「仕事人間」だった私はベンチャー会社でクビになり、公務員になった。|私の転職体験談
転職前
- 職業
- Webサービス
- 職種
- マーケティング
- 従業員規模
- 10名
- 年収
- 450万円
転職後
- 職業
- 公務員
- 職種
- 事務職
- 従業員規模
- 2000名
- 年収
- 580万円
目次
昭和のゲンさんの転職ストーリー
1これまでの私
ベンチャー会社で働き詰めの日々。
30代前半の時、マーケティング担当として企業PRやWEBサイトの運営をしていました。
当時はベンチャー会社で社員も少なかったため、求められる事業範囲も広く、常に仕事に追われていました。
ですが、忙しく働くことには慣れていました。仕事自体にもやりがいを感じていたので、平日は残業、休日も必要あらば出社と、仕事に没頭する日々でした。
ベンチャーらしい勢いと、社会に新しい動きを起こそうという気概があふれた社長の元、奮闘していました。
一方で、この頃に家庭環境の変化もありました。
これまでは妻と2人暮らしで共働きの生活でしたが、妻が妊娠して、3人暮らしに向けて新居を構えることになったのです。
そんなある日、妻がこんなことを言いました。
- 妻
-
「子供も生まれるし、今まで見たいな働き方はできないよね。」
当時の私は完全に「仕事人間」でしたので、そんな働き方の私に妻も不安を感じていたのでしょう。
新しい生活に向けて、自分たちの働き方についても夫婦で話し合うようになったのもこの頃からでした。
2転職のきっかけ
社長に呼び出され、まさかの「クビ」宣告。
妻が妊娠9ヵ月になり里帰りすることになり、私は一時的に一人暮らしとなりました。
そんなある日、社長に呼び出されました。
- 社長
-
「○○さん、申し訳ないが、君には1ヵ月後に辞めてもらうことになりました」
あまりにも急な話を、社長は淡々とした表情で伝えてきて、一瞬足元の地面が「ぐにゃり」と崩れるような感覚を覚えました。
- 私
-
(──いったいこの人は何を言っているんだ?
こっちは妻の出産も控えていて、今は一番仕事を辞められない時期なんだぞ?)
リストラの理由は、業績悪化。
──会社の状況は理解できましたが、心情としては全く納得できませんでした。
それから私は色々と提案を繰り返して、なんとか会社に留まれるよう苦心しましたが、社長の意思は変わらずでした。
そして私は、1ヵ月後に会社を去ることが決まりました。
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その間も、毎日のように実家にいる妻と電話をしていましたが、退職のことはなかなか切り出せず、ただただ「夢であってほしい」と願う日々が続きました。
とは言っても、動き出さなければなりません。
退職の宣告を受けてからから1週間後に転職活動をスタートしました。
会社へ残れる一縷の望みを残しながら、仕事が終わったら転職サービスのリクルートエージェントへ足を運び、自身のキャリアを見直す毎日がしばらく続きました。
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今振り返ってみても思い出したくない、とても惨めな時期でした。
3転職活動中
次の職場が、なかなか決まらない…!
