従業員の少ない会社への転職はリスクあり?入社前に知っておくべきメリット・デメリット
[最終更新日]2024/06/14
「従業員の少ない会社を転職先に選ぶべきだろうか?」
「大企業よりも小規模な会社のほうが自分に合っているのでは?」
このような思いを抱えていませんか?
一般的に、大企業は経営が安定しているといわれています。小規模な会社に転職するとリスクがあるのか、気になっている人もいるでしょう。
目次
1)従業員の少ない会社とは
はじめに、従業員の少ない会社とはそもそもどの程度の規模を指すのかを整理しておきましょう。
中小企業基本法において、小規模企業者は次のように定義されています。
- 卸売業・小売業・サービス業:従業員5人以下
- 製造業その他:従業員20人以下
上記よりも従業員の多い企業は小規模事業者ではなく、「中小企業」と定義されることになります。業種によって企業規模の定義が異なる点に注意してください。
ただし、これらはあくまでも法令上の区分です。
一般的におおよそ従業員20名以下の企業は、「従業員の少ない会社」と見られることが多いです。
従業員の少ない会社(小規模事業者)で働く人は、全体の15%
従業員の少ない会社で働く人の割合は、全体の15%です。
最も就業者数が多いのは中小企業で、次いで多いのが大企業となっています。企業全体の中では、小規模事業者は少数派といえるでしょう。
ただし、小規模事業者の割合は業種によって大きく異なります。
下は従業員数規模の割合を業種別にまとめた表です。
建設業は半数以上を小規模事業者が占めているのに対し、電気・ガス・熱供給・水道業では8割近くを大企業が占めていることが分かります。
産業別の小規模事業者・中小企業・大企業の割合
小規模事業者 | 中小企業※小規模事業者を除く | 大企業 | |
---|---|---|---|
全体 | 15.0% | 49.6% | 35.4% |
鉱業,採石業,砂利採取業 | 41.5% | 41.5% | 17.0% |
建設業 | 53.1% | 34.2% | 12.7% |
製造業 | 16.1% | 47.8% | 36.1% |
電気・ガス・熱供給・水道業 | 2.4% | 17.8% | 79.8% |
情報通信業 | 6.3% | 55.1% | 38.6% |
運輸業,郵便業 | 10.7% | 63.0% | 26.3% |
卸売業,小売業 | 10.3% | 49.9% | 39.8% |
金融業,保険業 | 7.5% | 8.8% | 83.7% |
不動産業,物品賃貸業 | 42.0% | 37.0% | 21.0% |
学術研究,専門・技術サービス業 | 17.1% | 45.8% | 37.1% |
宿泊業,飲食サービス業 | 7.7% | 55.7% | 36.6% |
生活関連サービス業,娯楽業 | 12.5% | 60.6% | 26.9% |
教育,学習支援業 | 6.9% | 67.5% | 25.6% |
医療,福祉 | 5.2% | 76.1% | 18.7% |
複合サービス事業 | 0.0% | 0.1% | 99.9% |
サービス業(上記以外) | 4.8% | 59.4% | 35.8% |
参照:中小企業庁「中小企業・小規模事業者の数(2016年6月時点)の集計結果を公表します」
転職先の業種によっては「従業員が少ないのはごく普通のこと」だったり、別の業種では「業界内でもめずらしいケース」だったりします。
このように、小規模事業者と一口に言っても業種ごとに位置づけはまちまちなのです。
家族経営・同族経営の会社のケースも多い
小規模事業者の中には、いわゆる家族経営・同族経営の会社も少なくありません。
家族経営・同族経営とは創業者とその家族が企業のオーナーであり、かつ経営者でもある会社のことです。
家族経営・同族経営の会社に対して、ネガティブなイメージを持っている人もいるかもしれません。
しかし、家族経営だからこそ従業員同士が気心の知れた間柄であったり、創業者の強烈なカリスマ性によって経営がうまくいっていたりする企業もあります。
家族経営・同族経営と聞くと閉鎖的な印象を持つかもしれませんが、中には従業員にとって多くのメリットを得られる企業もあるのです。
よって、家族経営・同族経営という理由だけで転職先の候補から除外するのではなく、従業員の少ない会社で働くメリット・デメリットを押さえた上で判断することが大切です。
2)従業員の少ない会社で働くメリット
従業員の少ない会社で働くメリットは、主に次の3点です。
大企業では得られないチャンスが得られるケースも多々ありますので、このようなメリットを求めている人にとっては充実した環境といえるでしょう。
幅広く仕事を経験でき、成長しやすい
