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適応障害で休職した看護師の後輩。それに対しての上司の態度は、冷たかった。|私の転職体験談

すずらん さん(女性 49歳 愛知県)
まあまあ成功、
ちょっと失敗

転職前

BEFORE
職業
看護師
職種
医療
従業員規模
1000人
年収
700万円

転職後

AFTER
職業
看護師
職種
医療
従業員規模
500人
年収
600万円

目次

すずらんさんの転職ストーリー

1これまでの私

激務ではあるものの、良いスタッフに恵まれて。

イメージ図:病院

私が転職したのは、ちょうど一年前になります。

新卒で看護師になり、同じ病院で26年間勤め、管理職的ポジションに就いていました。

看護師の管理職とは

看護師の管理職は、病院や施設で看護チームを統括し、医療現場の運営と看護の質を管理する役割を担います。
患者さんへの質の高いケアを提供できるよう、スタッフの教育や人員配置、業務改善など幅広い業務を行います。

看護師の管理職の主な仕事内容

仕事内容 説明
看護スタッフの指導・育成 新人看護師や若手スタッフの教育・育成を担当します。OJTや研修を通じて、看護スキルやチームワークの向上を図り、スタッフが成長できる環境を整えます。
人員配置とシフト管理 適切な看護ケアが提供できるように、人員配置やシフト管理を行います。患者数やスタッフのスキルを考慮し、最適な体制を整えます。
業務の効率化と改善 看護業務の効率化や質の向上を目指し、業務フローの見直しや改善策を提案・実施します。スタッフの負担軽減や医療サービスの向上を目的とした取り組みを推進します。
患者ケアの品質管理 患者さんへのケアが一定の品質を保てるように、看護計画の立案や評価を行います。必要に応じて看護方法の見直しや改善を行い、安全で質の高い医療を提供します。
他部署との連携・調整 医師や薬剤師、リハビリスタッフなど他の医療スタッフと連携し、チーム医療を推進します。患者さんの治療方針やケアについて情報共有し、適切なサポートを行います。

責任のある立場で緊張する場面も多々ありましたが、幸いにもチームワークのよい職場で、いいスタッフ達に恵まれてきました。

朝は始発で出勤、帰りは終電近くという生活でしたので、日々の疲れは蓄積されていましたが、なんとか頑張ることができていました。

「仕事の辛さも、個人ではなくスタッフみんなで受け止める」
そんな雰囲気の職場で、私もみんなのために弱音を吐いていられないと、がむしゃらに仕事をこなしていました。

取り立てて趣味や特技もなく、休みの日は寝て過ごすことが多かったですが、仕事にやりがいを感じられていたので、苦痛には思っていませんでした。

2転職のきっかけ

部下の精神疾患。その時、上司は。

イメージ図:看護師の目

ある日、職場のスタッフのひとりが仕事上で大きなトラブルに見舞われ、精神的に大きなダメージを負ってしまいました。

もちろん、私も含めスタッフ全員でフォローに回りましたが、元来生真面目な性格だった彼女は自分を責めてしまい、適応障害になってしまったのです。

参考:適応障害とは

概要 適応障害は、ストレスに対する反応として現れる精神的な不調であり、特定の状況や出来事に対して適応できないことから発症します。
原因 職場の問題、人間関係のトラブル、家庭の問題、健康上の不安など、日常生活の様々なストレスが原因となります。
症状 抑うつ気分、不安、イライラ、集中力の低下、疲労感、睡眠障害、食欲不振などの精神的・身体的な症状が現れます。
診断 精神科医や心療内科医による問診や心理検査を通じて診断されます。ストレスの原因や症状の持続期間、影響の程度を評価します。
治療 ストレス要因の除去や軽減、心理療法(カウンセリング、認知行動療法など)、薬物療法(抗不安薬、抗うつ薬など)が行われます。
予防 ストレス管理やメンタルヘルスケア、定期的なリフレッシュ、適切な休息と睡眠、バランスの取れた食事、適度な運動が推奨されます。
関連リンク 厚生労働省 – メンタルヘルス

医師からの診断書が出て休職に入る彼女に関し、私は上司から事情聴取を受けることとなりました。

彼女が抱えたトラブルを忠実に伝えつつも、彼女は職場には欠かせない貴重な存在であること、回復後は復帰を願いたいこと、彼女不在の間は全スタッフで頑張っていきたいことなどを上司に切々に訴えました。

