AIエンジニアへの転職は未経験でも可能?仕事内容・将来性・準備すること・キャリアパス
[最終更新日]2024/10/06
現在、「AIエンジニアになろう」と考えている人は多いでしょう。最先端のシステムを自らの手で作る喜びは、何にも代えがたいものです。
ですが、AIエンジニアは憧れだけでなれる職種ではありません。
日進月歩で技術を追いかける必要があるITエンジニアのなかでも、とりわけ幅広く深い知識やスキルが求められます。一人前になるまでは相当の努力が求められますから、あらかじめ知っておくことが必須です。
目次
1)AIエンジニアの仕事内容とキャリアパス
コンピューターは人間が作ったプログラム通りに動くことが、これまでの定説でした。
AIエンジニアはデータの変化に応じて、コンピューターが自動で判断し動作するシステムづくりを担います。
これから幅広い分野での活用が期待されるAIですが、仕事内容はAIエンジニアならではの特徴があります。ここでは業務内容や年収イメージ、将来性やキャリアパスについて見ていきましょう。
AIエンジニアが担当する仕事内容には、以下のものがあげられます。
- AIシステムを企画する
- Pythonなどを使い、AIシステムを開発する
- データを準備しAIに学習させ、結果の評価をする
- 最新技術の研究や調査
上記の工程は、他の職種と大きな違いはありません。ただし後で解説する通り、AIエンジニアには理数系の数学 を知っていること、Pythonなどのプログラミングスキルを持つことが前提です。
加えてAIは日進月歩の技術ですから、各自で業界誌や論文をリサーチし、最新技術を日々研究・調査することが欠かせません。このため、簡単になれる職種ではありません。
AIエンジニアは、さまざまな業種で求められる
AIエンジニアが働く場としては、IT企業や製造業が中心となります。一方でAIを使ったシステムを使う業種は、自動車などの製造業や金融、医療など、幅広いことが特徴です。そのほか、大学などの研究機関で働く道もあります。
より多くのAIが活用されるならば、AIエンジニアも今まで以上に必要です。今後AIエンジニアは、さまざまな業種の開発案件で求められることでしょう。
AIエンジニアのキャリアパス
AIエンジニアとして転職した場合は、すでに動いているプログラムをメンテナンスする保守・管理業務や難易度の低い業務を担当する場合が多いでしょう。
ここで実務経験を積み、難易度の高いプロジェクトに所属するなどのステップアップを目指すことになります。
その後のキャリアは、人によりさまざまです。
データサイエンティスト・データアナリストや研究者になり、第一線の技術者として活躍することも、努力次第で可能です。なかには、学校の講師になる人もいます。
もちろん、プロジェクトマネージャーや管理職の道を選ぶこともできます。将来の希望に応じて、スペシャリスト・ゼネラリストどちらの選択も可能なことは、AIエンジニアの特徴です。
AIエンジニアの平均年収
AIエンジニアは高いレベルが求められるため、年収も他のIT系職種より高めであることが特徴です。求人ボックスの調査(2020年10月28日現在)によると、以下の通りとなっています。
- 平均年収は602万円。476~560万円の人が多い
- 年収幅は393~1,064万円と幅広くなっている
AIエンジニアの年収はシステムエンジニアの平均年収よりも高いですが、一方でAIエンジニアの年収幅が広いことを見逃してはいけません。
これはあなたのスキルや入社した会社により、年収が大きく異なることを意味します。
そのため「実力と経験があれば、給料もアップする可能性がある」と考えましょう。特にAIエンジニアになったばかりの人の場合、年齢に関わらず年収が低いことは我慢しなければなりません。
一方で、実力があれば年収1,000万円超えも期待できます。海外の企業では、特に優秀なAIエンジニアに対して数千万円から数億円の年収を提示する場合もあります。
AIエンジニアの将来性
AIエンジニアは、将来性がある職種といえます。それはAIを取り入れる業界が次々と現れている一方で、開発に従事する技術者は不足しているためです。
情報処理推進機構は「IT人材白書2019」において、AI人材の過不足を調査しました。これによるとIT企業において、今後5年間でAI人材が不足すると答えた企業は全体の61.2% におよびます。
AIの活用はウィズコロナの時代にも合致する動きですから、重要な開発案件として扱われる場合も多いことでしょう。
このような状況ですから、多くのIT企業でAIエンジニアの募集が期待できます。一人前になるまでは大変な職種ですが、その後は高いスキルを生かし、さまざまな場面での活躍が可能です。
2)AIエンジニアに必要なスキル
AIエンジニアで働く際に求められる知識やスキルは、多岐にわたります。代表的な3つのスキルを、以下に取り上げました。