従業員数の少ない会社では、一人ひとりの役割が細分化されていないケースが多く見られます。
大企業では部署ごとに役割が明確に決められており、各自が果たすべき役割をこなすことが担当者の主なミッションです。
一方、従業員の少ない企業では1人の従業員がさまざまな業務を兼務せざるを得ません。
そのため、幅広い仕事を経験でき、成長機会を得やすいというメリットがあります。
たとえば、小規模事業者では総務や人事の専属部署が設置されていないことも想定されます。
その場合、自身の担当業務に関わらず総務や人事に関する仕事も兼務しなくてはなりません。
結果的に総務や人事に関する業務知識が身につき、将来的なキャリア設計にも活かせる場合もあるのです。
一般的に、企業規模が大きくなればなるほど組織が縦割りになりやすく、他部署の業務内容をほとんど把握していないケースも少なくありません。
幅広い業務を経験することで成長したい人にとって、小規模事業者は適した環境といえます。
人間関係の構築がしやすい
従業員の少ない会社では、全従業員の顔と名前が一致しているのはもちろんのこと、お互いの性格なども熟知した上で仕事を進められます。
役職による上下関係もあまり厳密ではなく、個人間での信頼関係が重視されやすい環境といえるでしょう。
大企業の多くは役職が厳密に定められており、社内にヒエラルキーが存在しているケースも見られます。
直属の上司だけでなく、さらにその上役や経営陣にも気を遣う必要があるため、人間関係がシビアになりやすいのです。
身近な同僚との信頼関係ももちろん重要ですが、社内のパワーバランスを見抜き、的確に立ち回ることが求められます。
このように、従業員数が限られていることで個々の人間関係が重要な位置を占めていることは、小規模な会社で働くことのメリットといえるでしょう。
社外の人脈・ネットワークを築ける機会が多い
従業員数が少ない会社では、一人ひとりの従業員が会社の「顔」となる機会が多い傾向があります。
たとえば営業担当者の人数が限られているため、各担当者が抱えている顧客にとって「会社=担当者」と認識されやすいのです。
担当者への信頼が会社への信頼に直結しており、個人の力で事業を支える比率が高いといえます。
また、小規模な会社は自社で完結できる業務が少ないのも事実です。
事業を維持・拡大していくには社外の協力を仰ぐ必要があるため、必然的に社外の人脈・ネットワークが豊富になっていきます。
所属している企業名以上に個人名を覚えてもらいやすく、名刺交換をしただけの表面的な「人脈」ではない確固とした信頼関係を築きやすいのが特徴です。
3)従業員の少ない会社で働くデメリット・リスク
従業員の少ない会社で働くことには、デメリットやリスクとなりかねない面もあります。
転職先として検討する際には、デメリットやリスクの面も十分に理解した上で選択肢に入れる必要があるでしょう。
とくに次の4点については、小規模な企業に特有の注意点として押さえておく必要があります。
安定性は大企業・中企業と比べて低い傾向にある
一般的に、企業の資金力は規模に比例します。
大企業や上場企業は資金が潤沢であるだけでなく、資金調達の手段も数多く確保しているため、突発的に倒産するような事態に見舞われるリスクは低いでしょう。
一方、小規模な企業の場合はそもそも資金が限られている上に、融資先の金融機関などの信用力も大企業ほど高くありません。
業績や社会情勢によっては財務に甚大な打撃を受け、キャッシュアウトするリスクを抱えているのです。
従業員としても、自分が担当している業務の成果が経営にダイレクトに響きやすい側面があります。
大企業であれば人事考課が少々減点になる程度で済む話であっても、小規模な企業では経営が傾く直接的な要因になることもあり得るのです。
経営の安定性が大企業・中小企業よりも低い傾向があることとは、従業員の少ない企業で働くデメリットといえるでしょう。
雑務が多い、残業が多いというケースも
従業員数が限られている企業では、1人あたりの従業員が抱える業務量が多くなりがちです。
良い方向に捉えれば幅広い業務を経験できるわけですが、反面あらゆる業務をマルチにこなさなくてはならず、雑務が多くなりやすい傾向があります。
業務量の多さは残業時間が膨らむ原因にもなり得ます。
上場企業などコンプライアンスがシビアな職場では、残業時間が1分単位で管理され残業手当が支払われるケースも多いでしょう。
一方、小規模な企業では残業に関する規程が曖昧なことも少なくないため、長時間労働が常態化している職場も見られるのが実情です。
ワークライフバランスを重視する人にとって、業務量と残業の多さはデメリットとなりやすい点といえるでしょう。
教育環境・業務マニュアルが整っていないケースが多い
