転職体験談:「人付き合い」が苦手でフリーランスになって、7年が経った今。
ちょっと失敗
転職前
- 職業
- 家電量販店
- 職種
- 販売員
- 従業員規模
- 約3,000人
- 年収
- 350万円
転職後
- 職業
- フリーランス
- 職種
- Webライター
- 従業員規模
- 1名
- 年収
- 250万円
目次
ライトさんの転職ストーリー
1これまでの私
人との関わりが苦手な私が、家電量販店の販売員になって。
転職したのは7年ほど前のことです。
当時、私は家電量販店で販売の仕事をしていました。
家電量販店の販売と言えば、とにかくお客さんと対話をする仕事です。
それなのに、私は人とコミュニケーションを取るのが苦手でした。
とくに嫌だったのが、「揉めごと」です。
きっかけは些細なことでも、相手(お客様の時もあれば、職場の人の時もあります)が引くに引けなくなって、そしてその矛先が私に向かった時が、本当に嫌だった。
それで解決すればまだ良いのですが、解決できないとその日家に帰ってもずっとモヤモヤして、夜も眠れなくなる──そんなタイプでした。
当時は独身で職場は実家から通っていました。
家族構成は、母と姉とペットを含む4人家族。
仕事のストレスの発散法は、休日の家族とのゆっくりした時間、それから友達との小旅行でした。
家族とは休日の夜、お酒を飲みながらちょっとした仕事の愚痴を言い合ったり。でも、その時間が翌週の仕事に向けて「まあ、もう少しがんばってみよう」という意識に繋がるのです。
それから、飼っていた猫。
仕事から帰ってくると待っていたかのように懐いてくる彼女のことを想いながら、毎日働いていました。
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2転職のきっかけ
どうしても、接客への苦手意識が拭えない。
「転職しよう」と思った理由は、1年仕事を続けてやはり「接客への苦手意識」がぬぐえなかったこと。
そもそも私はお客様に商品を勧めるのがまったく上手くできませんでした。
家電量販店の販売セオリーは、商品を買おうか考えているお客様に対して、買ってもらえるよう押しまくることです。でも、それが苦手でした。
だって、私が逆の立場でしたら、誰からも話しかけられずに自分でゆっくりどうしようか時間を気にせず考えたいと思いますから。
そんな感じでしたから、私の営業成績はいつも下の方でした。
あるとき、上司がそんな私の販売の仕方についてキツめの注意をすることがありました。
でも、その注意がまったく響かなかった。というか、逆に「なんか違う」って思ってしまったのですよね。
私は、お客様に「買ってよかった」と思って頂きたいと思っていました。──それが私にはできなかったのですが、上司の方針でそれが適うとも思えませんでした。
そんな私の態度を見て、上司は更に訝しげに、「今の話を聞いて、どう思っているんだ」と訊いてきました。
そこで私から出た言葉は、「私には、向いてません」でした。
この一言が、私が退職する直接のきっかけとなりました。
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3転職活動中
次に働く仕事は、人とあまり深く関わらずに済む仕事にしたい。
2年間続けた家電量販店の仕事を辞めて、しばらくは何もする気になれませんでした。
ですが、ずっと無収入のままでいるのはもっと不安でしたので、何か始めようと考え、そこで行き着いたのがWebライティングの仕事でした。
もともとWeb関連の資格を持っていたことがあったのと、「次に働く仕事は、人とあまり深く関わらずに済む仕事にしたい」という想いがあったからです。
知り合いに何人かフリーランスの仕事をしている人がいたので、その人たちにフリーランスとしての働き方について教えてもらいました。
そのうち1人の知人が、私に小さなお仕事を回しくれるようになって。それが、私のフリーランサーとしての第一歩でした。
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4転職後
はじめての、フリーランス・Webライターの仕事。
フリーランスにはなったものの、仕事は殆どありませんでした。
クラウドソーシングのサービスを使って案件を探すものの、実績のない私に回ってくるのは数百円~二千円くらいの少額のものばかりです。
思えば、この頃がとても精神的にきつかったです。
