アスリート・スポーツ選手の転職は難しい?セカンドキャリア転職のポイント・注意点
[最終更新日]2024/10/17
プロやセミプロとして活躍してきたスポーツ選手の方々にとって、「引退後のキャリアをどう築いていくか」は悩ましい問題でしょう。
これまでスポーツに専念してきただけに、セカンドキャリアの選択は容易ではないと感じる方も多いはずです。
目次
1)アスリート・スポーツ選手の転職が難しいとされる理由
引退後のサポートが不足しやすい
アスリート・スポーツ選手の転職が難しいといわれる理由の1つに、引退後のサポートが不足しやすいことが挙げられます。
指導者やスポンサーは、あくまでも現役選手に対するサポートを念頭に置いているため、引退後の進路も含めて選手をサポートできるほどの余力はないケースが多いのです。
結果として、引退後に今後の進路や働き口に関する相談ができる相手が限られてしまい、適職を見つけにくい状況に陥りやすくなります。
スポーツの世界以外でサポート役を見つけにくいことは、引退後の転職が難しいとされる大きな理由の1つです。
転職を見越して業務知識やスキルを身につける機会が少ない
アスリート・スポーツ選手の現役時代は、トレーニングや練習に注力し続ける日々の連続となります。
引退後を見越して知識やスキルを身につけるほどの時間的・精神的な余裕がないケースがほとんどのため、引退した途端に「これから何をやるべきか」を1から考えなければならない状況に陥りやすいのです。
企業に属しているプロスポーツ選手の場合も、本業はあくまでもアスリートであり、会社勤めに本腰を入れているわけではないケースが大半でしょう。
引退後も通用する業務知識やスキルを身につける場として十分とは言いがたいのが実情です。
引退後も所属企業で就業し続けるのは難しい場合がある
現役時代から企業に所属していた選手の場合、引退後も継続して同じ企業で勤め続けるという選択肢がないわけではありません。
ただし、実質的には競技優先になりやすいことから、同年代の一般社員と比べるとスキルやキャリアの面で差がついていることも想定されます。
アスリート・スポーツ選手という肩書が外れた後も、引き続き同じ企業で就業し続けることに自分自身が納得できるケースばかりとは限らないでしょう。
一方で、同年代の社会人と全く同じ条件で転職するとなると、これまで競技の傍ら就業してきたことがハンデとなる可能性もあります。
現役時代に会社員として業務に100%注力するのは難しいことが、引退後のキャリア選択に支障をきたす場合もあるのです。
2)アスリート・スポーツ選手のセカンドキャリアに適した職種は?
【結論】「元アスリート・元スポーツ選手」に特有の適職は存在しない
結論からお伝えすると、「元アスリート」「元スポーツ選手」に特有の適職というものは存在しません。
過去には指導者や解説者など、選手のセカンドキャリアとして有力視されていた道がありました。
しかし、現在こうしたポジションはすでに飽和状態となっており、狭き門と言わざるを得ない状況です。
これまでスポーツに全力投球してきた方にとって、スポーツと関わりのある仕事に就きたいと考えるのは自然なことでしょう。
しかし、スポーツとの関わりに固執してしまうと、かえってキャリアの選択肢を狭める恐れがあります。
元アスリート・元スポーツ選手という自身の属性にこだわり過ぎないことが大切です。
自身の適性や今後取り組んでみたいことを明確化することが重要
元アスリート・元スポーツ選手と一口に言っても、人によって適性や今後取り組みたいことは異なります。
元選手という肩書をいったん外した上で、自分が今後どんなことに取り組みたいのか、何に向いているのかを自己分析してみることが大切です。
たとえば、人と接することが好きな方であれば、営業や販売・接客といった職種が候補に挙がるでしょう。
自身の志向や興味関心を起点として、目指すべき職種を絞り込んでいくのが得策です。
一見スポーツと関わりが薄い職種であっても、スポーツで培った経験は必ず活かせます。
元選手としてではなく、1人の人間として何に取り組みたいのかを考えてみましょう。
アスリートだからこそ持ち得る強みも把握しておこう
元アスリートという肩書を引きずらないことは大切なポイントですが、一方でスポーツの経験があるからこそ持ち得る強みもあるのは事実です。
たとえば、レジリエンス(困難な状況をしなやかに乗り越える力)や考え抜く力、チームワーク、人と関わる・人を育てる力などは、スポーツを通して培ってきた能力・スキルといえるでしょう。
スポーツに打ち込んだ経験を持たない人と比べて、自身にどのような強みがあるのか客観的に分析しておくことをおすすめします。
アスリート・スポーツ選手のセカンドキャリアの例
過去にアスリートを引退した方々は、実際にどのようなセカンドキャリアを築いているのでしょうか。
元スポーツ選手が転身先として選んだ職種の実例を見ていきましょう。
アスリート・スポーツ選手が転身した職種例 | 参考体験談記事 |
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営業職 | |
エンジニア | |
ディレクター・プロデューサー | |
講師・コーチ | |
理学療法士 | |
起業 | |
料理人 | |
