看護師、職場の合わない人、54歳からの転職活動、年齢の壁、そしてそのとき心に負った傷。|私の転職体験談
転職前
- 職業
- 個人病院
- 職種
- 看護師
- 従業員規模
- 5名
- 年収
- 230万円
転職後
- 職業
- 総合病院
- 職種
- 中央材料室勤務
- 従業員規模
- 15人
- 年収
- 100万円
目次
ももかさんの転職ストーリー
1これまでの私
看護師として、穏やかな日々を過ごして。
54歳まで、地方の小さな個人病院で看護師として勤務していました。
離婚後に母親と二人暮らしをしており、子供もおりませんでしたので、とくにやりがいもなく、ただ穏やかで平凡な日々を過ごしつつ、このまま定年を迎えられたらいいなあなどと思っていました。
私自身は口下手でおとなしい性格で、休日も自宅で本を読んだり、料理をしたりするのが好きなタイプ、友人もあまり多くはありません。
看護師として仕事を続ける上で、きつい性格のいわゆるモンスターペイシェントと呼ばれる患者さんの対応にストレスを抱えて、悩んで眠れない日を過ごすことも何度かありました。
ただ、職場の同僚は私自身より年配で、とても思いやりのある方々だったので、職場自体には恵まれていると感じていました。
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2転職のきっかけ
私と、新しく赴任してきた若い看護師さんとの関係。
新しく赴任してきた、若い看護師さんとの折り合いが悪かったこと。
それが、私が転職することになった大きな原因です。
その方は院長先生の実の娘さんで、とても活動的で仕事もテキパキこなされる、看護師さんとしてはとても素晴らしい方でした。
一方で思ったことはすぐ口にする、人の好き嫌いが激しい、気に入らない人は無視したり挨拶しなかったりするなどという大人気ない一面もありました。
そして、どちらかと言えば要領の悪い私は、彼女にとっては「目障りな存在」だったようです。
イジメとまではいいませんが、ちょっとしたパワハラを繰り返されるような日が続きました。
それでもずっと我慢してはいたのですが、ある日、院長から
- 院長
-
「ちょっと、話があるんだけど」
と言われて、職場内で私と彼女が険悪だと噂になっていると告げられました。
実娘の彼女から色々吹聴されたのかもしれません、院長は「このままの状態では、良くないから」ということを繰り返し話されていました。
つまり、「辞めてもらった方が助かる」ということです。
私はやむなく、退職届を提出する運びとなりました。
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3転職活動中
幾度となく立ちはだかる、「年齢の壁」。
転職活動は、看護師向けの転職サイトを利用してみましたが、面接の際に年齢が高いことを理由に「難しい」と言われることが多かったです。
いくつか紹介された病院も、あまり評判の良い病院ではありませんでした。
そこで転職サイトは諦め、職業訓練を受けながらハローワークを利用して仕事を探しました。
ですが、ハローワークでも求人応募する際に「年齢が高いから」と職員の方に渋い顔をされて、やっと電話対応にこぎつけても、向こう側からやんわりと断られることが何回も続きました。
精神的にとても辛かったですし、何度もくじけそうになりました。
そんな中、「うちで一緒に働かないか」と声をかけてくれた同僚の看護師がいました。
その誘いの言葉自体が大きな心の支えになりましたが、そこでも面接選考時に年齢の壁が立ちふさがり、採用の運びとはなりませんでした。
(仕方ない、評判の悪い病院でもいいから就職しよう)とあきらめかけたこともありましたが、そうすれば、また同じことの繰り返しになるのではと思い直し、そして私は
- 私
-
(看護師以外の仕事も探してみよう)
と、決心をしました。
そうして最終的に決めた仕事が、総合病院の中央材料室の仕事でした。
総合病院の中央材料室とは
総合病院の中央材料室は、病院内で使用される医療器具や手術器具の洗浄、消毒、滅菌、保管を一括して管理する部門です。
医療の安全を確保するために、感染対策が厳格に行われており、器具の適切な管理が求められます。
中央材料室の主な仕事内容
仕事内容 | 説明 |
---|---|
医療器具の洗浄と消毒 | 使用済みの医療器具を洗浄し、残留物や汚れを取り除きます。その後、消毒処理を行い、感染予防を徹底します。 |
器具の滅菌処理 | 消毒後の医療器具をオートクレーブなどで滅菌し、無菌状態を保ちます。滅菌された器具は専用のパッケージに封入されます。 |
器具の保管と管理 | 滅菌済みの医療器具を適切な環境で保管し、使用時まで無菌状態を維持します。各診療科や手術室への供給スケジュールを管理します。 |
在庫管理と発注業務 | 医療器具や消耗品の在庫を管理し、必要に応じて発注を行います。常に適切な量の器具を確保することで、病院内の業務が滞らないようにします。 |
品質管理とメンテナンス | 使用される器具の品質を定期的にチェックし、問題があれば修理や交換を行います。滅菌装置の点検やメンテナンスも重要な業務です。 |
4転職後
中央資材室の仕事は、看護師の仕事より給料が半分以上少なかった。
新しい職場で働き始めて一番つらかったのは、看護師のころにくらべて給料がかなり減ったことです。
母親や友人に「もったいない」などと言われるとやっぱり、少し落ち込みますね。
ただ、小さな個人病院で、院長や患者さんや同僚などの顔色をうかがうことに疲れていた自分にとって、中材勤務というあまり人と接しない仕事は精神的にかなり楽なものがありました。
また、雇用主がかなり大きな会社であるということで、有給の取扱いや精神的なフォローがしっかりしており、安心して仕事だけにとりくめるという環境は、かなり新鮮で安心感がありました。
職員の人数が多い分、やはり馬が合わない人もいることはいるのですが、上司や先輩の多くは尊敬できる一本筋の通った方がほとんどで、結果としては良かったのではないかと思っています。
5その後、どうなったか。
看護師免許を持っていても、仕事探しは大変
「看護師免許を持っているなら、いくらでも仕事はある」
若い頃はそんな風に楽観的に考えていたのですが、現実はそう甘いものではないことを思い知りました。
ただ、自分としてはやれることはすべてやったし、あきらめたり逃げたりしたわけではなく上からの強要による退職だったので、後悔はありません。
新しい仕事をはじめてあまり時間がたっていないので、まだ結論付けることはできませんが、看護師という職業にとらわれずに職探しをしたことで、これまで背負っていた「医療従事者特有の責任」みたいなものと、苦手な人づきあいから解放されたように思っています。
視点を変えて新たな方面で職探ししたことで、失ったものもありますが、得たものも多かった──、今は、そう思うようにしています。
現在の仕事自体は、根気強くて、一人で黙々と仕事をすることが好きな自分にとても合っているように感じます。
今はとにかく新しい職場での仕事をきちんと覚えて、一人前の仕事ができるように努力したいと思っています。
以前の職場で心に傷を負い、新しい職場での人間関係に不安を抱いていた時、友人がこんなことを言ってくれました。
- 友人
-
「あなたの性格なら、見てくれる人はちゃんと見て認めてくれるよ」
その言葉が今も心の支えになっており、辛くなったときは友人とその言葉を思い出して、とにかく頑張っていきたいと思います。
また、今の職場は定年後も働き続けられるとのことです。
体と頭が許す限り、働き続けたいですね。
そしてその過程で、できれば、心に負った傷を少しずつでも、癒していければいいなあと感じています。
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