転職体験談:大手広告代理店を、新卒1年で退職してしまった私。
転職前
- 職業
- 広告代理店
- 職種
- 営業
- 従業員規模
- 3,000名
- 年収
- 約900万円
転職後
- 職業
- 広告代理店
- 職種
- 営業
- 従業員規模
- 300名
- 年収
- 約600万円
目次
ゆーつーさんの転職ストーリー
1これまでの私
給料は驚くほど高かった。だけど、満足感はなかった。
転職したのは今から18年前、2004年のことでした。
当時、私は広告代理店の営業職として企業の広告制作プロジェクト管理をやっていました。
広告代理店の営業職とは
広告代理店の営業職は、クライアントの広告キャンペーンやプロモーション活動を成功に導くための提案・調整を行う仕事です。
クライアントのニーズを的確に把握し、広告戦略の立案、メディア選定、制作チームとの調整、進行管理など、多岐にわたる業務を担当します。
広告代理店の営業職の主な仕事内容
仕事内容 | 説明 |
---|---|
クライアントとの打ち合わせ | クライアントのニーズや課題をヒアリングし、最適な広告プランを提案します。クライアントとの信頼関係を築くことが重要です。 |
広告戦略の立案 | クライアントのビジネス目標に基づき、効果的な広告戦略を策定します。市場分析やターゲット設定を行い、最適なメディアやコンテンツを選定します。 |
メディアの選定と交渉 | テレビ、ラジオ、雑誌、デジタル広告など、クライアントに適したメディアを選定し、広告枠の交渉や購入を行います。 |
広告制作の進行管理 | 制作チームや外部パートナーと連携し、広告コンテンツの制作を管理します。スケジュールを調整し、クライアントの要求に応える形で進行をサポートします。 |
効果測定と報告 | 実施した広告キャンペーンの効果を測定し、クライアントに報告します。効果分析を行い、次回以降の改善提案を行うことも含まれます。 |
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大学時代はアメリカに海外留学して、英語はまあある程度話せましたが、それ以外は何の知識もスキルもない、まったく未熟な若者──という感じでした。
都心にアクセスしやすいところに実家があり、そこから会社に通っていました。
そのころ私が常々考えていたことは、「社会人になったからには、能力だけでなく人間性も高めていきたい」ということ。
ただ、どうやったら社会人として成長していけるのか、それが分かりませんでした。
加えて、「仕事だけで人生の貴重な時間が費やされてしまうのは勿体ない。もっと自分の時間を持つべきだ」ということもよく考えていました。
つまり、仕事も余暇もどっちつかずの状態だったんだと思います。
当時勤めていた広告代理店は国内でも大手の会社で、新卒ながらとても給料が高かったです。ですが、そのことに対する満足感は、ほとんどありませんでした。
恒久的に長時間勤務の職場でしたが、それで自分が成長できているという実感もなく、休日の時間の大半は疲れて寝て過ごすのみでしたから。
2転職のきっかけ
会社の雰囲気が、自分とまったく合わなかった。
新卒入社して早1年で、私は「もうこの会社を辞めて、転職しよう」と考えていました。
その理由を一言で言うと、社風が全く合わなかったからです。
直属の上司とも全く反りが合わなかったですし、なにより会社の超体育会系な雰囲気がまったく理解できませんでした。
とくに不思議でならなかったのが、毎日日付が変わる時間まで残業をしなければならなかったこと。
たしかに業務量も信じられないほど多かったのですが、それ以上に無駄な会議や打ち合わせが多かったのです。
他の同期はそうした社風になんとか合わせようとしていたんですが、私はそれができなかったんですよね。
海外生活が長かったせいか、「周りの状況に合わせて、空気を読む」──これができない。
とにかく逆カルチャーショックの連続で、そのたびにフリーズしてしまうんです。
そんな私に上司や先輩たちの態度は冷たくて。「なんでそんなことが分からないんだ?」という雰囲気をいつも受けていました。
仕事にも慣れず、本当に辛かったです。
そのうち、「この場所に長くいると自分のメンタルが完全にやられてしまう」と思うようになりました。
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3転職活動中
目指した会社は、広告業界・営業職、そして外資系。
結局社会人になって早一年で退職。
