旅行会社の転職は難しい?未経験で旅行代理店に転職成功する3つのポイント
[最終更新日]2024/09/10
就職希望先の人気ランキングでも毎回のように上位にランクインする旅行業界。
「旅行が好き」「旅行に関わる仕事がしたい」と、この業界への転職を考えたことがある人も多いのではないでしょうか。
しかし、華やかなイメージとは裏腹に、ときには「泥臭さ」もある旅行業界の業務。
憧れを持って目指す人の多い業界だからこそ、転職後にギャップを感じないよう入念なリサーチが重要です。
目次
1)そもそも、「旅行会社」「旅行代理店」ってどんな仕事内容?
【転職前に知っておきたい】旅行会社について
旅行業界には、大きく分けて「旅行業」と「旅行業者代理業」の2つがあります。
旅行業 |
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旅行業者代理業 | 旅行業者によるツアーパッケージ商品などを代理販売する業者 |
旅行商品を販売する対象として、旅行に行きたい日本人はもちろんのこと、法人に対して社員旅行などを販売する場合もあります。
また、近年では海外から訪日する外国人への対応、いわゆるインバウンド需要が高まっています。世界の国々からさまざまな宗教を信仰する方々が来日するため、戒律などに合わせた食事や宿泊施設を手配する必要があり、国際理解がいっそう求められるようになっています。
旅行会社・旅行代理店は、具体的にどんな種類があるのか?
旅行会社・旅行代理店の仕事内容には、大きく分けて企画系と営業系があります。
企画系
ツアープランを企画し、行き先での観光コースや宿泊ホテルの選定を行います。
「行ってみたい」と感じてもらえる魅力的なツアーを企画し、販売件数を伸ばすことを目指します。仕事によってはツアーに同行し、旅行中の観光案内やスケジュール管理をすることもあります。また、旅行代理店の場合、旅行会社から委託されて交通機関や宿泊施設、観光施設の予約などを行います。
営業系
企業の社員旅行や学校の修学旅行といった団体旅行のセールスをする仕事です。
顧客先に出向いて担当者と打ち合わせを重ね、希望予算に合ったプランを提案し成約を目指します。顧客の希望によっては実際の旅程に同行するケースもあるため、ツアーコンダクターの仕事も兼ねていることもあります。
旅行会社・旅行代理店への転職が人気の理由
旅行会社は就職、転職とも人気職種と言われています。人気がある最大の理由としては、「イメージが良い」ことが挙げられます。
具体的には、
- 年中、仕事で旅行ができる
- 人気の宿泊施設に安く泊まれる
- 研修などで海外へ行く機会がある
- 旅客機など交通機関を割安で利用できる
といったイメージが挙げられます。
これらのイメージの中には合っているものもありますが、イメージばかりが独り歩きしているものも少なくありません。
とくに、以下の2つの点は事前に知っておいた方がよいでしょう。
大型連休中は休みを取りづらい
旅行会社は、大型連休などいわゆるオンシーズン中は仕事詰めとなることが多く、1年を通してまとまった休暇も取りづらいことが多いです。
そのため、旅行が大好きで旅行業に携わっているのに自分自身は旅行をしている時間がなくなってしまう、といったことあるかもしれません。
旅行会社の給料は平均よりやや低め
転職サイト「doda」によると、「旅行関連の営業」の平均年収は400.8万円で、営業系16職種中14番目だといいます。
- 参考文献
- doda「平均年収ランキング」
同サイトでは、全業種・職種の平均年齢は414万円(2023年12月時点)。旅行会社、旅行代理店の平均年収は、全体平均よりやや下回るのです。
旅行業へ転職する場合、イメージだけで決めてしまうことのないよう、こうした傾向をあらかじめ把握し、またしっかりと仕事内容や働き方を知った上で検討する必要があるでしょう。
2)旅行会社・旅行代理店で働くメリット・デメリット
イメージの上では華やかそうに思える旅行会社ですが、転職を検討するとなれば、メリットとデメリットを正確に把握しておくことが非常に重要になります。
特に多い誤解として、「自分自身が常に旅行できる」と思っていると、実際には全くそうではなかった、といった事態になりかねません。
実は、旅行業界はとても過酷で厳しい仕事と言われています。それでも旅行業に携わり続ける人がいるのは、デメリットを上回る魅力をこの仕事に感じているからなのです。
旅行会社、旅行代理店で働くメリット
個人旅行では行かない場所へ研修旅行で行ける
入社後、研修旅行を実施する旅行会社が多く見られます。
旅行会社へ転職を希望する人の中にはもともと旅行好きという人が多いはずですが、なかなか個人旅行では行かない場所というのもあることでしょう。そういった場所に、研修旅行で行く機会を与えてもらえるのはとても嬉しいものです。
研修ですので、もちろん旅費や宿泊費は会社負担です。旅行会社ならではの研修と言えますので、とても貴重なひとときを体験できます。
さまざまな土地の観光スポットや宿泊施設に詳しくなれる
