出版社への転職は難しい?これから出版業界に転職する人が意識すべきポイント3つ【志望動機の例文付き】
[最終更新日]2024/06/29
昔から小説や漫画を読むのが好きな方、もしくは人々に感動を与えたい方。
そんな方の中には「出版業界で働きたい!」と、転職を検討されている人もいるでしょう。
しかし、出版不況と言われている昨今で、未経験から出版業界正社員の道を目指すのは、決して楽な道のりではありません。
目次
1)現在、出版業界が置かれている状況とは?
「本が売れなくなっている」「書店が潰れていく」と言われる時代になってきました。
書籍や雑誌以外にも、Webやスマートフォンアプリで手軽に情報が手に入るようになり、本の重要度はひと昔前と比べればたしかに下がってきていると考えられます。
ところが、苦戦が続いているかに見える出版業界の中でも、絶好調のジャンルもあれば、ここ数年で大きく販売部数を減らしているジャンルもあるのです。
転職活動を始めるにあたって、まずは出版業界が現在置かれている状況を把握し、理解しておくことが大切です。
新刊の刊行点数は年間8万点以上。ただしベストセラーとなる本はひと握り
総務省統計局のデータによれば、日本国内の新刊点数は平成25年をピークに緩やかな下降傾向にあります。
しかしながら、平成27年の1年間を例に取ると8万点以上の新刊が発刊されているのは事実であり、毎日のように新しい本が世の中に送り出されていることが分かります。
2023年のベストセラー1位は学習参考書『小学生がたった1日で19×19までかんぺきに暗算できる本』、第2位は児童書の『大ピンチずかん』となっています。
2023年は例年と比べると学習参考書や児童書がよく売れた年でした。
このように見ていくと、まるで本は今でも飛ぶように売れているかのように錯覚しそうになりますが、実際にはベストセラーと呼ばれるほど売れる本はごくひと握りです。
たとえば、出版業界内では本が売れそうにないとき「これでは純文学になってしまう」と皮肉ることがあるほど、純文学ジャンルの本は売れないことが多いのです。
ほとんどの出版社で文学ジャンルは赤字部門と言われています。
その一方で、村上春樹のように新作を出すたびに話題を席巻する超ベストセラー作家も存在します。このように、売れる本と売れない本の差が顕著になっています。
雑誌が軒並み苦戦する中、専門性の高い書籍と漫画は好調
20代の女性向けファッション誌に『Cancam』という雑誌があります。ピークの時代には年間80万部に迫る発行部数を誇っていましたが、2013年には11万部まで部数を減らしています。
ファッション誌はバッグやアクセサリーなどの付録で部数巻き返しを狙っているものの、ターゲットとなる読者層の興味関心がファッション系WebメディアやInstagramへと急激に移りつつあり、雑誌社の多くが苦戦している状況です。
反面、専門書や技術書といった「堅い」ジャンルの書籍は好調です。
またコミックに関しても、電子書籍の売上は伸び続けており、今や出版社にとって屋台骨になりつつあります。
このように、近年では売れるジャンルと売れないジャンルの差が大きく開いており、転職する際にはどのようなジャンルの本を主に扱っている出版社なのかを十分にリサーチしておくことが重要になっています。
「よく知っている雑誌名だから」と思っていると、知らないうちに売上部数が大きく減少していた、といったこともあり得ます。
デジタルシフトの遅れやベテラン層の定年退職など解決すべき問題も
出版業界は他にも問題を抱えています。スマートフォンで動画や音楽ストリーミングサービス、SNSが気軽に楽しめるようになった今、若年層はこれらのサービスに1日のうちかなりの時間を使っています。
言ってみれば、各コンテンツが消費者の時間を奪い合っているような状況なのですが、出版社の中にはこうしたデジタル媒体がいかに強力なライバルであるのかをきちんと直視できていないケースも見られます。
出版社のコンテンツをデジタルシフトさせていくのは急務のはずですが、紙媒体に慣れ親しんできた業界のためか、立ち遅れている部分が少なくありません。
