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人の幸せは、何で決まるか。40歳手前の転職活動で社会保険労務士から事務職へ|私の転職体験談

かなえ さん(女性 39歳 鳥取県)
まあまあ成功、
ちょっと失敗

転職前

BEFORE
職業
社会保険事務所
職種
社会保険労務士
従業員規模
20名
年収
250万円

転職後

AFTER
職業
土地家屋調査業
職種
事務職
従業員規模
4名
年収
200万円

目次

かなえさんの転職ストーリー

1これまでの私

3人家族の共働き。私は正社員のフルタイムで営業を。

イメージ図:訪問営業

人の幸せって、なにで決まるんでしょう?

日々、笑顔で過ごせるかどうかで決まるのだったら、きっと私は今「幸せ」なのでしょう。

でも、それだけではないような気がするんですよね。そんな単純なものでなく、いつ崩れてもおかしくないバランスの上に、私たちの幸せは成り立っている──、そんな気持ちになることがあります。

転職前、私は社会保険事務所で訪問営業の仕事をしていました。
給料は月20万円ほどで、手取りにすると16万円くらい。そんなに多くはありません。

ですが、夫との共働きでしたし、一人息子の世話や家事もあったので、特に不満はありませんでした。

仕事も慣れてきていましたし、それなりにやりがいも感じられていました。

社会保険事務所とは

社会保険事務所は、国民が加入する社会保険制度に関する手続きを管理・運営する公的機関です。
健康保険、年金、雇用保険、労災保険など、各種社会保険の加入手続きや保険料の徴収、給付の支給を行います。

社会保険事務所の営業職の仕事内容

仕事内容 説明
企業への保険制度案内 企業を訪問し、社会保険制度の説明や加入手続きのサポートを行います。従業員が適切に保険に加入できるように助言します。
保険料の徴収と管理 企業や個人から保険料を徴収し、支払い状況を管理します。未納が発生しないように、適切な指導やフォローを行います。
保険に関する相談対応 企業や個人からの社会保険に関する問い合わせに対応し、わかりやすく説明します。問題があれば解決策を提案します。
新規加入促進 未加入の企業や個人に対して、社会保険の重要性を説明し、加入を促進します。社会保険の普及を図ることが目的です。
社内外の研修や説明会の実施 社内スタッフや企業の担当者向けに、社会保険に関する研修や説明会を開催し、制度の理解を深めてもらうための活動を行います。

2転職のきっかけ

「今の仕事より、向いている仕事があるんじゃない?」

イメージ図:上司からの一言

ある時、上司からこんなことを言われました。

上司

「〇〇さん{私のこと}って、今の仕事よりも向いてる仕事があるような気がするんだよね」

そのときは特に深く考えずに、「えー、そうですか?例えばどんな仕事ですか?」と聞き返したのですが、その時の上司の反応が少しぎこちなかったのが後になって気になってきて、その夜、(あれは、遠回しに「辞めてほしい」という意思表示だったのだ)ということに気付きました。

そう考えたのは、いくつか思い当たる節があったからです。

まず、当時は2020年の5月頃、ちょうどコロナ禍で一度目の緊急事態宣言が出た時期です。
訪問営業もままならず新規顧客の開拓は事実上ストップ状態でしたし、いくつかの顧客は契約の解除の相談をし始めていました。

そして、事務所の経営も明らかに悪化していることは、上司たちの会話から良く伝わってきていました。

更には、もともと上司と私はそんなに相性の良い方ではなく、上司が私に向いてる仕事云々について話しかけることなんてこれまで一度もなかったのです。

数日後に上司が再度同じようなことを私に言ってきたとき、私は「もうここは辞めたほうがいいだろう」と思いました。

多分、辞めずに働き続けることもできたとは思います。ですが、会社から望まれないのに居座り続けるのは、私には無理でした。
実際、すでに惨めな気持ちでいっぱいでしたから。

この会社はこうやって簡単に人を要らないと判断してしまうのかという憤りと、これまで頑張って仕事してきたのは何だったんだろうという無力感。

あっという間に、私は不幸のどん底にいました。

──もちろん、私より大変な思いをしている人はいっぱいいるのに、不幸のどん底なんて言うのは良くないと思います。

でも、不幸な気持ちって、「他人と比べて」ではなく、「以前の幸せだった自分と比べて」感じてしまうものでしょう。誰だって、そうなんじゃないでしょうか。

3転職活動中

3ヵ月間の転職活動を経て。

イメージ図:いつも心が重たい

転職活動中も、私の「不幸感」は相変わらず大きくて、いつも心が重たかったです。

まず、転職先がなかなか決まらなかったこと。
年齢も年齢でしたし、コロナ禍中の活動でしたので、私と同じような求職者が沢山いたからです。

とある面接では、「応募者の多くは、あなたより経歴が優秀です」と言われたことがありました。

それは事実なのかもしれないし、諦めてもらうための方便だったのかもしれないですけど、

(そんな言い方って、あんまりすぎる…)

