「これってセクハラ…?」と感じたときはどこに相談?実際の事例とパターン別対策
[最終更新日]2024/06/18
今このときにおいても、セクハラを受けて悩んでいる人は多いと思います。
日々の仕事をするうえで、心無い言動で、傷ついたり悲しくなることは、誰もが経験することかもしれません。
しかしそれがハラスメント行為に該当するのであれば、適切な処置や対策を取ることは、非常に大切なことです。
多くの職場では、残念ながら、さまざまなハラスメントが発生し、今後も発生する可能性はあるでしょう。
そこには、価値観の違いや倫理観の欠如、コミュニケーション不足、多様な雇用形態、昔ながらの男尊女卑の思考など、さまざまな背景が考えられます。
目次
1)どこまでがセクハラ?セクハラの定義
セクハラとは、セクシャルハラスメントの略で、一般的に「性的な嫌がらせ行為」をいいます。
厚生労働省は職場における「セクハラ」について、以下のように定義しています。
「労働者の意に反する「性的な言動」に対する労働者の対応により、その労働者が労働条件について不利益を受けたり、就業環境が害されること」
つまり、職場において労働者が性的な嫌がらせ行為を受けること、およびそれに付随して解雇や減給、降格など労働条件においての不利益や精神的苦痛などの理由で就業環境が悪化することを「職場におけるセクハラ」と定義されます。
性的な嫌がらせ行為に該当する「性的な言動」とは、性的な内容の発言や性的な行動を指します。
必要なく身体を触ったり、性的な関係を強要するのはもちろんセクハラに該当しますし、それ以外にも以下のような言動がセクハラとされます。
- 性的な冗談やからかい
- 性的な内容の噂を流す
- 食事やデートに執拗に誘う
- わいせつな図画の配布や掲示をする
セクハラの種類は、大きく「対価型セクシャルハラスメント」と「環境型セクシャルハラスメント」の2つ
職場におけるセクハラは、大きく2つの種類に分かれます。
一つが、「対価型セクシャルハラスメント」、二つ目が「環境型セクシャルハラスメント」です。
それぞれどのような言動を指すのか、厚生労働省が公開するセクハラ対策のガイドラインをもとに、具体例もあげながら説明していきたいと思います。
対価型セクシャルハラスメント
労働者の意に反する「性的な言動」に対して、労働者が拒否・抵抗をした場合に、解雇や降格、減給など、職務上の不利益を及ぼすことをいいます。
例えば次のようなケースが「対価型セクシャルハラスメント」に該当します。
- 上司が部下に対して、執拗に食事やデートに誘ったが、拒否されたため、仕事の指示をせず無視した。
- 事業主が労働者に対して、必要なく身体を触ったことを抗議され、解雇した。
- 日頃から労働者に対して、性的なからかいや噂話を行っていることを、派遣社員に指摘されたので、派遣社員の雇用契約を更新しなかった。
要するに、立場の強い上司や事業主、雇用主が、権力や地位を盾に性的な嫌がらせを行い、拒否・抵抗されると、その立場をまた利用して、報復する(またはその可能性をほのめかす)ような悪質な行為です。
環境型セクシャルハラスメント
労働者の意に反する「性的な言動」で、労働者が不快な思いをし、仕事で能力が発揮できなかったり、業務に支障をきたすなど、就業環境に悪影響を及ぼすことをいいます。
追加型セクシャルハラスメントのように、相手に不利益を及ぼす(報復する)かどうかは関係なく、不快な思いをさせたかどうかが問題となります。
例えば次のようなケースが「環境型セクシャルハラスメント」に該当します。
- 上司が部下に対して、「バストが大きい」「ヒップが大きい」「スリーサイズは?」など、業務に無関係な性的な発言をし、部下は苦痛に感じ、就業意識が低下した。
- 取引先との飲み会で、プライベートの性体験を赤裸々に話されたり、しつこく聞かれ、不愉快な思いをした。その後、取引先とコミュニケーションが取りづらくなり、仕事に支障をきたした。
- 職場の目につくところに、性的な写真やポスターが貼られ、仕事に集中できない。
環境型セクシャルハラスメントは、性的な「発言」や性的な「行動」により、相手に不快な思いをさせ、職場環境を悪化させることです。
セクハラ行為を行った者は「褒めたつもりだった」「仲良くなれると思った」「自分がされて嫌とは感じない」など、悪気はなく、相手を傷つける意図がなかったとしても、セクハラ行為を受けた者が「不快」「苦痛」と感じた時点で、セクハラ行為に該当するのです。
2)セクハラに悩んでいる人は、どのくらいいる?
