40代でリストラされたらどうする?悲惨な結末を避ける3つの対策
[最終更新日]2024/08/31
ここ数年、40代のリストラが増えているという話を耳にしたことがありませんか?
かつて早期退職者の募集といえば、定年退職間近の年代が対象になるというイメージが一般的でした。ところが、近年では早期退職者募集の対象となる年齢層が下がっており、40代も例外ではなくなりつつあります。
この記事を読んでいる方の多くは「自分は大丈夫」「まさかリストラの対象になるはずがない」と考えているでしょう。
ところが、過去にリストラの対象となった40代の方々の中には「なぜ自分がリストラされたのだろう?」と感じている人も多いのが実情です。能力不足など明確な理由がなくても、リストラの対象となることはあり得ます。
目次
1)40代を対象としたリストラ・早期退職者募集が増加している
はじめに、40代を対象としたリストラの実態について確認しておきましょう。
近年はコロナ禍により、業種によっては業績に大きな影響が及んでいるケースもあるはずです。
業績が悪化したとき、企業が経営を立て直すには支出を減らさなくてはなりません。その方策の1つとして、人件費にメスが入ることは十分に考えられるでしょう。
では、実際に40代を対象としたリストラ・早期退職者募集はどのような状況になっているのでしょうか。また、現実的にリストラはどの程度身近な問題になりつつあるのでしょうか。
2020年の早期・希望退職者募集は90社
株式会社東京商工リサーチの調査によると、2020年に早期・希望退職者を募集した上場企業は90社にのぼりました。募集社数としてはリーマン・ショック後の2009年に191社が早期・希望退職者を募ったときに次ぐ水準となっています。
業種別では、下記の分野でリストラに踏み切った企業が多くみられました。
早期・希望退職者募集を開示した代表的な業種と企業数
業種 | 企業数 |
---|---|
アパレル・繊維製品 | 17社 |
自動車関連 | 11社 |
電気機器 | 10社 |
外食 | 7社 |
90社のうち2社では募集人数が1,000名を超えており、大規模なリストラに踏み切った企業もあることがわかります。
コロナ禍の影響により、2021年以降もリストラが行われる可能性は十分にあるはずです。40代の人材にとってリストラは決して他人事ではなく、予断を許さない状況が続いているといえます。
勤務先でリストラの動きがあると感じている社会人は3割超
株式会社パッションが従業員500名以上の企業に勤める方を対象に実施した調査によれば、現在の勤務先で「リストラの動きがある」と感じている社会人は31.5%にのぼっています。
このうち具体的な動きとしては「希望退職者の募集」が42.5%、「解雇」が23.0%、「退職勧告」が18.4%と、8割以上が退職を伴うものでした(2020年4月の調査結果)。
リストラに向けた具体的な動きを察知している人が全体の3割以上いたという結果から、リストラは決して「めずらしいこと」ではなくなっているといえます。
また、リストラの対象となった場合、配置転換や降格などの処遇に留まらず、希望退職・解雇・退職勧告といった厳しい現実を突きつけられる可能性が高い実態もうかがえます。
管理職も例外ではない「40代リストラ」の現実
40代のビジネスパーソンは、管理職などの役職に就いている人も多いでしょう。
会社から一定以上に評価されて役職に就いている以上、リストラの対象になる可能性は低いのでは?と考えている人もいるかもしれません。
しかし、管理職もリストラ対象者として例外ではありません。
近年、創造的で生産性の高い仕事を任せられる専門職に注目する企業が増えています。それに伴い、いわゆるゼネラリストタイプの管理職に期待される役割も変化しつつあるのです。
さらに、従来の階層型組織のあり方を疑問視する声も聞かれます。
アメリカで2005年に発表された論文において、ブロードウェイにみられるネットワークを基盤とする環境が人材の創造性を高めると論じられています(※以下注釈参照)。
これは、従来の縦型組織の管理職の有用性について、疑問視されつつあることを示しています。
ブロードウェイのクリエイティブアーティストのネットワーク図のイメージ
図内のAはひとりのあるプロデューサ、Bは作曲家、Cは脚本家、Dは監督を指しています。
また、中部の図(星形の五角形)は、アーティストたちの作品ごとのネットワーク図を表わしています。図の下部では、作品ごとのネットワーク図が他のネットワーク図と連結していき、互いに影響や刺激を受けやすい関係になっていることが確認できます。
