信用金庫への転職は難しい?それとも転職しやすい? 仕事内容と未経験からの転職のポイント
[最終更新日]2024/06/12
信用金庫の仕事に興味があり、転職を検討したことはありませんか?
地域経済の活性化に貢献する信用金庫の仕事には、大きなやりがいがあるといわれています。
一方で、同じ金融機関である銀行との違いなど、信用金庫の仕事内容についてより詳しく知りたい人も少なくないはずです。
目次
1)信用金庫ってどんな仕事?銀行との違いは何?
信用金庫は金融機関の一種です。
ただし、銀行が株式会社であるのに対して、信用金庫は非営利法人である点が大きく異なります。
銀行の行員が社員である一方で、信用金庫の従業員は団体職員なのです。信用金庫と銀行の違いをまとめると、下表のようになります。
信用金庫と銀行の違い
信用金庫 | 銀行 | |
---|---|---|
事業形態 | 非営利法人 | 株式会社 |
事業の目的 | 地域の経済活性化と相互扶助 | 利益の追求と株主への還元 |
顧客対象 | 地域の事業者(主に中小企業)および個人 | 全国の事業者および個人 |
このように、預金を集めたり、資金を貸し付けたりする点は銀行と共通していますが、事業の目的や主な顧客の対象が銀行とは異なります。信用金庫は、いわば「地域密着型の金融機関」なのです。
信用金庫の主な仕事内容
窓口業務
信用金庫の各支店に訪れたお客様の対応をする業務です。
新規口座開設や入金・出金業務をはじめ、住所や届出印の変更、振込・振替といった手続きを行います。
また、資産運用について検討しているお客様の相談に応じることも、重要な窓口業務の1つです。
地域の会員による出資で成り立っている信用金庫にとって、お客様への対応は非常に重要な業務といえます。
お客様の信頼を損なうことのないよう、丁寧かつ正確な対応を心がけなくてはなりません。お客様と直接接点を持つ窓口業務は、信用金庫の「顔」と位置づけられるでしょう。
事務業務
窓口業務の担当職員がお客様から受け取った伝票や書類・現金などは、事務業務の担当者へと回されます。迅速かつ正確に事務処理を進める能力が求められる仕事といえるでしょう。
また、信用金庫の支店には個人や事業者のお客様から問い合わせの電話がかかってくることもあります。金融商品を案内したり、クレーム対応をしたりするのも重要な事務業務です。
事務業務といってもいわゆる一般事務とは異なり、信用金庫の業務全般に対する幅広い知識が求められます。支店内の混雑状況によっては、窓口業務のサポートに回ることも少なくありません。
融資業務
資金が必要な個人や法人に対して、貸付をする際に発生する一連の業務を担当します。融資の申込書類を受け付けて与信審査を行い、融資の可否を伝えるのが主な仕事です。
信用金庫にとって、地域の中小企業への融資は非常に重要な役割の1つといえます。中小企業にとって、融資を受けられるかどうかによって事業の存続や将来に向けた設備投資に大きな影響を与えることもあるからです。
また、地域の商店街と協同で地域経済を活性化させるためのイベントを開催するなど、企画を手掛けることもあります。
融資と聞くとお金の流れを想像しがちですが、実は人とのつながりが重要視される業務なのです。
為替業務
振込による送金など、信用金庫の口座から資金移動をする業務です。資金の移動先は信用金庫だけでなく、銀行や信用組合、農協、労働金庫など多岐にわたります。
近年はネットバンキングを利用する人も増えているものの、窓口での為替業務も少なからず発生するのが実情です。
多くの信用金庫は外国為替業務にも対応しているため、国外への送金を扱うことあります。
送金の際に発生する手数料は信用金庫にとって重要な収益源であると同時に、顧客の利便性を向上させる意味でも必須の業務の1つです。
未経験から信用金庫職員になれる?
