自動車業界に転職するには? 仕事内容と未経験からの転職のポイント
[最終更新日]2024/11/13
未経験者だけれど、自動車業界で働いてみたい——。このように考えたことはありませんか?
自動車業界と一口に言っても、実は多種多様な仕事があります。転職を目指すなら、まずは仕事内容や求められる知識・スキルを確認しておくことが大切です。
目次
1)そもそも、自動車業界にはどんな仕事があるの?
自動車業界に未経験から転職しようと考えている人にとって、まず気になるのは「どんな仕事があるのか?」という点でしょう。
自動車業界は非常に裾野が広く、市場規模も大きいのが特徴です。
日本の代表的な産業の1つですので、求人数が充実しており通年採用も数多く見られます。専門性が求められる仕事や経験者が有利な仕事がある一方で、未経験者でも比較的採用されやすい仕事も少なくありません。
つまり、未経験から自動車関連の仕事に就くことは可能です。自動車業界の主な業態と職種、それぞれの仕事内容について整理しておきましょう。
自動車業界は3つの業態に分かれている
自動車メーカー
製造する自動車の企画や組み立てを担っている業態です。
トヨタや日産、ホンダといった企業が自動車メーカーに相当します。
日本を代表する大企業がそろっており、大規模な製造工場を自社で抱えているのが特徴です。新車の企画開発に携わるチャンスがあるのは、自動車メーカーならではの醍醐味といえるでしょう。
ただし、自動車メーカーは自社で製造・販売までのあらゆるプロセスを担っているわけではありません。
自動車に使われるパーツは後述する部品メーカーが製造し、消費者への販売は同じく後述するディーラーが行います。
部品メーカー
部品メーカーとは、自動車を構成する部品を製造するメーカーの総称です。
自動車にはボディ・ガラス・エンジン・シートなど、3万点以上にものぼる部品が使われています。それぞれの部品は自動車メーカーが製造しているのではなく、部品ごとに専門メーカーが存在します。
部品メーカーは自動車メーカーから注文を受け、必要な点数の部品を受注生産するのが一般的です。
自動車メーカーが企画力を問われるのに対して、部品メーカーは精度の高い部品を製造する技術力が問われます。
自動車メーカーにも技術系の職種はありますが、割合としては部品メーカーのほうがエンジニアや製造職が多いのが特徴です。
ディーラー
完成品の自動車を消費者に販売するのがディーラーの仕事です。
自動車メーカーのグループ企業が運営する企業をとくに「正規ディーラー」と呼びます。トヨタであればトヨペットやネッツトヨタ、ホンダであればHonda Carsといったように、消費者の目に触れる販売店がディーラーと考えてください。
ディーラーの仕事は主に販売ですので、営業系の職種が中心です。
新車以外に、中古車を取り扱っているディーラーもあります。ディーラーにも整備士はいますが、複雑な修理や板金作業は提携している整備工場などに委託するのが一般的です。
自動車業界の主な職種と仕事内容
技術職/エンジニア
自動車メーカーや部品メーカーで自社製品の開発・設計を担当する仕事です。
製品の設計・試験・評価に関する高い専門性が求められるため、通年採用では経験者が求められる傾向があります。
ただし、近年は技術職が不足しがちであることから、自動車業界以外で技術職として活躍してきた人材を受け入れるメーカーも増えつつあります。
また、消費者が購入後の自動車を点検・修理する自動車整備士も技術職に含まれます。
自動車整備士は主に整備工場などに勤務しており、国家資格である自動車整備士資格を保有している人がほとんどです。
製造職
自動車工場で車体の組み立てをする仕事です。
正社員として就業する人もいますが、工場の繁忙期に合わせて就業する期間工という働き方もあります。技術職と比べると未経験者でも採用されやすいのが特徴です。
自動車の製造工場では古くから機械化が進んでおり、ロボットアームによる無人製造ラインも数多く見られます。
しかし、部品によっては人の手で組み立てる必要があるものや、最終的な点検は人の目で行う必要があるものも少なくありません。
自動車の安全性や品質を維持する上で、製造職は非常に重要な役割を担っています。
営業職
ディーラーを中心に、自動車の販売を担当する仕事です。
自動車メーカーや部品メーカーにも営業職の仕事はありますが、ディーラーが営業する相手が消費者であるのに対して、メーカーでは法人営業が中心という違いがあります。
未経験者をとくに積極的に採用しているのはディーラーです。
