転職は家族からの反対を受けやすい?嫁ブロック・夫ブロックがあった際の対策
[最終更新日]2023/10/07

転職する場合、いくつか乗り越えなくてはならない「壁」があります。その多くが仕事に直接関わる検討事項であるため、つい見落としてしまいがちなのが家族への説得です。
30代・40代の方では、現在の仕事ですでにある程度のポジションに就き、相応の報酬を得ているケースも多いでしょう。そのため、転職することによって年収ダウンをはじめ待遇が今よりも悪くなることも想定されます。
ここ最近では、配偶者の転職を相手が反対し阻止しようとする行為を意味する「嫁ブロック」「夫ブロック」という言葉がトレンドワードになることもありました。
下の図は、家族に転職を反対された経験のあるミドル層ビジネスパーソンの割合を示したものです。年収別に見ると、年収が高まるほど家族から反対されやすい傾向があることが分かります。
参考:これまで家族に転職を反対された経験はありますか?「エン・ジャパンアンケート」

目次
1)転職は、なぜ家族からの反対「嫁ブロック・夫ブロック」を受けやすいのか
転職に反対するケースが多いのは圧倒的に「妻」
家族から転職を反対されるケースが多いのは、圧倒的に「配偶者」です。「嫁ブロック・夫ブロック」といったキーワードがSNSなどで話題になるなど、廃部うしゃから転職を反対された経験を持つ人は多いようです。
なお、転職に反対したのが妻や夫でなく「親」だったというケースも見られます。
参照:家族の中で転職を反対されたのはどなたですか?(複数回答可)

年収別に見ると、年収1,000万円以上の人が妻から転職を反対されたケースが多いことから、高所得の人ほど妻が転職に反対する可能性が高いことが読み取れます。
「順調に転職が進みそうだったのに、最後の最後で妻から反対されてしまった」「反対を押し切って転職するか、妻の言葉に耳を傾けるか、選択を迫られた」といった状況は十分に想定できるものであることが分かります。
そこで、妻や夫が配偶者の転職に反対するケースが多い理由について、もう少し詳しく検証してみます。
年収ダウンや転居など「生活環境の変化」以上に反対の理由になりやすいこととは?
下の表は、家族から転職を反対された経験のある人が反対された理由について回答した結果をまとめたものです。年収別に反対理由を見てみると、非常に興味深い現象が起きていることが分かります。
参照:「家族に転職を反対された」その理由は?(複数回答可)
理由 | 全体 | 年収1000万円以上 | 年収1000万円未満 |
---|---|---|---|
年収が下がる | 50% | 40% | 51% |
勤務地が遠い | 20% | 13% | 21% |
「大手企業」の肩書きが無くなる | 19% | 36% | 16% |
残業が多そう | 14% | 15% | 13% |
転職先の良い噂を聞かない | 11% | 6% | 12% |
福利厚生が良くない | 11% | 15% | 10% |
本人があまり楽しそうじゃない | 10% | 6% | 10% |
転職先がベンチャー企業 | 10% | 19% | 9% |
年間休日数が少ない | 8% | 0% | 9% |
単身赴任になるから | 5% | 9% | 5% |
有給休暇の取得率が低い | 4% | 2% | 4% |
その他 | 22% | 32% | 20% |
年収ダウンが転職反対の理由になることは多くの人が想像するところでしょう。ところが、年収1,000万円以上の層では、年収ダウンが反対の理由だったケースが少なめであることが分かります。他にも、勤務地が遠くなるなど生活環境の変化に関する不安が原因だったケースは比率としてやや低くなっています。
高年収帯の人の家族が転職に反対する理由としては、「大企業という肩書き」「福利厚生」「転職先がベンチャー」といった、ネームバリューやステータス、あるいは安定感といった面が無視できないことが見て取れます。家族にとって、大企業に勤めているという事実はそれだけ安心感へとつながっているのです。
こうした傾向から、現在の勤め先が大企業や有名企業の人ほど、家族から転職を反対される可能性が高くなると考えられます。本人が思っている以上に、家族が「大企業勤務」に価値を感じているかもしれないことは、念頭に置いておく必要があるでしょう。
転職による生活環境の変化は、家族にとってコントロールできない問題

