介護事務。私の業務価値は、「エアコンの修理代」よりも軽かった。|私の転職体験談
転職前
- 職業
- 介護施設
- 職種
- 事務
- 従業員規模
- 300人
- 年収
- 230万円
転職後
- 職業
- 介護施設
- 職種
- 事務
- 従業員規模
- 2,000人
- 年収
- 360万円
目次
まことmmskさんの転職ストーリー
1これまでの私
いずれは、私も正社員に。
これまで、介護系の職場で介護事務の仕事をしていました。
もともと「働くなら福祉、介護に携わっていきたい」と思っていましたが、介護士として仕事に関わるにはあまり自信を持てなくて(適切な状況判断や対人能力といったものが本当に苦手でしたので)、介護事務の職業を選びました。
介護事務の仕事は、やりがいを持って取り組めていました。
間接的であったとしても介護、福祉に携わることができたのは嬉しかったですし、(現場をできるだけ丁寧にサポートしよう)という想いもありました。
あわせて読みたい
- 介護の仕事に向いてる人はどんな人?未経験から介護業界で活躍できるタイプとは
- 介護の仕事に向いてる人の特徴や、介護施設の種類、職場見学などについて説明します。「自分は介護に向いている?」「どんな施設があるの?」といった疑問を早めに解消すれば、今後の介護の仕事選びにも大いに役立てるはずです。...
家庭環境は母と二人暮らしです。父は早くに亡くなりました。
兄弟はいましたが、皆結婚してそれぞれ家庭を持っていましたので、「自分が母を守らないといけない」という気持ちがありました。
私が成人になったときはちょうど「就職氷河期」の真っただ中でした。
その影響もあって、これまで正社員で働いたことがありませんでしたが、当時の会社は正社員の登用制度があったので、(いずれは私も正社員に…!)という目標を励みに頑張っていました。
もう少し待遇が良くなって、そして母を充分に養える程になれれば、それ以上のことは求めずに、慎ましくも暮らしていこう──そんな風に考えていました。
2転職のきっかけ
私の業務価値は、「エアコンの修理代」よりも軽かった。
介護事務として5年程働きましたが、結局正社員になるどころか給与も上がりませんでした。
自分ひとりでしたら、まあなんとかなる給与額でした。
ですが、あるとき「将来母の介護が必要になったら、どれくらいお金がかかるんだろう」と調べた際に、今の収入ではとてもやっていけないことが分かり、とても陰鬱な気持ちになりました。
「ここではない職場に、転職した方が良いかもしれない」と考えるようになったのはちょうどその頃でした。
そもそも、介護事務はあまりスキルアップが望める職業ではありません。
更には、「事務職は、どんなに忙しくても残業代申請しないもの」という不文律がありました。
真夏のある日、事務所のエアコンが壊れてしまったことがありました。
これは大変と思い、急いで上司に掛け合いましたが、
- 上司
-
「いやあ、でもね…。事務所には基本的に事務員しか日中居ないからね…。ほら、エアコン修理って、何十万円もかかるじゃない?」
という反応が返ってきて。──これはもう、見切りをつけて全力で転職活動をしないといけないと、その時に思いました。
あわせて読みたい
- 「今の仕事、辞めるべき?続けるべき?」で悩んでいる人にぜひ持ってほしい3つの判断軸
- 「今の仕事を辞めるべきか」と悩む理由は人それぞれです。また、大抵は原因は1つでなく、いくつもの原因が積み重なっているといいます。そんな時、辞めるか続けるかをどう判断すればよいでしょうか?頼りにすべき判断ポイントについて、 一緒に確認していきましょう。...
3転職活動中
転職活動は、「落ち込む」、「凹む」の繰り返し。
転職活動で利用したサービスは、type転職、リクナビNEXT、それからハローワークです。
リクナビNEXTでは人材紹介のエージェントから連絡を受け、以降はそちらからも求人を案内してもらうことになりました。
毎週、エージェントからの紹介求人と転職サイトやハローワークの新着求人をチェックして。
面接まで行ける求人がでたらいったんその求人に集中して、不通過の結果がでたらまたそれを再開して…、というのを繰り返していました。
とにかく、「落ち込む」「凹む」の連続でした。
書類選考で不通過になっても落ち込みますし、ようやく面接までこぎつけてそこで落とされるともっと凹みます。
母親や友人は、「選考に落ちるのは、『縁がなかった』だけの話で、あなたの価値がないのではない」、「あなたのことを必要と感じてくれる人は必ずいる」といって励ましてくれました。
もうどこでも良いから、条件を下げようかと思ったこともありました。
ですが、結局それは誰も幸せにならないだろうと考えて思い留めました。
エージェントの人からも、「求人はまだ多くあります。やけになって転職しても、きっとその後公開することになるでしょうから、頑張りましょう。今が耐え時です」と励ましてもらいました。
後で知ったのですが、エージェントの人は担当によって大分対応が違うそうで、私はとても良い担当さんに付いてもらったと思います。どんな仕事をしたいかを深掘りして聞いてくれて、私に合う求人を厳選して紹介してくれました。
そして本格的に転職活動を開始してから3ヵ月経って、ようやく面接通過と内定の連絡を受けられたのです。
前職と同じ、介護事務の仕事でした。
あわせて読みたい
- 40代女性の転職活動に疲れたときに。辛い気持ちを溜め込まない対策
- この記事では転職活動がうまくいかずに辛い思いを感じている40代女性の方々に向けて、同様に苦労しながら転職を成し遂げた同世代女性の体験談を交えつつ、転職成功に向けての対処法について紹介します。...
