遠回りでも「向いている仕事」を。見つける道のりで得た「自分の可能性」|転職体験談
転職前
- 職業
- 美容・ファッション
- 職種
- マーケター
- 従業員規模
- 21~50名
- 年収
- 350万円~400万円
転職後
- 職業
- IT・コンピューター
- 職種
- 採用・広報
- 従業員規模
- 201~300名
- 年収
- 350万円~400万円
目次
ゆいこさんの転職ストーリー
1これまでの私
憧れのファッション業界で夢中になった日々と、その裏にあった苦悩

私が最初に就職したのは、新卒で入社したファッション業界のマーケティングコンサルティング会社でした。
大学卒業を機に上京し、東京という流行の最先端でずっと憧れていたファッションの世界に飛び込みました。
ファッションが大好きだった私にとって、「毎日洋服に囲まれて仕事ができる」という環境は夢のようで、本当にワクワクしていました。
仕事内容は、アパレル企業向けに海外トレンドのリサーチを行い、それをもとにPR方針を提案するというものでした。
「流行のスタイルの中に、どうやって他社と差別化できるワンポイントを入れるか」といったことを考え、提案書を作成するのが主な業務です。
自分の提案が実際に採用され、店舗のマネキンの服装に反映されたときは、大きなやりがいを感じました。
「自分のアイデアが形になる」という実感は、何ものにも代えがたいものでした。
一方で、業務量は非常に多く、想像以上にハードな日々でもありました。
土日は一応休みのはずでしたが、実際には休日出勤が続き、月に本当に休めたのは2日ほど。
終電を逃して近くの居酒屋で先輩と時間をつぶし、始発で帰宅してそのまま出社する日々も少なくありませんでした。
昼休みを取る暇もなく、心身ともに限界を感じていた時期は、帰り道で毎日のように泣いていました。
それでも、「好きな仕事だから」と自分に言い聞かせて頑張っていたのが、当時の私です。
2転職のきっかけ
「3年の節目に決意」くすぶったキャリアへの想いと東京での限界

「転職しよう」と初めて意識したのは、入社から約1年半が経った頃でした。
業務量が増え、日々激務に追われるようになりました。
やりたい仕事に就けた喜びはあったものの、プライベートの時間が全く取れず、体力的にも精神的にも消耗する日々が続いていたのです。
まず転職エージェントに登録もしましたが、当時は「せめて3年は続けた方がいい」とアドバイスされました。一理あると思い、いったん転職活動は見送りましたが、気持ちの奥底では「次のキャリア」への想いが長くくすぶっていました。
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2年半を過ぎる頃には一定の経験を積み、少し視野も広がりました。その中で「次はもっと深くブランドに関わるような働き方をしてみたい」と具体的なキャリアの方向性が見えてきました。
複数社を支援する立場ではなく、ひとつのブランドに長期的かつ一貫して携わるような仕事、たとえば「ファッションブランドのインハウスのプレス」に憧れるようになったのです。
インハウスのプレス(ファッションブランド)
インハウスのプレスとは、ファッションブランドの社内に所属し、自社ブランドの広報活動を行う担当者のことです。
ブランドイメージを的確に伝えるために、メディア対応、展示会の企画・運営、SNSやWEBを活用した情報発信など、幅広い業務を担います。外部のPR会社と異なり、ブランドの世界観や商品理解が深いのが特徴です。
インハウスのプレスの主な仕事内容
仕事内容 | 説明 |
---|---|
メディア対応 | 雑誌やテレビ、WEBメディアなどの取材対応や、掲載依頼への対応を行います。スタイリストや編集者へのリース(貸し出し)業務も含まれます。 |
展示会の企画・運営 | 新作コレクションの展示会を企画し、バイヤーやメディア関係者を招待して、ブランドの世界観を体験してもらいます。展示方法や資料作成なども行います。 |
SNS・WEBでの情報発信 | InstagramやX(旧Twitter)、ブランドの公式サイトやブログなどを活用して、商品情報やイベント情報をタイムリーに発信します。 |
社内各部署との連携 | デザインチームや営業部、ECチームなどと連携しながら、広報戦略を立てます。ブランド全体の方向性を理解し、効果的なPRを目指します。 |
エージェントからアドバイスされた3年という節目を迎え、再び転職を具体的に考えるようになりました。
また、東京での生活は楽しかったものの、友人が少なく、孤独を感じることが多くなっていました。
「もっと身近に友人がいる環境で暮らしたい」と思い、転職と同時に大学時代を過ごした愛知に戻る決意をしました。
家族に退職の意思を伝えたときは驚かれるかと思いましたが、むしろ「よく頑張ったね」と応援してもらえて、ホッとしたのを覚えています。
こうして、仕事・暮らし・将来すべてを見つめ直すタイミングが重なり、本格的に転職活動をスタートさせました。
3転職活動中
立ち止まった3か月と“理想の仕事”へのもどかしさ