自動車に関する知識がある程度は求められますが、どちらかといえば接客や営業スキルのほうが重視されます。
異業種で営業職を経験してきた人や、営業未経験者でも自動車に関心のある人なら、営業職として自動車業界に転職できるチャンスは十分にあるでしょう。
事務職
メーカーやディーラーで事務を担当する仕事です。自動車業界特有の用語や商習慣に慣れる必要はありますが、一般的な事務職と大きな違いはありません。
異業種で事務職を経験してきた人や、未経験でも事務処理能力の高い人であれば採用される可能性は十分にあります。
また、広い意味では総務などの間接部門も事務職に含まれます。自動車の製造や販売に直接携わることはありませんが、自動車業界を縁の下で支える存在として活躍できる仕事です。
ただし、技術職・製造職・営業職と比べると求人が少ないので、自動車業界の事務職にこだわるのであれば求人の動向を常に注視しておく必要があるでしょう。
2)自動車業界の待遇と将来性
自動車業界の平均年収
メーカー系の業種の場合、平均年収は472万円(※1)です。一方、ディーラーの平均年収は403万円(※2)となっています。
職種にもよりますが、一般的に自動車メーカーは好待遇で平均年収が高めの傾向があります。部品メーカーの年収は製造する部品によって千差万別ですが、製造に求められる専門性が高いほど年収も高くなることが多いでしょう。
ディーラー系の営業職は、販売台数に応じて歩合給が支給されるケースがほとんどです。1台成約するごとに歩合給が加算されるため、販売台数が多ければ多いほど年収も高くなります。優れた実績を挙げれば、年齢や入社年数に関係なく年収1,000万円以上を達成することも可能です。
※1)doda「平均年収ランキング(96業種別の平均年収/生涯賃金)」より
※2)マイナビAGENT「業種別平均年収ランキング」より
自動車業界の将来性
世界で通用する日本の技術力を代表する業界として、日本の自動車産業は長らく安定的な地位にありました。しかしここ数年、業界全体が大きく変わっていく兆候が見られます。
EUは、2035年にハイブリッド車を含むガソリン車の販売を禁止するという目標を掲げています。
世界の潮流はEV(電気自動車)へと急速にシフトしており、高性能な内燃機関の製造がお家芸だった日本の技術が先行き不透明になっているのです。
日本の自動車業界にとって、強固なサプライチェーンは大きな強みの1つでした。しかし、急速にEVシフトが進んだ場合、既存のサプライチェーンの仕組みが足かせとなって技術の転換が難しくなるともいわれています。
一方で、EVから自動運転へと技術が進歩することにより、車載センサーや組み込みシステムといった技術は今後も必要とされ続けることが見込まれます。
自動車業界への転職を検討する際には、EVシフトや自動運転技術の実用化といった遠からず訪れる未来の動きも視野に入れておく必要があるでしょう。
3)自動車業界に必要な知識・スキル
自動車業界に転職する場合、どのような知識・スキルが求められるのでしょうか。とくに未経験者の場合、これまでの業務経験と自動車業界で求められる知識・スキルとの間に共通点を見いだしておく必要があります。
職種別に見た場合、求められる主なスキルは下記の通りです。
技術系=3DCADやプログラミングスキル
技術系職種では、業務で使用するツールを使いこなすスキルが重視されます。
具体的には、3DCADのオペレーションスキルは高い確率で求められるはずです。加えて、ソフトウェアエンジニアの場合はプログラミングスキルも求められるでしょう。
裏を返すと、自動車業界が未経験であっても上記のスキルを一定以上のレベルで持っていれば採用される可能性があります。
自動車の開発や設計に関する知識は入社後からも身につきますが、基礎的なツールの使い方やプログラミングスキルをゼロの状態から身につけるほどの時間的な余裕はないからです。
前職で3DCADやプログラミングを実務で活用していた人は、選考時には存分にアピールしましょう。
前述の通り技術職は不足傾向にありますので、自動車業界未経験者でもスキル次第で採用される可能性があるのです。
営業系=製品・技術に関する知識とコミュニケーションスキル
営業系職種の場合、前職での成果や実績が重要視されます。有形・無形商材を問わずセールスで成果を挙げてきた経験は、自動車の営業においても十分に転用できるからです。
ただし、自動車業界で営業職を務める以上、製品や技術に関する知識は求められると考えてください。
少なくとも、自動車の仕組みや部品の構成について強い興味関心を持っていることはマストといえます。