出産を経て妻が戻ってくるまでの1ヵ月半の間、とにかく必死に転職活動をしました。
「リクルートエージェントだけでは、決まらないかもしれない」と思い、ほか複数の転職エージェントにも登録して、更には企業HPへの直接応募含めて70社くらいに応募しました。
何件か面接もありましたが、望む成果は出ない日々が続きました。
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そして、ついに妻が子供を連れて帰ってきました。
いよいよ今自分が置かれている現状を話すと、妻は絶句していました。
無理もありません、それまで私は馬車馬のように働いていて、妻もそんな私の働き方に不安(と、それに恐らく不満)を感じつつも、黙って見守ってくれていたのですから。
妻は、「大変だろうけど、仕事探しを応援する」とだけ言ってくれました。
ですが、数日後に妻が「これからの働き方について話し合いたい」と提案してきて、
- 妻
-
「子供のためにも以前とは違った働き方をしてほしい。それに、働き方も見直す良い機会だと思う」
と言ってきたのです。
思えば、妻からこうやってはっきりと意見を伝えられたのは初めてでした。それだけ、妻も今回の件に頭を悩ませていたのでしょう。
そして、私も妻の意見が適切だと思いました。これから3人家族で生活していく上で、私がこれまで通りの働き方をしていては、きっと幸せな家庭は築けません。
これから私は、どんな業種で、どんな職場で働くと良いのだろう──、何日も何日も考えました。
そして、ようやく辿りついた考えが、「公務員の中途採用」という道でした。
公務員でしたら、これまで働いていたようなベンチャー会社よりも残業時間や休日出勤に悩まされることも減るでしょうし、何よりいきなりのリストラに会うことはまずありません。
そうと決めると、私はそのことを妻に伝え、早速公務員試験に向けて勉強を始めました。
公務員試験までは1年近くあり、気が遠くなるような思いもありましたが、もう後には引けません。必死に勉強を続けました。
そんな状況で妻は、子育てもある中、私のことを本当に良くサポートしてくれました。
それでも正直、平日に仕事をしないで家にいることは想像以上に辛かったです。
一方で、他の家庭と比べると子どもと向き合う時間は圧倒的に長く取れました。
ひとりの父親として子どもの貴重な成長過程を見ることができたのは、良かったと思っています。
そして、約一年後、無事最終の内定通知を受け取った時。
これは決して誇張ではなく、妻と2人で泣きました。
4転職後
新しい職場で、待ち受けていた状況は。
転職先の公務員としての業務は、これまでとは全く違った経験の連続でした。
整えられた人事・研修制度、同期の中途採用組との雑談、そして公務員というこれまでとは違った責任感。
仕事内容は非常に多岐に渡りました。
私は市民課への配属でしたので各種書類の管理や審査、住民の方々への窓口対応等々…。やることが非常に盛りだくさんで、時間がさっと過ぎていく毎日でした。
加えて、周りの人の反応の違いに驚きました。
露骨に違いを感じたのは、不動産会社の営業や自動車ディーラーなどからの反応です。
社会的地位としての見られ方が、ここまで違うものなのかと実感しました。
5その後、どうなったか。
転職を振り返って、今思うこと。これから、目指したいこと。
今では大分仕事にも慣れてきました。
これまでのような長時間労働ではなく、社会人経験を活かした提案や業務見直しなど、より「仕事の質」を重視した働きかけができるようになりました。
もちろん、公務員の仕事をしていくなかで、これまで感じなかった大規模組織ならではの不便さや不条理を感じることもあります。
ですが、それを補って余りうるやりがいも多く感じられたので、転職して良かったと満足しています。
今回の転職を経て学んだことは、自分の将来に向けて覚悟を持つことと、仕事・職場に対する先入観は忘れることの2つです。
1つ目については、生半可な気持ちでは転職活動で満足のいく結果を出すのは難しいと自覚しました。
覚悟を持って、辛抱強く動かなければ、自分のキャリアは開いていかない。
ただ、私の場合は本当に恵まれていて。
当時は最悪の状況ではあったものの、支えてくれる妻の存在と、使命(子供を全うに育てる環境を作ること)がありました。
そのため、決意がブレている暇などなかったのです。
一人でやろうと思ったら途中で諦めていたでしょう。
また、2つ目については、私は実際にこの仕事に就くまでは、公務員について偏見を持っていました。
お役所仕事は頭でっかちの勉強人間がやるもの―――という偏見が根底にあり、自分が働くイメージもまったく持てませんでした。
実際に公務員を目指し、働くようになって、それは大きな間違いであることに気付きました。
公務員でしか得られないプレッシャー、充実感、やりがいを感じ、また同僚も非常に多種多様な人がいて。
さらに、これまでの社会人経験の中でも飛びぬけて視界が広く頭の回転が速い、加えて調整力に長けた「仕事のできる上司」にも巡り合えました。
これから目指していきたいことは、公務員として社会に貢献するのはもちろんですが、自分の得意領域を更に伸ばして職場、市民にプラスの影響を与えられるように、まずは自分を磨きたいです。
将来的に実現したい事業があるので、そのプロジェクトへの参加、そして成功させるのが中期的な目標です。
その先には、子供が自分の仕事の成果を実際に体験できるような実績を創りたいですね。
それから、最近は夫婦の夢だった「海外移住」について、実現に向けて考え始めています。
そうした将来のビジョンを常に持ちながら、少しでもさらにその上に向かって歩いていこうとする思いを失わずに、可能性を伸ばしていきたいと思っています。
結果をプラスにできるかは自分次第。
今、自分にできるベストを尽くした上で、周りへの感謝を忘れなければ、結果はついてくると信じています。