理容師から新聞記者へ転職して、365日24時間、働いて、働いて、働いて。|私の転職体験談
転職前
- 職業
- 理容院
- 職種
- 理容師
- 従業員規模
- 1~3名
- 年収
- 非公開
転職後
- 職業
- 新聞社
- 職種
- 記者職
- 従業員規模
- 10~50名
- 年収
- 非公開
目次
Hさんの転職ストーリー
1これまでの私
高校を卒業してからは、実家の理容師を十数年。
私は今年、51歳になる女性です。
転職は、30代半ばの頃のお話なので、一昔前のお話になります。
もともと実家が理容店で、私は理容師を十数年やっていました。
その頃から文章を書くことは好きで、学生時代からずっと続けていました。投稿マニアよりはちょっと上のランクにはいたんじゃないかな?と思います。
また、「現代詩中新田未来賞縄文賞」の受賞経験もあり、「詩人にならないか」とお誘いを受けたこともありました。
2転職のきっかけ
「立ち仕事は生涯できないよ」と宣告され──。
そうはいっても本業は家業の理容師で、母と共に実家の理容店を切り盛りしていたのですが、30代半ばのとき、大きな転機が訪れました。
左アキレス腱を靭帯ごと断裂して、長期入院することになったのです。
しかも、運動をしていて切れたのではなく、横断歩道を渡ろうとして左足を上げた瞬間に──というまぬけな理由でして、家族も親族も本人も「いったい、何がどうしてどうなったんだ?」という反応でした。
こういう時って、リハビリが大変だったりするそうなんですが、もともと私は筋肉がなく、リハビリで鍛える意味があまりなさそうということで、60日間の入院生活後、晴れて退院することができました。
──ですが、その際に、
- お医者様
-
立ち仕事は生涯できないよ。
──とドクターストップをかけられ、私は急きょ、理容師からの転職活動を余儀なくされたのです。
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3転職中
知り合いの新聞社の方から声がかかって。
これまで理容師一本で働いてきました。
学生時代も「一人娘に余計な虫を付けないように」という親の方針のもと、父の会社の事務仕事の手伝いや、母の理容院の手伝いくらいしか働いたことがなく、本当に途方にくれました。入院費で貯金も殆ど無くなってしまいましたし。
そんな折、ふとしたきっかけで以前縁のあった新聞社の方から
- 新聞社
Aさん -
今なにしてる?
と電話がありました。
私が「床屋ができなくなって」と今の状況を説明したところ、「もし辞めるから記者にならないか」と。
「いやいや、未経験ですし、高卒ですから」と断ったのですが、「高卒でも、あなたの書いた物は大丈夫だから」と、面接の日程を決められました。
この方は、以前私の書いた文章を見ていただいたことがあって、私の文章力を評価していただいていたのです。
面接の日、開始して5分で
- 新聞社
Aさん -
10月から出勤してね。15日まで見習いだけど、16日から正社員だから
──と。正直、頭の中では、「…え?」という状態でした。
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4転職後
365日24時間、働いて、働いて、働いて。
仕事内容は、当面水曜日の新聞の中の「おおさき○○」という地域情報を1面一人で書き、来月からは第二朝刊で「おおさき○○FRIDAY」という一人で計4面も書くという仕事量。
「え、多すぎない?」と思いましたが、担当部長によると「大丈夫、きっとあなたなら、慣れてきたら一日で4面書けるから」ということでした。──実際、1日なんかで終わるような業務量では全く無かったですけどね。
仕事の流れは、私が原稿を書いて、担当部長の上にチェックしてもらいます。その後デスクのチェックが入り、更にはその後に最終紙面を校正する担当がいて。
そうして出来上がってくるものは、自分のイメージした文面とは微妙に変わったものになる。
デスクは厳しくて、
- デスクの
N先輩 -
こんな記事のレベルだったら、お前は自分を記者と名乗るんじゃない!