一般的に、勤務している本人と同じレベルで仕事内容や業界動向を家族が把握していることはほとんどありません。家族が偶然にも同業者であるとか、同じ勤務先であるといったことがない限り、家族にとってあなたの勤務先は「よく知らない場所」なのです。
そのため、転職を希望している本人が「今が転職しておくべき時期だ」と感じていたとしても、家族にとってみればパートナーの転職希望は青天の霹靂だった、ということは十分に考えられます。
現状の生活が安定していて、将来に向けたライフプランも今の暮らしをベースに考えているとしたら、転職によって生活環境が変化することはコントロール不可能な不安要素でしかないでしょう。
大企業からベンチャー企業へと転職するケースでは、この傾向はいっそう顕著なものとなります。万が一、転職先の会社が倒産したり、業績が悪化したりした場合、生活の糧を失ってしまうかもしれません。
こうした不安要素をできるだけ排除し、コントロールできない問題を持ち込みたくないと考えるのは、パートナーとして当然の心理であることを理解しておく必要があります。
2)家族からの反対・嫁ブロックを回避し、「理解と支援」を得るためのポイント3点
日頃から仕事以外の会話を増やし、ライフプランの価値観を共有しておく

家族から転職を反対される可能性について、ここまで見てきました。では、皆さんが転職するとなった場合、家族は転職に反対すると思いますか?次のうち、最も近いと思うものを選んでみてください。
- 1.ほぼ間違いなく反対するか、難色を示すと思う
- 2.反対するかもしれないが、説得すれば理解を得られるはず。
- 3.どうしても挑戦したいと伝えれば分かってくれると思う。
- 4.分からない。何とも言えない。
このうち、最も気をつけておいたほうがいいのは「4」を選んだ人です。
少しは反対するかもしれない、ぐらいに考えていたところ、予想外に強く反対されたりするのはこのケースだからです。
こうした認識の食い違いを避けるためにも、日頃の意思疎通はとても重要です。下の図を見てください。平日と休日で、夫婦の会話がどのぐらいあるのかを時間で示したグラフですが、半数の夫婦が平日30分未満と答えていることが分かります。休日でも約半数が1時間未満と回答しています。
参照:平日と休日の夫婦間の会話量

妻や夫にとって「パートナーが突然転職したいと言いだした」と感じるか、「以前から話していて、いずれ転職する日が来るだろうと思っていた」と感じるかは大きな違いです。
たとえば子育ての方針やお金に対する価値観、共通の趣味など、仕事以外の面で意思疎通を十分に図っていることが、いざというときに理解を得るための土台となる場合もあるのです。
これから先の人生について、前もってライフプランを有しておくなどがあると、急な転職話にも相手は冷静に受けとめやすくなるでしょう。
参考:ライフプランとは
ライフプランとは、人生の中で想定される大きなイベントを考え、お金が必要になるタイミングやその金額を把握して計画をたてることです。
具体的には、以下のプロセスでプラン立てを行います。
上記図の例では、今後の主な支出として海外旅行、マイカーとマイホームの購入、そして子どもの大学入学と老後資金を挙げており、これら全てを貯蓄でまかなうとしたら毎月24万円の積立が必要となることが分かります。
(※ すでに貯蓄がある場合や積立投資等の資産運用を行っている場合は、この限りではありません。)
ライフプランを立てることによって、「早めの貯蓄が必要になりそうだ」という気づきがあるかもしれません。
または、「転職時の給与条件として、これくらいは欲しい」という新たな希望条件が出ることもあるでしょう。
パートナーや家族のいる方は、転職の際にこれからのライフプランについてパートナー・ご家族の方と話し合うことをおすすめします。
ライフプランを交えての転職活動はパートナー・ご家族の方にとも共有する「共通目標」となり、活動を応援してもらいやすくなるでしょう。
転職することで得られるメリットや仕事内容について理解を得る

