男性でも事務職の転職はアリ!注意点と押えておきたいポイント3点
[最終更新日]2024/09/09
営業職などと比べると事務職は女性の割合が多い職種ですが、最近では男性でも事務職を志望する人は増えてきています。男性が事務職へと転職するのは「アリ」の時代になっているのです。
ただし、「営業よりも楽そうだから」「残業が少なそうだから」といった安易な考えで事務職を選ぶのは禁物です。事務職には事務職の大変さがあることをよく理解した上で目指さないと、転職後にミスマッチで悩む原因になりやすいからです。
目次
まずは、事務職の仕事内容・待遇をしっかり把握しておこう
事務職という呼び方は、バックオフィスでの仕事全般を指していますので、実はかなり広い仕事内容を包括しています。
事務職の仕事内容にはどんなものがあり、どのようなスキルが求められているのかを理解しておくことは非常に重要です。
また、事務職の平均的な給与水準など、待遇面での相場を知っておくことも転職を検討するにあたって必要なことです。
軽い気持ちで転職した結果、「こんなはずではなかった」と後悔しないためにも、事務職についてきちんと理解しておきましょう。
事務職の仕事とは
事務職として最もよく知られているのは、いわゆる一般事務です。PC入力や電話応対が中心で、幅広い業務範囲をカバーする必要があります。企業の規模が小さいと、一般事務職が総務や経理、庶務といったあらゆる仕事を回していかなくてはならないため、マルチな能力が必要とされることもあります。
事務職には、ほかにも営業事務があります。営業事務は営業職の事務処理関係の業務を担当する職務です。受発注データの入力や営業資料の作成・整理、電話応対を行います。
他にも、総務や経理といった職種を事務職に含めることもあります。総務は会社内の「何でも屋」とも言える仕事で、備品の管理や発注、広報活動、社内イベントの企画・運営などを幅広くこなします。
経理は小口現金の出納や売上の管理を担う仕事で、会社のキャッシュフローを適正に管理する上で非常に重要なポジションです。
事務職と聞くと、外回りの営業職などに比べると「オフィスワークで楽そう」などといったイメージを持つ人もいるかもしれませんが、実際には幅広い能力を求められる大変な仕事なのです。
事務職の平均給与
事務職は決して楽ではないと述べましたが、給与面では他の職種に比べて高水準とは言いがたいところがあります。営業職や技術職の場合は営業手当や技術手当が付くこともありますので、他職種から転職すると年収が下がるケースも考えられます。
事務職は残業が少なめの職場も多い反面、残業が少ないため残業代の上乗せも多くは望めません。年収は200万円~300万円台のことが多く、勤続年数が長くても昇給や昇進がほとんど期待できないこともあります。
とくに職種によって総合職と一般職に分かれている会社の場合、一般事務や営業事務は一般職に分類されていることがあります。キャリアアップを目指したいのであれば、部署異動や転勤もあり得る総合職として採用されるほうが有利なことが多いと言えます。
ゆくゆく管理職になれるのは総合職のみというケースもありますので、転職後の給与額はもちろんのこと、将来的なキャリアプランも見据えて給与水準をリサーチしておくことが大切です。
男性が事務職で働くことのメリット・デメリット
男性が事務職で働く際のメリット
- 体力面での負担が少ない
- 残業が少なめでワークライフバランスをとりやすい
- 安定して働きやすい
メリット1 体力面での負担が少ない
たとえば営業職の場合、外に出て人と会うのが仕事ですので、体力的に厳しい面があるのは否めません。売上目標のプレッシャーと闘いながら数字を積み上げていく過程で、体を壊してしまう人もいるのは事実です。
出張が多い職場の場合、慣れない土地での営業活動や宿泊、顧客との酒席の付き合いなど、体力が求められる場面は少なくないのです。
その点、事務職はデスクワークが基本ですので、外回りで疲弊してしまうようなことはありません。体力に自信がない人やじっくりと集中して取り組む仕事のほうが向いている人にとって、事務職は働きやすい職種の1つと言えるでしょう。
メリット2 残業が少なめでワークライフバランスをとりやすい
事務職は定型的な仕事が多いため、「ここまで処理が終われば今日の仕事は完了」というゴールが見えているケースが多いと言えます。自分でしっかりと計画的に仕事を進められれば、定時で退勤することも可能な職場もめずらしくありません。
残業が少なくなれば、ワークライフバランスを取りやすくなり、プライベートを充実させやすくなります。趣味に打ち込んだり、仕事以外に活動の場を持ったりしたいと考えている人にとって、プライベートの時間を取りやすいことは大きなメリットと言えるでしょう。
昇進や昇給よりも自分の時間を確保することを重視したい人にとって、事務職は適した職種と言えます。
メリット3 安定して働きやすい