AIエンジニアとして活躍するために、上記のスキルは必須です。それぞれ必要な理由を、順に解説していきます。
機械学習に関する知識
AIは、コンピューターが自ら学ぶ仕組みを作ることにほかなりません。コンピューターも機械の1つですから、AIエンジニアになるためにはあらかじめ機械学習について学び、コンピューターに対してどのように学ばせるか知る必要があります。
機械学習は、大きく以下の3つに分けられます。
学習方法 | 説明 | 代表的な例 |
---|---|---|
教師あり学習 | 未知のデータに対して判別をする | 回帰や分類。多くのディープラーニングもここに当てはまる |
教師なし学習 | コンピューターにデータが持つ特徴や構造を分析させ、分類などを行わせる。データを学習させる際、正解かどうかという情報を与えないことが特徴 | クラスタリング、次元削減、GAN、主成分分析、アソシエーション分析 |
強化学習 | 成果(例えば報酬)が最大化するように自ら試行錯誤し、学習する。自転車にひとりで乗れるようになるイメージが代表例 | 囲碁AI、ロボットの歩行制御 |
エンジニアは開発したAIの効果を最大限に発揮するため、どの学習方法が適切か事前に選ばなければなりません。
このため、機械学習の方法について、十分な知識を得ておく必要があります。これらの情報はさまざまな書籍で得られますから、積極的に学ぶことが欠かせません。
PythonやC言語、C++のプログラミングスキルも必要。ライブラリの知識も必須
AIエンジニアは、システム開発も主な業務の1つです。
なかでもPythonはよく使われる言語ですから、滞りなく組めるレベルまで引き上げることが求められます。
加えてPythonには機械学習に使われるライブラリが揃っていますから、これらを使いこなせるスキルも要求されます。代表的なライブラリには、以下のものがあげられます。
ライブラリ名 | 説明 |
---|---|
scikit-learn |
|
Pandas |
|
Gensim |
|
TensorFlow |
|
これらをただ使える、プログラムを組めるというだけでなく、意味も知っていることが必要です。
あわせてAIエンジニアには、C言語やC++のスキルも求められます。それは以下に挙げる2つの理由があるためです。
- Pythonのライブラリには、C言語やC++で書かれているものがある
- 案件によっては、C言語やC++が使われる場合がある
従ってAIエンジニアになるためには、複数のプログラミング言語とPythonのライブラリを使いこなすスキルが求められます。
データ解析やデータベース、データモデリングに関する知識やスキル
よいAIを開発するには、目的に合ったデータを選び、学習させる必要があります。
これにはデータ解析の手法を知っておくことが欠かせません。代表的なものにはクロス集計や回帰分析、決定木分析などがあります。データ解析の本などを活用し、事前に学習しておきましょう。
また、AIは短時間で大量のデータを解析・処理する特性上、スピードも重要です。
効率よく処理するためには、データベースに関する知識も欠かせません。データベースには大きく分けて、以下の2種類があります。適切に使い分けられるよう、どちらも学ぶことが必要です。
- RDBMS(リレーショナルデータベース)
- NoSQL(RDBMS以外のデータベース)
加えてデータのパターンや構造などを知る上で、データモデリングの知識も必要です。このようにデータについても、学んでおくべき知識やスキルはたくさんあります。
3)AIエンジニアへの転職成功に向けて準備すべきポイント3つ
ここまで解説したとおり、AIエンジニアになるためにはさまざまな知識やスキルが必要です。
だからといってやみくもに準備しても、希望をかなえられるとは限りません。転職を成功させるためには、以下に挙げる3つのポイントを意識しておきましょう。
最低限の理数系の素養は必須。高校数学のレベルは押さえておこう
AIエンジニアは機械学習の理論を理解するために、数学の知識が求められます。なかでも、以下の分野は重要です。
数学の分野 | 業務での具体的な使い方 |
---|---|
微分積分 |
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線形代数 |
|
確率・統計 |
|
少なくとも、高校の理系クラスで習う数学の範囲をマスターしている必要があります。
AIエンジニアになりたい人は、これらの内容をしっかり復習しておきましょう。数学を専門に学んだ人は有利になりますが、油断せずに知識をチェックすることが重要です。
もし「文系クラスだったので微分積分を学んでいない」という人は、参考書などを使って学ぶ必要があります。
このように「プログラミングができれば、なんとかなる」とはいえないところが、AIエンジニアの難しいところです。
