半年以上の無職期間があると転職は難しい?空白期間を企業に説明する際の注意点は?
[最終更新日]2024/07/05
転職活動をするにあたって、これまでの経歴を職務経歴書にまとめたり、採用選考時に面接で説明したりする機会があるはずです。
その際、職歴がない空白期間(いわゆるブランク・無職期間)がある場合、選考で不利になるのでは?と感じる人もいるでしょう。
もし何らかの事情で半年以上の空白期間がある場合、応募先の企業にどのような印象を与えるのでしょうか。
また、ブランクの長さを補うにはどのような点に注意したらいいのでしょうか。
目次
1)職歴に半年以上の空白期間(ブランク)があると、企業はどんな印象を持つ?
職歴に半年以上の空白期間(ブランク)がある場合、採用選考にほぼ確実に影響があるでしょう。
長期にわたる無職期間がある応募者に対して、企業は主に次の2つの点を懸念します。
1つめの懸念点は、人材としての魅力があるか?という点です。
多くの企業にとって魅力的で、即戦力として活躍できる人材であれば、引く手あまたの状態になるはずです。
空白期間が長いということは、どこの企業からも採用されなかった時期があるわけですから、人材としての魅力が薄い可能性があると映ることが想定されます。
もう1つの懸念は、応募者自身に働くことへの意欲面があるか?という点です。
ブランク期間に働けなかったのではなく、単に働く気がなかったとすれば、意欲面を疑われてしまうのも無理はありません。
自社で採用した場合、業務に耐えうるだけの就業意欲や成長意欲のある人物かどうか、疑いの目を向けられてしまう可能性があるのです。
無職期間が3ヵ月以上あると、「ブランク期間」と見る企業が多いようです。
職歴の空白期間の長さが「不利になるケース」「不利にならないケース」がある
一般的に職歴の空白期間は転職時に不利な要素となりがちですが、ブランクができた理由によっては必ずしも不利にならないケースもあります。
無職期間が不利になるケースと不利にならないケースとして、次のようなものが考えられます。
ブランクが不利になるケース
- とくに目的もなく過ごしてしまった
- 単に転職活動をしていなかった
- 転職先が決まらない時期が長引いた
ブランクが不利にならないケース
- 留学や資格取得などの明確な理由があった
- 出産や育児、介護などの事情があった
- 病気やケガなどで働けない期間があった
このように、職歴の空白期間が転職で不利になるかどうかは「明確な目的や理由があるかどうか」という点にかかっています。
確固たる目的・理由があって空白期間ができたのであれば、必要以上に恐れることなく転職活動を進めるべきでしょう。
反対に、明確な目的がないまま無職の期間ができてしまった場合は、ありのままを面接で伝えると印象が悪くなる可能性があります。
空白期間をできる限り補えるよう、納得してもらえる可能性の高い説明ができるよう準備をしておく必要があります。
空白期間に対して、「納得感を持てる説明」ができるかどうかを考えてみましょう。
2)転職活動で、職歴の空白期間の長さを補うためのポイント3つ
職歴の空白期間nの長さを補い、できるだけ転職活動で不利にならないようにするにはどうすればいいのでしょうか。
面接の場でブランクについて聞かれたときの対策を練っておくことも大切ですが、それ以前の職務経歴書を作成する段階から空白期間を補うための準備は始まっています。
次の3つのポイントを意識して、職務経歴書の作成に取りかかる必要があるでしょう。
- ブランクの期間を振り返り、そのうえで今後のキャリアプランを練る
- 前職までのキャリアと紐づけ、一貫性を持てるようにする
- 職務経歴書に空白期間の理由を書き、面接でしっかり説明できるようにする
ブランクの期間を振り返り、そのうえで今後のキャリアプランを練る
まずは、ブランク期間中に自分自身が何をしていたのか、どのような行動を取ったのかという「事実」を振り返っておきましょう。
選考で自分を良く見せたいからと、実際には取り組んでいなかった資格の勉強を口実にしたり、「将来に向けての準備期間だった」などと無理にこじつけたりするのは好ましくありません。
まずは空白期間の過ごし方や実際にしてきたことをありのままに書き出し、振り返っておくことが第一歩です。
そのうえで、ブランク期間があったことを前提に今後のキャリアプランを練っていきましょう。
すると、これから自分が実現したいことやあるべき姿に対して、現状との間に埋めるべきギャップが見つかるはずです。
そのギャップをどうすれば埋められるのか、具体的な方策を講じていくためにも振り返りは重要な意味を持つのです。
空白期間が「自分にとって大きな意味があった」と説明できるように
ブランク期間中、生活費を稼ぐためにアルバイトをしたり、時間があるからと本を読んだりしたことがあれば、少なくとも「何もしていなかった」ことにはなりません。
