SIerからWeb系エンジニアに転職したい!転職成功に向けてのポイントと注意点まとめ
[最終更新日]2024/07/21
近年、SIerからWebエンジニアへと転向する人が増えています。
大手のSIerでそれなりに条件のよい待遇で働いていたところを、あえてWeb系のベンチャーへとキャリアチェンジを図っていく、といった例も決して少なくありません。SIerを惹きつけるWebエンジニアの仕事の魅力とは、どういったところにあるのでしょうか。
目次
1)SIerとWebエンジニアの違い
項目 | SIer | Webエンジニア |
---|---|---|
主な業務内容 | 企業や官公庁向けの大規模システムの設計、開発、運用、保守を行う。顧客の要件に応じてカスタマイズされたシステムを提供する。 | ウェブサイトやウェブアプリケーションの設計、開発、運用、保守を行う。フロントエンドおよびバックエンドの両方の開発を担当することが多い。 |
顧客層 | 大企業、政府機関、金融機関など、主に法人顧客が中心。 | 一般消費者向けのサービスを提供する企業や、中小企業が中心。 |
プロジェクトの規模 | 大規模で長期的なプロジェクトが多く、数ヶ月から数年単位のプロジェクトが一般的。 | 中小規模のプロジェクトが多く、数週間から数ヶ月単位のプロジェクトが一般的。 |
技術スタック | Java、C#、Oracle、SAPなどの企業向け技術や製品が多く使われる。 | HTML、CSS、JavaScript、PHP、Ruby、Python、Node.jsなどのウェブ技術が多く使われる。 |
働き方 | 顧客先に常駐することが多く、チームでの協働作業が中心。プロジェクトによっては長時間労働が発生することもある。 | リモートワークやフレックス勤務など、柔軟な働き方がしやすい環境が多い。個人の裁量が大きく、自主的な作業が求められる。 |
キャリアパス | プロジェクトマネージャーやアーキテクト、コンサルタントなどへのキャリアパスがある。 | フルスタックエンジニアや技術スペシャリスト、スタートアップのCTOなどへのキャリアパスがある。 |
広いくくりではIT業界と呼ばれるものの、SIerとWebエンジニアでは仕事内容、開発の進め方、求められる資質能力などがほとんど正反対と言ってもいいほど大きく異なります。
漠然と「Web系にも興味はある」で終わってしまうのではなく、具体的に転職活動へと結びつけるには、まずSIerとWebエンジニアの違いを理解しておくことがとても重要です。
違いを挙げていけば際限がありませんが、ここでは特に大きな3つの違いについて確認していきましょう。
SIer:開発を依頼する/Webエンジニア:自分でコードを書く
SIerはクライアントから依頼された案件を、ベンダーへ開発の委託をするのが主な仕事です。
よって、いかに属人性を排して作業を仕組み化するかがポイントとなります。理想的には「指示書の通りにやれば誰でもできる作業」にできるのが望ましいのです。
大規模な開発が多いこともあり、自分でコードを書いて開発するのではなく、外部へ仕事を頼むのが基本となります。
それに対して、Webエンジニアは自分でコードを書いて開発するのが基本です。
新しいアプリやサービスを短期間でローンチすることも多いため、1人のエンジニアが多くの仕事をマルチにこなすといったように、全員が実務部隊の最前線に立つことになります。
SIer:確実性を重視/Webエンジニア:スピードを重視
SIerは受託業務であるため、大雑把な言い方をすればクライアントの意向をきちんと体現することが最も重要な仕事です。
よって、ベンダーへ委託する場合にも作業の進め方やスケジューリング、成果物の品質については確実性を重視します。「できるかどうか分からない」という状況をいかに排除するかがポイントとなってきます。
WebエンジニアはSIerと比べると、確実性よりもスピードが重視されやすい傾向があります。
業務によっては見やすいコードを書くよりも実装スピードが優先されるといったように、個人プレーの連続になる場合もあるようです。
この点は特にSIerとWebエンジニアが大きく異なる部分なので、よく理解しておく必要があります。
SIer:ウォーターフォール開発/Webエンジニア:アジャイル開発
上の2点のような違いが出てくるのは、そもそもSIerとWebエンジニアでは開発の進め方が異なるからです。
SIerに多い開発手法はウォーターフォールですので、要件定義や設計といった「外へ仕事を振る前段階」の準備が非常に重要になります。
下請けへ発注した後に起こり得る事案をあらかじめ想定し、対策を織り込んだ進め方を計画できるのが、優秀なSIerということになります。
Webエンジニアはアジャイル開発が主流です。
全工程にエンジニア自身が関わり、「まずは作ってみる」ことを前提に取り組みます。
場合によっては、ひとまずリリースしてからユーザーの反応によって機能を改善することもあります。
2) なぜ、SIerからWeb系・Webエンジニアに転職する人が多いの?