1日の大半の時間を職場で過ごす人は多いのではないでしょうか。
その職場でセクハラを受けたり、周囲で受けている人がいるのであれば、それは許しがたい事態です。
現にセクハラに悩んでいる人は、どれくらいの割合で存在するでしょうか。
ここでは、日本労働組合総連合会が公開する「ハラスメントに関する実態調査」を参考に、職場で受けたハラスメント行為(セクハラ含む)について、受けた人の割合や内容などをお伝えします。
引用元:日本労働組合総連合会「仕事の世界におけるハラスメントに関する実態調査2019」
引用元:日本労働組合総連合会「仕事の世界におけるハラスメントに関する実態調査2019」
上記の実態調査は、2019年の職場のハラスメントに関するアンケートになります。
最初の円グラフでは、職場でハラスメントを受けた人の割合を表しており、その割合は「37.5%」でした。
全体の3割以上、つまり3人に1人の割合で、何かしらのハラスメントを職場で受けたことがあるということになります。
その下の棒グラフでは、受けたことのあるハラスメントの内容を、性別、世代別で表しています。
全体として一番多かったハラスメントは、「脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言などの精神的攻撃」で、パワハラに該当する行為です。男女ともに約40%以上が受けたことがあると答えています。
また、女性の「37.7%」と、2番目に高い割合で受けたハラスメントが「セクハラ」です。
男性のセクハラ被害の割合は「14.2%」と女性ほど多くはありませんが、セクハラは女性だけが被害に合うわけではありません。
年代別で見ていると、20代で最も多いハラスメントは「セクハラ(33%)」、30代~50代は「脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言などのパワハラ(30代が46.7%、40代が38.0%、50代が42.0%)」でした。
30代のパワハラ被害の割合は最も高く、およそ半数(2人に1人の割合)近くが受けたことがあると答えています。
この調査からもわかるように、セクハラを含め職場でのハラスメント行為は、想像以上に多くの被害者を出し、現在も悩み苦しんでいる人たちがいるのが実態です。
具体的には、どんなケースがある?
前述のように、これまでセクハラで傷つき、苦痛を感じている人は多くいます。
そのようなセクハラ行為は、具体的にどのようなケースがあるのでしょうか。
ここでは、実際に「みんなの転職「体験談」。」に寄せられた体験談や、労働局雇用均等室に相談のあった事例などを紹介します。
実際に起きた辛い体験ですが、今後そのような行為から自分を守るため、セクハラの問題と向き合うために、参考にしていただければと思います。
みんなの転職「体験談」。に寄せられた体験談事例
ある時から、職場の上司(男性)から関心を持たれ、しつこく言い寄られるようになったのです。
始めのうちは軽くあしらっていたのですが、だんだんとセクハラまがいの言動をとられることも多くなるうちに、仕事場へ通うのが怖くなっていきました。単に女性としての興味を向けられているだけでなく、私の仕事ぶりに対する嫉妬心みたいなものも、言動の端々から感じられることがありました。
「そろそろ結婚して、主婦になった方がいいんじゃないの?」とか、そんなようなことを。私は性格的に競争社会が向いていないので、嫌な思いをしてまで今の職場に縛られている必要もないんじゃないかと思うようになりました。
同時に、女性が多く、嫌な男性の少ない職場で仕事がしたいと思いました。
上手くやれていたと思っていた事務職の仕事ですが、段々とうまくいかなくなることが多くなりました。
主な理由は、新しく代わった社長から理不尽なことで怒鳴られたり、プライベートや家族のことを色々言われたり、セクハラまがいのことや人格を否定することを言われるようになったことです。
