未経験からVBAエンジニアに転職できる?VBA需要と年収・キャリアパスの注意点
[最終更新日]2024/08/16
VBAを使った経験をきっかけに、プログラミングの面白さややりがいに気づき、ITエンジニアへの第一歩を踏み出そうと考えている人もいるのではないでしょう。
一方で、「VBAのスキルで転職できるのだろうか?」「VBAの需要はあるのだろうか?」と疑問に思う方もいるかもしれません。
目次
1)VBAエンジニアの業務は、どのようなものがある?
VBAエンジニアの業務は、大きく以下の3種類に分けられます。
それぞれのVBA業務について、詳しく確認していきましょう。
Excel等のOfficeソフトを用いた業務効率化ツールの開発・運用
業務効率化ツールの開発・運用は、VBAの代表的な活用例です。以下のようなさまざまな用途で利用されます。
- 書類やグラフの自動作成
- データの自動取得
- データの転記作業
- 書式の調整
- 印刷
VBAの主な目的は業務効率化であるため、単純作業の自動化だけでは不十分な場合があります。
依頼元からは正確性だけでなく、どれだけ時間を短縮できるか情報提供を求められる場合もあります。その際は、数字で効果を示せるよう記録を残しておくことが重要です。
Excel・Accessを用いたデータベース連携ツールの開発・運用
Accessなどのデータベースから情報を取り出すのも、VBAを使う代表的な業務です。
取り出し元となるデータは人事や会計、商品や顧客データなど多種多様です。
企業業務に結びつくデータであれば、どのデータも対象となり得ます。幅広く、また技術的な応用が活かされやすく、VBAエンジニアとしての腕の見せどころになるでしょう。
もっともこの業務を遂行するためには、VBAとOfficeの機能だけ知っていればよいわけではありません。
例えばデータの取り出しには、SQLのSELECT文やADOがよく使われます。
実際の業務ではさまざまな抽出条件を設定しますので、構文をよく理解しておかなければ適切な検索結果が得られません。
また、Windows APIもデータの取り出しに使われるため、押さえておくとよいでしょう。
既存システムの保守運用
上記で紹介したツールは、一度作成すれば終わりではありません。以下の理由により、定期的なメンテナンスや改善が必要になる場合が多いです。
- バグや不具合により想定外の動作をしたため、修正が必要
- 社内ルールの変更や法令改正への対応が必要
このため、必要に応じてVBAエンジニアが不具合を修正する、機能の追加をするといった対応が求められます。
日常業務にVBAを活用している企業は、少なくありません。
VBAの保守運用に関する求人や案件についても、様々なものがあります。業務に従事する際には状況を把握した上で、あるべきコードに修正するスキルが求められます。
2)「VBAエンジニア」の年収・将来性は?
VBAのスキルを使ってエンジニアを目指そうとしたとき、年収と仕事の将来性は気になるもの。
どちらも、仕事を選ぶ前にぜひ知っておきたい点です。エンジニアとしてキャリアを積む際のポイントも含めて、詳しく解説していきましょう。
VBAエンジニアの平均年収
VBAエンジニアの年収は、他のプログラミング言語と比較すると、あまり高くありません。募集企業によって異なりますが、一般的には以下のようになります。
- 月収は25~35万円
- 年収は400~500万円
一方で、2018年に求人検索エンジン「スタンバイ」が公表したデータによると、以下の言語を用いるエンジニアは年収の中央値が570万円を超えています。
- Go(年収中央値:600万円)
- Scala(年収中央値:600万円)
- Python(年収中央値:575万円)
- Kotlin(年収中央値:575万円)
- TypeScript(年収中央値:575万円)
- R(年収中央値:574万円)
Javaの年収中央値が500万円という点から見ても、VBAエンジニアの年収はやや低めといえます。
ただし、VBAのスキルが高ければ、600万円~700万円程度の年収を得られる可能性もあります。
一方で、他の言語で見ると、スキルの高いエンジニアは年収1,000万円を超える場合も少なくありません。
この点を踏まえても、VBAの年収は全体的に低めとなっていることが実情です。
参考:ビズリーチ「プログラミング言語別年収中央値を発表、求人検索エンジン「スタンバイ」調べ 1位:Go(600万円)、2位:Scala、3位:Python 機械学習のニーズを受け、Rも高年収」
VBAエンジニアは、正社員よりもフリーランスの方が高い?