営業職であれば、達成目標に対する実績が数字として表れますので、年収が上下することは十分にあり得ます。契約が全く取れない状態が続くようであれば、会社に居づらくなり転職を検討せざるを得ないこともあるでしょう。
事務職は定型的な仕事が多いため、年によって仕事の量や種類が大きく異なることは考えにくいのが特徴です。業界によっては定期的に繁忙期があり残業手当が増えることはあるかもしれませんが、反対に大きく給与が減ったり、成績によって激しく上下したりといったことはありません。いったんスキルを身につけてしまえば、安定的に続けやすい仕事なのです。
男性が事務職で働く際のデメリット
- 仕事が単調になりやすい
- 高収入は望めないことが多い
- 女性中心の職場になることが多い
デメリット1 仕事が単調になりやすい
事務職は決められた処理をきちんと期日通りに遂行することが求められる仕事です。仕事の内容や量が安定していると言えますが、裏を返せば仕事内容そのものに変化が少なく、どうしても単調になりやすい面があります。
また、同じ職場にいる限りは同じ仕事を日々繰り返すことが多く、一定のレベルに達してしまうとそれ以上のスキルアップや新たなチャレンジがしづらい面もあります。
仕事に変化を求めるタイプの人や、日々同じ仕事を繰り返すことに飽きてしまうタイプの人は、事務職に転職することでデメリットを感じやすいかもしれません。
デメリット2 高収入は望めないことが多い
事務職は定型的な仕事を正確に処理することが求められる仕事です。ミスなく事務作業が進むことは会社にとって必要不可欠なのですが、一定以上のレベルに達すると、それ以上の創意工夫を加えたりめざましい成果を出したりしづらいところがあります。
たとえば技術職であれば、スキルを高めていきスペシャリストを目指すことも可能ですが、事務職の場合は事務のスペシャリストというポジションを設けている企業はまれです。
そのため、昇給が緩やかで給与が上がりにくいというデメリットがあります。給与が安定している反面、高収入は望めないことが多いことを知っておきましょう。
デメリット3 女性中心の職場になることが多い
男性が事務職を目指すにあたって、女性中心の職場にあたりやすいことは覚悟しておかなくてはならないでしょう。
大半が女性社員の職場では女性同士の人間関係があるわけですが、男性にとってその関係性は見えづらく、理解できないことも多々あるはずです。「女性中心の職場」と聞いて、なぜ男性が働きにくいと感じるのかピンとこない人ほど要注意です。
反対に、女性が多い職場でうまく気配りができたり、ムードメーカーになれたりする男性は重宝される場合もあります。
こういったことは本人のキャラクターや性格によるところも大きいため、自分が女性中心の職場に向いているのかどうか、身近な人の意見も聞いてみるといいでしょう。
男性が事務職に転職する際に、押えておきたい3つのポイント
志望動機をしっかり持つ&面談対策は念入りに
男性が事務職を志望する場合、「なぜ事務職なのか」という志望動機を他職種以上によく考えておく必要があります。
企業側としては、事務職として能力がある人、適性が高い人を採用したいと考えています。ところが、肝心な応募者側が「事務職は楽そうだから」「外勤は疲れるから」といった安易な理由で志望しているとすれば、企業にとって採用する理由がなくなってしまいます。
たとえば「組織を裏方として支えたい」という気持ちで志望している場合、一般事務に限らず総務や広報でもその目的を果たすことはできるはずです。
また、「事務職以外やりたくない」という応募者は、企業から敬遠される可能性があるため、志望動機の伝え方には注意が必要です。
会社によっては、はじめは事務職として入社したとしても、ゆくゆくは他部署に異動や転勤を命ぜられる可能性もあります。
自分は仕事を通して何を実現したいのか、企業にどのように貢献できるのか、といった根本的な部分を考え抜き、面接で納得性の高い志望動機を伝えられるように準備しておくことが大切です。
総務、経理など、事務職以外にも興味の持てる分野を見出しておく
一般事務として採用された人であっても、適性によっては入社後に総務や経理といった職種へ配置転換されることはめずらしくありません。「与えられた仕事だけを淡々とこなしたい」と考えるのではなく、事務職の延長線上にあるさまざまな組織内での仕事に関心を持ち、キャリアプランを考えておくことは非常に重要です。
現実的な話として、一般事務を派遣スタッフやパートでまかなっている会社は決して少なくありません。ベテランの事務職の社員が数名いて、残りは全て非正規雇用というケースもめずらしくないのです。中途採用の男性が事務職として採用され、その何十年も同じ仕事をし続けるのは考えにくい場合もあるはずです。
そこで、「いま事務職がやりたい」だけでなく、「今後どのように働いていきたいのか」というビジョンを伝えることが重要になります。
事務職にしか関心を示さないのではなく、積極的に総務や経理といった隣接した職種のこともリサーチし、興味が持てそうな分野を見出しておきましょう。
