや経験にマッチした非公開求人を個別に紹介してもらえるので競争率が低く、採用に至る確率を高めることにつながるのです。
マイナビIT AGENTの特徴
特徴 |
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サービス対応地域 | 全国 |
ITエンジニアの公開求人数 | 約2.1万件(2024年12月現在) |
とくに多いエンジニア職種 | アプリケーションエンジニア、インフラエンジニア、社内SE、SE・PG、PM・PL |
ワークポート
「未経験からの転職に強い」と評判の転職エージェント。PG→SE、SE→PLといったエンジニアのキャリアチェンジの際にも積極的な支援が期待できます。
ワークポート(WORKPORT)は「業界・職種未経験者」のサポートに優れており、なかでもIT・Web業界の支援に強い転職エージェントです。
全都道府県の地域を対象としており、オンライン面談も受け付けています。
とくにIT・Web系職種に関する求人が多く、また同サービスは「業界・職種未経験者」への転職成功に多くの実績があります。
そのため、「プログラマーからSE」、「SEからPL」、「サーバーエンジニアからセキュリティエンジニア」といったエンジニアのキャリアアップ・キャリアチェンジの際は、とくに多くの求人を紹介されやすいでしょう。
「検討の余地があれば求人を紹介する」というスタンスのエージェントのため、転職先の選択肢を広げる際にもおすすめです。
ワークポートの活用メリットとおすすめポイント
引用元:転職エージェントのWORKPORT(ワークポート)で 転職相談サービスを体験してみた!
ワークポートは「未経験職種」へのサポートが手厚いことでも知られています。
そのため、今の職種から新たにジョブチェンジを検討している方、はじめてポートフォリオを作成する方などは、ワークポートのサービスが適しているでしょう。
引用元:ワークポート 「転職コンシェルジュの転職相談サービス」
他の転職エージェントに登録したものの、想像していたほど求人を紹介してもらえなかった人や、担当者のレスポンスが鈍く転職活動が進まないと感じていた人にこそ、ワークポートを利用するメリットを実感できるはずです。
「〇ヵ月以内に転職したい」など、具体的な期限を決めて転職活動を進めたい人におすすめのサービスといえます。急ぎの転職に向いているのは、ワークポートを利用するメリットといえるでしょう。
ワークポートの特徴
特徴 |
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サービス対応地域 | 全国 |
ITエンジニアの公開求人数 | 約2.5万件(2024年12月現在) |
とくに多い職種 | SE・PG、PL・PM、インフラエンジニア、社内SE |
dodaエンジニアIT
dodaのITエンジニア転職に特化した転職エージェント。幅広いエンジニア職種と地方求人の豊富さに強みがあります。
dodaエンジニアITは国内大手人材会社「doda」の、ITエンジニアに特化した転職エージェントサービスです。
ITエンジニア系のエージェントは都市部に特化したところが多い中、dodaエンジニアITは都市部だけでなく地方での転職支援にも強いです。
また、dodaは求人を自分で探して応募する「転職サイト」と、求人紹介から企業への応募、日程調整までアドバイスしてもらえる「転職エージェント」両方のサービスを利用できます。
自分でじっくり求人チェックしたい方は転職サイトのサービスを利用し、その後「応募や企業への交渉についてサポートしてほしい」「ポートフォリオのレビューをしてほしい」となったときにエージェントサービスを利用する、という使い方もできます。
dodaエンジニアITの活用メリットとおすすめポイント
dodaエンジニアITでは「ダイレクト・リクルーティングサービス」という仕組みを取っており、そのため実績のあるエンジニアは企業から熱意あるスカウトメールが届くことが多いでしょう。
dodaに登録すれば、「自分が今どんな企業から関心を持たれているか」について、スカウトメールの傾向から確認できるでしょう。
スカウトメールは登録時のレジュメ内容をもとに送付されますので、スカウト・オファーを沢山ほしい方は、レジュメ内容を充実させることをおすすめします。
doda エンジニアITの特徴
dodaエンジニアITの特徴 |
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サービス対応地域 | 全国 |
ITエンジニアの公開求人数 | 約5.6万件(2024年12月現在) |
おすすめのプログラミングスクール
プログラミングスクール選びの際は、「実績の豊富さ」と「オンラインでのサポート対応があるか」をチェック項目に入れておくと良いでしょう。
この記事では、国内利用者からの評判が特に高い7つのスクールを紹介します。
エンジニアスクール | 主な特徴 |
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キャリスタカレッジ |
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ネットビジョンアカデミー |
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ウズウズカレッジ |
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Aidemy Premium |
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iOSアカデミア |
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DMM WEBCAMP |
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コードキャンプ |
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テックアカデミー |
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ITエンジニアのポートフォリオ作成に関するよくある質問(FAQ)
Q1. ポートフォリオを作成する際、どのような内容を記載すべきですか?
