退職時の離職票はどうやってもらう?失業保険の手続きに必要な書類と注意点
[最終更新日]2025/03/30

退職するにあたって慣れない書類の手続きがたくさんあると思われます。
その書類の中に「離職票」と呼ばれるものがあります。離職票は日常生活ではあまり目にする機会がなく、ほとんどの方にとって馴染みのない書類です。
転職先から提出するよう言われることもない書類なので、いまいち重要性がわからず紛失してしまう方もいるかもしれませんが、実は重要な書類なのです。
この記事で得られる知識とポイント
目次
1)そもそも、「離職票」ってどんなもの?

親切な人事だと離職票が必要か聞いてくれる場合もありますが、離職票は基本的に自分で請求しなければもらえない書類です。
そのままもらわず問題がない方もいれば、手続きができず困ってしまう方もいるので、退職前にしっかり離職票について知っておくことが重要です。
まずはそもそも離職票とは何かについてご紹介します。
離職票とは
離職票とは、正式名称を「雇用保険被保険者離職票」と言い、簡単に言うと退職した人の状況が記載されている書類です。
ハローワークが発行しており、以下の2つで構成されています。
- 離職票1(雇用保険被保険者離職票—1)
- 離職票2(雇用保険被保険者離職票—2)
離職票1はA4サイズで、退職者の氏名・離職理由・退職日などが記載されている書類です。離職票2は3枚つづり(写し紙)の形状となっています。
どちらも会社・個人双方で記入する欄がありますので、事前にハローワークのHPで記入例等を確認しておくとよいでしょう。
参考:離職票のサンプル(ハローワークHPより)
離職票1(雇用保険被保険者離職票—1) | 離職票2(雇用保険被保険者離職票—2) |
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離職票は何のために必要?
離職票は主に、以下の際に必要となります。
- ①失業給付金を受給するとき
- ②国民健康保険に加入するとき
多くの方にとって離職票を利用する目的は、①の「失業給付金を受給する」方になるでしょう。
失業給付金とは、失業期間に再就職を支援するために国から支給される手当のことです。
ただし受給するためには以下の条件があります。
失業給付金受給の条件
(1)雇用保険被保険者として、離職日から遡って2年の間に最低12ヵ月以上働いた期間があること。
※特定受給資格者(破産など会社都合他による退職)、又は特定理由離職者(自身の病気、妊娠出産、セクハラ他による退職)は、離職日から遡って1年間に、被保険者期間が通算して6ヵ月以上ある場合でも可。
(2)ハローワークにて求職の申し込みを行ない、再就職(労働)の意思があり、能力もあるのに就職できない状態であること。
つまり、上記「失業給付金受給の条件」を確認する際に、離職票が必要になるということですね。
混同しやすい「離職票」と「退職証明書」の違い
離職票と似たような名前の書類に「退職証明書」という書類があります。内容はどちらも退職したことを証明するものですが、異なる点がいくつかあります。
主たる利用目的 | 発行元 | |
---|---|---|
離職票 | 失業給付金の受給 | ハローワーク |
退職証明書 | 新しい職場にて、以前の会社を正式に退職しているかの確認をする際 | 各企業(勤務先) |
まず、退職証明書は公文書ではないため失業給付金の手続きには使用できません。
また、退職証明書は退職していることを転職先に証明する際に使用します。ですが、提出を求めない会社も多く、転職の際にも必要にならない方もいることでしょう。
退職証明書は勤務先が発行する書類です。発行してほしい時は勤務先に発行を依頼しましょう。
2)離職票発行から手続きまでの流れ

