介護レクリエーションとは?介護レクの実施法と「レクリエーション介護士」の資格を紹介
[最終更新日]2024/07/30
「仕事で介護レクリエーションが必要だから、やり方を知りたい!」
「レクリエーション介護士という資格に興味がある!」
本記事ではそんな悩みや願望を持つ方に向けて、実際にレクリエーション介護士2級を所持する筆者が介護レクについて解説します。
目次
1)介護レクリエーションとは?
介護レクリエーションとは、デイサービスやグループホームといった介護施設等で、ただの遊びとしてではなく、「利用者の生活の質を高める(=QOLを高める)」ために行うレクリエーションです。
身体を動かしたり、脳を刺激するようなレクリエーションを実施したりすることで、楽しみながら「要介護度の改善」「自立支援」をおこなうことが狙いです。
そのため、現在は多くの事業所で介護レクリエーションが実施しており、民間資格としても勉強できるようになるなど、需要の高まりが見られています。
介護レクリエーションの効果・メリットは?
介護レクリエーションに効果が期待されていることは多数あります。とくに注目される主なメリットは、以下の3点です。
効果・メリット1 脳機能・身体機能を活性化する
介護レクリエーションでは「クイズ」「計算」「折り紙」など、自然に頭と手先を動かせるようなものが多いです。これら行為により、脳神経や身体を活発に動かし、結果として認知症の予防やADL(=歩く,立つなどの日常生活動作)の向上に役立てることができます。
脳も身体も、高齢になれば動かすのが大変になるのは自然なことです。ですが、動かさなければ益々機能は衰えていき、認知症の進行を早めてしまうこともあるのです。
そうした悪循環を阻止するうえで、楽しみながら脳と身体を活性化できる介護レクリエーションは有効です。
メリット2 コミュニケーションを促進する
高齢になると、疲労や身体の衰えから外出機会が減ります。
すると人とコミュニケーションを取る機会が減り、孤独によるうつ病発症のリスクが増えます。
また、引きこもりや孤独死のリスクも大幅に増えるため、普段からコミュニケーションを取ることは非常に重要です。
さらに、コミュニケーションを取らないと脳機能が活性化せず、結果として認知症になるリスクが高まるといわれています。
こうした面からも、介護レクリエーションで他者とコミュニケーションを取る機会を持つことは大切です。
メリット3 生活の質を高め、自立支援にもつながる
介護レクリエーションで脳・身体機能を活性化し、他者とコミュニケーションを取る機会が増えることで、その人の生活自体も豊かになります。
介護レクリエーションによって心が充足し、身体機能が改善されることで、介護者がいなくても生活(=自立支援)できるようになるメリットもあります。
適切な介護レクリエーションを実施していくことは、「介護人材の不足」「高齢ドライバーの事故」など様々な課題の解決にもつながると考えられています。
2)介護レクリエーションの具体的な実施法
ここからは「介護レクリエーションの具体的なやり方・方法」について解説していきます。
介護レクリエーションには大きく分けて2種類あります。
1つが集団レクリエーション、もう1つが個別レクリエーションです。
「集団レクリエーション」は、その名の通り大人数で行うレクのこと(大人数での体操やカルタなど)。
「個別レクリエーション」は一人ひとりの個性に合わせて行うレクリエーションのこと(塗り絵や折り紙など)です。
集団レクリエーションの実践法と注意点
「集団レクリエーション」では、集団で行うことによって得られるメリットを最大限生かせるような工夫をする必要があります。ここでいうメリットとは、以下が挙げられます。
- コミュニケーションによる脳の活発化
- 仲間意識、孤独感の払拭
- 責任感や集中力の強化
集団行動によってコミュニケーションが促進されるという点がポイントです。
集団レクリエーションの実施方法
- ①利用者の特徴理解&目的を明確化(情報収集)
- ②情報収集を元にプランニング
- ③レクリエーション実施
- ④評価&反省
特に重要なのが、①の目的の明確化と②のプランニングです。
利用者は一人ひとり性格や身体機能の状態が違います。なかには一人が好きな方もいますし、手足を動かせない方もいます。
そうした情報を事前に把握し、集団でおこなう際に臨機応変な対応ができるようプランニングすることが、スムーズな実践へと繋がります。
また、集団レクリエーションの「目的」も利用者一人ひとりで変わってきます。
引きこもりがちの方には、少しでもコミュニケーションをとるという目標が必要ですし、身体が弱ってきている方は、少しでも身体を動かせるよう目標設定をする必要があります。
目標設定を誤ることで、「利用者の尊厳を傷つけてしまった」というケースもあるので、注意が必要です。
個別レクリエーションの実践法と注意点
「個別レクリエーション」のメリットは、とにかく“個人”に合わせたレクを展開できるということ。塗り絵や折り紙など、自分のペース・自分のレベルに合ったものを選択し、実施できるのが魅力です。