離職していたという事実は自分の中でネガティブに捉えがちですが、良かった面も必ずあるはずですので、意義のある期間だったと肯定的に捉えることは大切です。
採用選考において、挫折の経験が全くない応募者は打たれ弱い印象を与える傾向があります。
反対に、人に話すのが憚られるような挫折の経験を通じて成長した形跡のある人材は、採用後も粘り強く成長してくれると期待される場合もあるはずです。
ブランクの期間があることに対して、必要以上に自分自身が卑屈にならないように心がけましょう。
前職までのキャリアと紐づけ、一貫性を持てるようにする
無職期間に取り組んだことが何かしらあれば、前職との関連性や興味関心の一貫性を見出せる点はないか考えてみましょう。
アルバイトをした場合でも、本を読んだりした場合でも、自分にとって全く興味のないことに取り組む可能性は低いはずです。
たとえば、営業職への転職を希望している人がブランク期間中にテレアポのアルバイトをしていた場合、コミュニケーション力を生かせる仕事という点では共通点があります。
このように、前職までのキャリアと紐づけられる点を見出せれば、かりに無職期間であってもキャリアに一貫性や整合性を持たせられるのです。
同じブランク期間でも、何もせず無為に過ごしていたのか、キャリアにとってプラスとなる行動を取っていたのかによって大きく印象は異なります。
目的意識を持って自分の行動を決められることが伝われば、将来性のある人材として見てもらえる可能性もあるでしょう。
職務経歴書に空白期間の理由を書き、面接でしっかり説明できるようにする
書類選考や面接選考の際、採用担当者はほぼ間違いなく空白期間に着目します。
ブランク期間を無為に過ごしていたわけではないと伝えるためにも、職務経歴書に空白期間の理由を記載しておきましょう。
職歴を時系列で記載し、「20〇〇年〇月〜20〇〇年〇月:資格試験に向けた勉強に専念」と記載しておけば、ブランク期間に何をしていたのか伝えられます。
職務経歴書に空白期間ができた理由を記載することで、面接で聞かれた場合も答えやすくなるはずです。
職務経歴書に記載のない事柄を面接の場で答えるのと、すでに記載されている事柄をより詳しく答えるのとでは、印象が大きく異なります。
別の見方をすると、面接での質問をあらかじめ想定した上で職務経歴書を作成することが大切です。
次項では、面接で無職期間を聞かれた場合の回答例について見ていきます。
面接での受け答えを予測した上で職務経歴書を作成するためにも、面接での回答例を確認しておきましょう。
3)【ケース別】面接で空白期間の長さについて聞かれた時の回答例
実際に面接で空白期間を聞かれた際の回答例を紹介します。
空白期間ができた理由によって答え方は異なりますので、ここでは次の4つのパターンを取り上げます。
- 「資格取得のために勉強していた」が理由の場合
- 「怪我・病気療養」が理由の場合
- 「親の介護」が理由の場合
- 「転職活動が難航した」が理由の場合
いずれのパターンにも共通するポイントは、「何もせず過ごしていたわけではない」「しかるべき理由でブランクができた」と明確に伝えることです。
客観的に妥当と判断される理由を伝えられれば、空白期間そのものは採用可否に大きく影響しないはずです。
「資格取得のために勉強していた」が理由の場合
資格取得に向けた勉強に取り組んでいたことは、無職期間ができた理由として適切なように思えます。
しかし、働きながら勉強して資格を取得する人も世の中には大勢いるわけですから、集中的に勉強する期間を確保しなくてはならなかった理由として妥当かどうかがポイントとなります。
「毎日〇時間、集中して勉強に取り組んだ」「週〇日スクールに通って資格合格を目指した」など、具体的な行動が伝わる回答を用意しておきましょう。
空白期間の理由回答例
前職で法人営業を担当しておりましたが、商談でお話しするのは経営者の方々が大半でしたので、経営資源や関連法令に関する知識不足を痛感しておりました。
企業経営に関する総合的な知識を身につけたいと考え、中小企業診断士の資格取得に向けて半年間スクールに通い、集中的に勉強いたしました。
スクールも含めて毎日8時間以上、集中的に勉強に取り組んだ結果、半年間で合格できました。
経営者の皆さまに有益な情報を提供できる営業担当者を目指す上で、有益な期間だったと確信しております。
「怪我・病気療養」が理由の場合
怪我や病気のために療養していたのであれば、無職期間ができても致し方ない理由といえます。
一方で、現在は完治しているのか、今後も定期的に通院する必要はあるのか、入社後に仕事をする上で支障はないのか、といった点を採用担当者は知っておきたいはずです。
現在は完治しているのであれば、明確に伝えて安心してもらう必要があるでしょう。
現在も症状が治まっていないようなら、診断書を用意するなど客観的な診断結果を伝えられるようにしておくと説得力が増すはずです。