小規模な企業では、従業員を教育・指導するための十分な余力がないこともあり得ます。
業務マニュアルも整備されておらず、一人ひとりの知識や経験によって事業が成り立っているケースも多いのです。
大企業のように長期の座学研修が用意されていたり、明文化されたマニュアルが共有されていたりといったことがなく、「見て学ぶ」「経験から学ぶ」比率が高いことが想定されます。
とくに大企業から転職する人にとって、教育環境の違いはギャップを感じやすい点といえるでしょう。
入社後に「教えてもらえる」「研修が受けられる」と考えていると、当てが外れる可能性があります。
自ら創意工夫して仕事のスタイルを確立し、業績に貢献していくバイタリティが求められるのが小規模な企業の特徴です。
合わない人が社内にいた場合のストレスは一層大きい
従業員が少ない会社ではお互いの顔がよく見える一方で、「合わない」人が社内にいた場合のストレスも一層大きくなります。
大企業であれば自分か相手のどちらかが異動になる可能性もありますが、少数精鋭の企業では従業員の顔ぶれが固定されているからです。
合わない人が社内にいた場合、「逃げ場がない」という状況になりやすいことは小規模な企業に特有の事情といえるでしょう。
とくに経営者と合わないと感じた場合、その職場で働き続けるのが難しい致命的な要因になりかねません。
人事制度なども明確に整備されていないケースが多いことから、経営者の判断次第で処遇が決まることもあり得ます。
面接時に経営者との相性をよく見極め、「この人の下で働けるかどうか」を判断することが大切です。
4)従業員の少ない会社に転職する際のポイント
従業員の少ない会社に転職する場合、どのような点を意識しておくべきなのでしょうか。
とくに重要な3つのポイントを紹介しますので、転職先を検討する際には必ず押さえておきましょう。
キャリアプランと直近の1~3年の目標を立てておこう
そもそもなぜ従業員が少ない会社を転職先に選ぼうとしているのか、先々のキャリアプランと併せて考えておくことが非常に重要です。
たとえば、長く働き続けていく職場として転職先を選ぶのか、あるいは特定のスキル・経験を身につけるためのステップとして選ぶのか、目的を明確にしておきましょう。
将来的なキャリアプランによって、向こう1〜3年の目標も変わるはずです。
転職のハードルが比較的低い企業から、いずれは大企業・中堅企業へステップアップしたいのであれば、キャリアアップに寄与する汎用的なスキルを身につけるほうが得策でしょう。
転職先の企業で長く働きたいのであれば、その企業の文化や慣習に馴染んでいくことを最優先する必要があります。
このように、キャリアプランを明確化しておくことで短期的な目標を定めやすくなり、行動の指針とすることができるのです。
また、忙しさにかまけて惰性で業務を進めてしまうことの抑止効果もあるでしょう。
キャリアプランの立て方
キャリアプランを立てる際は、あわせてキャリアビジョンも描いていくとよいでしょう。
キャリアビジョンは、あなたが未来に「こういう働き方をしたい」というイメージのことです。
つまり、まずキャリアビジョン(目標)を描き、それを実現するためにキャリアプランを立てるということです。
キャリアビジョンとキャリアプランは、以下のように表に落とし込むことによって考えやイメージを整理しやすくなります。
作成のポイントは、近い未来についてはやや具体的に、遠い未来については抽象度を高めて作ることです。
10年後どうなっているかについて、正確に予測することは不可能でしょう。立てたビジョン・プランが大きく変わる可能性は十分にあります。
「キャリアビジョンのイメージが持てない」という人は、さきにキャリアの棚卸しを行っておくことをおすすめします。
以下の記事にキャリアの棚卸しの進め方を紹介しています。興味のある方はあわせてご覧ください。
転職エージェントからの応募がおすすめ
すでに応募した企業が明確になっている場合は直接応募しても構いませんが、希望する業種や職種から企業を選ぶ場合は転職エージェントを活用することをおすすめします。
小規模な企業の中には、採用コストを抑えるために成功報酬型の転職エージェントを活用するケースが少なくありません。
転職サイトなどの公開情報では求人が見つけられないことも考えられるため、転職エージェントを活用するほうが得策です。
また、転職エージェント経由で選考を受けた場合、もし採用に至らなかったとしても担当アドバイザー経由で不採用の理由を確認できます。
採用されなかった理由が分かれば、別の企業の選考では改善を図ることができるでしょう。
結果的に内定先を確保できる確率を高めることにつながり、転職成功の確度を上げることができるのです。
従業員の少ない会社を目指す際のおすすめの転職エージェント