基礎的な知識は独学で身につけておく姿勢は必要とされるでしょう。
また、営業職である以上、コミュニケーションスキルはもちろん重視されます。採用選考の場においても、臨機応変な対応ができるか・顧客の声を聞く傾聴力があるかといった点は必ず見られます。
事務系=Officeソフトの実務スキル
事務系職種の場合、自動車業界に特有の知識はそれほど求められないと考えてよいでしょう。
業界特有の用語や商習慣に関しては、入社後に研修などを通じて覚えていけるからです。
ただし、事務系職種で必須ともいえるOffice系ソフトの実務スキルは必須となります。
Excelであれば、VLOOKUP関数やピボットテーブル、マクロなどが使いこなせるレベルであることが望ましいでしょう。
実務で使用してきた関数や機能を具体的に挙げることで、より正確なExcelスキルを伝えられます。
また、事務系職種は電話対応や他部門とのやりとりを担う面もあります。
コミュニケーションスキルの高い事務職は自動車業界においても重宝されますので、コミュニケーションスキルをアピールするのも1つの方法です。
海外とのやりとりが発生する場合もあるため、語学スキルがあればより採用確度が高まるでしょう。
4)自動車業界の転職で意識すべき3つのポイント
自動車業界への転職に際して、意識しておくべきポイントをまとめました。業界未経験者にとって必ず押さえておきたいポイントですので、求人に応募する前に必ず実践しておきましょう。
具体的には、次の3点を押さえておくことが大切です。
自動車業界へ活かせる経験・スキルを棚卸ししておく
前職の業務経験の中で、自動車業界で生かせる経験・スキルを棚卸ししておきましょう。
たとえば営業職であれば、前職においても自社製品や業界に関する知識を1つ1つ身につけてきたはずです。どのようなプロセスで知見を深めてきたのかを伝えることで、転職後に自動車業界で知識を吸収していける人材として見てもらえるでしょう。
技術職の場合、前職で携わってきた開発の詳細や、身につけてきたスキルについて整理しておくことが重要です。異業種の採用担当者に伝わるよう、業界特有の用語はできるだけ噛み砕いて一般化し、自動車業界でも生かせるスキルを抽出しておく必要があります。
なお、大手自動車メーカーでは海外にも製造・販売拠点を複数構えています。
語学力が評価される可能性も十分にあるため、TOEICのスコアなどアピールできるポイントがあれば必ず職務経歴書に記載しましょう。
語学力は職種を問わずアピールポイントになりますので、実務で英語を使ってきたなどの経験があれば忘れずにアピールポイントに加えることが大切です。
知名度だけでの転職は禁物!企業研究を念入りに行おう
自動車関連産業は非常に幅広いため、一般消費者の目に触れる企業はごく一部に過ぎません。
応募先企業を決める際には、企業の知名度(自分自身が企業名を聞いたことがあるかどうか)だけを基準に判断しないことが大切です。
とくに部品メーカーに関しては基本的にメーカーとのBtoB取引のため、初めて社名を聞く企業も数多く出てくるでしょう。
具体的にどの部品を製造しており、主な取引先企業はどこであるのか、どのぐらいの取引実績があるのかといった点を詳細にリサーチしておきましょう。
自動車業界は部品メーカーやディーラーの力なくして成立しない産業です。
しかし、現実には大手自動車メーカーを頂点に下請け構造になっている面があるのは否めません。いわゆる「下請けいじめ」のような構造になっていないか、顧客メーカーの判断次第で業績が乱高下するようなビジネスモデルになっていないか、注意深く確認しておくことが大切です。
一般的に、売上構成が特定のメーカーに一極集中している企業はリスクが高いといわれています。取引実績を確認する際には、複数のメーカーと取引している企業かどうかも入念にチェックしておきましょう。
自動車業界への支援実績が豊富な転職エージェントを活用する
とくに業界未経験者の場合、自動車業界への転職支援実績が豊富なエージェントを活用することをおすすめします。業界事情や企業間の力関係といった明文化されていない情報は、自力で調べられる範囲に限界があるからです。
転職エージェントに相談することで、前職までの経験業務や保有スキルのうち自動車業界で生かせる・評価されるものを客観的にアドバイスしてもらえます。
過去に自分と同じような境遇で自動車業界に転職できた事例があれば、ロールモデルとすることもできるはずです。
また、転職エージェントは応募者と企業の間に立って採用時の条件交渉も行ってくれます。