個別レクリエーションの実施方法
- ①利用者のアセスメントシートなどから情報収集
- ②情報収集を元にプランニング
- ③レクリエーション実施
- ④評価&反省
集団レクリエーションとほぼ同じですが、情報収集をより「個人」に焦点を当てて行えるため、その人に合ったレクリエーションは何か?という部分を深堀りできます。
注意点は、「自立につながるレクリエーション」を常に考えなくてはならないことです。利用者のできることは何か?という視点で企画し、無理なく脳・身体機能が改善されていくようなレクリエーションを提供するのです。
難しくしすぎてしまうと、利用者の方の自信や尊厳を傷付けかねません。一方で、簡単にしすぎると自立には繋がらないでしょう。
そのため、個別だからこそできる丁寧な情報収集を元に、バランスの取れたレクリエーションを実施することが大切です。
3)「レクリエーション介護士」の資格について
介護の民間資格のひとつとして、ここ数年で注目されているのがレクリエーション介護士です。
レクリエーション介護士とは、介護レクリエーションのニーズの高まりとともに生まれた資格です。
レクリエーションの企画や組み立て方法、認知症の方とのコミュニケーションで留意すべき点などを勉強でき、介護初心者にとっても入りやすく、また学びの大きい資格です。
レクリエーション介護士の資格取得方法
「レクリエーション介護士」の取得方法は以下の通りです。
- インターネットから「レクリエーション介護士」で検索
- 資料請求
- 申し込み(資料同封の申込用紙,もしくはHPから直接)
- 受講セットが届くので、勉強を始める
- 資格試験を受ける
- 添削課題、最終試験を受ける
- 合格証授与
※スクールに通学する場合は、2日間ほど指定の教室で受講し、添削課題や最終試験もその教室で行います。
レクリエーション介護士の資格取得はすべて在宅でおこなえます。日中忙しくしている主婦の方や会社員の方であっても大きな負担なく取得が可能です。
また、課題・試験の難易度はそれほど高くありません。いちど不通過となっても何度でも再チャレンジできます。
4)介護レクはどうやったらスキルアップできる?
介護士が介護レクリエーションの質を高めていくことは「要介護度の改善」「生活の質を高める」点でとても重要です。
そこで、ここからは筆者の体験に基づく「介護レクリエーションのスキルアップ方法」を解説ます。
方法を知っていれば、どの施設でも介護レクの際に重宝されるでしょう。
キャリアアップという意味でも、介護レクリエーション技術の向上方法は学ぶ価値があります。
#1 情報と企画内奥は必ず「紙・データにまとめる」
介護職は日常の介助に追われていますので、介護レクをいざ始めようとしても、綿密なプランニングができないことも少なくありません。
そのため、まずは一度しっかりと「情報収集」→「企画書の作成」という手順を踏むことが大切です。
利用者の情報を元に考え、それを企画書として紙に書きだすという作業をすることで、プランがまとまりやすくなります。
そんな企画書に書く内容は以下の通りです。
- 利用者の情報(アセスメントシートを元に作成)
- レクリエーション目的
- 企画内容(レクの概要・流れ・準備するもの・必要人員など)
他にも必要な項目があれば付け加えても構いません。
大切なことは、頭の中の考えやアイデアを言語化・可視化することです。
これにより、上司や同僚からも意見を聞きやすく、また協力も得やすくなります。
#2 実施後に「振り返り」をおこなう
実際に介護レクリエーションを実施したら、それで終わりではなく、その反省を元に次のレクリエーション向上を図ることが大切です。
介護レクリエーションが終了したら、職員で集まって「問題となる箇所はなかったか?」「よりスムーズに実施するために出来ることはあるか?」「さらに要介護度の改善ができるレクのアイディアはあるか?」などを話し合います…。
こうして改善しながら介護レクリエーションの経験を積み重ねることで、あなた一人だけではなく職場全体で介護レクのスキルアップが実現できます。
#3 レクリエーション介護士1級を取得する
レクリエーション介護士1級の取得を目指すことで、日本でもトップクラスの介護レクを勉強できます。
レクリエーション介護士2級は、未経験からでも学べるような基礎の内容が中心です。
一方、レクリエーション介護士1級では企画・運営など、より実践的な知識が求められます。
4日間の通学講座が必須であるなど、プロから本格的な介護レクリエーションを学ぶ機会もあります。
5)介護レクを実践できる職場探しに。おすすめの介護職向け転職エージェント
レバウェル介護
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介護系転職サービスでトップクラスの求人数。担当エージェントのサポート品質においても高評価の高いサービスです。