多くの人は、転職に反対されるとここから説得を始めます。
しかし、パートナーにとって「なぜこのタイミングで転職したいなどと言い出すのか、意味が分からない」と感じているとすれば、転職先の話を聞いてもらう態勢が整っていないと考えるべきです。
転職することにメリットがあるという主張と、とにかく現状を変えないで欲しいという主張は、真っ向から食い違ってしまうからです。転職することで得られるメリットや仕事内容について理解を得るには、その前段階の「聞いてもらう」ための態勢ができているかどうかが重要になります。
今後のことについて耳を傾けてもらえそうな状況になったら、できるだけ端的に、得られるメリットや改善される点を伝えましょう。
良い点ばかりでなく、デメリットも正直に伝えるべきです。転職する本人にとって「メリットだ」と感じていることでも、パートナーの立場からすると「それほどメリットを感じない」ということも十分に考えられます。
また、デメリットを相手に正直に伝えておくことで、「そのレベルだったら我慢できる」と捉えてくれたり、一緒に対策を考えてくれることもあるでしょう。
自分自身が「挑戦したい」「ぜひやってみたい」という熱意を示す

転職に伴ってパートナーを説得する、と聞くと、論理的に筋道立てて理屈を伝えるイメージを持つ人もいるかもしれません。
ところが、パートナーにとっていったんデメリットと認識されてしまったものを一転してメリットに変えるのは、現実的には難しいことのほうが多いのです。
たとえば、転職に伴って次のデメリットがあることが分かっているとします。
- 年収が今よりもやや下がる
- 企業規模が今よりも小さくなる
- 福利厚生などの待遇が悪くなる
こうしたデメリットが事実であれば、どんなに言葉で取り繕ってもデメリットでしかありません。これをうまく言葉で取り繕おうとすればするほど、パートナーにとっては不信感が増していく一方なのです。
一方、本心では不満がないわけではなかったとしても、転職すべき理由を誠心誠意伝えようとしている姿勢そのものに根負けし、背中を押してくれるケースは少なくありません。
パートナーの気持ちを動かしたのは、理屈よりも気持ちの面だった、ということもあり得ます。
さまざまなデメリットがあることを承知で「挑戦したい」「ぜひやってみたい」という強い熱意を持っていることが伝われば、「そこまで言うのなら、やってみたほうがいいかもしれない」と気持ちを切り替えてくれるかもしれないのです。
3)家族を味方につけての転職は「じっくり」型の転職サービスがおすすめ!

ここまで見てきた通り、転職に際して家族を説得するには一定の時間が必要なケースがほとんどです。そのため、利用する転職サービスも利用者側は「待ち」の態勢でいることを前提とした「じっくり」型のスタイルのものを選ぶといいでしょう。良い話があれば通知してもらい、詳しい内容を聞かせてもらう、といったイメージです。
「じっくり」型で進めやすい転職サービスを4社、ご紹介します。
「じっくり型」転職活動におすすめの転職サービス
転職サービス | 特徴 |
---|---|
JACリクルートメント | 外資系企業や海外勤務を望むハイクラス人材からの信頼が厚い。企業から必要なスキルレベルが一定以上の案件を中心に扱っている。 |
パソナキャリア | 幅広い業種・職種に対応する総合型転職エージェント。転職支援のきめ細やかさには定評がある。 |
リクルートダイレクトスカウト | ヘッドハンティング中心のスカウトサービス。担当コンサルタントを転職希望者自身が選ぶことができる。 |
ビズリーチ | 転職サービスとしてはめずらしい有料プランが用意されている。有料プランでは面接確約ありのプラチナスカウトを受けることができる。 |
良い案件があれば話を聞いてみたい人は、「リクルートダイレクトスカウト」がおすすめ
リクルートダイレクトスカウトは国内の転職サービスとしてはめずらしいヘッドハンティング型のサービスを展開しています。
利用者はリクルートダイレクトスカウトへ登録後、基本的にスカウトが届くのを「待つ」ことになります。ヘッドハンターからメッセージが届き、ぜひ話を聞いてみたいと思ったら詳細を聞かせてもらうといったイメージです。
また、ヘッドハンターを指名することも可能です。希望する業種や職種が決まっている場合、その業界についての知識を持つヘッドハンターに担当してもらいたいと考える人も多いはずです。

