私の転職体験談:夫ともに始めたコンビニ経営が立ち行かなくなって。その後、宅配便ドライバーに転職した私。
転職前
- 職業
- コンビニエ経営
- 職種
- 経営
- 従業員規模
- 12名(アルバイト含む)
- 年収
- 不定
転職後
- 職業
- 宅配業者
- 職種
- ドライバー
- 従業員規模
- 70名
- 年収
- 450万円
目次
由美子さんの転職ストーリー
1これまでの私
本当に、波乱万丈の人生でした。
13年ほど前に、相続で土地を譲り受けることになりまして。
- 夫
-
「ここにコンビニが建ったら、繁盛するんじゃないか」
その夫の一言に、私も「それ、良いかもしれない!」と。
そして、私たち夫婦はコンビニをオープン経営することになりました。
さすがに最初は不安でした。
売り上げがあがらなければ当然収入もなくなりますでしょうし、途中で解約すると違約金が発生するような仕組みでしたので。
はじめてみての結果は、まさに「大あたり」でした。
毎日多くのお客さんが来店し、売り上げも非常に好調な時期が続きました。
でも、そんな時期も終わりを告げます。
当時は、周辺地域に他にコンビニがなかったこともあり、私たちのコンビニの来店数が多かったのです。
オープンして2年が経ったころから、近所に競合店が一店舗、二店舗と出来ていきました。
そこからはもう、熾烈な競争です。
運営は若いアルバイトの方でローテーションを組んで回しましたが、穴が開くと、私たち夫婦で埋めていくしかありません。
深夜勤務、昼夜連続勤務は当たり前のようになりました。
それ程身体の丈夫でなかった夫は、疲労から体調を崩すようになりました。
そして、入院が必要かもしれないと気付いたころには、病気も進行していて。
オープンして5年後に、夫は他界しました。
2転職のきっかけ
夫のいないコンビニ運営の、辛く厳しい日々を過ごして。
その時、店を譲るか、たたむかについてずいぶん悩みました。
ですが、辞めるとなると違約金が発生します。
それに、2人の子どももまだ育ち盛りだったため、
- 私
-
(とにかく、自分が働いて稼がなければ)
という思いで、「続けていこう」と決めました。
しかし、苦しい日々は依然続きます。
競合店は更にその数を増やし、働いても働いても売り上げは激減。本当に、辛い毎日でした。
そのうち、私も過労で倒れてしまったのです。
幸いに、長年、一緒に働いてくれた信頼できる人がいて、お店を守ってくれたので、なんとか苦境は切り抜けられましたが、さすがにもう気持ちも折れてしまって。
こんな生活をずっと一人で続けていく自信は、もうありませんでした。
また、子どもたちもそれぞれの目標があって、私と共にコンビニで働く意思はなさそうでした。
そこで私は、とうとうコンビニ経営を辞める決断をしました。
幸いなことに、「店を引き継ぎたい」という方が現れ、違約金も発生せず、予想よりも大分低いコストで辞めることができました。
辞めたその日は、感無量でした。
──嬉しいとか、悲しいとか、そういうのではなく、ただただ「終わったんだ」という気持ちが大きなさざ波のように絶え間なく顕れて。
次にどんな仕事をするかはまだ未定のままでしたが、
- 私
-
(この辛い日々を乗り切れたのであれば、他のどんな仕事でもやっていける)
と、そんな気持ちにもなりました。
3転職中
転職先は、運送ドライバー
私は体力には自信がありました。
学生時代も運動部でやってきたので、男性なみとは言えないまでも、少々の過酷な仕事でもやっていける、そんな自信もありました。
また、車を運転することが好きなので、運転に関する仕事をやってみたいとも思っていました。
当初は、タクシー運転手を考え数社に話を聴きに行きましたが、実際のところは大変ハードな仕事だと分かり、断念しました。
その後、コンビニ経営時代にお店に出入りしていた運転手の方からのお話を聴いて、(宅配便の運転手もいいかな)と思うようになりました。
話に聞くところでは、女性の宅配便ドライバーは少ないですが、増えてきているそうです。
また、最初のうちは先輩ドライバーの車に同乗するところからが多いとのことで。──それだったら、大分安心そうだと思いました。
段々と、その道への興味・関心も増してきて、運送会社をいくつか回ったり、知り合いのつてをたどって、ドライバーの方々に直接話を聴いたりもしました。
そして私は、その中の運送会社のひとつからお誘いをいただき、就職することになりました。
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4転職後
転職して、待ち受けていた環境は──。
転職後の新しい職場はどうだっか──ですか?
やはり「想像以上に大変」「楽な仕事はどこにもないという現実」でしたね。
私を雇ってくれたのは、大きな運送会社ではなく、社長が数年前に脱サラして興した小さいところでした。
その分、家庭的な雰囲気で融通はきいたのですが、今時の、ネットショッピングの発展で仕事はどんどん増えてきていました。つまり、仕事は忙しなくなることも多かったです。
また、配達先が不在だったときの手間は予想以上でした。
まさに体力勝負でした。
ですが、それでもコンビニのときと比べたら、大変、気持ちが楽でしたね。
なぜなら、「自分が一切の責任を負わなくてはいけない」立場ではないのですから。
それに、働いている方、ドライバーや事務方の人含めてすべてが、いい人たちで、みんなで会社を盛り上げようという機運があって。
とても明るい雰囲気でした。
想えば、コンビニ経営のときは、いつも悲壮感が漂っていました。
きっと、職場の「雰囲気」というのは、効率や成果にとても影響を与えるものなのでしょう。
5その後、どうなったか。
転職を振り返って、今思うこと。そして、これから目指していきたいことは。
今回の転職を振り返って思うことは、「自分の体を大事にしなければならない」ということ、そして、「自分の体のことは自分にしか分からない」ということです。
どんなに立派な医師に診てもらおうと、自身の健康を維持していくのは自分でしかないのですから。
コンビニを立ち上げてこられたのは、夫がいたからです。
その夫が倒れてから、私の手で経営していくというのは、荷が重かったのかもしれません。
辞める決断をして良かったと本当に思っていますし、その際に協力的、良心的な方々がたくさん現れたことは本当に幸運な事だったと思います。
残念に思えることとしては、夫がずっと夢見ていたコンビニ経営の道が途中で終わってしまったことです。
ですが、それはそれで仕方がないことなのでしょう。
◇ ◇ ◇
転職してこれまで、ドライバーさんの付き添いでやってきましたが、今、自分もドライバーとしてローテーションに入れて頂けるようになりました。
任せられたエリアも広めのエリアを頂き、毎日奔走しています。
お品をお届けしたときの、お客様のうれしそうなお顔を拝見すると、とてもやりがいがある仕事だと感じます。
時間と体力の勝負になるお仕事ですが(特に夏場は想像以上でした)、とにかく事故を起こさないようにと常に気持ちを引き締めています。
何歳まで続けられるかは分からないのですが、「あの時、転職を決断して良かった、この仕事が私の天職だ」と、心から言えるように、日々、一瞬一瞬を大事にしながら、お仕事に取り組んでいきたいと思っています。