前職の経験を十分に考慮した上で条件を決定してもらうためにも、第三者である転職エージェントに仲介してもらうのは有効な方法といえるのです。
5)自動車業界への転職におすすめのエージェント
リクルートエージェント
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自動車業界の求人では、自動車メーカーが約4,200件、自動車部品メーカーが約1.2万件、自動車関連商社が約3,700件あります(2024年11月現在)。
また、担当アドバイザーもこれまでの実績をもとに自動車業界への転職に関する有益なアドバイスを提供してくれるでしょう。
リクルートエージェントの特徴
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サービス対応地域 | 全国 |
拠点 | 北海道、宮城、福島、東京、埼玉、千葉、栃木、群馬、神奈川、新潟、静岡、石川、岐阜、滋賀、愛知、京都、大阪、兵庫、岡山、広島、加賀、愛媛、福岡、長崎、熊本、鹿児島、沖縄 |
自動車業界関連の求人数 | 約1.4万件(2024年11月現在) |
doda
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「本気で自動車業界に転職したい!」と考えている方ならぜひ登録したい転職サイトです
dodaは国内トップレベルの求人数と、担当アドバイザーから積極的な提案が評判の転職エージェントです。
保有求人は20万件以上(※2024年11月時点、非公開求人を含む)、都市部だけでなく地方での転職支援にも強いです。
自動車業界の求人は、自動車メーカーが約4,500件、自動車部品メーカーが約8,000件、自動車関連商社が約600件あります(2024年11月現在)。
職種別では技術職・営業職・事務職の求人が多い傾向にあります。
自動車業界の求人を多くチェックしたい人は、リクルートエージェントとあわせてはじめに登録しておきたい転職エージェントです。
また、dodaは求人を自分で探して応募する「転職サイト」と、求人紹介から企業への応募、日程調整までアドバイスしてもらえる「転職エージェント」両方のサービスを利用できます。
「まずは自分でじっくり自動車業界に関わる求人をチェックしたい」という方は転職サイトのサービスを利用し、その後「応募や企業への交渉についてサポートしてほしい」となったときにエージェントサービスを利用する、という使い方もできます。
dodaの特徴
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サービス対応地域 | 全国 |
拠点 | 北海道、宮城、東京、神奈川、静岡、愛知、大阪、京都、兵庫、岡山、広島、福岡 |
自動車業界の求人数 | 約1.3万件(2024年11月現在) |
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タイズの特徴
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自動車業界の公開求人数 | 約1,500件(2024年11月現在) |
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自動車業界の求人は約300件あり、とくに技術職・製造職の求人が多く見られます(2024年11月現在)。
マイナビエージェントの特徴
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サービス対応地域 | 全国 |
拠点 | 東京(2か所)、神奈川、北海道、宮城、愛知、大阪、京都、兵庫、福岡 |
自動車業界の求人数 | 約300件(2024年11月現在) |
まとめ)自動車業界への転職は「選択肢の多さ」を最大限に活かすことがポイント
自動車業界は日本を代表する巨大産業の1つです。関連産業も非常に多く、転職先の選択肢が幅広くあるのが大きな魅力といえます。
一方で、選択肢が多いために「自分がどの分野で活躍できるのか」「業務経験を求めている分野はどれであるか」を見極めるのは簡単ではありません。
十分に業界研究・企業研究を行っておくのはもちろんのこと、転職エージェントのアドバイスを参考に適性を見極めることが大切です。
今回解説してきたポイントを参考に、ぜひ自動車業界への転職準備を効果的に進めてください。力を発揮して活躍できる企業が見つかれば、今後のキャリアがいっそう充実したものになるはずです。