警備員の正社員転職のメリット・デメリットは?仕事内容やキャリアパスを解説
[最終更新日]2024/11/02
警備員に正社員として転職したいと考えていませんか?
警備員の仕事に漠然としたイメージを持ちつつも、具体的な仕事内容や転職するメリット・デメリットはよく分からないという人もいるかもしれません。
目次
1)警備員の具体的な仕事内容は?
はじめに、警備員の具体的な仕事内容について整理しておきましょう。
警備員と一口に言っても、仕事内容にはいくつかの種類があります。種類ごとに警備する対象が大きく異なるため、イメージしていた警備の仕事と異なる事態を防ぐためにも仕事内容を把握しておくことが大切です。
警備員の主な仕事内容
施設警備
施設警備とは、ショッピングモールや家電量販店といった商業施設やオフィスビルなどの警備を担当する仕事です。
商業施設であれば万引きや置き引き、オフィスビルの警備であれば外部から不審者が侵入しないかを主に監視します。
建物の入口付近に立っている警備員や、店内を巡回している警備員をイメージするとよいでしょう。
基本的に立ち仕事ですが、施設によっては警備室が用意されており室内で座って警備ができるケースもあります。
特別な技術や知識が求められない一方で、後述する他の警備と比べて拘束時間は長めになりやすいのが特徴です。
交通誘導
主に工事現場で車両や歩行者の誘導を担当する仕事です。
工事中は道路の片側が通行止めになったり、通行そのものができないため迂回が必要になったりすることがあります。
警備員は車両や歩行者が安全に通行できるよう、適宜声をかけて注意を促さなくてはなりません。
前述の施設警備と比べると、コミュニケーションを図る機会が多くなる傾向があります。
また、基本的に屋外で就業するため、季節や天候によっては過酷な環境下で就業する可能性もある仕事です。体力もある程度求められるため、体力面に自信のある人に適しています。
輸送警備
現金や小切手、貴金属、美術品、機密文書といった盗難・略奪の恐れがある物品や危険物などの輸送を担当する仕事です。
現金輸送車といった特殊車両を使用するケースが大半で、万が一の事態に備えて護身術などの習得が求められることもあります。
輸送する物品を確実に届けることが任務のため責任が重く、かつトラブルに巻き込まれるリスクも少なからずある仕事です。
職場によっては貴重品運搬警備業務検定などの取得が必須の場合もあります。
他の警備の仕事と比べて難易度が高く、未経験者が転職するにはハードルが高い仕事といえるでしょう。
警備員に正社員転職は可能?
警備員に正社員として転職できるかどうかに関しては、「仕事内容によっては可能」です。
前述の仕事内容のうち、施設警備や交通誘導であれば未経験者でも問題なく採用されるケースが少なくありません。
ただし、輸送警備のようにリスクに備えるための知識・技能が求められる仕事の場合、完全な未経験者が即採用される確率は低いでしょう。
輸送警備以外の仕事であれば、未経験者を積極採用している企業も数多くあります。
警備の仕事に就くには法定研修を受ける必要がありますが、大半の企業では入社後に研修プログラムを受講することになるため、入社前の経験はあまり問われません。
警備員の正社員求人において、未経験者が応募して採用される可能性は十分にあります。
2)警備員で正社員転職するメリット・デメリット
警備員として働く場合、正社員以外にもアルバイトや派遣社員として就業することも可能です。
では、警備員に正社員として就業する場合、アルバイトや派遣社員とどのような違いがあるのでしょうか。警備員に正社員転職する場合のメリット・デメリットを押さえておきましょう。
警備員で正社員転職するメリット
メリット①責任ある業務に就き、経験・スキルを磨きやすい
正社員とアルバイトの仕事内容のうち、最も大きな違いは責任の重さです。
現場の人員管理やシフトの作成といった管理業務に携われるのは、多くの場合正社員に限られています。指示された仕事をこなすだけでなく、責任を持って現場を担当できることは正社員として働く大きなメリットといえるでしょう。
人員管理やシフト作成といった業務を担当することで、仕事の幅が広がり経験・スキルが磨かれていきます。将来的にキャリアアップを目指す場合も、こうした経験が活かせる可能性が高いのです。
メリット②昇給あり&福利厚生が充実している
アルバイトや派遣社員の給与が時給制や日給制であるのに対して、正社員の給与は月給制です。
固定給のため、安定した収入を得られます。また、正社員の場合はスキルや経験次第で昇給する可能性があるという点もメリットの1つです。
福利厚生の面でも、正社員の待遇は手厚いケースが少なくありません。
アルバイトでも福利厚生が活用できる職場もありますが、活用可能な制度が一部に限られていることがほとんどです。社会保険加入が完備をはじめ充実した福利厚生が用意されていることは、正社員として働くメリットといえるでしょう。
メリット③職場が固定される
正社員として就業する場合、就業場所が固定されるのが一般的です。
アルバイトや派遣社員はそもそも人員が不足している現場にスタッフを補充する目的で雇用されるため、時期ごとに担当する現場が変わる可能性もあります。
いろいろな現場を経験できる反面、就業場所が変わるたびに現場のルールを覚え直さなくてはなりません。