引用元:※Collaboration and Creativity:The Small World Problem
Brian Uzzi(Northwestern University)・Jarrett Spiro(Stanford University)2005
いわゆる「管理職不要論」が囁かれるようになったのは、こうした研究結果と無関係ではありません。
たとえ管理職に就いている人材であっても、今後はリストラ対象者となる可能性があるといえます。
管理職の方々も「自分は役職者なので例外だろう」と言っていられないのが現実なのです。
2)40代でリストラされると「悲惨」といわれる理由
前項で見てきたように、近年の動向として次の点がみられます。
- 企業の人員削減に向けた動きが増加傾向にある
- 勤務先ですでにリストラの動きを察知している人も一定数いる
- リストラ対象者の年齢が下がり、40代も対象になっている
- 管理職であってもリストラの対象になることがある
一般的に、40代でリストラされるとその先のキャリアは非常に険しく、「悲惨」なものになるといわれています。なぜ、40代のリストラはそれほど高リスクとされているのでしょうか。これには主に3つの理由が挙げられます。
30代までと比べて再就職が困難になりやすいため
企業にとって、新たに採用する人材は若いほうが助かるケースが多いものです。
社員を指導・育成する期間が長ければ長いほど、将来的なキャリア形成が有望なものとなるからです。
40代の人材を採用する場合、定年退職までの期間は20代・30代と比べて明らかに短くなります。
研修や社員教育に一定の期間を要することを考えると、今後の在職期間が長いほうが採用時点で有利になるのは致し方ないことです。
また、40代の人材は前職で得ていた報酬が若手よりも高水準であることが多く、仮に採用するのであれば前職の給与水準を考慮しておく必要があります。
上長となる人材が年下のケースも想定されるため、「扱いづらい」と思われてしまう可能性も否定できません。
こうした事情から、30代までの人材と比べると再就職先が見つかりにくく、正社員として新たな職場を確保するにあたって厳しさを増すのが実情です。
住宅ローン返済や教育費など出費がかさむ時期にあたるため
リストラの対象となり、退職せざるを得なくなった場合、経済的な不安を感じる人が大半でしょう。
とくに40代は「働き盛り」といわれるように、住宅ローンの返済や子どもの教育費といった支出がかさむ時期にあたります。
リストラ前と同等の待遇で働ける職場を見つけない限り、これまでの生活水準を維持していくことは事実上難しくなってしまうことが想定されます。
生活レベルを下げるとなると、家族に対して顔向けできないと感じる人も多いはずです。
マイホームをやむなく手放さなくてはならないケースや、子どもの進学先に制約が生じるケースも出てくると考えられます。
マイホームの売却額がローンの残債に届かなければ、自宅を失った上に借金ばかりが残ることになってしまいます。
家族のためにと必死に働いてきたにも関わらず、あっけなくリストラされてしまい、虚しさと共に家族への申し訳なさを感じる人もいるでしょう。
こうした心理的な面でのつらさが、リストラされた際の負担としてのしかかることになります。
新たな環境に馴染むための柔軟性を失いつつあることも多いため
40代のビジネスパーソンの中には、現在の職場で20年以上働いてきた人もいるでしょう。
今の職場以外の環境で働く自分自身の姿を想像するのは難しいと感じる人もいるはずです。
職場が変われば人間関係も振り出しに戻り、真っさらな状態から構築し直していかなくてはなりません。全く新しい環境に飛び込み、馴染んでいくにはかなりの柔軟性が必要となるでしょう。
一般的に若いときのほうが新たな環境に馴染みやすく、年齢を重ねるとともに柔軟性が失われやすいといわれています。実際、年齢を重ねてから転職した場合、新天地の環境に馴染むまでに相当な苦労をしたといった声も聞かれます。
このように、40代でリストラされた場合、「今から新しい仕事にチャレンジできるのか?」と不安に感じるのは自然な心境といえます。
新たな道へと進むことに対して、若手と比べると心理的なハードルが高くなっている場合があり、リストラへの恐怖心を高める要因となっていると考えられます。
3)40代でリストラされやすい人の特徴とは?