毎月赤字でしたし、安い案件から地道にこなし信用を大きくしていくことしか出来ませんでしたので。
今思えば、ハローワークなどで就職活動をしたほうが早い段階でお金にもなったかもしれません。
一方で、この間は多くの人から助けられました。
知人のライターさんは手当たり次第クライアントの方を紹介して頂き、フリーランスのライターとして働くためのコツも教えてくれました。
Web関連の仕事をしていた友人からは、当時のWeb制作のトレンドであったりSEOであったりを勉強させてもらい、ときには一緒にお仕事をさせてもらえることもありました。
そうして、ほんの少しずつ、継続してお仕事を依頼してくれるクライアントさんが現れてきて。
ときに乱暴な言い方をするクライアントさんもいて嫌な気持ちになることもありました。
でも、販売の仕事とは違って、ほとんどがメール上でのやり取りです。面と向かってのコミュニケーションと比べると大分楽でしたし、「もっといい品質にして、見返してやろう」という負けん気をもって臨むことができました。
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5その後、どうなったか。
転職を振り返って、今思うこと。そして、これから目指したいこと。
フリーランスになって、7年が過ぎました。
最初の1年間は月に1万円稼げるかどうかだったのが、今では毎月平均して20万円以上の収入になっています。
会社勤めの人と比べたらまだまだ少ないでしょうが、よくここまで頑張れたものだと、自分を誇らしく思うこともあります。
今回の転職で、自分自身について本当に色々考えました。
自分は何に向いていないのかであったり、どんなことから逃げようとしていたのかであったり。
とても弱い存在であることを改めて認識しましたが、でもそれだけじゃない。頑張れる自分もいました。──そのことを知れたのは、大きな収穫であったと思います。
フリーランスになって後悔はしていませんが、もし転職して会社勤めを続けていたらどうなっていたかな、と考えることもあります。
それはそれで経験になったでしょうし、今よりも収入も上げられていたでしょう。
家電量販店を辞めてしばらくして、私は「もう自分にはフリーランスしかない」と思っていました。でも、今思えばそんなことは全然なかったはずです。まだ若くて、勉強する時間もあって、雇ってくれる会社もきっとあったでしょう。
知らずのうちに視野が非常に狭くなっていて、転職先の選択肢をほとんど持てていなかったことは、反省点だったと思います。
あとは、元来あった私の「人への苦手意識」について。
私はずっと、人とのコミュニケーションや接客が苦手だと思っていました。──まあ、それは今でもそうなのですが、家電量販店で働いてた時は、その苦手意識について何もできていませんでした。
そしてフリーランスになって、そこでも結局人とコミュニケーションを取らなければ仕事はやってこないことに気付いて。
どうやって人(クライアントさん)と接していくべきか、ここになって本気で考えられるようになったと思います。
そして、そこで学べたことも沢山ありました。大変でしたが、良い経験でした。
◇ ◇ ◇
4年前に結婚をしまして、現在は夫と子ども2人の4人家族です。
産休・育休中は少しライティングのお仕事もセーブしましたが、現在もフリーランスとして精力的に活動しています。
これからも変わらずライティングの仕事をしていくでしょう。 でも、最近は「こんなことができたらいいな」と思う夢があります。
それは、世の中のお母さんが、育児だけではなく仕事も生きがいにできるようなお母さん達のための会社を作ること。
「女性活躍推進」と言われて久しいですが、まだまだ「育児・家事は女性のもの」という風潮は根強くあると思います。
もちろんそういう生き方も一つですので全否定はしませんが、結局人は、他人から感謝されてこそ生きがいや幸せを感じられるでしょう。
結婚後に家庭からほとんど出ることのない女性が、パートナーや家族からないがしろにされてしまったら、その人の人生はきっと不幸です。
だから、人は多くの「開かれた窓」を持っておくべきだと思うのです。
女性として、新たな人との出会いやコミュニケーションでやりがいや生きがいを感じられる日が1日でも多くなるような、そんな会社を立ち上げてみたいです。──コミュニケーションが苦手な私が、こんな目標を掲げるのもおかしな話ですが。
実現するかはわかりません。ですが、そんな未来像を思い浮かべると、自然と体内に気が回って、元気になれる自分がいます。