VBAエンジニアの年収は、額面だけで見ると正社員よりフリーランスの方が高くなっています。
年収600万円を超える案件は少なくありません。豊富な業務知識や上流工程の経験があれば、これ以上の年収を得られる可能性もあります。
フリーランスは高い年収を狙え、仕事も選べる点は魅力です。ただし、以下に挙げるデメリットもあります。
- 個人事業主となるため、経理などの事務作業は自身で行わなければならない。毎年の確定申告も必須
- 案件が急に打ち切られるリスクがある。その場合の補償はされない
- 会社員なら得られる福利厚生が受けられない
- 仕事で重大なミスを起こし、業務に支障を生じさせた場合は損害賠償のリスクがある
特にVBAのエンジニア経験がない人は、上記に挙げた不利益を受けやすいことに注意が必要です。
見かけの提示額が高いからといって、よく調べずにフリーランスを選ぶことはあまりおすすめできません。
VBAの需要はそれほど高くないが、求人自体は一定数ある
VBAだけを活かしたエンジニア求人は、それほど多くないことが実情です。
その件数は転職サイトや転職エージェントにより異なりますが、主な開発言語と比べて1桁以上少なくなる場合もあります。
お住まいの地域や仕事を探すタイミングによってはVBAの求人がなく、なかなか希望をかなえられないケースもあるでしょう。
もっとも求人が少ないことだけをもって、VBAの将来性がないとは言い切れません。
そもそもVBAを用いたシステムは、広く活用されています。しばらくの間は大手企業の案件も含めて、一定数の求人が募集される状態が続くと考えられます。
エンジニアとしてのキャリアを進むなら、「VBA」+αのスキル開発を
VBAを売りにしてエンジニアへの転職を実現することは可能ですが、その先のキャリアを積むという点で限界があることは否めません。
大きな理由の1つに、VBAでは以下の通り、できることが限られる点が挙げられます。
- ExcelやAccessなど、Office製品が絡む用途に限られる
- データ処理やデータ抽出、グラフ作成など、データが関係する用途に限られる
- 何百万件といった、大量のデータ処理には向かない
例えば今の時代に求められているWebアプリやWebサイトの作成、GUIの操作、スマホアプリの開発、文字や画像認識、AIやIoT機器の開発といった業務は、VBAの範囲外となります。
これからエンジニアとしての活躍の場を広げていくためには、VBA以外に他の言語などプラスアルファのスキルを習得することがおすすめです。
3)これからエンジニアの道を進む人が意識したい、VBA+αのキャリアアップ
VBAをきっかけとしてITエンジニアへの道を切りひらくためのポイントは、3つあります。
それぞれのポイントについて、詳しく解説していきます。ぜひご確認ください。
エンジニアとして、自分はどの領域に興味・関心を持てるかを探求する
皆さまのなかには、VBAの言語1本で勝負したい人もいるかもしれません。もちろんVBAを究めることは、数あるキャリアのうちの1つです。
一方で、現在のシステム開発は、さまざまな言語を組み合わせるケースが多いです。
このようなプロジェクトでは、「開発もできるがVBAもできる」といったエンジニアが重宝される場合が少なくありません。
「VBA以外のスキルを持っているからこそ、得意なVBAの技術を活かせる」ケースがあることも、知っておきましょう。
そもそもITエンジニアが担当できるシステムは、多種多様です。また、同じ開発物であったとしても、以下のそれぞれの観点によって実際の業務内容や役回りは大きく変わります。
- 顧客の業種担当業務
- 開発に使う言語
- プロジェクト内での立ち位置(プログラミング、設計や要件定義、プロジェクトマネジメントなど)
事務職や営業職の時代は、「Excelを使った業務効率化」=「ITに関する業務」と考えていた人も多いでしょう。しかしITエンジニアになれば、はるかに多くの開発案件に携われます。
この機会にVBAという制約をいったん外して情報収集を行い、どの分野に興味・関心を持てるか、自分自身としっかり対話することもおすすめです。
他のエンジニアたちの知識・スキルやキャリアへの考え方に触れる機会を持とう
せっかくITエンジニアに転職するなら、周囲から「できる人」として認められたいもの。そのためには早いうちから、他の優秀なエンジニアが持つ知識やスキル、キャリアへの考え方に触れることが重要です。
職場にいる優秀な人にアドバイスをもらうことは1つの方法ですが、それだけではありません。以下のとおり、さまざまな方法があります。
- IT系の業界誌や専門書を読む
- Webで調べる
- 講演会やセミナーを聴講する
- 勉強会や交流会に参加する
社内にお手本となる人がいない場合でも、上記の方法により進むべき道を見つけ、キャリアを積むことが可能です。
IT業界は自ら学ぶことが特に求められる業界ですから、積極的に行動し学び取るようにしましょう。