従業員の少ない会社を目指す際は、「都市部の転職」か「地方の転職」かでサービスを使い分けるのがよいでしょう。
都市部の転職におすすめの転職エージェント
都市部の転職においては、求人を多く抱える転職エージェントの利用がおすすめです。
サービス名 | マイナビエージェント | doda | リクルートエージェント | ワークポート | type転職エージェント |
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メリット |
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デメリット |
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公開求人数 | 約6.9万件 | 約26万件 | 約49万件 | 約11万件 | 約1.2万件 |
得意業界/職種 | ◎全業界 | ◎全業界 | ◎全業界 | ◎全業界 | 営業、IT、システムエンジニア、プログラマ、コンサルタント |
対象年代 | ◎全年代 | ◎全年代 | ◎全年代 | ◎全年代 | 20代後半~30代前半(エンジニアのみ39歳までOK) |
対象地域 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 | ◎全都道府県 | 東京・神奈川・埼玉・千葉 |
おすすめの人 |
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詳細を見る |
表内の求人数は2024年11月時点のものです。
紹介求人の差や担当エージェントとの相性もありますので、登録後は初回のコミュニケーションと提案内容を見たうえで、第二・第三候補のサービスも見据えておくとよいでしょう。
地方の転職におすすめの転職エージェント
地方の転職では、その地域(都道府県)に拠点・支店を持つ転職エージェントを優先して選ぶことをおすすめします。
その地域ならではの優良企業とのリレーションを持っているエージェントの方が、とうぜん良い提案を受けられる可能性が高まるからです。
以下、各都道府県でサポート評判の高い転職エージェントを紹介します。
(リンクをクリックすると、そのサービスの紹介ページにジャンプします)
都道府県 | 転職エージェント|都道府県内の拠点 |
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北海道 | |
青森県 | |
岩手県 | |
宮城県 | |
秋田県 | |
山形県 | |
福島県 | |
茨城県 | |
栃木県 | |
群馬県 | |
埼玉県 | |
千葉県 | |
東京都 | |
神奈川県 | |
新潟県 | |
富山県 | |
石川県 | |
福井県 | |
山梨県 | |
長野県 | |
岐阜県 | |
静岡県 | |
愛知県 | |
三重県 | |
滋賀県 | |
京都府 | |
大阪府 | |
兵庫県 | |
奈良県 | |
和歌山県 | |
鳥取県 | |
島根県 | |
岡山県 | |
広島県 | |
山口県 | |
徳島県 | |
香川県 | |
愛媛県 | |
高知県 | |
福岡県 | |
佐賀県 | |
長崎県 | |
熊本県 | |
大分県 | |
宮崎県 | |
鹿児島県 | |
沖縄県 |
企業研究の情報収集は「面接の場」も活用を
小規模事業者に関する情報は、大企業と比べて限られているケースがほとんどです。
たとえば、企業のオフィシャルサイトにも十分な情報が掲載されていなかったり、口コミサイトに情報が載っていなかったりすることもあり得ます。
また、転職エージェントも過去の転職成功事例が少ないなど、情報を十分に保有していない可能性があります。
従業員の少ない企業に応募する場合、求人情報や企業ホームページ、インターネット検索といった通常の企業研究に加えて、面接の場を活用した情報収集に注力しましょう。
とくに「自分に合う企業かどうか」「ここで成長できそうか」といった点をよく観察しておくことが大切です。
本来、面接は企業が応募者を評価するだけでなく、応募者が企業を判断する場でもあります。
面接の原点に立ち返り、企業を「見極める」ための場として面接を活用しましょう。
5)実際に従業員の少ない会社で働いた人の体験談
では、実際に従業員の少ない会社で働いたことのある方々の体験談を見ていきましょう。
小規模事業者に特有の良い面・良くない面がよく表れている体験談ですので、転職を検討中の人は転職後のイメージ醸成に役立ててください。
アットホームな環境。──同時に、強いトップダウン文化もあった。(愛知県の専門商社勤務 女性 33歳)