① 会社から離職票をもらう
退職した後、失業給付を受けるためには「離職票」が必要です。会社は退職日の翌日から10日以内に手続きをしてハローワークに届け出ます。通常、1〜2週間以内に会社から自宅宛てに郵送されます。もし2週間経っても届かない場合は会社に連絡し、それでも届かない場合はハローワークに相談しましょう。
② ハローワークへ行き、求職の申込みをする
離職票を受け取ったら、自宅の近くにあるハローワークへ行きます。
この時、離職票、マイナンバーがわかる書類、本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカード)、本人名義の銀行口座、証明写真(縦3cm×横2.5cm程度)を用意します。窓口で求職票を記入して「求職申込み」を行うと、手続きがスタートします。
③ 受給資格の決定(受給説明会への参加)
求職申込みが済むと、ハローワークがあなたの失業給付を受ける資格をチェックします。
資格が認められたら、次に「受給説明会」の日時を教えられます。
この説明会では、失業給付金のもらい方や必要な書類、今後の手続きについて詳しい説明を受けるので必ず参加してください。
④ 失業の認定日(定期的なハローワーク訪問)
失業給付を受けるためには4週間に1回、ハローワークで「失業の認定」を受ける必要があります。
認定日には必ず本人がハローワークに行き、求職活動の状況を報告します。求職活動をしていることが認められると、失業給付金を受け取ることができます。忘れずに訪問しましょう。
⑤ 失業給付金の受給(入金)
認定日に失業が確認されると、数日後に指定した銀行口座へ失業給付金(基本手当)が振り込まれます。
この流れを再就職が決まるか、給付期間が終了するまで続けます。給付期間は退職理由や勤務年数によって違うため、ハローワークでもらった書類で確認しておきましょう。
──以上で手続きは終了です。
手順について不安な場合は、お近くのハローワークにも電話で問い合わせてみることをおすすめします。
筆者も以前退職した社員の離職票発行の手伝いをしたことがありましたが、ハローワークの担当の方が細かい点までアドバイスしてくれて、とても助かりました。
3)離職票発行の前に確認すべき3つのポイント

退職理由によって、支給金額期間が変わる
給付金の支給期間は退職理由によって変わります。
退職理由は大きく分けて2種類あり、「自己都合退職」と「会社都合退職」があります。
自己都合退職と会社都合退職の違い

自己都合退職 | 会社都合退職 |
---|---|
本人の希望により退職。 会社からの打診であっても本人の意思で退職を決意、または免職・解雇となった際も自己都合退職扱いとなる。 |
会社から一方的に退職を命じる。 業績悪化や経営破たんが主な原因になる。 失業給付金の給付は早いが、転職活動時に「転職理由」について詳しく尋ねられることが多い。 |
両者の違いをざっくり言うと、会社都合退職の方が自己都合退職よりも失業給付金がいち早く、かつ長い期間支給されることになります。
参考:自己都合退職と会社都合退職の、失業給付金受給ルールの違い
自己都合退職 | 会社都合退職 | |
---|---|---|
最短の支給開始日 | 7日後 | |
支給日数 | 90~150日 | 90~330日 |
最大支給額 | 約118万円 | 約260万円 |
国民健康保険税 | 通常納付 | 最大2年間軽減 |
尚、失業給付金は再就職した時点で終了となります。
離職票の他に、失業給付申請の際に必要な持ち物は
ハローワークで失業給付金の手続きをする際は、同時に「求職の申し込み」も行う必要があります。
失業給付金とは、あくまで再就職を支援するために国から支給される手当なので、求職活動を行わないと原則支給されないこととなっているからです。
尚、実際にハローワークを利用して転職活動を行わなくても良いですが、失業給付金を受給するためには、求職活動を行っているという証明としてハローワークで求職手続きをすることがマストとなります。
この時、以下の持ち物を準備しておくと、スムーズに手続きを進めることができます。忘れずに持って行くようにしましょう。
ハローワーク手続きに必要な持ち物一覧

- 雇用保険被保険者離職票(1)
- 雇用保険被保険者離職票(2)
- 雇用保険被保険者証
- 本人確認証明書(運転免許証、もしくはマイナンバーカード)
- 印鑑
- 写真2枚(縦3cm×横2.5cm)
- 預金通帳
また転職先での希望条件等も聞かれることとなるので、今後の転職方針についてある程度考えてから行くことをおすすめします。
離職票が届かない場合の対策を知っておく
離職票がなければハローワークでの失業給付金手続きはできません。
また手続きできる期間には期限があります。
例えば自己都合退職した人の場合、給付日数が150日の人は退職日から3ヵ月以内、給付日数が90日の人は退職日から5ヵ月以内にハローワークで申請しなければ、受給金額が減ってしまいます。
すぐに受給しなくても良いという方も、早めに手続きしておきましょう。
離職票が届かない場合は、以下の対応を取りましょう。

