「ここではないどこかへ」知財職の私が38歳で転職を決めた理由|転職体験談
転職前
- 職業
- 製造業
- 職種
- 知的財財産部門
- 従業員規模
- 未記入
- 年収
- 未記入
転職後
- 職業
- 製造業
- 職種
- 法務
- 従業員規模
- 未記入
- 年収
- 未記入
目次
佐藤さんの転職ストーリー
1これまでの私
静かな自然の中で論理と技術に向き合う日々

私は、長らく上場企業の知的財産部門で技術系の業務に従事していました。居住は群馬県の山間部。週末はタクシーも走らず、コンビニすらないような静かな環境です。ムササビが電柱を走るような自然に囲まれて、読書や音楽、散歩を通して心を整える時間を大切にしています。
大学卒業後から一貫して特許関連の仕事に携わり、理論的な思考や効率を大切にしながら働いてきました。ただ、そうした姿勢が時に「人との距離感」に影響し、周囲との温度差を感じる場面もありました。
やりがいを感じる一方で、当時の会社では製品や技術そのものに関心を持っていない社員が多く、次第に会話の中でズレを感じることが増えていったのをよく覚えています。
2転職のきっかけ
職場の変化と価値観のズレ。「ここではない」想いが募る

転職を考え始めた直接のきっかけは、同僚が適応障害で長期休職に入ったことでした。若くて真面目な方だっただけに、職場のストレスの強さを実感し「これは他人事ではない」と感じました。
さらに、同時期に着任した新しい上司が元公務員で、知財の基礎的な知識はあるものの自社製品や業界への興味が薄く、的確な仕事ができるとは思えませんでした。
私はもともと理屈が通る環境や、専門性を尊重する風土に惹かれていました。そんな職場の空気が徐々に変わっていくなかで「ここではない、どこかで力を試したい」という思いが強くなっていったのです。
あわせて読みたい
-
- 職場の人間関係に悩んだら。しがらみに疲れてしまわないための対策
- 毎日のように顔を合わせる職場の上司や同僚との人間関係に悩みを抱えていると、仕事そのものが辛く感じてしまうものです。職場の人間関係で悩んだり疲れたりしているとき、その苦しみを解消するためのヒントを紹介します。 ...
3転職活動中
年齢の壁。希望と現実の狭間で見つけた「選ぶ基準」

転職活動では「年齢の壁」に直面しました。求人の数は多くても、キャリアアップにつながるようなポジションは非常に限られており、書類選考すら通らない日々が続きました。
運よく最終面接まで進むこともありましたが、「なんとなく違う」と感じて自ら辞退してしまうことも。自分が本当に何を求めているのか分からなくなり「とにかく今よりマシな職場で働きたい」という気持ちばかりが先行して、思うように進まない苦しい時期が続いたのです。
ただ、焦りや不安と向き合ううちに、少しずつ自分の価値観や、働くうえで何を大切にしたいのかを見つめ直すようになったのは良かったと思います。
やがて、「条件」よりも「一緒に働きたいと思える人がいるかどうか」を重視するようになっていきました。活動期間は約3か月。コンサル業界を第一志望としていましたが、実績や経験の不足もあり、最終的には製造業の「法規対応」ポジションで採用を得ました。
あわせて読みたい
-
- 40代女性の転職活動に疲れたときに。辛い気持ちを溜め込まない対処法
- この記事では転職活動がうまくいかずに辛い思いを感じている40代女性の方々に向けて、同様に苦労しながら転職を成し遂げた同世代女性の体験談を交えつつ、転職成功に向けての対処法について紹介します。...
4転職後
新たな挑戦と支えてくれる上司。専門性を活かせる職場へ

新しい職場では、国内外の法規制への適合確認を行い、技術部門と連携しながら社内の手続きや書類作成を担当しています。法学の知識や過去の業務経験を活かせる点に納得感がありました。
入社後すぐに法改正対応のプロジェクトの補助に配属され、業務フローや専門用語に慣れる暇もなく、最初の3か月は緊張の連続。しかし、採用してくれた上司が何度も「最初は分からなくて当然」と声をかけてくれたことで、精神的な負担が軽くなりました。
その方の誠実な仕事ぶりと丁寧な対応に触れ、「いつか私も誰かを支えられる存在になりたい」と思うように。半年が経過した頃には業務にも慣れ、社内でのコミュニケーションにも余裕が生まれました。
今では、この環境に飛び込んで本当に良かったと感じています。
5その後、どうなったか。
「納得」を手に入れた転職。そして次の目標へ

今回の転職活動は、思っていた以上に厳しいものでした。特に未経験で志望したコンサル業界では、書類選考すら通過できないことが多く、自信を失いかけたこともあります。
ただ、その中で「すべてを理想通りにするのではなく、自分が納得できるポイントを見極める」という視点を得られたことは、大きな収穫でした。結果として、自分の経験を評価してくれる職場と出会えたことで、ようやく肩の力が抜けました。
今では、法規や知財の専門知識を社内外に発信したり、後進の育成に携わったりと、知識を“伝える力”にも関心を持つように。最近、副業でライティングを始め、言葉の持つ影響力と面白さを実感する機会も増えています。
これからは「専門性と表現力の両立」を目指し、自分らしい働き方を広げていきたいです。安定だけでなく、小さな挑戦を重ねながら、必要としてくれる人や場に積極的に関わっていけたらと考えています。