退職後は心身のリフレッシュを最優先に考え、しばらく転職活動はせず、約3か月ほど旅行をしたり、のんびりと小休止の時間を取りました。
東京での仕事は本当に多忙だったので、自分を取り戻すための大切な時間だったと思っています。
転職活動を本格的に始めたのは4月頃から。
最初のうちはなかなか思うような求人に出会えず、特に希望していた「マーケティング職」、なかでもファッション業界での募集が愛知県では極端に少なく、もどかしさを感じていました。
やっと希望に近い求人を見つけても、実際に話を聞くと「まずは店舗販売からスタート」と言われたり、求人票の内容と現実が異なることも多く、心が折れそうになることもありました。
そんな中で、転職エージェントの存在は本当に大きかったです。
私の希望や不安を丁寧に聞いてくれただけでなく、エージェント紹介ではない求人についても相談に乗ってくれ、書類の添削や面接対策も親身に対応してくれました。
自分ひとりでは気づけない視点を与えてもらえたことは、精神的にも大きな支えでした。
最終的には、自力で見つけた美容系ブランドの求人に応募し、「コールセンター(カスタマーサポート)」のポジションで入社することを決めました。
一見マーケティングとは離れているように見えますが、お客様の声に日々触れることができ、将来的に商品開発やマーケティングに関わる道があることも見越しての決断でした。
コールセンター(カスタマーサポート)
コールセンター(カスタマーサポート)とは、企業の商品やサービスに関する問い合わせに電話やメール、チャットなどで対応する部門や担当者のことです。
顧客の声を直接聞く窓口として、企業と顧客の信頼関係を築く重要な役割を担います。
応対品質が企業イメージに直結するため、高いコミュニケーション能力や的確な対応力が求められます。
コールセンター(カスタマーサポート)の主な仕事内容
仕事内容 | 説明 |
---|---|
電話・メール対応 | 商品やサービスに関する問い合わせに対し、電話やメール、チャットで迅速かつ丁寧に対応します。クレーム対応も含まれます。 |
FAQや対応マニュアルの作成 | よくある質問(FAQ)や対応フローを整備し、オペレーターが円滑に対応できる環境を構築します。新人研修にも活用されます。 |
対応履歴の記録・管理 | 応対内容や顧客情報を専用システムに記録し、他部署と連携しやすいように管理します。顧客対応の品質向上にもつながります。 |
改善提案・フィードバック | 顧客の声を集約し、商品開発やサービス改善に活かすためのフィードバックを社内に行います。ユーザー視点での提案が求められます。 |
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理想通りとはいかなくても、「まずは一歩踏み出す」ことの大切さを感じた転職活動でした。
4転職後
理想と現実のギャップ。2社目で知った“向き不向き”

