クレジットカード業界の年収はどのくらい?転職前に知っておきたい将来性・仕事内容
[最終更新日]2024/08/10
クレジットカード業界での就業経験はないものの、キャリアチェンジに挑戦してみたい。こんな思いを抱いたことはありませんか?
一方で、業種未経験からクレジットカード業界に転職できるのか、不安に感じていた人もいることでしょう。
目次
1)クレジットカード業界の主な仕事内容
クレジットカード業界には、どのような仕事内容があるのでしょうか。主な仕事内容について確認しておきましょう。
法人営業(アクワイアラ業務)
クレジットカード業界の求人で最も多いのは、「法人営業」です。
法人営業は「アクワイアラ業務」と表現されることもあり、このアクワイアラ(acquirer)とは、クレジットカードの加盟店のことです。
クレジットカード会社は、加盟店を開拓することで自社の売上を伸ばしていけます。
法人営業(アクワイアラ業務)は、加盟店の開拓や審査、運用管理を行いますので、クレジットカード会社の業績にもっとも直接的に関わる仕事といえます。
営業企画・事業企画(イシュア業務)
営業企画・事業企画(イシュア業務)は、自社クレジットカードの会員募集をはじめとする様々な企画、そのほか申込み審査、利用者の管理を担当します。
「イシュア」とは「発行者・発行人」などの意味があり、イシュア業務はクレジットカードの利用者と契約し、カードを発行・提供する行為を指します。
アクワイアラ業務が対加盟店であるのに対して、イシュア業務は対利用者と捉えるとよいでしょう。
セキュリティ業務
クレジットカードには不正利用のリスクが付き物です。
加盟店および利用者の安全なクレジットカード利用を維持するには、セキュリティの確保が欠かせません。
不正利用防止に向けた対策や、補償が必要になった場合に備えて保険会社との契約をするのがセキュリティ業務です。
セキュリティ業務は、後述するカスタマーサポートやシステム開発と連携して行われます。
カスタマーサポート
クレジットカードの入退会を受け付けたり、利用方法の問い合わせやクレーム処理を担ったりするのがカスタマーサポートです。
提携会社のサービス紹介やクレジットカードのアップグレード促進、未払い者への督促といったアウトバウンド(発信業務)を担当することもあります。
クレジットカードの会員数は膨大なものとなるため、大規模なコールセンターを設置しているクレジットカード会社が少なくありません。
システム開発
クレジットカード会社が保有するシステムを開発・運用する仕事です。
基幹システムの開発・保全から、新たな機能やサービスのリリースに向けたプロジェクトまで、幅広い業務があります。
近年はeKYC(オンラインによる本人確認)が広く利用され始めており、クレジットカード会社でも入会手続きや審査をオンラインで完結できるケースが増えてきました。
こうした機能を実装・リリースするには、ITエンジニアの開発スキルが必須となっているのです。
2)クレジットカード業界は未経験でも転職できる?
クレジットカード業界に転職するには専門的な知識が必須のイメージがあるかもしれませんが、他業種からの転職も充分可能です。
とくに営業職の場合、他業種での営業経験者を積極に受け入れている企業が複数見られます。
法人営業や代理店営業の経験があれば、金融業界での実務経験がなくても転職できる可能性が高いでしょう。
また、カスタマーサポートや営業企画・経営企画、システム開発といった職種も、他業種での職務経験が活かしやすい傾向があります。
業界未経験だからと諦めることなく、「クレジットカード業界に転職したい」と思ったら、いちどチャレンジしてみるべきでしょう。
3)クレジットカード業界の平均年収・将来性
クレジットカード業界の平均年収
クレジットカード業界全体の平均年収は442万円(※1)です。
全業種の平均年収が443万円(※2)であることから、平均的な給与水準といえるでしょう。
金融業界が全体として平均年収が高い傾向があるため、クレジットカード業界の給与水準は決して高いとはいえません。
とくに業界未経験者が転職する場合、高年収が期待できるとは限らない点を押さえておく必要があります。
ただし、企業によっては平均年収が600〜800万円台のケースも見られます。
下記は、クレジットカード業界で平均年収TOP5の企業です。
- 1位:イオンフィナンシャルサービス(802万円)
- 2位:新生銀行(774万円)
- 3位:ホンダファイナンス(737万円)
- 4位:日産フィナンシャルサービス(657万円)
- 5位:ジャックス(606万円)
(各社有価証券報告書より)
このように、クレジットカード業界の中でも企業によって平均年収はまちまちです。
転職先を選ぶ際には、あらかじめ応募先の平均年収を確認しておくことをおすすめします。
※1)マイナビエージェント「業種別平均年収ランキング 金融・コンサルティング・クレジット・信販」より
※2)国税庁「令和3年分 民間給与実態統計調査」より
クレジットカード業界の将来性
クレジットカード業界は、もともと参入壁が高く安定性の高い業界です。
貸金業登録のほか、個人情報保護や信用情報の管理などクリアするべき条件が多数あることから、新規参入しにくいといわれています。