とても情けないのですが、その後社長に話しかけられると震えが止まらなくなり、朝起きて会社に行こうとすると声が出なくなることもありました。
私の業務は社長経由で発生することも多く、きちんと話をしないといけない仕事だったのですが、その度に震えてあがってしまい、話の重要な部分をちゃんと聞けていなくてミスをしてしまう、そんな日々が続きました。
労働局雇用均等室に相談のあった事例(厚労省HPより)
女性労働者Aは、事業主の所長Bから抱きつかれるなどのセクシュアルハラスメントを受け、精神的なショックで仕事を休んでいる。部長Cにセクシュアルハラスメントを受けたことを伝えたところ、「休むのは本人の意欲の問題で、会社に出てくることができないなら辞めてもらうしかない」と言われた。
引用元:厚労省「セクシュアルハラスメントを受けた女性労働者の相談とその後の状況」
女性労働者Aは、直属の上司Bと同僚男性に誘われ、飲みに行ったが、同僚男性が先に帰宅し、Bと2人きりになり、Bからホテルに誘われた。Aはショックを受けたが、とにかく断り帰宅した。
その日以降、Bの行動のすべてが不快に感じ、耐えられなくなったため、部長Cに相談した。A、B、Cの3人で話し合いの場を持ち、その場でBはAに謝罪したが、CからBに対しては何のコメントもなかった。
話し合い後、Bの態度が一変し、Aに対して辛くあたり、事務的なこと以外Aに話しかけなくなったため、Aは職場でいたたまれない状況になった。退職についても考えるようになり、再度、Cに相談したが、謝罪は済んでいるとしてとりあってもらえなかった。また、Cは、部の職員全員にAが退職するということを話した。引用元:厚労省「セクシュアルハラスメントを受けた女性労働者の相談とその後の状況」
アルバイトで清掃の仕事をしている女性労働者Aは、上司Bとの身に覚えのない性的な噂を職場で流された。その後、Aは、Bから「そのような噂がある人は辞めてもらわないと困ると本社が言っているので辞めてほしい」と言われ、ショックを受けた。このような形で辞めなければならないことが納得できないが、会社のどこに相談すればよいか分からないとして、雇用均等室に相談をしてきたもの。
引用元:厚労省「セクシュアルハラスメントを受けた女性労働者の相談とその後の状況」
「みんなの転職「体験談」。」に寄せられた体験談として、前半の2事例は「環境型セクシャルハラスメント」に該当するでしょう。
セクハラ行為をする加害者は、「セクハラをしている」という意識があるかないかは不明ですが、被害者に対して、性的な発言や相手を陥れるような酷い暴言を放ち、明らかに苦痛を与えています。
その結果、仕事に悪影響を及ぼし、就業意識が低下してしまいました。
一方、労働局に相談のあった、後半の3事例は「対価型セクシャルハラスメント」に該当するでしょう。
必要なく抱きつかれる、性的な関係を要求される、性的な噂を流されるなど、意に反する性的な言動に対して、上司に相談したところ、最終的に退職に追いやられるような状況になりました。
ただし、この3事例については、その後被害者本人が、都道府県の労働局に相談して、然るべき対処がなされました。
その後、会社側では以下のような対応が取られています。
- 就業規則が改定された
- セクハラなどのハラスメント行為に対する相談窓口を設置した
- 被害者に対して、解決金を支払った
- 加害者に対して、然るべき処分を下した
- 被害者の希望を尊重し、部署異動を命じた
対価型セクハラという悪質な行為を受けて泣き寝入りするのではなく、意を決して労働局に相談することで、事情が大きく変わった事例です。
労働局の相談窓口については、次章「3)セクハラと感じたときの、相談先と適切な対策」にて詳しく解説していきます。
セクハラ以外のハラスメントやセカンドハラスメントにも注意
職場では、セクハラ以外にも、以下のようなハラスメントがあり、セクハラと併せて横行するケースもあります。
パワハラ(パワーハラスメント)
厚生労働省が定めたパワハラの定義は以下の通りです。
①優越的な関係を背景とした言動であって、