しかし、そんな私の言葉を遮るように、上司は

上司

「早いうちに問題の芽を摘むことも、管理職にとって大事な役割なんじゃないかな」

と言い放ちました。

上司からはせめて、彼女の体調などを気遣う言葉を一番に聞きたかったのですが、「面倒なことになって」「本当に迷惑だから」「なんであなたは早く気がつかなかったのよ」などという保身の言葉ばかり。

上司はおそらく、部下の精神疾患により、自分の評価が下がることを恐れていたのだと思います。

一見メンタルヘルスに理解のありそうな職場のように見えても、肝心の上司に理解がない。

どんなに仕事が辛くてもスタッフの存在によって頑張れてこれた私でしたが、いざとなればこうして捨て駒のように扱われてしまうのか…と思うと、言葉を失いました。

最終的に彼女は復帰が叶わず退職、精神科に長期入院してしまいました。
そして、この件が、私自身の退職を考えるきっかけになりました。

3転職活動中

いっそのこと、新天地へ。

イメージ図:転職活動中の女性

一刻も早く、あんな上司のもとから逃れたいとの思いから、次の転職先も決めないまま、衝動的に退職をしてしまいました。

はじめの数日こそ解放感を味わえたものの、それからは「この先どうしたらいいのか」といった不安に駆られ、気持ちが落ち着かなくなりました。

退職金は出ましたが、実家には高齢の両親を抱えていたのもあり、介護費用などを考えると長い間無職でいるのは厳しいはず。

お小遣い程度のアルバイトをこなしながら、転職活動を始めました。

幸いにも看護師は資格職なので、求人はたくさんありましたが、狭い業界なので顔見知りに会う機会も多く、いっそのこと今までの自分とは縁がない職場を選んでみようかと思いました。

それまでは都市部の大きな病院に勤務していましたが、地方の小さな病院に焦点を絞り、活動を続けたのです。

医療職専門の転職サイトは当たり外れがあり、もちろん優良企業もあるとは思いますが、求人についてよくない噂が聞こえてくることもありました。

結局、私は実際に募集をクリニックまで足を運んで、そこに通う患者さんや受付の人の様子を見て、「ここだったら問題なさそうだ」と思える求人の職場に応募しました。

非常に非効率的な進め方とは思いましたが、最初に回ったクリニックで、採用の通達を受け取ることができたのは、幸運でした。

4転職後

新しい職場で、待ち受けていた状況は。

イメージ図:看護師の仕事風景

前職では管理職ポジションでしたが、転職後は一般スタッフとなったため、年収はがくんと下がりました。

しかし、仕事は定時で終わるのがほとんどで、人間関係にも恵まれました。

誰もが仲良しなアットホームな職場というわけではありませんが、程よい距離感を保ちつつ、必要な時は自然と協力し合える良い職場だと思います。

減収を補えるほどの心の安定は得ることができていると思います。

帰り道、前職では星空を見る余裕なんてなかったのに、今ではその余裕があります。

参考:看護師の病院勤務とクリニック勤務の違い

項目 病院勤務 クリニック勤務
規模 大規模(数百から数千床) 小規模(数床から数十床)
勤務形態 交代制勤務(シフト制)、夜勤あり 日勤が中心、夜勤なし
仕事内容 緊急対応、手術補助、集中治療、長期入院患者のケアなど、専門的かつ多岐にわたる 外来診療の補助、問診、検査の補助、予防接種、健康診断など
専門性 高い専門性が求められる(各科専門の知識と技術) 幅広い一般的な知識と技術が求められる
チーム構成 多職種(医師、看護師、薬剤師、理学療法士など)による大規模なチーム医療 小規模なチーム医療(医師、看護師、受付スタッフなど)

5その後、どうなったか。

転職を振り返って、今思うこと。これから、目指したいこと。

イメージ図:将来に希望を持つ女性

今回の転職で残念に思っていることがあるとしたら、あのまま前職場で定年を迎えることを疑っていなかったので、老後のプランにずれが生じたことでしょうか。

しかしそれ以上に、自分の心をすり減らしてまで辛い場所にとどまる必要はないとも、今回の転職で思えるようになりました。

30代と40代の転職では、現役で働くことができる制限時間に違いがあります。
私の場合、定年まであと10年ちょっとです。

新たに何か資格を手にするまでの余力は今はないのですが、プライベートを充実させることで日々の仕事の活力へとつなげていきたいと思っています。

また、今まで培ってきた仕事に関する知識や技術を、何らかの形で次の世代へつないでいくことができたらいいなとも思っています。
何よりも、メンタル面で辛い思いをしている人が職場の周囲にいたら、そっと手を差し伸べられる存在でありたいと願います。

もう、自分のまわりで心を病んでしまう人を見るのは嫌ですから。

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