登録後に担当コンサルタントが自動的に割り振られてしまうケースがほとんどの転職サービスの中で、リクルートダイレクトスカウトの指名システムはユニークな存在です。
アピールすべきスキルや実績が明確な人は、「JACリクルートメント」がおすすめ
JACリクルートメントは「年収600万円以上」のミドル・ハイクラス向け転職エージェントです。一定以上の経験や実績のある人材を求める企業の紹介に優れており、ミドル層以上の転職活動におすすめです。
JACリクルートメントでは求人紹介だけでなく、キャリア面談やキャリアの棚卸し、キャリアプラン相談といった総合的なキャリアコンサルティングを行ってくれます。
在籍コンサルタントは人材業界の中でもベテラン勢が多く、これまでの豊富な転職支援実績をもとにキャリアコンサルティングを実施してもらうことができます。

JACリクルートメントを利用した人たちの評判からは、「こちらのペースに合わせて、じっくり待ってくれた」という声が多く見られます。
現在の仕事を続けながら、じっくりと期間をかけて転職活動を進めたい人に向いているサービスです。
キャリアプランについて相談したい人は、「パソナキャリア」がおすすめ
パソナキャリアは、いわゆるハイクラス人材に特化した転職エージェントではなく、幅広いターゲット層に対して業種・職種を問わず企業を紹介する、いわゆる総合型転職エージェントです。
総合型転職エージェントの強みとして、さまざまなニーズに対応できるという点が挙げられます。
家族の理解を得るためにも複数の条件をクリアした案件を検討したい場合や、ベースとなる今後のライフプランに合った案件を探したい場合は、総合型転職エージェントのほうが対応できる幅が広いことがあるのです。
また、パソナキャリアは登録後の転職支援がきめ細やかなことで知られています。じっくりと面談で希望条件を聞いてもらうことができますので、今後のキャリアプランを含めて相談したい人には最適なサービスでしょう。
年収750万円以上が転職の条件という人は、「ビズリーチ」がおすすめ
ビズリーチは転職サービスの中でもめずらしい有料プランを用意していることで知られています。プレミアム会員には「タレント会員」と「ハイクラス会員」が存在し、ハイクラス会員は年収750万円以上の案件を直接紹介してもらうことができます。

中には1,000万円超の条件が提示される案件もありますので、パートナーを説得する上で年収条件はマストだという人は、ビズリーチの利用を検討してみるといいでしょう。
プレミアム会員になるメリットとして、面接確約のプラチナスカウトを受け取ることができる点が挙げられます。企業側としても「この人に来てもらいたい」という条件の登録者にしかプラチナスカウトを送ることはないため、マッチングに期間を要することも想定されます。
急いで転職したいわけではなく、家族への理解を求めつつ、家族の希望する条件も考慮して転職先を検討したい人にとって、ビズリーチのプレミアム会員はおすすめできるシステムと言えるでしょう。
まとめ)家族から理解を得られる転職の実現は「転職活動前」が勝負

転職を家族から反対されるということは、現在の勤務先に対する家族の満足度が高いということの表れとも言えます。そのため、家族から理解を得られる転職を実現するには、転職するタイミングで初めて相談するよりも、転職活動前からじっくりとお互いの理解を深めておくほうが望ましいでしょう。
転職という目的に向けてはもちろんのこと、せっかくの機会ですので、夫婦や親子で今後の働き方やキャリア観について話し合い、長い目で見たときにどのような暮らし方をしていきたのか、価値観を共有しておいてもいいかもしれません。
ライフプランや生き方そのものについても共通認識を持つことができれば、家族の結束はより強固なものになっていくはずです。