②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
③労働者の就業環境 が害されるもの、
①~③までの要素を全て満たすものをいいます。
パワハラは、以下の表のように、大きく6つの言動に分類されます。
具体例もあわせて見ていきましょう。
分類 | 具体例 |
---|---|
身体的な攻撃 | 殴打、足蹴りなど身体的に暴行を加える行為 |
精神的な攻撃 | 脅す、怒鳴る、同僚が見ている前で罵るなどの人格否定にあたる行為 |
人間関係からの切り離し | 長期間にわたり仕事から外す、無視する、必要な情報を与えないなどの行為 |
過大な要求 | 誰の目から見ても明らかな過大要求や過酷な条件の要求をするなどの行為 |
過小な要求 | 本来の業務内容や本人の能力とかけ離れた簡単な仕事しか与えないなどの行為 |
個の侵害 | プライベートに立ち入って執拗に言及、監視、交流を迫るなどの行為 |
ただし客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、パワハラには該当しません。
モラハラ(モラルハラスメント)
モラハラは、セクハラやパワハラのように、国がガイドラインを公表し明確な定めをしているわけではありませんが、文字通り「モラルに反する嫌がらせ」と受け止めてよいでしょう。
必要なく、陰口や嫌味を言う、侮辱する、暴言をぶつけるなど、立場や権力などに関係なく行われる行為です。
パワハラと重なるような行為も含まれます。
マタハラ(マタニティハラスメント)
妊娠、出産、育児を理由とした、嫌がらせ、解雇や雇止め、降格などの「不利益な取扱い」を受けることをいいます。
また、表向きに妊娠、出産、育児休業等を理由とせずとも、それらの事由から原則1年以内に「不利益な取扱い」をうけることも、マタハラに該当するとされています。
参考文献:
厚労省「職場におけるパワーハラスメント対策が事業主の義務になりました︕」
一般財団法人女性労働協会「マタニティハラスメントの起こらない職場づくり」
セカンドハラスメント
「セカンドハラスメント(セカハラ)」とは、セクハラなどハラスメント被害にあった者が、周囲に相談したところ相談相手から、責められる、被害を軽視される、不当な扱いを受ける、嫌がらせを受けるなど、二次的な被害を受けることです。
例えば次のようなケースが「セカンドハラスメント」に該当します。
- 「あなた(被害者)にも落ち度があったのではないか?」と責める。
- 「よくあることだよ」や「思い込みでは?」と被害を軽視したり、疑う。
- 「(加害者は)そんなことする人ではない」と事実を信じない、否定する。
- 公にハラスメントの内容や被害者、加害者がわかるよう噂を流す。
- 「すぐにハラスメントと騒ぎ立てる風潮はよくない」と被害者の立場を考えない。
このようなセカンドハラスメントを恐れ、ハラスメントを受けても周囲に相談できない、告発できない、という方もいるのではないでしょうか。
ハラスメントは社会全体で防止すべき行為であり、会社でも防止対策が義務付けられています。
もしハラスメントを受けるようなことがあれば、1人で悩まず周囲へ相談すること、そのために適切な相談先と対策を知ることが大切です。
3)セクハラと感じたときの、相談先と適切な対策
ここまで、セクハラの定義や具体例、実際に悩んでいる人の割合や体験談などをお伝えしてきました。
ここでは、もし自身がセクハラと感じるような行為を受けたとき、どこに相談すべきか、どのように対処すべきかを解説していきます。
1人で抱え込まず、まずは相談することから始めてみましょう。
相談先や対策は、以下のように4つに分けてお伝えします。
自分を守るため、最も適した方法を慎重に選ぶようにしましょう。
社内の相談窓口、または信頼できる上司に相談する
2020年6月に労働施策総合推進法、男女雇用機会均等法の一部改正により、事業主は、ハラスメント防止のため必要な措置をとる義務があります。