リストラに伴う人員削減は各企業の方針によって決定されますので、どのようなタイプの人であってもリストラの対象になる可能性はゼロではありません。
前述のように管理職も例外ではなく、「絶対にリストラされない」と保証されている人はいないと考えたほうが得策です。
その中でも、とくにリストラの対象になりやすいパターンは存在します。
もし次のいずれかのタイプに当てはまっているようであれば、念のために今後の身の振り方を考えておくことも必要でしょう。
部下がいない・少ない中間管理職
現在、中間管理職として役職に就いている人のうち、肩書は管理職でも部下がいない人や、部下がいても1人などごく少人数の場合は注意が必要です。
年功序列の企業は減りつつあるとはいえ、今でも組織内での年齢構成や経験年数に配慮している企業は少なくありません。一定の年齢に達したら役職者に登用することで、実質的に残業手当を削減している企業もみられます。
部下がいない・少ない管理職は、組織の再編や配置換えに伴うリストラの対象になりやすい傾向があります。より上位の役職者が職務を代行したり、別の部署と合併したりといった対処をしやすいからです。
もし勤務先の企業が人員削減を検討し始めているとすれば、部下がいない・少ない管理職はリストラの対象者に挙がる可能性があります。
若手と比べて給与水準がかなり高い
一般的に、40代の人材は20代などの若手と比べて人件費が高くなる傾向があります。在籍期間が長くなればなるほど定期昇給によって給与が上がる機会も増えるため、必然的に給与水準が高くなりやすいからです。
たとえば、新卒者の初年度年収が350万円、40代の平均年収が700万円の企業の場合、40代1名の雇用を維持するための人件費で2名の新卒者を雇用できることになります。
企業としての将来的な発展を考えるとき、果たしてどちらが得策かを判断するのは経営者しだいと言わざるを得ません。
勤続年数に応じて昇給していく仕組みの企業の場合、向こう5年、10年でさらに人件費が重くのしかかることになります。
若手の人材は40代の人材と比べて昇給幅が少ないことも考えられるため、40代以上の人材がリストラの対象となるリスクは十分にあるのです。
専門性が問われない仕事を担当している
いわゆるゼネラリストタイプの人材の中には、高い専門性が求められない仕事を担当している人もいるはずです。
組織内でのローカルルールや慣習に詳しくても、これといって特別な資格やスキルを必要としない職務に就いている人は要注意です。
同じ社歴・経験年数の人材であれば代替可能と思われてしまう恐れがありますので、リストラの対象者になりやすい傾向があります。
同じ組織内で長年働き続けていると、社内で通用するスキルと他社でも汎用的に生かせるスキルの区別がつきにくくなる場合があります。
同じ理由で、社内での立場と人材市場での評価にどれだけの開きがあるのか、客観的に測りづらくなることも考えられます。
これまで担当してきた仕事の経験年数によらず、勤務先の看板がなくなったときにどこまで自分の能力やスキルが通用するのか、いちど客観的に把握しておく必要があるでしょう。
4)40代リストラの悲惨な結末を避ける3つの対策
40代でリストラされると「悲惨」な結末が待っているといわれる理由の1つに、自分自身がリストラの対象になるとは夢にも思っていなかったという人が多い点が挙げられます。
ある日突然リストラを言い渡されて愕然としないためにも、万が一の事態に備えて今から準備を進めておくことが大切です。
40代リストラの悲惨な結末を避けるには、次の3つの方策を講じておく必要があります。もし着手していないものがあれば、今日からでもすぐに実践して将来に備えておきましょう。
今後のキャリアに生かせる資格を取得しておく
もし現在の勤務先でリストラされたとしても、他社で通用する知識・スキルを身につけておけば転職や再就職がしやすいのは間違いありません。
他社でも通用する能力を身につける上で多くの人が連想するのが「資格取得」でしょう。需要の高い資格を取得しておくことによって、一定の知識が身についていることを証明できるからです。
ただし、資格を取得しているからといって、実務で生かせる能力が身についているとは限りません。
資格取得を目指すのであれば、これまで経験してきた業務と関連性の高いものを選ぶことが大切です。
