ようやく転職が決まったデザイン会社。──入社5日目でクビに。|私の転職体験談
転職前
- 職業
- 広告デザイン
- 職種
- グラフィックデザイナー
- 従業員規模
- 1人
- 年収
- 0円(経営していたデザイン事務所が赤字だった為)
転職後
- 職業
- デザイン会社
- 職種
- 工事用看板制作
- 従業員規模
- 5人
- 年収
- 数万円(5日で解雇されたため)
目次
トンちゃんさんの転職ストーリー
1これまでの私
勤めていたデザイン事務所を、自分が代表として引き継ぐことに。
ちょうど40歳になる頃、長らく勤めていたデザイン事務所の代表が亡くなり、不本意ながらも自身が事務所を引き継ぐことになりました。
仕事の方は20年程のキャリアがあり、それなりの自信があったのですが、会社を切り盛りできるような甲斐性は自分にはなく、
- 私
-
(出来るものならば一社員で居続けたかった…)
と思っていました。
経営者になることに対しては、自身が一人身だったことと、それなりの蓄えがあることが多少の気休めになっていました。
ですが、設備の老朽化に伴う出費や様々な経費の支払いなど、従業員でいた頃は考えなくて良かった問題が次々と頭をもたげてきました。
更に、折からの不景気で業績はどんどん悪化していって。
私は精神的に不安定になり、遂には軽いうつ病になってしまいました。
以前あった蓄えも殆どなくなって、また、うつ病の治療にも専念したほうが良いだろうと、結局事務所は5年程で廃業することになりました。
2転職のきっかけ
印刷業からは離れよう。でも、デザインに関われる仕事はしたい。
事務所をたたむよりも前から同業者の人達とよく話していたのが、「この業界の先行きは決して明るくなく、大きな印刷屋か年配の方が一人でやっている様な所しか生き残ることが出来ず、極端に二極化するのでは」という話がありました。
以前から業界内では、「会社は景気が悪くなるとお茶代と印刷費を真っ先に削る」と言われていました。
景気の先行きがなかなか上向かない状態が続けば、その傾向はなおさら強くなります。
さらに、PCの普及により、ちょっとしたものなら会社内の誰かが作ってしまう状況になってきていましたので、どう考えたって明るい材料などありはしません。
そんなこともあり、事務所をたたむと決めた時に違う業種への転職を決意するのですが、折角のキャリアを全て捨ててしまうこともないだろうとも考え、異業種ながらも使い慣れた同じPCソフトを使う仕事を探すことにしました。
3転職中
歳の数と同じくらい、求人企業に応募して。
転職活動を始めた時点で45歳という年齢もあり、なかなか決まらないとは覚悟していました。
ですが、まさか自分の年齢と同じくらいの数の会社に応募しなければ決まらないなどとは、全くもって想像すらしていませんでした。
ハローワークの求人情報が転職活動の中心でしたが、一応他の転職サイトにも数多く登録はしておきました。
ただ、どうもそちらの方は自分にとって非現実的な求人ばかりで、最終的には見るのを止めてしまいました。
家のPCで求人情報を見て、これはと言うものがあれば出向いて紹介を受ける感じでしたが、探している業種では書類選考からのところが多く、その書類選考すら突破できない日々が長く続きました。
そんな不採用通知が届き続ける日々が続くと、そのうちに
- 私
-
(自分は、世の中から必要とされていない人間なのでは…)
と考えるようにもなり、事務所をたたんだ後の休養でほぼ完治したうつ病がまた再発しないかと心配になる程でした。
ですが、本当にそのギリギリのところで、私は1社から内定を受け取ることが出来たのです。
その会社は、工事用の看板製作を主事業とするデザイン会社でした。
4転職後
転職して、5日目に解雇。
デザイン系の業務は私の希望するところでした。
希望する業種の会社に入ることができ、とても喜んでいたのもつかの間、なんと勤め始めてたったの5日間で解雇を言い渡されました。
面接時に、一応業界経験者ではあるもののPCソフトの操作以外は初心者同様だと説明していたのですが、二日目からは
- 同僚A
-
「手が遅い!」
──だの、
- 同僚B
-
「すごく要領が悪い」
だのと、周囲から注意・小言のオンパレードを受けまして、挙句の果てには大ベテランと比較する様なことまで言われる始末。
さらに、前の会社よりも業務範囲がとても広く、業務用品の配置や仕事の流れも把握出来ていないうえに、設計図や原稿を見てどういうものかを理解して、行動をしなくてはいけないような状況で、完全にフリーズ状態でした。
直属の上司からは、
- 直属の上司
-
「──いったい、何にそんなに手間取っているんだ?」
と聞かれても、
- 私
-
「全てです」
としか答えようがありませんでした。
解雇を宣告されたのは5日目のお昼過ぎですが、その日の朝にはもう決まっていた様で、実質4日間の仕事ぶりを見て判断されていたのでした。
私は手が早い方ではありませんが、この会社でこなした仕事は、素人としては普通くらいの速さであったことは断言できます。
たったの4日間で判断されるなんて、訳が分かりません。
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5その後、どうなったか。
「デザイン」を仕事にしていくこと。そして、仕事への「やりがい」。
まず一つ勉強になったことは、同じPCソフトを使って作業をする職業であっても、求人票にデザイナーとかデザインとかいった文字が躍っていたとしても、印刷関係のデザインとは全く違うということです。
作るものは質を殆ど求められずに、とにかく早く仕上げて数をこなすことに全力を注ぐ。
良いモノを創ろうという感覚が全く感じられず、指示された文字や図形がそこにあればそれで良い──そんな感じです。
「デザイン」という単語に引かれて覗き見たこの業界ですが、お金が手に入ったこと以外は全く良いことはなく、新たに色々なことを見直すことが出来たものの、無駄に年齢を重ねてしまった思いも少なからずあります。
また、これから就職活動をしようと思っている方々も、「デザイン」とか「看板デザイナー」といった謳い文句には、くれぐれも注意して頂きたいと思います。普通にデザインを志す人がこの業界に入っても、なんの満足もやりがいも見出せませんから。
あともう一つ思ったことは、どうもこの業界は「社員を育てる」考えがない様で、働いている人達が全く初心者の気持ちを理解することが出来ない人達であり、自分が出来ることを「なぜおまえは出来ないのか」と言う感覚の人ばかりであることです。
まぁ、そのことに関してこれ以上どうこう言うつもりはありませんし、新人が育たなければその会社の未来はないだけのことなので、自分には何の関係もないことでもあります。
ただ、自分が他人に仕事を教える立場になった時に、「こうはならないでおこう」と強く思った次第です。
◇ ◇ ◇
結局、転職活動は失敗したのですが、以前の得意先の印刷屋さんからお声がかかり、今は以前の様な商業印刷の世界で働かせて頂いております。
業界の先行きを見通せないとして転職することにした訳ですが、一周廻って元の鞘に納まってしまいました。
ただ、転職活動とそれに伴う一連の顛末も全く無駄という訳ではなかった様で、他の業界を覗き見したことで改めて見えたこともありました。
それは、「自分はなんて幸せな世界に居たのだろう」、「自分はなんてやりがいのある仕事をしていたのだろう」ということです。
少しでもいいモノを創る為に打ち合わせを重ね、数や量が全てではない仕事の進め方は非常にやりがいを感じ、それこそがこの世界の魅力の一つであるということを思い出しました。
自分が忘れていたものに気づき、なんとかその世界に戻ることが出来たのですから、今度は二度と手放さないように必死にしがみつき、定年までのデザイナー人生を全うしたいと心から思っています。
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