ツアーの企画や同行を重ねる中で、さまざまな土地の観光スポットや宿泊施設のタイムリーな情報に触れることになりますので、業界外の人に比べると格段に旅行事情に詳しくなれます。
観光地のトレンドや交通事情にも敏感になっていきますので、「旅行のことを聞くならあの人に聞いてみよう」と知人から頼られる存在になるはずです。
こうした旅行事情について常日頃から自分で調べるのが好きな人にとっては、そういった情報収集をそのまま仕事に生かせますので、仕事しながら楽しめるでしょう。
将来的に独立・起業を視野に入れることも可能な業種
旅行会社の中には大手と言われる会社もありますが、実は大半が中小・零細規模の企業です。ノウハウを体得し、営業力を身につければ、独立して自ら旅行会社を興す将来も描けます。
旅行業は他の業種と比べて初期投資コストがそれほど大きくないため、比較的始めやすいと言われています。
経験を積み、人脈とノウハウが確立されてきたところで独立を狙う、という夢を実現させることも可能な業種なのです。
旅行会社、旅行代理店で働くデメリット
休日出勤や残業は、比較的多い業界
旅行業界は、基本的に「世の中の人が旅行に出かける時期に忙しい仕事」です。したがって、自分自身が旅行好きでも、大型連休など旅行に行きたくなるタイミングで仕事に追われていることが多くなります。
特に営業系の仕事の場合、お客さんの都合に合わせて動くことになるため、休日出勤や残業が常態化することもめずらしくありません。必然的に長時間労働になりがちですが、もともと旅行業のビジネスモデルは利益率が高いほうではないため、給与水準は決して高いとは言えません。
営業職の場合は、ノルマが厳しいことも
特に営業職の場合、契約数と売上のノルマに常に追われる状況になることを覚悟しておきましょう。数字で判断されるため、とてもシビアで厳しい世界と言えます。
また、販売するのが旅行プランであるため、顧客は突然現れるわけではありません。
企業や学校が顧客の場合、地道に信頼関係を築いていき、毎年きまった時期に受注が取れるサイクルに乗れば徐々に契約数が安定していきますが、はじめは契約に漕ぎ着けるまで時間を要するため、粘り強さが求められる仕事と言えます。
景気に左右されやすく、変化が激しい業界
旅行という商品は、「どうしてもなくては生きていけない」という必需品ではありません。多くの人は時間とお金を旅行に回してリフレッシュしたいと考えるものですので、逆を言えば時間とお金に余裕がなければわざわざ旅行に行こうとは思わなくなります。
そのため、旅行業は景気に左右されやすい業界と言われています。旅行プランの企画力や営業力といった努力もさることながら、こうした外的要因で業績が左右されやすい業界なのです。
また、天災や事故などで旅行先を変更したり、旅行そのものをキャンセルしたりする人も少なくありません。旅行業界はこうした世の中の動向に常にさらされており、変化が激しい業界と言えるのです。
3)未経験で旅行会社・旅行代理店に転職する際に、準備しておきたい3つのポイント
未経験での転職は、“若いうち“がベター。ミドル世代以降はマネジメント業務狙いで。
旅行業の実務は多くの人がイメージするよりもハードで、体力勝負の部分も相当あると覚悟しておきましょう。
また、給与水準は他業種と比べて決して高いほうではなく、旅行業という仕事が好きだからこそ続けられる面があります。未経験から旅行会社へ転職するとしたら、「合う」「合わない」をはじめの数年で判断するぐらいのつもりで飛び込むことになりますので、できるだけ若いうちに経験しておくほうがベターです。
ミドル世代が旅行業に転身するのであれば、他業種で培ったマネジメント経験を活かし、マネージャーポジションでの採用を狙いましょう。
旅行業界全体として年齢層が若く、就職から数年のうちに離職していく人も少なくない業種ですので、年齢に応じたキャリアプランをしっかりと持っておくことが重要になります。
コミュニケーションスキル・接客スキルは必須
営業系はもちろんのこと、企画系の仕事に携わる上においても、旅行業界の仕事は常に人と関わっていきます。
対人コミュニケーションスキルや接客スキルは必須となりますので、「人と話すのが好き」「話すことは苦にならない」といった性格の人でないと、仕事がきついと感じる可能性があります。
反対に、他業種から未経験の状態で転職する場合であっても、前職でコミュニケーションスキルや接客スキルを磨いてきたのであれば、旅行会社の仕事で活かせます。
無理難題とも思える顧客からの要望にも臨機応変に対応する折衝能力や、予算とのバランスを見ながらプランを練り上げていく交渉力も、コミュニケーションスキルの1つと捉えておく必要があります。
企業の事前調査はしっかり行っておこう
旅行会社へ転職するにあたって、表面的なイメージや「外から見た旅行業界」の固定観念に縛られることなく、実態をしっかりとリサーチし把握しておくことが非常に重要です。
特に企業風土や企業文化については、口コミサイトをチェックしたり、可能であれば実際に働いたことのある人の体験談を聞いたりして、実情に近い情報に触れておくようにしましょう。