空白期間の理由回答例
潰瘍性大腸炎という難病に罹り、治療に専念しておりました。一時は体力がかなり落ちてしまい、医師から安静を言い渡されたため、大変残念でしたが前職は退職させていただきました。
その後、服薬治療によって症状は落ち着き、仕事を再開してよいと医師より告げられましたので、今回応募させていただいた次第です。
現在も服薬しておりますが、服薬を続けつつ暴飲暴食を控えれば日常生活に支障はありませんので、仕事にも全力で取り組みたいと考えております。
「親の介護」が理由の場合
近年、介護離職は深刻な社会問題となりつつあります。
親の介護を理由に離職していた期間がある場合、本人に原因があって無職期間ができたわけではないため、臆することなく事情を説明しましょう。
ただし、現在も介護が必要な状況なのか、離職期間が長期にわたったことで知識やスキルに影響が及んでいないか、先方は気になるはずです。
現在の状況を伝えるとともに、介護期間中も自主的に勉強を続けていたことなどをアピールすると好印象です。
空白期間の理由回答例
母親を常時介護する必要がありましたので、大変残念でしたが前職は退職させていただき、介護に専念しておりました。
認知症を併発していたため、入居できる施設が地域のグループホームに限られてしまい、満室で入居できない状況が続いていました。
先月、新たなグループホームが自宅近くに完成し、入居できることになりましたので、ようやく仕事に復帰できる見込みが立った次第です。
介護期間中も時間を見つけて最新の技術書を読んでおりましたので、前職での経験を生かしつつSEとして貢献することは十分可能と考えております。
「転職活動が難航した」が理由の場合
転職活動が難航し、結果的に離職期間が長期化してしまう場合もあるでしょう。
離職期間が3ヵ月程度までであればさほど不自然ではありませんが、半年以上となると相応の理由が必要になります。
どうしても就きたい職種や仕事内容が明確にあり、かつ求人が常時多数出ているわけではないことが明らかであれば、納得してもらえるケースもあるはずです。
「再就職できればどこでもよかった」のではなく、こだわりを持って転職活動を続けてきた結果、応募先企業の求人に行き着いたことを伝えましょう。
空白期間の理由回答例
前職の出版社が文系教材の事業から撤退することになったため、社会科教材の編集職に絞って転職活動を続けてまいりました。
教育関連の仕事では、学習塾講師や教材の営業職などの求人はよく見かけたのですが、社会科の編集者を募集している出版社がなかなか見つからず、転職活動が難航しておりました。
今回、貴社の求人を拝見し、社会科の編集者を募集されているとのことでしたので、応募させていただいた次第です。
編集者としてさらにスキルアップできるよう、研鑽を重ねていきたいと考えております。
4)空白期間・ブランク対策の職歴書作成・面接対策には転職エージェントを活用しよう
職歴の空白期間・ブランクがある場合、転職活動において少なからず不利になる可能性があります。
求人に応募するにあたり、空白期間をどうカバーするか、応募書類や面接でどのような伝え方をするべきか、入念に対策を練っておくことは欠かせません。
とくに半年以上無職の期間が続いている人は、自力で職務経歴書の作成や面接対策に臨んだ場合、空白期間ができた理由として説得力があるか、客観的に判断する必要があります。
第三者のアドバイスを得るには、転職エージェントを活用するのが現実的でしょう。
転職エージェントを活用することで、空白期間のブランクをどう補えばいいのか担当アドバイザーに相談できます。
自分では想定していなかった伝え方をアドバイスしてもらえる場合もありますので、空白期間が長い人は転職エージェントを積極的に活用することをおすすめします。
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まとめ)空白期間という「逆風」への対策を可能な限り講じておこう
転職活動を進めるにあたって、職歴に空白期間があることにより不利になる可能性はかなり高いといえます。
これまでブランク期間を作ることなく転職してきた人と比べると、どうしても人材価値や就業意欲の面で疑義の目を向けられやすいため、相応の対策を練った上で転職活動に臨む必要があるでしょう。
少なくとも、「何もしていない期間があったようだ」「無為に過ごしていたのではないか」などと受け取られることのないよう、伝え方をよく考えておかなくてはなりません。
無職の期間が長引いてしまっているという「逆風」を乗り越えるには、職務経歴書を作成する段階から対策を講じておくことが大切です。
面接でのやりとりを見越して、十分に対策を練っておきましょう。
空白期間・ブランクを適切にカバーする伝え方ができれば、転職活動への影響を最小限に抑えることも決して不可能ではないはずです。