その措置の一つとして、社内に相談窓口を設けること、そこで担当者が適切に対応することが定められています。
相談方法は、対面だけでなくメールや電話、社内イントラネットなど、プライバシー厳守のうえ相談しやすい環境を整えるよう示唆しています。
相談相手は、管理職や人事労務担当部など「内部相談窓口」と、ハラスメント対策を専門とする民間企業や社労士など「外部相談窓口」に分かれます。
自身の会社の相談窓口は、どのような形態がとられているのか、あらかじめ確認しておいてもよいでしょう。
また上司に相談するのも1つの手段ですが、信頼関係が築けていること、人として尊敬できるような相手を選ぶようにしましょう。
相手の立場に立って親身になってくれる上司が望ましいですが、口が軽い人、加害者と仲のいい上司、男尊女卑の思想や、ハラスメントに対する理解が足りない上司などはやめておいた方がよいでしょう。
上司に相談する場合は、人選が非常に重要になります。相談できるような上司がいなければ、他の方法を検討しましょう。
参考文献:
厚生労働省「職場におけるハラスメントの防止のために(セクシュアルハラスメント/妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント/パワーハラスメント)」
厚生労働省「2020年(令和2年)6月1日より、職場におけるハラスメント防止対策が強化されました!」
各都道府県の「労働局雇用均等室」に相談する
セクハラの相談先として、厚生労働省が運営する公的機関「労働局雇用均等室」もあります。
各都道府県に設置された「労働局雇用均等室」は、セクハラやマタハラ、性別を理由とする差別や育児休業・介護休業についての相談も応じ、内容によっては行政指導や紛争解決の援助を行っています。
相談は電話や対面で受付けています。各都道府県の労働局によって受付時間などは異なるため、あらかじめホームページで確認しておきましょう。
公的機関であるため無料で、匿名で相談することも可能です。
参考:都道府県労働局(労働基準監督署、公共職業安定所)所在地一覧
厚生労働省「都道府県労働局(労働基準監督署、公共職業安定所)所在地一覧」
各都道府県労働局雇用均等室の所在、連絡先を確認できます。
雇用均等室に相談すると、関連する法令や過去の事例なども含め、専門の担当者より説明や助言があります。
そして必要に応じて、事業主に対して、法に基づいた行政指導が入ります。これはあくまでも「指導」であり、「罰則」や「命令」に値するものではありません。
そのため、早急に状況が(自分が望むように)変化する確証はありません。
しかし、行政指導で会社側の対応に変化があった事例も多く存在するため、諦めずまずは相談をしてみることが大切です。
法的処置を取る
セクハラを訴える、訴訟を起こす。といった法的処置を取る方法もあります。
裁判を起こして勝訴し、加害者や会社に対して、損害賠償を請求することが目的となります。
そのためには、セクハラの被害を立証するため、有力な証拠が必要不可欠です。
例えば、以下のような証拠が求められるでしょう。
- 加害者とのメールの履歴
- 会話の録音
- 加害者からの手紙やプレゼント
- 被害者の日記、メモ
- 目撃者などの証言
加害者がセクハラをしているという意識がある場合、訴訟リスクを想定し、物的証拠は残さないよう気を付けている場合も考えられます。
その点、被害者の日記やメモなどの記録が有力となるため、その都度記録することをおすすめします。
その際、被害にあった日付、時間、場所、加害者の名前、所属部署、行為の内容、など詳細に記録するよう心掛けてください。これは、訴訟だけでなく、労働局や相談窓口などに相談する際も役立つからです。
訴訟を起こすには、時間とお金、労力がかかります。そのような対価を払って進めるべきなのかどうか、弁護士ともよく相談し、考えていきましょう。
会社自体に問題を感じるのなら、転職も検討を
セクハラ被害を通して、会社自体が信頼できない、今後働き続けることはできない、という決断に至ったのであれば、思い切って転職を検討するのも1つです。