VBAの実務経験と一定のエンジニアリングの知識があるなら、エンジニア転職で更なる実務経験を
すでにVBAを活用し職場で成果を挙げている人ならば、転職後は即戦力として、早期に実力を発揮できることでしょう。
これは転職先の会社だけでなく、あなたにとってもスピーディーにキャリアを積める点で良いことです。
もっともVBA1本にこだわらなければ、幅広い仕事を選べます。
転職を1つの機会として、ご自身は将来何をしたいか、キャリアパスを描いてみるとよいでしょう。その上で希望に合った仕事に就くことが、充実した人生につながります。
VBAにこだわり過ぎることで視野とチャンスを狭めてしまうことは、もったいないもの。
そのため、エンジニアの転職支援実績が豊富な転職エージェントへの相談をおすすめします。
転職エージェントは業界全体の動向を熟知しているとともに、あなたの知らない強みを引き出すスキルも備えています。自分だけでは決して見つけられない可能性を知り、より良い転職先を見つけられることは大きなメリットに挙げられます。
次の章に、VBAをはじめエンジニア転職におすすめの転職エージェントを5点、紹介します。「自分に合いそう」と思えたものから登録を検討してみてください。
4)VBAエンジニアへの転職におすすめの転職エージェント
ギークリー
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積極的な求人紹介とマッチング力による定着率の高さが定評の転職エージェント。VBA関連の求人も豊富です。
ギークリーは、IT・Web・ゲーム業界に特化して転職支援をおこなう転職エージェントです。
同サービスの主な特徴は、担当エージェントから積極的な求人提案が期待できること(提案可能な求人数は平均一人当たり56件※)、そして書類選考サポートが充実している(選考通過率が2.8倍までアップ※)ことです。
※ 公式サイトより抜粋(2024年7月時点)
ギークリーの評判・口コミでは、「書類添削と面接対策が役立った」「スピーディに転職成功できた」という意見・感想が多く見られます。
「職務経歴書を代わりに作ってくれた」という声もあり、とくに書類添削のサポートに力を入れていることがうかがわれます。
ギークリーの特徴
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サービス対応地域 | 全国 |
拠点 | 東京 |
VBA関連の求人数 | 約300件(2024年7月現在) |
リクルートエージェント
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VBA求人を本気で探す際には、【はじめに登録】しておきたいエージェントです。
リクルートエージェントは国内No.1の求人数と転職支援実績を誇る転職エージェントです。
VBA業務に関しての求人は約1,300件あり、国内トップの豊富さです(2024年7月現在 ※公開求人のみ)。
リクルートエージェントの強みは全業種・職種に対して豊富な求人数を持つこと、そして長年の実績で培われたノウハウ・転職支援ツールの充実さにあります。
たとえば、「エージェントレポート」では、志望企業の特徴・評判といった分析から選考のポイントまでを確認できます。
先にお伝えした通りエンジニア転職において企業研究は非常に大切です。レポート情報はあなたの活動に大いに役立つはずです。
また、担当アドバイザーもこれまでの実績をもとにVBA業務への転職に関する有益なアドバイスを提供してくれるでしょう。
リクルートエージェントの特徴
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サービス対応地域 | 全国 |
拠点 | 北海道、宮城、福島、東京、埼玉、千葉、栃木、群馬、神奈川、新潟、静岡、石川、岐阜、滋賀、愛知、京都、大阪、兵庫、岡山、広島、加賀、愛媛、福岡、長崎、熊本、鹿児島、沖縄 |
VBA関連の求人数 | 約1,300件(2024年7月現在) |
マイナビIT AGENT
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事業会社・自社サービスへの求人紹介に強み。「求人数の多さ」よりも「サポートの丁寧さ」を重要視する人におすすめのエージェントです。
マイナビIT AGENTは人材紹介会社の大手マイナビが運営する「IT/Webエンジニア専用」の転職支援をするエージェントです。
マイナビIT AGENTの所属アドバイザーは、全員がIT・Web業界に精通したプロフェッショナルです。
幅広い職種に対応している総合型転職エージェントとは異なり、エンジニアの転職事情を十分に理解しているため、転職者一人ひとりに適した開発環境や企業へのアプローチ方法についてアドバイスしてもらえます。
VBAのスキルとしてのマッチングだけでなく、あなたのこれまでの経験・経歴をもとにおすすめ企業を提案してくれるでしょう。