さらに、出版業界では世代交代が進んでいます。ベテランの編集者や敏腕の営業担当者が定年退職を迎え、若手へバトンタッチする際、ずっと職人気質で仕事をしてきたベテラン層からノウハウが継承されていないことがあります。
その結果、出版社の編集者の力量不足が目立つようになり、これまでは下請け的な立場だった編集プロダクションの力に頼らざるを得ないような状況も生まれつつあるのです。
このように、出版業界には解決すべき課題や問題点も多々あることを把握しておくことは重要です。転職してから「知らなかった」ということにならないようにしたいものです。
2)こんな志望動機は要注意!NGな転職理由をチェック
「出版業界の仕事は堅実で安定している」
まだ本が売れていた時代、出版社は儲かっていましたので、堅実で安定している業界というイメージを持つ人が少なくありませんでした。
歴史ある老舗の出版社であれば、半世紀以上にわたり経営を続けているところもありますので、「そう簡単に潰れたりはしないだろう」と思ってしまいがちです。
しかし、ここ数年は取次店や出版社の倒産が相次いでいます。
何十年と続いてきた出版社であっても、この十年ほどで急速に普及したスマートフォンやデジタルコンテンツの伸びはかつて経験したことのない大きな変化であり、これまで売れてきた本がさっぱり売れなくなってしまうことは決して不思議なことではありません。
そもそも出版業界は人の入れ替わりの激しい業界です。
編集者は企画力がなければ生き残れませんし、営業担当は他業種と比べて狭い業界内での人間関係がものを言う場面が多く、いったん転んでしまうとなかなか挽回が難しい仕事でもあるのです。
「出版社なら落ち着いた仕事だろうし、長く続けられそう」と高をくくっていると、現実には全くそうではなかった、ということになりかねないのです。
「活字を扱う仕事は他の職業とは違う特別な立場だ」
専門書や教材など堅いジャンルの本を扱う出版社を志望する人の中には、活字を扱う仕事に対して特別なイメージを持つ人がいます。
たしかに、世の中にまだ広く知られていない希少な情報を得た上で、それらの情報を伝わりやすいように編集し、本として発刊するという側面を見ると、知的な一面を持つ仕事のように映ることもあります。
ところが実際には、出版業界の実務は地道な努力の積み重ねを要するタイプの仕事がかなり多いのです。
著者や編集プロダクション、組版所、印刷会社、取次店や書店といった隣接業種と粘り強く協力して仕事を進める必要があり、ときには互いの利害のすれ違いから摩擦や衝突が生じることもあります。
「きれいな仕事」「スマートな仕事」というイメージを持っていると、実務に入ってから「想像と全く違っていた」と感じるはずです。
また、情報を届ける手段が活字しかなかった時代とは違い、現代ではデジタルコンテンツによって世の中に広く情報を届けることが可能になっています。
活字を扱う業界が何か特別な存在ということではなくなっているのです。
「売れる本と良い本は別物」「良い本を作っていれば売れる」
商業出版物を発刊する以上、出版業界もビジネスの世界です。
ときどき、「売れなくてもいいから良い本を作りたい」「質の高い本を作っていれば結果はついてくる」と考える人がいますが、良い本かどうかを判断するのは読者であり、手に取って読んでもらえなければ本の内容が良いかどうかを読者は判断することさえできません。
本への思い入れが強いあまり、自分にとっての「良い本」と世の中に提供する上で「良い本」の区別がつかなくなってしまうのは危険なことなのです。
もちろん、中にはじわじわと売れていくロングセラーの本もありますが、そういった本はどこかのタイミングでプロモーションに成功し、話題になっていることがほとんどです。
「はじめ売れなくても、いずれ世の中の人に気づいてもらえる本」は、現実的にはほとんどないと思って間違いないでしょう。
出版業界の仕事には大きなやりがいがあり、強い使命感をもって働いている人も少なくありません。
ただし、本作りは趣味の延長ではなく、あくまでビジネスであることを忘れるべきではありません。
「売れる本と良い本は違う」といった偏った考えに凝り固まってしまうことなく、ビジネスパーソンとしてのバランス感覚を保っていくことはとても重要です。
3)これからの出版業界の仕事に向いている人材とは?