この判断が正しかったかどうかは、20年近く経った今でもわかりません。
もう少し辛抱していれば、もっと違う道が開けていたかもしれない。
ですが、もう後には引けません。
必死の転職活動が始まりました。
活動にかけた期間は、3~4ヵ月です。
日本の体育会系の風潮のある企業にはうんざりしていたので、そうではない会社を探そうと決めました。
目指した業種・職種は、同じ広告業界&営業職でした。
一度入った業界なので、ある程度のノウハウや経験を蓄積することが今後につながると思い、カルチャーが合いそうな外資系に絞って求人を探しました。
転職サイトは外資系の広告業界に特化した転職エージェントをネットで検索して見つけて、そこを利用しました。
苦労したことは、採用面接です。
結局1年程度の経験しか積んでいない状態で前職を退職したので、ほぼ全員の面接官が「せっかくそんな大手に入れたのに、なぜそんなに早く辞めたのか」について疑問を持ったようでした。
そうしたこともあって、よくよくシビアな質問を受けました。
「あなたが、ここなら辞めずにずっと働き続けられるという会社はどんな会社ですか?」──まあ、これくらいだったらなんとか答えられました。
更には「この会社に入ってあなたはどういうメリットを会社にもたらしてくれるのか」ということを聞かれることもあって、これにはほとんど答えられませんでした。
(1年しか経験を積んでいない自分にそんなこと聞かないで…)と、かなり及び腰になっている自分がいました。
なぜ面接の際に「想定外の質問」をする面接官がいるのか
面接で「想定外の質問」をする理由は、候補者の本音や柔軟な思考力、ストレス下での対応力を確認するためです。
準備された答えではなく、その場でのリアクションや対応を見て、候補者の性格や価値観、問題解決能力など、事前に用意された回答では見えない側面を評価します。
主な「想定外の質問」のケース
質問内容 | 質問の理由 |
---|---|
あなたの採用するメリットを教えてください | 候補者が自分の強みをどれだけ理解し、それを会社にどう貢献できるかを説明できるかを確認するため。この質問で自己評価力や企業に対する適応性を見ます。 |
当社についてどのくらい調べてきましたか | 候補者がどれほど真剣にその会社で働きたいと考えているか、また、事前準備をどれほどしっかり行っているかを確認するための質問です。 |
人とのコミュニケーションで、何を大切にしますか | 候補者の人間関係に対する考え方や、コミュニケーションスタイルを理解し、職場での適応性を判断するため。チームワークの中での役割も見られます。 |
あなたの「仕事のこだわり」について教えてください | 候補者が仕事に対してどのような価値観や基準を持っているのか、そしてそれが会社の方針や文化と合致するかを確認するための質問です。 |
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また、前職の退職においても、あまり良い去り方はできなかったです。
私が退職することが社内に知られた際、2ちゃんねるの会社スレに「中途半端な仕事しかできないまま、とっとと辞めていく奴」とかなりきつい中傷がありました(おそらく、私のことです)。
救いだったことは、私の少し前に会社を辞めた先輩の数人から相談に乗っていただけたことです。
先輩たちからも「1年しかいないのに転職か…」ということを言われましたが、最終的には、「まあ、どんな選択をしようが答えは後にならないとわからないからな。俺は応援するよ」と言ってくれました。
家族をはじめ周囲からは猛烈に反対を受けていただけに、その言葉にとても助けられました。
4転職後
新しい職場は、外資系の広告代理店。
いくつもの企業に応募して、ほとんど面接で落とされて。
転職活動4ヵ月目に突入しようとするころ、ようやく一社から内定通知を受けました。
年収は前職から300万円ほどダウンです。
ですが、もともと前職の給与水準が高すぎた(分不相応だった)ことはわかっていましたし、外資系の会社でしたので前回のような水が合わないこともないだろうと、私はそこに転職先を決めました。
ただ、入った後はやっぱり苦労しました。
直属の上司は私のことを即戦力として期待していたらしく、ところが私の働きぶりを見て「ほぼ新卒状態じゃないか」と気づいて。それからは鬼のような指導が始まりました。
今の時代だと「パワハラ」と言われてもおかしくないような内容だったかと思います。