と言われたこともありました。それでもなんだかんだ言いながら、実績のない私に記事を任せ続けてくれましたし、そんな職場のノリも部活みたいで面白かったです。
気がつけば、365日24時間、働いていました。
朝の5時に家を出て(職場まで自転車で5分)、一日取材して、会社には夕方の6時に到着して、原稿書いて、夜中の2時とかに帰る生活していました。
転職して1年後に、父が急逝しました。
私は、父の危篤の報を受けたときも原稿を書いていました。
3月にインターンで大卒の新人さんが来ましたが、私が「就業規則」なんて知らないって言うと、1日で逃亡していました。
──とにかく、本当に働きました。
ある日、デスクが私に
- デスクの
N先輩 -
Hさん(私の名前です)の文章と、心中する覚悟できたからさ
と言って、署名記事にしてくれました。
初めて私の名前が署名された記事は、近所の知り合いには投稿と勘違いされました。どうやら、私が○○新聞の配達をしているんだろうと思っていたそうです。
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5転職を振り返って
振り返れば、思い出はいつも楽しくて、そして優しい。
今は楽しかったことしか思い出せないのですが、その中で「私が書かなければ書く人いないでしょ」という驕りも、育まれていきました。
そしてその驕りは、私を更に仕事へと駆り立てていったのです。
平成8年の暮れ(父の一周忌ごろ)には、スーパーに行っても母に牛乳を取ってもらうくらい疲弊していました。
朝に、お腹があまりに痛くなって気絶することもありました。その時期から会社に遅刻することも多くなってきて。
丁度その頃は年末年始の休み時期で、なんとか身体に無理を聞かせて元旦も取材の仕事をしていましたのですが、さすがに「これからどうしていくのが良いだろう?」と考えるようになりました。
──この仕事は天職であり、私は書くのを、誰かに会いに行く(取材)のを辞めたくない。
有休や代休は2ヵ月分くらいありました。
──よし、1月からお休みをまとめてもらって、身体を治そう。そしてまた書こう。
そう思って会社に伝えると、「(一回退職して)ゆっくり休んだ方が良いんじゃないか」という反応。結局、5月まで働いて、退職することになりました。
失業保険の申請に行ったハローワークでは、「33才の女には仕事はないよ!」と言われたことが今でも忘れられません。「床屋から記者になるなんてあり得ない」とまで言われました。
じゃあ、「職員さんは私はどこに就職出来ると思いますか」と聞いたら、
- ハローワーク
職員の方 -
U字構埋められますか?あなたができると思えばできるよ
とか言われて。──でも、当時はまだ身体の疲労がまったく回復しておらず、体力仕事はとても無理だろうと。
6月、左乳がんの告知をされました。
入院する私を、U字構を勧めていたハローワークの女性職員の方が、泣きながら見送ってくださいました。
それからまた、右乳がんをして、40歳のときに卵管がんもして。
──長い闘病生活の後、ようやくフリーで仕事ができる状態まで回復しました。
現在は、前の職場の上司や各代理店の皆さまから取材や記事作成のお仕事を回してもらって、生きつないでいます。
激務の仕事を選んだことに、後悔はありません。
記者として働いたあの職場は、私にとって「癌にならなかったら、土下座しても、戻りたい場所」でした。
誇りに思えることは、先輩のNデスクに、「お金を払ってでも読んでもらえる文章の書き方」を叩き込んでもらったことですね。そして、「たしかに私が生み出した」と言える媒体を創れたこと。──そして、記者として、お勤めしていた時間全部です。
Nデスクは、震災の年に亡くなりました。今でもデスクに叱ってもらいたいし、誉めてもらいたいです。──読んで、もらいたかったです。
今私は、母の介護をしながら、フリーで取材や記事執筆を行っています。
当時の職場の方からお仕事を回してもらったり、昔の伝手で依頼された記事の執筆をしています。
フリーだからこそ書けることや、時間をかけて取材できることもあります。これまでの経験からのものであったり、私のこれまで積み上げてきた想いであったり。──それは例えば、癌。そして、介護、私の先祖のこと。
自分にしか書けないものを、生活の心配なしに書ける状態に、早くしていきたいですね。
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