マーケティングやプロモーションの重要性を理解している
本の流通が取次店から書店というルートに限られていた時代とは違い、現在ではAmazonをはじめ個人が本を購入するための手段が多様化しています。
従来のビジネスモデルに乗っかっているだけでは部数を伸ばすのが難しくなっているのです。
これからは、営業担当だけでなく、本作りを担う編集者もマーケティングやプロモーションの重要性を理解しておくことが重要になります。
一冊の本を編集・制作する上でかかる固定費や変動費を十分に考慮し、コスト意識をもって本を作ることや、どのようなターゲットにどういった方法でリーチさせるのか、読者の手に渡るところまでの戦略や見通しを持つことが求められていきます。
「自分の仕事は編集だから、売り方はよく分からない」「どう売るかは書店に任せておけばいい」といった感覚のままでは、あっという間に人材として淘汰されていってしまいます。
マーケティングやプロモーションに関する知識も、本を作ったり届けたりするプロセスの一環という意識を持ち、勉強を続けていくことが大切です。
出版業界で働く人が知っておくべきマーケティング・プロモーション知識
知識 | 説明 | 学習法 |
---|---|---|
デジタルマーケティング | WebサイトやSNSを活用したマーケティング手法。SEO、コンテンツマーケティング、メールマーケティングなどを含む。 |
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ソーシャルメディア戦略 | Twitter、Instagram、Facebookなどのプラットフォームを用いたプロモーション戦略。ターゲットオーディエンスの選定とエンゲージメント向上が重要。 |
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データ分析 | マーケティング活動の効果を測定するためのデータ収集と分析。Google AnalyticsやSNSのインサイトツールの活用。 |
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ターゲットマーケティング | 特定の読者層に向けたマーケティング戦略。市場調査や顧客ペルソナの作成が含まれる。 |
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コンテンツ戦略 | 魅力的で価値のあるコンテンツを作成し、ターゲットオーディエンスに届ける手法。ブログ、ビデオ、ポッドキャストなどが含まれる。 |
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広告キャンペーン管理 | オンライン広告(例:Google Ads、Facebook Ads)の計画と実行。予算管理、広告の最適化、効果測定が重要。 |
|
ブランディング | 企業や商品のブランドイメージを構築し、維持する戦略。ブランドストーリーテリングやビジュアルアイデンティティの確立。 |
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紙媒体だけでなく、Webやスマホアプリに対しても基本的な素養がある
出版業界は長らく紙媒体で情報を発信してきたこともあり、どちらかと言えばIT関連の情報に疎いタイプの人が少なくありません。
しかし今の時代、読者は紙だけから情報を得ているわけではなく、たとえばTwitterやFacebookを通じて新刊情報を得たり、Webサービスやブログに書かれたレビューを読んだりして本の購入を検討するケースも増えています。
紙媒体を扱う仕事だからWebやスマホアプリには興味を示さないのではなく、読者が日常的に触れているのと同じ情報に触れつつ、Webのトレンドやスマホアプリの動向を知っておきたい、と自然に考えられるタイプの人であれば、現代の読者に受け入れられる本を作ることができ、自分自身の感覚も古くなりにくいと考えられます。
出版業界は扱う本のジャンルによって各社ユニークな特色があり、そこが面白いところである反面、日々同種の情報にしか触れなくなってしまうリスクも背負っています。
未知のものや異質なものに興味を持ち続け、意識的に触れる機会を持つよう心がけることが重要になります。
出版業界を目指す人が知っておくべきWeb・スマホアプリのトレンド
トレンド | 説明 | 参考サービス |
---|---|---|
縦型ショート動画 | 短時間で視聴できる縦型の動画コンテンツ。TikTokやInstagram Reelsが人気。 | |
ライブコマース | ライブ配信中に商品を販売する手法。リアルタイムでのインタラクションが特徴。 | |
サブスクリプション型サービス | 定期的に料金を支払うことで、継続的にサービスを利用できるビジネスモデル。 | |
Web3.0 | ブロックチェーン技術を基盤とする新しいインターネットの形態。分散型アプリケーションやデジタル資産の所有が特徴。 | |
メタバース | 仮想空間内での交流や活動が可能なデジタルワールド。エンターテインメントや教育に利用される。 | |