役者・モデル |
上記はあくまでも一例ですが、非常に幅広い領域で元アスリートが活躍していることが分かります。
一見するとスポーツ競技とは関係の薄いようにも思える職種が並んでいるという事実は、元選手という枠組みに囚われず自身の道を模索してきた方々が多いことの表れといえるでしょう。
これから引退・転職を控えているアスリートの方々も、ぜひ自身の適性や志向に立ち返って今後のキャリアを検討してみてください。
3)セカンドキャリアに向けた転職活動のポイント
直接的に活かせる知識・スキルではなく「マインド」を強みとする
セカンドキャリアの実現に向けた転職活動では、「マインド」を強みとすることが重要なポイントとなります。
スポーツの経験から得た知識・スキルを直接的に活かそうとするのではなく、より本質的な強みを見つけておくことが重要です。
スポーツに打ち込んだ経験のある人の中でも、プロやセミプロの選手として活躍できる人はごく一握りに限られています。
試合や競技で不利な局面をどう乗り切ってきたのか、試合当日に向けて心身のコンディションをどのように整えていったのか、多くの人が経験していない貴重な実体験が眠っているはずです。
自分にとって当たり前だったことでも、高く評価されるマインドが必ず見つかるというスタンスで自己分析に取り組みましょう。
アスリートのマインドを高く評価する企業も少なくない
一般的な傾向として、アスリートとして活躍してきた経験を高く評価する企業は少なくありません。
並外れた努力家であること、チームビルディングとの親和性が高いことなど、アスリートに共通するマインドを求めている企業も多いからです。
このように「一般的に元アスリートと聞いてどのような印象を受けるケースが多いのか」を踏まえて自身の強みを探究していくと、企業の人材ニーズを捉えやすくなるでしょう。
当面の待遇・給与条件にこだわり過ぎない
転職後の待遇や給与条件にあまりこだわり過ぎないことも重要なポイントです。現役時代の活躍によっては、一般的な会社員に転職することで年収ダウンとなる可能性も否定できません。
人によっては、現役時代の努力が報われないように感じる場合もあるでしょう。
しかし、現役時代とは異なるキャリアを選択する以上、待遇や報酬が変動するのはやむを得ないこととして折り合いをつけていく必要があります。
当面の待遇や給与条件にあまり強くこだわらず、長い目で自身のキャリアを捉えることが大切です。
アスリート・スポーツ選手のセカンドキャリアを支援する転職エージェントを活用する
競技で結果を残すにはプロの指導者から助言を受けることが重要であるように、セカンドキャリアを築くにあたってプロの支援を受けることは非常に重要なポイントといえます。
プロの支援者からアドバイスを得ることで、そもそもどのような職種があるのか、自身の適性に合った職種は何かなど、的確な情報を収集しやすくなるでしょう。
また、今後のキャリアを長いスパンで捉えて検討していくにあたり、自分では気づいていなかった視点を与えてくれることもあるはずです。
ただし、キャリア支援のプロである転職エージェントの担当者も1人の人間であることに変わりはありません。
転職希望者との相性を見極め、紹介される求人を比較検討していくためにも、複数の転職エージェントに活用することをおすすめします。
4)アスリート・スポーツ選手におすすめの転職エージェント
アーシャルデザイン
アーシャルデザインは、20代の社会人未経験者の就職支援をする人材紹介サービスです。
特に 元・現役アスリート向けの既卒・中途採用および体育会学生向けの就職・転職支援に強く、これまで約5,000人のアスリート人材の転職支援を行ってきました。
登録者は10,000人を超える(2024年10月時点)など、アスリートの転職支援では国内No.1の実績を誇ります。
また、同サービスではITエンジニア志望の人たちに対して6ヵ月間のIT研修を実施するプログラミング教育サービスも行っています。
アスリート・スポーツ選手からのセカンドキャリアとしてITエンジニアの道を検討している20代の方は、アーシャルデザインのサービスがおすすめになるでしょう。
アーシャルデザインの特徴
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サービス対応地域 | 東京・神奈川・埼玉・千葉 |
公開求人数 | 非公開 |
マイナビアスリートキャリア
マイナビアスリートキャリアは、20代が多く利用するスポーツ経験者に特化した転職エージェントです。競技成績や競技種目は不問。スポーツ経験者であれば誰でも登録・利用できます。
アドバイザーとの連絡ツールは基本的にオンラインです。LINEやWEBツールを使ってのやり取りなので、全国どこからでも利用が可能です。
希望条件や適性検査を参考に求人を紹介されるので、自分に合った求人に出会うことができます。
また、通常の転職活動支援(セカンドキャリア)に加えて、仕事と競技を両立した働き方(デュアルキャリア)にも対応。
スポーツを続けながら企業に勤務するという道も用意されていますので、今後の進路に悩んでいる方はマイナビアスリートキャリアに相談してみましょう。
マイナビアスリートキャリアの特徴