また、近年キャッシュレッス決済が広がっていることもクレジットカード業界にとって追い風となっています。
日本政府は2021〜2025年にキャッシュレス決済比率を4割程度、将来的には8割を目指す方針を掲げています。
今後、クレジットカード決済の比率はますます高まっていくでしょう。
一方で、キャッシュレス決済にはQRコード決済や後払い決済サービスなど、クレジットカード以外の決済手段が多数台頭しています。
もともと盤石な収益基盤を持つ業界とはいえ、現状の安定を今後も維持できるかどうかは不透明です。
クレジットカード業界への転職を目指すなら、隣接する決済サービス業界の動向も注視していく必要があるでしょう。
クレジットカード業界は今後も活況となる見通し。ただし、様々な決済サービスの登場により、市場競争も高まる模様。
4)【職種別】必要なスキルと転職前に準備しておきたいポイント
クレジットカード業界未経験者が転職する際、準備しておきたいポイントをまとめました。
未経験者を対象とした求人が多く見られる職種を中心に紹介しますので、ぜひ転職準備に役立ててください。
クレジットカード業界で求人募集がある主な職種
法人営業
必要なスキル
スキル | 業務で役立つポイント |
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ヒアリング力 |
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論理的思考力 |
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プレゼンスキル |
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法人営業職の場合、個人・法人問わず1〜3年程度の営業経験があることを条件とする求人が複数見られます。
金融・クレジットカード業界での就業経験は必須条件ではなく、歓迎する条件として記載されているケースが大半です。
これらの傾向から、営業職として必要な汎用スキルが求められるケースが多いです。
営業職としてヒアリング力やプレゼンスキルを発揮して活躍してきた経験や、論理的思考力をアピールすることがポイントとなるでしょう。
準備しておきたいポイント
面接でこれまでの営業経験をアピールする際、過去の就業経験がクレジット業界でどのように活かせるのかを言語化しておくことが大切です。
アクワイアラ業務で必須となる加盟店との折衝・交渉に応用できる経験をピックアップし、入社後どのように貢献できるのかを明確に伝えましょう。
クレジットカード業界での仕事内容に対する理解度をアピールできるだけでなく、入社後に発揮できる強みを伝えられるはずです。
カスタマーサポート・事務
必要なスキル
スキル | 業務で役立つポイント |
---|---|
PCスキル |
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コミュニケーション力 |
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状況把握能力 |
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基本的なPC操作ができることを応募要件とする求人が複数見られます。
業界を問わずコールセンターや一般事務の業務経験があれば強みになるでしょう。
研修制度やマニュアルが用意されているケースが多いため、クレジットカード業界で必要な知識は入社後に身につけられます。
むしろ、コミュニケーション力や状況把握能力といった汎用スキルをアピールすることが大切です。
準備しておきたいポイント
職務経歴書や面接でのPRの際は、前職の業種に関わらず、コミュニケーション力や状況把握能力を発揮して成果につながった事例を伝えられるようにしておきましょう。
カスタマーサポートではクレーム処理を担当するケースもあることから、接客や顧客対応でトラブルを解決へと導いた経験があれば強みになります。
また、基本的なPC操作に対応できることを証明するには、MOSや日商PCなどの資格を取得しておくとよいでしょう。
PCスキルに問題がないことが一目で分かるため、コミュニケーション力や状況把握能力のアピールに注力しやすくなるはずです。
営業企画・事業企画
必要なスキル
スキル | 業務で役立つポイント |
---|---|
分析力 |
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マーケティングスキル |
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論理的思考力 |
|
金融業界での事業企画・経営企画など、経験者を歓迎する企業が複数見られます。
一方で、金融業界やクレジットカード業界での就業経験がなくても、営業企画・事業企画の経験者であれば募集対象となっているケースも少なくありません。
企画業務でとくに重要となる分析力やマーケティングスキル、論理的思考力を発揮して活躍した経験があれば、アピールポイントとなるでしょう。