もちろん、セクハラ被害に屈するのではなく、何らかの行動に移したけれど、改善されなかった、心身のバランスを崩し職場にいられなくなったなど、やむを得ない理由です。
ただし、採用面接の際、転職理由として「会社が悪い」「自分は被害者」というフレーズを前面に出すのは、採用担当者の心証によくありません。
採用担当者は、短時間の面接だけで、それまでのいきさつやその人の人間性、前の会社の状況などを把握することは難しく、「自分を正当化する人」「お世話になった会社やそこで働く人たちを悪くいう人」とマイナスに見られてしまう可能性もあります。
辛い経験をしたことは確かですが、新しい会社では前向きにキャリアアップしたい!という明るい希望をぶつけてみるのも良いと思います。
また、転職のサポートをする転職エージェント等を利用し、アドバイザーに相談しながら転職活動を進めるのも良いでしょう。転職理由の伝え方など、転職活動での不安材料を一緒に考え、的確なアドバイスをくれるはずです。
転職活動の際には、多くの人が「転職エージェント」を利用しています。
その主な理由は、国内の少なくない企業がハローワークや転職サイトではなく転職エージェントのみに「非公開求人」を出しているからです。
ですが、私たちが転職エージェントを利用する際は「求人を紹介してくれる人」としてではなく、「転職活動全般を相談できる人」として活用したほうがより効果的でしょう。
上記図で表す通り、「求人紹介」は転職エージェントが提供するサービスの一部でしかありません。
それ以外のサービス、例えばキャリアプランのアドバイス(キャリア相談)、書類添削、面接対策などの選考通過のためのサポートも受けることによって、転職成功の確度を高めていけるはずです。
ただし、転職エージェントは国内多くのサービスがあり、またどの担当者が付くかによってもサポートの提供のされ方が変わります。
あなたに合った転職エージェント(または担当アドバイザー)を見つけるためにも、はじめに2~3つのサービスに登録して、利用のしやすさやコミュニケーションの取りやすさを比較しておくことをおすすめします。
具体的な転職エージェントのサービスについては、以下に一覧をまとめていますのでご参考ください。
相談をよく聴いてくれて、サポートの手厚いと評判のおすすめ転職エージェント
サービス名 | マイナビエージェント | JACリクルートメント | LHH転職エージェント | ヒューレックス |
---|---|---|---|---|
メリット |
|
|
|
|
デメリット |
|
|
|
|
公開求人数 | 約6.9万件 | 約2.1万件 | 約1.5万件 | 約2.6万件 |
得意業界/職種 | ◎全業界 | ◎全業界 | ◎全業界 | ◎全業界 |
対象年代 | ◎全年代 | ◎全年代 | ◎全年代 | ◎全年代 |
対象地域 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 |
おすすめの人 |
|
|
|
|
サービス登録先 |
表内の求人数は2024年11月時点のものです。
まとめ)セクハラは1人で悩まず、まず相談を!
この記事では、セクハラの定義や該当する行為、実際にあった事例、さらにセクハラにあった際の相談先や対策についても紹介しました。
性的関係を迫ったり、体に触れるだけでなく、性的な発言や会話、職場の目につく場所に性的な写真などを掲示することもセクハラに該当します。
加害者に悪気はなくとも、被害者の主観でセクハラ認定されることも多く、声をあげなければ周囲も加害者も気づかない場合もあるのです。
そのため、まずセクハラを受けたと感じたら、相手にやめるよう伝えること、それが難しい場合は周囲に相談することが大切です。
セクハラは1人で抱え込んでしまいがちな問題ですが、法令で、会社はハラスメント防止対策を講じることが義務づけられています。
相談先や対策は複数あるため、自分ができる方法で解決に向けて行動を起こしてみてください。