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なお、レバウェル介護では派遣社員として登録をする方向けに介護未経験・無資格の転職者のサポートも行っています。
転職を機に介護職の仕事デビューをしたい人も、レバウェル介護はおすすめです。
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レバウェル介護の特徴
特徴 |
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サービス対応地域 | 全国 |
公開求人数 | 約21万件(2024年7月現在) |
レバウェル介護は正社員向け転職と派遣社員転職とで窓口が分かれています。派遣社員として働くことを予定している方はこちらよりご登録ください。
かいご畑
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かいご畑は介護・福祉系の転職支援に特化した、転職エージェントです。
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「まずは業務に慣れてから、徐々にキャリアアップを目指したい」人に、かいご畑はとくにおすすめです。
かいご畑の特徴
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サービス対応地域 | 北海道、東京、埼玉、千葉、栃木、群馬、静岡、愛知、大阪、京都、神戸、広島、福岡 |
公開求人数 | 約9,000件(2024年7月現在) |
「まずは業務に慣れてから、徐々にキャリアアップを目指したい」人は、かいご畑の「キャリアアップ応援制度」の活用がおすすめです。
マイナビ介護職
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「福利厚生が充実」「教育制度が整っている」などのホワイト企業の求人が多いと評判のサービス。担当のサポートも手厚いです。
マイナビ介護職は、介護転職者からの認知度No.1(※GMPリサーチ株式会社調べ 2021年7月)を獲得した、介護職専門の転職エージェントです。
大手介護施設・事業所や待遇のよい求人が多いのが特徴です。
サービスを利用した人の評判・口コミからは、「担当エージェントのサポート」に対する高評価の声が多く見られます。
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書類添削や面接対策といったサポートにも力を入れており、志望動機や自己PRの作成にも役立つでしょう。
マイナビ介護職の特徴
特徴 |
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サービス対応地域 | 全国 |
公開求人数 | 約7.8万件(2024年7月現在) |
マイナビ介護職の活用メリットの一つに「離職率や職場環境などの、詳細の施設情報を知れる」ことがあります。企業研究の際は担当からの情報を有効活用しましょう。
ジョブメドレー介護
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介護職向けの求人数は国内No.1!バリバリ正社員で働きたい人から未経験・復職向けまで幅広い案件を確認できます。
ジョブメドレー介護は、介護職専門の転職エージェントです。
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介護職関連の求人約25万件(2024年7月現在)という数字は、国内の介護特化の転職サービスの中でもトップクラスです。
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なるべく幅広く求人を比較したい人に、ジョブメドレーは適しているでしょう。
サービスを利用した人たちからは、「求人の幅広さ」「スカウトメールが届く」ことへの高評価のコメントが多く見られます。
ジョブメドレー介護の特徴
特徴 |
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サービス対応地域 | 全国 |
公開求人数 | 約25万件(2024年7月現在) |
ジョブメドレー介護のサービスは求人サイトがメイン。担当者からのサポートはありませんので、不安な方はレバウェル介護やマイナビ介護職といった介護職向けエージェントを併用しておきましょう。
まとめ)介護レクリエーションは、利用者だけでなくあなたのためにもなる
ここまでの内容をまとめます。
- 介護レクリエーションは超高齢化社会の現代で非常にニーズがある
- 介護レクリエーションには「集団」「個別」の2種類がある
- 「レクリエーション介護士」の資格はキャリアアップにも役立つ
介護レクの正しいやり方を知っていれば、利用者のためになるのはもちろん、あなた自身のキャリアと働く上での充実度にもプラスに働きかけてくれるはずです。
興味のある方は、「レクリエーション介護士」の取得もぜひ検討してみてください。