職種の特性上、クレジットカード業界に関する基礎的な知識が求められます。営業企画・事業企画がクレジットカード業界で果たす役割をきちんと押さえておく必要があるでしょう。
準備しておきたいポイント
自身が立案した企画が事業推進につながった事例や、新サービスの立ち上げに関わった事例があれば強みになります。
また、マーケティングスキルを求める企業が少なくないことから、マーケティングの知識を実務で活かして結果に繋がった事例があれば積極的にアピールしましょう。
イシュア業務を支える重要なポジションのため、即戦力として活躍できることを伝えるのがポイントです。
システム開発
必要なスキル
スキル | 業務で役立つポイント |
---|---|
金融業に関する知識・理解 |
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業務システムの開発スキル |
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金融系SEや業務システムの開発経験が1〜3年程度あることを応募要件としている企業が複数見られます。
クレジットカード会社のインハウスエンジニアは主に上流工程を担当するため、自身でコードを書くというよりは外部のSIerなどに業務を委託するのが主な役割です。
したがって、要件定義や仕様書作成の経験や、PM・PMOとしてプロジェクトを率いた経験があれば歓迎されるでしょう。
準備しておきたいポイント
これまでに参画したプロジェクトの概要が伝わるよう、スキルシートに分かりやすくまとめるのがポイントです。
一例として、下記の項目をまとめておくとよいでしょう。
- 案件名
- プロジェクト概要
- 開発環境・言語
- 役割(PG・SE・PL・PMなど)
- プロジェクト規模
- 担当工程(要件定義・基本設計・詳細設計・実装・単体テスト・結合テスト・保守運用)
- 貢献したポイント
システム開発の場合、即戦力として活躍できるITエンジニアを求める傾向があります。
応募先が求めるスキルを満たしていれば、採用される可能性が高いでしょう。
5)クレジットカード業界を目指す人におすすめの転職エージェント
リクルートダイレクトスカウト
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クレジットカード業界の求人数は国内最多!企業・ヘッドハンターからのスカウトが届く転職サイトです。
リクルートダイレクトスカウトは、転職大手「リクルート」が運営するヘッドハンティング型の転職サイトです。
サービスの主な特徴は、年収600万円以上のミドル・ハイクラス層向けの求人が国内トップクラスの豊富さであること、そして企業からのスカウトが多く届くことです。
クレジットカード業界の求人も多く見られます。
スカウト経由で転職活動を検討している人は、はじめに登録しておくことをおすすめします。
スカウトはAIによるマッチングも働いており、サービス利用を重ねるごとに「希望に合致するスカウト」が届くようになるといいます。
また、登録時に必要となるレジュメ作成は、経験や能力、希望条件などの選択項目から選ぶだけで完成します。
レジュメが出来上がれば、すぐにスカウトを受け取れます。
リクルートダイレクトスカウトの評判とおすすめ使い方
リクルートダイレクトスカウトの評判・口コミでは、「企業からのスカウトがたくさん届く」「希望にマッチした求人が多い」という意見・感想が多く見られます。
一方で「企業からだけでなくヘッドハンターやエージェントからのスカウトも多い」という声も見られます。
これはどの転職サイトにもいえることですが、登録時のレジュメを適当に済ましてしまうと質の良いスカウトは届きません。
リクルートダイレクトスカウトのサービスメリットを充分活用するうえでも、レジュメの経歴入力は丁寧におこなうことをおすすめします。
リクルートダイレクトスカウトの特徴
特徴 |
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サポート対象地域 | 全国 |
特に多い職種 | 経営ボード|経営企画・事業企画|管理|人事|マーケティング|営業|IT技術職|Webサービス・制作など |
クレジットカード業界の公開求人数 | 約1,300件(2024年8月現在) |
リクルートダイレクトスカウトで企業から良質なスカウトをゲットする際は、登録時に記入するレジュメを充実させることが重要です。「アピールできる経歴が思いつかない」という人は事前に事前にキャリアの棚卸しをしておくとよいでしょう。
リクルートエージェント
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クレジットカード業界の求人は国内トップレベルの豊富さ!転職支援ツールも豊富で、「正しい転職活動を知りたい」人にもおすすめのエージェントです。
リクルートエージェントは国内No.1の求人数と転職支援実績を誇る転職エージェントです。
リクルートエージェントの強みは全業種・職種に対して豊富な求人数を持つこと、そして長年の実績で培われたノウハウ・転職支援ツールの充実さにあります。