会社に請求・手続きを行ったか確認する
離職票は社員が請求して初めて会社が発行の作業にとりかかります。つまり、私たち求職者からの能動的なアクションが求められるということですね。
会社に催促する、それでも届かない場合はハローワークに相談する
「会社のほうで対応してくれなかったらどうしよう…」と不安になられた方も、ご安心ください。
雇用保険法で、会社は離職票の請求があった場合手続きしなければならないと定められています。
会社に催促した際に発行する様子が見られない場合は早めにハローワークに相談してみましょう。
4)転職活動が長引いて無給期間が続きそうなら、転職エージェントのサポートを

ここまで、離職票および失業給付金の受給について説明しました。
離職票の入手法および失業保険の給付の流れについて、一定のイメージを持てたのではないでしょうか。
ですが一方で、失業給付金の受給期間は最長でも150日と半年にも満たない日数です(自己都合退職の場合)。
また自己都合退職の場合は待機期間終了後から3か月間の給付制限期間があるため、実際に給付金が手に入るのは、ハローワークでの受給申請後3ヵ月後となります。
最初の無給期間3ヵ月間、もしくはなかなか転職先が決まらず無給期間に入ってしまうと、経済的にも精神的にも辛いですよね。
転職活動が長期化することが見込まれる方は、前述の通りハローワークでの転職活動よりも「転職エージェントサービス」を利用しての転職活動がおすすめです。
理由は、転職エージェントサービスはハローワークと比べて良質な求人が多く、かつ転職支援に向けてのサポート・アドバイスの品質も高いからです。
転職活動の際には、多くの人が「転職エージェント」を利用しています。
その主な理由は、国内の少なくない企業がハローワークや転職サイトではなく転職エージェントのみに「非公開求人」を出しているからです。

ですが、私たちが転職エージェントを利用する際は「求人を紹介してくれる人」としてではなく、「転職活動全般を相談できる人」として活用したほうがより効果的でしょう。

上記図で表す通り、「求人紹介」は転職エージェントが提供するサービスの一部でしかありません。
それ以外のサービス、例えばキャリアプランのアドバイス(キャリア相談)、書類添削、面接対策などの選考通過のためのサポートも受けることによって、転職成功の確度を高めていけるはずです。
ただし、転職エージェントは国内多くのサービスがあり、またどの担当者が付くかによってもサポートの提供のされ方が変わります。
あなたに合った転職エージェント(または担当アドバイザー)を見つけるためにも、はじめに2~3つのサービスに登録して、利用のしやすさやコミュニケーションの取りやすさを比較しておくことをおすすめします。
以下におすすめの転職エージェントサービスをいくつかピックアップして紹介しております。
転職エージェントは無料で利用することができますので、ご自身にマッチしそうなサービスを2~3点、まずは登録してみることをおすすめします。
利用者のタイプ別でみる、おすすめの転職エージェント
現在、国内に転職エージェントは17,000以上もあります。当然ながら、それら転職エージェントにはそれぞれ特徴があり、「どの転職エージェントも一緒」ということはありません。
そこで、あなたに合ったサービスを見つけやすくするためにおすすめの転職エージェントをパターン別にピックアップしました。
タイプ別のおすすめ転職エージェント
どれか一つのタイプではなく、複数のタイプが当てはまるという人もいるでしょう。
その場合は、それぞれのタイプでおすすめしているサービスを見て、自分にマッチしそうなサービスを2~3ピックアップしてみてください。
なるべく早く転職したい、積極的に求人提案を受けたい人はdoda・リクルートエージェント・ワークポート