数学の習得には時間がかかります。入社後は早速スキルを求められる可能性がありますから、早めに十分な備えをしておきましょう。
書籍やスクールなど、専門家が監修した情報を活用する
AIエンジニアになるために、事前に身につけておくべき知識やスキルはもりだくさんです。
「スピーディーに学べる方法はないか」と考えている人もいるのではないでしょうか。
楽して学べる方法はありませんが、AIエンジニアで必要なスキルを効果的に学ぶ方法はあります。代表的な方法に、以下の3つがあげられます。
- 書籍で学ぶ
- オンラインスクールで学ぶ
- 専門学校やITスクールに通学する
いずれもAIエンジニアの専門家が監修していますから、仕事に必要な知識やスキルを効率よく学べることが特徴です。
スクールで学ぶ方法は費用がかかりますが、サポートがあることが特徴です。一方で書籍を使う場合は独学となりますから、強い意志が必要です。
おすすめの書籍には、以下のものがあげられます。あなたのレベルに応じて複数の書籍を活用し、スキルを高めましょう。
AIエンジニアを目指す際のおすすめの書籍
AIエンジニアの転職支援に強い転職エージェントを活用する
ここまで解説したとおり、AIエンジニアには高いスキルが求められます。その一方、応募するまでにすべてマスターしている必要はないでしょう。
業界トップクラスのスキルを求める企業も中にはありますが、「ひと通りの知識とスキルがあれば採用する」というスタンスの企業も少なくありません。
あなたに合った企業に転職するためには、こうした事情に通じた転職エージェントの活用が欠かせません。転職エージェントではあなたのスキルを把握した上で、活躍が見込める企業を紹介してくれます。
採用後のミスマッチや早期退職を防ぐ重要なポイントとなりますから、AIエンジニアになりたい人は自分で探すよりも、転職エージェントの活用をおすすめします。
もっとも、転職エージェントはどこも同じではありません。次の章では、どの転職エージェントに相談するとよいか解説していきます。
4)AIエンジニアへの転職におすすめの転職エージェント
AIエンジニア向けの求人を取り扱う転職エージェントは多くあります。
選ぶ際は、「AIエンジニア業務の求人が豊富か」「希望する転職地域に対応しているか」「担当者はこちらの希望をしっかり聴いて理解してくれるか」の3点を意識すると良いでしょう。
1点目の求人数と2点目の対応エリアについては、本記事が紹介するおすすめサービスにてあわせて説明します。
3点目の「担当者の品質」については、まずは「ここが良さそう」と感じたサービスを2~3つ登録して、そのうえで自分に合った担当者を見出して利用を絞っていくのがおすすめです。
ITエンジニアの人が転職エージェントを利用する際の選び方・活用法を紹介します。「自分に合った転職エージェントを見つけたい」という人は、以下ご参考ください。
AIエンジニアでの転職で、転職エージェントを活用するポイントは以下の3点です。
- Point1 各ITエンジニア向け転職エージェントの、それぞれの特徴を知っておく
- Point2 はじめに2~3つ「複数」の転職エージェントに登録しておく
- Point3 何度かのやりとりで「相性」と「やりやすさ」を確認する
特にポイント3つ目の「相性とやりやすさ」は重要です。転職エージェントの担当者とは、転職期間中はずっと付き合いを続けていきますので、「自分に合った担当アドバイザー」を早めに見出していくことが、転職成功のひとつの要となるでしょう。
レバテックキャリア
レバテックキャリアの担当エージェントは全員エンジニア経験者。「希望の企業に転職」96%、「転職後の年収アップ率」80%以上の高い実績を誇ります。
レバテックキャリアは「エンジニア実務経験者」のサポートに特化した転職エージェントサービスです。
保有求人数もIT・Web業界特化型サービスの中ではトップクラス。AIエンジニアの求人も豊富です。
また、エンジニアの専門知識を持つ担当エージェントからサポートを受けられます。
とくに書類添削サポートおよび企業への交渉力に強みがあり、「希望の企業に転職」96%、「転職後の年収アップ率」80%以上と、非常に高い実績を誇っています(※公式サイトより)。
「年収アップなど待遇面での改善をしたい」、「エンジニアとしてのキャリアプランを掘り下げたい」、「書類や面接で評価してもらえるようアドバイスを欲しい」というエンジニアの人は、レバテックキャリアがおすすめです。
レバテックキャリアの特徴
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サービス対応地域 | 全国 |
AI・機械学習エンジニアの公開求人数 | 約2,200件(2024年10月現在) |
リクルートエージェント
ITエンジニア求人数は国内No.1!豊富な転職ノウハウと支援ツールで、「スピーディな転職」を実現できます。