事務職以外の、代表的な管理業務職種
職種 | 説明 |
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経理・財務 | 会社が使ったお金、または会社がこれから使うお金を管理する業務です。 主な仕事内容に、「仕訳」「債権・債務管理」「月次決算」「確定申告などの税務処理」があります。 業務遂行にあたり、簿記・税の知識が求められます。 参考:「経理に未経験から転職するには?」 |
人事 | 組織内の人員配置や採用活動など、文字通り「人」にまつわる仕事を担います。 主な仕事内容に、「採用」「教育」「評価・考察」そのほかメンタルヘルスなどの労務関連などがあります。 採用ではマーケティング、教育・評価では組織開発などの知識が求められます。 参考:「人事に未経験から転職するには?」 |
法務 | 契約書の作成およびチェック、コンプライアンスへの対応、訴訟などのトラブルが発生した際の対応を担います。 契約書の作成・チェックでは法律の知識、各種手続きにおいては事務能力が求められます。 |
情報システム(社内SE) | 社内SEなど、組織内のシステム運用・開発を担当する部署・人員もバックオフィスとして区分されます。 システム・ネットワークに関する知識と、関係部署との調整の際にはコミュニケーション力、調整力が求められます。 参考:総務 |
総務 | 総務はバックオフィス業務において、「他の部署がおこなわないすべての業務」を担います。 そのため、会社によって業務範囲は様々です。 中小企業で多く見られるのが、「人事総務」という名称など、人事業務を兼任するケースです。 コミュニケーション力、調整力、マルチタスク力、全体を俯瞰してみる力などが求められます。 参考:「社内SEに未経験から転職するには?」 |
サポートの厚い転職エージェントを活用しよう
ここまで見てきて分かる通り、男性が事務職へ転職する場合には事務職特有のハードルがあります。
自分ではもっともだと思う志望動機であっても、企業が求めるものとは食い違っているかもしれません。
どのような人たちと一緒に働くことになるのかは入社してみないと分からないことが多いため、入社してみたら事務職の男性社員は自分1人だけだった、ということも十分あり得ます。自力で転職活動を進めるには、あまりに情報が不足しているのです。
男性で事務職へ転職したい方は、できるだけサポートの手厚い転職エージェントに登録し、キャリアアドバイザーに相談してみることをおすすめします。
そもそも事務職を目指すべきかどうか、といったところから相談に乗ってもらうこともできますので、自分の考えだけでなく第三者の視点でアドバイスをもらえるからです。
そのほか、応募書類の添削や面接対策といったサポートを受けられますので、自信をもって選考にのぞめるはずです。
男性が事務職に転職する際のおすすめの転職エージェント
マイナビエージェント
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書類添削・面接準備のサポートが充実。「初めての転職で不安」「求人数よりサポートの質を大事にしたい」という人におすすめです。
働きやすい職場と聞くと大企業を想像する人が多いかもしれませんが、事務職に関しては中小企業で男性社員が大切にされるケースが多いです。
事務職が総務や庶務を兼ねていることもありますので、意外と力仕事も必要な場面があるのです。
能力の高い人材であれば、将来的に女性だけでなく男性も総務部や経理部の管理職として登用したいと考えている企業も少なくありません。
マイナビエージェントは他の転職エージェントに比べて、中小企業の独自求人を多数保有していると言われています。中には知る人ぞ知る中小の優良企業も含まれていたりしますので、働きやすさを重視して転職先を決めたい人はマイナビエージェントに登録しておくといいでしょう。
マイナビエージェントの特徴
特徴 |
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サービス対応地域 | 全国 |
拠点 | 東京(2か所)、神奈川、北海道、宮城、愛知、大阪、京都、兵庫、福岡 |
事務職の公開求人数 | 約1,600件(2024年9月現在) |
業界・職種ごとの専任サポートチームが「じっくり親身になって」支援してくれるのがマイナビエージェントの強み。サービス入会時に登録する情報で担当が決まりますので、経歴・希望条件は丁寧に記入しておきましょう。
doda
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豊富な求人と担当者からの積極的な提案が特徴。「本気で事務職の求人を見つけたい!」と考えている方ならぜひ登録したい転職サイトです。
事務職の求人を探し始めると実感がわくかもしれませんが、事務職は定着率の高い職種なだけに決して求人が常時たくさんあるわけではありません。