──と、悲しい気持ちになりました。

結局、自力での転職活動は果たせませんでした。

活動を始めて3ヵ月ほど経ったときに、夫の親族がやっている土地家屋調査の会社の事務職の空きが出たという話を聞いて。
ダメもとでお願いしてみたら、そこで雇ってもらえることになりました。

土地家屋調査業とは

土地家屋調査業は、土地や建物の境界や面積を正確に測定し、登記簿に登録するための業務を行う職業です。
土地家屋調査士が中心となり、土地の分筆や合筆、建物の新築や増築に伴う調査を行い、その結果をもとに登記申請を行います。

土地家屋調査会社の事務職の主な仕事内容

仕事内容 説明
測量データの整理と管理 現場で取得した測量データを整理し、管理します。データベースへの入力や、必要に応じたデータの取り出しを行います。
登記書類の作成補助 土地や建物の登記申請に必要な書類を作成します。土地家屋調査士の指示に基づいて、正確な書類を整えます。
顧客対応とスケジュール管理 顧客からの問い合わせ対応や、調査のスケジュール管理を行います。顧客とのやり取りを通じて、調査の進行状況を把握します。
資料の整理と保管 測量図や契約書、調査報告書などの資料を整理し、適切に保管します。必要なときに迅速に取り出せる状態を保ちます。
その他の事務作業 メールや電話対応、書類のコピーやファイリング、請求書の発行など、一般的な事務作業を担当します。会社の業務が円滑に進むようにサポートします。

自分では職場を探せなかったという不甲斐なさも感じていましたが、それでもようやく終わりの見えないトンネルの出口から抜け出せたような感覚もあって、これまでの暗い気持ちがウソだったかのように、心が軽くなりました。

4転職後

新しい職場の環境で、待ち受けていたことは。

イメージ図:意外に大変な事務職

これまでも事務の仕事は何度かやったことあるし、新しい職場でもなんとかやれるだろうと思っていましたが、想像以上に大変でした。

正直言って、事務職という仕事を甘く見ていたんだと思います。

事務職で扱う書類は、当然その会社の事業に関わるものですので、専門的な知識が求められることもあります。
そして私が転職したのは土地家屋調査業というまったくこれまでなじみがなかった分野でしたので、手掛ける書類の意味がさっぱり分からない。

ひとつの書類を処理するのに何回も何回も質問しないと進められないような状態でした。

幸運だったのは、職場の社長が親戚だったということもあり、業界未経験の私を温かく見守っていてくれたことです。

ですが、さすがに新卒の新人みたいな働き方が許される年齢ではありません。多めに見てくれていたとしてもせいぜい3ヵ月くらいまででしょう。だから、早く仕事を覚えられるように、必死に勉強しました。

慣れるのにそれから3ヵ月よりもう少しかかりましたが、それ以降は仕事もある程度スムーズにできるようになってきて。

そこでようやく、気持ちにも余裕が出てきました。

5その後、どうなったか。

今回の転職を経て、変わったこと。新たに今、思うこと。

イメージ図:家族との時間が増えた

今現在は、毎日を幸せな気持ちで過ごせていると思います。

ですが、自分が日々感じている幸せとは、ちょっとした出来事ですぐになくなってしまうものなのでしょう。──今回の転職を経て、私はそう思うようになりました。

コロナ禍がなければ、上司の心無い一言がなければ、私は変わらず日々を過ごしていたと思います。

そして、こういった予期せぬことは、今後も起きるかもしれません。
幸せとは、きっと私たちが想像している以上に不確かなものなのでしょう。

でも、その不確かなものを、すこしでも強固にしていくことは、努力次第でできるんじゃないか、とも思います。

最近、始めたことが2つあります。

ひとつは、副業

本業の会社で何か不測の事態が起きたときも困らないように、お金を稼ぐ手段を増やしておきたいと思って始めました。
今はクラウドソーシングで、簡単なライティング業務を行っています。

それからもう一つは、投資です。

こちらはまだ勉強中ではありますが、5年後10年後、そして老後を見据えて、より安心を感じられるように、投資による資産形成を実行できればと思っています。

不幸とは「かつて幸せだった自分と比較して、失ったものを感じたときに訪れるもの」だとしたら、幸せは、これから先の未来がより良いものになっていくことへの「予感」なのかもしれません。

だとしたら、将来への安心感を高める為の取り組みは、きっと幸せな気持ちに繋がるのではないでしょうか。

もちろんこれは私の考えで、人によって違うのかもしれませんが、それでも以前よりは幸せに向けて能動的に行動できるようになれた自分を感じることができています。

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