信用金庫への転職難易度は、銀行と比べると低いといわれています。信用金庫によっては、職歴不問で人材を募集しているケースも少なくありません。
ただし、地域でも規模の大きな信用金庫の場合、地方銀行よりも就職するのが難しいといわれていることもあります。一方で、比較的小規模の信用金庫では未経験者も広く受け入れている場合もあるのです。
したがって、未経験から信用金庫職員になることは可能です。未経験者の場合、入職後は営業職からキャリアをスタートするケースが大半ですので、異業種での営業経験が生かせる場面も多いでしょう。
また、FPや簿記、證券外務員、宅建、中小企業診断士といった信用金庫の業務と親和性の高い資格を保有していれば、転職時に有利になることもあり得ます。
2)信用金庫の仕事のやりがいと大変なこと
信用金庫職員のやりがい
- 地域経済に貢献していることを実感できる
- お客様との距離が近く、感謝の言葉をかけてもらえることがある
- 目に見える形で仕事の成果が表れることも少なくない
信用金庫の顧客は地元の方々や法人ですので、地域経済に直接貢献していることを実感できます。
とくに中小企業にとってなくてはならない存在として、誰かの役に立っていると感じられるでしょう。地域の方々との距離感という点では、銀行よりもずっと身近な存在であり続けられるのです。
担当業務にもよりますが、窓口担当や渉外担当はお客様と直接やりとりをする機会がとくに多い職種といえます。担当しているお客様から「ありがとう」と感謝してもらえたり、築いてきた信頼関係が新たな契約につながったりすることもあるでしょう。
自身の仕事が困っている方々の助けになっていることを実感できる、やりがいのある仕事といえます。
お客様との信頼関係を築いていくには、日頃から地道に丁寧な対応を心がけていくしかありません。
しかし、信頼を勝ち取れれば契約数など目に見える形で成果につながります。担当者に対する信頼や感謝の念が可視化されたとき、信用金庫職員として働いていて良かったと思えるはずです。
信用金庫職員の大変なこと
- 覚えることがたくさんあり、未経験から転職すると苦労することもある
- 責任が重くプレッシャーのかかる仕事を担当することが多い
- 定期的に支店の異動があり、新たな環境に慣れる必要がある
信用金庫が手掛ける業務の範囲は幅広く、入庫してから覚えることが非常にたくさんあります。
とくに未経験の状態から転職した場合、はじめのうちは苦労することも少なからずあるでしょう。仕事に慣れるまで大変な思いをすることは、ある程度覚悟しておく必要があります。
また、信用金庫ではお客様の預金や資産を預かっているわけですから、責任重大な仕事です。ミスが発生すれば信用金庫全体の信頼が揺らぐような問題にも発展しかねないため、常に緊張感やプレッシャーが重くのしかかります。仕事の正確さ・丁寧さは必ず求められると考えてください。
信用金庫は地域密着型の金融機関とはいえ、支店間での異動は定期的に行われることがあります。
異動先で新たな環境に慣れていくにはある程度の適応力が求められるはずです。異動先ではお客様との信頼関係も真っさらな状態から構築し直していかなくてはなりません。
地域に密着した仕事=転勤なしとは限らない点を押さえておきましょう。
3)信用金庫職員の待遇と将来性
信用金庫職員の平均年収
信用金庫の平均年収は、およそ400〜600万円の範囲です。
前述の通り信用金庫は非営利法人のため、上場企業のように従業員の平均年収を公開する義務はありません。
したがって、各種口コミサイトなど実際に信用金庫で働いている方々の公開データを元にボリュームゾーンを捉えた結果と考えてください。
ちなみに、地方銀行の平均年収は500〜700万円前後です。全体的な傾向として、信用金庫の年収の水準は銀行よりも低いとされています。
信用金庫は営利目的の民間企業ではないため、銀行と比べると年収は高くなりにくいと考えてよいでしょう。
全業種の平均年収と比較した場合、信用金庫の年収は標準〜やや高い水準といえます。
金融機関としては年収水準が高い業態ではないものの、一般的に考えれば決して年収が低い仕事というわけではありません。
信用金庫職員の将来性
現在、信用金庫に限らず金融機関全般が重要な岐路にさしかかっています。
FinTechの台頭によって顧客はスマートフォンで送金や振込が可能となり、金融機関の窓口業務が担ってきた役割が縮小しつつあるからです。
メガバンクにおいても支店や出張所の統廃合を進めるなど、人員削減の動きが顕著になりつつあります。
信用金庫も例外ではなく、今後はFinTechをいかに活用しテクノロジーと共存していくかが重要なポイントとなるはずです。
ただし、信用金庫が全く必要とされなくなる日が訪れることはないでしょう。
なぜなら、地域の中小企業にとって信用金庫は今もなお貴重な融資元であり、銀行がカバーしきれていない領域を担っているからです。