例えば、上司と一緒に得意先との商談があると、決まって社に戻った後に周囲の人がいる前でボロボロになるまで怒られました。
レポートをまとめる際も提出のたびに山のようなフィードバックがあり、そういう日は終電まで残業でした。
ただ、今思えば指摘されている内容は殆どが「ごもっとも」な意見で、すべては私の未熟さが原因でした。
とにかく、ここでまた辞めたとなっては確実にドロップアウトになってしまうと、必死に上司の指導に耐えて1年間、その年の終わりに優秀新人賞の表彰をいただきました。
本当に、色んなことがありました。
「転職は、入ってからの方が大変だ」と誰かが言っていましたが、本当にその通りだと思います。
あるとき、その上司に「ハメられた」こともありました。
当時部署に新しく入った女性社員がいて、ある日上司や他の部署の人たちと食事をしていた時、私がトイレに行っている間に上司が私の携帯から女性社員に対してセクハラじみたメールを送っていたのです。
その女性社員は翌日私に「あのメールはとても酷すぎる」と言ってきて、そこで私はようやく事態に気付きました。
これも、今の時代ではまったく考えられないことでしょう。 当時、上司は私に対しなんの謝罪もなく、また会社もその上司に何のお咎めありませんでした。
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5その後、どうなったか。
あのとき、転職すべきだったかどうか。
当時の転職を振り返って思うことは、「あのとき、行動してよかった」ということです。
転職後も大変苦労しましたが、それを乗り越えようと努力をしたことで自分を強くできたのは事実ですから。
一方で、「もうあと1~2年経験を積んでからでも遅くなかったかな?」とも思います。
たとえば、当時の私は「とにかく、外資系だったら自分にも合うだろう」の思いで、大した企業リサーチもできていませんでした。
もし、新卒で入った会社をあと1~2年続けていれば、業界についての理解も深まって次の転職先をじっくり選べたかもしれませんし、入社後ももっと早く活躍できたかもしれません。
転職時の企業研究のコツとは
転職時の企業研究は、応募先企業との相性や入社後のギャップを減らすために重要なプロセスです。
応募する職種が企業内でどのような役割を果たしているかを理解し、自分がどのように貢献できるかを具体的にイメージすることが重要です。
企業研究のしかた
チェック項目 | 確認ポイント | どこで確認するか |
---|---|---|
事業内容 | 自分自身の知識領域にあるか、また今後も興味・関心を持続して持ち続けられる内容かを確認する | 企業HP |
主力商品・サービス | その商品・サービスの開発・運用を自身が携わることになる際に、どの範囲まで知っていて、どの範囲を知らないかを確認する | 企業HP、業界ニュース、四季報、業界地図、競合他社のHP等 |
強み・独自性 | 同業他社をいくつか確認し、「この会社ならではの特色・強み」がどこにあるかを見出す | |
企業理念 | 企業理念から、求められる人物像(主にスタンス面)をイメージし、自身との適合性を家訓する | |
社風・雰囲気 | 歓迎される人物像や業務への取り組み姿勢をイメージする | インタビュー記事、口コミサイト等 |
求められる知識・スキル | 現在の自身の知識・スキルと照らし合わせて、過不足を確認する | 企業HP、求人票等 |
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◇ ◇ ◇
実は、転職した外資系の広告代理店は3年前に退職をしました。
今は、フリーのコンサルタントとして活動しています。
いっときは海外移住をしようと実際に行動に移したのですが、そのすぐ後に新型コロナウイルスのパンデミックが発生して帰国せざるを得なくなりました。
最近思うことは、若い頃は「直感」で物事を決めすぎてしまう傾向があるということです。
年齢を重ねると、そこにロジカルさというか、合理的な判断ができるようになる。
転職はまさに直感とロジカルの両方が求められる、そう思います。
フリーのコンサルタントは、直感とロジカル両方で判断した道です。──といいたいところですが、若干直感の方が強かったかもしれません。
ですが、勝負はこれからです。
今後もチャンスを窺い、そして探しながら、よりロジカルを意識しての選択・決断ができるようにしたいと思っています。
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