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サービス対応地域 | 全国 |
公開求人数 | 非公開 |
マイナビのプロモーションを含みます
アスリートプランニング
アスリートプランニングは、10年以上にわたって体育会学生向けの就職支援を行っている転職エージェントです。アスリートに特化した就活・キャリア支援サービスとして、独自のポジションを築いてきました。
過去に取引のある企業の業種は幅広く、メーカーやサービス業をはじめ、交通・製薬/医療機器・小売・金融など、分野を問わずネットワークを構築している点が大きな特徴です。
サポート内容としてはキャリア支援のほか、大学在学中の学生を対象とした早期キャリア支援、内定が決まった転職者を対象に入社に向けたサポートをする社会進出支援、引退後のキャリア支援をする社会人支援など、アスリートのライフステージに合わせた支援が可能です。
アスリートプランニングの特徴
特徴 |
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サービス対応地域 | 全国(東京本社のほか、大阪・名古屋に支社あり) |
公開求人数 | 非公開 |
スポナビキャリア
スポナビキャリアは、体育会・アスリート・スポーツ経験者のための転職エージェントです。
スポーツに関連のある職種に特化しているため、アスリート・スポーツ選手としての経験やノウハウを活かして働きたい方におすすめのサービスです。
在籍コンサルタントは全員が体育会系出身者のため、アスリート特有の悩みや引退前後の心境の変化など、アスリートに寄り添った対応が可能です。
非公開求人も多く、他の転職エージェントでは紹介されない求人を提案してもらえる可能性も十分にあります。
また、全国10箇所のオフィスに加え、各地にサテライトオフィスを8箇所構えているため、対応エリアが幅広い点も大きなメリットです。とくに地方での転職を検討している方におすすめのサービスといえます。
スポナビキャリアの特徴
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サービス対応地域 | 全国(東京・札幌・仙台・横浜・大宮・名古屋・静岡・金沢・京都・大阪・姫路・神戸・岡山・広島・福岡・熊本に拠点あり) |
公開求人数 | 約800件(2024年10月時点) |
アスリートのミカタ
アスリートのミカタは、就活サービス「いい就職ドットコム」が運営するアスリート・スポーツ選手専用の転職支援サービスです。
20代のアスリート・スポーツ選手に特化しているため、引退後に転職を検討している若手人材に適しています。
在籍アドバイザーを通して求人を紹介してもらえるほか、登録者のプロフィールを見た企業から直接オファーが届くこともあります。
想定していなかった業種・職種の企業がプロフィールに関心を寄せてくれる可能性もあるため、20代のアスリート・スポーツ選手の方であれば登録しておいて損はないでしょう。
登録後は独自の適職診断を受けられるので、希望する業種や職種、仕事内容などが決まっていない人にもおすすめです。適職診断をきっかけに、自身の適性を見極めてみてはいかがでしょうか。
アスリートのミカタの特徴
特徴 |
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サービス対応地域 | 全国(首都圏・関西・東海エリアの登録者が8割以上) |
公開求人数 | 非公開 |
イーキャリアNEXTFIELD
イーキャリアNEXTFIELDは、引退したアスリートのキャリア支援に特化した転職エージェントです。
SBヒューマンキャピタルと日本プロ野球選手会が共同で立ち上げたサービスのため、とくに引退した野球選手の転職支援に強みがあります。
引退後のサポートだけでなく、現役時代からセカンドキャリアを見据えたさまざまなサポートを受けられる点が特徴です。
現役時代には競技に全力を注ぎ、転職活動に関する情報収集やノウハウの習得に費やす時間が確保しにくいアスリートの実態を十分に理解し、一人ひとりに合わせた支援をしてもらえます。
引退後を見据えて早めに動いておきたい方や、引退後に充実したサポートを得て転職活動を進めたい方におすすめです。
イーキャリアNEXTFIELDの特徴
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サービス対応地域 | 全国 |
公開求人数 | 非公開 |
まとめ)アスリート・スポーツ選手の転職は、セカンドキャリアを長期的に見据えた選択を
アスリート・スポーツ選手の転職は難しいというイメージは、半分は事実・半分はキャリアの捉え方しだいといえます。
競技に全人生を費やしてきたアスリートにとって、スポーツを離れて働くイメージは湧きづらいかもしれません。
しかし、直近の働き方や仕事内容に着目するだけでなく、長い目で自身のキャリアを捉えたとき、アスリートとして培ってきた経験や能力を活かせる仕事は無限といってもいいほどたくさんあるのです。
今回紹介したポイントや注意点を参考に、ぜひセカンドキャリアを中長期的に捉えた選択をしてください。
スポーツ以外で力を発揮し、貢献している未来像をイメージできれば、現役時代に匹敵する自信や喜びを手にできるはずです。