SIerとWebエンジニアの仕事は、内容も進め方も大きく異なります。
にもかかわらず、Webエンジニアへ転向したいと考えるSIerは多く、実際に転職していくケースも近年増え続けています。一体なぜ、SIerはWeb系へ転向したいと考えるのでしょうか。
もちろん、エンジニアとして目指したいキャリアは人によって違いますので、Web系へ転向する理由を一概に決めることはできません。そこで、一般的に多いと思われるSIer→Webエンジニア転向の理由を挙げてみました。
「納品して終わりではなく、サービスの成長に関わっている実感を得たい」
SIerの仕事は基本的に受託開発なので、クライアントの意向通りに納品されれば、その案件はそこで終了となります。
システムが大規模であることも多いことから、運用が始まってから大きく仕様が変更されることはごくまれで、基本的には「エラーがなく運用されている」ことが望ましいとされます。
Webエンジニアの場合、サービスのリリースまで一貫してエンジニアが関わり、リリース後もユーザーの反応を元に修正を加えるアジャイル開発が一般的です。
「サービスが成長し、多くのユーザーに使われるようになっていくところを間近で見ていきたい」という点をWeb系へ転向する理由として挙げるSIerはとても多いです。
「自分の手で開発しているという実感をエンジニアとして得たい」
SIerは自らコードを書くことはほとんどなく、開発の実務を委託する側です。
もちろん、プロジェクトが円滑に進むよう先を見通した工程を考える能力が求められますので、その方面の能力を伸ばしていきたい人にとってはやりがいのある仕事と言えるでしょう。
ただし、エンジニアとして自分の手で開発していきたい人にとっては、SIerの仕事は長く続ければ続けるほど、マンネリ化している印象を拭えないかもしれません。
開発の実務はベンダーが行うため、SIer自身は新しい技術に疎くなってしまったり、興味が薄れてしまったりする危険性もあります。
エンジニアとして最前線にいたいという思いが強い人は特に、Web系に魅力を感じる傾向があるようです。
「BtoCの世界でユーザーからの反応をダイレクトに感じたい」
SIerが携わる案件はほとんどがBtoBの大規模システムです。
よって、そのシステムが世の中で使われていること自体、知っているのはごく一部の人だけということもめずらしくありません。
Webエンジニアが携わるのはほとんどがBtoC案件です。
一般のユーザーが利用するWebサービスなどが中心のため、使い勝手や機能の有用性に関するユーザーの反応がダイレクトに返ってきます。
また、BtoBにありがちなITゼネコン体質とも無縁であることから、より開発に集中できる環境を求めてWeb系へ転向するケースも見られます。
このように、ユーザーからの反応を感じたいことを理由にBtoBからBtoCへ転向するエンジニアは少なくないのです。
3)SIerからWeb系・Webエンジニアに転職する際に準備しておくポイント
ここからは、SIerがWebエンジニアに転職する場合、具体的にどのような準備が必要になってくるのかを考えてみましょう。
SIerとWebエンジニアの仕事の進め方が大きくことなることは先に述べた通りですが、SIerの世界に身を置いていると、なかなか他の業界の動向について知る機会がなくなってしまうかもしれません。
全く違う世界へ行くことになるので、ある程度自分から動いて情報を集める・自分で調べるといった積極性が非常に重要になってきます。
Web業界の情報を貪欲に収集し、Webエンジニアと交流する
Web系の世界は変化が非常に速く、数か月スパンで動向が変化することも全くめずらしくありません。
常に最新の情報を収集し、動向に敏感になっておくことはとても重要です。そのためには、エンジニア自身がWeb系のサービスが大好きで強い関心を持っていることが大前提になると言っていいでしょう。
また、実際にWebエンジニアと交流し、定期的に情報交換するのも効果的な情報収集の方法です。開発の現場でWebエンジニアがどのようなことを考え、何を課題と感じているのか、直接聞けるからです。
ただし、Webエンジニアとの交流の場は受け身の姿勢ではなかなか得られません。自分からエンジニアが集まる場所に顔を出すなどといった積極性が求められます。
新しい技術の話題に関心を持ち、実際に自分で開発してみる
SIerとして携わる案件は、安定していることが重要視されます。
そのため、開発言語や開発環境は比較的古めであることが多く、考えようによっては新しい技術を学び続けなくても対応できてしまうところがあります。
SIerの経験が長くなってくると、新しい技術への対応が難しくなる場合があると言われるのはそのためです。