UGC(User Generated Content) | ユーザーが生成するコンテンツ。レビューやSNS投稿などが含まれる。 | |
AI活用 | 人工知能を用いたデータ分析やコンテンツ生成。マーケティングやパーソナライゼーションに利用される。 | |
パーソナライゼーション | ユーザーの嗜好や行動に基づいて、個別にカスタマイズされたコンテンツやサービスを提供する手法。 | |
音声コンテンツ | ポッドキャストやオーディオブックなど、音声を中心としたコンテンツの利用が増加。 | |
インタラクティブコンテンツ | ユーザーが積極的に関与できるコンテンツ。クイズや選択型ストーリーなどが含まれる。 |
職人タイプではなく対人折衝力やマネジメントスキルを持っている
編集者は「職人」的な仕事と言われることがあります。
たしかに、本作りに対して強い信念を持ち、細部にまでこだわり抜く姿勢も必要ですので、職人的な一面がある仕事であることは間違いないでしょう。
ただ同時に、本作りは一人では完結できない仕事でもあります。
著者や編集プロダクション、組版所、印刷会社の協力なくして、本を作り上げることはできないのです。
編集方針について著者と意見が食い違っている場合、あるいは発刊までのスケジュールがタイトで編集プロダクションや組版所に負担をかけてしまう場合などには、「この人からのお願いなら聞いてもいい」と相手に思ってもらえるだけの信頼関係が築かれているかどうかがポイントとなります。
社内においても、企画段階から周囲を巻き込みつつ発刊に向けてチームをまとめていく力や、メンバーの得意・不得意や力量を見ながら少し背伸びをさせる仕事を任せ、成長を促すといったマネジメントスキルが求められていくのです。
出版業界で求められることが多いマネジメントスキルの例
スキル | 説明 |
---|---|
コミュニケーション能力 | 著者、編集プロダクション、デザイナー、印刷会社など、様々な関係者との円滑なコミュニケーションを図り、信頼関係を構築する能力。 |
交渉力 | 著者との契約条件交渉、編集プロダクションとのスケジュール調整、印刷会社との価格交渉など、様々な場面で交渉を行い、合意を形成する能力。 |
プロジェクトマネジメント能力 | 企画立案から編集、校正、印刷、販売までの一連のプロセスを管理し、スケジュール通りにプロジェクトを進める能力。 |
チームビルディング能力 | チームメンバーのモチベーションを高め、協力体制を築き、目標達成に向けてチームを導く能力。 |
人材育成能力 | チームメンバーの能力や個性を見極め、適切な指導や育成を行い、成長を促す能力。 |
問題解決能力 | プロジェクト進行中に発生する様々な問題に対して、迅速かつ的確に対応し、解決策を見出す能力。 |
リーダーシップ | チームメンバーを鼓舞し、目標達成に向けてチームを牽引する能力。 |
決断力 | 限られた情報の中で、迅速かつ的確に判断し、決断を下す能力。 |
ストレス耐性 | タイトなスケジュールやプレッシャーの中で、冷静さを保ち、仕事を進める能力。 |
調整力 | 関係者間の利害を調整し、円滑な協力体制を構築する能力。 |
4)これから出版業界に転職したい人が意識しておきたいポイント
「昔の出版業界は〇〇だった」という固定観念にとらわれないこと
出版不況と言われ続けている中、出版業界はこの状況を何とか打開しようと知恵を絞っています。
逆の見方をすれば、いまだに「昔の出版業界は〇〇だった」という過去の成功体験から抜けられない出版社は、もしかしたら将来が見えてしまうと言えるのかもしれません。
これから出版業界へ転職するのであれば、「出版業界の仕事というのは〇〇なものだ」と固定観念にとらわれてしまわないようにしましょう。
むしろ、「何を世の中に向けて発信したいのか」「誰にどのように届けられるのか」といったことをゼロベースで考えられる人のほうが、結果的に能力を発揮できる可能性が高く、自分自身も仕事を楽しめるはずです。
本作りの仕事は、先例をなぞっていればうまくいくわけではありません。自分ならどのように本を作り、どうやって読者へ届けたいのか、自立した意見を持っていることが大切なのです。
転職活動の前に「志望動機」を言語化しておこう
あわせて、なぜ出版業界で働きたいのか、その「志望動機」を明確に言語化することが重要です。
具体的な志望動機を整理することで、企業へのアピール材料となり、面接での受け答えもスムーズになります。また、自身のキャリアプランを明確にする上でも役立ちます。
具体的な志望動機の例① 特定の分野への情熱と専門知識を活かしたい
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私は〇〇分野に強い関心があり、大学時代から専門的に学んできました。〇〇に関する知識や経験を活かし、質の高い書籍を編集・出版することで、〇〇分野の発展に貢献したいと考えています。
具体的な志望動機の例② Webと紙媒体のハイブリッド展開で、読者の裾野を広げたい
