給与 月12万円の編プロから大手出版社正社員までの道のり。|私の転職体験談
転職前
- 職業
- 雑誌出版社
- 職種
- 編集
- 従業員規模
- 11~50名
- 年収
- 300~350万
転職後
- 職業
- 出版社
- 職種
- 編集
- 従業員規模
- 300~400名
- 年収
- 600~650万
目次
角川次郎さんの転職ストーリー
1これまでの私
契約社員・社会保険なしの待遇でも出版社で。
もう20年以上前の話です。
東京の四年制大学に通っていた2年生の時、バブルがはじけました。
最近の若い方は「バブル」と聞かれてもピンと来ないでしょうか。
バブル期(ピークは1989年頃)とはどういう時代だったかというと、大卒者が就職してくれたら車をプレゼントするという企業が現れてニュースになるほどでした。
就職も大変な売り手市場で、私の通う平均的な偏差値の大学生でも、1人につき3社ぐらいの内定を有名企業から貰っていました。
バブルとは
バブルとは、1980年代後半から1990年代初頭にかけての日本経済における異常な経済成長を指す言葉です。
この時期、地価や株価が急上昇し、投機的な投資が活発化したことで、経済全体が過熱しました。
バブル経済の背景には、日銀の金融緩和政策や円高対策があり、資産価格が実態を超えて膨張しました。
しかし、1990年代に入ると株価と地価が急落し、バブルが崩壊。
これにより日本は長期にわたる経済不況、いわゆる「失われた10年」を迎えることになりました。
バブル経済時代の日本の特徴
特徴 | 説明 |
---|---|
地価と株価の高騰 | 東京を中心とした地価や、株式市場での株価が急上昇し、多くの企業や個人が資産を増やしました。特に不動産投資が過熱しました。 |
金融緩和政策 | 日本銀行が行った低金利政策により、資金が市場に大量に供給され、融資を受けやすくなったことがバブルを支える要因となりました。 |
過度な投機活動 | 株式や不動産への投機的な投資が活発化し、実体経済とはかけ離れた高値がつけられるようになりました。これがバブル崩壊の引き金となりました。 |
消費・投資の過熱 | 高い消費意欲に支えられ、贅沢な商品やサービスが人気を博しました。多くの人が高額な商品を購入し、企業はこれに合わせて投資を増やしました。 |
崩壊後の不良債権問題 | バブル崩壊後、多くの銀行や企業が不良債権を抱え、経営破綻やリストラが相次ぎました。これが長期不況「失われた10年」の原因となりました。 |
バブルがはじけると就職状況は一転。
私が2年生のときに卒業予定だった先輩たちは無名の企業に就職できれば良いほうで、仕方なくフリーターになる人も多かったです。
それからは一気に就職氷河期に。10年以上も続きました。私の就職時期はちょうどこの頃だったのです。
私は雑誌が大好きだったので出版社に勤めようと考えていました。
当時愛読書だったバイク雑誌の奥付けに編集アルバイトの募集が出ており、応募してみたらなんと採用されることに!
──とはいえ、6人しかいない出版社で、社会保険はなく給与は月12万円。2万円の風呂なしアパートに住んでいました。…まあ、その分仕事は楽しかったですが。
1年経って、当時よくしていただいていた先輩の紹介で、二輪四輪誌の出版社としては準大手50名くらいの会社に転職することになりました。
ですが、待遇はというと、契約社員・社会保険なし・時給1200円、──実質はアルバイト待遇でした。
しかし、私は密かな野望がありました。
- 私
-
(転職を数回繰り返しつつステップアップして、最終的に大きな出版社に入ろう──)
独身で20代前半だったこともあり、「雇用形態」とか「社会保険なし」とかは全く気になりませんでした。
それよりも、編集者としての技術を高めながら毎日楽しく働き、いま勤めている会社よりも大きな会社に転職できる機会を、ずっと狙っていました。
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2転職のきっかけ
私は契約社員。でも仕事は正社員の方と変わらず。
出版社では、「アルバイトや契約社員が編集者として働いていて、仕事ができるようになると社員に格上げになる」という風潮があります。
ですが、私が2社目に転職した会社には、そのシステムがありませんでした。
なぜかというと、当時の会社は正社員と契約社員との仲が良くなかったのです。また、正社員は契約社員と比べて、かなり高い給与を貰っていました(仕事内容や量は殆ど変わらないんですが)。
ちょうどそのころ、たまたま知り合った早稲田大学出身のライターAさん(非常に優秀な方でした)がいて、その方に
- 私
-
「(自分の勤めている)この会社どう思います?」
と思い切って訊いてみたところ、
- Aさん
-
「ハッキリ言おうか。──ぜんぜん良い会社じゃないよ。」
──と即答されたのです。
その一言がきっかけでした。(たしかに、ここにずっといても、もう学ぶことは殆どないし、これ以上のステップアップは難しいだろう)私はそう思い、転職活動を始めるようになりました。
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3転職中