1年を通して全国各地を飛び回り、常に人と関わる仕事のため、旅行会社によっては典型的な体育会系のノリの企業も多々あります。
入社してから「想像していた雰囲気と全く違っていた」などということにならないよう、実際に働く立場になった場合どのような会社であるのか、きちんと調べておくようにしましょう。
企業研究をする際に、優先して見るべきポイント
チェック項目 | 確認ポイント | どこで確認するか |
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事業内容 | 自分自身の知識領域にあるか、また今後も興味・関心を持ち続けられる内容かを確認する | 企業HP |
主力商品・サービス | その商品・サービスの開発・運用を自身が携わることになる際に、どの範囲まで知っていて、どの範囲を知らないかを確認する | 企業HP、業界ニュース、競合他社のHPなど |
強み・独自性 | 同業他社をいくつか確認し、「この会社ならではの特色・強み」がどこにあるかを見出す | |
企業理念 | 企業理念から、求められる人物像(主にスタンス面)をイメージし、自身との適合性を確認する | |
社風・雰囲気 | 歓迎される人物像や業務への取り組み姿勢をイメージする | 口コミサイト |
求められる知識・スキル | 現在の自身の知識・スキルと照らし合わせて、過不足を確認する | 求人票 |
4)未経験で旅行会社に転職する際の、おすすめの転職エージェント
未経験で旅行会社へと転職する場合、複数の転職エージェントに登録しつつの活用がおすすめです。
その理由は、そもそも旅行会社の求人はそれほど数が多くないため、求人の豊富なエージェント数社に登録して「網を張っておく」転職スタイルが効果的だからです。
また、転職エージェントは求人紹介のほか企業への連絡代行や書類添削・面接対策のサポートも行ってくれますので、転職慣れしていない人はぜひとも活用しておきたいところです。
ここからは、旅行会社に転職する際におすすめの転職エージェントを紹介していきます。できるだけ複数のエージェントを活用して、情報をしっかりと集めていきましょう。
リクルートエージェント
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国内No.1の求人数の豊富さ!担当者からの的確かつスピーディな支援も受けられるので、「なるべく早く転職したい」人に特におすすめのエージェントです。
リクルートエージェントは国内No.1の求人数と転職支援実績を誇る転職エージェントです。
旅行代理店の求人数は約650件(2024年9月現在)。国内転職サービスの中でもトップレベルの豊富さです。
リクルートエージェントの強みは全業種・職種に対して豊富な求人数を持つこと、そして長年の実績で培われたノウハウ・転職支援ツールの充実さにあります。
とくに活用したい支援ツールが、志望企業の特徴・評判といった分析から選考のポイントまでをまとめた「エージェントレポート」です。
旅行代理店は各社によって特徴(組織体制や社風・雰囲気など)が異なるため、とくに旅行業への未経験転職の人はレポートの情報が大いに役立つはずです。
また、担当アドバイザーもこれまでの実績をもとに旅行業・旅行代理店への転職に関する有益なアドバイスを提供してくれるでしょう。
これまでの支援実績をもとに効率的かつスピーディな対応を得意としています。「急いで転職したい」という人にもおすすめのエージェントです。
リクルートエージェントの特徴
特徴 |
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サービス対応地域 | 全国 |
拠点 | 北海道、宮城、福島、東京、埼玉、千葉、栃木、群馬、神奈川、新潟、静岡、石川、岐阜、滋賀、愛知、京都、大阪、兵庫、岡山、広島、加賀、愛媛、福岡、長崎、熊本、鹿児島、沖縄 |
旅行業・旅行代理店関連の求人数 | 約650件(2024年9月現在) |
リクルートエージェントのサポートは効率的かつスピーディに進みます。日頃の活動にかけられる時間を確保しておくと、より有意義にサービスを受けられるでしょう。
doda(デューダ)
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豊富な求人と、担当からの積極的な提案が特徴。「本気で旅行関連の求人を探したい!」ならぜひ登録しておきたい転職サイトです。
dodaは求人数・実績において国内トップクラスを誇ります。旅行業・旅行代理店の求人も、リクルートエージェントに次いで豊富です。
実績で培ったノウハウがあり、「積極的に求人紹介をする」タイプのアドバイザーが多いため、「スピーディ」かつ「自分にマッチする求人が見つかりやすい」特徴があります。
dodaのサービスの主な特徴は、「転職サイト・転職エージェント両方の機能を利用できる」、「企業からのスカウトが多く届く」ことです。
アドバイザーにキャリア相談をしながら求人を紹介してもらえるほか、自分でも登録後のマイページから気になった求人をチェックして応募が可能です。
