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転職体験談:臨床検査技師。「マネジメントよりも、研究をしたい」の想いで転職して。

ヒロト さん(男性 45歳 大阪府)
まあまあ成功、
ちょっと失敗

転職前

BEFORE
職業
医療機関
職種
臨床検査技師
従業員規模
500人
年収
600万円

転職後

AFTER
職業
医療機器メーカー
職種
学術担当スタッフ
従業員規模
500人
年収
900万円

目次

ヒロトさんの転職ストーリー

1これまでの私

職業は臨床検査技師。趣味は、ゴルフと株式投資。

臨床検査技師として働く男性イメージ

転職したのは、2020年12月、今から1年ほど前です。

それまでは、中規模病院の検査室で臨床検査技師として検査業務とマネジメント業務を行っていました。

結婚して10年、小学3年生になる長男と1年生の次女と4人で郊外のマンションで平凡な生活しています。

趣味は、ドライブとゴルフ。
特にゴルフは大好きで一時期は毎月1回のラウンドを行っていました。

スコアはあまり良くないのですが、晴れた天気の良い日にきれいに整備されたゴルフボールを回っているだけで気分がリフレッシュします。

仲間と少人数でゴルフラウンドをしていると日頃のストレスも忘れることができます。

あとは、株式投資が好きで、ちょっとずつコツコツ買い集めた銘柄が値上がりすると毎日が楽しさを感じていました。

最近はコロナショックで買った銘柄のほとんどが値上がりしていて、毎日価格を見るのが楽しみな日が続いています。

2転職のきっかけ

上司から「マネジメント業務もやってほしい」と言われて。

マネジメント業務か、現場業務課で悩む男性イメージ

臨床検査技師として、病院の検査室で細菌検査やウィルス検査をする──それが、これまでずっと私が手掛けてきた仕事でした。

患者さんから採取したいろいろな検体にばい菌がついていないか、そのばい菌を治療するにはどんな抗生剤を使ったらいいのかを報告する、といった業務です。

ですが、40歳に差し掛かる頃に上司から「マネジメント業務もやってほしい」と言われて。

いわゆる昇格ではあったのですが、これが性格としてあまり自分に合っていませんでした。

と言うのも、私はあまり他人に興味を持てないのです。
自分のスタッフがどこで何をしているかなどあまり興味なく、それよりも検査業務を淡々と進めるのが楽しみでした。

マネージャーになってからも私自身が検査業務をやる機会はあったのですが、それは段々と減っていき、転職する最後の1年は業務の殆どが部下指導や管理業務でした。

嫌々ながらのマネジメントは、結局外からも分かるものです。
スタッフとの距離も出始めたころ、「もっと自分に合う働き方を見つけよう」と、私は転職への意思を固めていきました。

3転職活動中

求人を探せど、今より条件の悪くなるものばかり

転職活動で、待遇面を重視する男性イメージ

働きながらの、転職活動でした。

最初に医療従事者がよく利用する転職サイトに登録しましたが、今よりも条件が悪くなるものがほとんどで、良い求人は見つかりませんでした。

臨床検査技師はあまり給料が良い職業ではないのですが、私は今の職場でそこそこ良い報酬をもらっている方だったのです。

よほど条件の良いヘッドハンティングではない限り、どこに行っても収入が下がってしまうということが分かりました。

さてどうしたものかと考えあぐねているところ、病院に出入りしている医療機器メーカーの担当さんから、「今度、定年退職してしまう学術担当スタッフの後任を探している」ということを聞きました。

個人的に仲良くしていた人だったので、そういった裏事情についてもリアルタイムで教えてくれたのだと思います。

その医療機器メーカーは、外資系企業で人員の出入りは多いものの、学術担当になるとなかなか空きが出ないポジションだといいます。
さらに病院の職員とは比べ物にならないほど良い待遇を用意しているとのこと。

(これは、今がチャンスかもしれない)