ポートフォリオには以下の項目を記載すると効果的です。
- 氏名と簡単な経歴
- 得意なプログラミング言語や技術
- 自身が作成したシステムやアプリケーション
- 連絡先情報
- GitHubリンクなどの成果物参照先
特に「システムが動作する状態で提示」することが重要です。採用担当者にわかりやすい形でスキルを示しましょう。
Q2. IT未経験者のポートフォリオはどのように作成すればよいですか?
未経験者の場合、以下の手順でポートフォリオを作成しましょう。
- 簡単なアプリやプログラムを作成(CRUD操作ができるものがおすすめ)。
- ソースコードをGitHubに公開。
- アプリの概要や選定理由、こだわりポイントをREADMEに記載。
- スキルシートを作成してポートフォリオに記載。
- 見やすくレイアウトを整え、Web上に公開する。
これにより、基本的なスキルとやる気を示すことができます。
Q3. 採用担当者がポートフォリオに期待する点は何ですか?
採用担当者は以下の点に注目します。
- 得意な言語とその実力がどの程度か
- 独力でどこまで開発を進められるか
- 見やすさや操作性に配慮されているか
- 技術的な好奇心や成長意欲があるか
ポートフォリオは職務経歴書では伝えきれないスキルや実績を補完する役割を果たします。
Q4. ポートフォリオ作成で時間をかけすぎないためのコツはありますか?
以下のポイントを意識すると、効率よく作成できます。
- シンプルで動作の軽いデザインを心がける。
- 凝った演出を避け、基本的なスキルが伝わる内容を重視する。
- プロジェクトに時間をかけすぎず、転職活動も並行して進める。
ポートフォリオは完成度よりも「スキルのアピール」を目的としたものです。
Q5. 転職エージェントやスクールを活用するメリットは何ですか?
転職エージェントやスクールは以下の点で役立ちます。
- ポートフォリオのレビューと具体的な改善提案
- 求職者のスキルや志向に合った求人の紹介
- 面接対策や書類添削などのサポート
特にIT業界特化型のエージェント(例:レバテックキャリア、マイナビIT AGENT)では、業界経験者の視点からアドバイスが得られるため、転職成功率が高まります。
Q6. 見やすくわかりやすいポートフォリオを作るポイントは?
以下の点を意識して作成してください。
- 必要な情報にすぐアクセスできる構成にする。
- デザインやフォーマットを統一して整然とした見た目にする。
- アニメーションや動画は控えめにし、動作の軽さを重視する。
採用担当者の負担を減らし、情報を迅速に伝えることが重要です。
Q7. 職務経歴書や自己紹介書との違いは何ですか?
ポートフォリオは職務経歴書や自己紹介書と異なり、以下の特徴があります。
- 見せたい内容だけ記載できる(プライバシーを保護しやすい)。
- インターネット上で公開するため、全世界にアクセス可能。
- 実際の成果物を紹介しやすい(GitHubリンクなど)。
企業ごとに内容を変える必要はなく、あなた自身の魅力を広く伝えるツールとして活用できます。
Q8. ポートフォリオを公開する際、プライバシーへの配慮は必要ですか?
以下の点に注意してください。
- 本名や詳細な住所は公開しない。
- 過去の勤務先の名称やプロジェクト名は慎重に扱う。
- 必要以上に個人情報を掲載しない。
ポートフォリオは一般公開されることを前提に作成するため、プライバシーに十分配慮しましょう。
まとめ)まずはポートフォリオを作ることをおすすめ
未経験者が応募した際、企業が最も気にすることは「仕事ができる技術力があるか?」という点です。
この点でポートフォリオは、未経験者こそ必要といえるでしょう。よいポートフォリオを作成すれば、他の応募者に差をつけることが可能です。
もっとも、最初から完璧なポートフォリオを作る必要はありません。訂正や追加、更新が簡単にできることは、ITの共通する特徴です。
まずはとにかくポートフォリオを作ってみて、他の方の意見などを聞きながら少しずつブラッシュアップしていきましょう。