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電子書籍の普及が進む中、私はWebと紙媒体それぞれの強みを活かしたハイブリッドな出版戦略に大きな可能性を感じています。Web媒体での情報発信を通じて新たな読者を獲得し、紙媒体での深堀りコンテンツを提供することで、読者の裾野を広げ、出版業界の活性化に貢献したいと考えています。
具体的な志望動機の例③ 編集者として、社会に影響を与える作品を生み出したい
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私は、本には人の心を動かし、社会を変える力があると信じています。編集者として、読者の心に響き、社会に影響を与える作品を生み出すことで、より良い社会の実現に貢献したいと考えています。
既存のビジネスモデルに寄りかかっていられないことを念頭に置くこと
出版業界は歴史の長い業界です。老舗の出版社になればなるほど、これまでの仕事の進め方や慣習が多く残っていることでしょう。
ただし前に述べた通り、そういった慣習は出版業界が好調だった時代にできあがったものです。いまや既存のビジネスモデルに寄りかかっていては、ビジネスとして立ち行かなくなる危険性さえあります。
こうした状況下では、周囲に合わせてばかりいると進化圧を阻害してしまうことになりかねません。
たとえば本の企画を考えるにあたって、「他社が最近〇〇の本を出して売れているらしい」「だったら同じようなものを出してみよう」といった横並びの発想に陥ることなく、「ならば全く別の方向から攻めてみよう」と考えられるかどうかなのです。
「そんな企画はとても通せない」「先例がない」と突っぱねられたとしても粘り強く説得し、本の形にしてしまうバイタリティを要します。
突出したベストセラーが現れる反面、業界全体としては地盤沈下が進んでいる状況だからこそ、周囲に合わせているだけでは成功できないという信念を持ち続けることの重要度が増しているのです。
世の中に送り出したい本の構想や企画を考えておくこと
出版業界で働きたい人は、ぜひ書店めぐりを習慣にしてみてください。
習慣的にいろいろな本を見ていくうちに、話題になっている本がどういったキャッチコピーで売り出されているか、編集意図がどのように誌面に表れているか、といったことを意識するようになるからです。
その上で、「なぜこういう本が世の中にないのだろう」「このジャンルの本はあまり売れていないようだけれど、もっとこんな工夫をしたらいいのでは?」といったアイデア出しをしていきましょう。
アイデアは手帳に書き留めるなどしてストックしておきます。こういった蓄積が、世の中に送り出したい本の構想や企画案として活きてくるのです。
たとえ異業種から転職するとしても、「〇〇の本を作りたい」という強い思いがある人のほうが、ほどほどの経験者よりも評価される可能性があります。
実務上のスキルは経験とともに身についていきますが、着想やアイデアを生み出す感覚は経験を積んでも伸びないことが多々あるからです。
漠然と「出版業界で働きたい」と考えている人よりも、世の中に送り出したい本の構想や企画を具体的に持っている人のほうが有利になるのは間違いありません。
5)出版社への転職におすすめの転職エージェント
ここまで読まれて、「やはり出版社に転職したい」と思った人は、いちど出版業界の求人を多く取り扱う転職エージェントに登録しておくことをおすすめします。
転職エージェントでは、業界や企業の情報提供のほか、あなたのキャリアプランについてのアドバイスもしてくれます。
想いを「適切な行動」に変えていくうえで、転職エージェントのサポートは有効でしょう。
なお、出版業界の求人は「非公開求人」が多く、転職エージェントによって保有する求人が変わる傾向にあります。
余裕のある人は複数のエージェントに登録しておき、よりご自身にマッチする求人を見つけられるようにしておくことをおすすめします。
リクルートエージェント
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国内No.1の求人数の豊富さ!担当者からの的確かつスピーディな支援も受けられるので、「なるべく早く転職したい」人に特におすすめのエージェントです。
リクルートエージェントは国内No.1の求人数と転職支援実績を誇る転職エージェントです。
出版社に関する求人も、他の転職サイト・エージェントよりも多く見つけやすいでしょう。
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また、担当アドバイザーもこれまでの実績をもとに出版業界への転職に関する有益なアドバイスを提供してくれるでしょう。
リクルートエージェント登録後に無料で活用できる、職務経歴書を自動で作成できる「職務経歴書エディタ」や無料の「面接力向上セミナー」のサービスもおすすめです。
リクルートエージェントの特徴
特徴 |
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サービス対応地域 | 全国 |
マスコミ(出版・テレビなど)の公開求人数 | 約2,200件(2024年6月現在) |
リクルートエージェントのサポートは効率的かつスピーディに進みます。日頃の活動にかけられる時間を確保しておくと、より有意義にサービスを受けられるでしょう。
doda(デューダ)