地方創生に向けたさまざまな施策が講じられる中、地域に密着した信用金庫だからこそ果たせる役割は数多くあります。
このように、信用金庫の将来性を考える際には「FinTechとの共存」と「銀行にはない強み」の両軸を見据えておく必要があるでしょう。
4)信用金庫は転職しやすい?準備すべき3つのポイント
信用金庫への転職を目指すにあたり、意識しておきたいポイントがいくつかあります。とくに未経験者の場合、他業種と金融業界の違いに注意しておく必要があるでしょう。
次に挙げる3つのポイントを押さえて、信用金庫への転職準備を進めてください。
地元の中規模~小規模の信用金庫がねらい目
信用金庫と一口に言っても、規模によって転職難易度は異なります。大手信用金庫への転職は経験者が有利になりやすい傾向があるため、未経験者であれば中規模〜小規模の信用金庫がねらい目です。
居住地の近隣にある中小規模の信用金庫から優先的に探していくとよいでしょう。
信用金庫の求人は転職サイトなどでも探せますが、多くの信用金庫がHPで採用情報を公開しています。
信用金庫名で検索し、採用ページで現在の募集状況を確認しておきましょう。
中途採用者に求める経験など、応募要件についても掲載されている可能性があります。自身の業務経験が生かせるかどうか、信用金庫の採用方針を確認しておくことが大切です。
なお、信用金庫によって金融業界での実務経験者を求めているケースもありますが、中には実務未経験でも応募可能な場合があります。
銀行と比べると未経験者が転職するハードルは低めですが、「未経験」がどのレベルを指しているのかチェックしておくことは必須です。
職場見学(企業研究)は必須
応募先の候補となる信用金庫が絞り込まれてきたら、応募前に職場見学をしておきましょう。
顧客の1人として支店を訪問する方法のほか、支店にアポイントを取って見学させてもらう方法もあります。
可能であればアポイントを取って実務を見学しておいたほうが、採用後の働き方や仕事内容への理解をより深められるはずです。
実際に支店訪問をしてみると、信用金庫ごとに社風やカラーがあることが分かります。
働いている方々の様子や接客時のやりとりを観察し、自分に合いそうな職場を選ぶことが大切です。
支店訪問を通じて信用金庫の業務全般に対するイメージが変化することも少なくありません。
信用金庫としても、業務内容を理解した上で応募する人材のほうが信頼できるはずです。
とくに未経験者にとって、職場見学の重要性は高いといえます。
業界・企業研究を進めておくことも大切です。マイナス金利やFinTechといった、信用金庫を取り巻く業界動向についても十分に調べておきましょう。
業界・企業理解を深めることが志望動機に厚みを持たせるだけでなく、熱意が伝わる要因にもなるのです。
信用金庫への支援に強い転職エージェントを活用する
信用金庫への応募は直接HPから行うことも可能ですが、転職が初めての人や業界未経験の人は転職エージェントを活用することをおすすめします。
転職エージェントに登録すると専任のアドバイザーがつき、キャリアカウンセリングを実施してもらえます。金融業界や信用金庫への転職支援実績のあるエージェントであれば、過去の事例を踏まえたアドバイスを得られるはずです。異業種での業務経験のうち、意外な部分が信用金庫で生かせることに気づく場合もあるでしょう。自力で転職活動を進めるよりも、選考通過率を高められる可能性が十分にあります。
また、採用が決定した際の条件面に関しても、転職エージェントが信用金庫と転職者の間に入って交渉を進めてくれます。
できるだけ良い条件で入庫するためにも、第三者である転職エージェントに交渉してもらうことは非常に重要なポイントとなるでしょう。
5)信用金庫への転職におすすめの転職サイト・エージェント
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その後「応募や企業への交渉についてサポートしてほしい」となったときに、エージェントサービスに切り替えることもできます。
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まとめ)未経験から信用金庫への転職は「可能」
信用金庫は非営利法人の金融機関であり、地域の方々や中小企業が主な顧客という点が銀行と異なります。
また、比較的幅広く人材を受け入れているケースが見られることから、未経験者が転職することも決して不可能ではありません。
金融業界に興味がある人、地域の中小企業をサポートする仕事に携わりたい人にとって、大きなチャンスといえるでしょう。
今回紹介したポイントを参考に、ぜひ信用金庫への転職準備を進めてください。入念に事前準備をしておくことで、信用金庫への転職を実現できるはずです。