正社員であれば、固定された職場で腰を据えて働けます。新たに配属されたスタッフを育成する役割を任されることもあるなど、警備員としての業務経験を積み重ねていくには適した環境といえるでしょう。
警備員で正社員転職するデメリット
デメリット①長期的なキャリアパスをイメージしにくい
警備員の仕事は基本的に現場が中心のため、管理職などの役職が存在しないケースがほとんどです。
警備員の中からリーダー(隊長)として抜擢されることはあっても、あくまでも現場のリーダーとしての役割に留まります。経験年数や貢献度に見合ったポストが用意されていないために、長年勤めても待遇がほとんど変わらないこともあり得るのです。
こうした職場環境で働き続けていくと、長期的なキャリアパスをイメージにくくなる可能性があります。
警備員として5年、10年と経験を重ねていく先にどのようなキャリアを築けるのか、先の見通しが立ちにくい面があるのは否定できません。
デメリット②他業種に活かせる汎用的なスキルを身につけづらい
専門的な知識やスキルを持たない未経験者でも挑戦できることは、警備員の仕事のメリットの1つです。
ただし、警備員になってから経験年数とともに身につくスキルがあるかといえば、必ずしもそうではありません。将来的に他業種へ転職を検討する際、警備員以外の仕事で活かせる汎用的なスキルが身についていないことも考えられるのです。
よって、警備員への転職を目指すのであれば、応募先の職場でキャリアアップにつながる制度や仕組みが用意されているかチェックしておく必要があるでしょう。
まずは転職先を見つけることが先決と考える人も多いはずですが、転職後の働き方や先々のキャリアへの見通しを立てておくことも大切なポイントです。
3)警備員の平均年収とキャリアアップの方法
警備員(正社員)の平均年収
警備員の平均年収は349万円(※1)です。令和2年時点での平均年収が433万円(※2)であることを踏まえると、平均よりも80万円程度低い水準となっています。
職種全体の平均値としては、給与水準が決して高くないことを理解しておく必要があるでしょう。
警備員は担当するエリアを決められた通りに警備し、確実に安全を守るのが仕事です。独自性の高い創意工夫や希少性の高いスキルを求められる仕事というよりは、決められたことを着実にこなせるかどうかが重要なポイントといえます。
したがって、専門知識やスキルが求められる職種と比べると給与水準が低くなりやすい傾向があるのです。
ただし、輸送警備のようにリスク管理に関する知識・技能が求められる仕事の場合は給与水準も高くなる傾向があります。
警備員として必要な知識・スキルを磨いていくことによって、年収アップを目指すことは十分可能です。
※1)求人ボックス「給料ナビ」警備員の仕事の年収・時給・給料 より
※2)国税庁「令和2年分 民間給与実態統計調査」より
警備員は資格取得によりキャリアアップできる
警備員としてキャリアアップを図る方法として、資格の取得が挙げられます。
警備業務では、有資格者を必ず営業所に配置しなくてはならないルールがあります。そのため、資格取得は警備員としての転職・キャリアアップに有利に働きやすいです。
警備に関する主な資格には、次の3種類があります。いずれも公安委員が認定する国家資格であり、取得するには一定以上の知識が求められます。
警備員業務検定
警備員として必要な知識・スキル・適性を備えていることを認定する資格です。認定する警備業務の種類によって、次の6種類の検定があります。
- 施設警備業務検定
- 交通誘導警備業務検定
- 雑踏警備業務検定
- 貴重品運搬警備業務検定
- 核燃料輸送警備業務検定
- 空港保安警備業務検定
各検定には1級と2級があり、1級を受検するには1年以上の実務経験が必要です。2級に受検資格は定められていないので、未経験から警備員を目指す人はまず2級の取得を目指すとよいでしょう。
機械警備業務管理者
監視カメラや赤外線センサーといった機器類を駆使して警備業務にあたる場合、各営業所に有資格者を1名以上配置することが義務づけられている資格です。
公安委員会が実施する講習を受講し、修了考査に合格すれば資格を得られます。受検資格は基本的になく、18歳以上であることや直近5年間で警備業法に違反していないことなど、警備業法第三条の警備要件に該当しない人なら誰でも受検可能です。
警備員指導教育責任者
警備員を指導・教育するための資格です。
警備業を営む事業所には1人以上の有資格者を配置することが警備業法にて定められています。これから受検する人の場合、次の3つのうちいずれかの条件を満たしている必要があります。
- 直近5年間で通算3年以上、警備業務に従事していること
- 警備業務検定1級に合格していること
- 警備業務検定2級の合格者で、合格後に1年以上の実務経験があること
つまり、実質的に警備業務検定の上位資格に相当すると考えてよいでしょう。まずは警備業務検定合格を目指し、将来的に警備員指導教育責任者の資格取得を目指すのが現実的です。
4)警備員への正社員転職を成功するためのポイント3つ
警備員への正社員転職を目指す際、意識しておきたいポイントをまとめました。とくに未経験から警備員にキャリアチェンジする人の場合、次のポイントを押さえた上で転職活動に臨む必要があるでしょう。