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都市部・地方ともに豊富な求人と、担当からの積極的な提案が特徴。企業からのスカウトも多く、たくさんの求人に接していきたい人におすすめの転職エージェントです。
dodaは国内トップレベルの求人数と、担当アドバイザーから積極的な提案が評判の転職エージェントです。
保有求人は20万件以上(※2024年6月時点)あり、出版社の求人も数多く掲載しています。
新着求人も豊富ですので、転職活動中は折を見てチェックしておくとよいでしょう。
dodaは求人を自分で探して応募する「転職サイト」と、求人紹介から企業への応募、日程調整までアドバイスしてもらえる「転職エージェント」両方のサービスを利用できます。
「まずは自分で出版業界の求人をじっくりチェックしたい」人は、転職サイトのサービスを利用するとよいでしょう。
その後「応募や企業への交渉についてサポートしてほしい」となったときに、エージェントサービスも利用できます。
また、dodaは「レジュメビルダー(職務経歴書作成ツール)」や「年収査定」など、転職活動をサポートしてくれるツールも豊富です。これらを無料で利用するメリットだけでもdodaに登録する価値はあるでしょう。
dodaの特徴
特徴 |
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サービス対応地域 | 全国 |
放送・新聞・出版系の公開求人数 | 約1,800件(2024年6月現在) |
dodaは求人を自分から応募可能ですが、エージェント経由でのみ紹介される非公開求人も多いです。担当エージェントには初回面談時に希望条件をしっかり伝えておくことで、より有意義なサポートを受けられるでしょう。
ワークポート
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出版業界で豊富な求人。未経験可の求人も多く、新しい領域にチャレンジしたい人におすすめです。
ワークポートはリクルートエージェント・dodaに次ぐ豊富な求人を抱える転職エージェントです。
とくにIT・Web系や営業、メーカー系職種の求人が多く、出版業界の求人も常時200~300件取り揃えています。
また同サービスは「業界・職種未経験者」への転職成功に多くの実績があります。
検討の余地があれば求人を紹介するスタンスのエージェントのため、転職先の選択肢を広げる際にもおすすめです。
ワークポートの特徴
特徴 |
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サービス対応地域 | 全国 |
拠点 | 北海道、宮城、福島、東京、埼玉、千葉、栃木、群馬、神奈川、新潟、静岡、石川、岐阜、滋賀、愛知、京都、大阪、兵庫、岡山、広島、加賀、愛媛、福岡、長崎、熊本、鹿児島、沖縄 |
出版・印刷・グラフィックデザイン関連の公開求人数 | 約600件(2024年6月現在) |
ワークポートの積極的な提案を最大限活用するには、初回面談時に希望する職種・働き方をしっかり伝えることです。事前にキャリアの棚卸しをしておくとスムーズでしょう。
マスメディアン
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マスコミ業界に特化した転職エージェント。他のエージェントが保有していない非公開・独占求人も多いです。
マスメディアンはマスコミ業界の広告・Web・マスコミ関連の職種に特化した転職エージェントです。
これまでマスコミ関連企業への転職を成功させてきた実績は4万人を超えており、同サービスのサポート力の高さが窺えます。
マスメディアンを活用する大きなメリットの1つに、広告・Web・マスコミ関連の職種を専門分野としている点が挙げられます。
すでに大手出版社や広告代理店との取引が多数あるため、他の転職サービスでは扱っていない求人が多数集まってきます。
そのため、マスメディアンだけが扱っている極秘求人や非公開求人、特命依頼といった希少性の高い案件を豊富に保有しているのが特徴です。
マスメディアンの特徴
特徴 |
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サービス対応地域 | 全国 |
出版業界の求人数 | 約300件(2024年6月現在) |
マスメディアンは業界経験者向けの転職サービスです。これまでの経歴をしっかり振り返っておくと、適切なサポートを受けやすいでしょう。
まとめ)出版業界は「自分で切り拓いていく」仕事
出版業界には「自分が企画した本が書店に並ぶのを見て辞められなくなった」と言う人がいる一方で、出入りが激しい業界であり、去っていく人も少なくありません。
「安定した大手の出版社に入って、そこでのやり方に従っていこう」と考える人は、もしかしたら出版業界へ行くと大変な思いをするかもしれません。
反対に、出版業界という器を借りて実現してみたいことがある人にとっては非常に面白く、他では不可能な経験ができる業界と言えます。自分で仕事を切り拓いていきたい人にとって、出版業界は多くのチャンスに満ちているのです。