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私はその会社の「少人数の家族経営」であることに惹かれて、応募しました。
少人数ならばストレスを感じるような「絶え間ない変化」も無いでしょうし、私の性格的にぴったりだと思ったのです。
実際に入社してみて、その職場では社長はじめ役員の方皆がとても穏やかな性格で、まさしくアットホームという言葉がしっくりくる環境でした。
ただし、その「アットホーム」さが裏目に出ることもありました。
社長はまさに職場の「父」的存在でした。
頼りになる分、絶対的な発言力。言っていることに矛盾があったりもっと良いアイデアを提案したくても、言えない雰囲気がありました。<中略>
今回の転職で、「変わらないことのマイナス面」を垣間見たようにも感じます。
社長の存在が大きいから、意見があっても飲み込んで我慢する。
それは本当の意味での尊敬にはなりませんし、会社のためにもよくないと思うのです。上手く言えませんが、「変わらないこと」イコール「停滞」になってしまうこともある。
逆説的ですが、今現在変わらずにいることとは、近い未来の大きな変化をただ受け身に待つということなのかもしれません。
それを想うと、ときにどうしようもないくらいの大きな不安がやってくることもあります。
社内競争に晒されないために進化圧が働きにくい環境になることも
従業員の少ない会社では、この体験談のように創業者が強大な発言力を持っているケースが少なくありません。
そのため、比較的長く在籍しているのは「社長と馬が合う人のみ」という状況になりがちです。
社長以外の従業員はお互いにフラットな力関係を維持していることも多いため、ガツガツしていない穏やかな性格の社員が残りやすい面があります。
体験談では「どうしようもないくらいの大きな不安」と表現されていますが、社内競争に晒されにくいことは進化圧が働きにくいということでもあるのです。
アットホームな環境を心地よく感じられるのは良いことですが、反面それ以外の環境に馴染なくなってしまうリスクも孕んでいます。
小さな会社=成長できるとは言い切れない面もあることを押さえておきましょう。
小さなオフィスだからこその、自由でかつ助け合える距離感。(東京都のWeb制作会社勤務 男性 38歳)
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新しい職場はたった5名の小さなオフィスでした。
大手企業の大きな案件も扱いますが、マンションの一室で細々とやっていて。
正直、カルチャーショックでしたね。
大きなビルに勤めていた私としましては、あまりに自由すぎて馴染むのに少し時間がかかってしまいました。
会社の雰囲気が、大学のサークルの延長というか、遊びの延長というか、そんな感じなのです。
私の解釈ですが、Webという仕事自体、コツコツとルール通りに作るよりも、遊んで面白くしたほうがうまくいくケースが多い、──そんな性質を持っているように感じています。
当時は、そういった考え方に慣れるまで、とても苦労しましたね。
ですが、そんな私に対して、若い社員の方たちは手取り足取り、たくさん教えてくれました。
本当にいい環境に恵まれたなと感じています。
自由な環境を自己成長に活かせるかどうかが重要
従業員の少ない会社では、社内ルールや就業規則が事細かに定められていないケースも多く見られます。
自由度が高く、1人1人の働き方や仕事に対する考え方が尊重されている職場も少なくないのです。
一方で、自由すぎることに違和感を覚える人もいるでしょう。
体験談でも「大学のサークルの延長」と表現されている通り、良くいえば和気あいあいとした雰囲気、悪く捉えればメリハリのない職場と感じられるかもしれません。
この体験談にあるように、社員が仕事に対して真剣に取り組んでおり、転職者自身も早く仕事を覚えたいという強い意欲があれば、自由な環境を自己成長に活かせる可能性が高いでしょう。
自由で助け合える距離感をメリットにできるかどうかは、転職者自身の心がけ次第の面もあるのです。
まとめ)従業員の少ない会社の長所・短所を熟知した上で転職先の検討を!
従業員の少ない会社には、大企業にはない親しい距離感や少数精鋭ならではの成長機会があります。
これまで比較的規模の大きい企業で燻っていた人にとって、成長のための絶好のチャンスを得られるかもしれません。
一方で、小規模事業者に特有のデメリットやリスクがあるのも事実です。
今回解説してきたポイントと実際に従業員の少ない会社で働いた方々の体験談を参考に、自分に合った環境で働けるかどうかを慎重に検討してください。
長所・短所の両側面を十分に理解した上で転職を決断することで、後悔のないキャリアの選択ができるはずです。