また、マイナビの転職サービスは「サポートの丁寧さ」にも定評があり、職歴書の作成や面接対策に不安を感じている人におすすめです。
マイナビIT AGENTの特徴
特徴 |
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サービス対応地域 | 全国 |
拠点 | 東京(2か所)、神奈川、北海道、宮城、愛知、大阪、京都、兵庫、福岡 |
VBA関連の求人数 | 約350件(2024年7月現在) |
dodaエンジニアIT
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リクルートエージェントに次ぐ豊富な求人数!地方向けの求人も多いですよ。
dodaエンジニアITは国内大手人材会社「doda」の、ITエンジニアに特化した転職エージェントサービスです。
ITエンジニア系のエージェントは都市部に特化したところが多い中、dodaエンジニアITは都市部だけでなく地方での転職支援にも強いです。
また、dodaは求人を自分で探して応募する「転職サイト」と、求人紹介から企業への応募、日程調整までアドバイスしてもらえる「転職エージェント」両方のサービスを利用できます。
「まずは自分でVBA求人をじっくりチェックしたい」という人は、転職サイトのサービスを利用するとよいでしょう。
その後「応募や企業への交渉についてサポートしてほしい」となったときに、エージェントサービスに切り替えることもできます。
dodaエンジニアITの特徴
特徴 |
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サービス対応地域 | 全国 |
拠点 | 北海道、宮城、東京、神奈川、静岡、愛知、大阪、京都、兵庫、岡山、広島、福岡 |
VBA関連の求人数 | 約900件(2024年7月現在) |
エンジニアスキルが不安な人は、エンジニアスクールを含めた学習期間を持とう
もし新しい技術を身につけたいと思った場合、IT業界ではなんらかの成果物を作成できるレベルまで学んだ後、転職活動を進める方法が一般的です。これは、以下に挙げる2つの理由があるためです。
- 即戦力を求めている
- パソコン1台あれば開発環境を作成できるため、やる気のある人にとってはハードルが低い
従って面接で「やる気があります」と言っても、ポートフォリオが無いとやる気が無いとみなされてしまうことも少なくないことに注意が必要です。
エンジニアスキルが不安な人は、エンジニアスクールに通うなど、何らかの方法で学ぶことが重要です。忙しい人は働きながら学べるスクールを選ぶことも可能ですから、積極的に活用してみましょう。
ITエンジニア実務未経験の人向け おすすめプログラミングスクール
エンジニアスクール | 主な特徴 |
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キャリスタカレッジ |
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ネットビジョンアカデミー |
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ウズウズカレッジ |
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Aidemy Premium |
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iOSアカデミア |
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DMM WEBCAMP |
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コードキャンプ |
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テックアカデミー |
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まとめ)VBAだけにこだわらず、幅広いスキルを持つことが転職成功の秘訣
エンジニアへの転職を目指すならば、VBAにこだわり過ぎないようにしましょう。
もっとも転職だけをゴールとするならば、実現は可能です。しかし案件数が多くないため内定までに期間を要し、入社後も年収がなかなか上がらないかもしれません。
一方で、VBAと他のスキルを組み合わせた仕事は、たくさんあります。せっかく得たVBAのスキルを活かすためにも、IT業界で旬とされているスキルを持つことがおすすめです。
また、転職には、エージェントの活用もおすすめです。
エージェントに相談することで客観的な実力と、強化すべきスキルを知れます。もちろんあなたに合った転職先を紹介してもらえる点も、心強いメリットです。