欠員補充などのタイミングで、運よく求人と出合えるかどうかが重要なところがあるのです。そのため、限られた転職期間中に多くの求人を見ておくことが重要になります。
dodaは常時20万件以上の求人を抱える転職サービス(2024年9月現在)で、転職サイトと転職エージェントが一体型になっている点が大きな特徴です。
膨大な求人データベースの中から事務職を募集している企業を紹介してくれます。
また、転職エージェントを通してのみ応募が可能な非公開求人であれば、一般公開されている求人に比べて低い競争率で選考が進む可能性もあります。多くの求人を見ておきたい人にはdodaがおすすめです。
dodaの特徴
特徴 |
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サービス対応地域 | 全国 |
拠点 | 北海道、宮城、東京、神奈川、静岡、愛知、大阪、京都、兵庫、岡山、広島、福岡 |
事務職の公開求人数 | 約1.2万件(2024年9月現在) |
dodaは求人を自分から応募可能ですが、エージェント経由でのみ紹介される非公開求人も多いです。担当エージェントには初回面談時に希望条件をしっかり伝えておくことで、より有意義なサポートを受けられるでしょう。
リクルートエージェント
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国内No.1の求人数の豊富さ!転職支援ツールも豊富で、「正しい転職活動の進め方」を知りたい人にもおすすめのエージェントです。
リクルートエージェントは、国内最大の求人数・サポート実績を誇る転職エージェントサービスです。
事務職は希少性のある求人であるだけに、単純に数多くの求人に触れられる機会の多いことや、数々の成功実績を積んできたキャリアアドバイザーの助言をもらえることが、リクルートエージェントを活用するうえでの大きなメリットとなるでしょう。
また、リクルートエージェント独自のサービスも豊富です。
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リクルートエージェントの特徴
特徴 |
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サービス対応地域 | 全国 |
拠点 | 北海道、宮城、福島、東京、埼玉、千葉、栃木、群馬、神奈川、新潟、静岡、石川、岐阜、滋賀、愛知、京都、大阪、兵庫、岡山、広島、加賀、愛媛、福岡、長崎、熊本、鹿児島、沖縄 |
事務職の公開求人数 | 約2.0万件(2024年9月現在) |
リクルートエージェントを利用した人たちからは、オンラインで受講できる「面接力向上セミナー」について「実際の面接で役立った」という感想が多く見られます。登録後は無料で参加できますので、面接対策に不安を感じている人はぜひ利用しましょう。
パソナキャリア
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ひとりの転職者に平均20時間のサポート。「じっくり丁寧なサポート」を求める人におすすめです。
職種転換して事務職に転職する人の場合は、志望動機はもちろんのこと、これまでの経験を事務職でどのように活かせるのか、面接で詳しく聞かれることは間違いありません。
自分なりの考えがあったとしても、それを面接の場で的確に伝えられなければ内定を勝ち取ることは難しいでしょう。職種転換を伴う転職の場合はとくに、徹底的に面接対策をしておく必要があるのです。
パソナキャリアは数ある転職エージェントの中でも、キャリアアドバイザーに時間をかけて面談をしてもらえることで知られています。
応募書類の添削や面接対策といったサポートも付いていますので、客観的な視点でアドバイスしてくれます。
面接対策に力を入れたいと考えている人は、パソナキャリアを活用するといいでしょう。
パソナキャリアの特徴
特徴 |
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サービス対応地域 | 全国 |
拠点 | 全都道府県 |
事務職の公開求人数 | 約1,000件(2024年9月現在) |
丁寧なサポートゆえに、転職者のやる気、熱意も求められます。転職するにあたって「これだけは譲れない」という希望条件を持っておくと、担当エージェントも求人紹介がしやすくなります。
まとめ 男性の事務職への転職は「なぜ事務職なのか」を明確に!
事務職は決して楽な仕事でも簡単な仕事でもありません。細かな気配りが必要な仕事ですし、ちょっとしたミスが会社にとって大きな損害をもたらすようなケースも少なくありません。男性が事務職への転職を検討する上で、「事務職を甘く見てしまう」のは最も避けるべきことなのです。
男性が事務職を目指すのはアリですが、目指すのであれば「なぜ事務職なのか」「事務職として何を実現したいのか」といった考えをしっかりと伝えるようにしておくことが大切です。