転職後に入社した2社目の職場環境は非常に恵まれており、20〜40代の女性が中心の落ち着いた雰囲気で、人間関係も良好。
土日祝休みで残業もほとんどなく、念願だったワークライフバランスの整った働き方ができるようになりました。
しかし、実際の業務に就いてみると、想像以上に心身に負担のかかる仕事でした。
1日に何件もクレーム対応をする日もあり、特に印象的だったのは、未入金の督促連絡をした際に「受け取っていない」と強く言われ、20分間ひたすら苦情を受けるという出来事でした。
感情移入してしまい、うまく受け流せず、毎日心がすり減っていくような感覚でした。
結果的に、たった1か月で退職を決断しました。
当時は落ち込んだ気持ちもありましたが、今思えば、自分の性格や適性に合っていなかったのだと思います。「仕事として割り切る」ということが私には難しく、もっと前向きに力を発揮できるフィールドを探そうと、すぐに転職活動を再開しました。
このときの転職活動では、初めて「自分に向いている仕事とは何か?」という視点で自己分析をしました。
前職でやりがいを感じていたのは、企画を考えたり、提案を通じて相手に喜んでもらうような場面でした。そこで営業や人事など、今まで選択肢に入れていなかった職種にも目を向けるようになりました。
そんな中で出会ったのが、現在の職場である株式会社フリースタイルの「採用アシスタント」という仕事です。
面接の中で「看板ゲームを作った社員も異業種・未経験からのスタートだった」と聞き、私もこの会社でなら新しい可能性を見つけられるかもしれないと直感しました。
株式会社フリースタイル

株式会社フリースタイルは、2006年に設立されたITソリューション企業で、名古屋本社と東京支社を拠点に展開。ネットワーク・サーバ構築から業務系アプリ、Webサービス、ゲーム開発までを一貫して手がけています。
200名超の技術者が“未来を創る”をモットーに、企業や社会の課題に向き合いながら価値あるサービスを提供。東海・首都圏での常駐支援にも強みを持ち、300社以上との取引実績があります。
会社概要
項目 | 内容 |
---|---|
会社名 | 株式会社フリースタイル |
設立 | 2006年 |
所在地 |
本社:愛知県名古屋市中区錦 1丁目-5-13 東京支社:東京都千代田区神田鍛冶町3-4 |
事業内容 |
|
公式サイト | 株式会社フリースタイル |
5その後、どうなったか。
遠回りの転職が教えてくれた“自分らしいキャリアの築き方”

株式会社フリースタイルに入社してからは、会社説明会や面接などを通して求職者に会社の魅力を伝える業務にやりがいを感じ、これまでの提案経験も活かせました。
やりたいと手を挙げれば任せてもらえる風土があり、成果を出すことで仕事の幅もどんどん広がりました。
2回目の転職は、まさに自分の可能性が「開花した」と思える、大きな転機となりました。
今回の転職を通じていちばん大きかった気づきは「自分に合う仕事=やりたい業界や職種」ではない、ということでした。
新卒の頃は、好きなファッション業界で働けること自体が嬉しくて、やりがいを感じていたものの、忙しさに追われ心身の余裕を失ってしまいました。
2社目では「安定した職場環境」を手に入れましたが、仕事内容が合わず、わずか1か月で退職。その経験を経て初めて「職場環境・仕事内容・自分の性格や価値観」のバランスがいかに大切かを痛感しました。
職種にとらわれずに、どこで働いているときに自分が喜びを感じるのかを考えたとき、「提案が好き」「人に伝えるのが得意」という強みを再認識できたのも大きな学びでした。
最初から完璧な仕事に出会える人は少ないと思いますが、遠回りをしたからこそ、納得のいく選択ができたと感じています。
今では、自分が本当に活躍できる場所に出会えたという実感があり「あのとき行動してよかった」と心から思えています。
現在所属している株式会社フリースタイルでは、やったことがないことにも積極的にチャレンジさせてもらえる環境があり、その中で自分の可能性がどんどん引き出されていきました。
失敗しても責められることはなく「この会社の中でなら大丈夫」と思える安心感のもと、自信を持って仕事に向き合えています。
現在は採用から「広報」の仕事に移り、より多くの人に会社の魅力を伝えるという新しい挑戦に取り組んでいます。
これまでは個別の求職者とのやりとりが中心でしたが、今は動画やSNSといったツールを使い、より広い層にアプローチすることに面白さとやりがいを感じています。
企画力や表現力を磨きながら、多くの人に楽しんでもらえる、心を動かすような発信を目指しています。
今後は、かつての私のように迷ったり立ち止まったりしている人に向けて、もう一度挑戦する勇気を届けられるような発信をしていきたいと思っています。
いずれは「この会社と出会えて人生が変わった」と言ってもらえるような影響力のある広報になりたい。
──そんな思いを胸に、これからも挑戦を続けていきたいと考えています。