目指した大手出版社は、通過率1.5%の狭き門。
転職活動中は、ライターAさんから沢山のことを教わりました。求人を出していた出版社のことや、業界のこと等々…。
私は特に無名の学校出身で、編集者としては当時は1年と半年の経験だけ。
他の転職活動者と比較しても決して有利でないことはよくわかっていました。
だから「とにかく数をこなそう」と、いいなと思った求人にはどんどん応募しました。
書類選考ではかなりの数で落とされました。ほぼ「すべて」と言っても良いくらいに。
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そうこうしていた頃、私が関心を寄せていた大手出版社の編集職募集が出ました。その際にライターAさんが、
- Aさん
-
「ああ、あの出版社か。結構大手だよね。たしかあそこは、筆記でSPI問題が出るよ。」
と教えてくれました。いまではSPIは大分スタンダードな感がありますが、当時はまだあまり知られてなくて。本屋に行ってSPI問題集を買って、そのとき初めて内容を知りました。
その後、出版社への応募をしたところ、なんとか書類選考を通り、採用試験を受けることとなりました。──ライターAさんの言った通りでした。試験でSPI問題が出たのです。
私はSPI問題と、小論文、そしてそのあと2回の面接を経て、見事、内定を勝ち取りました。
内定者数は私のほかに6人。そして、応募者は400名もいたそうです。
通過率1.5%の、とても狭き門でした。
4転職後
待遇が良くなると、それだけ仕事の質・量が求められる。
転職後は情報誌の編集部に入りました。
新しい職場でまず変化を感じたのは、「社内に女性がいること」。──二輪・四輪雑誌の世界には女性がいなかったので、そこが一番印象的でしたね(笑)。
正社員採用であったこともあり、社会保険やボーナスがあるのはもちろん、残業代はきちんとタイムカード通りに出ますし、待遇は文句なしでした。──入社時に「徹夜で仕事をするとタクシーで帰ってもいい」と言われたときはちょっと感動してしまいました。
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ですが、私にとってもっと嬉しかったのは、「取材経費が使える」ということでした。
もちろん限度はありますが、お金が使えると取材の幅がぐっと広がりましたね。編集者として、「更に納得できる雑誌作り」ができるようになりました。
もちろん、それだけの待遇が用意されていることにはきちんと理由がありました。
それはつまり、「その待遇や給料に見合うだけの仕事の質量が求められている」ということです。
雑誌が大きくなれば一緒に仕事をするフリーのスタッフも多人数になったり、社内の広告部や営業部から、社外の印刷会社、書店まで編集に付随する幅広い業務をこなさなくてはなりません。
また、大手出版社だと企業体としてもきちんとしているため、社内で使う書類や企画書などは、かなり厳密に作成していました。
大変でしたけれど、社会人としてのスキルを高めていくうえで、それらはとても良い経験でした。学ばせてもらったと思っています。
5転職を振り返って
真摯に努力をしつづけている人は、必ず誰かが見てくれる
その後、私は大手出版社に12年間勤めました。その間は、本当にいろんなことがありました。
私が入社した当時は、ちょうど「インターネット」が普及し始めたころです。
それからは、「紙とインターネットとの戦い」をまさに現場で観てきました。
携帯電話からもインターネットができるようになり、そしてスマホが登場して。
雑誌や本を読む人は本当に減りましたね。電車に乗っても、スマホを見ているひとが殆どですし。
その状況は、当然ながら出版業界にとっては厳しい影響をもたらしていきました。
大手出版社であっても収益はどんどん苦しくなって。十分な成果を出せず、段々と会社での居場所がなくなって退職した先輩や同僚、後輩は、本当にたくさんいました。
編集マンが会社を辞めた後は、大体「その後もうまくいってる」派と、「そこから再浮上できずに冴えない生活を送る」派に分かれるのですが、「うまくいっている」派は本当にごく少数です。
そういうのを見ていると、この業界は仕事自体は楽しくも、非常にシビアなものだと再確認されます。
活躍し続けている編集マンに共通する特徴は、「とにかく編集の仕事が大好きでよく働く」こと、そして「面白いコンテンツを作るために、常に情報に敏感で、編集テクニックを磨いている」ことです。
私の同期や先輩でも、日本を代表するファッションブランドの広告を作るスタッフとして働いていたり、国内のインターネット大手からヘッドハンティングされてコンテンツ制作の部門長をしていたり──。彼らは「出版」という場を離れた今も、編集者として活躍を続けています。
編集という仕事に対して思うことは、「真摯に努力をしつづけている人は、必ず誰かが見てくれる」ということです。
編集自体「人に見てもらう、読んでもらう」為の仕事ですので、よりそういった傾向が強いのかもしれませんね。
──私自身も、これからも編集を「好きな仕事」として、努力し続けていければ、と思っています。
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