企業からのスカウトについては、実際にdodaを利用した人たちからは「スカウトメールがたくさん届く」「(スカウトメールによって)色んな企業を知れる」といった評判・口コミが多く見られます。
業種や職種、地域に関わらず豊富な求人を擁していますので、「まずは求人をチェックしてみよう」という際にもおすすめのサービスです。
dodaの特徴
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サービス対応地域 | 全国 |
拠点 | 北海道、宮城、東京、神奈川、静岡、愛知、大阪、京都、兵庫、岡山、広島、福岡 |
旅行業・旅行代理店関連の求人数 | 約350件(2024年9月現在) |
dodaは求人を自分から応募可能ですが、エージェント経由でのみ紹介される非公開求人も多いです。担当エージェントには初回面談時に希望条件をしっかり伝えておくことで、より有意義なサポートを受けられるでしょう。
マイナビエージェント
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書類作成、面接準備のサポートの手厚さが特徴。とくに「はじめての転職で、不安…」という人におすすめです。
マイナビエージェントは専門知識を持つキャリアアドバイザーが一人ひとりの転職者に対して丁寧に向きあい、きめ細かなサポートをしてくれることで知られる転職エージェントです。
とくに職務経歴書の作成支援、企業面接への対策サポートに力を入れており、転職慣れしておらず選考通過に不安を感じる人、書類添削や面接対策を依頼したい人におすすめです。
また、運営元のマイナビは大企業だけでなく中小企業とのリレーションも強く、なかにはマイナビだけの独占求人もあります。
担当アドバイザーに転職の希望条件をしっかり伝えることで、意外な掘り出し物の求人に出会えることもあるでしょう。
丁寧なサポートということもあり、実際にマイナビエージェントを利用して転職に成功した人は、入社後にミスマッチを感じることも少ないといいます。
マイナビエージェントの特徴
特徴 |
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サービス対応地域 | 全国 |
拠点 | 東京(2か所)、神奈川、北海道、宮城、愛知、大阪、京都、兵庫、福岡 |
旅行業・旅行代理店関連の求人数 | 約100件(2024年9月現在) |
業界・職種ごとの専任サポートチームが「じっくり親身になって」支援してくれるのがマイナビエージェントの強み。サービス入会時に登録する情報で担当が決まりますので、経歴・希望条件は丁寧に記入しておきましょう。
パソナキャリア
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ひとりの転職者に平均20時間のサポート。「じっくり丁寧なサポート」を求める人におすすめです。
パソナキャリアは、人材派遣業の代表的な企業として知られるパソナグループが運営する転職エージェントです。
転職コンサルタントによる丁寧なサポートを特徴としており、「こちらの相談に対して、じっくり聞いてくれた」という評価をする転職者は多いです。
サポート対応地域は全国、かつ全都道府県に支店があります。対面での相談もしやすいエージェントです。
パソナキャリアもマイナビエージェント同様に履歴書や職務経歴書の添削、面接対策へのサポートの手厚さで高い評判を得ています。
マイナビエージェントとの違いは、マイナビエージェントがどちらかというと20~30代の若手社会人への支援を強みにしているのに対し、パソナキャリアは全年代を対象としています。
ミドル層の人がキャリアチェンジとして旅行業・旅行代理店への転職を相談したい際に、パソナキャリアのサポートがマッチしやすいでしょう。
パソナキャリアの特徴
特徴 |
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サービス対応地域 | 全国 |
拠点 | 全都道府県 |
旅行業・旅行代理店関連のの求人数 | 約100件(2024年9月現在) |
丁寧なサポートゆえに、転職者のやる気、熱意も求められます。転職するにあたって「これだけは譲れない」という希望条件を持っておくと、担当エージェントも求人紹介がしやすくなります。
まとめ 旅行業界への転職はイメージに惑わされないように注意!
旅行業界は就職・転職における人気業種と言われていますが、同時に「旅行」という非日常的なイメージが先行しがちな業界と見ることもできます。
華やかなイメージを抱いて入社してみると、実務の厳しさや泥臭い一面を目の当たりにすることになり、結果的に「旅行業」という仕事が本当に好きな人が残っていくのです。
未経験で旅行業界への転職を検討している人は、まずは仕事内容をはじめ具体的な情報を集め、業界に対する理解を深めておくことが大切です。転職後のミスマッチを防ぐためにも、イメージに惑わされず入念なリサーチを行っておくようにしましょう。