一方で、エンジニア向けのメディアなどには、日々新しい技術の話題が溢れています。
国内だけでなく海外の動向も合わせれば、他のジャンルのニュースとは比較にならないほど情報量が多いはずです。
それらの情報に高い関心を持ち、RSSリーダーなどを活用して情報収集しておきましょう。
また、興味を持った言語や開発環境については実際に自分で開発してみることも大切です。
「知っている」だけではなく、自分で手を動かして開発した経験があることが重要なのです。
チームワークやリーダーとしての役割を常に意識する
SIerと比べると、Webエンジニアとして関わるプロジェクトは小規模の場合が多いはずです。
中途採用となれば、エンジニアとしての技術的なスキルだけでなく、プロジェクトを主導しメンバーを引っぱっていけるチームワークやリーダーシップを期待される面も多々あるでしょう。
正確に意思疎通を図れるコミュニケーション能力や、社内外の関係者と良好な人間関係を維持する力を日頃から意識しておく必要があります。
ただし、自分自身の強み・弱みは自分では把握しづらいこともありますので、転職エージェントを利用するなどして、第三者の視点から分析してもらうのもひとつの手です。
4)SIerからWebエンジニアに転職する際の、おすすめの転職サービス
SIerからWeb系への転向を望むエンジニアが増えつつあることから、転職サービス各社もそれに応えるためのフォロー体制や案件の確保を加速させています。
Webエンジニアに転職したい人にとっては、まさに追い風とも言える大きなチャンスの時期なのです。
転職サービスを利用する際には、IT業界での転職に実績・定評があるサービスを利用することをおすすめします。
もちろん大手総合転職サービスを利用してもいいのですが、その場合は以下に挙げるようなエンジニアに特化した転職サービスと組み合わせて登録すると、適切なフォローが受けやすくなり効果的です。
マイナビIT AGENT
マイナビ社が運営する、ITエンジニア転職に特化した転職エージェント。Web系の好条件求人の紹介、書類作成・面接準備へのサポートの手厚さに強みがあります。
マイナビIT AGENTは人材紹介会社の大手マイナビが運営する「IT/Webエンジニア専用」の転職支援をするエージェントです。
サポート対応地域は全国。オンラインでの面談も受け付けています。
マイナビIT AGENTの大きな特徴は、エンジニア向け求人数の豊富さ、そしてWeb系においてはシステム会社から事業会社まで幅広い業界の求人に対応している点が挙げられます。
また、マイナビの転職サービスは「サポートの丁寧さ」にも定評があり、職歴書の作成や面接対策に不安を感じている人におすすめです。
マイナビIT AGENTを利用した人の転職後定着率は97.5%(※公式サイトより)。
転職者一人ひとりにマッチする求人紹介とサポートが期待できます。
マイナビIT AGENTの特徴
特徴 |
|
---|---|
サービス対応地域 | 全国 |
Webエンジニアの公開求人数 | 約9,200件(2024年7月現在) |
とくに多いエンジニア職種 | アプリケーションエンジニア、インフラエンジニア、社内SE、SE・PG、PM・PL |
リクルートエージェント
Webエンジニア求人数は国内No.1!豊富な転職ノウハウと支援ツールで、「スピーディな転職」を実現できます。
リクルートエージェントは国内No.1の求人数と転職支援実績を誇る転職エージェントです。
Webエンジニアの転職支援にも強く、2024年7月のWebエンジニア向け公開求人数は約9.2万件と、他のエージェントから群を抜いての豊富さです。
これまで培ったノウハウをもとに開発された「サービス体制」と「支援ツール」が非常に高品質であることが、リクルートエージェントの強みです。
たとえば、リクルートエージェントでは志望企業の特徴・評判といった分析から選考のポイントまでをまとめた「エージェントレポート」を用意してくれます。
SIerからWebエンジニアの転職では、未経験領域に向けての入念な業界研究・企業研究が欠かせません。その際に、レポート情報は大いに役立つはずです。
また、担当アドバイザーもこれまでの実績をもとにWebエンジニアの転職に関する有益なアドバイスを提供してくれるでしょう。
リクルートエージェントの特徴
特徴 |
|
---|---|
サービス対応地域 | 全国 |
Webエンジニアの公開求人数 | 約6.5万件(2024年7月現在) |
とくに多いエンジニア職種 | プログラマー・Webエンジニア、社内SE、製品開発・ASP、組込み・制御エンジニア、ITコンサル |
レバテックキャリア