とくに活用したい支援ツールは、企業の特徴から選考のポイントまでをまとめた「エージェントレポート」です。
クレジットカード業界固有の仕事内容や各社の特徴はネットで調べるには限りがあります。その際に、レポート情報はあなたの活動に大いに役立つはずです。
また、担当アドバイザーもこれまでの実績をもとにクレジットカード業界への転職に関する有益なアドバイスを提供してくれるでしょう。
リクルートエージェント登録後に無料で活用できる、職務経歴書を自動で作成できる「職務経歴書エディタ」や無料の「面接力向上セミナー」のサービスもおすすめです。
リクルートエージェントの特徴
特徴 |
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サービス対応地域 | 全国 |
クレジットカード業界の公開求人数 | 約1,200件(2024年8月現在) |
とくに多い職種 | 営業・販売・カスタマーサービス|企画・マーケティング・経営|管理・事務|SE・ITエンジニア など |
リクルートエージェントのサポートは効率的かつスピーディに進みます。日頃の活動にかけられる時間を確保しておくと、より有意義にサービスを受けられるでしょう。
doda(デューダ)
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dodaは国内トップレベルの求人数と、担当アドバイザーから積極的な提案が評判の転職エージェントです。
クレジットカード業界の保有求人は常時600件以上、都市部だけでなく地方での転職支援にも強いです。
実績で培ったノウハウがあり、「積極的に求人紹介をする」タイプのアドバイザーが多いため、「スピーディ」かつ「自分にマッチする求人が見つかりやすい」特徴があります。
dodaのサービスの主な特徴は、「転職サイト・転職エージェント両方の機能を利用できる」、「企業からのスカウトが多く届く」ことです。
アドバイザーにキャリア相談をしながら求人を紹介してもらえるほか、自分でも登録後のマイページから気になった求人をチェックして応募が可能です。
企業からのスカウトについては、実際にdodaを利用した人たちからは「スカウトメールがたくさん届く」「(スカウトメールによって)色んな企業を知れる」といった評判・口コミが多く見られます。
dodaの特徴
特徴 |
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サービス対応地域 | 全国 |
クレジットカード業界の公開求人数 | 約750件(2024年8月現在) |
とくに多い職種 | 営業職|企画・管理|技術職(SE・インフラエンジニア・Webエンジニア)|事務・アシスタント など |
dodaは求人を自分から応募可能ですが、エージェント経由でのみ紹介される非公開求人も多いです。担当エージェントには初回面談時に希望条件をしっかり伝えておくことで、より有意義なサポートを受けられるでしょう。
マイナビエージェント
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書類作成、面接準備のサポートの手厚さが特徴。とくに「はじめての転職で、不安…」という人におすすめです。
マイナビエージェントは専門知識を持つキャリアアドバイザーが一人ひとりの転職者に対して丁寧に向きあい、きめ細かなサポートをしてくれることで知られる転職エージェントです。
とくに20代〜30代前半の転職サポートを得意としており、志望動機のブラッシュアップや面接指導を的確に行ってくれます。
また、マイナビエージェントは業界ごとに専任のキャリアアドバイザーが在籍しており、金融業界担当の人員も豊富にいます。
「クレジットカード業界に特有の転職事情を熟知した、キャリアアドバイザーに相談したい」という人におすすめです。
マイナビエージェントの特徴
特徴 |
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サービス対応地域 | 全国 |
クレジットカード業界の公開求人数 | 約600件(2024年8月現在) |
とくに多い職種 | 営業職|マーケティング|広報|人事|経理|クリエイティブ(Web・編集・制作など)|システムエンジニア|金融アナリスト など |
業界・職種ごとの専任サポートチームが「じっくり親身になって」支援してくれるのがマイナビエージェントの強み。サービス入会時に登録する情報で担当が決まりますので、経歴・希望条件は丁寧に記入しておきましょう。
まとめ 必要なスキルを把握して転職活動に活かそう
クレジットカード業界に未経験から転職することは可能です。
ただし、職種によって必要なスキルが大きく異なるため、応募予定の職種で必須のスキルを把握しておく必要があります。
これまでの職務経験のうち、クレジットカード業界で活かせる経験を整理した上で、十分にアピールできるよう準備を進めましょう。
今回紹介してきたポイントを参考に、ぜひクレジットカード業界への転職にチャレンジしてください。
キャリアチェンジのチャンスを掴めれば、今後の社会人生をより豊かなものにできるはずです。