正社員になった後のキャリアのイメージを持っておく
未経験から警備員を目指す人にとって、当面の目標は「警備員への転職を成功させること」になりがちです。
しかし、警備員の仕事は勤続年数がキャリアアップと必ずしも連動しているわけではありません。転職するまでをゴールにするのではなく、転職後のキャリアプランについても検討しておきましょう。
前述の通り、資格取得が警備員としてキャリアを重ねていく上で重要なポイントとなります。
実務経験の年数が受検資格と連動しているケースもあるため、いつまでにどの資格を取得しておきたいのか、あらかじめ計画を立てておくとよいでしょう。
また、警備業務に関する知識・スキルを高めていきたい分野を決めておくことも大切です。
担当分野の実務レベルを向上させるとともに、関連する資格の取得を目指すことがキャリアアップへの近道となるでしょう。
早い段階で計画に沿った行動を意識できるよう、5〜10年スパンでキャリアプランを策定しておくことをおすすめします。
教育制度やキャリアアップ支援がしっかりしている企業を選ぶ
応募先の教育制度やキャリアアップ支援体制について十分に調べておくことも重要なポイントです。
通常、警備会社の大半が未経験者を採用した際には一定期間の新任者研修を実施します。しかし、実務に入ってからも継続的に教育を受けられる機会があるかどうかは警備会社によってまちまちです。
一般的に、大手警備会社のほうが中小警備会社と比べて教育体制やキャリアアップ支援が充実している傾向があります。
ただし、中小でも独自の教育制度やキャリアアップ支援制度を設けている企業は少なくありません。
企業規模だけで判断するのではなく、実際の教育・キャリアアップに関する体制をチェックしておくことが大切です。
中小警備会社は所属している警備員の人数が限られているため、能力やスキルが認められれば早期に昇進するチャンスを得られる場合があります。
一方で、大手警備会社はポストが豊富にあるため、将来的にマネジメントに携われる可能性も高まるでしょう。
このように企業規模とキャリアプランは密接に関わっているため、自分に合った規模や方針の企業を選ぶことが非常に重要です。
転職エージェントに登録し求人を紹介してもらう
未経験から警備員への転職を目指す場合、転職エージェントに相談しておくことをおすすめします。
転職エージェントでは求人紹介だけでなく、今後のキャリアプランの策定や選考対策といったアドバイスも行っているからです。
こうしたサポートを受けることによって、自力で転職活動を進める場合と比べて転職成功率を高められるでしょう。
また、転職エージェントでは一般的な転職サイトには掲載されていない「非公開求人」を扱っています。
警備会社によっては警備員を公募するのではなく、非公開求人のみで人材を募集するケースもあるのです。
そのため、転職エージェントを利用することで自分では見つけられない求人を紹介してもらえる可能性があります。非公開求人であれば選考の競争率も低くなりやすいため、公募求人と比べて採用に至る確率も高いです。
なお、転職エージェントごとに独自の求人を扱っていることも少なくありません。
ある転職エージェントで扱っていない求人を別のエージェントから紹介されるといったケースは十分に想定できるため、転職エージェントは複数登録し、並行して活用していくことをおすすめします。
5)警備員の正社員求人とおすすめの転職エージェント・サイト
リクルートエージェント
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警備員ほかサポート業務の求人が豊富です。転職サイトで求人探しをして、サポートの欲しいときにエージェントサービスを受けることも可能です。
dodaは豊富な求人と担当アドバイザーから積極的な提案が評判の転職エージェントです。
警備員の求人数は約200件(2024年11月現在)で、都市部だけでなく地方求人も多く見つけられます。
dodaの最大の特徴は「転職サイト」と「転職エージェント」を目的に応じて使い分けられる点にあるでしょう。
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dodaの特徴
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警備員求人数 | 約250件(2024年11月現在) |
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登録時の職務経歴(レジュメ)を詳しく書き込んでおくことで、企業からスカウトをもらえる可能性も高まります!
まとめ)未経験から正社員警備員への転職は可能。ただしキャリアプランは慎重に検討を!
今回解説してきた通り、未経験から正社員として警備員に転職することは十分可能です。
実際に未経験可の求人は数多く見られるため、異業種から警備員への転職を目指すことは現実的な選択肢といえるでしょう。
ただし、警備員になってからのキャリアを早期から考えておくことも非常に重要です。
求められる知識や取得が推奨される資格について理解を深め、入社後に実践するべきことをあらかじめ把握しておきましょう。
警備員としてのキャリアを十分に考えた上で転職すれば、後悔のないキャリアの選択ができるはずです。