──と、感じました。

すぐに話を聞きに行き面接をしてもらったところ、「ちょうど、あなたのお住まいの地域を担当するスタッフを探していました」と言われて、すぐに採用が決まりました。

転職サイトでは一向に見つからなかった好条件の求人が、こうして見つかって更にスッと決まったのです。

本当に大切なのは人との繋がりだなと、つくづく思いました。

4転職後

医療機関と民間企業のギャップ

医療機器メーカーの職場イメージ

新しい職場がどうだったかというと、まずこれまでの常識が全部飛びました。

病院というのは基本的に営利を追求する組織ではありません(実際は営利を出さないといけないのですが)。そのため、院内で売上に関しての意見を言うと周囲からはあまりいい顔されませんでした。

ですが、企業ではまさに売上が第一です。

研修の最終日に、上司からこう言われました。

上司

「どうすれば会社に利益を与えることができるかを、常に数値ベースで考えてほしい」

言われた時のプレッシャーは大きかったですが、ただ「やってみよう」という気持ちもありました。

私はもともと株式投資もやっていて、経済に興味があったのです。
前職でも病院の収益を上げるためにはどうしたらいいのか常に考えていました。

そして、そうした私の性質がここでは全て良い方向に進みました。

入社して3ヵ月経っていくつか収益改善の提案をしたところ、そのうちの1つが採用されたのです。

また、働き方についても大きな変化がありました。

前職では仕事が終わらなくて残業することが多く、その際は「患者さんのためだから、サービス(残業)で」という雰囲気が色濃かったのですが、今の会社ではサービス残業という概念自体がなかったです。

残業時にはきちんと残業代が支払われますし、職場は「業務は効率的に進めて、無駄な残業は一切しない」という風土が根付いていました。

病院での職場しか知らなかった私にとって、こうした環境があること自体に衝撃でした。

5その後、どうなったか。

転職をして良かったことと残念なこと。そして、これから目指したいこと。

臨床検査技師として研究をする男性イメージ

今回の転職をして気付いたことは、「これまで、随分と狭い世界で生活していた」ということです。

収益への考え方もそうですし、待遇や残業制度に関してもそうです。

ひとつの職場に長く勤めていると、どうしても考えは閉鎖的になり、視野が狭まります。特に病院という特殊な環境では、見えていなかった点が沢山あったということに気づかされました。

これは非常に良かったことです。

◇ ◇ ◇

一方、残念なこともありました。
それは、これまでライフワークのように行っていた研究業務が全くできなくなってしまったことです。

「ばい菌のことを知る」──前職での研究業務は、今思うととてもやりがいのある仕事でした。今は実務が山のようにあるのでそうした研究は殆どできません。

「これは、どういうことだろう?」と不思議に思ったことがあると、調べてみる。そうした働き方は今の職場に勤めるようになってからは一切なくなりました。

時間ができたらちょっと調べるくらいはできますが、そこでわからなければおしまいとなってしまいます。

今後の人生、このまま研究に関わらずに生きていくのには若干の抵抗もあります。
今の業務に慣れて余裕ができたら、ゆくゆくは大学院等に入りなおして勉強するのもいいかなと思っています。

イメージとしては、働きながら学ぶ。
例えば大学院で研究をしながらもっと勉強をし、今の自分の業務にも活かしていけるような生活の仕方です。

メーカーの学術担当という今のポジションには満足していますが、将来的にはこれらの経験を全て活かしてまた医療機関勤務に戻ってみるのも面白いかもしれないと思っています。

臨床検査技師の世界では、私みたいなキャリアを辿っている人はほとんどいません。
それは、一つのアドバンテージ──つまり、物事を考察するにあたり他の人とは全く違う新しい角度からのアプローチができるかもしれない、と考えています。

いずれにせよこれまでの経験を無駄にするのではなく、全てプラスになるようにキャリアプランを組んで行けたらいいな、と思っています。

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