「なるべく早く転職したい」、「積極的に求人提案を受けたい」という人はdoda、リクルートエージェント、そしてワークポートのサービス利用がおすすめです。
doda、リクルートエージェントは共に国内最大手の人材紹介会社として、豊富な求人と充実したサービス体制があり、「的確かつスピーディな対応」への評判が高く、職務経歴書などの書類添削や応募企業の情報収集、面接対策についても、これまでの実績に基づいた適切なサポートを行ってくれます。
ワークポートはIT・Web業界への転職支援に強い転職エージェントで、かつキャリアアドバイザーからの積極的な求人提案をしてもらえると評判です。ITエンジニアやWebディレクター・プロデューサーといった職種への転職を希望される方にマッチしやすいでしょう。
ただし、これら大手転職エージェントは若手のキャリアアドバイザーも多く、当然その品質は一定ではありません。
相性の良くないアドバイザーや経験の浅いアドバイザ―が担当になったときにうまくリスクヘッジできるように、複数の転職エージェントに登録しておきサポート品質を比較確認できるようにしておいた方がよいでしょう。
サービス名 | 特徴 |
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![]() doda |
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![]() リクルートエージェント |
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![]() ワークポート |
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キャリアアドバイザーにじっくり相談してもらいたい人はマイナビAGENT・パソナキャリア・JACリクルートメント

転職エージェントでキャリア相談をしたい方、また今回の転職活動に不安を感じている方は、じっくり相談を聴いてもらえる転職エージェントがおすすめになるでしょう。
相談をどれだけ聞いてもらえるかは担当となるキャリアアドバイザーによっても変わってきますが、以下の転職エージェントは「話をよく聞いてもらえた」という評判が多いです。
マイナビAGENTは20代~30代前半の若手社会人向けの転職支援に強く、JACリクルートメントは年収600万円以上のリーダー・管理職層の転職支援に強いです。パソナキャリアは全年齢に満遍なく対応している転職エージェントです。
サービス名 | 特徴 |
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![]() マイナビAGENT |
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![]() パソナキャリア |
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![]() JACリクルートメント |
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キャリアアップ転職を目指す人は、JACリクルートメント、ビズリーチ、パソナキャリアハイクラス

今回の転職で、「キャリアアップや年収アップを果たしたい」という方は、ハイクラス向けの転職サービスを利用すべきでしょう。
好待遇の求人はピンポイントのタイミングで募集されることが多く、そのほとんどが「非公開求人(転職サイト等一般の求人媒体には紹介されない求人)」か、それぞれの転職エージェントのみが持つ「独占求人」です。
よって、ハイクラス向けの転職エージェントは「中長期的に利用する」イメージで、かつ複数登録しておくのがおすすめです。
以下に紹介するのは、特にミドル世代向けの転職支援実績の豊富な、ハイクラス向けの転職エージェント(一部ヘッドハンターサービス)です。
サービスの特徴を見て、自分に合いそうと感じたものから登録を検討してみてください。
サービス名 | 特徴 |
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![]() リクルートダイレクトスカウト |
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![]() ビズリーチ |
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![]() パソナキャリア ハイクラス |
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![]() doda X |
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各分野別のおすすめ特化型転職エージェント
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得意業界/職種 | IT・Web | IT・Web | ◎全業種・職種 | ◎全業種・職種 | ◎全業種・職種 | ◎全業種・職種 | ◎全業種・職種 | 会計・経理・税務・財務 | マスコミ・メディア | アパレル・ファッション | 管理部門・士業 | 外資系 | 外資系 | 製造系エンジニア | 介護・福祉 | 介護・福祉 |
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まとめ)退職後ばかりに目を向けず、退職もしっかり確認!

転職する、または退職後第二の人生を歩むとなると、どうしても先のことに目が行ってしまい、退職の手続きは疎かになってしまいがちです。
「退職後はしばらく失業保険で生活しよう」と考える方が多いと思われますが、失業給付金も自動車保険などと同様に、自分から申請しなければ受給できません。失業給付金を受給するためには離職票が必要となります。
しかし離職票については、社員から請求がなければ発行しない会社がほとんどであり、自分で会社に請求する必要があります。
退職後の生活に見通しを立てるためにも、しっかり手続きの流れや自分が受給できる期間・金額等についても確認しておきましょう。