リクルートエージェントは国内No.1の求人数と転職支援実績を誇る転職エージェントです。
ITエンジニアの転職支援にも強く、2024年10月時点のITエンジニア向け公開求人数は約10万件、AIエンジニアの求人数は約3,300件と、他のエージェントから群を抜いての豊富さです。
これまで培ったノウハウをもとに開発された「サービス体制」と「支援ツール」が非常に高品質であることが、リクルートエージェントの強みです。
たとえば、リクルートエージェントでは志望企業の特徴・評判といった分析から選考のポイントまでをまとめた「エージェントレポート」を用意してくれます。
ITエンジニアの転職では、その職場の開発環境から必要なスキルや働き方まで、ネットで公開されていないような企業情報が必要となることが多いです。その際に、レポート情報は大いに役立つはずです。
また、担当アドバイザーもこれまでの実績をもとにAIエンジニアの転職に関する有益なアドバイスを提供してくれるでしょう。
リクルートエージェントの特徴
特徴 |
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サービス対応地域 | 全国 |
AIエンジニアの公開求人数 | 約3,300件(2024年10月現在) |
ギークリー(Geekly)
ギークリーはIT・Web・ゲーム業界への転職支援に強い転職エージェント。各職種別に専門コンサルタントが在籍しており、目指す領域の最新トレンドをキャッチしながらの転職活動が実現できます。
ギークリー(Geekly)は、IT・Web・ゲーム業界への転職支援に強い転職エージェントです。
Web3やX-Techといったトレンド技術の求人も多く取り揃えており、これらの分野で転職先を検討している人におすすめです。
ギークリーのキャリアコンサルタントは、最低でもIT業界で3年以上のコンサルティング経験を持っています。
また、サポートの際は細分化された職種別に担当が付きますので、目指す領域のトレンドや転職事例を知りつつの活動ができるでしょう。
そうしたサポート体制もあって、ギークリーを利用した転職者の年収アップ率は81%といいます(※2024年10月 公式サイトより)。
かつては「35歳転職限界説」もありましたが、ギークリーの転職成功者のうち、およそ4割近くは36歳以降のミドル世代であり(※公式サイトより)、幅広い年代で偏りなく実績を積んでいる点もギークリーの大きなメリットです。
ギークリー(Geekly)の特徴
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サービス対応地域 | 全国 |
拠点 | 東京 |
AIエンジニアの公開求人数 | 約1,000件(2024年10月現在) |
マイナビIT AGENT
マイナビ社が運営する、ITエンジニア転職に特化した転職エージェント。好条件求人の紹介、書類作成・面接準備へのサポートの手厚さに強みがあります。
マイナビIT AGENTは人材紹介会社の大手マイナビが運営する「IT/Webエンジニア専用」の転職支援をするエージェントです。
サポート対応地域は全国。オンラインでの面談も受け付けています。
マイナビIT AGENTの大きな特徴は、エンジニア向け求人数の豊富さ、そしてシステム会社から事業会社まで幅広い業界の求人に対応している点が挙げられます。
また、マイナビの転職サービスは「サポートの丁寧さ」にも定評があり、職歴書の作成や面接対策に不安を感じている人におすすめです。
マイナビIT AGENTを利用した人の転職後定着率は97.5%(※公式サイトより)。
転職者一人ひとりにマッチする求人紹介とサポートが期待できます。
マイナビIT AGENTの特徴
特徴 |
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サービス対応地域 | 全国 |
AI・機械学習エンジニアの公開求人数 | 約500件(2024年10月現在) |
まとめ)未経験からのAIエンジニアのハードルはやや高め。ただ、チャレンジする価値のある職種
AIエンジニアになるためのハードルは高いです。
一方で人材不足と言われている職種ですから、仕事で求められる知識やスキルを習得しておけば、あなたもAIの開発に加わることが可能です。
たしかにAIエンジニアになることは苦労が伴いますが、それだけの価値がある職種といえます。
もっとも、やみくもに準備をしても目標にはなかなか近づけません。無駄なく目標に近づくには、以下のポイントを押さえることが重要です。
- 必要な知識やスキルを正しく知る
- 書籍やスクールなど、専門家が監修した情報を使って学ぶ
- AIエンジニアを熟知する転職エージェントを活用する
将来のために今を頑張る覚悟と決意のある人はぜひAIエンジニアにチャレンジし、最先端の開発に加わってください。