4転職後
新しい職場で、待ち受けていた環境は。
新しい職場に入社しての第一印象は、「きちんとしている職場だな!」ということでした。
なんというか、従業員の方々皆さんがいい意味で上品で、コミュニケーションを取る時も適度な距離感があって。コミュニケーション下手な私でも、入りやすかったです。
それから、社内連絡用にとiPhoneを支給されて、私専用の名刺を用意してくれて。
コンプライアンス研修やハラスメント研修もあって、「困ったときはここに相談してください」と職員の相談窓口についても教えてもらいました。
あるとき、定時を過ぎて仕事をしていたら「残業申請しないとダメですよ」と怒られてビックリしました。
その後、休日に自宅で業務したことを伝えたらそこでも怒られて、休日業務申請書を渡されました。
──つまり、ちゃんと残業代や休日出勤代が出るということです。
私を叱った上司は理路整然として接しましたが、普段は朗らかで、感情的、ヒステリックになることはなく、いつでも相談しやすい雰囲気でした。
あわせて読みたい
- 転職する際に「残業時間」をどう考えるべきか?
- 現在の職場で残業が多いことが転職検討理由の1つという方、転職を希望している業界や企業の残業が多めで心配だという方に向けて、転職と残業について解説しています。...
5その後、どうなったか。
今回の転職を振り返って、今思うこと。そして、これから目指したいこと。
転職して思ったこと、それは、「日々積み重ねたことは無駄ではない。自分自身の価値はきちんとあった」ということです。
思えば、前の会社では上司と対等に話ができる機会は殆どありませんでした。
そして、私は無意識のうちに「自分は、話をするに値しない人間」と思っていたのだと思います。
今の会社で上司や同僚と仕事について意見交換をしていく中で、相手の考えや知識に感心をすることが多く、そしてときに相手が私にそう感じることがあるそうです。
自分で行っているや考えていることは当たり前すぎて大したスキルでないと思っていましたが、そうではなかったのです。
ちょっとしたことでも日々積み重ねたことは目に見える資格ではなくても立派な知識・スキルになっていることもあって、そのことを今の会社が教えてくれました。
後悔していることは、「前の会社で、もっと自分の意見を自信持って言えていたら、少しは違う結果になっていたのかもしれない」ということです。
同じ後悔は二度としたくありません。自分に自信を持てずにただ働き続けるということは、とても不幸だし、勿体ないことだと思います。
あわせて読みたい
- 「私たちは、なんのために働くか」を200人に聞いてみた。あなたにとって仕事とは?
- 仕事とは、私たちにとってどんな存在なのでしょう。そして、私たちはなんのために働くのでしょうか。現代は働き方や働く理由が多様化し、万人にとっての「正解」が見えにくくなっています。では、「何のために働くのか」について、一緒に考えていきましょう。...
◇ ◇ ◇
転職して、早2年が経ちました。
今の会社になってからはかなり年収が上がりましたが、母を養えるだけの充分な経済力があるかというと、まだ心元ありません。最低でも年収をあと50万円上げる必要があります。
まずはその年収額を目指して、親子で穏やかに暮らしていける環境にしていきたいです。
そのためにやるべきことは、まず「スキルアップ」です。
目の前の事務処理を正確かつ効率的にこなすことも大事ですが、制度・体制をより良くしていくための「管理部門としての視点」も、もっと養っていく必要があると思います。
例えば、事務が滞りなく進められる体制、職員との共通認識が取りやすくなるツールやルールの確立など、いい意味で「楽ができる」環境をつくっていきたいです。
それから、一人ひとりの職員が「自分が必要とされている」と感じられる職場にしていけること。
介護の職場は離職率が高くなることが多いのですが、そうした取り組みを続けることによって、改善していけると信じています。
また、副業もやれるならどんどんやって、あらたな知識・スキルと、そして収入を得る機会を増やしていきたいと思っています。