取得した資格を実務経験で裏打ちすることができれば、他社でも通用するポータブルスキル(持ち運び可能な技能)として発揮できるはずです。
実務経験のない分野の資格を手当たりしだいに取得する「資格コレクター」にならないようにしましょう。
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副業・複業で複数の収入源をしておく
会社員が安定した身分といわれる根拠の1つに、期間の定めのない無期雇用である点が挙げられます。
つまり、正社員として就業している以上、将来にわたって給与が支払われ続けることが保証されているわけです。
ただし、この前提は近年大きく揺らぎ始めています。
会社を辞めざるを得ない状況になればたちまち収入が途絶えてしまうわけですから、リストラの可能性を加味した時点で会社員としての安定性は怪しいものとなってしまうでしょう。
この問題を打開するには、収入源が給料のみという状況を変えていく必要があります。
副業や複業が認められている職場であれば、給与以外の収入源を確保しておくことを検討しましょう。
たとえ少額であっても、複数の収入源が確保できていれば気持ちの上で余裕が生まれ、今後のキャリアを冷静に考えやすくなります。
また、勤務先以外でビジネスに携わることで社外の人脈が広がり、新たなビジネスチャンスに出会える確率も高まるはずです。
転職に備えて今から準備を進めておく
仮にリストラの対象者となってしまった場合、その時点から転職や再就職を慌てて準備するようでは心許ないと言わざるを得ません。
40代の転職活動は若手と比べて期間を要する傾向があります。急いで転職先を探そうとすると、納得できる転職先がなかなか見つからず焦ってしまい、結果的に不本意な転職となってしまう恐れがあります。
40代の人材を採用する企業は、若手には決して求めることのない高い期待を寄せるケースもみられます。
もし転職するとなれば、転職先で即戦力としての活躍を求められることも考えられるでしょう。
自分に何ができるのか、どのような貢献が可能なのかを明確にするためには、今いちど自己分析やキャリアの棚卸しをじっくりと時間をかけて行っておく必要があります。
転職に向けた準備が早すぎるということはありません。近い将来、本当にリストラの対象者となるかどうかはともかく、いつでも転職に向けた動きを取れるよう今から準備を進めておくことが重要です。
補足:キャリアの棚卸しについて
キャリアの棚卸しとは、「これまでの自分のキャリアで何をやってきたのかを全て洗い出すこと」です。
「キャリアの棚卸しをしましょう」と聞いても、具体的にどう進めるかパッと思いつかない人もいると思います。
そんな際は、以下の手順で進めてみてください。
- これまで経験した業務をすべて書き出していく
例)「営業事務作業、企画書・提案書の作成、サービス進捗のデータ入力」等 - 書き出した業務について、それら業務に求められる知識・スキルは何かを考える
例)「営業事務作業」=ヒアリング力、数値管理能力、PC操作の知識等 - 出てきた知識・スキルの中で、「これからも続けていきたいこと・伸ばしていきたいこと」が何かを考える
- それらを実現できる働き方について考える
特に転職前においては、キャリアの棚卸しはぜひやっておきたいところです。
キャリアの棚卸しの進め方については、以下記事で詳しく紹介しています。興味のある方は併せてご覧ください。
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まとめ)40代リストラは決して他人事ではないと捉えよう
40代でのリストラが近年増えているのは紛れもない事実です。
一方で、40代は「このタイミングでリストラされたら本当に困ってしまう」と大半の人が感じる年代ともいえます。だからこそ、自分がリストラの対象になるかもしれないという現実から目をそむけてしまい、将来の不安を先送りにしがちです。
今回解説してきたように、40代のリストラは決して他人事ではありません。
「自分には関係ない」と高をくくらず、万が一の事態に備えて準備を進めておくことは非常に重要です。
どれほど真面目に仕事に取り組んでいても、過去に実績を残していても、リストラを言い渡されてしまうことはあり得ます。
たとえ自身がリストラの対象者となった場合も、胸を張って次のキャリアを歩んでいけるよう、今からリスクヘッジに取り組んでおく意識を持つようにしましょう。