レバテックキャリアの担当エージェントは全員エンジニア経験者。「希望の企業に転職」96%、「転職後の年収アップ率」80%以上の高い実績を誇ります。
レバテックキャリアは「エンジニア実務経験者」のサポートに特化した転職エージェントサービスです。
保有求人数もIT・Web業界特化型サービスの中ではトップクラスで、かつエンジニアの専門知識を持つ担当エージェントからサポートを受けられます。
とくに書類添削サポートおよび企業への交渉力に強みがあり、「希望の企業に転職」96%、「転職後の年収アップ率」80%以上と、非常に高い実績を誇っています(※公式サイトより)。
「年収アップなど待遇面での改善をしたい」、「エンジニアとしてのキャリアプランを掘り下げたい」、「書類や面接で評価してもらえるようアドバイスを欲しい」というエンジニアの人は、レバテックキャリアがおすすめです。
レバテックキャリアの特徴
特徴 |
|
---|---|
サービス対応地域 | 全国 |
Webエンジニアの公開求人数 | 約7,000件(2024年7月現在) |
とくに多いエンジニア職種 | プログラマー・SE全般、PL・PM、ITコンサルタント |
Geekly(ギークリー)
ギークリーはIT・Web・ゲーム業界に特化した転職エージェント。各職種別に専門コンサルタントが在籍しており、目指す領域の最新トレンドをキャッチしながらの転職活動が実現できます。
Geekly(ギークリー)は、IT・Web・ゲーム業界に特化した転職エージェントサービスです。
ギークリーのキャリアコンサルタントは、最低でもIT業界で3年以上のコンサルティング経験を持っています。
また、サポートの際は細分化された職種別に担当が付きますので、目指す領域のトレンドや転職事例を知りつつの活動ができるでしょう。
そうしたサポート体制もあって、ギークリーを利用した転職者の年収アップ率は81%といいます(※2024年7月 公式サイトより)。
かつては「35歳転職限界説」もありましたが、ギークリーの転職成功者のうち、およそ4割近くは36歳以降のミドル世代です(※公式サイトより)。
これまでSIerとして多くの実務経験を積み上げた人は、ギークリーからWebエンジニアへのキャリアチェンジに向けて有益な支援を多く受けられるでしょう。
Geekly(ギークリー)の特徴
特徴 |
|
---|---|
サービス対応地域 | 全国 |
拠点 | 東京 |
Web系・Webエンジニアの公開求人数 | 約5,700件(2024年7月現在) |
とくに多いエンジニア職種 | プログラマー、SE、PL・PM、その他トレンド性の高い分野(エンタメ、ディープテック、SaaSなど) |
ワークポート
「未経験からの転職に強い」と評判の転職エージェント。SIer→Web系、PG→SE、SE→PLといったエンジニアのキャリアチェンジの際にも積極的な支援が期待できます。
ワークポートはリクルートエージェント・dodaに次ぐ豊富な求人を抱える転職エージェントです。
とくにIT・Web系職種に関する求人が多く、また同サービスは「業界・職種未経験者」への転職成功に多くの実績があります。
そのため、「SIerからWebエンジニア」、「プログラマーからSE」、「SEからPL」といったエンジニアのキャリアアップ・キャリアチェンジの際は、とくに多くの求人を紹介されやすいでしょう。
「検討の余地があれば求人を紹介する」というスタンスのエージェントのため、転職先の選択肢を広げる際にもおすすめです。
ワークポートの特徴
特徴 |
|
---|---|
サービス対応地域 | 全国 |
Webエンジニアの公開求人数 | 約1.2万件(2024年7月現在) |
とくに多い職種 | SE・PG、PL・PM、インフラエンジニア、社内SE |
まとめ)SIerからWebエンジニアへの転職はチャンスあり!だからこそ計画的に
IT業界では近年、慢性的な人手不足が深刻な問題になっています。
Webエンジニアに関しても例外ではなく、次々と新しいサービスがリリースされている裏で、能力のあるWebエンジニアがいれば即採用したいと考えている企業が数多く存在します。
SIerからWebエンジニアへの転身は可能ですし、大歓迎というWeb系の企業も多くあります。このような追い風の状況から、Webエンジニアへ転身するSIerが今後も増えていくことが予想されます。
だからこそ、計画的に転職活動を進め、周囲と差をつけていくことが大切なポイントになります。
SIerからWebエンジニアを目指そうと思ったら、いちどこの記事で紹介した転職エージェントに相談してみてください。
きっと、キャリアのイメージがより明確になり、Webエンジニアに「なれたらいい」が「なろう」へと変化していくでしょう。